木曜日, 11月 13, 2025
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土浦のとび工、川島一男さんら5人 現代の名工に

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揚げ家工事をする川島一男さん(茨城県提供)

【山崎実】卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者を表彰する今年度の「現代の名工」に、茨城県から建築とび工の川島一男さん(71)=川島組、土浦市=をはじめ5人が選ばれた。11日の厚生労働大臣表彰の後、22日に県庁(水戸市笠原町)で開かれる県職業能力開発促進大会で業績などが披露される。

今年度で53回目を数えるこの制度は、技能の世界で活躍する職人や、技能の世界を志す若者に目標を示し、技能者の地位と技能水準の向上を図るのが目的。

茨城県からの受賞者は、川島さんのほか、▽田中尚氏(57)=数値制御金属工作機械工、日立製作所日立事業所▽中島崇衡さん(41)=金型保全工、パナソニックSPT石岡工場▽鈴木博巳さん(65)=建築塗装工、富士塗装店、日立市▽佐藤友昭さん(57)=石彫工、佐藤美術彫刻店、桜川市。

曳き家工事をする川島一男さん(同)

いずれもその道のベテラン技術者で、人材育成や後進指導に当たっている。川島さんは長年、住宅をはじめ文化財、寺社仏閣などの補強、曳き家工事(建造物の移動工事)などに携わり、施工実績は200件を超える。高校生の職場体験の受け入れを通して技術の継承、伝承に努めている。

石彫工の佐藤さんは、今も昔ながらの道具を使い、40年間にわたり1000体を超える石仏などの作品を手掛けてきた。石仏は曲線が多く、滑らかさを表現するのが難しいが、佐藤さんは、石が柔らかな布であるかのように仕上げる卓越した技能を持ち、後継者の育成にも取り組んでいる。

県によると、1967年に制度が始まって以来、県内から「現代の名工」として受賞された技能者は延べ235人に上る。

 

【土浦市長選】「市民の声を聞き、形にする」 初当選の安藤真理子氏が抱負

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初当選を受け抱負を語る安藤真理子氏=10日、土浦市下高津の選挙事務所

【鈴木宏子】『変わらなきゃね』という声がすごくあった。私より上の年代の女性が駆け寄ってきてくれて『よく(出馬を)決断したね』と言ってくれた。組織対市民一人ひとりの闘いだった――。現職で5期目を目指した中川清氏を破って初当選した前県議の安藤真理子氏は、10日投開票が行われた土浦市長選をこう振り返った。

ふたを開けてみると中川氏に4000票以上の差を付けた。「『(中川氏の)5期は長いよね』という声がすごく多かった。『安藤さんがいい』というのでなくて『中川さんは長い』という声が多くて、告示前には勝てると思っていた。会った人全員が投票に行っていたらもっと差が付いたと思う」と打ち明け、多選批判が勝因だったと分析する。

就任後、一番にやることは「まずは財政問題に取り組み(税収を増やすため)企業誘致に動きたい」と強調する。用途地域の見直しなども視野に入れているという。

現在、予定されている市立幼稚園の廃止や保育所の民営化計画に対しては「すべてを残すということではなく、一つ、二つ残したい。障害のある子(の配慮)は、決められた(職員の)人員配置だけでは難しい」と述べる。コミュニティーバス「キララちゃん」の運行を中心市街地だけでなく市全域に拡大してほしいという市民の声に対しても「(関係当事者と)話をしているので(運行拡大は)出来る」と断言する。

市政をどう変えていくのか。「市に何度要望しても、言うことを聞いてくれないから諦めたという声を何度も聞いた。まちを歩くと、こういうことをやってよという声をたくさんいただいた。そんなにお金が掛からず、今すぐ取り掛かれることはたくさんある。市民の声を形にしていきたい。市役所職員もアイデアをもっている。上からではなく(職員の)皆さんはどう思うの?と、アイデアを引き出していきたい」

➡土浦市長選の結果はこちら

【土浦市長選】新人の安藤氏が現職の中川氏破る 初の女性市長

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初当選の報に支持者らと万歳三唱の安藤真理子氏=土浦市下高津

【土浦市長選】(選管確定)

安藤真理子氏 23,610票

中川清氏 19,541票

(無効491票)

任期満了に伴う土浦市長選は10日即日開票され、新人で県議2期を務めた安藤真理子氏(58)=無所属=が、現職で5期目を目指した中川清氏(74)=同=を破り初当選を果たした。同市に初の女性市長が誕生する。投票率は37.35%、当日有権者数は11万6834人だった。

市政の継続か刷新かを巡って、財政の健全化や福祉の充実などの争点に一騎打ちの選挙戦が展開された。安藤氏は「チェンジ土浦」を旗印に、女性市長で暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる市政の実現を訴えた。立候補表明が投票日の1カ月前と出遅れたが、市立保育所を守ってほしい、コミュニティーバス「キララちゃん」を市内全域に走らせてほしい―など、市民の声に応える市政への転換を街頭などで訴えたことが奏功した。

中川氏は4期16年の実績を強調、「日本一住みやすいまち土浦」を掲げ、地域力と市役所力が一体となった協働のまちづくりや、行財政改革を続け市民サービスの向上などを訴えた。市内の商工業者、農業者団体の支持のほか、市議の3分の2の応援を受けて組織を引き締めたが及ばなかった。

安藤真理子(あんどう・まりこ)氏 58 社会福祉法人理事 無所属 新

【公約】①企業誘致、土浦ブランドの強力なセールスによる財源確保②自然災害に対応する必要不可欠なインフラ整備③市立保育所の維持

【略歴】県立土浦二高、成城大短大卒。市議2期、県議2期を歴任。現在、社会福祉法人俊真会理事、土浦商工会議所女性会会長。

万感の笑顔でダルマに目をいれる安藤氏=同

「市民一人ひとりの力で」

【安藤陣営】午後7時前に支持者が集まりはじめ、開票状況を見守っだ。速報が出るたびに同数だったことから、支持者がどよめいた。午後8時20分、いきなり当選の報が届くと、会場は「わっー」と歓声が上がり、「まりこ」「まりこ」のコールが起こった。

挨拶に立った安藤氏は「本当にうれしい。責任の重さを感じている。勝因は、組織ではなく市民一人ひとりの力。選挙運動期間中に土浦は変わらなきゃいけない、出馬してくれてありがとうと声をかけられたのがとても印象的だった。これから新しい土浦のスタートです。皆さんの声を聞きながら夢のある元気な土浦にしていきたい」と述べ、さらに「取り急ぎ財政の立て直しに取り掛かりたい」などと述べた。

5選目を目指しながら及ばなかった中川氏=土浦市東真鍋町

「多選批判もあると思う」

【中川陣営】土浦市東真鍋の選挙事務所には大勢の支持者が集まり開票を待った。午後8時20分、敗戦が伝わると、選挙事務所に集まった支持者は、にわかに信じられない雰囲気に包まれた。

中川氏は、「皆さんのご支援に答えられなくて申し訳ない気持ちです。本当にありがとうございました。市民が審判を下した結果なので、(安藤氏が)土浦市民のためにしっかり公約を守ってやっていただければ」と述べた。敗因については、「多選批判もあると思う。私の不徳の致すところだが、(安藤氏の)出馬が急だったので、陣営が整わなかった」と語った。

 

【土浦市長選】新人の安藤氏が現職の中川氏破る

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当選の報に沸く安藤真理子事務所=土浦市下高津

【速報】任期満了に伴う土浦市長選は10日即日開票され、新人で県議2期を務めた安藤真理子氏(58)=無所属=が、現職で5期目を目指した中川清氏(74)=同=を破り初当選を果たした。投票率は37.35%、当日有権者数は11万6834人だった。

安藤真理子氏 23,610票

中川清氏 19,541票

無効491票(選管確定)

詳報はこのあと。

日本の四季や風景を中心に35点 土浦で「茨城写人会」展始まる

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写真仲間が集う「茨城写人会」の写真展=「さん・あぴお」(土浦市大畑)

【田中めぐみ】写真愛好家サークル「茨城写人会」の写真展が新治ショッピングセンター「さん・あぴお」(土浦市大畑)2階ギャラリーで始まった。日本の四季をテーマとした風景や人物の写真35点を展示している。16日まで。

会の代表、石川隆史さん(46)は、県内の風景を手巻き式のフィルムカメラで撮影し、自ら現像したモノクロ作品4点を出展。「小学4年生からカメラを始め、30年以上続けている。デジタルカメラで撮ることもあるが、最初に手にしたのがフィルムカメラで、その良さにひかれ戻ってきた」とアナログ撮影の魅力を語る。やわらかい質感を表現するため、紙質やプリンターにもこだわっている。

カメラ暦50年の鈴木憲治さん=同

鈴木憲治さん(72)は、20歳からカメラを始め、途中仕事で中断していたが定年後再び撮影を始めたという。「年をとっても楽しめるのがカメラの魅力。とにかく自分が美しいと思うものを展示している。自分たちが楽しんで作っているので、観る人も楽しんでくれるのでは」と話す。

土浦市内から来場した女性(70)は、「自分も友達もカメラをやるので興味があって見にきた。山歩きも趣味なので、行ったことのある場所が撮影されていておもしろい。表現がとても詩的できれい」と話した。

会は2002年に発足。元は市内のカメラ店を拠点に活動していた「PhotoGenix(フォトジェニックス)」という会で、2007年から「茨城写人会」に改称した。現在は40代から70代の会員9人が所属し、交流を深めているという。同写真展は毎年6月と11月に開催されており、今回で32回目となる。

開催は午前10時から午後5時(最終日は午後4時まで)。入場無料。問い合わせは代表石川さん(090-9017-9692)

女子学生さん、いらっしゃい つくば市消防本部で職場体験

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防火衣を装着し火点めがけて放水する女子学生=つくば市研究学園

【橋立多美】つくば市消防本部は9日、同本部が置かれた中央消防署(同市研究学園1丁目)で女子学生向けの消防職場体験を実施した。県内外から女子学生10人と男子学生4人が参加し、防火衣着装や消火活動などの体験と女性吏員とのランチミーティングが行われた。

数年後に社会人となる若者に、消防の仕事の魅力と消防分野で活躍する可能性を知ってもらおうという催しで、特に女性をメーンに据えた取り組みは今回が初めて。

きっかけは2015年9月4日に施行された「女性活躍推進法」だ。消防・防災の分野でも女性が活躍することで住民サービスの向上と消防組織の強化につながるとして、消防庁が各自治体の女性消防吏員の比率を26年までに5%に引き上げることを数値目標とした。消防士は正式には「消防吏員」と呼ぶ。

同市は今年3月、同庁が定めた数値目標達成に向けて女性吏員の活躍の推進に関する行動計画を策定した。計画では21年までに女性吏員11人(全体の3.1%)以上を目指し、26年に18人(約5%)と目標を掲げる。4月現在の同市消防職員320人中、女性は10人で「男の職場」というイメージが強い。

靴、ズボン、サスペンダーの順に装着していく防火衣装着体験=同

消防活動の現場がよく分かった

体験は防火衣着装から始まった。防火靴、防火服、防火帽、手袋を指導を受けながら身に着けた。火災が発生した建物に進入する可能性のある吏員の防火衣は約8キロと重く、10キロの空気呼吸器(ボンベ)を着装することもあるという説明に「えーっ」と声が漏れた。

続いて防火衣を着けたままホースを使った消火訓練に挑んだ。火点に向けての放水体験で、先輩の吏員から「腰に重心を置いて前傾姿勢で」と声が掛かった。学生たちは「ホースは重く、水圧が半端なかった」と感想を口にした。

高さ15メートルの訓練棟ではしごを使った救出訓練が行われ、真剣なまなざしで迅速な活動を見学した。そして、患者搬送など救急隊員の負担軽減のために同本部が導入している「ロボットスーツHALR(ハル)」を装着した。

下妻市在住で救急救命士を志す晃陽看護栄養専門学校1年の人見莉花さん(19)は「スーツを着けたら20リットルの水が入ったポリタンクが楽に持ち上げられた。災害現場など幅広く活用できるのでは」と笑顔で話した。

好天に恵まれ、中高層ビルの救助や火災に力を発揮する、はしご車(地上約40メートル)の搭乗は学生たちには新鮮な体験だった。安全ベルトを外して地上に降り立つと「いい眺めで怖さは感じなかった」と頬を紅潮させながら語った。

搭乗は2人ずつで順番で待つ間に吏員と言葉を交わす場面が見られた。つくば市手子生在住で国士館大学2年の男子学生、安曽晃平さん(19)は「現場の話が聞けて良かった。消防士になりたいという気持ちが強くなった」。

地上40メートルまで伸びるはしご車に乗った男子学生=同

現役女性吏員との対話

女性吏員が女子学生と一緒に昼食をとりながら、疑問や不安に応えるランチミーティングが同本部のホールで行われた。消防吏員を目指したきっかけや消火、救急、救助、火災予防などの職務内容や給与など、現役女性吏員のきめ細かな説明を交えて和やかに意見交換が進んだ。

参加者から「体力に自信がない」という声が上がった。消防歴15年で警防課主査の斎藤智絵美さんは「採用時に体力試験はあるが、懸垂ができない男性もいるから気にすることはない。女性の視点を消防や防災に生かせるし働きやすい職場」と背中を押した。

同本部総務課課長で消防司令長の山田勝さんは「今回の催しで女子学生の皆さんが消防に関心を持ち、吏員に挑戦してほしい」と話した。

ランチを囲み、打ち解けて話が弾む参加者たち=同

色づく街に香り立つ つくばコーヒーフェスティバルに人出

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好天に恵まれたコーヒーフェスティバルの会場=つくばセンタービル広場フォラム

【相澤冬樹】つくばコーヒーフェスティバルが9日、つくばセンタービル広場(つくば市吾妻)で始まった。同フェスティバル実行委員会(古橋見洋委員長)主催で2回目、10日も午前10時から午後4時の日程で開かれる。

会場には同市と周辺から17のコーヒー店が集結、広場の円周を囲むようにテントが並び客を迎えた。飲食や雑貨の店も軒を並べた。

今年度のジャパン・カップテイスターズ・チャンピオンシップ優勝者が出るなど、つくばはトップクラスのバリスタを数多く輩出するそう。コーヒー豆の焙煎(ばいせん)から自前で行うロースターが多いのも特徴だ。それらの腕利きが一堂に会して、味や香りを競うのが同フェスティバル。

昨年の1回目は2日間で1万2000人を集めたことから、街のにぎわい創出にも一役買おうと今年もクラウドファンデイングで運営資金を集め、ボランティア参加を呼び掛けて開催に至った。クラウドファンデイングには昨年を大幅に上回る115万円が集まり、今回は2日間で1万5000人を動員目標とした。

初日の入りは出足好調。4杯分のチケットが付いた特製の笠間焼カップを手に持って、各店舗前の行列に並んで飲み比べに参加する。コーヒーを注いでもらい、飲み歩きならが次の店を探ったり、テーブル席についてじっくり飲み干したり、それぞれの時間を過ごした。

実行委員会事務局の堀下恭平さんは「天気次第ながら1万5000人はいきそう。各店のお客が応援がてら来場していて、店舗と来場者の距離が近いのが特徴」という。「センタービル広場では年間50日ほどイベントがあるようだが、お酒を出さないのはコーヒーフェスティバルぐらい。日の落ちるのが早い11月にぴったりのイベント」と手応えを語る。

牛久市から来たという山岡さん夫妻は「週末晴れたのは久しぶりだから、この後、筑波山まで行こうとしたが、紅葉の見ごろには早そう。コーヒーを飲むうち気が変わって、色づいてきた中央公園の並木道で済ますことにした」と話していた。

行列に並ぶ前に品定めの一周

【総合運動公園問題】一括売却に反対多数 つくば市議会特別委

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7日開かれたつくば市議会高エネ研南側未利用地調査特別委員会の様子

「市民の声聞くべき」「一部公共利用を」

【鈴木宏子】住民投票で白紙撤回になったつくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)を、民間に一括売却するという市の方針について検討する市議会特別委員会(小久保貴史委員長)が7日開かれ、委員一人ひとりが市の方針に対する考えを述べた。一括売却に反対や見直しを求める委員が多数を占め、「市民の意見を聞くべき」「一部公共利用も検討すべき」などの声が相次いだ。

次回は22日午後1時30分から開き、今回、各委員から出された意見をまとめた上で、今後どのような形で市民の意見を聞くかなどの進め方を検討する。特別委として来年3月までに報告書をまとめるが、今回、市の方針に反対する意見が多数を占めたことで、市の一括売却方針は見直しを迫られそうだ。

各委員から出された意見は次の通り。特別委は神谷大蔵議長を除く議員全員で構成。

自民つくばクラブ・新しい風

長塚俊宏氏 民間に委ねる前に時間をかけて公的利用も含め議会で考えるべき。46ヘクタールは広大。(今後このような)大きな土地を求めるのは難しい。筑波研究学園都市は災害に強い街。(同用地に)避難スペースを確保することも一案。30年間に首都直下型地震がある。国、県、東京都と直接、避難所として契約するような壮大な計画があってもいい。首都から50キロ、つくばエクスプレス沿いに歩いて1日で来られる距離だ。

黒田健祐氏 もう少し時間をかけて検討した方がよい。商業施設に対する懸念は理解できる。公的利活用について様々な可能性を追求したのか、資産としての可能性はどうか、中心地区の他団体と土地を等価交換する可能性なども検討できる。

小久保貴史氏 公共の一部利活用を含めて再検討する方がよい。(同用地はもともと)研究所用地だったので研究所や教育施設が望ましい。陸上競技場(の検討も)もちろんだが、今後、借入金の返済期間があるので、期限を決めて決定していくことが必要。現状は樹木が繁茂していて土地の形状がイメージできない。造成、伐根することも一案。つくば市の将来としてどう活用するか、大きな目標の中で、北部の振興、筑波山観光の広域インフラ整備、土地の交換、借金返済も含めてさまざまな方向で再検討すべき。

五頭泰誠氏(欠席・文書で提出)過去の経緯の議論は無しにして、市民要望を冷静に議論すべき。防災拠点、陸上競技場、市営斎場、処理場などがある。過去の政治にこだわるのではなく、利活用について積極的な議論が必要。

ヘイズ・ジョン氏 つくば市の足腰を強くして、30年後を考えてどうしたらいいか、将来のニーズをよく考えてお願いしたい。

久保谷孝夫氏(欠席・文書)もともと研究所や教育機関の用地だった。ただ売却して借金を返済するだけでなく、どうすればつくば市のためになるのか、地域の拠点になり得る利用方法があるのかを検討すべき。研究所や教育機関が望ましいが、拙速に進めるのではなく、どうすればつくば市のためになるかを考えるべき。

つくば市政クラブ

塚本洋二氏 陸上競技場や道の駅、併設して防災拠点などを検討してもいい。つくば駅から筑波山に行くまでの中間地点にある。筑波山観光の間の施設があってもいい。

大久保勝弘氏 (用地購入費と利子を含め)68億円を(民間提案の)40億円で売却すると28億円の損になる。一括売却は反対。(市執行部が)いろいろな市民の声を聞いたということがない。北部振興や筑波山観光、科学技術振興になるよう公的利用をすべき。県内一のスポーツ施設の整備、道の駅、自然環境を生かした公園整備など人口対策を考えた戦略をとるべき。

高野進氏 市長、副市長が出席すれば話をしたい。

柳沢逸夫氏 公的利用をお願いしたい。ゴルフ、バスケ、ラグビー等、スポーツで日本中が盛り上がっている。つくば市は今、人口24万人の街だが、筑波研究学園都市の整備やつくばエクスプレス開業など国や県の手厚い対応があったからだ。県南の雄としてスポーツ施設をつくり貢献することは、子供たちや保護者にとっても負担軽減になる。道の駅などの公的利用も考えられる。

須藤光明氏 第一に公共利用を考えるべき。防災拠点など市北部の中心地としての利活用を一番に考えるべき。北部振興を考えると、どうしてもある程度時間がかかってしまい、利息の負担がかかるし、万が一、具体的にならなかった場合、全面的に売却するとしても、市民に負担をかけさせないよう、安く売るのは避けるべき。

鈴木富士雄氏 一括売却には反対。(同用地は)桜川と小貝川にはさまれているが、浸水想定区域に該当しない。防災拠点、避難所として、平坦地なので有効な土地活用が可能。当面は広場として整地して、春秋の筑波山行楽シーズンに駐車場として利用して現地にバスで送迎してはどうか。筑波山の混雑緩和の一翼を担える。県内各地に道の駅がたくさんあり、創意工夫され、にぎわいの場をつくり出しているが、つくば市には道の駅がない。つくばを訪れる人の拠点となることが可能。つくば市にトップアスリートが来る機会も少ないので、県の方にお願いして県南のスポーツ施設の中心になればいい。

つくば・市民ネットワーク

小森谷佐弥香氏 一括売却処分がよい。ただし商業ゾーンが筑穂地区と重複しないことが前提。筑穂地区に悪影響にならないよう仕組みを作るのが肝。公共用地として残した方がよいという意見があるが、これまで具体的なものは聞こえてこなかった。市内には利活用が決まってない公共用地がたくさんある。必要な公共のものがあるならそちらを先にやるべき。(公共利用して)一部を残すと区画が限定され売却がさらに厳しくなる。

皆川幸枝氏 高い土地なので一括購入する業者がなかなか出てこない。毎年3400万円の利子を支払い、毎年利息が積み重なっている。福祉や教育で予算が必要なところがたくさんある。毎年利子を支払っていくのは現実的でない。

宇野信子氏 やっと光が見えてきた。一括売却はやむを得ない。68億円を40億円で売却するのは資産を減らす、市民に負担を強いるという意見があるが、そもそも不動産鑑定の問題があった。40億円代が適切な相場であって、公共用地として一部利活用すると、全体を考えないと売却できなくなる。(現在の所有者の)土地開発公社から購入すると、のちのち維持管理費がかかる。どうしても必要なものがあるのか、まとまってない。一括売却が一番。

北口ひとみ氏 執行部提案の一括売却処分が一番望ましい。筑穂地区の商業地と機能が重複しないことが前提だが。40年間塩漬けだった土地なのだから早く何とかするのは難しい。しかも平らでなく森林になっている。伐採伐根すると30億円くらいかかると言われている。事業者が一括購入後、区画整理して誘致するのが効果的で、高く買ってくれるかもしれないが、筑穂地区に重なるので商業用地やスーパー、モールはよろしくない。公共施設が具体的にイメージできないのでお聞きできれば。

日本共産党

山中真弓氏 66億円で(用地を)購入し利息2億円が付いて68億円を40億円で売るのは28億円の負債を抱える。基金などの財源を崩して穴埋めするというが(同用地は)市民の財産の一部になっている。市民の意見をきちんと聞いた上で利用法を考えるべき。市営墓地がほしい、子どもの遊び場がほしい、水遊びできる場所がほしいなどいろいろな意見がある。市民の意見を聞いた中で、本当に手放していいかどうか、議会で利用法をいくつか考えて、議会がパブリックコメントを出していく等、議会として提案してはどうか。

橋本佳子氏 一括売却は時期尚早。総合運動公園跡地は負の遺産であり(距離が離れた)茎崎地区でも反対運動が展開されたが、売却となり20億円以上のお金(損)が出るとなると、いろいろな意見が出ている。今回の執行部の提案は他の商業施設との関係、インフラ整備などデータが不足している。負の遺産を乗り越えて、もう一度、全部を市が使うというのではなく、無駄な公共事業はだめだが、お金をかけても市民に還元できるのであれば理解が得られる。利息が出るのは心苦しいが、もうちょっと踏ん張てみてはと感じる。茎崎地区で共産党がアンケートを取ったところ、早く売却しろという意見もあったが、市営墓地などの意見もあった。

滝口隆一氏 フラットに住民の意見を聞くことが必要。有識者からまちづくりをどうするかを聞く勉強会や、県議や元市長に意見を伺うことがあってもいい。議論を積み重ねながら、住民アンケートをするなどの作業が必応。

公明党

山本美和氏 売ればいいという考えには反対。自治体はまちづくりが一番大事。出発点として、不要な土地という視点ではなく、まちづくりという視点でとらえるべき。これだけ大きな土地を民間任せにするのは反対。現在つくば市は人口が増加しているが、将来必ず減少する。つくば市だけでなく広域的に、防災、交通などの面から、県南の拠点、北関東の結節点の役割がある。市が本当に(新たな利活用に向けて)動いたのか見えてこない。公的活用、民間活用も含めて「使いますか」「買いますか」としか聞いてないのではないか。公がしっかり入った上で「一緒にやりませんか」と動いてみてはどうか。商業ゾーンは反対。

浜中勝美氏 つくば市は2035年以降、人口が減り税収が減る。用地は46ヘクタールある。人、もの、カネが集まる都市づくりをしなくてはいけない。人を集める議論をして利活用すべき。一括売却には反対。文化施設、スポーツ施設、防災拠点など一部公共で利活用しながら活用すべき。つくば市は県に、県立高校の設置や県南のスポーツ拠点の整備を要望している。県と連携しながら進めるべき。

小野泰宏氏 これまでも慎重な判断を(市執行部に)求めてきた。(同用地は)北部の結節点にある。まず市のまちづくり方針が先にあるべき。現在の民間の案に商業施設の計画があるが、区画整理事業の結果できた(筑穂地区の)まちを壊すような計画をなぜ進めるのか。交通量調査、人口調査、サインディング調査なども情報不足だ。商業施設が適切か。既存の都市計画、立地適正化計画等との整合性を図るべき。県との連携等、複合的な連携という着眼点が必要だ。

つくば政清会

木村清隆氏(欠席・文書で提出)公共利用を多面的に検討すべき。フラットなタウンミーティングで市民の意見を聞く。一括売却は慎重に、急ぐことなく。

木村修寿氏(欠席)

新社会党

金子和雄氏 もう少し市民の声を聞いて、時間をつくってやっていくのが一つの方向。陸上競技場がいいという声は多い。つくば市は小中学校の建設ラッシュだが、面積が小さい、グラウンドが狭いという声がある。(同用地に)市営プールをつくって小中学校の子供たちがバスで行くなど、様々な工夫がある。時間をとって十分な議論をすることが大事。

山中八策の会

塩田尚氏 もともと購入した値段が高過ぎる、66億円で買って借金が膨らんで、今はつくば市の大きな市民負担になっている感覚が薄いが、3年後に返済時期がくれば70億円を超え、その時に市民から、なぜこんな高い買い物をしたのか、なぜこんなに借金が膨らんでも手をこまねいていたのかという批判が起こると思う、損切りしても10年経てばペイできるかもしれない―と、これまでは原案(一括売却)に賛成だったが、立ち止まってどうするか考えると、逆境を好機に変えて議論をして、もっといいものをつくるべきと思う。つくば市で一番必要なものはアリーナ総合体育館。アリーナはお金がかかるが、避難者を受け入れる防災拠点として、国、県、東京都などありとあらゆる方法で一部公共施設を考えるべき。

創生クラブ はがくれ

高野文男氏 条件付きで執行部案(一括売却)に賛成。(民間が示した)40億円は決まった金額ではない。再公募したときに納得できる金額かが問題。市民の税金や今後の財政を考えると、3分の1や全部を公的利用すると、周辺を含めた(まちづくりの)計画を立てないといけない。

➡つくば市総合運動公園問題の過去記事はこちら

色彩スクール経営の神山瑤子さん ふるさと つくばで新規事業

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芝生の生えそろったドッグランを愛犬が駆け回る=つくば市東岡

ドッグラン併設のカフェオープン

【伊藤悦子】犬と同伴でき、ドッグランも併設するカフェが1日、つくば市東岡にオープンした。オーナーは、同市出身の神山瑤子さん(65)。東京・麻布十番に開設するカラースクール「EVE GARDEN(イブ・ガーデン)」の経営を娘の楢崎悦子さん(45)に任せ、新規事業開拓の新天地を筑波山の見える、ふるさとに求めた。

オープンしたのは「イブ・ガーデン カフェ」。同市東部のニュータウン、流星台の分譲地に隣接する敷地を借りて、一軒家を建てた。エントランスのオープンスペースを広く取る分譲地にならったことで、筑波山を眺めながら、犬と人がくつろげる空間となった。在来のカシの木をシンボルツリーに残し、併設のドッグランは120平方メートルの広さ。その芝生の生育を待って開店した。

ドリンクメニューのお薦めは、専門茶葉のコクと甘みを堪能できるミルクティー。食事のメニューは茨城産の新鮮野菜をふんだんに使っている。神山さんは「このカフェを開くにあたり、愛玩動物飼養管理士2級の資格をとった。ペットの食育の勉強もしたので、ゆくゆくは犬のメニューも提供したい」と話す。

店内で「わんちゃんのお洋服」を紹介するオーナーの神山瑤子さん

色彩学を学んだ神山さんは結婚後、最初のカラースクールを土浦駅東口に開業した。EVE GARDEN社は1991年の設立、生徒数が増え、規模を拡大して2004年には本拠を麻布十番に移した。一人ひとりに似合う色、パーソナルカラーの研究を続け、2004年には娘の楢崎さんと共著で「パーソナルカラーの教科書」(新紀元社)を出版、コスメ事業部門も設立した。15年には「新しい『色』の教科書」(新紀元社)を出版。16年には日本の四季の色を一着の服に表現する「Jibun-fuku/じぶん服」ブランドを立ち上げた。

神山さんは中国発祥の陰陽五行説の色彩も学んだ。真っ白いビション・フリーゼのメイちゃんを飼い始めたのをきっかけに、犬にも色彩豊かな洋服を着させたい、という思いで犬の服作りをスタートした。犬と飼い主の相性を陰陽五行から読み取り、似合う色を提案する。「同じ種類の犬でも、毛の色や瞳の色、骨格で似合う色が変わる」という。その事業展開の地に選んだのがふるさと。「自分の育ったところは筑波山が見えなかった分、このロケーションが気に入った」そうだ。

店内には娘の楢崎さんがデザイン、制作した犬の洋服や小物が展示されている。1点もので、模様はすべて手書き。デザイン、プリント縫製なども自社アトリエで企画制作している。愛犬や愛猫の写真をモチーフにしたポーチやバッグの制作も行っている。飼い主とわんちゃんに素敵な生活を提供できればという。

カフェに同伴、ドッグランを利用できるのは体重10キロ以下で、ワクチン5種と狂犬病予防接種済みの犬。ドッグランには足洗い場や水飲み場も併設している。犬の排せつ物は持ち返りを求めている。

イブ・ガーデン カフェ(つくば市東岡82-1、電話:029-828-4862)営業時間は午前11時~午後6時、定休日は月・木、第1・第3日曜日。

カシの木がシンボルツリーになっているイブ・ガーデンカフェ=同

「常時使用」の条件付き 請願採択も利用1件 つくば市の障害者向け発電機補助

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企業を訪問する根本希美子さん(中央)親子(かけはしねっと提供)

【山口和紀】人工呼吸器を使用している難病患者や障害者を対象に、つくば市が今年4月から開始した非常時の家庭用発電機購入補助制度について、人工呼吸器を「常時使用」している人という条件が付き、実際の利用は1件にとどまっていることが分かった。地元の障害者団体の1人は「(補助制度は)大きな成果だと思う。条件がやや厳しすぎる可能性はあるが、まだ始まったばかりなので何とも言えない」と話す。

市の購入補助制度は、人工呼吸器を常時使用している医療的ケア者に対し、停電時など非常時にも医療的ケアができるように家庭用の発電機の購入費(12万程度から購入可能)を最大10万円補助する。人工呼吸器やたん吸引機を使っている人にとって、停電は命に関わる事態だ。この補助制度の新設によって大きな負担なく家庭用発電機が購入可能になる。

災害時の医療的ケアは全国的にもまだ支援体制が整っていない。つくば市は県内で初めて助成に踏み切った。全国にも先駆けとなる試みだ。

常総市の水害きっかけ

補助制度は、2018年につくば市の「かけはしねっと」が同市議会に提出した請願にもとづくもの。かけはしねっとは、常総市が水害の被害に見舞われた2015年の関東・東北豪雨や16年の熊本地震など、近年の災害をきっかけに設立された医療的ケアを必要とする子どもの親の会だ。代表の根本希美子さんは常総市の水害時、医療的ケアが必要な友人を自宅に避難させた経験から、「医療的ケア児の保護者が、顔の見える関係でつながることができれば良いと考えた」と設立の理由を語る。

請願書は昨年12月議会で全会一致で採択された。「常時使用」という条件は付いておらず、根本さんは障害者も高齢者も区別なくどちらもを助成の対象にすることを要望していた。しかし、実際は「常時使用」という条件が付けられ、医療的ケア者(児)でも「人工呼吸器」を24時間、「常時」使っている人に限られてしまった。高齢者は、そもそも常時使用していても対象外となった。請願で求めていた対象者より小さな範囲となってしまった形だ。根本さんは「どうして高齢者が対象にならなかったのかは疑問」だと述べた。

市保健福祉部障害福祉課によれば、今年9月30日までに、補助制度の利用相談は複数あったが、実際に支給が決定されたのは1件だという。制度の周知も課題だ。

台風19号はつくば市でも約3800戸の停電をもたらした。幸いなことに根本さんの自宅は「なんともなかった」というが、こうした災害はいつやってくるか分からない。東京電力も2011年度より、災害時に在宅患者への家庭向け発電機の貸し出しを行う体制を整えた。東京電力管内ではおよそ2400人が貸し出しの事前登録をしており、千葉で大きな被害をもたらした台風15号では20台を貸し出した。根本さんは「どれだけ備えても不安は残る」からこそ「つくば市の助成も含め様々な支援が積み重なれば良い」と語った。

かけはしねっとの集合写真(同)

筑波大付属病院 大幅減なぜ 来年度の臨床研修医マッチング

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筑波大学付属病院

【山崎実】厚生労働省は、来年度から臨床研修を開始する臨床研修医のマッチング結果を発表した。茨城県分は、募集定員に対し166人を確保したものの、筑波大付属病院は募集定員92人に対しマッチ者数が54人と、前年度比19人の減。県医療人材課は、大幅な減に首をかしげており「減少した要因の精査、検討を急ぎたい」としている。

医師臨床研修マッチングは、臨床研修が義務化されたことに伴い、日本医師会や研修医を受け入れる病院などで構成する「医師臨床研修マッチング協議会」が、医学生と病院の研修プログラムを一定の規則(アルゴリズム)に従い、コンピュータで組み合わせを探り決定するシステム。

公表結果によると、茨城県は募集定員225人に対し、マッチ者数は166人で、充足率(募集定員に対する確保人数)は73.8%。

病院別の募集定員とマッチ者数は別表の通りだが、県内の参加20病院中、募集定員に達した病院は昨年度の5病院(水戸医療センター、土浦協同病院、筑波メディカルセンター病院、JAとりで総合医療センター、茨城西南医療センター病院)から、今回は水戸赤十字病院、県立中央病院、日立製作所ひたちなか総合病院、牛久愛和総合病院、総合守谷第一病院が加わり、計10病院に増加した。

全体のマッチ者数は前年比3人の減だが、県がショックを受けているのは筑波大付属病院の19人の減。県内最多の募集人員(92人)と確保人数(マッチ者数54人)をけん引しているだけに、危機感を隠さない。

県内の参加20病院で組織する県医師臨床研修連絡協議会と連携しながら、研修医のさらなる確保ー医療人材確保の底上げに取り組む方針だ。

茨城県の臨床研修医マッチ者数
医療機関名 2019年度 2018年度 マッチ者数の増減
募集定員 マッチ者数 募集定員 マッチ者数
水戸赤十字病院 4 4 4 0 4
水戸協同病院 10 9 10 7 2
水戸済生会総合病院 10 7 10 8 ▲1
水戸医療センター 8 8 9 9 ▲1
茨城県立中央病院 9 9 9 4 5
日立製作所日立総合病院 11 9 12 9 0
日立製作所ひたちなか総合病院 8 8 8 7 1
土浦協同病院 15 15 14 14 1
霞ケ浦医療センター 2 1 3 1 0
筑波記念病院 10 10 8 6 4
筑波大学付属病院 92 54 90 73 ▲19
筑波メディカルセンター病院 12 10 10 10 0
筑波学園病院 2 0 5 1 ▲1
東京医科大学茨城医療センター 8 4 10 4 0
牛久愛和総合病院 5 5 5 4 1
つくばセントラル病院 2 0 3 0 0
JAとりで総合医療センター 5 5 5 5 0
総合守谷第一病院 2 2 3 1 1
友愛記念病院 4 0 4 0 0
茨城西南医療センター病院 6 6 6 6 0
合計 225 166 228 169 ▲3

※定員に空席がある病院は今後二次募集を実施する

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つくば市中心地区に屋外アート現わる 国内外16人が滞在し制作

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中央公園の池とつくば市民ギャラリーに映像を投影するプロジェクションマッピングが開幕を告げた

【相澤冬樹】国内外の芸術家がつくばに滞在し、作品を制作・展示する「つくば国際アーティスト・イン・レジデンス2019―第7回国際つくば現代美術『周縁の美学展』」が4日、幕を開けた。つくば市とNPO法人つくばアートセンター(篠原光子代表)主催で、17日まで。同市吾妻の中央公園をはじめとするセンター地区の屋外空間を会場に展開される。

7回目を迎えた今年は、米国、フランス、インドなど10カ国から16人のアーティストが参加。現代アートの空間造形の手法である「インスタレーション」による公開制作が10月26日から行われてきた。つくばセンタービル広場には舟のように木の枝が組み合わされた展示が並ぶなどした。最終的に、展示会場はさくら民家園、中央図書館中庭、つくばカピオ別棟、つくば美術館屋外展示場などに広がった。

4日はオープニングイベントが行われ、市民ギャラリーで開催の開会式にはアーティスト全員が集まって、それぞれ展示に臨む意欲を語った。つくばの中心市街地は「古びたところもあって、インスピレーションを刺激する」という作家もいた。

開会式直後、いきなり中央公園からつくば駅方面へ街歩きのパフォーマンスが始まる展開で、遊びに来ていた家族連れは「何事か起こったのか」ときょとんとした表情。日没を待って、市民ギャラリーをキャンバスに投影するプロジェクションマッピングも行われた。

同展は一部ワークショップを除き無料。会期中、9日、10日、16日には小学生と保護者を対象にしたアートガイド(市民ギャラリー集合で約1時間、要予約)が、最終日17日には午後4時30分からさくら民家園集合でナイトアートツアーが、それぞれ行われる。問い合わせは、つくばアートセンター(hearth.art981@gmail.com)

出展のアーティストが並んで自己紹介する「周縁の美学展」開会式=つくば市市民ギャラリー

➡つくばアートセンターの過去記事はこちら

膝に人工関節も連日の登山 土浦「小町山」の愛好会長

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斎藤さん(㊨先頭)が考案した山登りのサポート杖=土浦市小野
斎藤晃さんと小町山周辺の山並み

【相澤冬樹】低山といえど、山頂を目指すならトレッキングやハイキングではなく「登山」。筑波山系に連なる標高361メートルの小町山(土浦市小野)では、地元の愛好家がルート整備をしながら山登りを楽しんでいる。小町里山愛好会―。会長の斎藤晃さん(77)は毎日午前中の登山を欠かさないほどの熱の入れようだが、その右膝には人工関節が入っているというから、“健脚”っぷりには驚かされる。

土浦市小野の「小町伝説」に由来する小町山。愛好会が勝手につけた名だが、最近はグーグルマップにも載っている。会の結成は2017年3月、所有する地元砕石メーカーの協力のもと山に立ち入り、同所の「小町の館」から山頂に至る3つのハイキングルートを整備している。

東のハイキングコースに連結する朝日峠展望コース、中央の急勾配を登る尾根コース、西の沢伝いを回り巨石群に抜ける天の川コースの3コース。お隣りの宝篋山(ほうきょうさん、標高461メートル)の登山道整備に一役買ったメンバーが加わって、ルート整備を担っている。

秋の紅葉シーズンともなるとごった返すほどの人出となる宝篋山の混雑を避けて、小町山に移ってきた愛好者が多い。「標高は100メートル低いが難易度からいえば小町山。甘く見てると意外な急勾配に息が上がってしまう」そう。変成岩の一種、ホルンフェルスが大きく露頭している場所などがあり、「小町の舞台」だの「おかめ岩」だの名付けて楽しんでいる。

「山は診療所」健康増進に新兵器も

活動の先頭に立つのが、登山道入口近くに自宅を構える斎藤会長。70歳を超えて人工関節を右膝に入れ、とぼとぼ歩いていたところを山に誘われた。一念発起して登ってみると、脚の痛みも忘れ、一気に病みつきになった。以来毎朝、多少の雨ぐらいは意に介さず登るようになった。今では1時間ほどかければ登れるという。

「年取ると何かにつけ出歩くのがおっくうになるが、山歩きほど健康増進にいいものはない」と斎藤さん。多くの人に山の良さを知ってもらいたい、と最近、足腰が心許ない高齢者を同伴するための新兵器も開発した。2メートルほどの長さに切った竹材2本を布のない担架のようにして用いる。介助者が前後に立ち、中央に高齢者などハンデキャップ者をはさんで山道を登るものだ。

「山は診療所」といい、自宅の納屋は「山小屋」と呼んで活動の拠点にしている。2日開催のスタンプラリーには家族連れなど約180人が参加した。こうしたイベントは年1回しかできないが、山道の整備作業は月1回程度行っており、ボランティア参加を歓迎している。

申し込み・問い合わせは斎藤さん(電話:090-2526-2131)

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筑波大、流経大に敗れる 関東大学サッカー茨城ダービー

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【筑波大―流経大】後半9分、流通経済大ゴールを攻める筑波大MF山原怜音(水色のユニホーム)=龍ケ崎市中里のたつのこフィールド

【崎山勝功】第93回関東大学サッカーリーグ1部後期第19節の筑波大―流通経済大戦(通称「茨城ダービー」)が3日、龍ケ崎市中里、市陸上競技場たつのこフィールドで行われ、筑波大が0-1で流経大に敗れた。筑波大は3日時点でリーグ4位で、残り3試合を前に全日本大学サッカー選手権(インカレ)出場圏内の上位5チーム入り(リーグ優勝の明治大を除く)を維持できるか、微妙な情勢となった。

筑波大は、前半13分に流経大FW山口大輝(4年)にシュートを決められ失点を許した。同点に追いつこうとMF高嶺朋樹(4年)らがシュートを計3本放ち流経大ゴールを攻めるも得点にはつながらず、前半を折り返した。

後半も流経大優勢の流れは変わらず、筑波大ゴール前をGK大川圭為(4年)ら守備陣の健闘で辛うじて点差が広がるのを阻止していた。筑波大は後半12分にFW森海渡(1年)、同30分にFW和田育(1年)、同44分にMF加藤匠人(2年)を相次いで投入したが、試合の流れを変えるには至らず、同点に追いつけないまま試合は終了した。

5月に行われた前期第9節の茨城ダービーでは、筑波大が流経大に1-0で勝利していた。しかし流経大は茨城国体の県チームに選手14人が出場して、茨城県の優勝に貢献。国体が終了しメンバーが復帰してからは、流経大はこれまでの関東大学リーグ最下位(12位)の不調を取り戻すかのように快進撃を続ける。3日時点で11位ながらも10位の早稲田大とは勝ち点差を1まで縮めて、2部降格圏脱出を図っている。

筑波大は2日のインディペンデンスリーグ(Iリーグ)=大学トップチーム以外の選手対象=でも流経大と対戦し、筑波大U-22Aチームが1-2で流経大U-22Aチームに敗れた。

「完敗と言っていい」筑波大の小井土正亮監督 流経大が隙無く戦って、我々のミスを確実にものにした。我々は一度も相手の隙を見つけることができなかった。完敗と言っていい。(流経大は)国体も戦って、リーグ戦も戦って、というハードな日程をこなしていることにリスペクトしている。茨城国体で優勝したことが少なからず(流経大)選手の自信になっていると思う。まだ(インカレ)出場権は確定した訳ではないし、出られるために勝ち点を1ポイントずつ稼いでいくしかない。残り3試合をいい準備をして勝ち点を取る戦いをしていきたい。

「国体の経験生きた」流経大の中野雄二監督 ウチ(流経大)は今の順位が良くないので勝つしかない、という気持ちがゲームのいろんな場面に出ていた。筑波大とは昨日(2日)もIリーグでもいい試合をやらせてもらって、今日(3日)もまた2日連続でこういう試合になったけど、筑波大という素晴らしいチームがそばにあるので、切磋琢磨して頑張ろうという気持ちになれる。国体は47年に一度。僕らの今年の一番の目標は「国体優勝」だった。リーグ戦に影響があったのは事実だが、ここに来て国体の経験が生きて4連勝している。

スタンドから声援を送る筑波大蹴球部員たち=同

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中川氏と安藤氏が一騎打ちへ 土浦市長選告示

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出陣式の様子

任期満了に伴う土浦市長選が3日告示され、現職で5期目を目指す中川清氏(74)=無所属=と、新人で県議2期を務めた安藤真理子氏(58)=同=が立候補を届け出た。市政の継続か刷新かを巡って、一騎打ちの選挙戦に突入した。

中川氏は4期16年の実績を強調。「日本一住みやすいまち土浦」を掲げ、地域力と市役所力が一体となった協働のまちづくりや、行財政改革を続け市民サービスの向上などを訴える。市内の商工業者、農業者団体の支持のほか、市議の3分の2の15人の応援を受けて万全の組織で再選に挑む。

安藤氏は「チェンジ土浦」を旗印に、暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる市政の実現を訴える。市立保育所を守ってほしい、コミュニティバス「キララちゃん」を市内全域に走らせてほしい―など、市民の声に応える市政への転換を街頭などで訴え、市民に浸透を図る。

有権者数は11万8348人(2日現在)。選挙権が18歳以上に引き下げられたことから前回より約3000人増えた。前回の投票率は28.42%だった。

投票は10日午前7時~午後6時まで市内50カ所で行われ、午後7時から、同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育館)で即日開票される。大勢判明は午後8時ごろの見込み。

出陣式で訴えを述べる中川清候補

中川清(なかがわ・きよし)氏 74 市長 無所属 現④

【公約】①民間活力の誘致による魅力ある霞ケ浦湖畔の創出②サッカー等多目的広場の整備③若い世代の結婚・出産・子育て支援の充実
【略歴】県立土浦一高、慶應義塾大経済学部卒。土浦商工会議所会頭、県公安委員長を歴任。2003年11月から現職。

【中川陣営の出陣式】午後4時から同市城北町のホテルで出陣式。地元の青山大人衆院議員、伊沢勝徳、八島功男両県議、市議15人のほか、商工・農業団体代表者、県内各地の市町村長らがずらりと顔をそろえ「難しい時代だからこそ安定、継続、安心」(伊沢氏)が求められるなどとアピールした。中川氏は「人(市職員数減)やお金(財源)がなくなっていく中で時代に合わないものは止めていった。そういうことをして(市立図書館や消防庁舎など)老朽化し狭あい化していた公共施設を建て替えることができた」と行財政改革の成果を強調。今後は新しく整備した公共施設を活用しソフト面を充実したまちづくりを進めたい、国に先駆けて実施した子育て支援コンシェルジュやふれあいネットワーク事業をさらに充実させたいなどと訴えた。

 

出陣式で訴える安藤真理子氏

安藤真理子(あんどう・まりこ)氏 58 社会福祉法人理事 無所属 新

【公約】①企業誘致、土浦ブランドの強力なセールスによる財源確保②自然災害に対応する必要不可欠なインフラ整備③市立保育所の維持

【略歴】県立土浦二高、成城大短大卒。市議2期、県議2期を歴任。現在、社会福祉法人俊真会理事、土浦商工会議所女性会会長。

【安藤陣営の出陣式】午前11時から同市下高津の選挙事務所で出陣式。駆けつけた市議は2人だったが、同僚だった県議14人が顔を並べた。片山さつき参院議員(元内閣府特命相)が応援の先陣を切り「ケンミンショーで嫌な思いをさせられてきた茨城のイメージを一新するには、これまで一人もいなかった女性市長の誕生しかない」とハッパをかけた。安藤氏は「県内一古く全国でも3番目に古い市立土浦幼稚園の存続を支援したい。元気な高齢者が社会を支えていける制度を作っていきたい。財政の危機が言われるが、土浦には企業や消費を呼び込める立派な宝がたくさんある。支出を抑える施策はもう限界で、収入を増やす方策を考えるべき。売り込みに自ら足を運ぶトップセールスで臨みたい」とアピールした。

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筑波大とつくば市の図書館が連携協定 記念にブックカフェで交流

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屋外にオープンしたブックカフェで、日常とは異なる環境の図書館を楽しむ参加者ら=つくば市天王台、筑波大学付属図書館脇

【鈴木宏子】筑波大学付属図書館(つくば市天王台、阿部豊館長)と同市中央図書館(同市吾妻、柴原徹館長)が連携協定を締結し、2日、第1弾の事業として付属図書館脇で記念イベント「ライブラリーピクニック」を催した。本を積んだ車が屋外でブックカフェをオープンしたり、市の自動車図書館が本を貸し出すなどの催しが展開された。

将来は教育・研究機関とも

互いの図書資料やウェブ上のデータの相互活用、人的交流などを推進しようと今年9月、連携協定が締結された。大学と市町村図書館の協定締結は県内初という。

今後、どのような事業を展開していくかは、協定締結に合わせて設置した「つくば市域図書館連携協議会」で検討していく。同大学術情報部アカデミックサポート課の村上康子課長は「まずは垣根を取り払って、互いが持っているリソースや人材の交流ができれば」と話す。同市の柴原館長は「将来、市民がワンストップの窓口で互いの資料を利用できるようになれば」と期待を寄せる。

市内には、各研究機関に図書館や図書室などがあり、それぞれ専門資料を所蔵していることから、将来は、市内の研究機関や他大学の図書館にも参加を呼び掛ける。

2日のライブラリーピクニックは、日常と異なる環境で図書館を楽しみ、利用者同士が交流しようと開かれた。神奈川県横浜市都筑区で活動する「つづきブックカフェ」が会場でカフェを開き、参加者は車に積んである本を手に取って、屋外に設置されたイスに座ってコーヒーを飲みながら本を読んだり、読み聞かせを楽しんだりしていた。

大八車で商店街に乗り込む つくば出身の若者グループ

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「スタジオウイークエンド」の(左から)横山大貴さん、小林大介さん、鶴身侑未さん

【相澤冬樹】再生整備に取り組む古くからの町によく似合う――と、大八車の再活用を提案する4人の若者が2日、「秋の北条市」開催中のつくば市北条商店街に3台の大八車を持ち込み、移動式屋台への転用を目論むプランなどを披露した。

4人は県立並木高校出身の横山大貴さん(25)らでつくる「スタジオウイークエンド」。竹中工務店大阪本店の設計部門に勤務する同僚グループで、つくば市の「つくばR8地域活性化コンペティション」に、活性化プラン「旅する大八車と小さなパレード」を応募して採択された=7月27日付け。かつて荷物運搬道として栄えた「つくば道」などで用いられた大八車を再活用し、つくば市周辺の旧市街地を移動しながら、地域で開催される祭などに参加、新たな繋がりをつくるプロジェクトという。

大八車は江戸時代から昭和初期まで、家財や商材などを荷台に載せて人力で運んだ木製の貨物運搬車。採択以降、周辺市街地で眠っている大八車がないか探したところ、北条、小田、谷田部の3地区で1台ずつ見つかり、譲り受けた。呉服店やタバコの運搬に使われたもので、大正年間の記録も出てきた。

それぞれ分解し、車輪や荷台を採寸して図面に書き起こす一方、どのような屋台を載せたらいいか、花車などのミニチュアを製作して、修復に向けた作業を進めた。来年2月に予定される成果報告会までに完成させる予定。活性化に向けたリノベーションなどに取り組む周辺市街地で、イベントやお祭りに貸し出すなど、地域振興のツールとして活用を図りたい考えでいる。

まちなか運動会の開催で賑わう「秋の北条祭」=2日、つくば北条商店街

今回の「大八展」は、さらにどんな展開ができるか、完成後の適当な保管場所がないか、など情報収集も兼ねての展示となった。折から「まちなか運動会」を開催中の北条商店街では、「うちの蔵にもあったから」と大八車の車輪を持ち込んで展示に加える商店主もいて、関心を引いた。

同グループは3日、谷田部地区で開催の「オータムフェア」にも出展する。

漆塗りでよみがえる「神橋」渡り初め 筑波山神社御座替祭

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修復を終えた神橋を渡る御座替祭のみこし=つくば市筑波、筑波山神社

【鈴木宏子】江戸時代初期に建造された筑波山神社(つくば市筑波)の神橋(しんきょう)が30年ぶりの修復を終えた。1日、山頂と中腹の神が夏と冬に住まいを替えるとされる秋の御座替祭(おざがわりさい)が催され、色とりどりの装束をまとった祭りの行列が神橋の渡り初めをした。

神橋は、第3代将軍、徳川家光が1633年に筑波山神社を整備した際、建造された。明治政府の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)政策によって多くの建物が破壊されたが、神橋は破壊を免れ、現在は県指定文化財になっている。

屋根を備えた幅3メートル、長さ7.3メートルの朱色の太鼓橋で、日光東照宮と同様に彫刻と彩色で華麗に装飾され、江戸時代初期の建造物の特徴を備えている。

修復工事は2018年5月から今年10月まで実施された。前回は1988年に実施し30年ぶりの修理となった。

30年ぶりに漆塗りがよみがえった神橋

土台や柱の腐食部分を交換した。柱は、くぎや金具を使わない「金輪継(かなわつぎ)」という伝統的技法で組まれた。屋根は厚さ3ミリのサワラの薄い板を3センチずつずらしながら7枚重ねる「杮葺(こけらぶき)」という技法で全部ふき替えた。塗装は、30年前の修復時は合成塗料が使われたが、すべて除去し漆塗りとした。

文化財の修復を全国各地で手掛ける金剛組が施工し、小西美術工藝社が塗装などをした。修復費用は約1億2000万円で、県と市、同神社が実施した。

神橋は普段は立ち入ることができず、御座替祭が催される4月1日と11月1日の年2日だけ渡ることができる。修復が完成した今年の御座替祭は昨年より多くの見物客が訪れ、御座替祭の一行に続いて渡り初めをしたり、写真に収めたりしていた。

昨年に続いて祭りを見物した、かすみがうら市の主婦、袖山幸子さん(68)は「去年は工事中で神橋は工事の足場に覆われていた。今年はきれいになっていて、渡れて良かった」と話していた。

修復工事完了の特別企画として現地説明会を開いた市文化財課の石橋充さんは「神橋は日光東照宮より早くできた。筑波山神社の建物を見直してもらえたら」と話していた。

たすきリレー土浦駅前から出発 児童虐待防止啓発の「オレンジリボン」

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オレンジ色のタスキを付けた走者たち=1日午前8時30分ごろ、土浦市大和町のアルカス土浦

【崎山勝功】児童虐待防止の啓発活動、オレンジリボン運動=※メモ参照=を広める「子どもを守ろう!オレンジリボンたすきリレー2019」の出発式が1日、土浦市大和町のアルカス土浦屋外広場で開かれ、県内の児童施設職員ら22人がゴールの茨城県庁(水戸市笠原町)に向かって出発した。

出発式で児童養護施設「窓愛園」(土浦市殿里)の上方仁理事長は「大切な子どもたちを守っていかなきゃいけない」と述べ、児童虐待防止を訴えた。上方理事長と中川清土浦市長からオレンジ色のたすきを手渡された走者たちは、午前8時30分ごろに中川市長の競技用ピストルの合図に合わせ、晴天の下、県庁まで約50キロの道のりを駆け出した。

たすきリレーは、児童虐待防止を広く市民に知ってもらうために、県児童福祉施設協議会、県要保護児童対策地域協議会が主催して開かれ、2013年から今年で7回目の開催。

取材に上方理事長は「虐待だけでなく、いじめも増えていて子どもが大切にされなくなっている。もう一度子どもの大切さを再認識してもらいたい」と訴えた。

◆増える一方の児童虐待通報

県こども家庭課の統計によると、県内の虐待相談対応件数は、直近の2018年度で2687件(全相談件数5995件中44・82%)で、虐待相談対応件数が急増し始めた16年度の2038件よりも約600件も増加している。県では、土浦など県内3カ所の児童相談所(児相)で対応した全ての児童虐待案件の概要を県警に情報提供する取り組みを18年1月から実施しているが、児童虐待は増加の一途だ。


同課によると、18年度での児童虐待2687件の内訳は▽心理的虐待56・6%▽身体的虐待26・6%▽ネグレクト(育児放棄)15・3%▽性的虐待1・5%。児童虐待の加害者別では、▽実母46・6%▽実父44・8%▽実父以外の父6・3%と、実母と実父で約8割以上を占めている。

被害児童の年齢別では▽小学生34・6%▽3歳~就学前24・7%▽0~2歳児18・0%▽中学生14・8%▽高校生ほか7・9%と、自力で抵抗できない小学生と未就学児だけで被害児童の約7割強を占めている。

児童相談所や市町村間での適切な引き継ぎの実施や警察との連携強化、児童福祉司などの専門職員の増加を盛り込んだ議員提案条例「茨城県子どもを虐待から守る条例」が、昨年12月県議会で成立し、4月1日から施行された。

だが、相次ぐ児童虐待に対して上方理事長は、児相に一時保護要請が毎日のように来ている現状に触れて、児童養護施設は「どこも定員いっぱい。虐待児童を受け入れたくても受け入れられない。本当は(親元に)お返ししないで、少しお預かりしたほうがいいけど」と苦しい事情を明かした。

※メモ・オレンジリボン運動
2004年、栃木県小山市で当時3歳と4歳の兄弟が、同居していた父親の友人から暴行を受けた末に川に投げ込まれて死亡した事件を受けて、05年に同市の市民グループ「カンガルーOYAMA」が事件の再発防止と児童虐待防止を目指して始まった。

【アングル土浦市長選】6 サイクリスト1.5倍に 駅ビルが起爆剤

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世界レベルのサイクリング拠点と評価される土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」

【鈴木宏子】霞ケ浦や筑波山をめぐる全長約180キロの自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」の2018年度の利用者数が8万1000人と前年度の1.5倍に急増した。20年に10万人という目標を今年度中に上回りそうな勢いだ。

昨年、1.5倍に急増した理由について県地域振興課は、自転車道の整備などハード面の環境整備と、サイクリスト向けサービスの充実や情報発信などソフト面の取り組みのほかに、土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」がサイクリング拠点として開業したことが非常に大きいと分析する。

「土浦駅ビルは世界レベルのサイクリング拠点」だという評価も専門家から出ているという。駅直結の拠点施設で、シャワーやロッカーも整っていること、さらに駅ビル内にあるレストラン、物販店、コンビニまでもがすべて、自転車で利用できる「自転車ファースト」が貫かれていること、来年3月にはサイクリングを楽しむためのホテルが完成し、自転車の拠点施設としてのスケールの大きさが世界に例を見ないという評価だ。

選定されれば「次は世界」

つくば霞ケ浦りんりんロードは、日本を代表し、世界に誇る、国のナショナルサイクルルートの第1次指定候補にも選ばれた。瀬戸内海を渡る「しまなみ海道サイクリングロード」(広島県・愛媛県約70キロ)、琵琶湖を一周する「ビワイチ」(滋賀県、約190キロ)と並ぶ候補だ。

正式に選ばれれば、次は「世界に打って出る」と県担当者。英語や中国語などの看板表記を増やすなど環境を整え、さらにこれまでは台湾など自転車が盛んなアジアを中心にモニターツアーなどを開催してきたが、今後は個人旅行が主の欧米などからの旅行客にもPRしたいとする。

結節点から玄関口に

駅ビル「プレイアトレ土浦」のオープンは土浦市の位置づけを、サイクリングコースの結節点から、玄関口へと変えた。

こうした中、市は今年3月、霞ケ浦を臨む土浦港周辺の旧京成ホテル跡地にサイクリング施設「りんりんポート土浦」を整備した。今年度は次の段階として、マリーナを含む南側3.9ヘクタールに民間事業者の創意工夫を生かした集客・誘客施設の整備を促せないかと、民間事業者のヒヤリングなどを実施している。気運を捉えて、官民連携による観光拠点を整備し、にぎわいを創出したい考えだ。
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