木曜日, 11月 13, 2025
ホーム ブログ ページ 241

99回目の「あしなが学生募金」 つくばで19、20日開催

0
前回「第98回あしなが学生募金」での活動の様子=今年5月19日撮影

【崎山勝功】病気や災害、自殺などで保護者を亡くした日本国内とアフリカ諸国の遺児の進学支援を訴える「第99回あしなが学生募金」が19、20日と26、27日の計4日間、全国各地で行われる。県内では3カ所で実施が予定されており、19、20日につくば市吾妻のペデストリアンデッキが会場となる。

大学生にボランティア参加を呼び掛け

毎回、つくばでの募金活動には、あしなが奨学生をはじめ、つくば、土浦、取手などの県立・私立高校の青少年赤十字(JRC)部員、社会人らが参加し、道行く市民に募金を訴えている。しかし、募金活動での取りまとめ役となる大学生ボランティアが不足しているため、募金活動拠点や活動日数を増やせないのが現状だ。

あしなが学生募金の担当者は「同じ大学生として、募金活動を通して交流できればと思う。同じ大学生なんだと思ってくれれば」と大学生の積極的な参加を呼び掛けている。

2020年度からは「大学無償化」として、主に授業料等減免制度の創設と給付型奨学金の支給の拡充が行われるが、支援対象となる学生は「住民税非課税世帯」と「それに準ずる世帯」で、支援対象の大学や専門学校も限られるなど制約が多い。それでも進学を望む遺児たちは「国の制度で進学できる人もいるので(あしなが奨学金と)併用していく」(同募金担当者)という。

募金活動ボランティアは募金活動日の直前、または当日に会場でも受け付けている。あしなが学生募金事務局(電話: 03-3221-7788)

➡あしなが学生募金の過去記事はこちら

依存症当事者が体験語る 29日、筑波大の大村研究室が主催

0
京都府の聴覚障害者就労支援施設を見学する筑波大人間系の大村美保助教(左から4人目)とゼミ生ら=山城就労支援事業所さんさん山城撮影

【山口和紀】アルコールおよび薬物依存症の当事者で、現在、依存症回復支援施設の生活支援員を務める渡邊洋次郎さんが29日、つくば市天久保のコワーキングスペース、つくばプレイスラボで体験談を語る。筑波大学人間系の大村美保助教が「当事者と共にある支援」を学びとってもらいたいと開催する。

大村助教は、犯罪や非行をしてしまった人の支援に関わっており、3、4年前から渡邊さんと交流を続けている。昨年、研究室の学生と、渡邊さんの勤める回復支援施設「リカバリハウスいちご」(大阪市)を訪れた。当事者同士のミーティングなどを見学し、当事者自身の回復に向けた姿勢など多くを学んだ。

大学の授業では“支援する”側の支援は多く教えられるが、“支援される”側の視点が語られることは少ないという。『当事者とともに』という視点を講演会の中で学びとってもらいたい、が開催の主旨になった。

「自分なりに頑張ろうとした結果」

渡邊さんは、中学生の頃からシンナーを使用し始めた。幼少期から周りになじめず、学校でも勉強についていけず、常に寂しさを感じていたという。そんな中、中学生のときにシンナーや万引きなどの非行に走った。理由は「誰もやらないようなことをやれば周りから注目されるからだった」と語る。

29日体験談を語る渡邊洋次郎さん。海外で自助グループと交流時に撮影

中学卒業後は、少年鑑別所に4回、少年刑務所には1年間入った。18歳からホストを始めるも仕事上、強い酒を飲むことも多く、アルコールへの依存も始まる。30歳前半まで精神科病院で入退院を繰り返した。その後、刑務所に3年入所する。

自分が回復に向かって努力しなければならないということにやっと気づいたのは30代の後半になってからだという。

渡邊さんにとって依存症は「異常なこと」ではなかった。むしろ自分なりに普通になろうとして頑張った結果だったと振り返る。社会的には薬物は危険であるというイメージがあるが、普通の生活の延長にあったと語る。

講演会では「薬物依存症」というカテゴリーにとらわれることなく、1人の人間としての姿を伝えたいと話した。

◆講演会は29日11時から16時まで。参加費は無料(弁当代500円)。予約は25日まで下記URLから行っている。

問い合わせは主催の筑波大学人間学群障害科学類 大村研究室まで(omuralab@gmail.com)。参加申し込みはこちらから

ばらつきない水耕みつば JA水郷つくばの生産者に県版GAP確認証

0
県南農林事務所の佐藤明彦所長㊧から証書の交付を受ける柳澤健一前部会長ら水耕みつば部会メンバーと関係者=県土浦合同庁舎

【相澤冬樹】2020年東京オリンピック・パラリンピックに県産の食材を使ってもらおうと制度化された県GAP(ギャップ、農業生産工程管理)第三者確認で、JA水郷つくば(本店土浦市、池田正組合長)の水耕みつば生産者が16日、確認証の交付を受けた。県内12件目、同JAではレンコン生産者の蓮根部会霞ケ浦支部GAP推進班に次いで2件目となる。

県版GAPと呼ばれる確認証が交付されたのは、JA水郷つくば施設園芸水耕みつば部会(大関智生部会長)。構成する3法人の代表3人がそろって、土浦市真鍋の県土浦合同庁舎を訪れ、県南農林事務所の佐藤明彦所長から証書を受け取った。

同部会メンバーは土浦市今泉で約40年前から水耕みつばを栽培してきた。現在は約2ヘクタールで年間400トン、約40万ケースの糸みつばを生産、「天の川みつば」のブランド名で全国各地に出荷している。水耕栽培で、種から発芽させ、生育・選別・梱包から出荷まで、一元管理を行うことで高品質でばらつきのない農産物ができるのが自慢だった。

今回の第三者確認で、東京オリ・パラに代表される販売機会に、安全・安心な食材として提供できる“お墨付き”を得たことになる。農場や資材管理など一連の生産工程についてのチェック体制が整い、経営基盤の安定にもつながるものだ。

県版GAPは2年前、市場関係者から促されて、柳澤健一前部会長を中心に取り込んだ。「在庫管理などで書類仕事が増えるなど大変さもあったが、全法人が代替わりし、3人とも50歳前後という若さもあって乗り切れた」という。3法人のうち、みずは経営の柳澤浩二さんはこの先、国際基準であるグローバルGAPにも取り組む構えでいる。

佐藤所長は「20数年前、県野菜養液栽培研究会の立ち上げに関わった際、茨城における草分け的存在が水耕みつばだった。個人的にも感慨深いものがある。市場関係者からの期待に応え、今後とも発展してほしい」と励ました。

➡JA水郷つくばとGAPに関する既報はこちら

無料 買い物送迎バスを運行 ジョイフル本田 土浦市全域を21日から巡回

0
21日から運行がスタートするジョイフル本田の無料買い物送迎バス「じょいふる号」(ジョイフル本田提供)

【鈴木宏子】交通弱者や高齢者の免許返納が社会問題になる中、大型ホームセンター、ジョイフル本田(本社土浦市、細谷武俊社長)は21日から土浦市全域で、同荒川沖店(同市北荒川沖町)の買い物送迎バス「じょいふる号」の運行を開始する。無料で利用できる。

同市在住の60歳以上の高齢者が対象。市内に52カ所の専用バス停を設け、各地区を週2回巡回する。同店で1時間半か2時間、買い物ができる。

15日記者発表した細谷社長は「高齢者がタクシーで来店し、タクシーを待たせたまま買い物している場面を1度ならず2度見た。平日は家族が働いているので同居しているおばあさんは休日しか買い物に行けないという話を社員から聞いた」と話し、「荒川沖店は1976年に第1号店としてオープンし現在店舗面積は30倍になった。43年間育てていただいたお客様に何かお役に立てないか、恩返しをさせていただきたい」と運行の理由を説明した。

運行に協力する市社会福祉協議会会長の中川清市長は「空き家、空き店舗、それに伴うバス路線の減少が顕在化している。無料買い物バスの運行は、福祉と産業の領域を超えてつながった時宜を得た社会貢献。順調に発展することで高齢者の免許返納のきっかけにつながるのでは」などと意義を語った。

運行を支援する土浦市社会福祉協議会会長の中川清市長(左)と共に記者発表をするジョイフル本田の細谷武俊社長=15日、土浦市大和町、ウララ2ビル内、市総合福祉会館内

カラオケセットも装備へ

バスは27人乗りのマイクロバス。1台が月曜から土曜日まで週6日、午前と午後、市内6地区を回る。住民は地区ごとにそれぞれ週2回利用できる。バス停は設置しないが、市社協が交流会や食事会などを開催する際、送迎バスの乗降場所としている箇所を専用バス停とする。ペットもケージに入れれば同伴できる。片道利用や途中下車はできない。

利用者にはポイントサービス「Tポイント」を通常の買い物の3倍進呈する。さらに近々、車内にカラオケセットを装備して、行き帰りの中で楽しく過ごしながらコミュニティを育んでもらえるようにする。

3カ月間を試験運行期間とし、利用者の要望などを聞いて、運行コースやバス停、運行台数などを見直す。1便10人前後、1日平均20人程度の利用を想定している。

同店は今年8月から、65歳以上の市内在住者に、買い物金額に応じて乗り合いタクシーの利用割引券を提供している。無料買い物送迎バスの運行は、第2弾の高齢者の買い物支援となる。

一方、同市内では昨年11月から、12の高齢者福祉施設が送迎バスの空き時間を利用して、交通手段が乏しく買い物が困難な高齢者を対象に月1回、地域のスーパーに無料で送迎する「買い物支援サービス」を実施しており、現在28人が利用している。市社協によるとジョイフル本田のバス運行は市内で2例目になるという。

➡高齢者の買い物支援の過去記事はこちら

➡高齢者の免許返納の過去記事はこちら

【台風19号】犬猫500匹無事 冠水のつくばわんわんランド 営業再開は20日

0
来場者が犬と触れ合える「わんわんパーク」で元気な姿を見せる小型犬=15日午前、つくば市沼田、つくばわんわんランド

【鈴木宏子】台風19号による桜川の増水により、岸のすぐ東側に立地する「つくばわんわんランド」(つくば市沼田)の園内ほぼ全域が13日、冠水した。90種類500頭の犬猫が一時孤立したが、スタッフがひざ下まで水に浸かりながら総出で全頭を無事救出した。後片付けのため19日まで休園し、営業再開は20日からとなる。

筑波山の麓にある犬猫と触れ合える体験型テーマパークで、広さは駐車場やペット霊園を含め66ヘクタール。桜川の洪水時には冠水してしまう高水敷(こうすいしき)にある。

台風19号が接近し園を休業にした12日は、スタッフ約30人が総出で、犬や猫が夜過ごす建物内に、すのこやテーブル、椅子などを並べて床を高くし、万が一に備えた。同日は台風が接近していたことから、昼過ぎにはスタッフ全員を帰宅させた。

台風が通過した翌13日午前6時ごろ、スタッフが出勤すると、園内ほぼすべてが冠水していた。深いところでは50センチくらいあったという。

隣接のつくば国際ペット専門学校の教職員も含め総勢約50人で救出を開始。幸い前日に床を高くしていたことから、水にぬれた犬や猫はなかった。

スタッフが近づくと、ほとんどの犬はいつものように元気に駆け寄ってきた。田口弘樹園長(33)は「前の晩は雨風の音がすごかったので不安だったと思うが、皆元気でスタッフが近づくと喜んでしっぽを振っていた。体がぬれなかったのがよかったんだと思う」と振り返る。ただし怖がっている様子の犬猫も何匹かはいたという。

スタッフは一匹一匹抱き上げて、冠水していない園内の高台などに犬猫を避難させ、13日午前中までに500頭の救出を無事終えた。

ステージを洗浄するスタッフ

トイプードルが子犬2匹を出産

一方、同日朝、出産間近だった白いトイプードルが2匹の子犬を出産。「元気をもらった」という。

冠水した水が引くと、園内には泥水が残った。まず犬や猫が休む建物内を洗浄し、この日はいつもように建物内でゆっくり休ませた。翌14日も休業とし、再びスタッフ総出で、今度は、園内に敷き詰められた屋外のコンクリート敷などを清掃。高圧洗浄機で洗って、泥やごみを集めてきれいにした。同日までに、一部を除いてほぼすべての清掃を終えたという。

細部の後片付けがまだ残っていることから19日まで休園とする。同園は「お客様にいつも通りのサービスが提供できるよう、自慢の可愛い犬猫と触れ合っていただけるよう十分な時間をかけて復旧し、20日にはいつも通りのつくばわんわんランドを楽しんでいただけたら」としている。

※15日時点では19日営業再開の予定でしたが、16日現在、営業再開は20日となりました。

➡台風19号の過去記事はこちら

【台風19号】桜川、つくば市北部7カ所で越水や漏水 床下浸水11カ所

0
掘込河道のコンクリートブロック護岸が約40メートルにわたって崩落し、応急対策として土のうが積まれた逆川=つくば市臼井

【鈴木宏子】台風19号による河川の浸水被害の状況が見えてきた。県土浦土木事務所によると、つくば市北部7カ所で桜川が越水または漏水し周辺の農地などに広い範囲で浸水被害をもたらした。15日までに水は引き浸水は解消している。一方、同市によると桜川の浸水により16日までに同市田中と君島の11カ所で床下浸水が発生した。

同事務所によると、桜川は同市北部の中菅間、小田、沼田、栗原の4カ所で水があふれ、越水して周辺の農地に浸水した。いずれもまだ堤防が整備されてない箇所から水があふれたという。

堤防がある北太田と田土部の2カ所では、水圧で堤防の下の方から水がにじみ出る漏水により、周辺農地が浸水した。一方、大曽根では樋管(水路)から桜川の水が逆流した。7カ所からの浸水による被害面積は15日時点で未定という。

同事務所は漏水2カ所について15日までに土のうを積んで応急対応を実施した。なぜ漏水したのか今後原因を調査するとしている。樋管からの逆流については水門の開閉状況がどうだったかも含めて今後調べる。

40メートルにわたり護岸崩落 逆川

桜川以外でも被害があった。桜川に注ぐ男女川の支流、同市臼井を流れる逆川では、高さ2.5メートルのコンクリートブロック護岸が約40メートルにわたって川底に崩落した。15日までに護岸に土のうを積んで応急対応を実施。今後早急に復旧工事をする。

同市真瀬の西谷田川でもあふれた水が越水して周辺の農地に浸水した。堤防がまだ未整備の箇所だった。

土浦市では、天ノ川上流の新治地区で周辺の農地が浸水した箇所があった。水があふれて越水したのか、雨水が排水できなくなって浸水したのか、今後さらに調べる。

➡台風19号の過去記事はこちら

【葬送】3 寺をコミュニティーの場に 「本業」で生活は成り立たない

0
明超寺入り口の掲示板と副住職の大内崇久さん=つくば市谷田部

【橋立多美】寺は檀家の支援で成り立ち、葬式のお布施などが収入源だ。檀家の戸数が少ない寺の住職たちの生活は苦しく、「墓じまい」による離檀や、継続的に布施や寄付を求められる檀家制度に背を向けた「寺離れ」が経営難に拍車をかける。副業で生活を支えつつ、コミュニティーのなかでの寺の役割を見つめ直したいと、小中高生向けの集いを実践している寺がある。

つくば市谷田部の明超寺の副住職大内崇久さん(40)は、「見栄と世間体で行われていた葬式は寺経営の屋台骨だった。いまは仏事の簡素化で僧侶の出番の少ない葬儀のかたちが広がった」と話す。さらに「老老介護の世帯で収入がない檀家さんの葬式は一式15万円で執り行った。高齢化でこうしたケースが多くなると寺は立ち行かなくなる」と本音を漏らす。

寺の経営安定には檀家数500戸以上とされる。檀家の数が多いほど豊かな収入源があるということになる。不特定多数の参詣者を引きつける京都や奈良などの有名寺院を除き、多くの寺は檀家の確保に苦悩する。同寺の檀家数は350戸。ここ5年の間に墓じまいで檀家5戸を失った。

「宗教法人は非課税だから儲かる」とされるが、布施などは「住職の所得」ではなく「宗教法人の収入」。ここから諸経費を差し引いたものが住職の手取りになる。檀家の少ない寺の住職は妻子を満足に養えないと「二足のわらじ」をはいている。住職には公務員の兼職が認められており、教員を副業にする住職が多い。

大内さんは10年前に中学の教員を辞め、現在は僧侶派遣業者に登録している。派遣先は車で片道1時間程度の北関東一円だという。派遣の仕事で大内さんは意外な発見をした。

「初め、派遣サービスを選ぶ人は寺と縁を切るなど事情があり、儀式で仕方なく呼ばれたと思っていた。ところが熱心に法話を聞いたり相談を持ちかけるなど、信心深い人が大半を占めることに驚いた」。今は生活のための手段ではなく、僧侶の義務として車を走らせるそうだ。

◇時代に即した寺を模索していく

大内さんは8年前に小学生対象の「子供会」を組織した。餅つき大会や寺でのお泊り会、夏季と冬季の寺の大掃除など伝統行事を中心に、バーベキューや花火大会など子どもの喜ぶ活動を盛り込んでいる。少子化で子どもの数は減ったが30人近い子どもたちが集まる。

子供会を巣立った中高生は「ティーンの会」に属して子供会の運営メンバーになる。また夏休み期間中は、静かで涼しい本堂下の広いフロアを開放して「寺子屋」を開いている。

取り組みから垣間見えるのは、子どもを介して地域の人々が集うコミュニティーの場を作り寺の役割を考えたい、そして寺と縁のない子ども世代に寺のありのままの姿を知ってほしいという大内さんの思いだ。

一方、葬儀や墓建立の手順がわからないという意見に応えてマニュアルを自作して檀家に配った。「仏事の手引き」には葬儀から四十九日法要までの流れや作法をまとめた。「お墓の手引き」には墓地使用の規則や墓石の種類、墓じまいの流れを記載している。

「これからは檀家になる必要はなく、必要なときだけ僧侶が関わるシステムが増えると思う。やれることをやり、できないことは時代に即したやり方を模索していく」と大内さんは語った。(葬送シリーズおわり)

➡【葬送】1はこちら 2はこちら

地震の専門家に聞くリスクへの備え つくばで公開セミナー

0
1995年の阪神淡路大震災当時、兵庫県宝塚市に在住していた中居芳紀さん(66)が被災体験を語った=つくば市役所

【相澤冬樹】つくば市マンション連絡会(後藤哲郎会長)は14日、つくば市役所で同市との共催による公開セミナー「地震はどこでも起きる」を開いた。つくばで地震研究に携わる2人の専門家を招き、話を聞いたもの。マンション居住者に限らず市民一般との情報共有を目的にしており、地震のメカニズム解説が中心の講義となった。

講師は筑波大学生命環境系、八木勇治教授、建築研究所国際地震工学センター、横井俊明センター長の2人。1995年の阪神淡路大震災と2011年の東日本大震災をそれぞれ体験した同市在住の市民2人も参加し体験談を語った。

講演する筑波大学の八木勇治教授㊧と建築研究所横井俊明国際地震工学センター長

八木教授は、地殻の硬い岩盤が沈み込む際に破砕されて起こるプレート地震と横ずれなど3パターンある断層型地震に分けて、それぞれを解説。活断層が引き起こす直下型地震と首都圏で想定される南関東直下地震とは混同されがちだが、後者は沈み込むプレートのなかで起こる地震で、マグニチュード7レベルの地震が歴史的に繰り返されてきた。県内を震源とするものでは1895年の茨城県南部地震(M7.2)、1921年の龍ケ崎地震(M7.0)が該当するが、つくばもこの直下地震域に含まれるかは「両論あって分からない」という。

いずれにしても、統計的にリスクを割り出すのは地震の場合、極めて困難になっている。継続を大切にする行政に対し、研究者は豹変を恐れない姿勢が大事で、両者の緊張関係を保っていかなければならないとした。

一方、横井センター長は「確率が低いということは地震が起こらないということではない。しばらく起こらないということでもない」としたうえで、自然災害に対してはレジスタンス(抵抗・耐性)からレジリエンス(復元力・回復力)を重視する考え方に改めなければならないと訴えた。

同連絡会はつくばエクスプレス(TX)の開通以降、マンション建設が相次ぐつくば市にあって、マンションの管理組合や居住者相互の交流、情報交換、情報共有を目的に2015年に設立。現在同市内には約70棟の分譲マンションがあると見られるが、うち15棟がメンバーになり、各種研究会や情報交換を行っている。

TX延伸期成会の市村議長が講演 つくばで県南まちづくり構想会議

0
講演する市村文男TX茨城空港延伸議会期成同盟会会長=10日、ホテルグランド東雲

【鈴木宏子】つくばエクスプレス(TX)北部延伸を推進する県南の政治家や企業経営者らでつくる「県南まちづくり構想会議」(塚田陽威世話人)の第6回例会がこのほど、つくば市小野崎、ホテルグランド東雲で開かれた。つくば、土浦市など7市の議長により昨年5月に結成されたTX茨城空港延伸議会期成同盟会会長の市村文男小美玉市議会議長が講演し、発足の経緯や現在の活動状況などを話した。

世話人の塚田さんがまずあいさつに立ち「つくばエクスプレスがつくば市で止まっていた東京のベッドタウンで終わってしまう。常磐線と結ばないと茨城は発展しない。いろいろな話し合いをして有意義な会議にしたい」と話した。

続いて講演した市村会長は「一番最初は(2017年8月の知事選前の)県市町村議長会で茨城空港延伸の話をした。行方市議会議長が後押ししてくれ(7市の議長)連絡をとった。一晩でやりましょうということになった。1週間後、知事選に立候補していた大井川知事も、橋本元知事もTX茨城空港延伸を公約に掲げた。私の方が早かった」などと期成同盟会誕生の秘話を話した。

現在までの活動の成果について「8月8日に県庁に行って要望活動をしたところ、県から『つくばと水戸、茨城空港を結ぶ高速バスの実証実験を10月1日からやりますから、そこで人の流れをつかんでいきたいと言われた』」と話し、さらに昨年11月に策定された県総合計画「新しい茨城への挑戦」に、2050年頃の将来像として、TX延伸ルートの一つに茨城空港ルートが描かれたことを挙げ、「それだけ成果が上がったのかなと思う」と強調した。

「皆、地元を通ってほしいと思っているので延伸ルート決めるのが一番難しい」と懸念を示しながらも「これからも要望活動を続け、夢をもたせるのが議員の大きな仕事だろうという思いで頑張っていきたい」などと話した。

【葬送】2 家族葬がもたらすもの 

0
JA谷田部つくばホール玄関わきの清め水を使う齋藤尚美さん=つくば市榎戸

【橋立多美】地域共同体が担ってきた葬儀は近年、葬祭業者に代替されるようになり、会場は自宅から斎場へと移行した。迎えた高齢化の現在は、家族葬や直葬など従来とは異なる葬儀スタイルを選択する家族が多くなった。長年葬儀をサポートしてきたセレモニースタッフに、つくばの葬儀事情を聞いた。

葬儀は「家」から「個」へ

農業者の組合組織の農協(JA)は「JA葬祭」として葬儀事業を展開している。JAつくば市谷田部から葬儀運営を委託されている葬祭業者、城東ユニオン企画推進室長の齋藤尚美さん(60)。「こすもす谷田部」の名称で地域の葬儀を受け持って40年になる。

入社当初は集落の組合員が寄り合って行う自宅葬が一般的で、喪主と組合が決めた葬儀委員長、寺の3者が葬儀の日程を決めた。

当時は間取りの広い和式の家が多く、庭に面した室に祭壇をつくり、縁側に焼香台を置いた。弔問客は庭に列を作って焼香した。料理は集落の女性たちが作った。齋藤さんは「弔問客の駐車スペースがなくて苦労した」と振り返る。

通夜から火葬、告別式まで執り行うことができる市営斎場「つくばメモリアルホール」(同市玉取)が1999年に完成。5年後に同JAの斎場「JA谷田部つくばホール」(同市榎戸)ができると自宅葬に陰りが見え始め、現在は全組合員が斎場を利用している。

遺体が運び込まれる斎場は迷惑施設として地域で反対の声が上がる。JA谷田部つくばホールは田んぼに囲まれた立地に建てられ、「俺たちのために造ってくれた」と地域に受け入れられたという。

高齢化による変化もあった。昔からのしきたりを重んじ、葬儀の手順を決めていた葬儀委員長たちが高齢化して力を失くし、持ち回りとなった。葬儀委員長の存在感が薄くなり、喪主が葬儀を自分で決めるようになった。齋藤さんは「葬儀が『家』から『個』に移り、これが家族葬を生んだ」と話す。

家族葬とは知人や近隣住民に知らせず、家族や親族、親しい友人で小規模に行うこと。弔問客の接待に追われず落ち着いて故人とのお別れができる。

昨年実績の約3割が家族葬

「メリットばかりではない」と齋藤さんはいう。葬儀が済んだことを知った人から「我が家の葬儀に来てくれたのに参列できず、(香典の)借りが返せない」といざこざが起きたり、遺族宅の敷地の雑草を非難されるなど、地域の風当たりが強くなったケースがある。

齋藤さんは家族葬を希望する遺族には「近所の人や知り合いに故人がお世話になってきたと思う。ほんとに家族葬で大丈夫か」と何度も念を押すそうだ。

家族葬であっても一般葬と同じ祭壇や棺が使われ、寺への布施や戒名料もかかる。一般葬なら親類や近所からの香典で葬儀費用と相殺できるが、参列者の少ない家族葬は遺族が葬儀費用を自前で払うことになると斎藤さんは指摘する。

こすもす谷田部は一般市民の葬儀にも対応し昨年の葬儀実績は約200件。このうち家族葬は61件、葬儀を行わず火葬だけを行う直葬は18件あった。市営斎場またはJA谷田部つくばホールでの葬儀となるが、全体の6割が火葬場が併設されて利便性の高い市営斎場を利用している。

葬儀の現場にはハプニングもあるようだ。齋藤さんが経験したのは、弔問客への挨拶に自信がない喪主が葬儀直前に雲隠れしたこと。もう1つは葬儀で無人の遺族宅に空き巣が入り、喪主が葬儀中に帰宅したこと。急きょ親族に替わってもらうことで切り抜けたという。

齋藤さんは「葬儀はやり直しがきかない。どんな葬儀の形式が望ましいか、葬祭業者が薦めるサービスが本当に必要か、よく考えて契約してほしい」と結んだ。

➡【葬送】1はこちら

【台風19号】つくば市北部で桜川が浸水 「昭和61年の水害以来」

0
田んぼや畑一面が浸水したつくば市北太田地区。土のう用の土を運ぶため軽トラックが堤防を行き来した=13日正午ごろ

【鈴木宏子】台風19号の大雨により13日桜川が増水し、つくば市北部の北太田で越水して水田や畑が一面水に浸かる被害があった。県土浦土木事務所によると、同地区の、堤防が未整備の場所から水があふれた。

桜川は12日午後6時40分、土浦市田土部の桜橋で氾濫注意水位の4.3メートルになり、同11時20分、氾濫危険水位の5.5メートルに達した。13日午後1時まで水位は上昇を続け、最高6.49メートルまで上昇した。北太田地区では同日午前4時30分ごろから浸水が始まったとみられる。北太田地区住民は「こんなに水が出たのは昭和61(1986)年の水害以来だ」と話している。

桜川からの浸水が乾田にあふれた=13日午前10時ごろ、つくば市北太田(撮影:山口和紀)

同地区では、13日朝7時30分ごろから、約60軒ある集落住民総出で、田んぼや畑に面した堤防に軽トラックで土を運び、土のう積みを続けた。土のう用に集落で山積みしていた土を崩し、各家から土のう袋や土を持ち寄った。

市は午前10時40分に同地区に避難指示を発令。消防団などが集落を回って避難を呼び掛けた。高齢者や女性、子供たちは同市筑穂の大穂交流センターに避難したが、男性たちは集落に残って土のう積みを続けた。

ビニールハウスでバラを栽培している同地区の農業、沢辺康雄さん(75)のハウスは50センチほど浸水した。「こんな浸水は昭和61年以来。当時は床上まで水に浸かって、その後、県が集落を囲む輪中堤という堤防をつくってくれた。今回、住居は浸水しなかったが、集落近くの畑や田んぼまで水が来たのは排水機場の能力が小さいためではないか。機場の能力を上げてほしい」と話した。

桜川堤防のすぐ脇に住む無職、沢辺宗一さん(60)は「集落では稲刈りはほとんど終わったが、まだ刈り終わってない飼料米8ヘクタールぐらいが水に浸かった。大豆畑も広がっているが全滅だと思う。これからもこういうことがあると思うので、堤防のメンテナンスをしっかりしてほしい」などと話した。

桜川の水位は同日午後5時に6メートル42センチと7センチ下がっただけ。浸水地区の水が引くまで数日かかるとみられている。

桜川の浸水で通行止めになった県道=12日午後1時ごろ、つくば市北太田

大穂交流センターには午後6時現在、常総市からの避難者も含めて約60人が避難している。

桜川の増水を受けて、土浦市でも同日午後1時、同市田土部、藤沢新田、高岡沖、高岡新田に避難指示が出され、同日午後6時時点で2カ所に53人が避難している。

土浦1813人、つくば839人が避難

台風19号による避難勧告を受けて12、13日、土浦市内で24カ所の避難所に最大1813人が避難し、1748人が避難所で一夜を明かした。つくば市内では12カ所に最大839人が避難し、約830人が一夜を明かした。

土浦市内では4人が軽傷を負った。台風に備えるため自宅で脚立から足を踏み外すなどしたためという。停電は土浦市で最大1950軒、倒木は12件、道路冠水が3カ所で発生した。つくば市内のけが人はなかった。

桜川下流、土浦花火大会会場を上流から見る。設営中の桟敷席は水没を免れている=13日午前8時ごろ

➡台風19号に関する既報はこちら

【葬送】1 墓の管理どうしますか 多様化する墓のかたち

0
千の風吹く~土浦市営今泉霊園

【橋立多美】多死社会を迎えた一方で核家族化が進み、「葬送」を取り巻く状況が大きく変わってきた。墓の維持が困難になったとする「墓じまい」や、家族などの近親者だけで行う「家族葬」、宗教儀礼を行わない火葬のみの「直葬」などだ。まちの声や関係者に聞いた昨今の葬送事情を3回に分けて報告する。まずは墓に関する状況からーー。

我が国の年間死亡数は2015年に130万人となった(厚生労働省)。内閣府は40年に168万人を突破するとみている。墓のニーズが高まる一方で、子どものいない夫婦、離婚経験者、生涯未婚が珍しくない昨今、墓で頭を悩ます人は少なくない。

つくば市漆所在住の60代女性は結婚したことはない。早くに父と離婚した母親と独り身の弟と3人で暮らしてきた。3年前、地域が管理する共同墓地を買っていた母が亡くなった。

この先、子どものいない姉弟で墓を守っていくことは難しいと共同墓地を解約し、火葬した母の遺骨を手元に置いた。同市神郡、つくば道に面した普門寺が宗教・宗派を問わない永代供養墓=メモ=を建立すると人づてに聞いたからだ。今春、永代供養墓が完成して納骨を済ませた。

普門寺は約500軒の檀家(だんか)をもつ古刹(こさつ)。檀家から「高齢になり子どもは離れて住んでいるため、お墓を維持するのが難しくなった」と永代供養墓を望む声が聞かれるようになったのが始まり。遮那誠一住職は「寺も時代のニーズに応えていかなければ」と話す。

◇弔いのかたちは保たれている

06年、同市新井のサイエンス大通り(県道19号)沿いに墓石展示場「石工房 和」を開設した塚越石材工業社長の塚越和之さん(51)によると、3年前から墓じまいの依頼が舞い込むようになったという。「3年前まではゼロに近かった」と話す。

公園をイメージした墓石展示場「石工房 和」。約100基が展示されている=つくば市新井

墓じまいは、先祖代々受け継がれてきた墓を撤去し、家族や親族がお参りしやすい墓地などに移転することで「改葬」ともいう。さまざまな手続きや作業が必要で、墓石の解体や撤去は石材店が請け負うケースが多い。

遺骨の引っ越し先は、寺院や霊園への墓建立、永代供養墓、納骨堂、樹木葬、散骨などがある。費用は移転先によって異なるが、墓じまいの時には閉眼供養(魂抜き)や墓所を更地にする代金のほか、墓を管理してきた寺から離檀料を請求されることもある。

同展示場は、圏央道のつくば中央インター近くにあることから他県の客が立ち寄る。県内の寺に改葬を希望する客の相談に応え、寺との橋渡しや撤去作業に他県まで足を運ぶことがあるそうだ。

塚越さんは「いまに限らず墓守りをどうしようと迷う人は多かったと思う。だが、墓は守っていくもので墓じまいはやっちゃいけないものだと思い込んでいた。テレビや新聞の影響で『やってもいいんだ』という風潮が広がった」と見る。

同社が受注する墓建立は月平均3件。その一方で、墓を維持するための修理やリフォームは月に4、5件あるという。「墓じまいが行われたのは墓地の一部で、従来のお墓を守るという弔いのかたちは保たれていると思う」と話した。

最近増えているのが2つの家の墓を1つの墓に合祀(ごうし)する「両家墓」で、受注した中の約2割が両家墓だという。一人娘が他家に嫁いでしまった場合など、将来的に墓を維持できない時に利用される墓の形態だ。また、東日本大震災で伝統的な和型の墓石の多くが倒壊したことから、震災後は背の低い洋風スタイルの墓が人気を集めているそうだ。

※メモ「永代供養墓」
家族や子孫が墓を継承して遺骨の管理や供養を行う家墓に対し、永代供養墓は霊園や寺院が管理と供養を行う。墓の継承者がいない人だけでなく、子どもに墓守りの負担をかけたくないという人にも広がっている。寺院や霊園によって異なるが、一定期間を過ぎると合葬される。

【台風19号】土浦1834人、つくば660人 避難所で一夜

0
避難勧告を受けて避難してきた住民=12日午後4時ごろ、つくば市小茎、茎崎交流センター2階大会議室、

【鈴木宏子】大型でひじょうに強い台風19号の接近に伴って、土浦、つくば市は12日午後それぞれ、桜川や霞ケ浦沿岸の浸水想定区域と、筑波山麓や谷田川沿岸などの土砂災害警戒区域に避難勧告を発令した。同日午後6時時点で、土浦市は23カ所の避難所に1834人、つくば市は10カ所に660人が避難した。ほとんどが避難所で一夜を明かすとみられる。満員になり受け入れを断った避難所もあった。

土浦市では12日午後5時50分までの12時間で93ミリ、つくば市は94.5ミリを観測し、土浦市は午後4時7分、最大瞬間風速20.7メートル、つくば市は午後5時27分に22.9メートルを観測した。

両市とも、指定避難所では備蓄品の非常食や飲料水、毛布などが配布されたが、足りなくなったところもあり、避難者は自分の食事や毛布などを持参して避難した。

避難勧告受け「初めて避難」

次々にやってくる避難者の対応に追われる市職員(左)=12日午後2時30分ごろ、土浦市藤沢、新治地区公民館ロビー

このうち自主避難所の土浦市新治公民館に午前中から避難した神立地区の会社員、林雅子さん(58)は「雨が降ると冠水しやすいところに住んでいるので早めに来た。初めて避難した。何を持って行けばいいか、あらかじめ市役所に電話しておにぎりやひざ掛けを持参した。足が悪くて正座ができないので、和室ではなくロビーの椅子にすわって一夜を過ごすつもり」と話し「足が不自由な人や、ペットを連れてきていいか聞いている人もいたので、行政は早めにたくさんの情報を出してくれた方がいい」と話していた。

つくば市茎崎交流センターに避難した同市森の里の主婦、山口良子さん(65)は「自宅近くに木が茂っているところがある。倒木が心配で初めて避難した。独り暮らしで車がないので、20分くらい歩いて来た。最初どこに避難していいかわからず、中学校に行って先生に避難所を教えてもらった」と話し「自分の家がどうなっているか、屋根は大丈夫か心配」などと語った。同じ森の里から家族3人で避難してきた母親(45)は「避難勧告が出されたので初めて避難した。コンビニでおにぎりを買ってきて、受け付けで毛布と水をもらったので一晩大丈夫だと思う」などと話していた。

冠水で通行止めも

つくば市では冠水により、12日午後5時20分現在、大角豆、沼田、今鹿島、下広岡の道路が一部通行止めになったほか、筑波山周辺の県道が通行止めになった。

公共交通は常磐線が終日、運転を見合わせた。つくばエクスプレスは12日午後1時以降、運転を取り止めた。

大型商業施設も臨時休業し、イーアスつくば、イオンモールつくば、イオンモール土浦は12日終日休業した。

午後1時以降の計画運休があらかじめ発表され、昼を過ぎると人が少なくなったTXつくば駅=12日午後0時50分ごろ

県議の安藤真理子氏が立候補表明 土浦市長選

0
NEWSつくばの取材に対し立候補を表明する安藤真理子氏

【鈴木宏子】任期満了に伴って11月3日告示、10日投開票で行われる土浦市長選に、県議の安藤真理子氏(58)が11日、無所属で立候補すると表明した。同市長選を巡っては現職の中川清氏がすでに立候補を表明している。当初、ほかに立候補の動きがなかったが、一転しそうだ。

安藤氏は取材に対し「今変えなければ土浦は変わらない。愛する土浦を元気にしたい。土浦を変えるのは今しかない」と決意を語った。現職の中川市長が立候補を表明した9月中頃から「このままの土浦ではだめ」「土浦を変えてほしい」などの声が多くの市民から寄せられたことが背中を押したという。

現在の市政に対しては「財源不足は拡大の一途をたどり5年後には取り崩せる基金も底が尽きるなど危機的な財政状況にあり、黙って見過ごすことはできない」「直ちに財政健全化を図り、将来を担う子供たち、孫たちのために、市長がリーダーシップを発揮すべき」と危機感を強調した。

公約としては、県議として土浦市を県につないできた経験を生かし、①県と連携しながら企業誘致など財源増につながる施策を推進する②急速に進む人口減少社会に対し、将来を見据えた自治体間の広域連携を図りながら政令指定都市を目指す③サイクリングのまち土浦を積極的にアピールし、常磐線とつくばエクスプレスの交通アクセスを向上させ、常磐道スマートインターチェンジの設置につなげる④休日や平日夜でも安心して子供を預けられる子育て支援施設の創設や家庭教育を支援する施策を総合的に推進する⑤介護現場で働いた経験から、高齢者本人も支える側も安心して暮らせるよう相談支援システムの充実を図る―などを掲げた。

安藤氏は市議2期を経て現在、県議2期目。自民党県連女性局次長、広報局次長などを務める。県立土浦二高、成城短期大学卒。総合介護福祉施設「プラザマアム」会長、土浦商工会議所女性会会長などを歴任している。

一方、投票日まで1カ月を切ったが、選挙態勢などはこれから構築するとし、「市民一人ひとりの声を応援隊にしたい」と話した。

➡土浦市長選の過去記事はこちら

台風19号接近 茨城国体 障害者スポーツ大会中止に

0
車いすバスケットボールの競技が行われる予定だったつくば市竹園、つくばカピオ。翌11日の公開練習を前に集まった競技団体スタッフに大会中止が告げられた=10日午後

【鈴木宏子】県国体・障害者スポーツ大会局は10日、非常に強い台風19号の接近により、茨城国体に続いて12~14日に開催予定の第19回全国障害者スポーツ大会「いきいき茨城ゆめ大会」の全日程を中止すると発表した。12~14日の3連休中につくば市や土浦市で予定されていた他のイベントや催しも中止や延期になるなど影響が出ている。

全国障害者スポーツ大会が中止になるのは初めて。つくば市では車いすバスケットボール、アーチェリー、ハンドアーチェリーが開催される予定だった。県によると個人6競技、団体7競技のほかオープン競技6競技に全国から総勢約5800人が参加予定で、10日までにすでに約2500人が来県しているという。

車いすバスケットボールが行われる予定だったつくば市竹園、つくばカピオでは10日午後、翌11日に予定されていた公式練習を前に集まった競技団体のスタッフに、大会中止が告げられた。担当の県職員は「何年も前から準備してきた。残念というか、まだ信じられない」と話していた。ロビーでは市職員が看板の片付けなどに追われた。

つくば  ラーメンフェスタは14日のみ、東北まつりは13~14日

台風19号の接近により、つくば市では12日、市内で予定されていた計35のイベントや催しが中止や延期になるなど影響を受ける。

「ラーメンフェスタ2019」(研究学園駅前公園で当初は12~14日に予定)は12、13日は中止とし、14日のみ午前9時から午後8時まで実施する。

「食と酒東北まつり」(つくばセンター広場で当初は12、13日に予定)は12日を中止とし、13、14日に開催する。

12日中止となるイベントはほかに▽中央公園スラックライン体験会▽つくばセンターマルシェ▽カツラギマルシェ(延期)など。ほかに幼稚園や保育園の運動会、児童館祭りなどが各地で中止となる。

詳しくは市ホームページ「台風19号イベント等の対応方針調査」へ。

土浦市 消費生活展、緑化フェアなど中止

土浦市では12日に予定されていた6つのイベントが中止となる。水郷体育館(同市大岩田)で開催予定の「市消費生活展2019」「第14回市環境展」、水郷公園(同)で開催予定の「市都市緑化フェア」「市子どもまつり」がいずれも中止となる。同日、市役所で実施予定の「市の木・市の花・市の鳥」絵画作品コンクール表彰式と、県県南生涯学習センターで予定されていた「ミュージックフェス土浦」も中止となる。

13日は、13小学校地区で開催予定の市民体育祭が中止や延期となる。

詳しくは同市ホームページ「台風19号の接近に伴うイベントの中止・延期について」へ。

【総合運動公園問題】市長、3パターン示し理解求める つくば市議会が第1回特別委

0
市議会第1回調査特別委員会の様子=10日、つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市による旧総合運動公園用地(同市大穂)の売却方針に対しこれまでに出された意見を改めて検討する市議会の第1回調査特別委員会(小久保貴史委員長)が10日開かれた。民間に一括売却する方針を示した五十嵐立青市長は、3つのパターンについて市の負担額を示し、一括売却に理解を求めた。

五十嵐市長は、市の財政調整基金(積立金)は現在約38億円しかないとして、①民間に全部売却する場合②3分の1を公的に利用し3分の2を民間に売却する場合③売却せず全部を公共施設として利用する場合の3つのパターンを示した。

①全部売却する場合の市の負担額は、これまでにかかった費用約68億円(土地購入費約66億円と利子約2億円)から売却額(事業提案した民間事業者が示しているのは40億円以上)を差し引いた額(28億円)にとどまり、売却後は固定資産税の収入を見込むことができるとした。②3分の1を公的に利用する場合は、公的利用のための土地造成費と施設整備費がかかるほか、土地を購入した際に金融機関から借りた借入金を返済する期限の2023年度末までに、現在の所有者の市土地開発公社から市が土地を購入する必要があるとした。③全部を公的に利用する場合は、2023年度末の期限までに市が市土地開発公社から土地を購入するため約68~70億円を予算化していく必要があり、毎年15~20億円程度を積み立てるか、返済費用を確保しなかればならず、ほかの事業に充てる予算を4年間減らしていく必要がある―などと説明した。

同特別委の今後のスケジュールは、来年3月までを期限とし、計4~5回開催することを決めた。市の一括売却方針に応じて、45ヘクタールを商業施設や物流倉庫などとして利活用するとの事業提案を市に示した民間事業者の事業計画に関する審議も行われたが、秘密会とされ非公開となった。

➡総合運動公園問題の過去記事はこちら

食とものづくり企業250社 技術や商品PRし交流 筑波銀行商談会

0
試食や食べ比べをする大勢の来場者でにぎわった食のコーナー=つくば国際会議場

【鈴木宏子】食やものづくりに関わる企業が一堂に介する「2019筑波銀行ビジネス交流商談会」(筑波銀行など主催)が9日、つくば国際会議場(つくば市竹園)で催された。県内を中心に北関東の約250社がブースを出し自社の技術や商品をPRした。約330社約2000人が参加し情報交換や交流、商談などを繰り広げた。

食やものづくりのベンチャー企業、観光・サービス業、大学、高校などのブースも並んだ。参加企業は年々増え、第10回目となった今年は前年より約20社増えたという。会場では半日で計約900件の商談が展開された。

筑波銀行(本店・土浦市)の生田雅彦頭取は「ブース展示を通じた情報発信やバイヤーとの商談により、業種を超えた連携や交流の促進、自社製品の今後の展開などに役立てていただければ」とあいさつした。

約90社が出展した食・海外販路・観光のコーナーでは茨城のコメの試食コーナーなどが設けられ、食べ比べをしたり、各ブースに並べられた新商品を試食する来場者で人だかりができた。ベンチャー企業のブースでは、AI(人工知能)を活用してものづくりの熟練技術の継承に取り組むライツ(LIGHTz、つくば市千現)など15社が自社製品をアピールした。

15社が自社の技術をアピールしたベンチャー企業のコーナー

高校のブースには県立土浦一高、つくば工科高校など9校が出展した。高齢者の交通事故が社会問題になる中、駐車場での交通事故を減らしたいと多機能カートのアイデアを考え発表した県立土浦一高2年の藤田彩花さんは「出展し来場者に説明することで、自分の中の何が課題なのか分かってきた」などと感想を話していた。

県立土浦一高、つくば工科高校など9校が出店した高校のブース

➡筑波銀行の過去記事はこちら

日本列島は何から出来ている? つくば地質標本館で特別展始まる

0
元素レベルの日本列島を案内してくれる太田充恒さん=地質標本館

【相澤冬樹】産業技術総合研究所地質標本館(つくば市東)で8日、特別展「日本初!日本列島大分析 元素で見る地球化学図」が始まった。同館1階ホールに日本列島をカラフルに塗り分けた多数のパネルと鉱物試料を展示する構成で、開催中の企画展「恐竜とアンモナイト―白亜紀の日本を語る化石」との2本立てになった。10月は毎週土曜日、両展示にまつわる関連イベントが催される。

地球化学図は、各地で地質サンプルを採集し、それぞれの土地がどんな元素でできているか、化学組成まで分析した上で、地図上にマッピング。日本列島で、鉄や銅などの金属元素が多いところはどこか、ネオジムなどレアアースを多く含む箇所はどこかなどを色分けして表現する。目に見えない元素レベルの所在を地質図と関連付けて可視化する地図だ。

産総研地質調査総合センターは、全国から川の砂(約3000個)、海底堆積物(約5000個)の試料を得て、53元素について分析し地球化学図の整備を進めてきた。日本列島が「何からできているか」をマクロに、そしてカラフルにとらえるこの図は、リニア新幹線のボーリング調査でのポイント選びや環境アセスメント調査などに用いられてきたそうだ。

同館では2004年以来、これまでに3回の展示があったが、今回は最も軽いリチウムから重いウランまで16の元素についてパネルにして表示、元素濃度をピンの長さと色でディスプレイ表示する「3D地球化学図」が初登場した。

同センター地球化学研究グループ長、太田充恒さんに案内してもらうと、「例えば銅は火山から生じる玄武岩の多い地質の下流に見られるが、カルシウムでできている石灰岩質の周辺でカルシウム濃度は低い。水に溶けてしまい砂としては採集できないためだ」などの話が聞ける。

パネルに合わせて鉄や銅の試料も展示=同

特別展は来年1月5日まで。「化石」の企画展は11月4日まで。原則、毎週月曜日(休日の場合は翌平日)が休館日。入館料無料。

10月中の土曜日の関連イベントは以下の通り。

▽12日=体験イベント「自分で作ろう!!化石レプリカ」(午前9時45分~など7回催行)

▽19日=企画展特別講演会「『ざんねん』じゃなかった!日本のスゴい古生物」講師・芝原暁彦福井県立大学恐竜学研究所(午前11時~・午後2時~の2回)

▽26日=特別展ガイドツアーと特別講演会「『地球化学図』の見方」講師・太田充恒研究グループ長(ガイドツアーは2回、講演会は午後2時~)の各イベントがある。

詳しくは同館(電話:029-861-3750)、同展のURLはこちら

➡地質標本館の過去記事はこちら

【茨城国体】アーチェリー少年男子、茨城は団体4位

0
3位決定戦の様子。声を掛け合い、団結して標的に挑む

【池田充雄】第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」アーチェリー競技は6日、つくば市の茎崎運動公園多目的広場で最終日を迎えた。少年男子団体の茨城県チームは大阪府との3位決定戦に臨むも延長戦で敗れ、4位に終わった。この結果により茨城県は総合成績11位タイ、天皇杯得点25点を獲得している。

アーチェリー競技の決勝ラウンドは4セットによるマッチプレー方式。大阪との3位決定戦、茨城は第1セットを47-51で落とすものの、第2セットを53-48、第3セットを48-47と連取。だが第4セットを35-50で落とし、延長戦では18-29で敗れた。

流れが変わったのは第4セット。1人目の大坂彰茉、2人目の上山魁が思うようなスコアを上げられず、3人目の飛田和真は時間切れで矢を放てなかった。「葛藤する時間さえなく、打つのをあきらめた」と飛田。「前の2人で時間を使いすぎ、飛田がシューティングラインに入ったときは残り7秒ほど。せめて12秒くらいはないと狙い込んでも打ち切れない」と、檜山敏明監督の説明。

予選ラウンドは4分で6本のペースなので、自分のリズムでじっくり射ることができる。だが決勝ラウンドでは、3人が交代しながら2分で6本を射る。風が変わるのを待つ時間的余裕もなく、当てなくてはいけないという気持ちが強くなると、さらに当たらなくなる。

国体のメダルマッチという大舞台ならではの環境もあった。周囲を大勢のギャラリーが囲み、1射ごとの結果は放送でコールされ、大型モニターに映し出される。また、準決勝までと違って矢取りがなく、気持ちを落ち着かせる間もないまま次のセットが始まる。こういった中で自分を支える強い精神力が必要となる。

大坂は「会場の雰囲気に流され、それまではなかった時間的あせりが生じ、自信を持って打てなかった」、上山は「緊張と雨風で体が萎縮して打ちきれなかった。準備と対応が甘かった」と、悔しさをにじませる。

だがその状況で、強豪の大阪と延長まで競り合ったことは、チームにとって自信にもなる。檜山監督は「技術的に大差はなく、メンタル面で相手が上だった。なんとかメダルを取りたかったが、国体4位は県勢で初めての成績。選手たちはよくやってくれた」と、ねぎらいの言葉をかけた。

第4位の賞状を手にする少年男子チーム。左から大坂、上山、飛田、檜山監督

➡茨城国体の過去記事はこちら

半世紀前「山津波」が襲った… 筑波山麓で地元団体が防災訓練

0
六所の滝上流の砂防ダムの説明をする大塚太郎さん

【相澤冬樹】猛威をふるう自然災害のニュースが各地から伝わる中、土砂災害警戒区域に指定されている筑波山麓の集落で「里の防災訓練」と銘打ったイベントが6日、地元民間団体の手によって催された。半世紀以上前に起こった「山津波」の現場を見学、被災の様子を経験者から聞いて、今後の防災に役立てようと筑波山麓グリーンツーリズム推進協議会が事務局となり、広く参加を呼び掛けた。

つくば市臼井の筑波山南麓にある里、六所集落が訓練の舞台。同協議会が管理するかやぶき小屋に約30人の参加者が集まって、自前の炊き出しをはさんで、被害体験や防災講義を聞いた。

最後の頼りは「共助」

同所は1966年7月2日未明、突如として起こった山津波に集落の一部が飲み込まれ、8戸が土砂に埋まる被害に遭った。今でいう土石流で、筑波山スカイライン管理事務所下で民間の開発業者が造成していたダムが折からの豪雨で決壊、一気に山を沢伝いに押し流した。人災として開発業者との賠償問題にも発展した事案だった。

山津波体験を語る木村嘉一郎さん

当時の経験を語ったのは同集落の元区長、木村嘉一郎さん(91)と小美玉市在住の田村(旧姓・松崎)直子さん(63)。木村さんは、発生時刻とされる2日午前0時10分ごろ、講屋(ごや)と呼ばれる集会所にいたが、次第に大きくなる音で、真っ先に異変に気づき、仲間たちを起こし、自宅や周囲に避難を呼び掛ける役を担った。

「田植えが終わった後、皆で労をねぎらう『さなぶり』の宴席があった。15、6人集まっていたが、雨で翌日の作業もないから、酔っ払って寝入ってしまう者もいた。酒を飲めない自分は、酔い潰れることはなく、話し相手になっていたから、0時を過ぎて大きくなるごう音に気づいた。後で新聞記者に聞かれて、米軍爆撃機の『B29みたいだった』と言ったら、そのまま記事になった。時間にして3~5分ぐらいだったろうか。真っ暗で何も見えない中を逃げ出した。3時ごろになって辺りが白んできて、戻ってみると講屋は泥に埋まっていた」

この山津波で死者は1人も出なかったが、寝込んだところを襲われ、自宅で泥流に巻き込まれたのが当時小学生の田村さんだ。唯一の重傷者として被災者リストに載った。「一緒に寝ていた母親は川に流され、救助されたのだけど、私は蚊帳にくるまってしまっていた。2カ月間入院し、ショックから目が見えなくなる症状まで出て大変な思いをした」という。家はかやぶき屋根と柱が残っただけだった。

木村さんによれば、当時の筑波町役場は被災者救済に熱心で、補償交渉の仲介にも入っていたが、ある時を境に急速に手を引いてしまったという。「復旧というか、復興事業を考えたら、人災というのはまずい。国の支援が遠のいてしまうと町は考えた。なので被災者は微々たる補償で納得するしかなかった」と証言する。「公助、自助、共助というが、最後に頼りになるのは共助しかない」と普段付き合いの中での防災意識の共有が大切と結んだ。

そうした経緯から整備されたのが、集落の北東を流れる沢にある「六所の滝」上流に出来た砂防ダム。この日の防災訓練では、土木技術専門家、大塚太郎さん(49)を招き、現状を見て回るなどした。大塚さんは「洪水被害を除けば、茨城県は災害の少ないところ。そのことが逆に防災への備えを甘くしているところがある。筑波山の山津波は数十年に一度は起こっていることだし、小さな山崩れはたびたびあるようだ。警戒を忘れてはならない」とアドバイスした。

ロープ結束や土のうづくりを学ぶ参加者たち=六所かやぶき小屋

➡筑波山麓、六所地区の過去記事はこちら