【鈴木宏子】3年連続減少していた土浦市のコミュニティバス「まちづくり活性化バス キララちゃん」の利用者が、昨年度、4年ぶりに微増となり減少に歯止めがかかった。昨年から朝7時台の早朝便の運行を開始したほか、昨年12月、初めて、ボランティアガイドの案内でバスに乗り降りしながら寺院を巡るイベントを開催し、定員の2倍の応募があったなど新たな手応えを得たという。
バスを運行するNPO法人まちづくり活性化土浦(同市中央)によると、利用者数は2005年3月の運行開始以来、ほぼ毎年増え続けていたが、14年度の年間約15万9000人をピークに、その後3年連続で減少し、17年度は約12万5000人だった。18年度は歯止めがかかり、微増の約12万6000人となった。
15年9月に運賃を、1回の乗車に付き100円から150円に値上げしたのが主な要因とみられるという。同年9月に市役所が下高津から土浦駅前に移転し、駅から旧市役所を経由するコースの利用者が減ったこと、翌16年3月に土浦協同病院が真鍋新町からおおつ野に移転し、同病院を経由していたコースの乗客が大きく減ったなど、街の変化も追い打ちをかけた。
こうした状況を打開しようと、2017年度に、利用状況の分析と調査に取り組み、乗客や市民へのアンケート調査、ワークショップなどを開催して改善に取り組んだことが今回、功を奏した。18年度から、路線バスが廃止になった土浦駅と霞ケ浦医療センターを結ぶコースで、初めて通勤客向けの早朝便を運行したことなどが、回復の要因になったという。
新たな取り組みにも挑戦した。昨年12月に開催した寺院巡りには、これまでキララちゃんバスに乗ったことがなかった市民が多く参加した。訪れる先の寺院にご朱印の発行を依頼し、参加者のお土産にしてもらった。事務局長の小林まゆみさんは「地元の歴史を知ることができてよかったという人が多かった」と手応えを話す。今年度も引き続き市内巡りイベントを開催する予定だ。
協賛店減少、地域通貨券は3分の1に
「キララちゃん」バスは、市の補助金や市商工会議所の支援を受けて、NPOが運行する全国でも数少ないコミュニティバスだ。市中心市街地を中心に3コースを運行している。6月4日には運行開始から14年2カ月で利用者数200万人を達成した=6月4日付=。運行経費に対する運賃収入の割合は16年度で36.9%と、全国平均の28%を上回り、県内でも上位を維持している。
2007年度から地域通貨券を発行し、中心市街地での買い物を促しているのも特徴だ。協賛店で1000円以上買い物をすれば、100円分の地域通貨券がもらえ、同バスの運賃として利用できる。17年度は地域通貨券による乗車が約70万円分あった。ただし協賛店が減少するなどし、ピーク時の13年度の約236万円と比べ3分の1に減っているという。