日曜日, 12月 28, 2025
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筑波大生が夏休みの宿題応援 小学生50人が絵と習字を学ぶ スタジオ’S

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最後は1人で「笑顔」を書き上げた杉本圭さん(右)

筑波大で芸術を学ぶ学生が小学生に絵画と書道を教える企画「夏休み宿題応援 in つくば」が9日、つくば市吾妻の県つくば美術館で開かれた。関彰商事(本社・筑西市、つくば市 関正樹社長)が運営するギャラリー「スタジオ’S」が、筑波大と連携して開催したイベントで、2018年から始まった。この日は午前9時半と11時から書道教室、午後1時と3時に絵画教室が開かれ、つくば市をはじめ、土浦や牛久市などから50人の小学生が参加した。

午前9時から始まった書道教室には5人の小学生らが参加した。講師を務めた書道専攻の筑波大生4人は「大きく書くと元気よく書けて、書きやすいよ」「腕全体を使って書こう」など、それぞれマンツーマンでアドバイスした。

半紙に「笑顔」の文字を書き上げたつくば市の小学4年 杉浦圭さん(10)は「先生の教え方がわかりやすかった。今までに書いたことのない漢字に挑戦した。丁寧に教えてもらえてうまく書けた。楽しかった」とホッとした表情を浮かべた。昨年に引き続き2回目の参加となった牛久市の小学3年 上田桃華さん(8)は「去年は絵画で参加した。ほめてもらえてうれしかった。今年も楽しみにしていた」と思いを語った。

講師を務めた筑波大大学院2年の髙橋杏奈さん(24)は「うまく伝わるように言葉を選んだり、例えを使ったり、子どもの目線で考えるようにした」と話し、同大学院2年の内野陽菜さん(24)は「文字を等間隔で書いたり、偏とつくりの高さをそろえたりするときれいに見えるなどのコツを伝えた。プレッシャーにならないよう、書くことを楽しく学んでもらえるよう心掛けた」と語った。

書道と絵画を対象とした今回の企画は、2016年から毎年開催しているスタジオ’Sによる子ども向け企画「キッズアート体験」で好評だった2つの科目に特化し、18年から始まった。20年からは県近代美術館が協力している。

関彰商事広報の石井雅也さんは「ここに来れば大学生と一緒に宿題もできるとリピーターも多い企画。地域の方が心身ともに健やかに暮らしていただけるよう活動していきたい」と思いを話した。(柴田大輔)

パリ五輪開会式で見えたフランスという国《遊民通信》94

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【コラム・田口哲郎】

前略

パリオリンピックでの日本人選手の活躍に胸が躍りますね。

さて、今回のオリンピックは開会式が特に話題になりました。開会式会場をセーヌ川とその河岸にするということからして、期待感がありました。セーヌ川というのは舞台になるほどのコンテンツを持っているんですね。

確かにパリの名所の多くはセーヌ川の周りにあります。パリの街の中心を南北に分けるように流れていて、中洲がシテ島といって、パリ最古の都市部です。東京に当てはめると、山手線の内側の中央線がセーヌ川になると思います。

東京もお堀がありますが、隅田川が流れていたら、歴史や景観はずいぶん変わっていたでしょうね。河岸の右と左で街の特徴が違っているというのも有名ですね。左岸にはソルボンヌ大学があったカルチェ・ラタンがあり、庶民的な学生街。右岸にはルーブル美術館や高級ブティックなどがあり、ブルジョワの雰囲気といった具合です。

開会式演出も、フランスの歴史

人びとを驚かせたのは、開会式の舞台だけではありませんでした。演出もフランスらしかったのではないでしょうか。物議をかもしたのは、フランス革命の監獄として有名なコンシェルジュリーの窓から生首を持ったマリー・アントワネットが姿を見せたシーン。

そして、古代ギリシャの酒の神、ディオニュソスに扮(ふん)した青い中年男性がキリスト教の最後の晩餐(ばんさん)を模したと思われるテーブルに寝そべり、さらに晩餐のテーブルにはずらりとドラァグクイーンという女装した男性が並んでいる場面。

オリンピックの開会式としてどうなのか、品性、あらゆる価値観を持つ人たちへの配慮が焦点として問題となり、組織委員会は公式ページからこうしたシーンの動画を削除したそうです。

今回の演出は公式なオリンピック運営組織の許可があって催行されたことに違いありません。シーンの賛否はともかくとして、なぜこれらのシーンが表現されたのかを考える必要がある気がします。

ご存知のように、フランスは革命があって王政から共和政に劇的に移行しました。フランスは現在共和国で第五共和政です。ヴェルサイユ華やかだったのはルイ14世の時代で王政でした。第五が示しているように、革命後、王政が復活したり、皇帝ナポレオンが君臨した帝政があったりと、複雑な政治変化の末に現在の共和政に至っています。

仏共和国はあの「自由、博愛、平等」の精神を礎にしています。現在のフランスは一概には言えませんが、カトリック教会や貴族制に代表される伝統的な体制を批判して成立したのです。歴史的経緯を踏まえると、あの過激とも思える演出も、さもありなんと思えなくもないです。どう感じるかは人それぞれですが。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

星田弘司県議が立候補へ つくば市長選

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星田弘司氏

任期満了に伴って10月20日告示、27日投開票で行われるつくば市長選に、県議の星田弘司氏(50)が立候補する意向を固めたことが8日までに分かった。市議選と同日で行われる同市長選には、現職の五十嵐立青氏(46)がすでに立候補を表明している。

取材に対し星田氏は「現在のつくば市は人口も増え、もっとポテンシャルを生かして十分に飛躍できると思っている。企業誘致にしても、もっと職を生んで、人を引きつける企業を誘致するなど、つくばブランドを生かした取り組みができる。ふるさと納税にしても毎年10億円近く流出している。国や県と連携し、世界に発信するダイナミックな行政運営ができるのがつくば市だと思っている」と話す。

立候補の動機については「洞峰公園のやりとりが象徴しているように、県との連携が十分でない。無償譲渡だが毎年膨大な管理費がかかる。知事との直接のやりとりが一度もできず、直談判もせず、譲渡を受けており、連携不足、調整力不足を感じた」とし「10年先を見据え、これからのつくば市を考えた時、今やらないとつくば市は単なる地方都市になってしまう」と話した。

今月4日、後援会役員会を開き、立候補の意向を諮り、役員会の了承を得た。近く立候補を表明したいとしている。

星田氏はつくば市出身、県立水海道一高、東海大学卒。英シェフィールド・ハラム大学大学院修士課程修了。つくば市議2期を経て、現在県議4期。自民党県支部連合会遊説局長などを務める。

つくばのおそば屋さん2店《ご飯は世界を救う》63

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】今回はつくば市の西大通りに面したおそば屋さん2店です。創業45年の「かしわや」さん(つくば市春日)と創業50年の「増田屋」さん(同)。私はつくば市(旧谷田部町)在住42年なのに、今年7月初めて入りました。大通りからどうやって入店したらよいのか? いつか行ってみよう~ と思って40年も過ぎたわけです。

どちらのお店にも、丼ものとおそばかうどん付き定食があります。おいしそうだし、お手軽価格で2つの味が楽しめる。でも残念なことが…。太ってしまったのです。ラーメンライスみたいなメニューですから。

そして思ったこと。40~50年前、この周辺には建設現場がたくさんありました。そこで働いてくれた方々は体力勝負で、ご飯をたくさん食べたのだろうなぁ、と。私がこの地で初めてラーメンを食べたとき、あのしょっぱさはショックでした。汗をたくさんかいて働く方には必要だったのでしょう。最近はそんなにしょっぱくないのよね。

具が8つのおかめうどん

「かしわや」さんのメニュー見ていたら、「おかめうどん」見つけました。家の近くにもおそば屋さんあるけど、コレはない。グルメの息子も知らないと。私が高校生時代の学校帰り、おなかが空いてよく食べました。それ以来食べていないかも。もう懐かしくて。でも、なんで「おかめ」?

調べてみると、江戸時代、うどんやそばの上に「おかめ」(女性の顔)のように、具をトッピングしたのが始まり?とか。今回食べたのには、「だて巻、なると、おふ、白かまぼこ、ピンクかまぼこ、わかめ、かにかまぼこ、絹さや」の8種類。将棋での「おかめ八目」とか?

よく分かりませんが、うどん以外にいろいろなトッピング、これはアリ!(イラストレーター)

「つながり」がテーマの水草展 筑波実験植物園で8日から

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「水草を楽しんでください」と国立科学博物館の田中法生さん=つくば市天久保

岩礁、ため池、マングローブなど再現

「水草展―水草がつなげる世界」が8日から、つくば市天久保、国立科学博物館 筑波実験植物園で始まる。多様な水環境の中で他の生物や環境とつながり、進化してきた水草に焦点を当てた企画展だ。水草と生き物、環境、人とをつなげる水辺の世界をさまざまな角度から紹介する。過去最多となる約250種の水草を展示しており、そのうち3、4割が絶滅危惧種だという。

会場の一つ、研修展示館では、アマモ場や岩礁、水田、ため池、マングローブなど、水草と生物が生み出すさまざまな環境を再現してそのつながりを解説する。水草を使って水面に巣を作るカイツブリや水草に産卵するマルガタゲンゴロウなど水草を利用する生き物を紹介する。世界で最も小さい陸上植物であるミジンコウキクサの顕微鏡観察などもできる。

研修展示館の様子

人と水草のつながりは深く、人々はかつて農業などに水草を利用してきた。だが農業の高度化や農薬の使用などにより、それまで共存していた水草とのつながりが失われつつある。そうした中、再び共存の道を探ろうと新たな動きが始まっている。企画展では、これまでとこれからの人と水草とのつながりの多様性を紹介。水草を使った身近な食品や生活雑貨なども展示する。

ほかに、食虫水草ムジナモやタヌキモを顕微鏡で見ながらえさをあげる体験や、岩礁の海草の根元に生息する生き物の観察、実際に触ったり観察したりして水に浮く仕組みを学ぶ水草タッチプールなど、体験型展示も目玉の一つ。

教育棟では「水草の美しさを楽しむ」をテーマに、日本を代表する水槽レイアウトのプロが作製した数々の水草水槽を展示する。来場者が自由に水槽に草を植えて大きな水草水槽を作る企画やオリジナルのアクアリウム(飼育水槽)を作るワークショップもある。

日本を代表するプロレイアウターが作製した数々の水草水槽が展示されている教育棟

同館研究員の田中法生さんは「バラやランに比べるとマイナーだが、まずは水草を楽しんでほしい。生物としての水草の面白さを知ることが、水草を守ることにつながる」と来園を呼び掛ける。

2011年から始まった水草展の開催は3年ぶり6回目。つくば市と周辺地域の水草の分布も紹介しているが、水質の変化や外来種の影響により前回の3年前の展示と比べて一部の品種が消失したという。一方で今年4月、姿を消していた水草の一種、ヒルムシロがつくば市二の宮、洞峰公園の土の中から見つかった。

展示される約250種のうち絶滅危惧種が3、4割を占めることについて田中さんは「(水草が)育つ環境があれば復活できる種がある。まだ間に合う」と話す。(泉水真紀)

◆企画展「水草展―水草がつなげる世界」は18日(日)まで、つくば市天久保4-1-1、国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。開園時間は午前9時~午後5時(入園は4時30分まで)。会期中無休。入園料は一般320円、高校生以下と65歳以上、障害者などは無料。問い合わせは電話029-851-5159(同館)。詳細は同館ホームページまで。

公的年金、家族のあり方、女性の働き方 《ハチドリ暮らし》40

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写真は筆者

【コラム・山口京子】新聞に載っていた遺族厚生年金の見直し案を見て、公的年金や家族のあり方と女性の働き方を振り返って考えてみました。

1961年、自営業などを対象とする国民年金制度が誕生し、それまでの公務員や労働者の年金制度とともに国民皆年金が実現しました。1986年、年金制度を統合し基礎年金制度がつくられました。その際の改正の一つに、厚生年金に加入している夫(妻)に扶養されている妻(夫)は、保険料を納めなくても第3号被保険者になる仕組みがありました。

この制度が想定する家族モデルは、「会社員の夫と専業主婦の妻、そして2人の子ども」です。ところが、このモデルは1990年代に様変わりします。

その背景にはバブルが崩壊し、長期の不況、不良債権処理、労働者派遣法の改正、非正規労働者の増加などがあったのでしょう。家族の形は多様化しますし、夫の賃金が頭打ちになったり、引き下げられたりするなか、妻が働かないと家計が破綻する事態が進行しました。

あるエピソードがあります。家計のやり繰りが大変になった妻が、外で働きたいと言ったとき、夫は働くのはいいけれど、家族に迷惑をかけないようにと、くぎを刺したというのです。1970年~80年代は、働いている女性でも結婚が決まれば寿退社という風潮で、家庭を守ることが女性の仕事だという性別役割分担意識が根強く、家計補助として働くとしても家事は手抜きしないというプレッシャーがかかっていました。

男女の賃金格差是正が必要

現在は共働きが多数派になりましたが、共働きの形は、正社員同士か、正社員と非正規社員か、非正規社員同士か、様々です。また、業種による賃金格差や男女の賃金格差も家計に深く影響します。妻の収入は家計補助というより、夫婦が共に働かないと家計が回らないのが実態でしょう。

国税庁の民間給与実態調査によると、年収200万円以下で働く人が1000万人を超えています。その多くが女性です。扶養される範囲に調整するケースもありますが、扶養の範囲を超えて働いていても、夫より収入が少ないため、家事育児にちゃんと協力してと強く言えないことがストレスだという妻の相談を受けることがあります。家族が気持ちよく暮らせるように、共有できる役割とルール作りを話し合えたらと願います。

年金の額は現役時代に納めた保険料と納付期間で変わってきます。今すべきことは、働く人の賃金を引き上げる、男女の賃金格差是正の取り組みに本気になる、規制緩和の流れで改正されてきた労働者派遣法を見直す―ことだと思うのですが…。(消費生活アドバイザー)

懸念相次ぐ中、市全域で実証実験始まる オンデマンド型移動期日前投票 つくば市

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車いすで移動投票車に乗り込む五十嵐心音さん

市議会や市選挙管理委員会から懸念が相次ぐ中(6月3日付同25日付)、今年10月のつくば市長選・市議選での実施を目指し、市内全域を対象とした「オンデマンド型移動期日前投票」の実証実験が6日始まった。

9日までの4日間、申し込みがあった37人を対象に、投票箱を積んだワゴン車2台が自宅前まで出向くなどし、車内で模擬投票が実施される。4日間の実証実験の事業費はシステムの小規模改修が約200万円、車両の手配が約220万円の計420万円という。

自分で立ったり歩いたりすることが困難な市内の要介護3 ~5の高齢者と身体障害者など計3072人に案内を出して参加を募り、1.2%の37人から申し込みがあった。内訳は要介護3と4の高齢者が15人、身体障害者が22人。

同市は今年1月、高齢者が多い市北部の臼井、筑波地区で最初の実証実験を行った。3月時点では、両地区で実施する計画で予算を計上したが、公平性の観点から市議会や市選管から懸念が出て、6月議会では、市全域の移動困難な高齢者や障害者計約4000人にタクシー券を配布することが決まった。

一方、ワゴン車が自宅に出向く同期日前投票に対してはこれまで、市選管から2度も「時期尚早」だとする見解が出されている。これに対し五十嵐立青市長は、スーパーシティの看板事業だったインターネット投票導入につながるステップだと位置づけ、今回の市全域での実証実験となった。

移動投票車の車内の様子

今回、自宅に出向く車両は、市内の介護タクシー事業者が所有するワゴン車のリフト付き福祉車両とした。2台が市北部と南部に分かれて37人の自宅などを回る。車いす利用者は、後方からリフトに乗って車いすのまま車内に入れるようになっている。ワゴン車の運転手は介護ヘルパーの資格を持ち、乗り降りをサポートする。

移動投票所となるワゴン車では1台に付きそれぞれ、投票管理者1人、投票立会人2人、受付1人、補助1人の計5人が立ち会う。パソコン1台が設置され、ネットの利用で選挙人名簿を確認などする。文字を書くのが困難な場合は代理投票も行う。1月の実証実験で試された立会人ロボット「オリヒメ」は今回採用を見送った。

市選管からは、各所10分間という移動投票所の設置時間が厳守できるかなどの指摘があったことから、1カ所に付き30分間の予備時間を確保する。さらに次の移動投票所の設置時間に間に合わない場合を想定し、ワゴン車1台を待機させる。1月の実証実験では自力で歩ける人がほとんどだったため所要時間を計測しなかったが、今回は各所で時間を計測する。

自宅敷地内にワゴン車を駐車できるスペースがない場合は、乗用車タイプの福祉車両が送迎などする。

10月の本番で実施することが決まった場合は、改めて参加者を募集するが、現在のワゴン車2台体制の場合、期日前投票が実施される6日間で最大84軒くらいを回ることができるという。

6日、実証実験に参加した同市洞下の五十嵐心音さん(18)の自宅前には投票箱を積んだワゴン車が到着し、五十嵐さんは介助を受けながら無事投票を済ませた。心音さんは腕や手に機能障害があり、歩くことやしゃべることが困難だ。母親の純子さん(47)によると、音声を合成する機器を利用して心音さんと意思疎通を図っている。「選挙が出来る18歳になって、本人から選挙をやってみたいという意思の確認がとれたので、今回の模擬投票に参加することになった。あきらめてしまう人は多いけれど、出来ることはチャレンジしていきたい」と話した。介護タクシーの利用について純子さんは「介護タクシーはまだ利用したことはないが、機会があれば使ってみたい」と付け加えた。

五十嵐さん宅では、市選挙管理委員のほか五十嵐立青市長も同行し実証実験を見守った。五十嵐市長は「今回はスムーズな運営が出来てとても良かった。あきらめてしまう人が多い中、意思表示をし、参加できるというのはとても大事なこと。市としてはこういう機会をどんどんつくっていきたい」と話した。

今回の実証実験の結果は市選管に報告する。10月の市長選・市議選で実施するか否かの最終判断は、9月2日開催の市選挙管理委員会で改めて協議される。

ウソをつくと得をするのか《続・気軽にSOS》152

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【コラム・浅井和幸】ウソをつくと得をするのか損をするのか? 当たり前の答えを先に言うと、ウソをついた人は得することもあり、損することもあります。確率としては、短期的に得することが多く、長期的に損することが多いものです。

Aさんは、来月の給料でお金を返すと約束をして、Bさんからお金を借りました。Aさんが最初から返す気がない場合は、ウソをついていたことになります。返せると思って借りたけれど返せなくなり、結果的に、約束がウソになることもあります。突然の出費があったとか、給料が入らなかったとか…。

先を読む力が低い人は、人をだますつもりがなくても結果的にウソとなり、信用が失われます。パチンコでの勝率は良くない実績があるのに、パチンコで倍にして返すと考えて借金をしたとか、日払いの仕事なのに雨で休みが多く収入が減るとか…。貸した方からすると返せなくなるのは最初から分かっていただろうと怒ることでも、将来を見通す力が弱い人は自分に都合良く予知をしてしまいがちです。

つまり、寝ないでやれば3日で夏休みの宿題が終わるから、休みが終わる4日前までは宿題をやらないという考え方です。大人になっても、締め切りが近くなって追い詰められたら自分は力を発揮すると考えている人が結構います。そういう私も、この原稿を締め切りの1時間前に書いているわけですが。

お金に関していえば、手元にお金が残るので、短期的には返済しない方が得です。しかし長期的には、返済した方が信頼関係を築けるという得があります。長期的な事業でいえば、返済計画通りに返済することで、次の大きな融資を受けられやすいというメリットになります。

暴こうとするとウソが巧妙になる

親御さんが自分の子どものウソを暴こうと頑張ることがあります。それは、親御さんとしても、ウソをつくことは悪いことだと教育したいからという目的があります(裏の目的としては嘘をつかれるのは子どもになめられているからで、なめられたくないという思いもあるでしょうが)。

しかし、ウソを暴こうとだけすると、よりウソが巧妙になるもので、もっとうまくウソをつけという教えになる可能性があります。ウソをついたときは、怒られずにその場を切り抜けられるというメリットがあるからです。デメリットは、ウソがばれたときであるからです。ウソをついたときに罰を与えるのと同じぐらい、いやそれ以上に、誠実に振る舞ったときに得になるような対応をすることが大切です。ご褒美をあげるとか、より笑顔で接するとか。(精神保健福祉士)

コミュニティーバスが衝突事故 1人けが つくば市

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つくば市役所

5日午後0時55分ごろ、つくば市篠崎、篠崎バス停付近のT字路で、つくば市のコミュニティバス「つくバス」吉沼シャトル上り11便が、赤信号に気付かずT字路交差点を直進し、右折してきた乗用車と衝突した。この事故で、乗用車を運転していた女性が首などに全治2週間のけがを負った。バスには当時、乗客が1人乗っていたが、乗客とバス運転手にけがはなかった。

市総合交通政策課によると、運行中、つくバスの運賃箱からエラー音が鳴り、運転手がエラー音を解除しようと前方から目線を外したところ、信号が青から赤に変わったことに気付かず、交差点に進入した。

市は同日、運行事業者の関東鉄道に対し、安全運行の徹底を強く申し入れたとしている。

土浦 新川でアオコ大量発生

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水面に蓄積したアオコを川底に沈めるため、水面を旋回する船(右側)=5日午後3時過ぎ、土浦市城北町、土浦税務署前付近

土浦市の市街地を流れ霞ケ浦に流入する新川で、8月に入りアオコが大量発生している。上流にアオコが拡散するのを食い止めるためオイルフェンスが設置された同市城北町、土浦税務署付近では5日、アオコがフェンス近くの水面に厚く堆積している。河口付近は川の水の色が緑色に濁っている。河口近くの霞ケ浦・土浦新港の水も緑色に濁り、緑色の粉を撒いたような筋も見える。

新川の下流近くに住む女性(70)は「7月31日に新川の河口脇を通ったら入浴剤を入れたように川の水が緑色で、一部泡立っていた。きょう(5日)土浦税務署前を通ったら、オイルフェンス近くの水面にアオコがたまり、臭いがして、アオコが茶色になっているところもあった。20数年前に引っ越してきた時、アオコが大発生しすごい臭いだったのを思い出し、また同じようにならないか心配」だと話し「新川河口近くはつくば霞ケ浦りんりんロード沿いで、全国から自転車愛好者が来る。抜本的な対策をしてほしい」と話す。

霞ケ浦・土浦新港の湖水=5日午後3時半ごろ

県環境対策課水環境室霞ケ浦対策グループによると、アオコは霞ケ浦や新川で毎年、出たり消えたりしているが、新川で急に多く出始めたのは8月2日ごろから。

県は2日、土浦税務署近くの水面にフェンスを張り、同日から連日、1日2~3時間、アオコがたまっている水面を船でぐるぐる旋回し、アオコを川底に沈めている。水面に浮かんだままだと腐敗して臭いが出るためだ。

翌3日からは、新川のさらに上流から、ポンプで桜川の水を新川に流している。アオコは流れがないと増殖しやすいことから、流れをつくり、さらにアオコを下流に押し下げるためだ。これによりオイルフェンスの設置位置を少し下流に押し下げることができたという。以前、土浦税務署前の新川にはアオコ抑制装置が設置されていたが、3年ほど前に撤去されている。現在は桜川の水を新川に流すことで対応しているという。

一方、土浦駅東口近くの霞ケ浦土浦港では、国交省霞ケ浦河川事務所が水中ポンプで1キロほど湖水を土浦港の奥に引っ張り、湖水を流すなどしている。

アオコ対策のため湖水を水中ポンプで引っ張り水を流している土浦港

アオコは一般に、暑く晴れた日が続くと増殖するとされる。霞ケ浦でアオコが大量発生したのは最近では2011年から12年、13年ごろ。ここ数年は大量発生はなかった。

県は引き続き、アオコ対策を続けるとしている。(鈴木宏子)

どっちが大事? つくば市の選挙 《吾妻カガミ》188

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】つくば市では10月27日に市長と市議の同時選挙がある。どんな人が立候補するのか(五十嵐市長はすでに3期目出馬を表明)、その公約や力量が市民の関心事だが、市や議会では選挙の仕方をめぐる議論がされている。研究学園市らしい風景だ。

オンデマンド型移動期日前投票所

選挙の仕方をめぐる議論のひとつは、投票所に行くのが大変な高齢者や障害者の投票率をアップする方法。五十嵐市長は、投票を希望する高齢者や障害者の自宅まで投票箱を積んだ車を回し、自宅で期日前に投票してもらう仕掛けにこだわっている。市は「オンデマンド型移動期日前投票所」と呼んでいる。

オンデマンドとは「要求に応じてサービスを提供する」という意味だが、いかにも研究学園市らしいカタカナ用語だ。

この投票法の手順や問題点などを探るため、つくば市は今年1月、市北部の2カ所で実証実験を行った。ところが、市全域でやらなければおかしいと議会で突っ込まれ、8月6日から9日にかけ、市職員約20人、車3台(1台は予備)を動員して、希望者を対象に2度目の実証実験をやるという。記録的な猛暑の中ご苦労さま。

この新基軸を扱った記事「…選管見解は再び『時期尚早』…」(6月3日掲載)、「議会から懸念相次ぐ…」(6月25日掲載)によると、選挙の実務を担当する選挙管理委員会も、選挙の方法を審議する議会総務文教委員会も、市長の入れ込み方に「はて?」のようだ。記事の見出しからも明らかなように、時期尚早論、実施懸念論が出ている。

なぜ、五十嵐市長はこの新投票法にこだわっているのか? 研究学園市つくばの先進性を世に見せるため、本当はネット投票を導入したいのだが、選挙制度を管轄する総務省が慎重なスタンス。そこで、目先の策として「オンデマンド…」を実現したいようだ。政治用語を使うと、「パフォーマンス(派手で格好いい目立つ行動)」ということか?

選挙公報のスペースとデリバリー

もうひとつは、投票日前に有権者に配る選挙公報のスペース(紙幅)とデリバリー(配布)をめぐる議論。市政への関心が強い酒井泉氏(元大学教授)が、①市長・市議立候補者の経歴や公約を載せる選挙公報のページ数を増やし、②自宅購読が減っている新聞への折り込みでなく、専門業者、郵便局、地域区会などに宅配を頼んだらよい―と市議会に提案。

議会総務文教委での議論を受け、本会議は①②について検討するよう選挙管理委員会に指示した。その内容は記事「…選挙公報、各戸配布検討を…」(6月20日掲載)に詳しい。公示日から選挙日までの時間的制約、12万世帯(今春現在)に宅配する手間暇―などの課題はあるが、採用の優先順位は移動投票所よりも選挙公報充実の方が上だろう。

というのは、オンデマンド型移動投票所の対象者は約3000人であるのに対し、選挙公報の対象者=有権者市民は約20万人だから、4年に一度の選挙を盛り上げるには選挙公報充実が大事なのは言うまでもない。ところが、五十嵐市長にどっちが大事か質問したところ、「オンデマンド…」の方が大事との回答が返ってきた。

現職の市長は市の予算を使った自分PR用の広報紙を持っている。選挙公報の充実は敵(対立候補)に塩を送ることになると考えているのだろうか? (経済ジャーナリスト)

民主党・指名候補者の差し換え米大統領選(5)《雑記録》62

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トルコギキョウ・ボヤージュイエロー(筆者撮影)

【コラム・龍田薫】「政治の一寸先は闇」というが、バイデン大統領が大統領選挙から撤退を表明、ハリス副大統領がバイデン氏にかわる民主党大統領候補の指名を確実にした。過去に例のない急展開である。選挙(11月5日)まで約100日。民主党としては、候補の差し換え手続きについて、党内外からの批判・攻撃に耐えうるだけの公明正大さ・公平さをどう確保するかが問われる。

民主党は急ぎ、8月1日に大統領選を戦う党候補者を指名するオンライン投票を開始し、同7日までにすでに指名獲得に必要な代議員の過半数を固めたハリス氏を正式に指名するとした。次に、正式指名を受けた大統領候補は副大統領候補を選ぶことになるが、これについては8月19〜22日に中西部イリノイ州シカゴで開く党全国大会で正副大統領候補が受諾演説に臨む手はずである。

ここまで切羽詰まると、党内で内輪もめもできず、党内はハリス支持で一本化し、トランプ氏と対決する新たな構図が確定することになるだろう。問題は、この構図で11月の大統領選に勝てるかどうかだが、勝敗の大きな鍵は副大統領候補選びにある。

今回、副大統領候補に期待される役割は、共和、民主両党ともに、いわゆるスウィングステート(激戦州)の選挙を有利に導くこと、つまり、激戦州の労働者票を獲得できる候補者が求められる。共和党はすでにJ・D・バンス上院議員を副大統領候補に指名した。

バンス氏は、17日、党大会で指名受諾演説に臨み、「ラストベルト(さびついた工業地帯)」で育った生い立ちを自己紹介しながら、内外の政策で米労働者を第一に据える方針(トランプ氏のアメリカ第一主義に沿う)を表明した。民主党も、これに対抗できる副大統領候補を選ぶとすれば、激戦州のペンシルベニア州のシャピロ知事、アリゾナ州選出のケリー上院議員、ノースカロライナ州のクーパー知事のいずれかが有力と予想される。

労組はどちらを支持?

ところで、今回の選挙の背景を読むと、労働者組織の今までに無かった動きが目立っている。一例としては、全米トラック運転手組合のS.オブライエン会長が共和党全国大会で演説(組合史上初)し、労働・政界関係者に衝撃を与えた(フィナンシャルタイムス7月26日付)。

その内容は「米商工会議所や主要経営者団体は、結局大企業のための団体であり、労働者の利益を代表していない」と断じたという。つまり、労働者の代表組織そして労働者自体が、誰が本当に自分たちを支援する人物か見極めようとしているということだ。民主、共和両党の副大統領候補がその眼鏡にかなうか否か、今回の大統領選挙の行方を決める大きな鍵になる。(茨城キリスト教大学名誉教授)

聖地土浦に巨大ロボット立つ! アニメ「パトレイバー」

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夕日を浴びながら立ち上がった高さ10メートルの巨大ロボット「イングラム」

土浦の夏祭り「土浦キララまつり」会場の土浦市中央、亀城公園前に3日、アニメ「機動警察パトレイバー」の実写版映画に登場した高さ10メートルの実物大ロボット「イングラム」が出現し(7月28日付)、詰めかけた多くのアニメファンから歓声が上がった。

土浦は同アニメの聖地の一つになっていることから、キララまつりに合わせて同市が立ち上げイベントを開催した。

3日夕方、サイレンが鳴ると共に、安藤真理子土浦市長、タレントの喜屋武ちあきさん、声優の千葉繁さん、メカニックデザイナーの出渕裕さんらが、「デッキアップ!」と声を上げると、専用のトレーラーから、「イングラム」が1分ほどかけてゆっくりと立ち上がった。

大勢のファンが訪れた中、デッキアップイベントに登壇する喜屋武ちあきさん、千葉繁さん、出渕裕さんらと、安藤真理子市長(ステージ右端)ら

イングラムは高さ10メートル 幅4.5メートルで、夕日を浴びながら20分間静止したのち、また横たわった。午後6時、7時30分にも2回目、3回目の立ち上げが行われた。

当日はキララまつりの初日で、まつりの見物客にアニメファンも加わり、歩行者天国となった亀城公園前は人で埋め尽くされた。関係者は「1万人以上集まっているのではないか」と推測していた。

同公園向かいの亀城プラザ前では土浦警察署も協力応援の形でにブースを設け、パトレイバーがデザインされたうちわを配布した。亀城プラザ室内では立ち上げイベントに先立って、喜屋武ちあきさん、千葉繁さん、出渕裕さんのトークショーが行われたほか、パトレイバーがデザインされたマンホールカードの配布、パトレイバーの模型の展示などが開催された。

トークショーの様子。(左から)喜屋武ちあきさん、千葉繁さん、出渕裕さん

会場には県外からも多くのファンが来場した。パトレイバーがデザインされたTシャツを着て千葉県四街道市から来たという男性(55)は「NEWSつくばの記事をX読んで知った。30年以上のファンなので、動画を撮ってSNSにアップしたい。今日は最後までずっといたい」と話していた。宮崎県から来たという南九州大学の学生もいた。

「機動警察パトレイバー」は1988年、漫画家ゆうきまさみらによるアニメが発表され、漫画化された。ロボット技術によるレイバー部隊の活躍を描いている。作品の中には、土浦研究所が登場し、土浦市が聖地の一つとなっている。35年たった今も根強い人気があり、全国に2万人のファンがいると言われている。(榎田智司)

遠ざかる戦争とどうつながるか 若手研究者11人の最新研究まとめた本出版【戦後79年】

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右は企画者の清水亮さんと刊行された「戦争のかけらを集めて」。左は打ち合わせをする若手研究者ら

阿見、土浦「軍都を生きる」著書、清水亮さん企画

戦後78年、戦争を知る人が少なくなる中、戦争とどう向き合い、戦争の記憶との断絶にどう抗うか。薄れゆく戦争の記憶を拾い集めようとする若手研究者11人の研究成果をまとめた『戦争のかけらを集めて ー遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践』(図書出版みぎわ発行、A5判、320ページ)がこのほど刊行された。

企画したのは慶應義塾大学専任講師で、海軍航空隊や予科練があった阿見町や土浦市の人々が基地や軍人たちとどう関わりながら生活したかを記した『「軍都」を生きるー霞ケ浦の生活史1919-1968』(岩波書店)=23年3月22日付=の著書、清水亮さん(32)。清水さんは東京大学の学部生だった2013年から阿見町や土浦市の地域史に関心を持って通いつめ、社会学の立場から研究を続けている。

『戦争のかけらを集めて』の編集者の一人でもある清水さんは「この本の狙いは、およそ1980年代から90年代生まれの研究者が、体験者の高齢化やコロナ禍の中で、あの手この手でどのように元兵士に向き合ってきたか、その経験の共有」だと語る。

清水さんは東大大学院博士課程を修了後、2020年から22年には筑波大学にポスドク研究員として在籍し予科練を研究。予科練出身者や遺族などが建てた、遺書や遺品などを収集し展示する雄翔館(阿見町青宿、陸上自衛隊土浦駐屯地内)の成り立ちを論じた『「予科練」戦友会の社会学―戦争の記憶のかたち』(新曜社)を2022年に出版した。

同じく『戦争のかけらを集めて』の編者の一人で、北海道教育大学准教授の白岩伸也さんは筑波大出身。筑波大での博士論文をもとに『海軍飛行予科練習生の研究』(風間書房、2022)を出版している。清水さんは『戦争のかけらを集めて』について、『「予科練」戦友会の社会学』や白岩さんの『海軍飛行予科練習生の研究』などの「研究蓄積の最新の成果」であると話す。

丁寧で謙虚な歴史との向き合い方

清水さんは『戦争のかけらを集めて』で現役の自衛隊事務官である行方滋子さん(20年8月15日付)を取り上げる。行方さんは雄翔館の案内に携わったことから予科練に関心を持ち、戦没者の慰霊顕彰と遺書、遺品などの管理を行う「海原会」の一般会員として活動している。行方さんの遺族訪問、聞き取り、関連資料の収集などの活動に触れ、丁寧で謙虚な歴史との向き合い方について論じている。

元予科練生の語り部で、昨年亡くなった阿見町の戸張礼記さん(23年6月6日付)についても言及する。清水さんは、戸張さんと学部生のころに出会い、卒業論文は戸張さんについて書いた。清水さんは何度も話を聞きに訪れ、戸張さんの語りを記録している。

今しか書けないことがある

同書の構想は、清水さんと、戦争をテーマにした本を多く編集していた編集者、岡田林太郎さんとの出会いがきっかけでもあった。「みずき書林」の創業者である岡田さんはがんを患い、昨年7月、享年45歳でこの世を去った。同書のあとがきには、清水さんが「(研究者として)未熟な今こんなに本を書いていいのか」と逡巡(しゅんじゅん)する中、岡田さんが「今しか書けないことがあると思いますよ」と声をかけたエピソードがつづられている。岡田さんの後輩である堀郁夫さんが創業した「図書出版みぎわ」から出版に至った。

戦争体験者から生の声を聞く機会が失われつつある中、戦後世代である若手研究者らの実践は続いている。清水さんは「実は、あえて後ろから読むのがお薦め。フォト・エッセイやあとがきから、戦後世代のどんな人々がこの本をつくったか、著者たちの横顔をのぞいてみてほしい」と話す。

どのように歴史を継承していくか。「戦後90年にもなれば、元兵士の語りを聴くバトンリレー的な継承はほぼ不可能になる。その未来を見越して、それぞれの非体験者が託されたり、拾い集めたりした資料や聞き取り記録や思い出を持ち寄って、車座になって学び議論し合う可能性を探っている」という。(田中めぐみ)

「老いる」が尊ばれた時代《看取り医者は見た!》24

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写真は筆者

【コラム・平野国美】「老いる」という言葉は、本当にネガティブな意味しか持たないのでしょうか?

その日、静岡の街はお祭りでした。夕方、駅へ向かっていたとき、法被姿の2人(写真)が私の前をさっそうと歩いていたのです。背中には「老中」と書かれています。江戸時代の劇で老中という要職を目にしますが、21世紀、市中で生きる老中を目にでき、心が少し躍りました。

町衆にも、こういった役職が存在するのでしょうか? 調べてもわかりませんでした。しかし「老」という漢字には単に年齢だけでなく、経験や地位、社会的な役割などに対する尊敬の意味合いもあります。相撲の世界でも「年寄り」という役職があります。江戸幕府には老中や大老という要職が存在しました。

「おばあちゃん」の役割と効果

前回コラム(7月20日掲載)では、「老後」という時間を持つ動物として、人間、シャチ、ゴンドウクジラを挙げました。これらの動物が生殖不可能になった後(老後)も生きる意味は、集団生活によるものとされています。閉経後のシャチは、狩りの仕方を集団内に伝えてリーダーシップを発揮しているというのです。

シャチの閉経は40~50歳と考えられており、その後は繁殖能力が低下します。しかし、閉経したシャチは経験と知識を生かして群れのリーダーシップを取り、狩りの成功率を高める役割を担っているのです。孫の面倒も見ているとされ、この「おばあちゃん」的役割をするシャチがいなくなると、子供シャチの生存率が低くなるのだそうです。

これらは「おばあさん効果」と言われています。祖母は高齢状態で出産をする危険を回避して自分自身の寿命を延ばし、孫の食事や面倒を見ることで、子孫の生存率を高める役割を担う。女性が老いてからの時期、つまり老後において、家族の生存に貢献していると考えられているのです。老いたシャチは負であるどころか尊いものなのです。

老後という時間を持つとされる人間、シャチ、ゴンドウクジラの3種は、老後においてその経験や知恵を活かし、集団の生存の安定化を図る重要な存在なのです。

「老」の存在感と生かす仕組み

人間社会で言う「おばあちゃんの知恵袋」的な言葉も、このような意味を持っているのかもしれません。町の祭事や争い事では、その解決を高齢者に委ねていました。高齢者も、その役目を果たすという生きがいがあったのかもしれません。昭和のある時期に、我々は、集団の中で「老」を生かす仕組みを放棄してしまったのではないでしょうか?

少子高齢化と言われる時代、「老」が何らかの存在感を示す―そういった高齢者の役割が意外と近くにあるようにも思えるのです。(訪問診療医師)

国保税33人分 口座引き落としできず つくば市 職員の操作ミスで

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つくば市役所

つくば市は2日、7月31日が納付期限の国民健康保険税第1期分(全納含む)について、市職員がシステム操作を誤り、33人分が銀行口座から引き落としできていなかったと発表した。計384万6700円分になる。

市国民健康保険課によると。口座引き落としで納付している加入者(被保険者)が利用する金融機関17行のうち、1行の金融機関に引き落としのデータが送信されず、引き落としできなかった。残り16行分は7月31日に引き落としが完了した。

2日、複数の加入者から市に連絡があり分かった。同課は2日、33人に電話でお詫びの上、代わりの納付方法について確認している。希望により再度、引き落としをすることもできる。加入者が市の口座に振り込むなどを希望する場合は、加入者に納付書を再送付するという。

再発防止策として同課は、複数の職員で作業手順の確認を行う等、チェック体制をさらに強化するとしている。

一服の清涼感感じて つくば駅前商業施設に大型タペストリー展示

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2日から展示が始まった関口千奈さんの大型タペストリー「夏の風物詩」。手前は優秀賞と奨励賞を受賞した日本国際学園大学の学生=トナリエMOG1階通路脇のプラザ・パフォーマンス・ギャラリー

日本国際学園大の学生がデザイン

涼しさを演出しようと、日本国際学園大学(つくば市吾妻)の学生がデザインした幅6メートル、高さ2.7メートルの大型タペストリーの展示が2日から、つくば駅前のトナリエMOG(モグ)1階プラザ・パフォーマンス・ギャラリーで始まった。

つくば都市交通センターと同大が10年前の2015年から連携して実施している取り組みで、両者による「タペストリーアートコンペティション」で優秀賞を受賞した2作品を9月13日まで交互に展示する。

2日から23日まで展示されるのは同大経営情報学部ビジネスデザイン学科1年、関口千奈さん(18)の「夏の風物詩」。夏を彩るアジサイ、スイカ、アサガオ、星空、かき氷の五つが、風鈴の鐘と短冊の形にそれぞれデザインされ、淡い青、水色、緑、オレンジ、ピンクの配色で描かれている。関口さんは「タペストリーの揺れから風鈴の揺れを連想して描いた」と話す。絵を描くのが好きで小さい頃からよく描いていた。今回初めてデザインの制作に挑戦し優秀賞に輝いた。

23日から9月13日まで展示されるのは同大同学科4年、矢治竜乃介さん(21)の「夢の蒼幻舞(そうげんぶ)。澄んだ青い海と空を舞台に、少女が夢の中で、空を泳ぐクジラやイルカ、カメ、マンタ、クラゲなどと一緒に踊る様子が描かれている。矢治さんは「見てくれる方が涼しさを感じてくれれば」と話す。卒業後は映像クリエーターとしてゲーム会社に就職することが決まっている。

8月23日から展示される矢治竜乃介さんの「夢の蒼幻舞」イメージ図

同大の学生6人から応募があり、関口さんと矢治さんの2作品が優秀賞、同大2年の柴田心歩さん(19)と4年の菊地祥真さん(22)の2作品が奨励賞に選ばれた。

コンペの審査委員長を務めた都市交通センターの関俊介理事長は「コンペは10回目となり、力作がそろった。買い物をする方、駐車場を利用する方、駅を利用する方が通る通路沿いに展示するので、ご覧になった方が一服の清涼感を感じると確信している」と述べ、「出来栄えがいいので他の駐車場にも展示できないかと考えている」などと話した。

同大の高嶋啓教授は「発想力や色のバランス、カラフルさなど、展示する場所に合う作品が選ばれている。クオリティーが高く、夏にふさわしい迫力ある作品になっている」と今年の受賞作品に対する評価を語る。

つくば都市交通センターの関俊介理事長(左端)から優秀賞の授与を受けた関口千奈さん(左から3人目)、矢治竜乃介さん(同4人目)、奨励賞を受けた柴田心歩さん(同2人目)、菊地祥真さん(同5人目)と、日本国際学園大学の高嶋啓教授(右端)

つくば市に住む娘の家族と駅前の商業施設に買い物に訪れた埼玉県に住む会社員、畠野智美さん(57)は、展示が始まった大型タペストリーについて「清涼感があってすてきだと思う」と話していた。

セミの羽化見られた! 筑波ふれあいの里で夜の昆虫観察会 

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光に集まってきた虫を観察する子供たち

昼間の暑さを逃れ、夜しか見られない生き物を子供たちに見て触れてもらおうと、筑波山麓の体験施設、筑波ふれあいの里(つくば市臼井)でこのほど、筑波山麓自然学校「夕方から夜の昆虫観察会」が開かれた。

羽化する瞬間のセミ

市内に住む11家族32人の親子連れが参加し、夕方、昆虫やカエルを虫取り網で捕獲したり、暗闇の中、テーブルに白い布を敷いて照明に集まる昆虫を観察するなどした。夏の夜にしか見られない、セミが羽化する様子が見られたほか、豊かな森にすむオオゴキブリ、沢の中でしか見られないタボガエルなど珍しい生き物も観察できた。

ふれあいの里が主催し、NPOつくば環境フォーラム(永谷真一代表)が委託を受けて子供たちを案内した。夜の観察会は、コロナ禍の影響や、夜間の安全性確保などから7年ぶりの開催となる。市内の35家族から申し込みがあり、抽選で選ばれた7歳から13歳の子供と保護者11家族が参加した。

当日は、開始と同時に雷雨に見舞われたが、野外での観察を屋内での座学に切り替えたり、夕食時間を前倒したり、研究発表の場所を野外に変更するなどして対応した。

ふれあいの里の高野徹也館長は「筑波山麓自然学校は2011年から開催しており、1年に7回のプログラムがある。久しぶりに夜の観察会の企画ができた。楽しみながら自然を満喫してほしい」とあいさつした。環境フォーラムの永谷代表は子供たちに「今日は調査員として活動してほしい。五感を使って探し、どんな生き物がすんでいるのかを学んでほしい」と話した。

雷雨のため野外の観察会は1時間ほど遅く始まったが、雨上がりの山麓で子供たちは歓声を上げながら、バッタ、カエル、カミキリムシ、ガ、セミ、カメムシなどを虫網で捕獲、スタッフに虫の名前を聞いていた。エサキモンキツノカメムシなど、普段聞かれない長い名前の昆虫を捕った参加者もいた。途中、山の向こう側に虹が見え、参加者は気象の変化も体感した。

夕方、虫取り網で虫を捕まえる子どもたち

続いて敷地内を移動し、スタッフがあらかじめ設営したライトトラップ(飛来昆虫捕獲器)の場所に移動。大きなテーブルに白い布を敷いて、虫が好む波長を出す強い照明を照らし虫を集める装置で、参加者はテーブルを囲んで光に呼び寄せられたカメムシ、コガネムシ、セミなどを観察した。

この日観察できた生き物は62種類、そのうちライトトラップによるものが21種類。夜の観察会だからこそ見られた昆虫はコフキコガネ、クルマスズメのほか、10種類以上のカメムシとガの仲間が観察できた。講師を務めた環境アドバイザーの秋山昌範さんは「本来ならこの10倍ぐらい集まるはずだったが(直前に雷雨があり)気象条件が悪く虫の数が少なかった」と話した。

同市自由が丘から参加した茎崎第二小4年の谷藤雫さんは「夜の山の中を歩き、虫を捕まえるが楽しかった。いろいろな虫の名前を覚えて勉強になった」と感想を述べた。(榎田智司)

夜の森を歩いて観察する様子

半日もかかるような心臓手術《医療通訳のつぶやき》9

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写真は筆者

【コラム・松永悠】医療通訳の仕事をしていると、たくさんの疾患に悩む患者と出会うのはもちろんのこと、様々な治療法、その治療を担当する医師にも出会います。

少し前、心臓疾患の患者を担当しました。重度の狭心症だけでなく、大動脈弁の働きも悪くなっているため、一度の開胸手術でバイパス手術と大動脈弁置換をすることになりました。心臓を停止させて人工心肺につなげ、12時間以上かかるような大掛かりな手術です。

循環器の病気に関しては今までも何度も経験していて、私にとって決して初めて聞くものではないのですが、やはりご本人やご家族にとって大変驚く話だと、表情からもその緊張が伝わってきます。

しかし、命に関わる状況なので他の選択肢もありません。最短の日程で手術が決まり、いよいよ当日の朝。私は手術室への入室が許可され、患者さんと一緒に心臓オペが行われる手術室へ移動。これまでに経験したどの手術室よりもスペースが広く、機材の種類も豊富で、心臓オペはいかに大変なものなのかがわかります。

きっと、手術中に多くの方が人命を救うためにこの部屋に集まることでしょうね。

最高のご褒美 至福の瞬間

朝9時から夜9時までかかりましたが、手術が無事終了して予定通りICUに移り、ここで2泊して一般病棟に戻る流れです。翌日の午後、ご家族と一緒にお見舞いに行ったら、既に意識がはっきりしていて、手を握ったりもできました。思った以上にパワーがあってびっくり!

しかし、ここからは「奇跡と驚きの連続」です。なんと、手術の翌日からリハビリ開始です。心肺機能の回復に大事なのは、どんどん使ってあげることです。完全に横になっている患者が最初にするのは、体を起こすことです。胸に20センチほどの大きい傷を負った方にとって、決して簡単なことではありません。

上体起こし→立つ→歩くと、リハビリを重ねた結果、一般病棟に移った日、つまり大手術を終えた4日目に、患者は200歩ほど歩くことができたのです。

1カ月くらいの入院もあっという間に終わり、めでたくご退院。入院期間中、患者は毎日笑顔とジェスチャー、そして携帯の翻訳アプリを使ってコミュニケーションを取ったそうです。そして退院の日、ご自身の足でナースステーションまで行って、翻訳アプリを使って1人1人と「会話」。

携帯で見せたのは、「今までありがとうございます」とか「大変お世話になりました」とか、簡単な言葉ですが、この患者が心を込めて笑顔とともに看護師さんに送りました。そしてみんなからも大きな拍手をもらったそうです。

高度な技術を持つ日本の医師。きめ細かい看護技法を駆使する日本の看護師。常に感謝の気持ちを忘れず迷惑にならないように気を配る中国の患者。この光景を見るのは、医療通訳にとってまさに最高のご褒美で至福の瞬間です。(医療通訳)

つくば市バースセンター全面運用開始へ 筑波大附属病院に専用フロア

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内覧会で、バースセンターの説明をする濱田洋実教授

助産師が中心となる院内助産システム「つくば市バースセンター」の専用フロアが1日、県内唯一の特定機能病院である筑波大学附属病院(つくば市天久保)内B棟6階に開設された。妊婦が陣痛から産後までを同じ部屋で過ごせる機能を持つ個室が12床整備され、19日から運用が開始される。出産に関するリスクが低い健康な妊産婦が対象で、家族の立ち会い出産が可能。

同センターは、同市北条の市立病院が2011年に休止し、産科医療の充実を求める市民の声が高まったことを受け、つくば市が協力して、同附属病院の周産期病棟内に2013年9月から部分的に6床で運用が開始されていた。当初の計画では全面運用開始は昨年12月の予定だった。

陣痛から分娩、出産後まで同じ部屋で

一般的に出産を控えた妊婦は、陣痛の間を陣痛室で過ごし、分娩を行う際には、分娩室まで移動する。同センターでは、陣痛が始まってから、LDR室=メモ=と呼ばれる個室に入院し、出産を経て、その後5日間を新生児と共に過ごす。陣痛から分娩、出産後の期間を同じ部屋で過ごすことができるため、妊婦は自力で移動することなく、負担や疲労を抑えることができる。

同センターに整備される12床全てが、LDR室仕様の完全個室で、専属の助産師15人が妊婦健診からお産まで主体となって関わり、出産までのプランを妊婦と共につくる。

同センターに入院を予定する妊婦は、少なくとも医師による健診が2回行われ、出産の際には必ず産科医師が立ち会う。

妊娠中や出産時に妊婦に異常が発生した場合は、同大産科・婦人科の医師、助産師による産科体制に移る。階下には、24時間体制で治療を行う新生児集中治療室(NICU)や新生児回復治療室(GCU)が設けられており、同じ建物内で速やかに同線が確保できる仕組みになっている。

LDR室の様子。クローゼットには生まれたばかりの赤ちゃん用の医療ベッドが収納されている

1室当たりの広さは30平方メートルほどで、正方形型と長方形型の2つのタイプがある。分娩台としての機能も併せ持つ妊婦用のベッドや、新生児用のベッドのほか、授乳するための専用の椅子、シャワーやトイレなどを完備し、医療機器はクローゼットの中に収納され、目立たないようになっている。分娩室に患者個人が自由に過ごせるスペースが加わった形で、暖色系の照明や木目調の床とインテリアで内装を揃え、落ち着きのある空間を提供する。

同室の内装に構想段階から中心として携わった、同附属病院看護師長の本多裕子さんは「内装をアースカラーで整え、リラックスできる環境をつくり出すことにこだわった。妊婦の方が持つ産む力を助産師全員で引き出し、元気に退院してもらえるように丁寧にケアをしていく」と話す。

同センター部長で、同大医学医療系産科婦人科学の濱田洋実教授は「日本は妊婦や赤ちゃんの死亡率が世界レベルで見ても低い。これまで積み上げてきた安全性を維持しながら、より安心して快適に過ごせる環境作りを目指す」と述べる。

同大の永田恭介学長は「つくば市は人口が増加している地方都市であり、出産するための場所を確保することが喫緊の課題。高齢出産やハイリスク出産などの問題も踏まえて、誰もが安全に安心して子どもを産み、育てられる環境を実現すべく、努力していく」と話している。(上田侑子)

【メモ】LDRは、陣痛、分娩、出産後の回復を意味する英単語の頭文字をとった略語。