土曜日, 11月 8, 2025
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コメ、今世紀末80%に減収 農研機構が最新モデルで予測

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出穂期を前にかん水が行われる田んぼ=つくば市内

地球規模の気候変動の中で、わが国の基幹作物である水稲(コメ)生産はどうなるかー。農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市観音台)が最新のモデルで予測に取り組んだところ、温暖化でコメの収量は従来予測よりも多くの地域で低下する一方、高い二酸化炭素(CO₂)環境が白未熟米の発生を助長させ、品質面の影響も深刻になるという「未来予想図」を提示した。

農研機構の農業環境研究部門による成果として19日、オンライン発表された。屋外での栽培実験の結果に基づいて、高温と高CO₂の複合的な影響を考慮した水稲の生育収量予測モデルを構築し、気候変動による国内の水稲への影響を予測した。従来は、高温で収量減、高いCO₂環境は増収と見積もられ、そのバランスから将来予測モデルが組み立てられてきた。

CO₂濃度を現在よりも高めに制御した屋外栽培実験「開放系大気CO₂増加実験」を2016年まで、岩手県と茨城県つくばみらい市のほ場で実施した。すると、CO₂濃度の上昇により光合成が活発になる「増収効果」が栽培地の気温が高いほど小さくなること、高CO₂では外観品質が低下するなど新たな知見が得られた。

その上で、従来は別個に考慮していた「高温」と「高CO₂」の影響を複合的に考慮する最新の水稲生育収量予測モデルを構築し、これを使って気候変動による国内の水稲の収量および外観品質への影響を予測した。

温暖化傾向が「中庸」とされる気象予測モデル(RCP8.5)を用いてシミュレーションを行うと、20世紀半ばには西日本を中心に減収地域が出現。従来の予測モデルでは今世紀中頃までは増収傾向とされていたのが、早くに下方修正に転じ、今世紀末には約80%に減収すると予測された。

従来の予測モデル(左)と最新の予測モデルによる水稲の相対収量算定値の分布の比較(農研機構提供)

白未熟粒は影響顕著に

白未熟粒は、高温障害によりデンプンの蓄積が不十分で米粒が白く濁って見え、外観品質低下の主な指標になっている。近年では2010年、19年産米で多発し、コメの等級落ちなど農家に実害をもたらした。従来の推定モデルでは、気温のみを考慮しており、白未熟粒率は今世紀半ばでは約15%、今世紀末では約30%と予測したのに対し、気温とCO₂濃度を考慮した最新の推定モデルでは、白未熟粒率は、今世紀半ばでは約20%、今世紀末では約40%と予測した。この発生エリアは西日本から関東にも広がり、より影響が顕著になる。

水稲の白未熟粒率推定値の分布の比較。関東地方では収量に比べ白未熟粒の発生が最新モデルで顕著になる=農研機構提供

農業環境研究部門の西森基貴主席研究員らによれば「今回の予測は、高温耐性があまり強くない2003年ごろの品種によって予測しており、この間手をこまねいていたわけではなく、耐性品種の作出などさまざまの適応策をとってきている」という。

農研機構は高温耐性品種である「にこまる」を開発、普及を図るなどしており、対策を加速させる。生産農家には田植え期を遅らせて(または早めて)夏の酷暑を避けるなど、適切な栽培管理を求めている。これからの出穂(しゅっすい)時期から20日程度の暑熱が品質低下リスクが増すことを指摘している。(相澤冬樹)

つくば市長の名誉毀損提訴、取り下げ? 《吾妻カガミ》111

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】元つくば市議を名誉毀損で訴えた市長の五十嵐さんが、提訴を取り下げるのではないかとの見方が識者の間に広がっています。昨秋の市長選挙の前に元市議が発行したミニ新聞の記事で名誉を傷付けられたと裁判に持ち込んだ、あの件です。裁判はまだ予備段階ですが、どうも勝ち目がないようだと読んでいるのでしょうか?

ミニ新聞の記事は「市政チェック」

この提訴については、本サイトの記事「つくば市長の五十嵐氏 名誉棄損で元市議を提訴」(2月17日掲載)に詳しく出ています。簡単に言うと、市長選前(6~8月)、元市議の亀山大二郎さんが出したミニ紙「つくば市民の声新聞」の記事(22箇所)によって、市長としての名誉を毀損されたから、その損害(130万円)を賠償せよ―という内容です。

私はミニ新聞の市政監視スタンスに共鳴し、コラム「名誉毀損提訴を笑う」(3月1日掲載)、同「…提訴を検証する」(4月5日掲載)、同「…近く裁判開始」(5月3日掲載)で、五十嵐さんのアクションに疑問を呈しました。

ポイントは4つです。(1) 記事はフェイク(うそ)だとの論述には「はぐらかし」が目立つ、(2) 記事は「市政チェック」であって個人批判ではない、(3) 市長(政治家)たるもの市政批判には「対抗言論」で応ずるべきである、(4) 市長の動きは「言論の自由」を封じるものであり看過できない―。詳しくは青色のリンク先をご覧ください。

試合開始前にタオルを投げないで!

現時点で裁判は本格的なファイトにはなっておりません。私、最初はこの名誉毀損提訴に違和感を覚えていましたが、裁判の過程で五十嵐市政の実態、五十嵐市長の政治家としての資質が明らかになるのではないかと、今は原告と被告のファイトを楽しみにしています。五十嵐さんは試合前にタオルを投げるようなことをせず、リングに上がってください。

先の3コラムでは、前米大統領トランプさんのように記事を「フェイクだ、フェイクだ」と連呼した箇所のうち、重要度が高い4カ所について点検しました。

その結果、目玉公約の「総合運動公園用地返還」は「返還交渉」に過ぎなかったことが明らかになりました。また、その「返還交渉」も市長が出向いたのはたった2回だったことも分かりました。さらに、県の補助金がもらえなかった「給食センター建設」では市長の政治力不足が判明しました。もうひとつ、1期中に市職員が大幅に増え「行政改革」がお留守だったことも知れました。

ミニ新聞の記事はフェイクどころか、実に的を突いていたわけです。こういったことを考えると、裁判は名誉毀損を立証する場というより、五十嵐市政の出来栄え、市長の適性を浮かび上がらせる場になる可能性があります。「取り下げ?」との臆測は、「裁判はやらない方が賢いのではないか」との心遣いなのかもしれません。(経済ジャーナリスト)

土浦三 接戦制す 土浦日大、霞ケ浦は完封【高校野球’21】

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【取手一ー土浦三】8回表取手一2死一塁、二塁手・藤田(背番号4)の好守で走者を封殺。遊撃手・渡辺

第103回全国高校野球選手権茨城大会は18日、3回戦8試合が4球場で行われた。土浦・つくば勢は、2回戦でシード校を破った土浦三が勢いに乗り、取手一を2ー1で下した。シード校の土浦日大は水戸葵陵を3ー0、霞ケ浦は藤代紫水を8ー0といずれも完封し、4回戦に進んだ。

笠間市民球場の第2試合、土浦三と取手一は2-1で土浦三が接戦をものにした。強打を誇る取手一に対し、先発の佐藤春汰が5回まで無失点という粘りの投球。リリーフの前田隼利も2回戦の境戦に続く好救援を見せた。

「先発の佐藤が5回まで頑張ってくれたことが勝因。今日の相手には彼のボールが有効とにらんだ。チームは2、3回戦とも120点の出来。選手が勢いに乗ってくれ、いい試合をしながら成長している」と坂本佑真監督。

捕手の田口雄大主将は「佐藤は球速よりも投げ分けで勝負するタイプ。ボール1個分2個分の出し入れができる。緊張していたので、ストライクを入れて打たせていこうと声を掛け、リラックスさせた」。

佐藤は5回まで2安打1死球で取手一打線を抑えたが、6回、先頭の橋本にソロ本塁打を打たれ、その後無死一・二塁とされたところで交代。救援の前田は続く3人を打ち取り火消しに成功。7回には3連打を浴びるが、左翼手・前沢隆史や二塁手・藤田寛大の好守にも助けられ、得点を許さなかった。

「前田はシンカーのキレが良かった。後半は疲れてきて腕が上がらなくなったが、ストレートに切り替えながら打ち取ることができた」と田口主将。

打線は取手一のエース塩入に4回まで1安打に抑えられていたが、5回に攻略。6番 高城魁斗が中前打で出塁し、8番 田口の中前打にエンドランをかけ1死一・三塁、1番 藤田の中前打で待望の先制点を奪った。

6回には追加点。4番 渡辺優斗、5番 中村翔太がともにピッチャー返しで2死一・二塁、7番 前沢の打球が三遊間を抜き、1点を追加した。「足をからめた攻撃は練習の成果が出せた。6回の攻撃ではライナーで野手の間を抜くバッティングをみんなが徹底してくれた」と田口主将。

6回裏、追加点の殊勲打を放った前沢が一塁上で仲間とグータッチを交わす

これで古豪復活を印象付ける4回戦進出。坂本監督は今春の就任以来「もともと打撃は良かったが、守備のミスから失点していた」と、守備の強化に力を入れてきた。特に注意したのがランナーを出した後のプレーや、2死から失点せず、切り替えてあと1個アウトを取ることなど。その成果が形となって表れ始めているという。(池田充雄)

ノーブルホームスタジアム水戸の第1試合は、土浦日大が水戸葵陵を3ー0で下した。

J:COMスタジアム土浦の第1試合は、霞ケ浦が藤代紫水を8ー0で完封した。

「DPATカー」完成 被災地に駆け付け心のケア 筑波大付属病院

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DPATカーの前でテープカットをする関係者=つくば市春日、筑波大学附属病院春日プラザ

被災地にいち早く駆け付け、心のケアをする筑波大学付属病院(つくば市天久保、原晃病院長)災害派遣精神医療チームの特殊緊急車両「DPAT(ディーパット)カー」がこのほど完成し、18日、同病院の春日プラザで完成披露会が催された。県内第1号のDPATカーとなる。

被災者の心のケアは新しい取り組みで、国の予算がまだ十分にないことから、同大医学医療系災害・地域精神医学の太刀川弘和教授を中心にプロジェクトを立ち上げ、2019年にクラウドファンディングで車両購入の支援を募った。目標額750万円に対し、3カ月間で255人から915万円が集まった。一方、新型コロナ感染拡大への対応などで車両の製造や車内の改造などが遅れ、昨年12月に車が完成した。

DPATカーは6人乗りの白いワゴン車で、車体の前方と側面などに青いアルファベットで「DPAT」と書かれている。後部座席を撤去し、被災者の相談に乗ったり、診察や薬の処方などをするスペースに改造した。車内はLED電球を取り付けて明るくした。通信手段の遮断や長時間の停電に備え、衛星電話やサブバッテリーなども備えている。隊員が宿泊しながら活動する基地にもなる。

太刀川教授は「これまで車両がなくレンタカーなどで被災地に行っていた。クラウドファンディングを始めて、当初は支援が集まるだろうかと懸念していたが、被災地で活動を展開しホームページでどんどん報告したところ、温かいメッセージと共に255人から目標額を超える支援が集まった。車両の製造や改造もコロナ対応で遅れ、2020年末に完成したが、感染拡大でお披露目もなかなかできなかった。この日を迎えられて感無量」と話し「今後はDPATカーを使って被災地に出掛けて、被災者の心のケアの支援をしていきたい」などと語った。

DPATは、国や都道府県の要請で被災地に48時間以内に駆け付け、1~2週間滞在して被災者の心のケアをするチーム。精神科医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど5~6人で構成され、避難所などで被災者の診察をしたり、被災した精神科病院の患者の対応などをする。2011年の東日本大震災をきっかけに誕生した。

同大附属病院では2015年にDPATチームが発足し、鬼怒川が決壊した同年の常総水害、16年の熊本地震などの被災地に赴き活動した。新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年は横浜港で大型客船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の心のケアなどにも取り組んだ。(鈴木宏子)

被災者の相談や診察ができるスペースが設置されたDPATカーの車内

未確認飛行物体と遭遇 《食う寝る宇宙》89

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【コラム・玉置晋】「ブブブブブーン」。犬のべんぞうさんと一緒に散歩していると、レンコン畑から奇妙な音を発する未確認飛行物体と遭遇しました。僕が住む茨城県土浦市はレンコンの出荷が日本一。家の近所にも広いレンコン畑があって、初夏にはハスの葉っぱが水面から出て、白やピンクのハスの花が咲き始めています。

そんな中から聞こえてくる異様な音に、べんぞうさんは怖がって、アスファルトにお尻をペタンとつけて、歩いてくれません。すると、遠くから「歩行者あり!」と、手を挙げて注意を喚起する方がいました。その方から数十メートル離れたレンコン畑の対面には、リモコンをもって何かを操作する人がいました。

そう、「ドローン」です。大きさはおよそ1.5メートル×1.5メートルと大型機です。ドローンのお腹には肥料が搭載されていて、広大なレンコン畑に散布していたのです。

ドローンとGPSと宇宙天気

実は、僕は少し前にドローンの操縦を習いました。それでわかったことは、風があるときにドローンが流されてしまうので、安定した操縦をするのは簡単ではないということです。そこで活躍するのが、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)です。

複数の人工衛星から発せられた測位信号をドローンが受信して、自分の位置を把握します。ドローンが自分の位置を保持するように、自律的に制御してくれます。通常はこの機能をオンして作業を行います。

よって、ドローンは完全にGPSに依存した道具であるといえます。そして、GPSを脅かすのが宇宙天気の嵐の一つ、電離層の嵐です。電離層は、高度50キロ~500キロに広がる電子密度の高い領域です。ラジオで声が聞こえるのは、遠くの放送局から発せられた電波が電離層で反射して届くからです。

一方で、人工衛星から発せられたGPSの電波は、電離層で反射せずに、突き抜けて宇宙から地上に到達する特性を持っています。しかし、地球の大気循環や太陽活動により電離層の電子密度が増減することがあって、GPS電波の通りを悪くすることがあります。

そうしますと、地上のドローンは正確な位置情報がわからなくなっていまい、操縦に支障をきたす恐れがあります。ドローンの普及により、宇宙天気の重要性はより大きくなっています。(宇宙天気防災研究者)

常総学院2本柱、つくば秀英を零封 【高校野球’21】

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【つくば秀英-常総学院】3回表1死一・三塁、スクイズで本塁に突入した秀英三走・山本が刺殺される。捕手・田邊

第103回全国高校野球選手権茨城大会は17日、3回戦に入り、4球場で8試合が行われた。土浦・つくば勢同士の対戦となったJ:COMスタジアム土浦では、常総学院がとつくば秀英が息詰まる投手戦を展開。常総が2本柱の秋本璃空と大川慈英が零封リレーを演じれば、秀英は先発・山本素暖が6回まで常総学院打線を抑えたが7回に四球から崩れた。

常総は秋本が先発。センバツではエースを務めたものの春以降調子を落とし、まだ6~7割の出来だそうだが、4回を投げて3三振2安打1四球とまずまずの結果だった。「秋大会では1-0で勝った相手だが、それを自信と思わず、挑戦者の気持ちで臨んだ」という。島田直也監督は「秋本は今日の時点ではよく投げた」と評価しながらも、「久々の公式戦で緊張もあっただろうし、暑さの影響もあったと思う。その疲れが見えてきたのでスパッと替えた」と早めの継投を決断した。

常総の先発・秋本(左)と5回から登板の大川

5回からマウンドに上がったのは現エースの大川慈英。「夏の初戦で緊張したが、秋本が粘り強く投げてくれたので、その気持ちを背負って絶対抑えてやろうと思った。マウンドに立ったら緊張が解け、自分のピッチングができた」と最速147キロの速球を武器に、8三振1安打無四球の危なげないピッチングだった。

一方、秀英の山本は「ブルペンでは良くなかったが、マウンドに立ったら向かっていくしかない。マウンドではいちばん良く、どんどん成長していけた」と、4回まで毎回3人で切ってとる好投を見せた。5、6回はスコアリングポジションにランナーを背負うが、テンポ良い投球で打者を追い込み、いずれも最後は三振で仕留めている。

だが7回に疲れが見えた。常総の中軸、田邊広大、柴田将太郎に連続四球、6番・秋本には左前打を許し無死満塁。代打・青木良弘への初球はカットボールだったが、足の踏ん張りがきかずワンバウンドになり(記録上は捕逸)、これで決勝点を与えてしまった。

秀英に痛い3回の逸機

つくば秀英の森田健文監督は、3回表の先制機を生かせなかったことを悔やんだ。四球と犠打に佐藤慈恩主将の左前打で1死一・三塁、ここで3番の野川唯斗がセーフティースクイズを仕掛けるが、常総の一塁手・柴田の好返球で、三走が本塁タッチアウトになった。「スクイズは日頃から練習し、打者はしっかりバントを決めてくれたが、少しタイミングが遅れてしまった。何とか先制点を取り、追い風の中で野球をさせてあげたかったが、それができなかったことに監督としての責任を感じている」

応援席への挨拶後、目頭を押さえグラウンドに崩れ落ちた佐藤主将は「自信を持ってやってきたが、最後、あと一歩が届かなかった。自分たちは全力を出しきったが、それでも相手の方が一歩上だった」と、試合後に述懐した。(池田充雄・高橋浩一)

涙をこらえ、応援席に挨拶する秀英ナイン

難しいという表現 《続・気軽にSOS》89

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【コラム・浅井和幸】私は、様々な悩みを持ち相談に来られる方に日々対応しています。その来談者に対し、あまりに難しい顔をしていたり、解決が難しい悩みですねと軽々しく言ったりはできません。必要以上に苦しめてしまうかもしれませんからね。もちろん、軽々しく扱うものではありませんから、どれぐらい難しい問題なのか、こちらが感じ取ることは大切です。

簡単な問題であれば、来談者は労力を割いて相談には来ません。持ち込まれる問題は全て難しいものです。少なくても来談者にとっては難しい問題であり、何かしらの支障が出ているわけです。

それに対し、相談を受ける側―カウンセラーとか支援者―も、日々、来談者と一緒に悩んで、どうにか解決できないかと考えています。私は、この支援を行っている側からの相談を受けることもあります。そして、支援者とのコミュニケーションの中で違和感があり、「難しい」という言葉を使わなくなりました。

大げさに表現すると、このような会話になってしまうのです。支援者「…という問題に対応しているのですが、何か対処法はありますか? 難しいですか?」。浅井「難しいですね。だから、いろいろ対処法を考えて…」。支援者「ですよね。浅井さんでも、やっぱり何も出来ないですよね」。

このような会話になってしまうのは、私が使っている「難しい」と、一般社会やこの支援者が使っている「難しい」という概念に大きな開きがあるためです。私は「簡単ではない」とか「すぐには答えが出ない」事柄を表現するときに、「難しい」という言葉を使います。(「難しい」「簡単」などの評価は、次の対処のためにするものだという意識が強いです。さらに工夫を考えて対処が必要だという意味と捉えてもよいでしょう)

シビアな場面で曖昧な表現は誤解を生む

しかし、違和感を覚えるときは、「難しい」とはできないこと、不可能なことを指すことが多いのです。その方たちは意識していないでしょうが、「簡単」はできること、「難しい」はできないことという使い方をしているのです。そして、「難しい」ことは永遠に「難しい」ことで、この先も対処不可能だという思い込みがあるのかもしれません。

普段の会話では、「できない」というと角が立つので、「難しい」と表現して、お互いが傷つかない知恵なのかもしれません。しかし、シビアな場面では、曖昧な表現は誤解を生みやすいものです。うまくいっているときは、曖昧にぼかして、違いはむしろ感じないようにしたほうが、仲間意識を損なわずに済むというメリットがあります。しかし、問題に対処するときは、すれ違っているところをより詳細に明確に感じ、考える必要があるわけです。

うまくいっていないときは、より具体的に、より丁寧に言葉を使う必要があります。それは伝えるときも、聞くときも、どちらも必要です。伝える側と聞く側は、すぐに入れ替わるのですから。(精神保健福祉士)

ナノスケールが魅せるアートな世界 20日からつくばセンタービルで展示イベント

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深田直樹さんの「花ひらく Efflorescence」=NIMS国際ナノアーキテクトニクス研究拠点提供

つくば市は20日から、つくばセンター地区活性化協議会(茂木貴志会長)、つくばまちなかデザイン(内山博文社長)と共に、つくばセンタービル(同市吾妻)で「つくまちアート」を開催する。まちなかの公共空間を活用して、アートやサイエンスを感じてもらうための取り組みで、第1弾として物質・材料研究機構(NIMS)の国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI-MANA、つくば市並木)によるマテリアルズナノアートの展示とイベントを行う。

会期は8月19日まで。展示会場はつくばセンタービル1階通路に設けられる。

マテリアルズナノアート(MA-NanoArt、マナノアート)は、電子顕微鏡などでしか見えないナノスケール(髪の毛の太さの10万分の1の大きさ)の物質が織りなす形象をとらえアート作品としたもの。WPI-MANAの研究者が普段見ている世界を切り取った。

電子顕微鏡は構造上、単色でしか観察できない装置だが、画像処理技術を駆使してカラー表示を実現している。そのビジュアルがおもしろく、作品として目にする機会が増えているそうだ。

深田直樹さん(MANA主任研究者)の作品はシリコン基板上に成長したゲルマニウムナノワイヤの走査型電子顕微鏡像で、タイトルは「花ひらく Efflorescence」。ナノワイヤと呼ばれる構造を基板垂直方向に一面に形成した際、試料を観察していて撮影できたという。

共に研究グループリーダーを務める川上亘作さん、ヒル・ジョナサンさんは、大豆成分からできた粒子の走査型電子顕微鏡像から「ナノ手毬(てまり)」、「ナノ花」を作品化した。

川上亘作さん、ヒル・ジョナサンさんの「ナノ手毬」=同

アートをきっかけにまちなかを回遊してもらうため、アートポストカードラリーも同時に行う。つくば駅周辺の各施設に16種類のアートポストカードを1種類ずつ設置。ポストカード10種類以上を集めると、MANAオリジナルグッズなどがプレゼントされる企画だ。

NIMS国際ナノアーキテクトニクス研究拠点は、ナノテクノロジーの新概念「ナノアーキテクトニクス」に基づいて、世界トップレベルの新材料開発の研究を進める国際研究拠点。半導体加工などに用いられるマイクロテクノロジーとは一線を画し、理論やシステム分野における材料開発の新しいパラダイム変換を目指している。(相澤冬樹)

マナノアート詳細ページはこちら 

待ってました! 青空 つくばにデビューの「ひまわり迷路」

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続々大輪の花を着けだした「ひまわり迷路」=つくば市下広岡

大輪のヒマワリは、梅雨明けの青空がよく似合う。中根農園直売所(つくば市下広岡)がこの夏、初めて開設した「ひまわり迷路」で、黄色い花が一気の開花を迎えている。

「迷路」は直売所付近の農地約3000平方メートルに設置した。農園の中根剛代表によれば、耕作放棄地対策から景観植物として育てているそうで、5月ごろタネ10キロを蒔(ま)いた。全部が発芽するわけではないので「数万本」が植わっているという。

「密」に林立したヒマワリは、すでに人の背丈を越えており、1メートルほどの幅でルートが切り開かれている。

「駐車場を用意していないこともあり、宣伝もできずにいる」(中根さん)といい、人の姿は見かけないが、黄色い花が密度を増すほどに通りを行く人の目をひきそうだ。

入場は無料。迷路の中央に休憩スポットができていて、花を摘むためのハサミと料金箱が置かれている。熱中症には十分な注意をお忘れなく。(相澤冬樹)

関東甲信も梅雨明け

気象庁は16日、関東甲信と東北が梅雨明けしたと発表した。平年(7月19日ごろ)より少し早め。今年は梅雨入りが平年より遅かった(関東甲信は6月14日ごろ)こともあり、梅雨期間は約1カ月と短めとなった。

日本気象協会の調べで、16日はつくば、土浦とも正午の気温が31.0度の真夏日となった。

総合労働相談、過去10年で最多 「いじめ・嫌がらせ」トップに

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厚労省茨城労働局「2020年度個別労働紛争解決制度の運用状況」から作成

厚労省茨城労働局はこのほど、2020年度の個別労働紛争解決制度(※メモ)の施行状況をまとめた。同労働局及び県内8カ所の労働基準監督署管内に設置している総合労働相談コーナーで専門の相談員が対応する総合労働相談件数は2万4433件(前年度比15.4%増)で過去10年間では最多となった。

うち弁護士など労働問題の専門家が紛争当事者間に入って紛争を解決する民事上の個別労働紛争相談件数は5723件(同8%増)、助言・指導申出件数は204件(同14%増)、あっせん申請件数は137件(同4.2%増)だった。

特に注目されるのは、民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申し出件数、あっせん申請件数のすべてで「いじめ・嫌がらせ」がトップだったことだ。個別労働紛争相談件数では2225件でトップ、助言・指導では76件、あっせん申請では64件といずれもトップだった。

「いじめ・嫌がらせ」のあっせん事例では、▽上司から非難、罵声を浴びせられ体調不良から精神的に限界となり退職を余儀なくされ慰謝料の支払いを求めたいとあっせんを申請▽事業主に対し、人員削減のために行う整理解雇についても労働契約法に基づく解雇権乱用法理が適用され、裁判例などを説明。被申請人に譲歩の余地を確認し解決金50万円を支払うことで合意したーなどの例証がある。

茨城労働局は「総合労働相談コーナーに寄らせれる労働相談に適切に対応し、引き続き個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に取り組んでいく」としている。(山崎実)

◆個別労働紛争の相談に関する問い合わせは茨城労働局雇用環境・均等室(電話029ー277-8295)

※メモ【個別労働紛争解決制度】
職場などのトラブルの解決を国がサポートする制度。労働紛争を裁判で解決しようとすると時間や費用がかかってしまうことから、個別労働関係紛争解決促進法が制定され、簡易で迅速に解決するための仕組みができた。①各都道府県にある労働局の総合労働相談コーナーによる相談②同労働局長による助言・指導③紛争調整委員会によるあっせん-の3つの紛争解決制度がある。相談費用は無料、秘密は厳守される。労働者、事業主どちらからでも相談できる。

学校に通えない子どもがいる日本 《電動車いすから見た景色》20

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【コラム・川端舞】人工呼吸器など医療的ケアの必要な子どもとその家族に対する支援法が先の国会で成立した(6月11日)。これにより、小中学校や特別支援学校の設置者は、在籍する医療的ケア児に対し、適切な支援を行う責務を有することになった。

このような流れの中、各メディアで医療的ケア児の現状が取り上げられるようになった。普段、(障害のある者と障害のない者が共に学ぶ)インクルーシブ教育について考えることも多い私だが、恥ずかしながら、今回、一連の報道を見る中で、特別支援学校にも通えない医療的ケア児が少なくない現状を初めて知った。

学校に通えない障害児に対しては、特別支援学校の教員が障害児の家庭などに訪問し、週3回、1回2時間を標準とした訪問教育が行われる。大学時代に特別支援教育について学んだ私は、日本の教育の中に訪問教育が存在することはわかっていたが、なぜ学校に通えず、週3回しか授業を受けられない障害児がいるのか、深く考えもしなかった。

お𠮟りを受けるだろうが、大学時代の私は「特別支援学校にも通えないほど、障害の重い子どももいるのだな」くらいの浅はかな考えしか浮かばなかった。

しかし今回の報道で、特別支援学校の通学バスに看護師が同乗しないために、バスに乗れず、保護者が送迎しないと特別支援学校に通えない場合もあること、単に学校に通う手段がないから、家で訪問教育を受けている障害児がいることを知った。

身近に当事者がいるかどうか

もちろん病気の急性期などで、病室から出られない子どももいるだろう。しかし、通学バスの中で医療的ケアができないために通学できないのは、子ども自身の問題ではなく、通学バス乗車中に医療的ケアができる環境がない社会的な問題だ。

おそらく大学時代の私は、医療的ケアを行っている現場を見たことがなく、医療的ケアが必要な人に会ったこともなかったため、バカ正直に「医療的ケア児は外出が難しいだろう」と思っていたかもしれない。しかし、痰(たん)吸引や人工呼吸器などの医療的ケアを介助者から受けながら、親元を離れて1人暮らしをし、車や電車で当たり前に外出している障害者を身近に知っている今なら、研修を受けた介助者や看護師が付き添えば、医療的ケア児でも当たり前に通学できるのではないかと疑問に思う。

医療的ケア者が身近にいる私だからできる取材もある。つくば市周辺の医療的ケア児の状況や、今回の医療的ケア児支援法によりどう変わるのか、長い目で取材していきたい。(つくば自立生活センターほにゃらメンバー)

2回戦最終日 終盤に明暗の土浦勢【高校野球’21】

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【つくば国際大-水戸工】8回表2死二・三塁、中山がライト前に2点タイムリーを放ち逆転=ノーブルホームスタジアム水戸

第103回全国高校野球選手権茨城大会は7日目の15日、3球場で6試合が行われ、2回戦突破の32チームが出そろった。土浦勢ではつくば国際大が水戸工との接戦を落とし、終盤追い上げた土浦三がシードの境に逆転勝ちした。大会は1日休み、17日から3回戦に入る。

つくば国際大 追い上げ届かず初戦で涙

つくば国際大は1点差で迎えた8回表、3点を奪い逆転に成功したが、その裏に3点を取り返された。9回にもチャンスは作ったが攻め切れなかった。「なかなか勝てないというのが実感。私の采配ミスが勝敗を分けた。選手たちは最後まであきらめず戦ってくれた」と山口幸彦監督は肩を落とした。

試合は初回に水戸工が3安打で2点を先制。つくば国際大が追い掛ける展開で、5回に同点とした。つくば国際大の先発・水口和優は2回以降立ち直り、6回まで1安打という好調ぶり。だが7回裏にヒット3本を許し1点を勝ち越された。

つくば国際大の先発・水口=同

8回表には逆転に成功。先頭の濱田の左前打、続く荒井翼と長谷川瑞輝の連続バントヒットで無死満塁とし、水口の内野ゴロで1点が入り1死一・三塁。長谷川瑠伊のスクイズは三走が挟殺されるが2死二・三塁、中山友貴の右前打で2者が還り、この回2点を勝ち越した。

8回裏には急展開。安打と四球で無死一・二塁とされ、代わりにマウンドに上がった濱田が最初の打者にいきなりの死球、次打者にも四球で押し出しの1点を与えてしまう。再び水口がマウンドに戻ったが、2安打でさらに2点を失い、再逆転された。

9回は、北澤敬と濱田の安打で1死一・三塁とし、長打が出れば一発逆転という場面をつくった。代打の村岡航成に託したが、ショートゴロからのダブルプレーで試合終了となった。

「1点を取り合うゲームで一時は逆転したが、気の緩みが出てしまった」と悔やむ濱田。8回裏の登板について「投げることは頭にあったが、一塁から直接マウンドに向かったため準備不足で、気持ちが逃げて弱気になってしまった」という。昨年の秋大会では先発を務めたが、水口の成長によりエースナンバーを譲っていた。いままでにも救援の機会はあったが、あらかじめブルペンで投げ込んでイニングの頭から行く形で、今回のようなスクランブル登板は未経験だった。

この日、スタンドでは竹山翼さんの遺影が両親とともに試合を見守っていた。今の3年生と同世代で、山口監督は将来の主軸を期待していたが、一昨年の11月に白血病と小児がんで亡くなった。遺影はいつもチームに帯同し、今日もベンチに入れたかったが許可が下りなかったそうだ。濱田は「竹山の分まで頑張ろうという思いで大会前から臨んでいた」と初戦で力尽きる結果に無念さをにじませた。(高橋浩一)

社会人特別選抜を開始 県立医療大

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県立医療大=阿見町

茨城県立医療大学(阿見町、松村明学長)は2022年度入試から、社会人を対象とする「社会人特別選抜」を開始する。第1回入試は今年11月17日に実施する。

少子高齢化社会が進む中で、特に予防医学が重要視され、看護、介護、リハビリテーション、地域での活動など、多様な医療職が求められていることから、優秀な人材を育成、確保する目的で、社会人特別選抜を導入する。

出願資格は、2年以上の社会人経験を持ち、入学時に23歳に達している県内在住者、または県内の高校出身者など。大学共通テストの受験は課さず、総合問題、小論文、面接などにより判定する。

募集人員は、従来の選抜枠とは別に「看護学科」「理学療法学科」「作業療法学科」「放射線技術科学科」の各学科で若干名を募集する。

出願期間は11月1日から5日(必着)。同17日に総合問題と小論文の試験、面接を行う。(山崎実)

◆問い合わせは電話029ー840-3201(県立医療大)

湖畔の「かすみキッチン」《ご飯は世界を救う》37

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】7月から、霞ケ浦では帆引き船の操業があります。出航場所の一つは、かすみがうら市の歩崎公園横の志戸崎(しとざき)漁港です。今回は、そこを見たいと思いお出かけ。

歩崎公園の周辺は、ナショナルサイクルロード指定の「つくば霞ケ浦りんりんロード」が整備されています。貸自転車なども設置された休憩場所もあります。その2階が「かすみキッチン」。

数年前、この建物のリメイクの絵(建築パース)の仕事を受けました。その数年後、そこの駐車場トイレの全面改修完成予想図も描かせていただきました。2件とも別の設計事務所でした。

どちらもとてもキレイに仕上がっており、以前行ったときより、コロナ禍中にもかかわらず、多くの人が訪れていました。建物の美しさは重要ですね。まさしく「アートは世界を救う」。

霞ケ浦と筑波山

観光物産館「こいこい」

歩崎公園はかすみがうら市。そこから、「霞ケ浦大橋」を渡ると、行方市です。渡って直ぐの場所に、観光物産館「こいこい」があります。実は、18年ほど前、CG&現場写真の合成パースの仕事をやりました。

そのときはコンペでしたが、取ることができ現在に至ります。農産物、湖の恩恵を受けたお魚、珍しい鯉こくなど、おいしいものをたくさん売っており、人気のお店になっています。

ここには「虹の塔」という高さ60メートルの塔があり、360度パノラマビュー。霞ヶ浦、筑波山を一望できます。高い場所が大好きな私にとっては、よいスケッチ場所です。

また、霞ケ浦の岸から、かわいい灯台が出ていました。ミニサイズ、高さ2.7メートル。こちらの灯台の所有者は独立行政法人「水資源機構」ですが、現在は使用されていないそうです。(イラストレーター)

ナショナルサイクリングロード

つくば市、監査請求を棄却 住民ら「大規模事業評価骨抜き」と批判

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監査結果について記者会見する酒井泉さん(左)と坂本博之弁護士=つくば研究交流センター内、記者クラブ

つくば市が実施するつくばセンタービルリニューアル事業は総額10億円を超えるのだから、大規模事業評価を行わないのは違法だなどとして、元大学教授の酒井泉さん(72)ら市民18人が出していた住民監査請求(5月12日付)で、市監査委員(高橋博之代表監査委員)は8日付で、請求を棄却する監査結果を出した。

酒井さんらは、リニューアル事業の整備費は総額10億3780万円で、10億円以上の事業は大規模事業評価を行うと市が要綱で定めているのだから、大規模事業評価の手続きが踏まれていないのは違法だなどとして、すでに市が支出した約7000万円の返還と未支出額の支出差し止めを求めていた。

監査結果は、市が大規模事業評価を実施しないことについて「職員が実務上の参考とするためのマニュアルに『出資は対象となりません』などと明記されている」とし、出資金6000万円は「リニューアル事業の総事業費に含まれない」という市担当課の主張は妥当だとし、出資金を差し引くと事業費は9億7780万円であることから、大規模事業評価をしなくても要綱に違反しないとした。

一方、市が昨年暮れ実施したオープンハウスや市議会全員協議会で市は、予算総額10億3780万円という整備費を示していたことから、「市民の誤解を招くことのないよう慎重な表現を心掛けた方がよかった」と付け加えた。

監査結果に対し、代理人の坂本博之弁護士は「マニュアルがあることは市民に公開されておらず、今回の監査結果は、マニュアルさえ作れば、いかようにも要綱を骨抜きにできることになる」と指摘した。酒井さんは「出資金の使途は大部分が改修などの施設整備費であり、要綱の施設整備事業に該当する。市担当課の言い分と監査委員の判断は事実を無視している」などと批判した。

ほかに、まちづくり会社は市が出資する第3セクターであるにもかかわらず、国の指針に基づく検討を行っておらず、3セクを設置する場合は指針に従って「事業そのものの地域における意義や必要性、収支などの将来見通し、費用対効果などについて検討を行い、3セク以外の事業手法も含めて具体的な比較を行うことが必要」だとする住民らの主張に対して、監査結果は「(2019年度の)中心市街地エリアマネジメント業務で検討し、同エリアマネジメント検討委員会で外部の専門家の意見を聴取したと認められるのだから(住民らの)主張に理由はない」などとした。

つくばセンタービルの中の市所有施設は公の施設なのに、市がまちづくり会社に賃貸し、さらに同社が個々の企業に賃貸の事業所として貸し出すのは、公の施設としての利用を拒否することになり地方自治法に違反するとした住民らの主張に対しては、「条例改正で、6月1日付で普通財産になったのだから自治法に違反していない」とした。

リニューアルの基本設計策定をプロポーザル方式で随意契約したのは市契約規則に違反するーなどの主張に対しては、「磯崎新氏により設計された歴史的建築価値の高い建物であるため、意匠を継承した上でリノベーションをする必要があり、設計に関して高い専門知識や技術力、実績が必要となる」とする市担当課の主張をもとに、「契約の性質または目的が競争入札に適しないものを根拠に締結されたのだから、手続きに何ら問題はない」などとし、住民らの主張をことごとく退けた。

監査結果について坂本弁護士は「総じて具体的な内容の説明を欠いている」と批判、酒井さんは「監査委員は事実関係を調べて、もう少し論理的な回答があると思っていたが無かった」と話し、今後については「市に話し合いの申し入れをしたい。我々の指摘した問題が改善される見通しがなかったら、断固として裁判をやりたい」と話し、市の対応によっては水戸地裁に提訴する考えを示した。監査結果に不服があるときは30日以内に住民訴訟を起こすことができる。(鈴木宏子)

土浦日大、多賀・神永を攻略し3回戦へ【高校野球’21】

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【多賀-土浦日大】7回無死1塁、左翼へ適時二塁打を放つ菅野、ここからビッグイニングが始まる=ひたちなか市民

第103回全国高校野球選手権茨城大会は6日目の14日、3球場で6試合が行われた。ひたちなか市民球場の第1試合、土浦日大は注目の右腕、神永耀生を攻略し、多賀に勝利した。

土浦日大は序盤から徐々にリードを広げ、終盤に突き放す展開。多賀は8回に4点を追い上げたが力尽きた。「攻撃では攻めるべきところで攻め、良さを出すことができ、必死になって食らい付いてくる相手を引き離せた」と土浦日大の小菅勲監督。

土浦日大の先発はエース小谷野奨大。多賀は1回戦で温存したエース神永が満を持して登板。昨夏の県独自大会で常総学院を破ったことで脚光を浴び、今大会の注目投手の一人だ。

神永は6回まで8四死球ながら要所を締めるピッチング。これに対し土浦日大打線は4安打に犠飛や暴投を交え、1点ずつコツコツと加点。流れが来たのは7回。先頭の芹沢優仁主将が四球で出塁し、続く4番・菅野樹紀、5番大島優太朗が連続長打。さらに下位打線の小菅成、大木莉生、小谷野の3連打でこの回4得点。7-1とリードを広げた。

土浦日大の先発・小谷野。7回を4安打1失点に抑えた

主砲・菅野はダメ押し弾も

小谷野は4回に2安打で1点を失ったが、それ以外は散発2安打で多賀打線を抑えていた。ところが8回表、長打3本で2点を許した後、山本琉雅のツーランを浴びて計4失点。ここで山田奏太が救援に向かい、残りイニングを2安打無失点で抑えた。土浦日大はその裏、菅野がお返しとばかり2点本塁打を左翼席へ放り込み、試合を決めた。

「神永君は若干疲れもあったようだが、彼を打てたことでベンチも非常に活気が出てきた。小谷野は100球くらいから継投も考えていた。よく投げてくれたし次は暑さにも慣れ、もっと良くなると思う」と小菅監督。

「序盤は苦しかったが終盤に粘りを見せ、その後も打線がつながり、いい試合ができた。神永投手はストレートに力がありスピードもあるので、それをはね返そうと練習でやってきたことができてよかった」と菅野。

「挑戦者の気持ちで臨み、途中受け身になってしまったが、厳しい中でも自分たちの力を出しきれた」と芹沢主将。神永対策としてはバッティングマシンを使い、140キロを目で慣らして練習してきたという。「神永投手をしっかり打つことができたので勢いが出て、自信をつかむきっかけにもなった。今後も一戦必勝で、目の前の試合を勝っていきたい」(高橋浩一)

通学路の草刈り作業中また石跳ね事故 つくば市

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つくば市役所

つくば市は13日、同市高野の市道で、市の委託業者が市道の草刈り作業中、小石が跳ね、隣接する市すこやか給食センターに駐車していた従業員の自家用車のガラスが割れる事故があったと発表した。

同市では今年5月、草刈り作業中に石跳ね事故が相次いで発生し、全委託事業者に作業中のバリケードの設置など、安全対策の徹底を指導した矢先だった。

市道路管理課によると、12日午前9時から午後0時ごろまでの間、草刈り機2台で作業をしていたところ、約10メートル離れた給食センター豊里に駐車していた軽自動車のフロントクォーターガラスが破損した。車内に人はおらず、けが人はいないという。

除草作業を実施する場合、市の仕様書にはフェンスなどのバリケードを設置するよう明記されているが、委託業者は設置してなかったという。

市は再度、改めて全業務受託業者に対し、バリケード設置など適切な保安対策を行うよう指示し、再発防止に努めるとしている。

被害者に対しては、委託業者が謝罪し、補償することを伝えた。

「地球1個分の経済社会」の実現 《ハチドリ暮らし》3

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ジャガイモの収穫

【コラム・山口京子】「SDGs」というアルファベットをよく目にする。2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)の略だと数年前に知った。「今のままだと人間社会は持続不可能で、どこかでクラッシュする」という危機意識が根底にあるからこそ、「持続可能な社会」の標榜(ひょうぼう)なのだろう。

SDGsは「誰1人取り残さない」「地球1個分の経済社会」の実現という理念を持ち、「世界を持続可能な、かつ強くしなやかな道筋に移行させる変革をしていくこと」が目的のようだ。17のゴールと169のターゲット、262の指標が明記されている。

17のゴールの1番目は「貧困をなくす」。2020年に広がった新型コロナ感染症によって、貧困化は国内外でより進み、一方で富裕層は利益を上げているという。世界の富がどうなっているのか、「世界の名目GDP」(出典・国際通貨基金=IMF)を調べてみた。

2020年の世界の名目GDP総額は84兆4393億USドル。1位が米国で全体の約25%、2位が中国で約17%、3位が日本で約6%。この3カ国だけで48%にも上る。1人当たりGDPは、米国は5位で6万3415USドル、中国は61位で1万0483USドル、日本は23位で4万0146USドル。ちなみに、対象国192カ国の真ん中(96番目)は南アフリカで5067USドル。

GDP総額を世界の人口約78億人で割ると、1人当たり1.1万USドル。この数字を見ると、自分は使いすぎているのか、お金がかかる生活様式を選んでいるのではないかと思わざるを得ない。

日本の資源消費は地球2.8個分

考えさせられたのは、「地球1個分の経済社会」の形はどのようになるのだろうかということ。「グローバル・フットプリント・ネットワーク」によると、世界の全人口が米国レベルの資源消費をすると、地球は約5個、日本レベルなら2.8個、東チィモールレベルでは0.3個必要という。

SDGsの本質的な課題として、「世界の資源消費の総量を減らすこと」「国際的にも国内的にも適正な分配がされること」を指摘する専門家がいる。それなしにはSDGsは実現できないとも…。

高度成長期から今まで、土に還らないものをたくさん生産、消費、廃棄してきた。「土に還らないものは生産禁止」なんていう法律はできないのかしら。これからの技術に期待するよりも、今できることを実行した方が穏やかに暮らせるのではないかしら。

自分の手で掘ったジャガイモはおいしかった。ほんの少しのジャガイモだから、できたことなのだけれど…。(消費生活アドバイザー)

霞ケ浦、投げ合いの延長戦制す 【高校野球’21】

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【牛久-霞ケ浦】10回157球を投げて試合を支えた霞ケ浦のエース山名=J:COMスタジアム土浦

第103回全国高校野球選手権茨城大会は5日目の13日、5球場で10試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第1試合、霞ケ浦は先発の山名健心が牛久の主戦・平山龍太郎と共に延長10回まで投げ合う展開、最後は四球押し出しのサヨナラ決着となった。

牛久は敬遠策が裏目に

試合はエース同士の投げ合い。中盤までに互いに2点ずつ取り合う展開だが内容は違った。牛久は8回までに8安打を放っており、得点も2回は3安打をつなぎ、6回は単打と長打で奪ったもの。一方の霞ケ浦は8回まで3安打、2回の得点は四球と敵失、5回の得点は死球と単打、犠飛で挙げた。

霞ケ浦の山名は「立ち上がりが悪かった。2ストライクからの変化球が甘く入って打たれ、ピンチの作り方も四球やエラーからと良くなかった。途中からは厳しいコースに投げられるようになった」と振り返った。

打撃について新山秀男主将は「チームとしてはライナーや強いゴロを打とうという意識だったが、徹底できなかった。自分としても高めのボールに手を出し、ポップフライやショートゲッツーになってしまった。切り替えて集中したい」と反省。「相手の緩いボールにどっしり構えられず、少しずつ前のめりになってフライを打ち上げた」と高橋祐二監督。

ようやく試合が動き始めたのは9回。霞ケ浦は2安打と犠打、四球で1死満塁、だがここは後が続かずサヨナラのチャンスを逃す。逆に10回表は1死一・二塁のピンチをつくるが、山名が相手の4、5番に対し最後の踏ん張りを見せて切り抜けた。

10回裏無死一塁、サヨナラ勝ちの流れを呼んだ飯塚の二塁打=同

そして10回裏、先頭の本橋優太郎がセーフティバントで出塁し、3番・飯塚恒介が右翼線を抜く長打、4番・宮崎莉汰が敬遠で無死満塁。だがこの敬遠策は牛久にとって裏目に出た。5番・日渡謄輝へのフルカウントからの6球目がワンバウンドになり、霞ケ浦に勝ちが転がり込んだ。

「うちは毎年出足が遅いが、それにしても苦しすぎたゲーム。バッティングはちょっとしたきっかけで上がるので、冷静になり調子を上げていきたい」と高橋監督。新山主将は「厳しい展開だったが、勝ち切れたことが大きい。次に向けてもう一度修正し、守備から流れをつくる霞ケ浦の野球をやっていきたい」と気を引き締める。(池田充雄)

スイス選手団13日つくば入り 8月2日まで筑波大などで事前合宿

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スイス陸上選手が事前合宿で練習する筑波大学陸上競技場=つくば市天久保

東京オリンピックに出場するスイス選手団の第1陣が13日深夜、事前合宿地のつくば市に到着する(6月2日付)。8月2日まで、マウンテンバイク、陸上、柔道の選手27人とコーチら計51人が市内のホテルに宿泊しながら、筑波大学陸上競技場や柔道場などで練習する。

市オリンピック・パラリンピック推進室によると、第1陣として13日来日するのは、マウンテンバイクの選手1人とコーチ、運営スタッフ、シェフら計6人。夕方、成田空港に到着し、検疫で新型コロナ陰性を確認後、つくば市に向かう。夜11時ごろ市内のホテルに到着する予定という。選手は14日から練習し、18日につくばを離れ、選手村に入る。

第2陣は、陸上の選手23人とコーチら12人の計35人が、競技種目ごとに16日から順次、来日し、筑波大学陸上競技場などで事前合宿を行う。陸上の選手らは種目ごとに8月2日までに順次、選手村に入る。柔道も選手3人とコーチら計10人が16日来日し、21日まで、大学の柔道場で練習などを行い選手村に向かう。

ホテル公表せず

選手団と、付き添いの筑波大スタッフ、市職員、ホテルスタッフは毎日、PCR検査を実施する。選手団はホテルと練習会場を往復するだけで、外出も買い物もしないという。

宿泊するホテル名は公表しない。ワンフロアを貸し切り、食事はホテル内の専用の調理室でスイス人シェフが調理したものを、専用の部屋でとる。ホテルの出入りは、同行する市職員やホテルスタッフらが、一般の宿泊客と接触しないよう注意を払うという。

部活動と区切り設置

練習会場となる筑波大は、新型コロナ対策のため、事前合宿期間中、構内への入場は関係者のみとする。公開練習なども実施しない。一般学生がスイス選手と接触しないよう、動線や施設使用の区域を分けるなどする。

大学の担当者は取材に対し「春学期の期間中ではあるが体育実技の授業はなく、一般の学生が練習場に入ることはない。また練習場所に区切りを設けることによって、部活動で練習場を使用する学生とも接触を避けるようにしていく」と感染対策を示す。

大学構内での移動についても「選手団は決まった経路のみを利用することにしている。アテンド(付き添い)の者が選手とのソーシャルディスタンスをとりつつ同行し、学生との接触がないよう注意喚起を行う」としている。

「歓迎したいが複雑」

人間学群の男子学生(22)は「スイス選手団が来ることそのものを知らなかった」と話した。比較文化学類の女子学生(20)は「スイス選手団が来る話は聞いたことはあったが、今来るのかと驚いた。オリンピックが目の前に迫っているという感覚が全くない。大変な時期にわざわざ来るのだから歓迎したい気持ちはあるが、なんだか複雑な気持ち」だと話した。

学生とスイス選手団の交流イベントについて大学は「対面でもオンラインでも、今のところ実施の予定がない」と話した。

事前合宿はもともとは6競技の選手らが予定していた。体操、フェンシング、トライアスロンの3競技は事前合宿を取り止め、直接、選手村に入るという。(山口和紀)