日曜日, 10月 11, 2026
ホームつくば施設の補修・更新費34億円超 洞峰公園 つくば市、議会に示さず

施設の補修・更新費34億円超 洞峰公園 つくば市、議会に示さず

長寿命化計画で県試算

つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、園内にある体育館、新都市記念館、フィールドハウス、管理棟の4施設だけで、2024年度以降の維持管理、補修、更新費用などが合わせて34億円以上かかると試算されていることがNEWSつくばの情報開示請求で分かった。県が洞峰公園の各施設の長寿命化計画を策定するにあたって2016年度に調査を実施し、各施設ごとにライフサイクルコストとして算出していた。

情報開示資料によると、各施設のライフサイクルコストは4月に県からつくば市に提供された。さらに6月には補修費用と更新費用の算出根拠となる材料費や単価などが市に示された。

これに対し市は、6月の市議会全員協議会(全協)や7月の市民説明会で、施設の更新費用について見通しを示さなかった。市は議会などに対し、日ごろの維持管理費について年間約1億5100万円かかるとし、施設の修繕費用については80年の目標使用年数を示しながら、「今後、施設全体で想定される施設修繕費の想定額は年間約3500万円程度となる」などと説明していた。今後15~25年間で計約5億8000万円程度の施設修繕費がかかるという試算だが、この数字は、県が算出した公園施設のライフサイクルコストの中の補修費用などを積み上げただけで、最も金額が大きい更新費用は含まれていなかった。

県が長寿命化計画策定にあたって調査し試算した公園施設のライフサイクルコスト。左は体育館アリーナ棟の建物を維持保全するのにかかる試算、右は新都市記念館の試算

更新費用は、老朽化した施設の建築材料や設備機器を新しいものに取り替える費用。補修費用は、施設の大規模な手入れにかかる費用で、いずれも国の指針により長寿命化計画を策定する際に試算することが求められる。県は洞峰公園について、国の公園施設長寿命化計画策定指針や県県有建築物長寿命化実施基準に基づいて、施設の目標使用年数を80年と設定し、国のマニュアルに基づき施設を調査し、ライフサイクルコストを試算した。調査や試算に基づいて長寿命化計画を立て、国の補助金を活用して施設の改修や更新を実施する。

2016年度に県が実施した洞峰公園の調査では、各施設ごとに、建物の完成から50年や60年先の更新見込み年度までにかかる費用をライフサイクルコストとして算出している。ライフサイクルコストには、毎年かかる維持保全費用、5年に1回実施する健全度調査費用と、補修費用、健全度調査費用の計4項目がそれぞれ試算されており、各施設ごとにそれぞれ毎年いくらかかるかを算出している。

1980年に開園した洞峰公園は、プールとアリーナがある体育館、喫茶店やギャラリースペースがある新都市記念館などの施設が今年、築43年を迎える。県が算出した各施設のライフサイクルコストによると▽体育館のプール棟とアリーナ棟の電気・機械設備の更新見込み年度はいずれも7年後の2030年度で、市が無償譲渡を受けた場合、来年度から更新見込み年度の2030年度までにかかると試算されている維持保全・健全度調査・補修・更新費用の合計は約12億1700万円▽プール棟とアリーナ棟の建物の更新見込み年度は2036年度で、今後かかる費用の合計は約15億3200万円▽新都市記念館の更新見込み年度は2040年で、今後かかる費用の合計は約3億9700万円ーなどとなっている。

実際の修繕工事は、建物の状態や予算などを考えて行うため、長寿命化計画で算出したライフサイクルコストとは一致しない。ただし今後、施設の保全にいくらかかるかを調査し、見通した唯一の資料が県が算出したライフサイクルコストになる。洞峰公園にはほかにトイレ、倉庫、井戸などのほか、テニスコート、遊具、園路舗装、ベンチなどの施設や設備が数多くあり、これらを加えると今後かかる費用はさらに膨らむとみられる。

※県長寿命化計画策定資料(公園施設ライフサイクルコ スト算出根拠)より作成。2024年度以降かかる費用は、県が長寿命化計画を策定するにあたって試算した維持保全費用、健全度調査費用、補修費用、更新費用の合計

市が施設の更新費用を議会に示さなかったことについて、これまで市議会一般質問などで大規模修繕費用がいくらかかるかを明らかにするよう求めてきた飯岡宏之市議(自民党政清クラブ)は「(大規模修繕費用について)6月定例会で市は『確認中』と答弁し、最終日の全協でも教えてもらえなかった。この間、市と県とで(資料の)やりとりをしていたのに、なぜ全協で明らかにしなかったのか誠に遺憾。今後は議会に明らかにしてほしい」とし、「県が調査した時点と比べて現在は資材費が高騰しており、現時点で1.5倍以上の費用がかるのではないか」と話す。

これに対し、市公園施設課は「(更新費用については)施設の長寿命化計画を策定の上、国庫補助金を活用しながら施設の長寿命化を図っていきたい」としている。

差額4500万円の内訳は更新費や建物以外の修繕費など

一方県は昨年、パークPFI事業を実施するにあたって、17年度から27年度までで大規模修繕費が年平均8000万円かかるとしていた。市が今年6月、市議会に説明した施設修繕費の年平均の想定額3500万円程度と比べ、4500万円開きがあった。今回情報開示された資料でそれぞれの内訳を確認したところ、県の内訳には、市が試算した建物の補修費などのほかに、市が試算に加えていない建物の更新費と、建物以外のベンチや柵などの更新費などが含まれていた。

つくば市が県から無償譲渡を受けるにあたって、市は市内の建築士に建物の調査をしてもらい、指定管理事業者からの聞き取りと合わせて、修繕が必要な箇所を洗い出した。現在県は、体育館プール棟の雨漏り改修、天井材のボルトの締め直し、プール室内の暖房機器修理、アリーナ棟の空調機器修理、フィールドハウスの外壁レンガの修繕や防水対策などの修繕工事を実施中だ。修繕費用について県は計4000~5000万円になると県議会調査特別委員会で明らかにしているが、引き渡しにあたり現在不具合が生じている箇所の修繕にとどまっており、今回の県の修繕が今後、各施設の補修や更新工事費をいくら減らすことになるかは県も市も調査していない。

洞峰公園は自然林や洞峰沼を生かした筑波研究学園都市最大の都市公園としてつくられ、研究学園都市を南北に結ぶペデストリアンデッキの緑の帯に面する。園内の体育館と新都市記念館はいずれも、著名な建築家の大高正人(1923-2010)が設計した。筑波研究学園都市の名建築の一つで、体育館のプール棟は太陽熱、アリーナ棟は太陽光を利用するなど当時の先進的な技術を取り入れて設計された。新都市記念館は洞峰沼の上に乗り出して建っており、屋根の勾配は圧迫感のない自然な稜線を表現するなど、両施設とも自然と一体となった設計になっている。当時の建設・造成事業費は31億円という。(鈴木宏子)

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