火曜日, 7月 8, 2025
ホーム ブログ ページ 241

剣の道通じ地域の青少年を育成 運武館80周年 かすみがうら

0
練習後、黙想する門下生たち=かすみがうら市深谷、運武館

【田中めぐみ】剣道場、運武館(かすみがうら市深谷)が今年2月、創立80周年を迎えた。これを記念し6月に「運武館活人剣八十年」が発刊される。県剣道連盟名誉会長の中里誠さん(82)は「孟母三遷というが、子どもの教育は環境が大事。運武館は豊かな自然の中にあり、静かな雰囲気で、ここに来るだけで心が洗われるよう。館には文化的な価値がある」と話す。

稽古に励む門下生たち

運武館は、現在の館長である川島安則さん(80)の祖父、運平さんが1939(昭和14)年、私財を投じ自宅敷地内に設立した。前身は運平さんが1927年に開校した私立の男子校、昭和文農学校で、農村で質実剛健な気風を養いながら社会で活動する教育を施すことを目的に、英語、数学、国語、漢文、農業、珠算などの他、剣道を教えていたという。1941年に国民学校令が施行され、男子私立学校の多くが廃校とされる中、同校も廃校となり剣道場だけが残った。

同年には安則さんの父、武さんが召集令状を受け運武館での稽古は中断。しかし戦後、進駐軍の目を避けながら稽古を始め、1948年にシベリアに抑留されていた武さんが戻ると、再び本格的に道場を開始した。1970年半ばごろになると少年部の入館者が激増し、1977年に門下生や保護者を中心とする後援会が発足。地域一体となって青少年の育成に尽力してきた。

館長の川島安則さん

1997年には現館長である安則さんが3代目館長に就任。運武館と同学校で学んだ地域の青少年は1000人以上になるという。現在は木曜日と土曜日の2時間程度、就学前の子どもから70代までおよそ30人が練習している。

安則さんは幼いころから敷地内の道場で、父武さんや他の先生たちが稽古する様子を見ていて自分も剣道をやってみたいと思い、11歳から剣道を始めたという。中・高・大学と剣道部に所属し、父の死後も伝統を後世に残したいと道場を継いだ。「後援会のみなさんのご支援とご協力で80周年を迎えることができた」と話す。

一昨年からは市教育委員会と連携し小学1年から中学3年までを対象に月2回、土曜日の学習支援教室「寺子屋運武館」を開校している。市出身の大学生が講師となり「地域の子どもは地域で育てる」という基本理念のもと、学校の宿題などを中心に支援を行っている。

運武館剣道場

 

JA水郷つくばのレンコン生産者4人 県版GAPを取得

0
県県南農林事務所の佐藤明彦所長(右端)から確認証の交付を受けるJA水郷つくば蓮根部会霞ケ浦支部GAP推進班の斉藤由佳さん(茨城県提供)

【鈴木宏子】JA水郷つくば(本店土浦市、池田正組合長)のレンコン生産者4人が、東京オリンピック・パラリンピックへの食材提供が認められる県版GAP(ギャップ、農業生産工程管理)制度の認証を取得した。同GAPの取得はJAつくば市の筑波北条米などに次いで8件目。レンコンは初めて。

4人は同JA蓮根部会霞ケ浦支部の若手でつくるGAP推進班の全メンバー。28日、土浦市真鍋の県土浦合同庁舎で交付式が催され、班長代理の斉藤由佳さんが、県南農林事務所の佐藤明彦所長から確認証を受け取った。

大手スーパーなど小売業者の間で、食品の安全や農場の環境保全、労働の安全確保を図るGAP制度に関心が高まる中、今後、農産物にはGAPなどの認証が求められると見込んで、昨年から取り組みを進めてきた。

確認証を受け取った斉藤さんは「ほっとしている。GAPは消費者に安全・安心な農産物を提供していくためにも重要」などと話し、佐藤所長は「レンコンは本県にとって重要な食材。来年開催される東京オリンピック・パラリンピックの食材提供に向けて支援していきたい」と語った。

かすみがうら市のレンコン生産者でつくる同霞ケ浦支部は、160戸が計237ヘクタール(2018年)で栽培している。このうち今回、認証を取得した4人は計約20ヘクタールで生産する。

池田組合長は「持続可能な農業を進めていくには、収量や味だけでなく安全・安心な農産物の生産が求められる」とし「今回4人の若い生産者が取得したので、これを機に広げていきたい」と話した。

➡茨城県版GAP制度の関連記事は3月16日付4月17日付

交付式出席者。前列右から2人目が斉藤由佳さん、同3人目が佐藤明彦所長、前列中央が池田正組合長(茨城県提供)

古写真につづる千の言葉 「つくばアーカイブス」再構成し刊行

0
集まった写真や図録に詳細な説明を付けて記録集にまとめた木村滋さん

【相澤冬樹】それは「A picture is worth a thousand words(1枚の写真は千の言葉の価値がある)を合い言葉に始まった」と総合科学研究機構(CROSS、土浦市)研究員の木村滋さん(79)。2007年から10年にかけ、同機構のつくばアーカイブス研究会で集めた昭和期の写真を中心にした記録約500点を再構成し、「目で見るつくばの歴史」にまとめて刊行した。

記録集「目で見るつくばの歴史」書籍と添付されるCD

刊行物はA4判232ページの書誌と画像収録のCDで構成され、「つくばアーカイブス大賞記録集」のサブタイトルがついている。農水省蚕糸試験場(現農研機構)で所長を務めるなどした木村さんは、退職後籍を置いた同機構で、副理事長だった高橋嘉右さんから相談を受けた。

「アメリカにA picture is worth a thousand wordsってことわざがあるが、実は社会運動のスローガンになっている。つくばでアーカイブ事業をやれないか」。写真を中心に、地域から失われつつある記録、消えそうな記憶を集めて未来に伝える。折しもつくばエクスプレス(TX)開業(2006年)直後で、つくばの変貌が加速する時代だった。筑波研究学園都市建設の閣議了解(1963年)から50年が迫っていた。

記憶集めに自腹と手弁当

アーカイブス研究会は、同機構に関わる役員や委員などの任意活動としてスタートした。報酬や経費の支給はなく、手弁当で記録収集に当たった。代表に就任した高橋さんは毎年自腹を切ってポスターを作成するなどし、募集の先頭に立ったという。

集められた写真は審査して、2007年から4回にわたりつくばアーカイブス大賞を選定するなどした。日本植物分類学の泰斗、牧野富太郎博士が筑波山に登り、蝶ネクタイ姿で収まっている記念写真(1939年撮影)などが選ばれている。しかし公募では次第に点数が集まらなくなり、つてをたどって地域の名士の家々などを訪ね歩き、採集するスタイルになった。

この取材の中心にいたのが木村さん。土浦市在住のカメラマン、御供文範さんと連れだって、古写真や図版類を複写して回った。「やってみて分かったのは、写真を手に入れても、それだけじゃあ何なのか実は分からない。持ち主や家族の話を聞いてやっと、そういうことかと氷解できることがある」

取材先はつくばにとどまらず、膨大な写真を収めた「浮島村改良養蚕組合写真帳」(1927年)の発見から、現在の稲敷市の保管先に行き当たる。何回か訪ねるうちに、養蚕農家が昭和初期に取り組んだカイコ飼育の技術革新を突き止めて、カイコ研究者だった木村さんは因縁を感じることになる。「千の言葉が必要になるときもある」と感じたという。

失われた郷土愛のありか

1914(大正3)年の筑波鉄道株式会社の設立総会時に撮られた集合写真が出てきたときも、これだけだと写っているのが誰か分からない。持ち主を訪ねて話を聞くうち、当時の株券やら絵はがきやらが出てくる。「筑波鉄道、のちの関東鉄道筑波線は1987年に廃線となる運命をたどる。経営的にはどうにも立ちいかなかったけれど、株券まで大事に残してるってことは金儲けをしようとこの鉄道を作ったんじゃない。郷土愛ってものが感じられるんだ」と木村さん。「それこそ今失われてしまったものだねえ」というのだ。

事業は4年間で収束したが、当時の資料提供者や関係者へ「きちんとお礼も報告もしていない」のが気になった。平成の終わる前に、と再点検に乗り出した。未整理の文献もあり、それらを建設・景観、民俗・祭事などのテーマごとにまとめ直してみると、時代に埋もれたきれぎれの記憶の断片が、体系化できるのに気づいた。

そんな思いをこめて、今回の書籍も自費出版。自分でワープロを打ち、版下を作って印刷所に持ち込んだ。独力で日本図書コードを取得して300部を刷ったが、あくまで関係先への「お礼」の部数。市販するには負担も大きく、今回は非売品扱い。書誌に収めきれなかった写真も含めて制作した添付CDならば、頒布も可能だが、提供方法は検討中ということだ。

◆総合科学研究機構(CROSS)土浦市上高津1601、電話:029-826-6251

エコバッグのような持ち運べる花器を開発 つくばの花屋店主

0
「アクア・ブルームバッグ」を紹介する大澤眞理さん

【戸田さつき】つくば市梅園のフラワーギフト通販店、アクア・ブルーム店主の大澤眞理さん(54)が、持ち運べて、飾れて、つるせて、たためる、エコバッグのような花器「アクア・ブルームバッグ(AquaBloomBag)」を開発した。大きさは幅14センチ(上部)、高さ19センチで、ビニール製の袋にバッグのような持ち手が付いている。

花をもらっても自宅で生ける花瓶がない、花瓶を置くところもない、上手に生ける自信もない―。それらの不便を解決することが、生花を身近に置いてもらえる近道ではないかと考えた。

着想のきっかけは、昨年、市内で開催された花業者が集ったイベント「つくばフラワーマーケット」。出店した大澤さんは、石岡市のバラ生産者から直接買い付けた種類豊富なバラを、来場者が自由に選んで買う「ビュッフェスタイル」で提供したいと考えた。花を入れる容器として、軽くて鮮度を保って持ち帰れるバッグを開発した。すると、会場内にはそのバッグを持って買い物を楽しむ人たちの姿があふれ、用意した150個は完売した。

その後、このイベントでバッグを買った人が来店し、「バッグにそのまま花をさしてほしい」とリクエストされた。このまま持って帰れば生け直すこともなくて便利で重宝していると話してくれた。コンサートで来場者に配る花にしたい、壁につるせる特性を生かしてブライダルの壁面装飾に使いたい―。次々と要望が舞い込んだ。

しかし、改善しなければならない点もあった。まずは形。花を入れ過ぎると、重さでひっくり返ってしまう。次にデザイン。今は印刷したシールで対応しているが、デザイン性では劣る。工場で量産したい。資金をかけてまでやる意味があるのだろうか。悩みを友人たちに相談すると「応援するから、とことんやってみなよ」。

弁理士に相談し意匠権の申請をした。海外の生産工場との打ち合わせも四苦八苦。最難関にもぶつかった。量産するとして、どうやって販売していくか分からなかった。自分の店だけでは到底1万枚も販売しきれない。 自分の力でできるのは何だろうかと探していたところ、クラウドファンディングサイトでは資金調達だけではなく、予約販売の側面でメーカーが活用しているのを知った。同サイトで27日から予約販売を開始したばかり。

市場縮小 「生花を飾るきっかけに」

大澤さんが花の魅力を知ったのはカナダ留学中。語学習得のために、カナダ人が通うフラワースクールに入った。もともと雑貨の開発やバイヤーへの転職の一歩として留学した。帰国後、花をもっと深く学びたいと東京・白金の生花販売会社に入社。ホテルの装飾やブライダルの提案など幅広く手がけた。

その後独立し今の場所に店を構えた。「みずみずしい花を楽しんでほしい」という思いで「アクアブルーム」と名付けて15年。

昨今では、アートフラワー、プリザーブドフラワーが台頭し、生花の市場は縮小しているという。花を購入する機会は、母の日や結婚式、卒業式のような行事のみで、日頃、花を飾る習慣は遠のいている。

大澤さんは「このバッグをきっかけに、生花を飾ってほしい。四季を感じ、枯れゆく姿もまた生きているまぶしさとして愛おしく思えるはず」と話す。

さらに「正直、50代になってこういう思い切った挑戦をするとは思わなかった。この勇気もいつも応援してくれる仲間のおかげ。みんなの応援に応えられるように、これからの人生にも花を咲かせられるように精一杯頑張りたい」と続けた。

◆アクア・ブルームバッグは27日(月)から発売が開始されている。 価格は280円(消費税別)。事前予約販売ページはhttps://www.makuake.com/project/aqua_bloom_bag/

◆アクアブルームは、つくば市梅園2丁目8-14、電話029-863-6222。

【プラごみ分別開始】㊦ 「つくば市は浸透させる意志見せて」 試験回収した森の里自治会長

0
団地内すべてのごみ集積所に自治会が掲示した、市役所からの要請文とプラごみの回収の仕方を図解したちらし=つくば市森の里

【岡本穂高】プラスチック製容器包装(プラごみ)の分別回収が、つくば市で4月から開始されるのに先駆けて、地区を限定してプラごみの試験的な回収が行われた。同市茎崎地区の森の里では、市の環境衛生課から依頼を受け、今年1月25日から3月31日までの約2カ月間、分別回収が実施された。森の里自治会長を務める倉本茂樹さん(77)が、実際に分別回収を行ってみて感じたことや課題を語ってくれた。

森の里自治会長を務める倉本茂樹さん

―森の里が試験回収の場に選ばれたのはなぜでしょう。

数年前に国立環境研究所(同市小野川)からごみの回収の仕方について調査を依頼されるなど、以前からごみ問題の解決に取り組んでいました。また、市の環境衛生課にはごみ集積所をボックス型にするための援助をしてもらったことがあり、そうした縁もあって今回森の里が選ばれたのだと思います。

―試験回収を行ってみて、住民の反応はどうでしたか。

実際に分別をしていた主婦の方に聞いたところ、やはり分別の基準がわかりづらいという意見が多かったです。また、回収できる状態にするには容器をきれいに洗ったり、ラベルを剥がしたりしなければならないため、手間がかかって面倒だという声も挙がりました。

―試験回収はどの程度成功したと思いますか。

最初のうちは慣れない部分も多く苦労しましたが、分別をすることによって全体の燃やせるごみの量は以前の3分の1以下に減りました。なので、大成功といってよいと思います。私の家でも、分別回収をする前までは40リットルのごみ袋を使っていたのですが、分別をするようになってからは30リットルの袋で足りるようになりました。こんなにリサイクル資源を無駄にしていたのかと驚きました。

―現在つくば市では広報が行き届いていないことが問題になっています。森の里ではどのようにして住民の皆さんに意識付けを行ったのですか。

自治会に入会している世帯に資料を全戸配付して理解と協力を求めました。団地の中には自治会に加入していない方もいらっしゃいます。そうした方々にも分別について知ってもらうために、すべてのごみ集積所にプラごみの回収の仕方と市役所からの要請文書を掲示しました。つくば市全域で戸別訪問をするのは難しいと思いますが、ごみ集積所への掲示は実施できるのではないかなと思います。

―倉本さんから見て、4月から始まった分別回収の問題点などはありますか。

ごみ出しは毎日の習慣づけが一番大切なので、最初から分別の習慣をきちんとつけないとこれから継続していくのは難しくなると思います。問題点はやはり分別回収についての情報があまり知られていないことではないでしょうか。また、公式パンフレットに「迷ったら燃やせるごみで出してほしい」と書いてあり、市が分別回収に消極的過ぎる気がします。市民に分かりやすいしっかりとした基準や、分別回収を浸透させようとする意志を見せてほしいです。

―これから分別回収が地域に根付いていくには、どんな取り組みが有効だと思いますか。

最初は大変だと思いますが、やはり慣れるまでは分別を各家庭で繰り返しやることが一番だと思います。実際に私たちの団地もそうすることでごみの減量に成功したので、市民の意識が一番重要なのかなと感じています。また、新設されたリサイクルセンターが4月から稼働を始めましたが、そうした施設の見学会を開くことで、実際にリサイクルの重要さを伝えていくことも効果的ではないでしょうか。(終わり)

➡プラごみ分別開始㊤はこちら

【プラごみ分別開始】㊤ 4月の回収量は見積もりの16分の1 つくば

0
プラスチック容器包装の分別回収について意見を出し合う市民参加型のワークショップの様子=25日、つくば市役所会議室

【岡本穂高】つくば市全域で4月から分別回収が始まったプラスチック製容器包装(プラごみ)の4月の分別回収量が、約30トンだったことが分かった。1日当たり約1トンという計算になる。市では1日当たりの最大回収量を16トンと見積もっており、見積もりの16分の1しかなかった。

分別回収がスタートする直前の3月末に開かれた市一般廃棄物減量推進委員会では「市内一斉に分別回収を始めるという大規模な取り組みにしては、広報が不十分ではなかったか」などの意見が挙がっていた=4月3日付=。プラごみの分別回収がまだ市民に十分に浸透していないことが裏付けられた形になる。

「もっと広報を」ワークショップで市民が意見

プラごみの分別回収について意見を出し合う市民参加型のワークショップが25日、同市役所で開催され、分別の仕方や情報提供の仕方、収集体制などについて市民同士の活発な議論がなされた。

分別回収が十分に進んでいない現状を受けて、市民からは「リサイクルをすることの意義をもっと広報した方がよい」「コンビニや大手スーパーと提携して集めれば、より効率の良いリサイクルができる」といった声が挙がった。

実際にごみを見ながら、何がプラごみに含まれるのかを市職員が解説などもした。市担当者は「市民の声を実際に聞ける機会はとても貴重。集まった意見をみると、改めて広報が十分に行き届いていなかったと感じた。もっと啓発していかないといけないと再認識させられた」と話した。

今後も市民参加型のワークショップを開催する予定だという。(続く)

オダギ秀さん「野仏巡礼」写真展 つくばの画廊で4年目の開催

0
小さな画廊喫茶で始まった野仏写真展「風の肖像」=つくば市小田、ギャラリー梟

【相澤冬樹】本サイトにコラム《好人余聞》を執筆している写真家、オダギ秀さんの写真展「風の肖像」が25日、つくば市小田のギャラリー梟(ふくろう)で始まった。2016年から同画廊を会場に毎年開いている写真展「野仏(のぼとけ)巡礼」の4回目で、この1年間に茨城県や栃木県などで撮影した野仏の作品を中心に、約20点を展示している。

オダギさんの野仏撮影は、写真家として発表する意図を持たずに約30年前から始まった。折々の道筋にお地蔵様などを見つけると、足を止めて撮影してきた。たまたま喫茶店を兼ねる同画廊に立ち寄った際も、小田の宝篋山(ほうきょうさん)にお大師様の像があると聞きつけ、その日の撮影予定を変更してカメラを取り出したのだった。

そのときの写真を含めて、野仏像ばかりを集めて1回目を開いた。以来、同画廊だけで見られる毎年の企画展となった。「普通のポートレートもそうだけど、カメラを3センチずらすと表情が変わる。光の当たり具合だったり、石の陰影で見えてくるものが違う」。そのアングルを探し、レフ版を持ち出したり、寝そべったり、時には一日がかりで、はたまた2度3度と足を運んで撮影した。

オダギ秀さん=同

写真家の意図か野仏とはそういうものか、いずれの表情をもおだやかだ。「石仏といったら、菩薩様だったり、観音様だったり、それぞれにこんな名で、どんな御利益があるのかなんて情報ばかり出てくるでしょ。僕にはどうでもいい。200年、300年ずっとそこにあって、風に吹かれ、雨に打たれてきた。向かい合ってじっと耳を傾けていると、いろいろな話が聞こえてくる。それが大事」

会期は6月9日まで。オダギさんはできる限り画廊に顔を出し、来場者と話をしたいという。ギャラリー梟(つくば市小田3066、電話029-867-3287、月・金曜日休廊)

➡オダギ秀さんのコラムはこちら

「土浦ブランド」販売に人だかり 10周年のイオン土浦で26日まで

0
土浦ブランド認定品の販売会=土浦市上高津のイオンモール土浦

【谷島英里子】土浦市の特産品として市が認定した「土浦ブランド」認定品の販売会が25日、同市上高津のイオンモール土浦で開かれ、初日から多くの買い物客でにぎわった。26日も午前10時から午後6時まで行われる。

販売会はイオンモール土浦10周年を記念したもので、広く土浦ブランドをPRするのが目的。認定品を一堂に集め販売するのは初めて。両日合わせ、レンコンを使ったお菓子や地元の大豆や米で作ったみそ、ワカサギ、グラジオラスなど認定品23点が並ぶ。店外では飯村牛の串焼きを味わえる。

訪れた人たちは各ブースを回り、試食をしながら買い物を楽しんでいた。「土浦常名の里の純米大吟醸」を販売する酒店、土浦鈴木屋の小野慎介さんは「土浦には良い特産品がたくさんあるので、土浦ブランドを盛り上げ、お店にも来ていただけるきっかけになれば」と話していた。

土浦ブランドは2018年に創設され、認定品は全部で32点ある。

【まちづくりはラジオ体操から】㊦ 令和初日に竹園SCで始まった

0
ラジオ体操の中心的役割を担う今井さん㊨と三橋さん=つくば市千現1丁目のけやき公園

【橋立多美】昨年夏、つくば市千現のラジオ体操会場に現れたのは、同市竹園在住の三橋俊雄さん(70)。住民同士のつながりが希薄な竹園に、ラジオ体操で地域コミュニティーをつくれたらと考えたのが始まりだった。

三橋さんは介護者の負担軽減のための用具の設計など、ソーシャルデザイン専門の研究者だった。単身で赴いていた京都府立大学教授を最後に65歳で竹園3丁目の戸建て住宅に落ち着いた。

竹園3丁目は筑波研究学園都市計画の初期に整備されたまち。多くの公務員宿舎の廃止と保育所や学校など公共施設の老朽化が進み、2014年から「竹園3丁目再構築事業」の検討が始まった。16年に同地域の住民を対象にアンケートやワークショップが開かれて意見募集が行われると、竹園3丁目の住民15人が集まって2週間ほど議論を重ねた。

ところが約42億円の負担が発生することが分かり、17年に市から「再開発の白紙撤回」が言い渡された。以来住民の集まりは一度もなく、隣人と挨拶を交わすだけになってしまったという。

竹園地区にコミュニティーを形成するには「誰かが汗を流さないと…」と、千現のラジオ体操会場に徒歩で通い始めた。今井さんを中心とした活動を人づてに聞いて、学ぼうとした。香川県坂出市など、ラジオ体操を起点にまちづくりを進める自治体やNPO法人が実在することも背中を押した。

千現のラジオ体操に溶け込んだ三橋さんは「毎日少しの時間ですが顔を合わせることで心が通い、お互いの価値観を尊重しながら、季節の花をいただいたり、関連イベント情報をもらったりと理想的な人間関係が築けた」。何より「笑顔を絶やさず秩序を守る今井さんの姿勢に学ぶことが多い」という。

ラジオ体操の会場、竹園SCに立つ三橋さん=つくば市竹園3丁目

初日は2人、中旬に2人増え

ラジオ体操はまちづくりのためのシンプルな仕掛けで、言葉を交わす中から共通の話題や課題がでてきてくる。「じゃあ、みんなで取り組んでみようか」と小さなまちづくりにつながっていくのだと三橋さんは位置付ける。

今年4月までの10カ月間の千現での経験を生かし、まちづくりに共感した竹園在住の毛利正英さん(69)と今月1日、竹園ショッピングセンター広場で「竹園SCラジオ体操」をスタートさせた。無理なく続けるために実施日を水曜と日曜の週2回に決めたところ、初回の1日が改元の日と重なった。「記念に残る初日になった」と三橋さん。

初日は毛利さんと2人だったが、中旬から2人が加わった。三橋さんは「ラジオ体操から新たなネットワークが生まれて欲しい」と語る。

竹園でのラジオ体操をスタートさせた三橋さんは今も千現に足を運んで交流を楽しんでいる。今井さんは「ラジオ体操はいつでもやっていることが大切で、僕は指導員(※メモ参照)だが三橋さんには指導士になって続けてほしい」と期待する。千現、竹園とも誰でも参加できる。

※メモ「指導員」
NPO法人全国ラジオ体操連盟による民間資格。ラジオ体操指導員の上に、2級ラジオ体操指導士と1級ラジオ体操指導士がある。2級以上は、対面での指導の時は右と指示しながら、自身は左を動かす決まりになっている。

隣接の県有地購入へ 児童数急増の葛城小 つくば市長がPTAに回答

0
市が購入する方針を決めた葛城小北側に隣接する県所有の学校用地

【鈴木宏子】児童数が急増しているつくばエクスプレス(TX)沿線のつくば市立葛城小学校(同市苅間、児童数384人)について、同小PTAが、グラウンドに校舎を増設するのではなく、適切な教育環境を整えるよう要望していた問題=4月5日付=で、五十嵐立青市長は24日までに、同小北側に隣接する県所有の学校用地(約6100平方メートル)を購入し校舎を増設するとPTAに回答した。

6月11日開会の市議会6月定例会に、県有地購入費と校舎を増設するための設計費用を提案し、次の9月議会に用地取得案件を提案する方針という。市教育局教育施設課によると、金額や増設規模については現時点で公表できないとしているが、将来の児童数増加に対応できる規模にするという。

市議会で可決されれば、今年度中に設計を実施し、来年度に教室の増設工事をする。2021年4月から子どもたちが新教室で勉強できるようにする。校舎の配置などは、現在の校舎がすでに老朽化していることから、将来の建て替えも視野に入れた配置とするという。併せて県有地に放課後児童クラブを建て替える。

4月5日、当時PTA会長の福田理さん(40)=現在は顧問=らが要望していた。児童数の急増に対し五十嵐市長は当時、グラウンドに校舎を増設する、隣接の学校用地を県から購入する、通学区を見直す―などの選択肢を検討していると回答していた。

県有地購入の方針を決めた理由について市教育施設課は、現在のグラウンドは狭いため、児童数が増える中で、グラウンドに校舎を増設すると子どもたちの運動などに支障が出て、事故なども心配されると判断したとしている。一方、通学区については現時点で見直しは実施しないという。

要望書を提出した福田さんは「市議会議員や区長の協力を得て、ものごとを動かすことができた。まずはちゃんと動いてくれた市に感謝したい」と話している。

TX沿線の研究学園葛城地区に立地する同小周辺は住宅開発が進み、2014年に72人だった児童数は今年4月に384人と5.3倍に急増している。今年度は空き教室2教室を普通教室にして対応した。来年度はさらに空き教室1教室と特別教室1教室の計2教室を普通教室にして対応する予定という。2021年度以降は転用できる教室がなくなってしまうことから、早急に教室を増設することが求められていた。

4校で60教室増設

TX沿線で人口が急増する同市では、沿線地区のほかの小中学校でも教室が足りなくなり、対応を迫られている。今年度は2018年4月に開校したばかりの学園の森義務教育学校の敷地内に26教室を増設、同じ年に開校したみどりの学園義務教育学校も15教室を増設する。ほかに竹園西小で8教室、竹園東中で11教室を増設し、市内4つの義務教育学校と小中学校で計60教室の増築が行われる。小学校新設の計画があるのは、万博記念公園駅近くの香取台地区の1校のみだ。

学校敷地を拡張して教室を増設するのは葛城小が初めて。学校敷地内での教室増設が進められていることに対し、市議会で教育環境を整えるよう訴えてきた山中真弓市議は「葛城小での学校用地購入が市内の学校の教育環境を整えるきっかけになれば」と話している。

【まちづくりはラジオ体操から】㊤ 住民の絆を守りたい つくば市千現

0
朝の空気を吸いながらのラジオ体操=つくば市千現1丁目のけやき公園

【橋立多美】つくば市千現で11年続く取り組みをモデルにして、令和最初の朝に同市竹園でもラジオ体操が始まった。そこには「住民たちがつながる住み良いまちに」というシニア男性2人の思いがある。

朝6時20分頃から、千現1丁目のけやき公園に地域住民たちが集まってくる。30分に「新しい朝が来た」の音楽が流れラジオ体操が始まる。荒天を除き、ほぼ毎日行われているラジオ体操は今年で11年になる。指導にあたるのは同地内に住む今井健之さん(75)だ。

千現1丁目はつくばセンターに近い閑静な住宅地で、1980年代から戸建ての家ができ始めた。今井さんは83年に入居した。55歳で銀行を退職して乗馬やハンググライダーなどの趣味に没頭していた2006年9月、自宅の斜め前に突如14階建てのマンション建設の計画が持ちあがった。

市が建築物の高さ規制をする前の「駆け込み工事」で、日陰時間の延長や機械式駐車場による騒音などを理由に周辺住民が「千現1丁目の住環境を守る会」(阿久沢忍会長)を結成。反対住民らは法律を駆使して計画の縮小を求める運動を粘り強く展開し、翌07年3月の研究学園高度地区指定の施行に工事着工が間に合わなかったため、業者が建設計画を断念した。

同会の副会長だった今井さんは、反対運動を通じて生まれた住民の絆を守り、住みよい千現にしようと決めた。

ラジオ体操をけん引する今井さん=同

ラジオ3台を置き忘れ

市から委託された広報紙の配布や回覧が主だった自治会を活発化させようと、08年度の千現1丁目自治会長に立候補すると、自ら防災士の資格を取得して防災・防犯訓練や公園の清掃、高齢者のふれあいの場「千現カフェ」開設などに尽力。延べ6年間の自治会長職を辞した今も自治会と連携して活動を続けている。

ラジオ体操も自治会長時代に始めた活動の一つ。子供会がけやき公園(約2500平方メートル)で夏休み期間の最初と最後の1週間しか実施しないことを知り、誰でも知っているラジオ体操は住民が緩くふれ合えることから「もったいない、続けよう」と思ったという。

以来、朝5時起きでウオーキングに励んでからラジオ持参で公園に向かう。ラジオ体操が終わると公園のごみを拾ったり参加者と話が弾み、ラジオを置き忘れて帰ることがあるそうだ。妻の操子さんは「3台紛失して買い替えましたよ」と笑う。

今井さんは「ラジオ体操は『お早う』で始まる。それまで道ですれ違って会釈だけだった人と心が通じる会話ができるようになる」と話す。また「たとえ10分でも全身の筋肉を使い、毎日続けることで健康を維持できる」とも。毎日10人ほどの住民が参加し、夏休み中は約50人の児童たちが仲間入りして公園はいっぱいになるという。

昨年7月から、それまで参加したことのない男性が毎朝顔を出すようになった。(つづく)

「博物館級の大珍品」天狗党絵巻 古書まつりに出品 土浦

0
水戸天狗党絵巻「那珂湊戦争之図」を広げるつちうら古書倶楽部の佐々木嘉弘代表=土浦市大和町、同店内

【鈴木宏子】土浦駅前にある関東最大の古書店「つちうら古書倶楽部」(佐々木嘉弘代表)で6月1日から始まる「第15回古本まつり」に、水戸天狗党絵巻「那珂湊戦争之図」が出品される。佐々木代表(65)は「博物館に展示されてもおかしくない博物館級の大珍品であることは間違いない」と話す。

半年ほど前、古本店同士の交換会に出品され、佐々木代表が仕入れた。もともと個人が所蔵しており、市場に出るのは今回が初めてという。

長さ4.3メートルと5.9メートルの着色絵巻が2巻あり、幕末の元治元年(1864)8月に天狗・諸生両党が争った水戸藩の内紛、那珂湊の戦いの様子が描かれている。同様の天狗党絵巻を国立歴史民俗博物館が所蔵しているという。正式な鑑定はしていないが、佐々木代表は「鑑定すればもしかしたら大発見になるかもしれない」と期待を寄せる。ただし虫食いの箇所があり補修が必要になるところもあるという。佐々木代表は「できれば博物館の方に購入していただき、補修して皆の目に触れるようになれば」と語る。価格は2巻で50万円(消費税別)。

古書まつりではほかに、小説「土」で知られる常総市出身の小説家で歌人の長塚節が、同級生に送った直筆の手紙(10万円)や、第二次世界大戦中、日本軍の兵士が兵舎で読んだ読み物、戦前の古地図などの掘り出し物が計約2800点出品・販売されるという。

土浦関係では、1925年に土浦の花火の起源となった花火大会を始めたことで知られる神龍寺(同市文京町)の秋元梅峰住職が、桑根十二支獣形図を解説した木版画や、1929年に土浦に飛来した飛行船ツェッペリン伯号の14枚つづりの絵はがき(6000円)なども出品される。

古書店が全国各地で次々に閉店となる中、同店は7年前に土浦駅前に開業し、現在も関東最大の25万冊を超える蔵書がある。古本まつりは半年に一度、6月と12月に同店で開催されている。同店のほか東京、神奈川、福島などの関東や近県の古書店12、13店が半年間で入手した掘り出し物を出品する。佐々木代表は「来て、見て、探してほしい」と呼び掛ける。

◆古本まつりは6月1日(土)~9日(日)。開店時間は午前10時~午後7時。出品古書は5月30日まで購入予約を受け付け、複数の申し込みがあった場合は抽選。6月1日以降は即日販売される。同店は土浦市大和町2-1、パティオビル1階。問い合わせは電話029-824-5401(同店)。

キャッシュレス推進へ 県が音頭取り展示会 つくばに決済事業者10社

0
「キャッシュレスフェアin茨城」の募集チラシ

【山崎実】生活をより便利にし、事業者の人手不足解消にもつながる「キャッシュレス決済」を推進していこうと、県中小企業課と県キャッシュレス推進連絡会議の共催による「キャッシュレスフェアin茨城」が28日、つくば市竹園、つくば国際会議場で開かれる。

キャッシュレス先進県を目指し、県内の商工団体や事業者、自治体職員などを対象に、各種決済サービスなどの展示会を催す。

内容は、国内のキャッシュレスの現在と方向性、消費税増税後のポイント還元などの情報提供、決済サービスの特徴やメリット、決済事業者の展示ブースでの決済体験、決済システム導入に向けた個別の商談、相談会の開催ーなどが柱。

決済事業者10社が参加する。オリガミ(Origami)、ペイペイ(PayPay)、エムティーアイ、ライン・ペイ(LINE Pay)、NTTドコモ、楽天、ゆうちょ銀行、三井住友銀行、クレディセゾン、常陽クレジットの10社。

◆参加費は無料。時間は午後1時30分から5時まで。参加申し込みや問い合わせは県中小企業課(電話029-301-3550)か、キャッシュレスフェアin茨城事務局(常陽産業研究所、電話029-233-6734)

「見る」から「感じる」へ 34年ぶり全面リニューアル 県フラワーパーク

0
大温室を撤去、オープンエアーな空間を創出するレストラン(右下)と茨城の素材でデザインする新たなエントランス=県観光物産課提供の資料を元に作成

【山崎実】県フラワーパーク(石岡市下青柳)が、34年ぶりの全面リニューアルに乗り出す。茨城を代表する新たな〝花の観光拠点〟として一新し、観光客の増加と地域経済の活性化を図るのが狙い。

同パークは1985年6月に開園した。約12ヘクタールの園内には800品種・約3万株の県花バラを始め、280品種・1800株のダリアのほか、ボタン約1800株などが四季を通じて咲き競う。この花の公園を囲むように、周囲には約18ヘクタールのふれあいの森が広がり、全体面積は約30ヘクタールに及ぶ。

開園当初は人気も高く、ピーク時の1992年は年間約37万人の来園者があった。その後、各地に同じような施設が出来たことで観光客が分散。現在は17万人程度で横ばい状態が続いている。

V字回復への切り札として県が取り組むのが今回の全面リニューアルだ。コンセプトは、従来の「見る(観賞する)」から「感じる(体験する)」パークへのイメージチェンジ。年内の基本・実施設計を待たずに、施設整備の一部工事に着手する。

19年度中に予定される県フラワーパークリニューアルの関連事業=同

具体的には、頂上付近の大温室(フラワードーム)に隣接する展示温室を、体験型のワークショップ施設に改修する。子どもから大人までの来園者が、フラワーアレンジメントや木工細工などを楽しみながら体験できる施設にする。

また来年度は大温室を撤去し、跡地に、花や自然を感じながら本県の味覚を楽しむレストランを新設する。さらに現在は園路から花の植栽花壇には入れない道順となっているが、「感じる」コンセプト実現のため、ローズガーデン改修に取り組み花壇に入れるようにする。

芝生の丘テラスは、家族連れでも長時間過ごすことができるよう、ベンチなどを設置して〝憩いの空間〟を創造するほか、エントランスゲートもデザインの見直しを行う。

全体事業費は約18億円で、再来年度春のリニューアルオープンを目指す。県観光物産課は「パーク全体をリニューアルし、本県の魅力を再発見・再発信する観光拠点として再構築したい」と話している。

G20大臣会合控え つくば市消防特殊部隊がテロ対策訓練

0
負傷者を救出する消防特殊災害対応部隊=つくば市豊里交流センター

【鈴木宏子】今年4月県内で初めて発足したつくば市消防本部の特殊災害対応部隊が20日、市豊里交流センター(同市高野)でテロ対策訓練を実施した。G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合が6月8、9日、つくば国際会議場(同市竹園)で開かれるのを前にしての訓練。

G20大臣会合の会場に液体がまかれ、負傷者が出たという想定で、消防特殊部隊と県警本部の機動隊員ら計約60人が合同で初めて実施した。特殊部隊の8人が化学防護服を着て会場に突入し負傷者を救出、さらに負傷者を除染して救急隊に引き渡す訓練が展開された。

G20会場に液体がまかれ負傷者を救出する消防特殊災害対応部隊(右)

特殊部隊は、核、生物剤、化学剤に対応する防護服や、放射能などを検知する測定器、負傷者を救出する資機材と、1時間で最大100人を除染できる大型除染システムを備える。自衛隊や消防学校などで特別な訓練を受けた72人と消防車7台で構成される。訓練には、資機材を備えた化学車、救助隊員が乗る工作車、1万リットルの水を積載する水槽車など特殊車両5台が参加した。

まずG20会場からの通報を受けてパトカーが到着し、周囲に、日本語と英語、中国語、韓国語の4カ国語で立ち入りの制限などを呼び掛けた。

続いて到着した消防特殊部隊の隊員らは、全身を覆う化学防護服を着て、現場の汚染状況を測定しながら重傷者を運び出した。屋外に設営されたテントでは負傷者の除染などが実施された。

植木利男市消防長は「いよいよG20大臣会合が来月開かれる。訓練を無駄にせず、万が一に備えて、万全の体制で一致団結し、あらゆる災害に対応できる準備を万全にやっていきたい」と話した。

負傷者の救出を終え除染を受ける消防特殊災害対応部隊

茨城国体会場設営工事 予定価格と手続きミスで入札やり直し つくば市

0
つくば市役所

つくば市は、17日に実施した茨城国体アーチェリー競技会場の設営と撤去工事の一般競争入札で、職員のミスにより予定価格と入札手続きに二重の誤りがあったことが分かったとして、20日、入札を不調にしたと発表した。来月にも入札をやり直す。国体開催準備に支障はないという。

同市国体推進課が事務局を務める同国体つくば市実行委員会が入札を実施した。予定価格を事前公表する入札方式だったが、職員が、予定価格を書き写す際にミスをして誤った価格(7687万4940円)を公表し入札を実施してしまったという。一方、本当の予定価格は現時点で公表しないとしている。

17日実施された入札には5社が参加し、そのうち2社が最も低い金額で入札した。2社とも同一金額だったことから、同日、2社を対象にその場で2回目の入札を実施して落札業者を決めた。しかし本来の手続きでは、くじ引きで決めなくてはならなかったという。職員が手続きをよく理解していなかったのが原因という。

当日夜、二重のミスがあったことが判明し、同実行委は、いったん決定した落札候補者に口頭で入札不調を伝え謝罪した。

アーチェリー競技は10月4~6日、同市下岩崎の茎崎運動公園多目的広場で開催される。同実行委は「今後は予定価格の金額を複数人で確認することを徹底し再発防止を図っていく」としている。

サンスイグループが100周年 380人駆け付け記念祝賀会 つくば

0
創業当時のデザインを復元した法被を着て乾杯をする東郷治久代表(中央)ら=つくば市小野崎、つくば山水亭

【鈴木宏子】つくば市でホテルや料亭、専門学校などを経営するサンスイグループ(東郷治久代表)が今年創業100周年を迎えた。記念祝賀会が19日、グループが経営する同市小野崎の料亭、つくば山水亭で催され、県内の政財界関係者約380人が駆け付け、百年を祝った。

100周年記念祝賀会であいさつするサンスイグループの東郷治久代表=同

3代目の東郷代表は100年の歴史を紹介した上で、「初代の祖父も、父も、私もいくつかの業種に関わり、止むなく閉じたりする繰り返しだった。経営の多角化は生き残るための教え」と振り返り、「100年の時を刻むことができたのは地域の温かいご支援のお陰。少しでも恩返しすべく地域の発展のために努力したい」などとあいさつした。

祝賀会には、中村喜四郎、青山大人衆院議員、上月良祐参院議員、五十嵐立青つくば市長、神達岳志常総市長のほか、関正夫関彰商事会長など県内の政財界関係者が多数参加した。中村衆院議員は「3代にわたって時代の変化を的確に読み切って対応することによって100年を刻むことができた。初代は米穀業、2代目はサービス業、3代目は『つくば業』。周辺を巻き込んで、さらにつくば業を発展させてほしい」などと話した。

続いて創業当時の東郷商店で用いられていたデザインを復元した法被(はっぴ)を着て、鏡開きや乾杯が行われ、100周年を祝った。

サンスイグループは1919(大正8)年に当時32歳だった初代の勘治氏が、常総市水海道駅前に米穀や肥料を扱う問屋「東郷商店」を開いたのが始まり。直後に関東大震災、小貝川、鬼怒川の洪水に見舞われ、店舗を失うなど壊滅的な打撃を受けたが立ち直った。しかし第二次世界大戦による食料統制で、商店は国有化され事実上の廃業となった。戦後、勘治氏は常総筑波鉄道(現在の関東鉄道)の社長などを務めた。

一方、2代目の通行氏はサービス業に転換し、水海道にあった古い芝居小屋を買い取り、映画館に改装した。最盛期の1958年には県南、県西、水戸などで計17館の映画館を経営した。しかしテレビの普及により1983年までにすべての映画館が閉館となった。その間、筑波山にホテル山水荘(現在のつくばグランドホテル)を建て経営の軸足を移し、本拠地は土浦に移った。

3代目で現在の代表、治久氏は三菱商事で商社マンとして働いた後、父の病気を機に34歳で地元に戻った。つくば科学万博を機に山水亭を開業し、拠点をつくば市に移した。その後、犬猫の体験型テーマパーク「つくばわんわんランド」、ペット専門学校「つくば国際ペット専門学校」を開校。昨年4月には100周年記念事業として日本語学校「つくば国際語学院」を開校するなど、多角的な経営を展開している。

【霞ケ浦を遊ぶ】憧れのヨットに乗る ラクスマリーナでイベントに参加㊦

0
アクセスディンギーを操縦してくれた霞ケ浦海洋少年団の中学1年、市原遼人さん

【田中めぐみ】霞ケ浦の入り口、土浦港にあるラクスマリーナ(同市川口)で年4回開催されている「誰でも楽しもう霞ケ浦」(セイラビリティー土浦など主催)は、カヌーやヨットに乗って、障害者も初心者も大人も子供もだれでも霞ケ浦を満喫しようというイベントだ。日頃、霞ケ浦でヨットの練習をしたりクルーズなどを楽しんでいる市民や、障害者カヌー協会に関わるボランティアが、参加者にこぎ方を教えたり、安全を見守るなどしてイベントを支えている。

全国に先駆けてマリーナのバリアフリー化を進めてきたラクスマリーナ(当時は京成マリーナ)が、初心者でも操縦できる転覆しないヨット「アクセスディンギー」を導入し、体験乗船会を開いたのがきっかけ。2005年から始まり、今年で14年目になる。口コミで評判が広まり、土浦やつくば市のほか、毎回、首都圏からもたくさんの参加者が集まる。今年度第1回目の5月5日は約270人の参加者に混じって霞ケ浦を体験した。

ガイドは中学1年の海洋少年団

カヌーから降りて、次はアクセスディンギーという小型のヨットに乗ることにした。霞ケ浦の沖を走っているヨットを眺め、前から1度乗ってみたいと憧れていた。

これはスタッフが操縦してくれる。桟橋の乗り場でしばらく待っていると、現れたスタッフは何と少年。青少年育成団体「霞ケ浦海洋少年団」に所属する中学1年生の市原遼人さんだ。ボランティアスタッフとして参加したという。一緒にカヌーに乗ったつくば市の中学1年、志賀明彦さんも「えっ僕と同じ中1?すごい」と驚いている。市原さんのアクセスディンギーに乗り込んだ。

主に春から夏のシーズン、霞ケ浦でいろいろな種類のヨットに乗っているという市原さん。「アクセスディンギーは絶対に転覆しないので安全ですよ。操縦も簡単です」と堂々のガイドぶりだ。一番好きな船だという。うみの少年に頼もしさを感じる。

おかげで安心して景色を楽しむことができた。ヨットは風を受けてゆっくりと進み、穏やかで気持ちいい。

15分ほど乗って降りたら一度お昼休憩。午前中は熱中していてあまり気にならなかったが、この日は快晴、じりじりと焼かれるような日差しで、帽子を忘れてきてしまったことを悔やみながら日焼け止めを塗り直した。

午後はドラゴンボートに乗ることに。20人で掛け声を合わせてこぐ木製の船だ。桟橋に行くと小さな子どもも数人待っている。前に並んだ子に聞くと5歳。「ドラゴンという名前がかっこいいので乗ることにした」という。小さな子どもでも大丈夫なのだろうか。少し不安を感じながらも船に乗る。船の底が低いので桟橋からだと段差がある。1人ずつ櫂(かい)を渡され、前には3人ボランティアスタッフが乗り込んだ。

出航を待つドラゴンボート

櫂の使い方を習い、ゆっくりと少しずつ沖に出る。みんなやり方が分からず恐る恐るだ。

沖まで出ると「いいですか、万が一、誰かが落ちても絶対に助けに行かないでください。落ちることはほとんどないですが、万が一ということがありますので言っておきます。子どもさんが落ちてもすぐにスタッフが助けに行きますから親御さんは助けに行かないでください。バランスが崩れて転覆してしまったらどうにもなりませんので」とスタッフからの注意。

そうか、転覆もあるのかと緊張が走る。「ではみんなで少し練習してスピードを出してみましょう。ハイのところで漕ぎますよ。イチ、ハイ、ニ、ハイ、サン、ハイ…」

ドン、ドン…と太鼓の音に合わせて掛け声をあげ、みんなで息を合わせてこぐ。少しずつ少しずつスピードが上がっていく。気持ちいい。5歳の子どもも「ハイ」「ハイ」と言いながら一生懸命前の人のまねをしてこいでいる。老若男女、家族も他人も一体となってまっすぐ前進する感じ、なるほど、これはまたカヌーとは違った楽しさだ。

掛け声で力を合わせてドラゴンボートをこぐ

最後にカッターボートというアクセスディンギーに似た帆船に乗り、そこで時間切れとなってしまった。モーターボートやSUPにも乗りたかったが残念。次回のお楽しみということにしておこう。

体験乗船の問い合わせは電話029-822-2437(ラクスマリーナ)

➡【霞ケ浦を遊ぶ】ラクスマリーナでイベントに参加㊤はこちら

水彩イラスト&チョークアート つくばで2人展

0
イラストレーターの川浪せつ子さん(左)とチョークアートインストラクターの住吉恵理子さん=つくば市小野崎のLALAガーデンつくば「つくラボ」

【谷島英里子】「水彩イラスト&チョークアート 2人展」が、つくば市小野崎のLALAガーデンつくば「つくラボ」で17日から開催されている。いずれも同市在住のイラストレーター、川浪せつ子さんが描いた水彩画約100点と、住吉恵理子さんのチョークアート約30点を展示している。

2人は美大の先輩後輩の関係。テーマは「ハッピーな時間」で、作品を見てもらい幸せな気分になってほしいという思いを込めた。

川浪さんは部屋に飾れるような、明るく、心が穏やかになるような絵をモットーに作品をつくる。2018年9月にポルトガルを旅した時の建物や風景画を中心に展示している。はがきサイズからA4判ほどの水彩画は、鮮やかで柔らかい色合いだ。今回初めて画材で使った長さ3メートルにも及ぶ御朱印帳の作品も見どころの一つになっている。NEWSつくばでコラム「ご飯は世界を救う」を連載している。

住吉さんはブラックボードにオイルパステルを使って指で描くチョークアートを並べた。生活に密着した絵が主で、縦150センチ、横90センチのこいのぼりのほか、つくば市の鳥フクロウ、力士などが鮮やかに立体的に描かれ、迫力満点だ。会場では「ウェルカムボード」の無料体験会が行われ、好評となっている。「発色がいいので明るい気持ちになると思います。ぜひご覧ください」と来場を呼びかけている。

22日まで。時間は午前10時30分~午後6時30分。入場無料。来場者にはポストカードのプレゼントがある。

チョークアート「ウェルカムボード」の体験会=同

【霞ケ浦を遊ぶ】気分爽快!カヌー体験 ラクスマリーナでイベントに参加㊤

0
カヌーで霞ケ浦にこぎ出す

【田中めぐみ】私が産まれ育ったのは四国の海辺に近い田園地帯だ。自転車で20分も行けば浜に着く。小さいころは夏になるとよく川や海に連れて行ってもらい泳いで遊んだ。冷たい川の深いところまで冒険してみる楽しさやスリル、海水浴場で波打ち際に見たかわいい小魚たちを今も忘れることができない。中学、高校に入ってからは泳ぎに行くことはなくなったが、悩みがあるとよく自転車で海に行った。堤防に座って海を眺めているといつの間にか心は晴れていた。

茨城に移り住んでからも霞ケ浦や桜川を見ると心が躍る。凪(な)いだ霞ケ浦を眺めているだけで穏やかな気持ちになる。これほど豊かな自然があるのに、霞ケ浦や周辺の川で遊ばないのだろうか。周りに聞いてみたが遊んだことがあるという人はほとんどいない。霞ケ浦で遊んでみたいと5月5日、霞ケ浦の入り口、土浦港にあるラクスマリーナ(土浦市川口)で開催されたイベント「誰でも楽しもう霞ケ浦『子どもの日大会』」(セイラビリティー土浦など主催)に参加した。

さまざまな船に試乗

このイベントではカヌー、モーターボート、ドラゴンボート、和船のほか、小型ヨットのアクセスディンギー、ボードの上に乗って進むSUP(=サップ、スタンドアップパドルボート)など、さまざまな船に試乗できる。

すごい!すべての種類に乗ってみたいー。はやる気持ちを抑えてまずはカヌーの予約の列に並ぶ。

予約を取ったら安全のためライフジャケットを着て講習を受ける。ボランティアスタッフがパドル(櫂=かい)の持ち方を教えてくれる。2人乗りのカヌーを選んだ。後ろにはつくば市から参加した中学1年の志賀明彦さんが乗ることに。

カヌー講習の様子。子どもから大人までスタッフの話に真剣に耳を傾ける

いよいよ出発! 最初は2人でばたばたして桟橋の下に潜り込みそうになったが、スタッフに押してもらってなんとか沖に。それも面白くて2人でげらげら笑う。教えてもらった通りにこいでいるとだんだんコツが分かってきた。左に曲がりたい時は右をこぐと簡単に方向転換できる。すぐに操縦に慣れ「これは楽しいね」「最高だね」とどんどん沖に。怖くなるかと思ったがそんな心配は杞憂に終わり、すっかり病みつきになってしまった。

志賀さんと記者(右)。息の合った操縦で方向転換もばっちり

1回の試乗は15分。1度カヌーから降りて、すぐに「もう1回行こう」と意見は一致。予約を取り直し、次は1人用に乗った。最高の気分だ。岸から遠いところにも行って、戻ってを繰り返す。

突然「カヌーの人、どいてくださーい」とスタッフの声がかかる。遊覧船ホワイトアイリス号が出航するようだ。巻き込まれては大変と大慌てで移動するのもなかなかのスリル。ブレーキやバックの操縦も覚えた。中には勢いよく転覆する人もいる。頭までびっしょり。でも笑顔だ。夢中になってこぎ過ぎて腕がだるくなってきた。これは筋肉痛になる予感がする。

「誰でも楽しもう霞ケ浦」は年4回開催されている。今年度のこれからのイベントは7月14日(日)、10月13日(日)、1月12日(日)に開催予定だという。障害者も初心者も大人も子供も、年齢も性別も障害も関係なく、誰でも参加できる。参加費は保険料込みで大人1000円、小人500円。

イベント以外でもいつでもレンタルボートが楽しめる。カヌーの場合、1人乗り、2人乗りいずれも2時間3080円)。問い合わせは電話029-822-2437(ラクスマリーナ)

(続く)