日曜日, 10月 24, 2021
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コメ、今世紀末80%に減収 農研機構が最新モデルで予測

地球規模の気候変動の中で、わが国の基幹作物である水稲(コメ)生産はどうなるかー。農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市観音台)が最新のモデルで予測に取り組んだところ、温暖化でコメの収量は従来予測よりも多くの地域で低下する一方、高い二酸化炭素(CO₂)環境が白未熟米の発生を助長させ、品質面の影響も深刻になるという「未来予想図」を提示した。

農研機構の農業環境研究部門による成果として19日、オンライン発表された。屋外での栽培実験の結果に基づいて、高温と高CO₂の複合的な影響を考慮した水稲の生育収量予測モデルを構築し、気候変動による国内の水稲への影響を予測した。従来は、高温で収量減、高いCO₂環境は増収と見積もられ、そのバランスから将来予測モデルが組み立てられてきた。

CO₂濃度を現在よりも高めに制御した屋外栽培実験「開放系大気CO₂増加実験」を2016年まで、岩手県と茨城県つくばみらい市のほ場で実施した。すると、CO₂濃度の上昇により光合成が活発になる「増収効果」が栽培地の気温が高いほど小さくなること、高CO₂では外観品質が低下するなど新たな知見が得られた。

その上で、従来は別個に考慮していた「高温」と「高CO₂」の影響を複合的に考慮する最新の水稲生育収量予測モデルを構築し、これを使って気候変動による国内の水稲の収量および外観品質への影響を予測した。

温暖化傾向が「中庸」とされる気象予測モデル(RCP8.5)を用いてシミュレーションを行うと、20世紀半ばには西日本を中心に減収地域が出現。従来の予測モデルでは今世紀中頃までは増収傾向とされていたのが、早くに下方修正に転じ、今世紀末には約80%に減収すると予測された。

従来の予測モデル(左)と最新の予測モデルによる水稲の相対収量算定値の分布の比較(農研機構提供)

白未熟粒は影響顕著に

白未熟粒は、高温障害によりデンプンの蓄積が不十分で米粒が白く濁って見え、外観品質低下の主な指標になっている。近年では2010年、19年産米で多発し、コメの等級落ちなど農家に実害をもたらした。従来の推定モデルでは、気温のみを考慮しており、白未熟粒率は今世紀半ばでは約15%、今世紀末では約30%と予測したのに対し、気温とCO₂濃度を考慮した最新の推定モデルでは、白未熟粒率は、今世紀半ばでは約20%、今世紀末では約40%と予測した。この発生エリアは西日本から関東にも広がり、より影響が顕著になる。

水稲の白未熟粒率推定値の分布の比較。関東地方では収量に比べ白未熟粒の発生が最新モデルで顕著になる=農研機構提供

農業環境研究部門の西森基貴主席研究員らによれば「今回の予測は、高温耐性があまり強くない2003年ごろの品種によって予測しており、この間手をこまねいていたわけではなく、耐性品種の作出などさまざまの適応策をとってきている」という。

農研機構は高温耐性品種である「にこまる」を開発、普及を図るなどしており、対策を加速させる。生産農家には田植え期を遅らせて(または早めて)夏の酷暑を避けるなど、適切な栽培管理を求めている。これからの出穂(しゅっすい)時期から20日程度の暑熱が品質低下リスクが増すことを指摘している。(相澤冬樹)

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