木曜日, 5月 15, 2025
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土浦日大 1点差及ばず 高校野球関東大会1回戦 

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6回裏1死二塁、香取の適時打で吉次が生還し2-3と追い上げる(撮影・高橋浩一)

来春の選抜高校野球大会(センバツ)につながる第74回秋季関東高校野球大会は31日、水戸市見川町のノーブルホームスタジアム水戸で1回戦4試合を行い、桐生第一(群馬1位)と対戦した土浦日大(茨城3位)は2-3で敗れた。相手の継投に目先を変えられ、打線がつながらなかったのが敗因だった。

土浦日大は初回、後藤陽人の左中間三塁打と吉次悠真の右前打で1点を先制。守備では先発のエース山田奏太が、スローボールでカウントを稼ぎ、変化球で打たせて取るピッチングで、1・2回はいずれも三者凡退に抑える。

だが3回は送球エラーから同点とされ、4回にもエラーがらみで2死二塁から2連打を浴びて2点を奪われた。「エラーで集中力を切らしてしまい、打たれて流れを渡してしまった。ここを乗り越えないと強豪校には勝てない。県大会と比べて相手が粘り強く、追い込んでから当てられたことも原因だった。1球1球の重みを感じた」と山田。

土浦日大の先発、山田(撮影・高橋浩一)

2回以降、打者一巡ごとに投手を替える桐生一の継投策にはまり、土浦日大は5回まで1安打。6回に吉次が左前打から盗塁を決め1死二塁とし、香取蒼太の中前打で1点を返す。

その後、土浦日大は山田に代わり6回途中から登板した河野智輝が被安打2と好投し、味方の援護を待つ。だが桐生一もエース北村をマウンドに上げ、追撃を許さない。9回裏、2死一・二塁の好機をつくるが、次打者が二ゴロに倒れゲームセットとなった。

6回途中からリリーフした河野(撮影・池田充雄)

土浦日大の小菅勲監督は「相手の方が一枚上。わずか1点差だが振る力、しっかりつなぐ力の違いが現れた。山田は若干疲れもあったがよく流れを作った。河野もプレッシャーがかかる中、自分のピッチングを続けてくれた」と、打撃陣の不足と投手陣の収穫を挙げた。

武田優輝主将は「温存されたエースを早く引きずりだそうとしたが、あせって凡打が続き、波に乗れなかった。序盤から打つべき球を絞れば、自分たちの流れにしていけたのではないか」と反省の弁を述べ、「自分たちの課題はバッティング。この冬に基礎体力や体重・体格を上げ、バットを振り込んで強い球を打てるようにしたい」と来夏へ向けて目標を掲げる。(池田充雄)

「宝探しみたい」レンコン収穫に挑む JA水郷つくば大使 安達勇人さん

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収穫した宝物のようなレンコンに満面の笑み、安達さん=土浦市田村町

JA水郷つくば大使の安達勇人さんが29日、土浦市田村町にある自身のハス田「アダチハウス・ロータスファーム(ADACHI HOUSE LOTUS FARM)」で収穫体験をした。ゴム胴長姿でハス田に入り、立派に育ったレンコンを次々に掘り当て「久しぶりのレンコンとの出会いで楽しい時間を過ごせた。植え付けから収穫まで向き合い、改めて自分の子どもみたいな思い入れを感じた」と語った。

春に種バスの植え付けをした(5月1日付)ハス田に、再び挑んだ安達さん。前回は軟らかい泥に足が埋まってしまったが、季節を経て泥が締まり、今回は動きやすかったそうだ。

石神薫さんの協力で、掘ったレンコンを舟に集める

水深は腰までだが、収穫のときは膝立ちになるので胸元まで水に浸かる。この姿勢で左手でホースを操作し、水流で泥を溶かしながら右手でレンコンを探る。JA水郷つくば蓮根本部会会長の石神一幸さんが「レンコンはナイーブ。長くて折れやすいし、水をかけすぎたり触りすぎたりすると紫色に変色してしまう。芽がある先端の方は特にデリケートなので、お尻の方から持ち上げる」とアドバイスする。

「レンコン掘りは宝探しみたい。土の中は見えないが、大きいのを探り当てると感動」と安達さん。掘ったレンコンは水で洗浄してつやを出し、節にあるひげ根などを削って形を整え、箱詰めされる。県の指定産地銘柄である田村レンコンの場合、朝掘りしたものが午後2時のトラックで東京・横浜の指定市場へ向けて発送され、翌日には店頭に並ぶという。

箱詰めして出荷準備完了。一幸さんと記念の一枚

「シャリシャリした中の弾力」

安達さんは先日、さっそく新物のレンコンでステーキと天ぷらを作ってみたそう。ステーキは厚さ3センチほどの輪切りにし、油を引いたフライパンでじっくりと火を通す。厚く切ることで食べごたえが出て、素材の甘みも際立つという。

「味付けは塩コショウだけで、すごくおいしくいただけた。シャリシャリした中にもっちりした弾力があるような、ほかに代えがたい食感。簡単にできるのでぜひ試してみて」と安達さん。石神会長の妻のれい子さんは「スライスした柿と生ハムをはさむのもお勧め」という。

安達さんは「自分で育てたレンコンを食べるなんて、めったにできない経験。いままで気付かなかったいろんな味に気付いた。根菜なので体にいいし、ビタミンCや食物繊維も豊富。田村のおいしいレンコンで、たくさんの人が笑顔になり、食卓が幸せになってくれるといい」と締めくくった。

今年のレンコンは、8月ごろから台風や大風が続いて作柄が心配されたが、品質・価格とも例年並み。これから身が詰まっておいしい時季を迎えるそうだ。(池田充雄)

輪行袋不要のサイクルバス 関鉄 土浦駅-筑波山口間で実証運行

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車輪止めラックとベルトで固定された自転車

関東鉄道(本社・土浦市、松上英一郎社長)は11月1日から、土浦駅と筑波山口を結ぶ路線バスに自転車が積載できるバスを実証運行する。輪行袋に収納しなくても、車内に2台まで積み込めるサイクルバスで、JR常磐線の駅から運行するのは県内で初めて。

仕事や買い物利用でも使える

土浦駅 – 筑波山口間の路線は、自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」をほぼ平行に走る約20キロ、約50分間の距離で、どの停留所からでも自転車と一緒に乗り降りできる。実証運行期間中、積載料は当面の間、無料。

りんりんロードを自転車で走るサイクリストが、行きや帰りに路線バスを利用したり、急勾配の筑波山を上り下りするヒルクライムに挑戦するサイクリストが利用することを想定している。

自転車が積載できるよう車内の一部を改造した土浦駅~筑波山口線の路線バス=つくば市沼田、筑波山口

バスは69人乗りの大型バスで、車内の座席のうち中央の4席を取り外し、自転車2台が積み込めるようにした。乗客自身が自転車を車内に持ち込み、前輪と後輪を車輪止めで固定し、ベルトで車体を固定する作業を行う。方法が分からない場合は運転手が手伝ってくれる。

サイクルバスは、平日午前10時から午後4時20分まで往復2便、土日祝日は午前7時50分から午後5時20分まで往復4便運行する。

つくばエクスプレス(TX)つくば駅と筑波山を結ぶバスは、つくば市が運行するコミュニティーバス「つくバス」に2010年から自転車1台が車外に積載できるようになっている。土浦駅発の路線バスに自転車が積み込めるようになることで、TXと常磐線の両方から、自転車を積載して筑波山に向かうことができる。

同社企画課の森田玲泉係長は「サイクリストばかりでなく、一般の人も利用してほしい」と話し、観光やレジャーばかりでなく、日常の仕事や買い物での利用を呼び掛ける。公共交通の利用を促進するためには、ラストワンマイルといわれる自宅からバス停までの二次交通手段の確保が課題とされており、課題克服を視野に入れた実証運行でもある。利用者が多い場合、他の路線にも自転車積載バスを拡大していく方針だという。(鈴木宏子)

◆土浦駅 – 筑波山口の乗車料金は片道大人940円。自転車積載の予約は不要。

作谷の森で楽しい技法を求めて 飯塚優子さん【染色人を訪ねて】4

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型染体験教室とトートバッグ

これまで訪ね歩いた染色家との対話で、「作谷には行きましたか?」という問いかけを、同じようにいただいた。この連載は当初、3回でまとめるつもりだったのだが、「それでは一人足りない」とも告げられた。

つくば市北部の作谷に伺うと、染色家達に教えられたように、森の中にアトリエがあった。「ぷにの家」である。

このアトリエを営む飯塚優子さん(50)は、藍染もこなすが専門は草木染だ。草木染は、前回紹介したfutashiba248(フタシバ)の関夫妻の項でも記したとおり、弥生時代までさかのぼる染色技法だが、飯塚さんの場合、以前勤めたことのある工房が厳しく守ろうとする伝承文化としての格式を認めながらも、染色はもっと広く楽しく多くの人々に知ってもらうものではないかと思い至り、その世界から独立した。

飯塚優子さん

「この森と屋敷は祖母の家を受け継いだもので、古い鶏小屋をアトリエに改造したのです。草木染めは独立するまで東京の自宅で行っていましたが、いろいろなチャレンジ、本格的な染色をするためには、マンションの室内では限界があったから」

飯塚の姓は旧姓。彼女は本サイトで2019年、つくば市立秀峰筑波義務教育学校が開校の記念に作成した「秀峰筑波かるた」の企画制作者として、柿崎の姓で紹介されている。本来そちらが現在の名字だが、「ぷにの家」においては旧姓で仕事をしている。

「作谷の森には、1996年頃にやってきました。今もあまり変わりませんが、あの頃は、こんな田舎に隠遁してしまって暮らしていけるかと頭を抱えることもありました。でも今は、主人と4人の子どもたちと過ごしています」

ぷにの家の花畑から臨む筑波山

飯塚さんが作谷に定住したことによって、大きな出会いを得ることになっていく。

染色家としてのなりわいは、地域の保育園での卒業制作としてミニトートバッグなどの体験染色を請け負い、オリジナルデザインや文字入れを施した手ぬぐい、シャツなどの受注をしながら、定期的に草木染めを主体とした工房体験教室を開いてきた。つくば市内を中心に各地の地域イベントにも出店している。

こうして名前と顔が地域に広まっていく中、2010年のある日、近隣の北条地区にかつて所在した染物工場が使っていた「型紙」を譲り受けることになった。

譲り受けた型紙

「工場は半世紀前には失われていましたが、縁者の方から、あなたが役に立てなさいと言われて、3000枚ほどの型紙を委ねられたんです。大半が劣化していて使用に耐えられるものは300枚くらいでしたが、旧筑波町に確かに染め物を営む人がいらした証をいただけた。染色家の1人としては、これは大変なことになったという思いをしたのです」

この型紙は、展示会などで紹介する一方、型紙そのものをベースに、体験教室でも型紙を起こすプロセスを加えるなど、染色技法と歴史の一環として体験参加者とともに再現活動を行っている。

型紙(上)と型紙を起こした作品(下)

「次第に活動内容が大きく複雑になってきました。1人でやっていくのが大変だなと感じているところに、この数年、若手の染色家がつくば発の活動を始めているわけです。最初はね、お互いに顔見せすることもなかったんですよ。といって、私は25年前からここにいるのよ、遊びに来てよとも、初めのうちは言えなかったの。少しずつ交流を始めて、丹羽さん、渋谷さん、関さんご夫妻と情報交換するネットワークを作りました。私は染染(そめそめ)クラブと呼んでいます」

天然素材にこだわる若手染色家たちに比べて、飯塚さんの染色は、化学的に開発された市販の抜染糊(ばっせんのり)を積極的に用いた型押し抜き。あらかじめ藍染された布に、型紙だけでなく木の葉などを使って抜染糊を置く。その部分だけが、薬品反応と湯煎の熱処理によって白く色が抜け文様となる。体験教室にやってくる子どもたちは、そのプロセスと出来映えに興味津々だ。

型押し抜きの完成

「藍染は、若手にお願いしようと考えています。私は草木染の伝統技法だけにこだわらず、新しいアイデアとの組み合わせを通して、型押し抜きの面白さや、栽培しているマリーゴールドの花がどんな色で布地を染め上げるかを楽しんでいるから」

飯塚さんに会うまで、作谷の森にいるのは魔女や魔法使いやらの例えだろうかと考えていたが、染色は論理と化学と自然を融合させるものと言っても良い。それを大幅に広い意味で解釈すれば、彼女は染分野の錬金術師なのだと感じた。

飯塚さんは今後、「ぷにの家」を「ぷにの邑」へと発展させるという。染色以外の活動では、「秀峰筑波かるた」の地域性をつくば市内の他地区ごとに広げた「つくばかるた」の制作も温めている。作谷の森の錬金術師は人々の優しさをつなぐために、染の魅力を振るっている。(鴨志田隆之)

飯塚優子(いいづか・ゆうこ)
草木染の大家であった故・山崎青樹の姪。大学時代に草木染を始め卒業後にその道へ進むが、自らの理念を貫き独立。草木染以外の様々な染料や技法を研究し、誰もが楽しめる染物を提案している。
ぷにの家 : https://www.instagram.com/puninoie/?hl=ja

終わり

つくば、土浦で最後の訴え 衆院選あす投開票

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衆院選の選挙ポスター掲示板=つくば市吾妻、中央公園

衆院選は31日、投開票が実施される。接戦が伝えられる小選挙区茨城6区はいずれも前職で2期目を目指す元県議の青山大人氏(42)=立憲=、医師の国光文乃氏(42)=自民=の2氏が立候補している。青山氏の応援には立憲民主党の枝野幸男代表が、国光氏には自民党総裁の岸田文雄首相がそれぞれ駆け付けるなど激戦が展開されている。選挙戦最終日の30日は両候補とも、有権者数が多いつくば市や土浦市で最後の訴えをする。

青山氏は「地元生まれ 地元育ち」を強調し、「信頼と公正、優しい政治」などを掲げて12日間、各地域をこまめに回って街頭演説を展開してきた。立憲の枝野代表のほか、田名部匡代参院議員、江田憲司代表代行、泉健太党政務調査会長らが応援に駆け付けた。最終日の30日は、つくば、土浦市内の計10カ所で街頭演説する。午前中につくば市の万博記念公園駅前、タイヨー学園の森店前、とりせん研究学園前で演説、午後1時からは万博記念公園前、1時40分に陣場公園前、2時30分にみどりの中央公園前、3時にヤックスドラッグつくばみどりの店前、3時45分に緑が丘団地イチョウ公園前、土浦市は、午後5時に中華料理ゆきむら真鍋店前(土浦市真鍋新町)、7時に土浦駅西口前で最後の訴えをする。

一方、国光氏は、国会議員唯一の感染症専門の医師であることを強調、「コロナを終わらせ命と暮らしを守る」などと訴え、19日の告示日から12日間、選挙区内各地を回ってきた。選挙戦では、自民党本部の重点選挙区として、岸田首相のほか、安倍晋三氏、菅義偉氏と、歴代3人の首相経験者が相次いで6区入りした。ほかに、三原じゅん子参院議員、小野寺五典元防衛相らが応援に駆け付けるなど、党本部から次々と6区入りした。最終日の30日は土浦市内1カ所、つくば市内2カ所の計3カ所で街頭演説する。土浦市は、午前11時に土浦駅西口の土浦市役所前、つくば市は、午後6時にイーアスつくば前、7時45分に吉瀬の選挙事務所で最後の訴えをして締めくくる。

青山大人 42 元県議 立憲 前①
【公約】①幅広い業種への助成金や生活支援金の拡充など新型コロナ対策と経済の両立②消費税減税③原発からのエネルギー政策転換
【略歴】土浦市出身、土浦一高、慶応大学経済学部卒。国会議員秘書。県議2期。2017年の衆院選は小選挙区で敗れたが比例復活当選。立憲民主党政務調査会会長補佐。

国光文乃 42 医師 自民 前①
【公約】①現役医師の知見を生かしたコロナ対策②国道6号バイパスの早期完成③TX延伸④農家所得の拡大
【略歴】山口県出身、長崎大学医学部卒。病院勤務を経て、厚労省保険局医療課課長補佐。2017年、丹羽雄哉元厚労相の後継者として初当選。自民党新型コロナ対策本部プロジェクトチームの事務局次長。

※NEWSつくばは31日夜、小選挙区茨城6区の開票状況を速報します。

花開く世界の野生ラン 筑波実験植物園に200点 31日から

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デンドロビウム・ロセイオドルムの説明をする遊川知久さん=筑波実験植物園

国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保)が保有する野生ランの「つくばコレクション」のうち、開花中の貴重種約200点などを公開する企画展「つくば蘭展」が31日から開かれる。11月7日まで。同植物園が発見した新種の花の香り物質の紹介、キノコから奪った栄養でつるを20メートルも伸ばす世界最大の菌寄生植物タカツルランの研究紹介などが見どころだ。

形、色、香りも多彩

同植物園は世界有数の野生ラン保存施設で、「蘭展」は開園から38年になる同園の定番企画。時期を変え、開催のタイミングに開花を迎えたランを選んで展示を行っている。

長く監修役を務めてきた多様性解析・保全グループの遊川知久グループ長(60)によれば、ラン科植物はキク科と並んで種類が多く、世界に約2万8000の野生種があるという。同園は特にアジア地域を中心に野生ランの収集、系統保存を進めており、コレクションは約3200種にもなるそうだ。

展示されるパフィオペディルム・サンデリアヌムの花びらの長さを測ると80センチに達していた=同

ニューギニアやボルネオ島の高地、アマゾン奥地のジャングルで採集した品種もあり、開花した状態で見られるのは貴重な機会。パフィオペディルム・サンデリアヌムというランは世界で最も長い花の一つ。垂れ下がった花弁の長さは1メートルにもなるという。つたや花茎が異状に長いランや根っこが広く張り出した鉢などをみることができる。

虫媒花が多いランは、花の色彩や形状に加え、香りで花粉を運ぶ虫たちを誘う。今回は特に香りの体験コーナーが設けられた。ハイライトは、同園で研究し2010 年に新種発表したデンドロビウム・ロセイオドルムの展示。学名のロセイオドルム(roseiodorum)は「バラの香り」という意味で、妖艶な香りをほのかに放つ。化粧品メーカーとの共同研究で、この植物のにおい物質を明らかにした成果を紹介する。

会場は多目的温室を始め、熱帯資源植物温室など巡る構成。つくば洋蘭会など協力団体の愛好家らが育てた最新の園芸品種なども展示され、合わせて約500点の花のりょう乱となる。

遊川グループ長は「さまざまな色や形で世界中に広がったランを集めた。地球の生命の豊かさを感じてもらえたら」と話している。(相澤冬樹)

◆企画展「つくば蘭展」 31日(日)から11月7日(日)まで、国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保4-1-1)。期間中は写真展、デザイン作品展なども開催。会期中は無休。31日午後には遊川知久グループ長によるセミナー「シラン?ワカラン?ランの七不思議」もある(要事前予約)入園料は一般320円(税込み)、高校生以下・65歳以上は無料。電話029-851-5159。

児童クラブ非常勤職員12人に通勤手当て55万円過払い つくば市

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つくば市役所

つくば市は29日、公営児童クラブに勤務している非常勤職員のうち、通勤手当の支払い対象ではない12人に、昨年4月から今年9月まで1年6カ月間、通勤手当を計55万4055円過払いしていたことが分かったと発表した。

市こども育成課によると、自宅から職場までの通勤距離が片道2キロ未満の職員の場合、条例で通勤手当てを支給しないと定めている。規定にもかかわらず、市内にある1カ所の公営児童クラブで、通勤距離2キロ未満の非常勤職員12人に対し、片道2キロ以上5キロ未満の非常勤職員に支給される日額215円の通勤手当てを支払っていた。

過払い額は2020年度の1年間が11人に対し計35万7115円、21年度の6カ月間が12人に対し計19万6940円で、1年半で1人当たり約1万7000円から約7万円を過払いしていた。

この公営児童クラブで11月から新たに非常勤職員を任用することになり、準備を進める中で、本来は支給対象でない職員に交通費を支払っていたことが判明した。過去にさかのぼって調べたところ、昨年4月から過払いがあったことが分かった。19年度までは条例の定め通り支払っており、過払いはないという。

市は今後、過払いが分かった12人を個別訪問し、謝罪し説明した上で、過払い分の返金を求める。

さらに、ほかに誤りがないか、市内の児童クラブと児童館計28施設約270人を対象に、通勤手当の支給状況を改めて調べる。

再発防止策として市は、市内の児童クラブ及び児童館に対し、通勤手当に関する条例を再確認させ、算出の際は複数の職員でチェックするよう指導するとしている。

「農color」の目指すもの 関将史さん、裕子さん夫妻【染色人を訪ねて】3

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関さん夫妻

前回まで紹介した染色人(せんしょくびと)は藍染に専念する人々だが、染色にはよりナチュラルな表現を伴う技法が存在する。草木染がそれだ。草木染の伝統は弥生時代にさかのぼる。天然素材としての木枝や草花を用い、生み出される色彩は古代から受け継がれたアースカラーなのだ。

「futashiba248(フタシバ)」を営む関将史さん(32)、裕子さん(31)夫妻は今年8月、土浦市板谷に工房を開設し、草木染のクリエイターとして活動を本格化させている。彼らの草木染は、剪定された木枝や規格外で市場に出ない野菜・果物などの農業廃棄物を、県内各地の農家から提供してもらい、その原料から生み出される色彩を「農color(カラー)」と名付けてアピールする。

「消費者の側にいる私たちは、農業生産物が作られるプロセスや生産者のことを意外に知りません。私自身もそうでした。茨城県北部の大子町でリンゴが栽培されていて、県内でリンゴ狩りができることも知らなかったのです」と、将史さんは語る。

土浦市板谷に開かれたfutashiba248

関夫妻は東京モード学園の同級生だった。互いにアパレル産業に憧れそれぞれ企業に就職したが、地域の農業生産者が抱える苦労や問題を見聞し、自分たちの持っている服飾の世界を通して何か手伝うすべはないかと模索し、出合ったのが草木染だった。

染料の素材と染色製品をもって、農業生産者と消費者をつなぎ、双方の縁を広げていくこと。それが「農color」だ。衣服の染色だけでなく、アクセサリーや小物もデザインし、オリジナルの形と色を販売する。

「日々、生産者の方々と連絡を取らせていただき、廃棄があるときに回収してきて、その日のうちに素材を加熱処理、つまり寸胴で煮込んで染料を作ります。翌日に実際の染色をするのですが、素材によってどんな色彩に染まるのかはやってみないとわからない。このドキドキ感はとても楽しいですよ」(将史さん)

漆から色素を抽出

大子町のリンゴをはじめ、ひたちなか市のサツマイモ、笠間市の栗、阿見町のトマト、つくば市のヤーコン、小美玉市のブルーベリーなど、収穫の時期によって素材は変わる。この時期は漆や柿の枝を煮込んでいる。桜や梅の枝木も材料となる。茨城の農資源を地産地消するという側面も大事にしている。以前はホームページと連動して、製品タグから農業生産者の情報を得られるQRコードを添えていたが、現在は「見てすぐにわかるように」と、タグに直接、情報を記載している。

なぜ「futashiba248(フタシバ)」というブランド名なのかも、郷土としての茨城に敬意を表した意味がある。

裕子さんによれば「フタシバの『フタ』は、2人で始めたブランドであることや、それまで捨てられてしまった農生産物を『ふたたび』世に送り出したいという願いを込めています。『シバ』は、私が柴犬が大好きなので」とのことだ。柴犬がどう郷土と関わるのかと思えば「茨城県の形が、犬が遠吠えしているように見えますから」(裕子さん)と、きちんとつながりを持たせていた。

阿見町のトマトから作られた染料

現在の課題は、染料を取り出すために使った木枝などの再利用。乾燥させ破砕してコンポスト化まではたどり着いている。その活用の道を模索している。すると、地域の人々が、コンポスト化までの手伝いのアイデアを助言してくれたことがあったという。

「将来、茨城県以外の素材も手掛けてみたいと思っていますが、今は県内の資源と、人々のつながりを見出すことが主たる目標です。この工房では予約制で体験染色も開いています。沢山の人々と出会いながら、茨城発の『農color』を伝えていきます」(関夫妻)

ささやかながら壮大なストーリー。草木染の新しい魅力が2人の手で産み出されていく。(鴨志田隆之)

農colorの作品

関 将史(せき・まさふみ)
出身地:茨城県つくば市
担当:染色、デザイナー

関 裕子(せき・ゆうこ)
出身地:長崎県諫早市
担当:染色、製作

URL : https://www.futashiba248.com/

身近なところから地球温暖化対策 《ひょうたんの眼》42

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二度咲きのキンモクセイ

【コラム・高橋恵一】昔、石岡市のフラワーパーク近くの集落にあった祖父の屋敷には、水車があったそうだ。隣接の小幡集落では、スギの葉を水車で粉にして線香を作っている。木曽路の馬籠宿では、街道沿いの水路に観光用の水車がたくさん見られるが、休憩所の直径3メートルほどの水車で発電していて、馬籠宿の常夜灯の電力を賄っているそうだ。

以前、筑波山麓には細い渓流を利用した水車が無数にあった。筑波でも馬籠宿でも、細い水路から少し水を曳き、水車を回して、水は元の流れに戻すから、水量も水質もそのままで、下流に何ら影響を与えないのだ。山林の多い日本では、改めて、水車あるいは小水路をエネルギー源として活用したらよいと思う。

山麓の水田や池の周りで、雨上がりに蛍が舞う地域では、農薬や除草剤の使用を控えているようだ。蛍の里の米や野菜、果樹は、健康に安全で付加価値も高くなる。山林の手入れをし、集めた下枝や落ち葉はたい肥にしたり、害虫防止のために燃やしたりすることで、有機農業の推進や昔からの環境汚染防止をしていることになる。街の中でも、桜や街路樹の落ち葉だきは、毛虫などの害虫防止に役立つようだ。

しっかりと管理された状態での野焼きやたき火の効果を見直すべきではないか。研究者の報告では、住宅の植栽や街路樹のみどりは、その地域の気温を平均1℃低下させるそうだ。地域の水と緑を大切にすることで、少しでも地球温暖化を抑える身近な取り組みができるのだ。

人類の生き残りのために防止努力を

日本の国土の7割は山林で、その大部分は樹木で覆われている。森林には、保水機能や土砂崩れを防ぐ機能もある。自然ダムと言われるゆえんだ。温暖化の影響で引き起こされる、急な豪雨や出水を自然の力で緩和することが可能なはずだ。

日本の木造建築の見直しも必要だ。20~30センチの柱や長い梁(はり)のお城や古民家は、200年以上たっても地震や風雪に耐えている。法隆寺を例に挙げるまでもなく、木組みで作られている建物は、地震や台風にも強い建物といえる。

山間地域にまで広がっているニュータウンなどの開発は、改めて排水の仕組みや平坦地を造成する工事などを工夫して、山地の持つ自然ダム機能を維持しなくてはならないだろう。

我々の身近なところから、温暖化防止の取組みをはじめなければ、地球は無くならないだろうが、人類は滅びてしまうかもしれない。馬鹿々々しい核戦争と地球温暖化。人類が生き残るために、最大限の防止努力をしなくてはならない課題である。(地図好きの土浦人)

卓球男子は土浦三、女子は土浦二が団体優勝 市中学校新人体育大会

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7戦全勝で二連覇を達成した土浦二中女子の主将、宮崎小春さん

2021年度土浦市中学校新人体育大会は3日目の28日、卓球、ソフトテニス、軟式野球、サッカーの試合が行われた。このうち卓球競技は市内8中学校(土浦一、土浦二、土浦三、土浦四、土浦五、土浦六、都和、新治学園)計210選手が参加して開催され、団体戦は、男子が土浦三中、女子は土浦二中が優勝を果たした。

「コロナ禍で練習が制限され、対外試合の経験も少ない中、各校とも工夫して練習に取り組んできた。これにより例年に劣らぬ盛り上がりで、新人戦らしいさわやかなプレーが見られた」と、卓球競技専門委員長の太田光俊さんは総評を述べた。

団体優勝した土浦三中男子の大手・石山ペア

男子は土浦三中が6勝1敗で優勝。第6試合で最大の難関と見ていた都和中を3-2で制して栄冠を手にした。主将の石井蓮一郎さんは「自分は相手のブロックにうまくついていけず敗れたが、みんなの力で優勝を勝ち取ることができ、いいチームだと思った。次は先輩方の後を追い、団体戦で県大会を目指す」と話した。

石井さんは勝利のポイントとしてダブルスの大手夢掴・石山龍之介ペアの活躍を挙げ、「自分たちでこまめに戦術を練りながら粘り強く戦い、みんなも元気が出た」と振り返った。

各選手のプレーについて来栖信征顧問は、1番手の石山虎之介さんは「相手のエースにくらいつき、チームにいい影響をもたらした」、2番手の金沢祐弥さんは「大会を通して成長し、ポイントゲッターとして活躍した」、5番手の小嶋詠太さんは「優勝が懸かった試合でも緊張せず、自分のプレーができていた」と、それぞれ評した。

土浦三中男子

7戦全勝で二連覇

女子は土浦二中が7勝0敗で全勝優勝。山場の都和中戦を3-2で制して勢いに乗った。「緊急事態宣言で8月半ばから9月末まで全く活動できず、不安が残る中、日々の練習に取り組んでここまで来れた」と川越和枝顧問。主将の宮崎小春さんは「1カ月前はみんな不安だったが、先輩方の応援もあってここまで来られた。昨年の優勝は先輩の力で勝てたので、そのプレッシャーも大きかったが連覇を達成できててよかった」と喜びを語った。

宮崎さんは都和中戦での自身の戦いについて「相手はむこうのエースで、最初は緊張や不安もあった。ちゃんと打たないと打ち返されてしまうので、相手を恐れず打ち合うことを心掛け、だんだん調子が出てきて本来の力を少しは発揮できた」と振り返った。

勝利を決めた第4試合の森泉若菜さんは「第3セットまでは相手の待っているところへ攻めてしまい点差をつけられたが、第4セットはコーチのアドバイスで、相手の弱点のバックを攻めて勝つことができた」と勝因を語った。

28日の試合結果は以下の通り。

【卓球】
男子団体(総当たりリーグ戦)
優勝  土浦三中
準優勝 土浦四中
3位   都和中

女子団体(同)
優勝  土浦二中
準優勝 都和中
3位   土浦三中

【ソフトテニス】
男子個人
坂本・坂井(土浦四中)3-0 吉田・酒井(土浦一中)
優勝 坂本・坂井(土浦四中)

女子団体
決勝
新治学園 2-0 土浦三中
優勝 新治学園

【軟式野球】
決勝
土浦二中 9-7 新治学園・都和中(合同チーム)
優勝 土浦二中

【サッカー】
決勝
土浦六中・新治学園(合同チーム)5-2 土浦二中
優勝 土浦六中・新治学園

2050年、食料リスクのない農業生産技術開発の方向性探る 筑波大など呼び掛け

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2050年に目指すサイバーフィジカルシステムを利用した作物強靱化技術の概念(作物サイバー強靱化コンソーシアム提供)

2050年に向け、増加する世界人口を賄う農業生産技術はどの方向に進むべきなのかー。技術開発の方向性を探るオンラインシンポジウム「2050年、食料リスクのない豊かな社会を目指して」が、筑波大学(つくば市天王台)が代表機関を務める「作物サイバー強靭化コンソーシアム」の呼び掛けで22日、開催された。

プロジェクトマネージャーを務める同大生命環境系の大澤良教授は「2050年、世界人口は97億人に達し、現在の1.7倍の食料が必要とされる。これに対して代用食を検討する方向もあるが、多くの人は今程度の豊かな食生活の維持を望んでいるのではないか」とし、「食料生産に対する研究者としての我々の責任・方向性は、科学技術によって豊かな生活を保障することだと思う」と話した。

オンラインシンポジウムは内閣府のムーンショット型農林水産研究開発事業として開催された。同事業は、日本発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来の延長にない大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が司令塔となり関係省庁が一体となって推進する制度だ。

農林水産研究分野では「2050年までに、未利用の生物機能のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出」を目標に、2020年度から10の開発事業が始まっている。そのひとつが「サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現」だ。野生植物などが持つ生物機能を活用して環境適応力の高い作物を迅速かつ自在に開発できるように、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたサイバーフィジカルシステムを使い、目的に応じて作物を迅速にデザインしてリリースできる技術開発を目指している。

世界では増加する人口を賄うため農業利用が困難な条件にある土地での作付けや、気候変動による降水量の変化や温暖化ストレスにも耐える品種が求められている。しかし現在作付けられている品種は栽培化の過程で、環境の変化に適応する多くの機能を失ってしまっている。

劣悪な環境でも栽培できる強靭な作物の開発が急務だが、現在の育種には、その実現を阻む3つの問題がある。野生植物などの持つ強靭なストレス耐性を利用できていない、多数の遺伝子を一度に改良できない、目的に応じて作物を迅速にデザインできない。

シンポジウムでは3つの問題に取り組む課題責任者から、研究内容が紹介された。「作物強靱化」を担当する東京大学農学生命科学研究科の藤原徹教授からは、野生植物などが有するストレス耐性遺伝子の情報を集積し、ストレス耐性作物のデザインに利用する内容が紹介された。たとえば雨が少ない地域で育つ植物の遺伝子を利用して、水分が不足しても育つ品種を作り出すなどだ。

「ゲノム・ダイナミック改変」を担当する京都大学農学研究科の安井康夫助教からは、野生植物などの未利用生物の利用を可能とするための遺伝子を明らかにし、また多数の遺伝子を同時に改変するためにゲノム編集技術の高度化や新規染色体操作技術の開発などを進めると紹介された。

「デジタル作物デザイン」を担当する農研機構作物研究部門の宇賀優作グループ長からは、見た目で品種を選ぶ従来の育種と異なり、遺伝子発現などの様々な分子情報や環境情報も用いて、目的の利用に合わせて作物をデザインする技術の開発について説明があった。この技術が完成すれば、個別の栽培環境に最適な品種を短期間に育種できるとのことだ。

またシンポジウムでは、特別講演として同プロジェクトに関連する社会的背景の話題提供がされた。京都大学工学研究科の藤森真一郎准教授からは気候変動と食糧安全保障の関係について、東京大学農学生命科学研究科の八木信行教授からは食料供給の拡大と地球環境保全の両立に向けて、ゲノム編集による品種開発会社パイオニアエコサイエンス及びサナテックシードの竹下達夫会長からは近未来の農業経営と種苗業並びにアグリビジネスについて講演が行われた。

シンポジウムには全国から413人の参加があり、終了後に行われたアンケートの多くは今後も定期的に情報発信を行うことを求める内容だった。また「先進的な内容が興味深かった」「勉強になった」とのコメントも寄せられた。(如月啓)

ツクバブルーを世界へ! 渋谷怜さん【染色人を訪ねて】2

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つくばから藍染を発信

濃紺の軽トラックが、研究学園都市の幹線道路をさっそうと走る。メーカーカタログには見られない車体色。よく見るとハンドメイドで塗装した刷毛(はけ)の跡がそこかしこにある。その濃紺の車体に、白く刻まれた「TSUKUBA BLUE(ツクバ ブルー)」の文字。

それが、藍師をめざす渋谷怜さん(39)の染色に掲げたテーマだ。

渋谷怜さん

「かつてはどんな地域にも存在した紺屋(こうや)という職種を、つくばの住人になって、いろいろな縁をいただく中で知りました。紺屋が営んでいた天然素材を使った藍染の古く繊細な技術を今の世の中に呼び覚まし、つくばの地から広い世界に届けていきたい。そんな願望が、ツクバブルーという言葉になりました」

渋谷さんはもともと、東京住まいのアウトドア製品メーカーの社員だった。子供が生まれ、のびのびと子育てをしたいという夫婦の希望が、メーカーのつくば支店開設と合致し、店長として転勤しながら、居をつくば市に落ち着かせた。

「まだつくばの住人になって8年ほどです。あるとき、家族でデイキャンプに出かけたのですが、そのとき隣のサイトでワイワイとやっていたのが、染色家の丹羽花菜子さんのご主人でした。彼も私と同業者で意気投合することになり、その後、子供を通わせた保育園で、丹羽さんのお子さんも一緒であることを知り、花菜子さんの藍染を体験させていただいたことが転機になりました」

ツクバブルーの軽トラック

渋谷さんは興味を持ったものに対して没頭する性格だった。この出会いと前後するが、自転車のメカニズムにひかれて車体を分解して組み立て直したり、ミシンに高じてお子さんの服を自ら縫ってみたりのトライアルをいくつも行ってきた。そのひとつが、縫い上げたお子さんの服を使った藍染だ。

「自分の作業で青く染まっていく服を眺めながら、背中を突き動かされるんです。もう、まさしく、これだ!と」

丹羽さんの工房で藍染の歴史や技術を学ぶ中で、原料である蓼藍(たであい)がつくばの地では不足していることや、そもそも紺屋という地域の職種が衰退していることにも思うところがあり、仕事を辞した。

「もちろん、仕事にはやりがいを感じていましたが、家族と一緒に過ごせる時間をもっと大事にしたいという気持ちが本心です。それをかなえながら、打ち込めるもの。藍染には今の自分が打ち込める魅力があります」

つくば市内の蓼藍畑

知人であり藍を生産している未来農家GoRe3の鈴木聡さんとともに蓼藍畑を耕した。昨年、つくば市のマルシェイベントに参加し、蒅(すくも)を使わず直接染められる「生葉(なまば)染め」をアピールした。つくばエクスプレスつくば駅前のペデストリアンデッキで、プランターに植えた蓼藍から採取した生葉の緑色が、布地を青く染めていく様子は、イベントに訪れた人々の関心を集めたという。

「私自身はこのイベントには1回しか出られなかったのですが、蓼藍づくりを協力してくれる農家や仲間たちに助けられました。このメンバーと、『チーム ペリヘリオン(太陽と惑星の近日点のこと)』を立ち上げ、藍染の文化をよみがえらせ、例えばキャンプ用のタープや、オリジナルTシャツを制作して、ツクバブルーというブランディングを実現したい」

渋谷さんの見ているツクバブルーの青は、まだどんな色なのか誰も知らない。渋谷さん自身が駆け出しで、青の持つ言葉やイメージの領域の広さに戸惑うこともある。ひとつ言える確かなことは、藍染と出合い、創造の戸口に立った渋谷さんのすべてがそこに凝集している。

体験イベント

「染色のための設備はこれから整えていくので、作業自体は桜川市(真壁地区)の藍保存会の皆さんにお世話になっています。私自身は蓼藍を蒅に変え、つくばの特産品に育てていきたい。染め上げた二次製品の数々を介して、つくば発の藍染という小さな産業と文化を送り出していきます」

「わくわくすること、興味を持ったことにはじっくりと取り組んでほしい」—。これは渋谷さんの、昨年亡くなられた妻の願いだという。過ぎ去った時間は戻らないが、渋谷さんが作り出す藍染とその手で染められた布や衣服は、長く思いを残していく。ツクバブルーのまだ見ぬ青は少し悲しくも、それを大きく包み込むやさしさの色になっていくだろう。(鴨志田隆之) 写真提供 渋谷さん

渋谷 怜(しぶや・れい)
1982年岐阜県多治見市出身
アウトドア用品メーカーSNOWPEAK勤務を経て独立
2020年からツクバブループロジェクトをスタート

「君も広重になれる」《写真だいすき》1

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広重版画 保土ヶ谷
オダギ秀さん

【コラム・オダギ秀】テレビを見ていて、いいタイトルだと思ったからパクってやった。「君も広重になれる」。キミも◯○になれるなんて、すごく魅力的な、いい見出しじゃないか。

東海道五十三次の浮世絵画家は広重だ。余談になるが、それは安藤広重だ、と思った方は少々古い。昭和の時代に教育を受けた人は、安藤広重と思っているのだ。ハハハ、古い人だ。今は、まず言わない。安藤でなく歌川広重という。

経緯は別として、彼の絵から、江戸時代の風俗をイメージしている人は少なくない。篭かきがエッサホイサと客を運び、飛脚が何やら担いで行く。傍らには茶店があって、旅人が団子なんか食っている。そんな絵を見て、なんて風情のある風景だと思っている。

だが、この風景を今に置き換えてみよう。すると、タクシーや宅配便のトラックに郵便配達、コンビニやファミレスだ。

今の人間は、この今の風景には風情があるとは思っていないから、ちゃんと写真に撮ったりはしていない。それで、こんな街の風景も丁寧に写真に撮っておこうよ、とボクらは考えた。つまり、今、写真を撮っておけば、後に、君も広重になれるんだぞ、ということだ。

古い写真を発掘し保存しよう

今年8月、土浦写真家協会という団体がスタートした。プロの写真家とか熱心な写真愛好家が集まっている。土浦にはちゃんとしたカメラ屋さんがなくなって、写真をやっている人たちは何とかしたい、と思ったのだ。

その協会の活動に、写真アーカイブ事業というのがある。古い写真を発掘し、大切に保存しようということだ。

「オヤジやジイちゃんが写真好きだったから、随分撮った写真が物置にあるが、そろそろ処分すっか、邪魔だから」って状況が現状だ。昔の写真がどんどん捨てられている。今、そんな写真を真剣に保存しないと、少し前のふるさとの姿さえ、失われてしまうのだ。あんな建物、こんな習慣、あの人、こんなこと、みんな忘れ去られてしまう。暮らしの様子や街並の風情は、言葉だけでは伝えられない。

でも写真なら、一目で過ぎた時を思い出せるのに。いま保存、つまりアーカイブしないと、そんな姿が失われてしまうのだ。

写真はただの思い出ではない。そこに生きた人々の人生そのものなのだ。大切な歴史遺産なのだ。今残さなければ、永遠に無くなってしまう。そこで、古い写真を発掘して、今を残そうということを、土浦写真家協会が始めた。キミも広重にならないか?

興味が湧いたら、土浦写真家協会まで連絡がほしい。ハガキでもメールでも、連絡先を知らせてください。(写真家)

<土浦写真家協会事務局> 土浦市永国東町22-5  Eメール tsuchiuraps@gmail.com

【おだぎ・しゅう】土浦一高卒。早稲田大政経学部卒。写真家。高度な技術に裏付けられたハートフルな写真に定評があり、県内写真界の指導的立場にある。専門はコマーシャルフォト全般およびエディトリアル。㈳日本写真家協会(JPS)会員、㈳日本広告写真家協会(APA)会員、土浦写真家協会会長。1944年、水戸市生まれ、土浦市在住。本名は小田木秀一。

立憲の枝野代表がつくばで応援演説 衆院選

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応援演説をする立憲民主党の枝野代表=27日、つくば市竹園、大清水公園前

立憲民主党の枝野幸男代表が27日、衆院選茨城6区候補者の応援のためつくば市を訪れ、同市竹園の大清水公園前で演説した。自民党政権によるコロナ対策や経済政策を真っ向から批判し、集まった支持者らに「希望すれば正社員になれる、そうした社会に変えていきましょう」「豊かさを公平公正に分かち合う、もう一つのビジョンがあることを知っていただきたい」などと訴えた。

枝野代表はまず自民党政府のコロナ対策について「1年半たっても水際対策が緩いまま」「今でもPCR検査の腰が引けている」と批判。「国会は開かず、憲法に基づいて(国会開会を)提出しても一切応じない。半年間、審議拒否を続けてきたのが自民党」だとし、「病院が足りない、ベットが足りない、保健所が感染者を追いきれないのは、この20年間で保健所を半分に減らし、病院のベットを減らしてきた政治の結果」だと批判した。

経済対策については「アベノミクスで暮らしはよくなりましたか」と問い掛け、「実質賃金は下がり続けている。『成長と分配の好循環』は安倍さんが言い出したが、成長がないことが問題。バブルがはじけて30年近く低成長。やり方を変えないとだめ」と強調した。

さらに「日本の競争力が下がって経済の足を引っ張っているのではない。日本の輸出は4~5%成長している。しかし輸出は日本の経済の2割、6割近くは国内消費。国内消費が冷え込んで、国内でモノが売れないから低迷している。給料が下がっているのでモノが売れない。年収100万、150万の非正規が増えている」とし、「老後や子育ての安心を高めることが景気対策」「介護職員、保育士、看護師の多くが非正規で低賃金。だから人手不足。こうした人たちの賃金を上げて、希望すれば正社員になれる、そうした社会に変えていきましょう」などと訴え、「この政治を変えなくていいんですか。政治を変える力をもっているのはあなたなんです」などと呼び掛けた。

順位決定せず演技披露のみ 県中学新人戦 新体操 13連覇中の土浦四中出場

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土浦四中のボールを受かった団体種目

2021年度茨城県中学校新人体育大会の新体操競技が27日、ひたちなか市の笠松運動公園体育館で開催され、大会13連覇中の土浦四中が出場した。競技は、新型コロナによる緊急事態宣言で9月まで学校がリモート授業になり各校とも十分な練習ができなかったことから、本来の得点による順位決定をせず、試技会としてそれぞれの演技を披露した。

久松麻美大会競技部長は、学校がリモート授業になり、大会まで1カ月を切っても練習が出来なかったことから「悩んだ末に試技会として、出場機会、経験を積むことで、ここをスタートとして来年の総体に向けてそれぞれのチーム、個人で頑張ってもらいたい」と話した。

競技は、団体種目が、ボールを使って2分30秒間、音楽に合わせて演技をする「ボール」と、個人種目は、リボンを使って1分30秒間演技をする「リボン」、2本の棒を使って演技をする「クラブ」の3種目が実施された。団体は県内の5校11チーム、個人は112人が出場した。土浦からは土浦四中のほか、土浦一中、土浦二中が団体種目に出場した。

新人戦で大会13連覇中の土浦四中は、吉野紗羅(さら)さん、武井陽菜(ひな)さん、尾形紗羽(さわ)さん、大竹結々(ゆゆ)さん、浅野季音(りおん)さんの5人が団体種目でボール演技を披露した。

5人中2人がけがをして苦しみ、演技中はボールを落としてしまう場面もあったが、出場した選手たちは「悔しい思いもしたが最後まで頑張った」と笑顔で話した。

リボン演技を行う吉野沙羅さん

団体と個人の種目に出場した尾形紗羽さんは「個人では前回よりも大きく動けた。リボンは投げがとれるようになった」と話した。

吉野沙羅さんは「団体、個人2種目とも大きく動けたが、ミスも出てしまったので、次の大会に向けてしっかり直して行きたい」と課題を述べた。吉野さんは、自宅近くの練習会場で、全国優勝した先輩たちが練習していたことから、小学1年の時に新体操を始めたという。(高橋浩一)

リボンの演技をする尾形紗羽さん

説明誤り、別の小選挙区候補名で不在者投票 つくば市選管

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つくば市役所

つくば市選挙管理委員会は27日、衆院選の不在者投票で、期日前投票所の職員が投票方法の説明を誤り、有権者に、誤った小選挙区の候補者名で投票させてしまったと発表した。

市選管によると、25日午後5時ごろ、住民票が県外にある大学生が、県外の市町村から投票用紙を取り寄せ、市内の期日前投票所で不在者投票をした際、小選挙区の投票で、本来の県外の小選挙区ではなく、誤って茨城6区の立候補者から選ばせる投票をさせてしまった。

投票後、不思議に思った大学生が家族に相談し、家族から市選管に連絡があって誤りが判明した。

市選管は県選管に誤りを報告し、大学生と家族に謝罪した上で再度投票できることを説明した。封書に入った投票済みの用紙は、つくば市選管が25日に県外の市町村選管にすでに郵送してしまったことから、破棄した上で、再度、投票用紙を大学生宅に送ってもらうという。

再発防止策について市選管は、期日前投票に従事する職員全員に不在者投票マニュアルを再度確認させ、同様の誤りが発生しないよう指導したとしている。

不在者投票は、出張や入院などで投票所に行けない有権者が、住民票がある市町村に請求して、どこの市町村で投票したいかを伝えた上で投票用紙を送ってもらい、投票する制度。今回の衆院選の場合、投票日前日の30日まで不在者投票ができる。

筑波の藍甕受け継ぐ 丹羽花菜子さん【染色人を訪ねて】1

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お子さんとすくもの様子をみる丹羽さん

明治時代にはどんな町や村にも存在した染物屋は、衣料品の近代化とともに姿を消していった。染物屋という業種が潰えたわけではないが、その多くは工業化の道をたどっている。そのような現代において、「染」の世界を通してネットワークを築く人々と出会った。つくば市、土浦市で染色を営む染色人を4回にわたって紹介する。

藍は地域の歴史と文化

つくば市神郡で藍染工房・藍染風布(あいぞめふうぷ)を営む丹羽花菜子さん(36)を訪ねた。神郡のような場所で染色ができるのか?という素朴な疑問だったが、丹羽さんの話はまったく逆であった。

「野良着などの需要から、明治以前はどんな小さな町や村にも必ず一軒は『紺屋(こうや)』があったと言われていて、藍染は人々の暮らしの中で身近な存在だったんですよ」

丹羽花菜子さん

丹羽さんの場合、それだけではなかった。神郡を選んだことは偶然だったが、定住してみて藍染との不思議な縁に恵まれたという。

「大学では選択したコースがテキスタイルデザイン(織物・染物のデザイン)に特化していました。私は日本古来の伝統的な染色に興味があったので、4年生の時に東京の青梅市にあった藍染工房にアルバイトで入り、そのまま就職したのです」

それが藍染との出合いで、9年ほど働き、独立した。夫の実家がある常総市で、藍染の原料となる植物・蓼藍(たであい)の栽培を始めたものの、常総市から眺める筑波山の姿に魅せられ、山麓で藍染をしながら過ごせたらいいねという単純な気持ちで土地を探しに出た。

無事だった4甕

「そこで、地主さんの近所に50年ほど前まで藍染をやっていた職人さんがいらっしゃることを聞き、訪ねてみると、藍甕(あいがめ)が残っていたのです。本当はいくつも保管されていたのだそうですが、東日本大震災の際にほとんどが割れてしまい、無事だったものが4甕だったと。それを譲っていただき、偶然にも筑波の藍染を受け継ぐこととなりました」

受け継がれた藍甕

丹羽さんはそれまで、ポリタンクを使って染液の藍建てをしてきた。工程はタンクでも甕でも同じだが、地域に眠っていた歴史を受け継ぐという意味で、丹羽さんは筑波山麓にいざなわれていたのである。

「天然の藍は世界最古の染料とも言われていて、日本では奈良時代以降全国に広まりましたが、明治に入ってから化学合成で合理的、効率的に染色できる技術、俗にいう『インディゴ染』が、地域の藍染を衰退させました。自然界で藍以外に『青い色』を出せる植物は、世界的にも少ないのです。日本では現在、徳島県が蒅(すくも)の一大生産地ですが、少しずつ後継者不足が取り沙汰されるようになっています。でも、かつてはどんな土地でも原料を育て、藍染をなりわいとする人々はいました。筑波の地もそうであったように」

蓼藍の花と葉(丹羽さん提供)

藍染の原料となる蓼藍は一年草だ。収穫して乾燥、適度な水分を加えて堆肥化させたものが蒅だ。これを甕やタンク内で灰汁(あく)、貝灰(かいばい)、日本酒、ふすまを混合して発酵させる。この蒅による藍染は、日本独特の文化だ。

藍染の染液作りで特徴的な部分は、木灰の灰汁によるアルカリ性の発酵によるものだ。強アルカリの環境下でなければ、蒅の中の青い色素の元は還元されず、素材に定着することはない。液に浸した素材を引き上げ、空気中の酸素に触れることで、初めて青色が定着する。

蓼藍からすくもが作られ、染料になる(丹羽さん提供)

「藍染の濃淡は、素材を染料に出し入れする回数で変わっていきます。ただし常に1回の染まり方が同じ、というわけではありません。人間と同じで、体力を使うと疲れてしまい、徐々に染まり方が弱くなります。丸1日染めの作業をしたら、2~3日は染めずに甕を休ませることで、再び染まる力が回復します。こうした染色のサイクルや、青を染料として定着させる技術は、とても繊細で高度です。それらがどんな地域にもなりわいとして根付いていたということに、天然染色である藍への憧れがあります」

今、つくば市を中心に染色を営む人々の横の繋がりができつつあり、丹羽さんも月に一度、作家仲間と交流を兼ねて持ち寄った取り組みの成果を情報交換している。

藍染の様々な濃淡

年が明けると、丹羽さんには2人目のお子さんが誕生する。そのため、個展の開催はしばらく控え、代わりに工房に客を招いて染色体験を企画していくという。

「本心を言うと、伝統技術の継承であるとか、世界最古の染色手法であるとかの、重大な使命を帯びてのことではないんです。神郡に住んで、近隣の皆さんとの交流が生まれ、その優しさやおおらかさで守られています。ならば私のできることで、地域に寄り添って恩返ししていきたい。その一方で、藍染めに取り組みたいという人々にも、これは小さいけれど素敵な産業だということを伝えたい」

藍がもたらす染色の色彩は、古代人が眺めていた空や海の色合いだと丹羽さんは語る。青い色には心の沈静作用があると同時に、孤独感を覚えることもある。それらは人々の遺伝情報にある、古代人の青に対する感情。そのような悠久の想いが、藍で再現され、現代まで連綿と続いているという。(鴨志田隆之)

丹羽 花菜子(にわ かなこ)
1985年 北海道札幌市生まれ
2008年 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科テキスタイル専攻卒業
大学在学時より、東京都青梅市の藍染工房壺草苑(こそうえん)で勤務し、2016年、つくば市に移住。2017年、藍染風布として作家活動を始め、2020年、筑波山麓に工房を移転。
藍染風布 https://www.aizome-foopu.com/

「こも豆腐」を作ってみた 《県南の食生活》30

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こも豆腐

【コラム・古家晴美】10月に入っても関東では所々で30度以上になったというのに、近畿地方では23日に木枯らし1号が吹いたそうだ。秋が短くなってしまったのか…。街路樹の木々が慌てて紅葉しているように感じられる。

今回は、かすみがうら市歴史博物館のご好意でいただいた貴重なわらを使い、何か作りたいと思った(当初、納豆のつもりだったが、それは次回のお楽しみ)。 ということで、「こも豆腐(つと豆腐)」を取り上げる。

作り方は、藁苞(わらづと)を作り、そこに崩した豆腐を詰め、豆腐の周囲にわらを均等にめぐらせ、両端を縛る。これを大鍋でゆでた後、水に放して冷やし、わらを剥がす。この後、砂糖、醤油、みりん、酒で煮る。

一見、シンプルに見えるが、実際に作ってみると、苞(つと)に豆腐を入れてうまく形をつけるのが結構難しく、往生した。しかし、思わぬご褒美も手に入れた。ゆでているときに、何気に鍋の上に顔を寄せると、かすかに懐かしい香りがした。何の香りかとしばし頭を抱えたが、それはご飯の炊きあがりのときの湯気を連想させたのだ。

わらとご飯。稲を介しての結びつきは当然といえば当然だが、なぜか、少し胸が熱くなった。写真のこも豆腐は味付けをする前のもので、薄茶色は、わらの色だ。

ほのかなわらの香りと特徴的な形

こも豆腐が茨城県内全域で作られていた、とする資料もあるので、県南地域に特定し資料を探してみた。しかし、残念ながら私見の及ぶ限りでは見つけ出すことができなかった。もし、県南地域で、召し上がった経験がおありの方がいらっしゃったら、ご一報いただきたい。こも豆腐は、主に県央地区で冠婚葬祭の機会に出されたハレ食だ。

ほのかなわらの香りと、藁苞の形を残した特徴的な形状。そして、何よりも多くの手間が日常食にはない特別な存在感をもたらす。食べたときには、香りとなめらかな食感が印象的だった。

自家製の大豆を味噌や納豆に加工することは、多くの家庭で行われてきたが、豆腐作りとなると戦前でも散見する程度で、豆腐屋から購入することが多かったようだ。さらに、それに一手間かけたこも豆腐は、やはり特別だったろう。

ところで、コンバインの導入後、わらの入手が困難になり、それまで手作りだった正月のしめ縄を購入したり、ホームセンターでわらを購入するという話を聞く。こも豆腐や手作り納豆の減少も、農業の機械化の影響を少なからず受けているといえる。(筑波学院大学教授)

バドミントン女子団体で日大中等が優勝 土浦市中学校新人大会  

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個人戦シングルス優勝の矢吹さん

2021年度土浦市中学校新人体育大会が26日から4日間の日程で開催されている。バドミントン競技は26日、土浦六中体育館で女子の団体戦と個人戦が行われ、団体戦では土浦日大中等教育学校が初優勝を果たした。個人戦シングルスは矢吹優来さん(日大中等2年)、ダブルスは久家悠里さん・秋元優菜さん(新治学園2年)が優勝した。

団体戦は土浦四中、土浦六中、日大中等の3校がリーグ戦を行い、日大中等が2勝を挙げて優勝を決めた。「毎年最下位だったので一つでも上の順位が取りたかった。コロナ禍で全く練習できず、一発本番でむちゃくちゃ緊張した」と主将の矢吹さん。「2試合とも相手チームの方が人数が多く、応援のパワーに押されそうになった。また団体戦は初めての子もいて、最初はみんなに迷惑をかけたくないと緊張していたようだが、だんだん自分の力を出せてきた」と話す。

チームの自慢は、中高一貫校なので高校年代の先輩と一緒にハードな練習に取り組んでいること。「シャトルランやフットワークなど、みんなが嫌いなトレーニングをみっちりやる。技術面はノックを中心に基本を徹底的に反復。初心者が多いが練習についてきてくれれば上の大会を目指せる」と顧問教諭の佐藤創一さん。

団体戦優勝の土浦日大中等チーム

個人戦は3校および新治学園からシングルス22人、ダブルス20チームが出場。予選リーグおよび決勝トーナメントで勝敗を競った。シングルス優勝の矢吹さんは「今年がチャンスと思い練習を続けてきたので、優勝できてめちゃくちゃうれしい。緊張で震えが止まらず精神統一できなかったが、よく動けたし凡ミスも少なかった」と振り返った。

市中体連バドミントン専門委員長の張替浩明さんによると、ここ数年バドミントンの人気は高まり、入部者の数も年々増えているという。(池田充雄)

個人戦ダブルス優勝の久家・秋元ペア

吾妻70街区にイノベーション拠点など誘導 財務省とつくば市が土地活用意向調査

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イノベーション拠点を誘導することが検討されているつくば市吾妻2丁目70街区の国家公務員宿舎跡地

つくば駅近くの、つくば市吾妻2丁目70街区の国家公務員宿舎跡地約5.7ヘクタールの土地利用について、土地所有者の財務省関東財務局は26日、つくば市と共同で、70街区全体を対象とした民間事業者の意向調査(サウンディング型市場調査)を実施すると発表した。市学園地区市街地振興課によると、市内の公務員宿舎跡地の売却でサウンディング調査を実施するのは初めて。

市内で公務員宿舎跡地の処分が進む中、70街区はつくば駅に近接する大街区であることから、つくば市は中心市街地まちづくり戦略で、住宅だけでない複合的な都市機能の誘導を目指し「研究学園都市の研究成果や人材の集積を生かした交流の場や、新モビリティサービス、住民サービスのデジタル化など最先端の技術を街区単位で実現できる社会実装の場となるようなイノベーション拠点の形成など、様々な誘導施策を検討する」と位置付けている。

イノベーション拠点などを70街区に誘導することを検討するにあたって、民間事業者から意見を聞き、意向を把握した上で、民間のアイデアやノウハウを生かして事業化を目指す。

今回の調査は、土地活用の実施主体となる意向がある事業者または事業者グループを対象に実施する。つくば市の計画ではイノベーション拠点の整備を検討すると位置付けているが、市の計画にとらわれず広くアイデアを募集する。

70街区の土地処分の方法は、売却、定期借地いずれの場合も、今回の意向調査結果をもとに開発の条件をあらかじめ設定する。さらに入札参加者から土地利用の企画提案書を提出してもらい、国が設置する審査委員会で開発条件との適合性を審査した上で、審査通過者による価格競争で落札者を決定する「二段階一般競争入札」とするという。ただし意向調査結果によっては入札方法を変更する場合もある。

意向調査の参加申し込み受け付けは26日から12月10日まで。土地活用の方針、活用方策、事業者が参加しやすい仕組みなどについてアイデアを受け付ける。その後、12月13日から22日まで参加事業者から直接聞き取りなどを実施し、来年2月から3月に調査結果を公表する。土地売却をいつ実施するかなど、その後のスケジュールは現時点で未定という。

70街区は、吾妻小学校西側の西大通りと中央通りに面した街区。現在は第一種中高層住居専用地域などに指定されているが、開発にあたっては市が地区計画などを策定する。約5.7ヘクタールのうち、国有地が5.38ヘクタール、市有地は0.29ヘクタール。(鈴木宏子)