火曜日, 4月 22, 2025
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オオムラサキを見に行こう 《くずかごの唄》90

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【コラム・奧井登美子】私たちが「どんぐり山」と呼んでいる山がある。21年前の2000年、皆でどんぐりの実を持ち寄り、「どんぐりの里子作戦」と名づけて、かすみがうら市加茂の岡野静江さんの畑(1500坪)にまいたのが始まりである。

作戦には130人もが来てくれた。東京の台東区の子供たちや、廃校になった土浦の宍塚小学校の子供たちも参加して、草取り、苗植えなどなど、森づくり作業に喜んで参加してくれた。

どんぐりの苗よりも大きくなってしまった雑草を刈りとるのが一仕事。皆、蚊や蚋(ぶよ)に刺されて大変だった。現地の人たちは、草むしりの前に殺虫剤をまくことを提案してくれた。私たちは将来の昆虫の森を夢に見ていたので、殺虫剤だけはまかないでほしいと、「殺虫剤の勉強会」まで開催してその案を阻止した。

広い畑の下草刈りはあまりに重労働だったので、敷地の半分くらいに段ボールを敷き詰めて、「ペーパーマルチ」を実験してみた。段ボールが溶けてなくなるまでの2~3年間、その場所の雑草は生えずにどんぐりの木を守ってくれた。

雑草取りの手間が省けてとてもよかったと喜んだが、段ボールの下は冬でもかなり暖かいらしく、いつの間にか、ヤマカガシ君とマムシ君たちの別荘になってしまったらしい。

会いに行くことが楽しみ

「マムシが出た」と叫んだら、現地の石川さんのオジサンが素手で5匹もつかまえてくれた。2005年。とうとう、待ちに待ったあこがれのオオムラサキが出現した。さすが国蝶とあって、色といい、貫禄といい、申し分のない格調の高さである。

オオムラサキはエノキで育つ蝶である。近くにエノキがあるに違いない。岡野家の敷地の突き当りにある大きなエノキ。木の下には、春、秋、冬を通じて、かわいい顔をしたオオムラサキの幼虫に会うことができる。私は会いに行くことが楽しみだった。

ほぼ毎年、7月の土曜日に昆虫観察会を開くと、オオムラサキも毎年10羽以上来てくれるようになった。しかし、昨年はコロナで子供たちの参加を止めたら、オオムラサキも来てくれなかった。どうしたのだろうか? エノキは無事だろうか? 森の中にコロナはいないので、今年は昆虫観察会決行と決めた。(随筆家、薬剤師)

※ 昆虫観察会:7月31日(土)午前8時30分、霞ケ浦環境科学センター前集合。問い合わせは霞ヶ浦市民協会(電話029-821-0552)

常総学院、土浦日大の追い上げかわし準決勝へ【高校野球’21】

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【土浦日大ー常総学院】4回裏2死一・三塁、常総の重盗をホームで阻止。捕手・菅野

第103回全国高校野球選手権茨城大会は22日、準々決勝4試合が2球場で行われた。土浦・つくば勢は常総学院と土浦日大が対戦し、常総が6ー5で土浦日大の追い上げをかわしベスト4に進出した。準決勝は24日、常総学院と水城、石岡一と鹿島学園が対戦する。

ノーブルホームスタジアム水戸の第1試合は、土浦日大と常総学院が対戦。常総が先行し日大が追い上げるという展開で、終盤までもつれたが6-5で常総が逃げ切った。試合を大きく左右したのは両チームの投手力だった。

常総は初回裏、日大の先発・河野智輝投手の立ち上がりを攻め立てた。先頭の鹿田優が内野ゴロで出塁し、3番 三輪の中越え二塁打で先制。6番 秋本の左中間二塁打で2点を追加。日大のエース小谷野奨大を早くも引っ張り出し、2回にも伊藤琢磨の左前打で1点を加えた。

1回裏常総学院2死一・二塁、秋本の適時打で2者が生還

日大の反撃は4回。2番 萩原康誠が内野ゴロ、3番 芹沢優仁主将が中前打、この2人が重盗を決めて1死二・三塁、5番 大島優太朗の三塁線を抜く二塁打で2点を返す。常総はこの回、先発の秋本を下げてエース大川慈英を登板させた。

6回には常総が追加点。連投の影響が残る小谷野を、三輪の中越え2点二塁打でノックアウト。日大は3人目の山田奏太をマウンドへ送った。

7回の日大は、その山田のバットが流れを引き寄せた。2死二塁の場面で右前適時打。続く武田優輝の内野安打は悪送球を招き1点追加、さらに萩原の左前適時打で、この回計3点をもぎ取った。

7回表2死二塁、山田の適時打で小菅が生還、沸く日大ベンチ

最後はがまん比べ。8回裏の常総の攻撃では、山田が2死球を与え2死一・二塁となるが、申告敬遠で塁を埋め、次打者を三振に切ってピンチを脱出。9回表の日大の攻撃では、大木の内野安打で1死一塁から、代走今西と代打吉次を送って起死回生を図るが、三振2つであえなくゲームセットとなった。

土浦日大「この経験を来季に生かす」

日大の小菅勲監督は常総の大川投手について「崩れそうでいて要所を抑えて投げきった。さすがいろんな経験をしている投手。彼を打ち崩せないと甲子園には招かれない。そのきっかけにしようと選手たちに言っていた」と話す。

日大の小谷野投手は、春前に傷めた肩をかばって病院に通いつつ、毎試合長いイニングを投げるという苦しさがあった。「本調子ではないが、試合になるとそんなことは言っていられない。アドレナリンが出て痛みも消えた。霞ケ浦戦までは自分のピッチングができたが、最後にそれができずとても悔しい」

山田投手は5四死球と苦しみつつも3三振を奪い無失点。前回登板からの成長を見せた。「軸足の流れを修正したことで体の開きが消え、アウトコースが引っかからなくなった。自分のピッチングで流れを引き寄せたかったが、先輩たちと甲子園へ行けなくなり悔しい。この経験を来季に生かしたい」

7回裏、常総打線を三者凡退に抑えベンチに戻る山田(右)

常総学院「しっかり修正しミスなくす」

常総の島田直也監督は勝利に安堵しながらも、7回の失点には「先の先のプレーをやろうと考えて、自分たちで苦しめてしまった。目の前のプレーを大事にしないと、このままでは全国でまた同じミスをしてしまう」と厳しい表情。

殊勲打の三輪も「次も接戦が続くと思うので、しっかり修正してミスをなくし、守備から流れを持ってくるようにしたい。バッティングでは今日のようにセンター返しを意識し、強い打球で必死にボールにくらいついていきたい」と次を見据えた。(池田充雄)

準々決勝、他3試合の結果と、24日の準決勝の組み合わせは以下の通り。


 

共に学ぶ教育への意識高まる 県障害者差別相談室が報告会

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2020年度の報告をする、県障害福祉課職員と差別相談室の相談員=水戸市赤塚、水戸市福祉ボランティア会館

県障害者権利条例に基づいて2015年に設置された県障害者差別相談室の2020年度実績報告会が、21日オンラインで開催された。教育に関する相談が増え、相談員は「(障害のある子どもと障害のない子が共に学ぶ)インクルーシブ教育に対する社会の意識が高くなり、普通学校での障害児の支援方法についての相談も来るようになった。幼い頃から障害のある人が身近にいるようになれば、障害への理解が広がるだろう」と話した。

相談室は、条例に基づき県が運営し、障害者や家族、支援者などから、障害者差別に関する相談を受け付けている。相談内容によっては、解決にむけた助言や情報提供、関係者間の調整などをおこなう。例年は水戸の会場で開催しているが、昨年に引き続き今年も、新型コロナの感染予防のため、オンラインで開催された。

報告会には県内の障害者や支援者など約15人が参加した。実績報告後の質疑応答では、参加した障害者などから多くの質問や意見が出され、相談室と障害者などが協力して、差別をなくそうとする姿勢が見られた。

発達障害に対する認識の甘さを反省

昨年度寄せられた相談は68件で、相談室が設置されて以降、最も少なかった。一方、内容別に見ると、教育に関する相談のみが過去2年と比較し件数が増えた。

報告会ではまず、昨年度寄せられた教育に関する相談事例が紹介された。発達障害を持つ子どもが通常の学校で適切な支援を受けられていないという母親からの相談では、相談員の同席の下で、学校や市教育委員会と協議の場を設けた。結果、学校は発達障害についての認識の甘さを反省し、特別支援学校などの専門機関から助言を受けながら、保護者と連携して対応していくことになった。

この事例を受け、報告会に参加した「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」共同代表で、自身も差別解消を推進する障害平等研修の講師として活動する八木郷太さんは「県内の小中学校では、障害者が講師となり、子どもたちと一緒に障害について考える障害平等研修が少しずつ行われている。協力して障害理解を広められたら」と、提案した。

事例集を改定、精神障害を追加

県は差別解消に向けた意識啓発のため、差別についての相談事例集を作成し、県内の福祉関係機関や教育機関に広く配布している。県は今年、事例集を改定した。

報告会では参加した障害者から、「差別されていても、差別に気づかない障害者もいる。事例集は、どのようなことが差別なのかを、障害者にも周囲の人にも知らせる役割がある」「事例集があることで当事者は相談しやすくなる」など、事例集の役割に期待する意見が出た。

一方、担当職員からは「個人情報に配慮したり、障害種に偏りがないように考えながら、事例を選んでいる。今までの事例集には、精神障害の事例が少なかったため、今回新しく掲載した」と、事例集に対する考えが話された。

その他にも、参加した複数の障害者から「一般のタクシー会社でも車いすのまま乗れるユニバーサルデザインタクシーが普及してきたが、運転手が車いすの乗車方法を十分に研修できていないなら、一緒に研修会をやりたい」「差別解消に関する取り組みを話し合う協議会のメンバーに障害者も入れてほしい」などの意見が聞かれ、差別をなくすための行動を県や相談室だけに任せるのではなく、自分たちも協力していこうという障害者らの意識が見られた。(川端舞)

アリとキリギリス 《続・平熱日記》90

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【コラム・斉藤裕之】生後10日を過ぎてやっと名前が決まった孫。乳もよく飲むし夜泣きもほとんどしない。我が子の場合と違って、目鼻や耳、頭の形や髪の毛など、双方の祖父母の顔まで思い浮かべて、何がどう遺伝しているのか、誰に似ているのか、大げさに言えば、大昔からつながる、そしてこの先つながっていく命の不思議をも感じてしまう始末で、まあいずれにしても、なかなかいい面構えをしていると、ひとりニヤける。

それから、今どきはよくできたもので、旦那さんも長い育休をとって、おむつを替えたり寝かしつけたりで、ここ1カ月はにぎやかに暮らしているのだが、カミさんと2人暮らしのときと比べて、飯の支度やら洗濯やらが意外に大変で、寝床につくときには冷蔵庫の中を思い出しながら明日の献立を考えたりする自分がいたり、梅雨時は洗濯物も乾かないので近所のコインランドリーに朝6時に出かけたら、何台もの乾燥機が回っていることに驚くやら。

そうこうしているうちにも、コロナの勢いは衰えるどころか、東京は緊急事態宣言下でどうやらオリンピックは開かれることとなり、何とも複雑な夏を迎えることとなった。

粭島での作品展は延期

それとは関係ない?関係なくもない?が、何かと家にいる時間が長くなった私を見て、「どこかで働いてきなさい」という指令がカミさんから下された。どこかでと言われても、いまさら雇ってくれるところもないのだが、カミさんの目論見としては、かねてからお誘いのあった草刈りのバイトに行けということらしい。

草を刈る場所は、高低差10メートル、幅数10メートルほどのノリ面。上り下りするだけでも大変だが、刈り取ったカヤやササの葉は滑りやすく、斜面で足を踏ん張りながらの作業。炎天下、汗の量も半端ではない。幸い雇い主が親しい友人ということに甘えて、「半日しかできないよ」と宣言して始めたが、朝8時から始めてお昼には限界が来る。おまけに刈り終えた斜面からまた順番に草が生えてきて、「終わらない夏」の予感。

肉体労働は汗をかいた分のお給金をもらえるので嫌いではない。「アリとキリギリス」という寓話を思い出す。お金が無くなると肉体労働をするしかなかった。そこはアリ的に生きてきたのだが、人から見れば、やはり絵描きはキリギリスなのかもしれない。つまり私は「アリギリス」? しかし、キリギリスとはギリシャっぽい和名で何とも面白い。

残念だが、この夏に予定していた故郷の粭島(すくもじま)での作品展は延期することにした。もう少しすっきりしないと、小さな島とはいえ、いや小さな島だからこそ人を呼び入れることははばかられる。日々変わる孫の顔が見られないのはちと寂しいが、またカミさんとの2人の暮らしに戻る。刈るのをためらったアザミが夏空に赤い花を咲かせている。(画家)

教員と市職員が新型コロナ つくば市

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つくば市役所

つくば市は21日、市立学校教員と市働く婦人の家の職員計2人が同日、新型コロナウイルスに感染していることが分かったと発表した。

教員が勤務する学校の濃厚接触者については現在、調査を実施している。学校はすでに消毒作業を実施した。夏休みに入ったため休校などは実施しない。

働く婦人の家は、施設内の濃厚接触者はいない。施設はすでに消毒作業を行い、通常通り業務を実施する。

夏休みだ!お勉強だ!クレオで科学実験 つくば駅前

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特別展示の仕上げを急ぐNIMSの新設コーナー=トナリエ クレオ3階

21日、夏休みが始まった。この日早くも宿題の仕上げよろしく突貫工事に励んでいたのは物質・材料研究機構(NIMS、つくば市並木)の面々。22日からトナリエクレオ(つくば市吾妻)に特別展示を開始するのを前に、コーナーの飾り付けに汗だくで取り組んだ。

クレオは22日、開業第2弾として家電量販のケーズデンキ、百均のダイソーなどがオープンする。3階の一画にNIMS特別展示も名を連ねる(7月10日)。

25日までの4連休中、「リアル実験ショー」と銘打って、1日に5回の公開実験を行う。通常、浮遊状態で見せる超電導実験を「逆さにしても落ちない」ユニークなスタイルで行ったり、手の熱で氷を切るダイヤモンド切断ショーなどを準備している。各回10~15分程度。NIMS特製「元素バッジ」がもらえるクイズなども行う。

実験イベントは4日間限定だが、展示自体は夏休みいっぱい継続の予定。NIMSが開発した白色LED、ジェット機に使われる超合金などの先端材料を目にすることができる。

クレオを運営する日本エスコン側から「駅前につくばらしい雰囲気を持ってきてほしい」との要請があり、出展を決めた。NIMSがつくばセンター地区に展示施設を置くのは初めてで、秋以降の継続についてもエスコン側と協議する構えでいる。(相澤冬樹)

ワクチン予約を一時停止 つくば市 再開の見通し立たず

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つくば市新型コロナウイルスワクチン接種対策室前に設置された受付窓口を訪れる市民(右)=つくば市役所コミュニティ棟1階

国からの新型コロナウイルスワクチンの供給が見通せないとして、つくば市は20日から、ワクチン接種の予約受け付けを一時停止した。いつ再開できるのか、市新型コロナウイルス接種対策室は、現時点で見通しが立たないとする。予約の一時停止は全国でも起こっている。

同市は、国の掛け声に呼応して接種のスピードを上げてきた。65歳以上の高齢者の優先予約に空きが出始めたのを見計らって、6月21日から65歳未満に順次、接種券を発送し、7月15日までに、16歳以上の計約15万2000人に発送を終えた。

しかし国のワクチン供給にブレーキがかかり、16歳から29歳の予約受け付けを開始したちょうど20日午前、まだ残っていた大規模接種会場のつくば市配分枠が埋まってしまい、同日、予約受け付けを停止した。

大規模接種会場は、県が産業技術総合研究所に開設し、モデルナ社製ワクチンを接種する。予約が埋まったつくば市枠は、10月1日までの2万5000人分(2回接種分)だった。

一方、市内102カ所の診療所など医療機関での接種予約は、ファイザー社製の供給が見通せず、すでに7月中旬から新規の予約受け付けを停止していたという。

8月末まで供給量と予約ほぼ同数

市接種対策室によると、20日までのワクチン接種率は、医療従事者が1回接種96%、2回接種90%。65歳以上は1回接種74%、2回接種49%。6月24日から順次予約受付が始まった65歳未満については、1回目を接種したのが1万1042人、2回接種は1795人とわずかだ。

国からのワクチン供給は7月上旬現在、2週間に1回、1万7550回分が届く。現在、2回目の接種を待っている65歳以上の高齢者は約1万2000人、65歳未満は約9000人おり、ほかに予約をとったばかりで1回目の接種を待っている人もいることから、8月いっぱいまでは予約数とワクチン供給量がほぼ同数だという。

市担当者は「2週間ごとに国からワクチンが届くが、在庫はそんなになく、届いたらすぐ配送するという状況が続いている」と話し、その上で「予約したのにワクチンが無くて接種できないという状況だけは絶対に避けなければならない」として、止むなく新規予約受け付けを停止したと説明する。

今のペースでは、9月以降の国からのワクチン供給量が確定するのは8月に入ってから。市は今後、市内の医療機関を対象に、9月から11月までの予約受け付け状況を調査する予定で、国の供給量の見通しが分かれば、できるだけ早く予約受け付けを再開したいとする。

すでに予約した人については、2回目接種のワクチンは確保されている。(鈴木宏子)

宇宙に行く意味とは? 立花隆さんと野口聡一さん 《遊民通信》21

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フックン船長のぬいぐるみ返還のためつくば市役所を訪れ記者会見に応じる宇宙飛行士の野口聡一さん=20日、つくば市役所

【コラム・田口哲郎】

前略

去る7月5日、つくば市で宇宙飛行士の野口聡一さんが東京五輪聖火リレー走者を務められました。あの笑顔を見て、私は6月23日に訃報が伝えられた評論家の立花隆さんを思い出していました。

立花さんの追悼番組で野口さんは、『宇宙からの帰還』というNASA(米航空宇宙局)の宇宙飛行士にインタビューした立花さんの本を読んで宇宙を目指したこと、立花さんから宇宙体験を社会の精神性に役立てるよう助言されたことを述べられました。宇宙開発と精神性の組み合わせが意外で、立花さん、野口さんの著作を読んでみました。

『宇宙からの帰還』では、宇宙飛行士たちが宇宙で神秘体験をし、宗教に目覚める話が紹介されています。お遍路で神秘体験をする人がいるように、宇宙でも当然起こりうるわけです。2006年の『中央公論』の立花さんとの対談で、野口さんは「ドラスティックな宗教的な目覚め」はなかったと言っています。でも、宇宙冒険による内面の変容体験はあったとも語っていて、追悼番組で宇宙体験を社会の精神性に役立てたいと述べていました。

どういうことだろうと思い、野口さんの学術論文を読んでみました。2014年の「宇宙空間における重力基準系の変化は人にどのような影響を与えるか:身体定位、認知、対人関係を中心に」は、ISS(国際宇宙ステーション)長期滞在の経験に基づくもので、地上では当然の重力(基準系)がほぼ無い宇宙で人間は安心を得られるのか?が検討されています。

宇宙では上下左右の固定がなくて不安だが、地上にあるようなシガラミもない。無重力状態は国家、民族を相対化し、宗教のような精神性までも相対化するだろうというのです。宇宙で「新しい視座を得て新しい価値観を築き上げ」、地上の人々にもそれを理解してもらうことが大切だと締めくくっています。

野口氏の語り方

米国は人口の8割弱が何らかの信仰有りと回答する宗教国家なので、宇宙飛行士も自らの体験を宗教と結びつけたのでしょう。野口さんは特定の信仰を持っていないようですし、科学者でもあるので、内面的な意識の変容の原因を無重力に求め、変容がなんなのか考えています。論文の冒頭に、人類の宇宙進出の理念と意義を人文・社会科学的立場から理解することが重要、とあります。宇宙開発は確実に科学技術による成果です。

でも、宇宙が前よりも身近になり、今後ますます宇宙旅行が普通になっていくのであれば、宇宙に行く意味を人文社会系の視点で語っていくことは必要になるでしょう。立花さんは科学技術を広く世の中に紹介しましたが、その視点は常に「人間が生きることの意味」にあったので、読者に単なる知識ではなく、哲学的な感動を与えたのです。

国家プロジェクトである宇宙開発について、その成果が強調されても、その意味が語られることはあまりないかもしれません。でも、科学技術が実現させる成果の裏にある「夢」を冒険家である野口さんには今後もっと語ってほしいですね。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

つくば市職員が新型コロナ

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つくば市役所

つくば市は20日、同市玉取の市営斎場、つくばメモリアルホールの職員が同日、新型コロナウイルスに感染していることが分かったと発表した。

同施設内での濃厚接触者はいないという。

メモリアルホールは消毒作業を実施し、通常通り業務を実施する。

土浦日大が霞ケ浦に逆転勝ち 常総は辛勝【高校野球’21】

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【霞ケ浦ー土浦日大】4回裏土浦日大2死一・三塁、二塁悪送球の間に三走・大島がホームへすべり込み逆転

第103回全国高校野球選手権茨城大会は20日、ベスト8を決める4回戦8試合が4球場で行われた。土浦・つくば勢は、土浦日大と霞ケ浦の強豪校同士が対戦、土浦日大が逆転勝ちをおさめた。常総学院は茨城キリストに逆転で辛勝した。両チームは22日の準々決勝で対戦する。一方、土浦三は水戸一に及ばなかった。

霞ケ浦の送球逸れ、土浦日大が本盗

4回裏土浦日大無死一塁、大島が右中間へ同点の三塁打を放つ

J:COMスタジアム土浦の第1試合は、霞ケ浦対土浦日大という地元勢同士の対戦。土浦日大が2-1で逆転勝ちし、ベスト8へ駒を進めた。小菅勲監督は「夏の大会らしく厳しい試合が続いているが、選手も受け身にならず戦い、いい野球ができている」と手応えを語った。

序盤は霞ケ浦が優勢だった。3回表、大塚碧人がショートへの内野安打で出塁、2番でスタメン起用された本橋優太郎が左前打を放ち先制。土浦日大の先発・山田奏太をマウンドから引きずり下ろし、エース小谷野奨大を引っぱり出した。

しかし土浦日大が4回に逆転する。4番菅野樹紀の中前打と、5番大島優太朗の右中間への三塁打でまずは同点。霞ケ浦の山名健心投手によると、菅野にはチェンジアップ、大島には高めに浮いたカットボールと、どちらも追い込む前の変化球が狙われた。

「送って点にならないケースが2つあったので、大島には積極的に打たせてみた。見事期待に応えてくれた」と小菅監督。「直球を狙っていたが、甘めの抜け球が来たので、良いイメージで振れた」と大島。

気を取り直した山名は続く2人を打ち取るが、8番の大木莉生を四球で出し2死一・三塁。ここで大木が二盗を狙うと、日渡騰輝捕手の送球はバランスを崩し、大きく逸れてしまう。この間に三走・大島が本塁を陥れ、貴重な勝ち越し点を挙げた。

「捕手が投げた瞬間、高かったので行けると思った。本盗は実戦では初めてだが練習通りいった」と大島。「挟まれている間に突っ込めというサイン。まさか決勝点になるとは思わなかったが、思い切って動いてよかった」と小菅監督。

試合後、硬い表情でベンチへ戻る霞ケ浦ナイン

一方、霞ケ浦の髙橋祐二監督は「日渡は投げられる体勢になかったし、2死なのだから走らせてもよかった。長打を打たれても頑張って抑えていたのにもったいない。あの1点が大きかった」と、沈痛な表情。

その後は互いにチャンスを作りながら得点はならず。霞ケ浦にとって悔やまれるのは5回と9回のスクイズ失敗だ。5回は西村貫次朗と大塚の2安打で1死二・三塁、ここで深谷怜がバントをするがサインミスでランナーは走れず。9回は宮崎莉汰と日渡の2安打で1死一・三塁、西村は2球目をスクイズに出てファール、4球目は低めのボール球に手を出して内野フライ。

「西村にはもう1回スクイズでもよかった。押せ押せの状況なのに気持ちが追い込まれていた。もっとリラックスさせてあげられればよかった」と髙橋監督。「取れるところで取りきれず、最後に詰めの甘さが出てしまった。チームの伝統を壊す形になってしまい、先輩方に申し訳ない」と、新山秀男主将はうつむきがちに語った。(池田充雄・崎山勝功)

常総、ソロホームランで逆転

8回裏2死、三輪拓未の逆転ソロホームラン(撮影/池田充雄)

第2試合の常総学院は、茨城キリストに6-5で辛勝した。試合中、小さなミスから苦戦し、次戦に課題を残す試合運びとなった。

常総は1回裏に柴田将太郎が二塁打を放ち2点を先制したが、2回表に先発の時岡秀輔が茨キリ相手に四球を重ねて失投し、結果4失点のミス。「先発投手(時岡)は春の関東で投げているが、こういう一発勝負で投げるのは緊張していたと思う。3回くらいまで行く予定だったが早めに交代した」(田邊広大主将)。

次に登板した石川丈翔も1失点の上に暴投と安定を欠き、5回表に大川慈英の登板を待つまで、不安定な試合だった。

期待を背負って登板した大川は「マウンドに立ったとき負けていたので、流れを持ってこさせるピッチングをして最後に絶対勝ちたい、そういうピッチングができた。エースを任された以上、流れが相手の方に行っていたので引き寄せよう」との思いで、最終回まで無失点で投げ切きった。

打撃陣も4回裏に相手投手陣の死球続きによる敵失で1点を得た以外は振るわず湿りがち。7回裏に打席に立った三輪拓未は「前半3点を追う展開。やることは変わらない。1点ずつしっかり返していこう」と安打を放ち、常総打線はコツコツと安打を続けて同点に追いつく。

7回表2死二塁、宮原一綺の中前打で同点(同)

8回裏2死の場面で、三輪がツーアウトから単独本塁打を放ち6-5と逆転。「高めを狙って打て」との思いで初球高めを狙い、「自分の打席、つなぐ意識でボックスに立ち、結果的にホームラン」と安堵した様子。

反省材料が多かった試合を振り返り、島田直也監督は「最後まであきらめずにやったのは成長しているかなと思うけど、一つのミスは怖い。状況判断がなかなかできないのかな。補えるミスばかり。最後の夏ということなのでプレッシャーが大きいと思う」と、厳しい表情を見せた。田邊主将も「エラーも目立った。気の緩みがないよう締めていきたい」と、次戦への改善点を示した。(崎山勝功)

笠間市民球場第一試合は、土浦三が水戸一に敗れ、ベスト8はならなかった。

フックン船長、野口宇宙飛行士とつくばに帰還

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宇宙飛行士の野口聡一さん(左)と共につくば市に帰還し、五十嵐立青市長(右)に返還されたフックン船長のぬいぐるみ。市民が書いた応援メッセージを印刷したマントを背負っている=つくば市役所

宇宙飛行士の野口聡一さん(56)と共に昨年11月から今年5月まで半年間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在したつくば市のイメージキャラクター「フックン船長」のぬいぐるみが20日、つくば市に帰還した。

野口さんがつくば市役所を訪れ、宇宙で撮影された写真やNASA(米航空宇宙局)の公式飛行証明書などと共に、五十嵐立青市長に返還した。

フックン船長は、市民が書いた応援メッセージ約100点が印刷されたマントを背中に付けて昨年、地球を出発した。ISS船内では野口さんの寝室に置かれ、半年間一緒に過ごしたという。

野口さんは「つくば市の皆さんに直接あいさつできてうれしい」と語り、「仲間のクルーに(フックン船長と一緒の)写真撮影を手伝ってもらった。つくばはJAXAがあり海外のクルーにとっても馴染みが深い」などと話した。

野口さんはこれまで計3回、宇宙に行きISSに滞在した。2005年には米国のスペースシャトル「ディスカバリー号」、2009年はロシアのソユーズ宇宙船、3回目の昨年は民間企業のクルードラゴンで宇宙に行くなど、異なる手段を用いた。

今後について「時代の変化で宇宙への移動手段は、国主導から民間企業など新しいプレーヤーが急激に伸びている。それぞれのイノベーションとモチベーションで挑戦する時代がやってきた」と話し、自身の今後についても「自分で年齢に制限を付けずに、自分に何ができるか、今後も挑戦したい」とし、さまざまな移動手段による4度目、5度目の宇宙に意欲を見せた。

宇宙飛行士を目指す子供たちに対しては「自分がやりたいことに挑戦できるのは幸せ。宇宙に行きたいという熱い思い、モチベーションを持ってほしい」と述べ「ただ、一人で行ける世界ではないので、歌でもスポーツでもいいので、チームワークで仲間と一緒に成し遂げる経験をしてほしい」などと話した。

帰還したフックン船長のぬいぐるみは、近く市役所などに展示し市民にお披露目するという。五十嵐市長から野口さんには、市内在住のこけし作家、吉原一行さんによる、フックン船長をかたどった創作こけしがプレゼントされた。(鈴木宏子)

事業継承を経営問題と認識、7割超に

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つくば駅前

帝国データバンク調査

コロナ禍の影響から、倒産、休廃業の増加が懸念される中、回避策として「事業継承」がこれまで以上に注目されている。事業継承の実態を把握するため、帝国データバンク水戸支社が企業の意識(見解)調査を実施した結果、企業の7割以上が事業継承を経営上の問題ととらえていることが分かった。

調査対象の県内企業366社のうち有効回答企業数は174社(回答率47.5%)だった。

事業継承に対する考え方について「最優先の経営上の問題と認識」している企業が9.8%あった。「経営上の問題の一つと認識している」が60.3%と最も高かった。しかし「経営上の問題と認識していない」も21.3%あった。

業種別にみると、経営上の問題として考えている割合が高いのは「卸売」が78.5%、次いで「建設」が77.4%、「運輸・倉庫」が72.2%と続き、「サービス」も69.5%と全国平均を上回った。

事業継承を円滑に行うために必要なことは何かとの質問には、「現代表(社長)と後継候補者の意識の共有」が45.4%でトップ、以下「経営状況・課題を正しく認識」42.5%、「早期・計画的な事業継承の準備」39.7%、「早めに後継者を決定」37.4%と続いた。

政府も、若い世代の事業継承機運醸成や、世代交代に伴う中小企業の成長を促進する施策の推進、税制面の優遇措置、第3者承継の促進など支援体制の強化に努めている。

帝国データバンクは「後継者が取得した資産に対する贈与税や相続税といった税負担が障壁となるケースも否定できず、事業継承には事前準備に加え、より使い勝手のよい税制へと見直していくことが不可欠」と提言している。(山崎実)

つくタク予約受付できず 開始20分間 休日設定のまま

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つくば市役所

つくば市は19日、市のデマンドタクシー「つくタク」の予約が、同日午前8時30分から20分間、受け付けできない状態が発生したと発表した。

市総合交通政策課によると、利用者が同日午前8時30分ごろ、予約・配車業務を行っている「つくタク予約センター」に電話したところ、オペレーターと電話がつながらず、業務時間外である旨の自動案内ガイダンスが流れた。

利用者からの問い合わせを受けて市が委託事業者に確認したところ、自動案内ガイダンスが休日設定の状態だったことが分かった。

海の日の19日はもともと休日だったが、今年は東京五輪の延期に合わせて祝日が移動し、平日扱いとなった。委託事業者が19日の設定を、休日から通常営業日に変更するのを失念したのが原因という。

再発防止策として市は委託事業者に対し、業務開始前に必ず予約システムの設定を確認するよう申し入れた。

システムは午前8時50分ごろに復旧したため、予約が取れなかった利用者はないという。

コメ、今世紀末80%に減収 農研機構が最新モデルで予測

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出穂期を前にかん水が行われる田んぼ=つくば市内

地球規模の気候変動の中で、わが国の基幹作物である水稲(コメ)生産はどうなるかー。農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市観音台)が最新のモデルで予測に取り組んだところ、温暖化でコメの収量は従来予測よりも多くの地域で低下する一方、高い二酸化炭素(CO₂)環境が白未熟米の発生を助長させ、品質面の影響も深刻になるという「未来予想図」を提示した。

農研機構の農業環境研究部門による成果として19日、オンライン発表された。屋外での栽培実験の結果に基づいて、高温と高CO₂の複合的な影響を考慮した水稲の生育収量予測モデルを構築し、気候変動による国内の水稲への影響を予測した。従来は、高温で収量減、高いCO₂環境は増収と見積もられ、そのバランスから将来予測モデルが組み立てられてきた。

CO₂濃度を現在よりも高めに制御した屋外栽培実験「開放系大気CO₂増加実験」を2016年まで、岩手県と茨城県つくばみらい市のほ場で実施した。すると、CO₂濃度の上昇により光合成が活発になる「増収効果」が栽培地の気温が高いほど小さくなること、高CO₂では外観品質が低下するなど新たな知見が得られた。

その上で、従来は別個に考慮していた「高温」と「高CO₂」の影響を複合的に考慮する最新の水稲生育収量予測モデルを構築し、これを使って気候変動による国内の水稲の収量および外観品質への影響を予測した。

温暖化傾向が「中庸」とされる気象予測モデル(RCP8.5)を用いてシミュレーションを行うと、20世紀半ばには西日本を中心に減収地域が出現。従来の予測モデルでは今世紀中頃までは増収傾向とされていたのが、早くに下方修正に転じ、今世紀末には約80%に減収すると予測された。

従来の予測モデル(左)と最新の予測モデルによる水稲の相対収量算定値の分布の比較(農研機構提供)

白未熟粒は影響顕著に

白未熟粒は、高温障害によりデンプンの蓄積が不十分で米粒が白く濁って見え、外観品質低下の主な指標になっている。近年では2010年、19年産米で多発し、コメの等級落ちなど農家に実害をもたらした。従来の推定モデルでは、気温のみを考慮しており、白未熟粒率は今世紀半ばでは約15%、今世紀末では約30%と予測したのに対し、気温とCO₂濃度を考慮した最新の推定モデルでは、白未熟粒率は、今世紀半ばでは約20%、今世紀末では約40%と予測した。この発生エリアは西日本から関東にも広がり、より影響が顕著になる。

水稲の白未熟粒率推定値の分布の比較。関東地方では収量に比べ白未熟粒の発生が最新モデルで顕著になる=農研機構提供

農業環境研究部門の西森基貴主席研究員らによれば「今回の予測は、高温耐性があまり強くない2003年ごろの品種によって予測しており、この間手をこまねいていたわけではなく、耐性品種の作出などさまざまの適応策をとってきている」という。

農研機構は高温耐性品種である「にこまる」を開発、普及を図るなどしており、対策を加速させる。生産農家には田植え期を遅らせて(または早めて)夏の酷暑を避けるなど、適切な栽培管理を求めている。これからの出穂(しゅっすい)時期から20日程度の暑熱が品質低下リスクが増すことを指摘している。(相澤冬樹)

つくば市長の名誉毀損提訴、取り下げ? 《吾妻カガミ》111

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】元つくば市議を名誉毀損で訴えた市長の五十嵐さんが、提訴を取り下げるのではないかとの見方が識者の間に広がっています。昨秋の市長選挙の前に元市議が発行したミニ新聞の記事で名誉を傷付けられたと裁判に持ち込んだ、あの件です。裁判はまだ予備段階ですが、どうも勝ち目がないようだと読んでいるのでしょうか?

ミニ新聞の記事は「市政チェック」

この提訴については、本サイトの記事「つくば市長の五十嵐氏 名誉棄損で元市議を提訴」(2月17日掲載)に詳しく出ています。簡単に言うと、市長選前(6~8月)、元市議の亀山大二郎さんが出したミニ紙「つくば市民の声新聞」の記事(22箇所)によって、市長としての名誉を毀損されたから、その損害(130万円)を賠償せよ―という内容です。

私はミニ新聞の市政監視スタンスに共鳴し、コラム「名誉毀損提訴を笑う」(3月1日掲載)、同「…提訴を検証する」(4月5日掲載)、同「…近く裁判開始」(5月3日掲載)で、五十嵐さんのアクションに疑問を呈しました。

ポイントは4つです。(1) 記事はフェイク(うそ)だとの論述には「はぐらかし」が目立つ、(2) 記事は「市政チェック」であって個人批判ではない、(3) 市長(政治家)たるもの市政批判には「対抗言論」で応ずるべきである、(4) 市長の動きは「言論の自由」を封じるものであり看過できない―。詳しくは青色のリンク先をご覧ください。

試合開始前にタオルを投げないで!

現時点で裁判は本格的なファイトにはなっておりません。私、最初はこの名誉毀損提訴に違和感を覚えていましたが、裁判の過程で五十嵐市政の実態、五十嵐市長の政治家としての資質が明らかになるのではないかと、今は原告と被告のファイトを楽しみにしています。五十嵐さんは試合前にタオルを投げるようなことをせず、リングに上がってください。

先の3コラムでは、前米大統領トランプさんのように記事を「フェイクだ、フェイクだ」と連呼した箇所のうち、重要度が高い4カ所について点検しました。

その結果、目玉公約の「総合運動公園用地返還」は「返還交渉」に過ぎなかったことが明らかになりました。また、その「返還交渉」も市長が出向いたのはたった2回だったことも分かりました。さらに、県の補助金がもらえなかった「給食センター建設」では市長の政治力不足が判明しました。もうひとつ、1期中に市職員が大幅に増え「行政改革」がお留守だったことも知れました。

ミニ新聞の記事はフェイクどころか、実に的を突いていたわけです。こういったことを考えると、裁判は名誉毀損を立証する場というより、五十嵐市政の出来栄え、市長の適性を浮かび上がらせる場になる可能性があります。「取り下げ?」との臆測は、「裁判はやらない方が賢いのではないか」との心遣いなのかもしれません。(経済ジャーナリスト)

土浦三 接戦制す 土浦日大、霞ケ浦は完封【高校野球’21】

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【取手一ー土浦三】8回表取手一2死一塁、二塁手・藤田(背番号4)の好守で走者を封殺。遊撃手・渡辺

第103回全国高校野球選手権茨城大会は18日、3回戦8試合が4球場で行われた。土浦・つくば勢は、2回戦でシード校を破った土浦三が勢いに乗り、取手一を2ー1で下した。シード校の土浦日大は水戸葵陵を3ー0、霞ケ浦は藤代紫水を8ー0といずれも完封し、4回戦に進んだ。

笠間市民球場の第2試合、土浦三と取手一は2-1で土浦三が接戦をものにした。強打を誇る取手一に対し、先発の佐藤春汰が5回まで無失点という粘りの投球。リリーフの前田隼利も2回戦の境戦に続く好救援を見せた。

「先発の佐藤が5回まで頑張ってくれたことが勝因。今日の相手には彼のボールが有効とにらんだ。チームは2、3回戦とも120点の出来。選手が勢いに乗ってくれ、いい試合をしながら成長している」と坂本佑真監督。

捕手の田口雄大主将は「佐藤は球速よりも投げ分けで勝負するタイプ。ボール1個分2個分の出し入れができる。緊張していたので、ストライクを入れて打たせていこうと声を掛け、リラックスさせた」。

佐藤は5回まで2安打1死球で取手一打線を抑えたが、6回、先頭の橋本にソロ本塁打を打たれ、その後無死一・二塁とされたところで交代。救援の前田は続く3人を打ち取り火消しに成功。7回には3連打を浴びるが、左翼手・前沢隆史や二塁手・藤田寛大の好守にも助けられ、得点を許さなかった。

「前田はシンカーのキレが良かった。後半は疲れてきて腕が上がらなくなったが、ストレートに切り替えながら打ち取ることができた」と田口主将。

打線は取手一のエース塩入に4回まで1安打に抑えられていたが、5回に攻略。6番 高城魁斗が中前打で出塁し、8番 田口の中前打にエンドランをかけ1死一・三塁、1番 藤田の中前打で待望の先制点を奪った。

6回には追加点。4番 渡辺優斗、5番 中村翔太がともにピッチャー返しで2死一・二塁、7番 前沢の打球が三遊間を抜き、1点を追加した。「足をからめた攻撃は練習の成果が出せた。6回の攻撃ではライナーで野手の間を抜くバッティングをみんなが徹底してくれた」と田口主将。

6回裏、追加点の殊勲打を放った前沢が一塁上で仲間とグータッチを交わす

これで古豪復活を印象付ける4回戦進出。坂本監督は今春の就任以来「もともと打撃は良かったが、守備のミスから失点していた」と、守備の強化に力を入れてきた。特に注意したのがランナーを出した後のプレーや、2死から失点せず、切り替えてあと1個アウトを取ることなど。その成果が形となって表れ始めているという。(池田充雄)

ノーブルホームスタジアム水戸の第1試合は、土浦日大が水戸葵陵を3ー0で下した。

J:COMスタジアム土浦の第1試合は、霞ケ浦が藤代紫水を8ー0で完封した。

「DPATカー」完成 被災地に駆け付け心のケア 筑波大付属病院

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DPATカーの前でテープカットをする関係者=つくば市春日、筑波大学附属病院春日プラザ

被災地にいち早く駆け付け、心のケアをする筑波大学付属病院(つくば市天久保、原晃病院長)災害派遣精神医療チームの特殊緊急車両「DPAT(ディーパット)カー」がこのほど完成し、18日、同病院の春日プラザで完成披露会が催された。県内第1号のDPATカーとなる。

被災者の心のケアは新しい取り組みで、国の予算がまだ十分にないことから、同大医学医療系災害・地域精神医学の太刀川弘和教授を中心にプロジェクトを立ち上げ、2019年にクラウドファンディングで車両購入の支援を募った。目標額750万円に対し、3カ月間で255人から915万円が集まった。一方、新型コロナ感染拡大への対応などで車両の製造や車内の改造などが遅れ、昨年12月に車が完成した。

DPATカーは6人乗りの白いワゴン車で、車体の前方と側面などに青いアルファベットで「DPAT」と書かれている。後部座席を撤去し、被災者の相談に乗ったり、診察や薬の処方などをするスペースに改造した。車内はLED電球を取り付けて明るくした。通信手段の遮断や長時間の停電に備え、衛星電話やサブバッテリーなども備えている。隊員が宿泊しながら活動する基地にもなる。

太刀川教授は「これまで車両がなくレンタカーなどで被災地に行っていた。クラウドファンディングを始めて、当初は支援が集まるだろうかと懸念していたが、被災地で活動を展開しホームページでどんどん報告したところ、温かいメッセージと共に255人から目標額を超える支援が集まった。車両の製造や改造もコロナ対応で遅れ、2020年末に完成したが、感染拡大でお披露目もなかなかできなかった。この日を迎えられて感無量」と話し「今後はDPATカーを使って被災地に出掛けて、被災者の心のケアの支援をしていきたい」などと語った。

DPATは、国や都道府県の要請で被災地に48時間以内に駆け付け、1~2週間滞在して被災者の心のケアをするチーム。精神科医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど5~6人で構成され、避難所などで被災者の診察をしたり、被災した精神科病院の患者の対応などをする。2011年の東日本大震災をきっかけに誕生した。

同大附属病院では2015年にDPATチームが発足し、鬼怒川が決壊した同年の常総水害、16年の熊本地震などの被災地に赴き活動した。新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年は横浜港で大型客船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の心のケアなどにも取り組んだ。(鈴木宏子)

被災者の相談や診察ができるスペースが設置されたDPATカーの車内

未確認飛行物体と遭遇 《食う寝る宇宙》89

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【コラム・玉置晋】「ブブブブブーン」。犬のべんぞうさんと一緒に散歩していると、レンコン畑から奇妙な音を発する未確認飛行物体と遭遇しました。僕が住む茨城県土浦市はレンコンの出荷が日本一。家の近所にも広いレンコン畑があって、初夏にはハスの葉っぱが水面から出て、白やピンクのハスの花が咲き始めています。

そんな中から聞こえてくる異様な音に、べんぞうさんは怖がって、アスファルトにお尻をペタンとつけて、歩いてくれません。すると、遠くから「歩行者あり!」と、手を挙げて注意を喚起する方がいました。その方から数十メートル離れたレンコン畑の対面には、リモコンをもって何かを操作する人がいました。

そう、「ドローン」です。大きさはおよそ1.5メートル×1.5メートルと大型機です。ドローンのお腹には肥料が搭載されていて、広大なレンコン畑に散布していたのです。

ドローンとGPSと宇宙天気

実は、僕は少し前にドローンの操縦を習いました。それでわかったことは、風があるときにドローンが流されてしまうので、安定した操縦をするのは簡単ではないということです。そこで活躍するのが、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)です。

複数の人工衛星から発せられた測位信号をドローンが受信して、自分の位置を把握します。ドローンが自分の位置を保持するように、自律的に制御してくれます。通常はこの機能をオンして作業を行います。

よって、ドローンは完全にGPSに依存した道具であるといえます。そして、GPSを脅かすのが宇宙天気の嵐の一つ、電離層の嵐です。電離層は、高度50キロ~500キロに広がる電子密度の高い領域です。ラジオで声が聞こえるのは、遠くの放送局から発せられた電波が電離層で反射して届くからです。

一方で、人工衛星から発せられたGPSの電波は、電離層で反射せずに、突き抜けて宇宙から地上に到達する特性を持っています。しかし、地球の大気循環や太陽活動により電離層の電子密度が増減することがあって、GPS電波の通りを悪くすることがあります。

そうしますと、地上のドローンは正確な位置情報がわからなくなっていまい、操縦に支障をきたす恐れがあります。ドローンの普及により、宇宙天気の重要性はより大きくなっています。(宇宙天気防災研究者)

常総学院2本柱、つくば秀英を零封 【高校野球’21】

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【つくば秀英-常総学院】3回表1死一・三塁、スクイズで本塁に突入した秀英三走・山本が刺殺される。捕手・田邊

第103回全国高校野球選手権茨城大会は17日、3回戦に入り、4球場で8試合が行われた。土浦・つくば勢同士の対戦となったJ:COMスタジアム土浦では、常総学院がとつくば秀英が息詰まる投手戦を展開。常総が2本柱の秋本璃空と大川慈英が零封リレーを演じれば、秀英は先発・山本素暖が6回まで常総学院打線を抑えたが7回に四球から崩れた。

常総は秋本が先発。センバツではエースを務めたものの春以降調子を落とし、まだ6~7割の出来だそうだが、4回を投げて3三振2安打1四球とまずまずの結果だった。「秋大会では1-0で勝った相手だが、それを自信と思わず、挑戦者の気持ちで臨んだ」という。島田直也監督は「秋本は今日の時点ではよく投げた」と評価しながらも、「久々の公式戦で緊張もあっただろうし、暑さの影響もあったと思う。その疲れが見えてきたのでスパッと替えた」と早めの継投を決断した。

常総の先発・秋本(左)と5回から登板の大川

5回からマウンドに上がったのは現エースの大川慈英。「夏の初戦で緊張したが、秋本が粘り強く投げてくれたので、その気持ちを背負って絶対抑えてやろうと思った。マウンドに立ったら緊張が解け、自分のピッチングができた」と最速147キロの速球を武器に、8三振1安打無四球の危なげないピッチングだった。

一方、秀英の山本は「ブルペンでは良くなかったが、マウンドに立ったら向かっていくしかない。マウンドではいちばん良く、どんどん成長していけた」と、4回まで毎回3人で切ってとる好投を見せた。5、6回はスコアリングポジションにランナーを背負うが、テンポ良い投球で打者を追い込み、いずれも最後は三振で仕留めている。

だが7回に疲れが見えた。常総の中軸、田邊広大、柴田将太郎に連続四球、6番・秋本には左前打を許し無死満塁。代打・青木良弘への初球はカットボールだったが、足の踏ん張りがきかずワンバウンドになり(記録上は捕逸)、これで決勝点を与えてしまった。

秀英に痛い3回の逸機

つくば秀英の森田健文監督は、3回表の先制機を生かせなかったことを悔やんだ。四球と犠打に佐藤慈恩主将の左前打で1死一・三塁、ここで3番の野川唯斗がセーフティースクイズを仕掛けるが、常総の一塁手・柴田の好返球で、三走が本塁タッチアウトになった。「スクイズは日頃から練習し、打者はしっかりバントを決めてくれたが、少しタイミングが遅れてしまった。何とか先制点を取り、追い風の中で野球をさせてあげたかったが、それができなかったことに監督としての責任を感じている」

応援席への挨拶後、目頭を押さえグラウンドに崩れ落ちた佐藤主将は「自信を持ってやってきたが、最後、あと一歩が届かなかった。自分たちは全力を出しきったが、それでも相手の方が一歩上だった」と、試合後に述懐した。(池田充雄・高橋浩一)

涙をこらえ、応援席に挨拶する秀英ナイン

難しいという表現 《続・気軽にSOS》89

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【コラム・浅井和幸】私は、様々な悩みを持ち相談に来られる方に日々対応しています。その来談者に対し、あまりに難しい顔をしていたり、解決が難しい悩みですねと軽々しく言ったりはできません。必要以上に苦しめてしまうかもしれませんからね。もちろん、軽々しく扱うものではありませんから、どれぐらい難しい問題なのか、こちらが感じ取ることは大切です。

簡単な問題であれば、来談者は労力を割いて相談には来ません。持ち込まれる問題は全て難しいものです。少なくても来談者にとっては難しい問題であり、何かしらの支障が出ているわけです。

それに対し、相談を受ける側―カウンセラーとか支援者―も、日々、来談者と一緒に悩んで、どうにか解決できないかと考えています。私は、この支援を行っている側からの相談を受けることもあります。そして、支援者とのコミュニケーションの中で違和感があり、「難しい」という言葉を使わなくなりました。

大げさに表現すると、このような会話になってしまうのです。支援者「…という問題に対応しているのですが、何か対処法はありますか? 難しいですか?」。浅井「難しいですね。だから、いろいろ対処法を考えて…」。支援者「ですよね。浅井さんでも、やっぱり何も出来ないですよね」。

このような会話になってしまうのは、私が使っている「難しい」と、一般社会やこの支援者が使っている「難しい」という概念に大きな開きがあるためです。私は「簡単ではない」とか「すぐには答えが出ない」事柄を表現するときに、「難しい」という言葉を使います。(「難しい」「簡単」などの評価は、次の対処のためにするものだという意識が強いです。さらに工夫を考えて対処が必要だという意味と捉えてもよいでしょう)

シビアな場面で曖昧な表現は誤解を生む

しかし、違和感を覚えるときは、「難しい」とはできないこと、不可能なことを指すことが多いのです。その方たちは意識していないでしょうが、「簡単」はできること、「難しい」はできないことという使い方をしているのです。そして、「難しい」ことは永遠に「難しい」ことで、この先も対処不可能だという思い込みがあるのかもしれません。

普段の会話では、「できない」というと角が立つので、「難しい」と表現して、お互いが傷つかない知恵なのかもしれません。しかし、シビアな場面では、曖昧な表現は誤解を生みやすいものです。うまくいっているときは、曖昧にぼかして、違いはむしろ感じないようにしたほうが、仲間意識を損なわずに済むというメリットがあります。しかし、問題に対処するときは、すれ違っているところをより詳細に明確に感じ、考える必要があるわけです。

うまくいっていないときは、より具体的に、より丁寧に言葉を使う必要があります。それは伝えるときも、聞くときも、どちらも必要です。伝える側と聞く側は、すぐに入れ替わるのですから。(精神保健福祉士)