金曜日, 5月 16, 2025
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季節感じる工作体験をプロデュース つくば スタジオ’Sで「キッズアートおうえん展」

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「2021冬のキッズアートおうえん展」の展示風景=つくば市二の宮のスタジオ'S

子供たちに楽しいアート体験を提供する「2021冬のキッズアートおうえん展」が26日まで、つくば市二の宮のスタジオ’Sで開催されている。関彰商事と筑波大学の連携による芸術活動「スタジオ’S with T」の企画だ。今年は展覧会形式で、筑波大生が考案した自由工作の完成品と、その作り方を動画やパネルで一緒に紹介している。昨年の冬はオンラインでの開催だった。

筑波大学で芸術を学ぶ学生たちの協力により、毎年開催している。展示は6ブースで、今回は投票箱が置かれ、気に入った作品に投票して応援できる。内容はクリスマスのリースやとんがりハット、毛糸のコースターなど季節感あふれるものが多い。

展示の一つ「クリスマスリースをつくろう!」。右のタブレットで作る方を紹介している

お正月向けの「書き初めでカレンダーを作ろう!」は、台紙の下半分がカレンダーになっていて、身近な場所などに飾って1年間楽しむことができる。

館内の飾り付けも、天井や壁の星型のペーパークラフトや、正面奥の大きなクリスマスツリーが、クリスマスの気分を盛り上げている。ツリーに飾られた写真入りのオーナメントカードも自由工作の一つ。24日にはキットのプレゼント(なくなり次第終了)と、カードに入れる写真の撮影サービスもある。

ツリーの隣にあるメッセージカードのコーナーでは「今年あったハッピーなできごと」を書き込んで壁に貼り、1年を振り返ってみるのもいい。土浦市から来た青山杏奈さん(小4)と咲良さん(4歳)の姉妹も、カードを書くのを楽しんでいた。杏奈さんが一番気に入った工作は「かわいいきのこを作ろう」。理由は「図工の授業で、粘土の作品づくりをするときに参考になりそうだから」とのこと。

手書きのメッセージカードが完成し記念写真を撮る

期間中の土・日曜日に、工作の制作キットを日替わりでプレゼントする。キットには説明書と共に、粘土や絵の具といった主要な材料も入っているので、家にあるはさみやのりなどの道具を使い、すぐに工作に取りかかることができる。各キットとも先着15人限定。配布日はスタジオ’Sのホームページか、フェイスブックを参照。(池田充雄)

◆2021冬のキッズアートおうえん展は18日(土)~26日(日)、つくば市二の宮1-23-6、関彰商事つくば本社内スタジオ’Sで。開館時間は午前10時~午後5時、入場無料。

相手を理解するとは?《続・気軽にSOS》99

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【コラム・浅井和幸】「相手を理解する」とは優しく思いやりを持って接することですから、敵や嫌いな相手は理解なんてしたくないものですよね。当たり前のことのようですが、それは必ずしも正しいことではないようです。

理解するという言葉には、「正しく分かる」という意味と「思いやる」という意味があります。「敵を知り、己を知れば、百戦してあやうからず」という孫子の言葉があります。孫子とは中国の春秋時代の武将です。当時の戦争で、相手に負けない方法としての教えであり、現代においてビジネスの場で好まれている考え方です。

この「知る」は、「理解する」と言葉を変えてもよいでしょう。命も取られかねない戦争の相手に、思いやりを持って対応しようということではありません。敵にやさしく接していこうという教えではありません。相手の性質を正確に知ることにより、さらに自分の性質を正確に知ることにより、負ける危険がないということです。

友人Aと私の会話

A「嫌な上司がいて困っているんだ。何とかうまい対応の仕方はないかな?」

浅井「どんな上司なの?」

A「自分では新しいアイデアを出せないくせに、人が出した案に対して、重要じゃない小さな部分をネチネチと指摘してくるんだよ」

浅井「それは嫌だねぇ」

A「そうだろ? なんで、あんなつまらない指摘をするんだろうね?」

浅井「ま、物事の優先順位が分からないからだろうね。分からないなりに、良くしようとか、指摘できるところを見せて、自分をよく見せようとしてるんじゃないかな」

A「いやいや、そんな生易しいものじゃなくて、本当に嫌な奴なんだよ」

浅井「そうなんだ」

A「だって、機嫌が悪いときは、怒鳴ったりするやつなんだよ。いい大人が、どうして怒鳴ったりするんだろうか?」

浅井「きっと、キャパシティが小さくて、何か別でもストレスがあるんだろうね。もしかしたら、その上司も別の人から怒鳴られているかもね」

A「は? なんで浅井は、そんなつまらない上司をかばうんだ? 俺の方が悪者だと言いたいのか?」

浅井「いやいや、かばってないし、そもそも善悪の判断をしようとは思っていないよ。むしろ、今の嫌な状況を変えるためには、その上司の性質を理解した方が対応しやすいと思うよ」

A「ふざけるな。そんな上司に対応する必要もないし、悪い奴を理解する必要なんてない。そんな上司の肩を持つような奴とは話しているだけ無駄だ」

自分は悪くない、相手が悪い

問題を解決するときは、嫌な相手を理解し、自分の見たくない部分も理解することは大切なことだと思います。ま、この会話は、問題解決をするという共通認識がないままに進んだ会話であって、問題解決する前に、悪者が誰で善人が誰で、敵が誰か、味方が誰かをはっきりさせることが必要だということになります。

日常では、「問題解決」よりも、「自分は悪くない、相手が悪い」と同感する方が何倍も重要であるという場面は多いものです。(精神保健福祉士)

水素燃料電池バスでPCR検査 筑波大、市と実証実験

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水素燃料電池バス「SORA」の外部給電口を示す鈴木広道教授=つくば市役所駐車場

災害などで電源を失った場所でも、高精度の感染症検査を可能にするシステムを開発中の筑波大学(つくば市天王台)が、同市のPCR検査会場で実証実験を行った。17日までの3日間、市独自のPCR検査が行われた会場に水素燃料電池バスを持ち込み、装置の稼働状況、検査から通知までの所要時間を調べるなどした。

検査会場の市役所本庁舎駐車場に持ちこまれたのは、トヨタ自動車の燃料電池バス「SORA(ソラ)」をベースに車内を改装した車体(11月18日付)。医学医療系感染症内科学の鈴木広道教授、システム情報系の鈴木健嗣教授らが、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムにより開発している。車内にはPCR検査に使う全自動の遺伝子解析装置や核酸抽出装置などが設置されている。今回大学と市が協力し、PCR検査希望者の協力を得て実証実験を行った。

つくば市では新型コロナ感染拡大の第6波に備え、10月から無症状の市民や市内在勤・在学者を対象にPCR検査を行っている。15日は45人、16日には54人が実験への協力に同意した。受付で検査キットを受け取り、検体として唾液を採取。キットは「SORA」の車内に持ち込まれて検査された。検査結果はQRコードを読み込み、識別情報を入力するとメールで通知されるシステムを想定しており、16日までの集計では、受付から検査結果が返ってくるまで最短48分、中央値は53分だったという。

PCR検査の様子

鈴木広道教授は「いつでもどんな場所でも同じ質の検査を提供できることを目指す。現場によって状況や人の流れも異なるため、不具合が起きないかどうかを検証している。少しでも早く検査結果が分かるよう検査受付から結果通知まで常に60分を切ることが目標」と話す。検査自体の時間はこれ以上短縮することが難しいため、今後は通知システムの改良を重ねていく考えだ。

年を越し足を延ばす実証実験

17日には市の公用車である水素燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」を「SORA」にケーブルでつなぎ、電力を供給した。車内で行うPCR検査に必要な電気は「SORA」だけでまかなえるが、「MIRAI」をつないで電力供給することによりさらに遠隔地に出向くことが可能になるそう。

来年1月からは狭い場所を行き来できるマイクロバスの検査車も導入し、大型バスと2台で県央や県北、鹿行地域に赴いての実証実験を予定している。2月から3月には大学内外のイベントで無料のPCR検査を行い、社会実装に向けて調整を続けていく。

緊急時、災害時の感染症対策は地域の課題解決につながるとして、市は今後も筑波大に実証実験の場の提供を行っていく予定だという。(田中めぐみ)

大好きな霞ケ浦のあれこれ① 《夢実行人》3

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霞ケ浦の日の出

【コラム・秋元昭臣】霞ケ浦は茨城県南東部に位置し、その先端が利根川に流れ込む、日本第2の面積の淡水湖です。西に土浦・高浜を持つ「西浦」、北に鉾田を持つ「北浦」、それに「常陸利根川」などを併せた総称ですが、一般的には「西浦」を霞ケ浦と呼んでいます。

その管理は、利根川の一部として「国交省関東地方整備局霞ケ浦河川事務所」が行っています。日本1の琵琶湖は国交大臣の委託を受けて滋賀県知事が管理しています。

昔は東京湾の一部で、「流れ海」と言われた時代もあります。海からの塩害防止の「河口堰(かこうぜき)」ができるまでは、汽水湖でした。銚子とは3時間遅れで潮の満ち干の影響があり、シジミや海の魚も獲れました。

そのころは水質もきれいで、湖岸には砂浜や13カ所の「湖水浴場」あり、学校の授業でも使われていました。小魚が泳ぐ姿を見て、子供ながら工夫して釣りを楽しんだものです。大きな黒いタンカイ(淡水域にすむ中型の貝)を足でほじくって遊びましたが、この貝が「貝ボタン」になっていたとは知りませんでした。

湖の干拓:霞ケ浦10%、八郎潟80

昔、霞ケ浦の広さは2位ではなく3位でした。では、2位はどこだったのでしょう。秋田県の八郎潟です。しかし、1956年から1977年にかけ、その80%が干拓事業によって農地になり、現在は18位です。

戦後の食料不足を補う干拓で、霞ケ浦唯一の島だった「浮島」も、本新島干拓(1942~1956年)によって陸につながりました。このように、10%もの水面が干拓されて農地になったものの、霞ケ浦の現在の広さは2位です。ちなみに、3位は北海道のサロマ湖、4位は福島県の猪苗代湖です。

霞ケ浦の流域人口と面積は、茨城県の約3分の1を占めています。琵琶湖の流域面積は滋賀県の79%、流域人口は12%です。

アオコが猛威を振るって湖面が緑色になり、腐敗臭が出たのは1974年ごろで、50年も前になります。最近10年の水質の指標「透明度」(30センチの白い円盤を沈めて見えなくなる深さ)は 50~90センチと、泳げたころの100~150センチには届きませんが、湖心では100センチも珍しくなくなっています。

今欲しいのが砂浜です。国交省では「里浜」造りを進めていますので、霞ケ浦が昔に戻りつつあることはうれしいことです。(元ラクスマリーナ専務)

別人の住民票コードを誤登録 つくば市

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つくば市役所

つくば市は17日、6年前に海外から転入してきた外国人の住民登録をした際、誤って、他県で住民登録されている別の外国人の住民票コード(住民基本台帳に記録される無作為の11桁の数字)を登録してしまったことが分かったと発表した。

市市民窓口課によると、2015年7月に海外から初来日しつくば市に転入してきた外国人の住民登録をした際、すでに他県で住民登録されていた別の外国人と氏名、生年月日、国籍、性別がすべて同じだったことから、他県から転居してきたと思い込み、他県の別人の住民票コードを誤って登録してしまったという。

他県の外国人が今年10月、マイナンバーカードの交付を申請したことがきっかけで誤りが判明した。他県の外国人のマイナンバーカードがつくば市に届いた一方、他県の外国人にはカードが届かなかったことから、カードを発行する機関から照会があり分かった。

6年前に市が住民登録をした際、本人に直接聞き取りをするが、日本語があまりしゃべれず、当時の担当者の確認が十分でなかったとみられるという。

市は、誤登録があった2人の外国人にそれぞれ事情を説明して謝罪し、市内に住民登録した外国人の住民票コードを訂正した。

再発防止策として市は、外国人の届け出を受ける際は、通訳用のタブレットを使用したり、外国語に堪能な職員が対応するなど窓口での本人の聞き取りを正確に行い、届け出内容の確認を徹底して再発防止に努めるとしている。

誤登録による個人情報の流出などはないとしている。

まちづくり会社3億円調達にメド つくばセンタービル オフィス改修継続へ

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特別委員会で報告する内山博文社長(中央)

つくば市が出資するまちづくり会社、つくばまちなかデザイン(同市吾妻、内山博文社長)の資金調達問題(10月16日付)で、内山社長は17日開かれた市議会中心市街地まちづくり調査特別委員会(ヘイズ・ジョン委員長)に出席し、前日の16日にファンド(投資信託)から資金調達の承認を受けることができ、3億1600万円を調達できると報告した。

同社は10月に、つくばセンタービル1階内部のアイアイモール解体工事を始めた。一方、貸しオフィスに改修する工事費用は10月時点でまだ調達できておらず、「資金調達ができない限り、改修工事に着手しない」としていた。16日に調達できたことから工事を継続して改修を実施する。

内山社長の議会での説明によると、国交省の「老朽ストック活用リノベーション推進型まちづくり事業」を活用し、政府系金融機関の民間都市開発推進機構(民都機構)が約2億円、地域金融機関の常陽銀行が約1億円を出資して、投資事業有限責任組合という形態のファンドを設立する。ファンドは、まちなかデザインが発行予定の3億1600万円の劣後社債を引き受ける。NECキャピタルソリューションの100%出資会社、オハナパナ(OHANAPANA、東京都港区)がファンドを運営する。

年利3%の社債で、まちなかデザインは10年間で返済する。10年目の2031年は未返済の残り1億4600万円を借り換えて、32年以降は約3000万円ずつをさらに4年間で返済していくという。

市内の飲食店などと協働運営

一方、改修後の貸しオフィスなど「働く人を支援する場」は来年4月オープン予定で、運営について、カフェは飲食店「フィンラガン」(つくば市天久保、松島壮志さん経営)、子連れワーキングスペースはNPO子連れスタイル推進協会(同市梅園、光畑由佳代表)とそれぞれ協働運営するほか、コワーキングスペースでのイベントは、市内で同様の施設を運営するしびっくぱわー(同市天久保、堀下恭平社長)と協働運営するとした。(鈴木宏子)

エスカレーター取り止め つくばセンタービル 改修計画を大幅見直し

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エスカレーターの設置が取り止めになったセンター広場西側。すぐ脇にエレベーター (右)が設置されている

専門家や市民団体から見直しを求める要望が出ていた、つくば市によるつくばセンタービル(同市吾妻)の改修計画について、市は17日開かれた市議会中心市街地まちづくり調査特別委員会(ヘイズ・ジョン委員長)で、エスカレーターの設置を取り止めるなど当初の改修計画を大幅に見直すことを明らかにした。

建築デザイン残す形に

見直し計画は、エスカレーターの設置を取り止めるほか、センター広場を囲む外壁、ノバホールと小ホールの間の1階大通路、ノバホール西側の外階段をいずれも取り壊さず、現在の建築デザインをそのまま残す。センター広場の床にテントを固定する床穴を開ける計画も取り止める。

今回の見直しについて五十嵐立青市長は「市民、(市議会)特別委員会、利用者からの意見を反映し、意匠にさらなる配慮をした」などと話した。

つくばセンタービルは、プリツカー賞を受賞した磯崎新さんが設計したポストモダン建築の代表作だと世界的に評価されていることから、建築意匠が専門の筑波大学、鵜沢隆名誉教授の見解をもとに、市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)が、五十嵐市長や小久保貴史市議会議長に対し、計画の見直しを求める要望書を2度、提出していた。

メタリックな正方形のアルミ板とガラス窓などが残されることが決まったつくばセンター広場の外壁。タープの床穴も空けられないことになった

さらに市が10月1日から31日まで市ホームページで実施した意見募集では、エスカレーターについて意見を出した17人中、15人がエスカレーターの設置は必要ないなどの意見を出していた。

市議からは「そもそも市民説明会を最初からやっていればそんなことはなかった。見直し案ではなく、やり直し案。エスカレーター2基とも無くなるような計画は行政としてあり得ない」(飯岡宏之市議)、「基本設計をやる前に市民意見を聴取していなければならなかった。大きな誤りだったと感じている」(山中真弓市議)など厳しい意見が出た。

価値喪失など懸念する指摘受け

西側(旧ライトオンビル側)に設置予定だったエスカレーターを取り止める理由について市は、意匠への配慮、費用対効果などのほか、市民窓口を当初予定のつくばセンタービル1階から隣接のBiViつくば2階交流サロンに移すため、エスカレーターの利用者が減るなどとした。エスカレーターについては、2基の計画のうち北側の1基を今年6月、議会の意向を受けて市が設置を取り止めた。今回取り止めが決まった西側のもう1基については市民団体から、設置に伴いセンター広場の外壁を改変することになり、センター広場と不可分な空間として国際的に高い評価されてきた広場の価値を喪失させる、10メートルも離れてない位置に既存のエレベーターがある―などと指摘していた。

センター広場を取り囲む外壁は、現在の壁を撤去し開閉式のガラス扉に取り換える計画だったが、意匠へのさらなる配慮と費用対効果を考慮しそのまま残す。市民団体は、中央広場の壁はメタリックなアルミの正方形とガラス窓、ガラス扉のバランスで構成されており、外壁を撤去することは中央広場の形状を変えることになるなどと指摘していた。

取り壊さないことになったノバホール小ホールの通路の壁

ノバホールと小ホールの間の1階通路の片側の壁を壊して通路を狭める計画は、意匠に配慮して取り止める。併せて市民活動総合センターの設計を見直す。通路については市民団体から、堅牢な石造りの壁でできた通路は研究学園都市の都市軸を形成しているなどの指摘があった。一方、通路を保全することに伴って、高校生が勉強などするフリースペースが、現在の市民活動センター部分から通路部分に移動する。現在の通路は照明が暗く室温の調整もなされてないことから、照明を明るくしエアコンを整備して室内環境を向上させるという。一方「気の毒。落ち着いて勉強できるのか」(橋本佳子市議)など、課題を指摘する意見も出た。

危険性が指摘されスロープ設置を取り止めることになったノバホール西側の外階段

ノバホール西側外階段は、土浦学園線から車両の乗り入れができるよう半分を改変しスロープをつくる計画だったが、安全性を考慮して取り止める。市民団体は、スロープの傾斜角が急で、車いすやベビーカーには使用できず建築基準法やバリアフリー法からみて問題。急勾配のスロープを下りた自転車などが、歩行者と接触したり、交通量が多い土浦学園線で事故が発生する危険がある、すでにキッチンカーが出入りしている既存の車用スロープを利用すれば足りるなどと指摘していた。

市による今回の大幅な見直しについて、建築意匠を守るよう要望していたつくばセンター研究会の冠木代表(70)は、「全面的に市の計画が変わりびっくりしている。(当初の計画が)すべて撤回され、ひじょうに良かった。ただここまでこじれたのは手続き上、問題があったのだと思う」と話している。(鈴木宏子)

薬の品切れにふりまわされて《くずかごの唄》99

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イラストは筆者

【コラム・奧井登美子】来年はトラ年。薬剤師は薬のトラブルを絶対起こしてはいけない職業である。半年前から、どういうわけか、コロナ禍の中で薬の原料の輸入品がストップしてしまったらしい。処方箋調剤薬局は、薬の品切れに悩まされている。60年間、経験しなかったことである。

「すみません。薬の中でビソプロロ―ル・フマル酸塩錠が、今、品切れなのです」
「えっ品切れ、冗談じゃないよ。心臓の薬で、狭心症を予防する薬だから、キチンと飲むように医者から言われている大事な薬だよ」
「ごめんなさい。明日の朝、飲む分はありますか?」
「ないよ」

探してみれば家にあるのに、こういう時、心配で、必ず「ない」と答える人が多い。

「困ったわね。今日中に、何とか手に入れて、お宅までお届けするしかない」
「必ず届けてくれ。なかったら、別の薬局へ行ってみるしかない」
「メーカーが品切れなので、よその薬局も厳しいと思います」
「じあ、どうすればいいんだ」

私が、客を怒らせないように、気を使いながら話をしている間、事務員さんが必死になって知り合いに電話して在庫を探っている。

「ハイ、よかった。ありました。うちのもう1軒の薬局にありました。お届けします。メーカーは違ってしまっても、成分は今までの物と変わりありません。安心してお飲みください」

とんでもない、考えられなかった事態

薬の卸業者、何軒かの取引先に電話してもないとなると、同業者に頼んで分けてもらうしかない。電話して、頭下げて、分けてもらい、取りに行って、患者さんの家にお届けする。

コロナ禍で、不足薬品の調達という、とんでもない、考えられなかった仕事が、処方箋調剤薬局に降りかかっている。(随筆家、薬剤師)

遊びと学びを各世代に届ける 筑波山麓に森の学校プレオープン

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目の前には関東平野の眺望。左から関口さん、星野さん、上渕さん、塚本さん=つくばグリーンスクールBEK

つくば市内でフリースクールやカルチャースクールなどを運営する教育研究施設、BEK Lab(べくらぼ)の第2拠点となる「つくばグリーンスクールBEK」が10日、同市国松にプレオープンした。4月からの本格稼働に向け、無料見学会・説明会や記念イベントを実施中。今後は2拠点でそれぞれに、つくばの都市的な面、自然豊かな面を生かして活動していく予定だ。

身の回りの素材を生かして

グリーンスクールBEKは、筑波山のふところに抱かれた静かな環境にあり、所有する森やミカン畑などを活用しながら、街なかではできないような体験型学習を、幼児や小学生に向けて提供していく。

体験型学習は「1つのアイテムで100の学びを」をモットーに、教科書は使わず、自然環境や身の回りの素材などを生かして、学校の教科学習にもつながるようなプログラム作りを心掛けているという。代表の星野つばささんは「例えば1本の木を題材にとり、理科や社会の学習に結び付けたり、見て触れて感じたことを言葉や絵、音楽で表現したりなど、さまざまな学びへと発展させられる。たくさんの驚きや発見、感動の機会を得られるようにしたい」と語る。

週末にはライブラリーラウンジとして開放される。絵本のほか幼児教育や子育て関係の専門書など、蔵書は常時1000冊以上で、季節によって内容を入れ替える。

開催中の上渕翔絵画展。手前の「祈り」など、コロナ禍中に前向きのメッセージを込めた作品が多い=同ギャラリー

併設するギャラリーではオープニング記念として18日まで、同市在住のペインティングとウッドバーニング作家、上渕翔さんの作品展を開催している。ここ5年ほどの近作を小品も含め25点ほど展示し、作品はいずれも購入可能。19~25日の展示は三谷多加子さん。初めて会った人のイメージを直観的に描いた「インスピレーション絵画」など、鮮やかな色彩と繊細なタッチを特徴としている。

このほかライブや各種ワークショップ、マルシェなどのイベントを随時開催。星野さんは「好きな場所で本を広げたり、アートや音楽を鑑賞したり、森を駆けまわったりなど、大人も子どももそれぞれ、自分に合った楽しみ方を見付けることができる」と来訪を呼び掛ける。

オカリナとピアノによるセッションの様子=同ライブラリーラウンジ

学習サポートと講座

BEK Labが目指すのは、あらゆる立場の人に幅広く対応できる学びの場。さまざまな世代が行き交い、国籍の違いやハンデによる分け隔てなどもなく、ボーダーレスに集える場所だという。

子育て関連ではプレママ・ママ倶楽部や、幼児向けのプリスクール、小学生から高校生までを対象としたフリースクールを運営する。BEK Lab創始者の関口加代子さんは、特にフリースクールの設置は地域にとっても喫緊の課題だと考えている。「不登校の小中学生はつくば市内でも400人近くいる。そのうち自分に合った学びに出会えた子はわずか2割ほどで、ほかの子は自宅や児童館で過ごしている。個人に合った居場所や学びの場を提供し、自立をうながすような支援をしたい」

2つの拠点のうち、つくば市東にあるラーニングスペースでは、個別や小人数での学習サポートを展開するほか、曜日や時間ごとに趣向を変えた講座を開く。それぞれの講座によって生徒や教室の雰囲気が異なるという。(池田充雄)

◆つくばグリーンスクールBEK 12月のイベント
[ライブ]18日=海東美紀子(オカリナ)&塚本英之(ピアノ)、19日=宇都野紘子(ピアノソロラウンジ)、24日=クリスマスJAZZナイト
[ワークショップ]18・19日=簡単気軽なピタパン作り、24日=森の恵みで作るオーナメントほか
申し込み・問い合わせはメールinfo@beklab.com、電話029-857-2798

誰も自分と同じ経験をしないために 《電動車いすから見た景色》25

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【コラム・川端舞】今年は怒涛の1年だった。4月に本サイトで重度障害のあるライターとして取り上げられたのをきっかけに、他メディアからも取材を受けた。しかし私にとって一番大きかったのは、中学時代の出来事を複数のメディアに語ったことだ。

小中学校時代、介助員から支援を受けながら普通学校に通った私は、一時期、介助員との関係がうまくいかないことがあった。その時のことを公に話すと、当時の介助員を批判してしまうことになるため、ずっと話さないでいようと思っていた。

しかし、自分の経験を公表することで、現在、普通学校で介助員から支援を受けている障害児が自分と同じような経験をすることを防げるかもしれない。ずっと心の片隅でそう思っていた私は、今年、複数のメディアから中学時代の介助員との出来事を話す機会をいただき、自分の経験が普通学校で学ぶ障害児の役に立てばと願いながら、メディアで当時のことを話す決意をした。

私は中学時代の介助員を責めるつもりは全くない。当時、私が介助員との関係で悩んでいたといことは、介助員も同様に私との関係で悩んでいたということだろう。

関係がこじれた時、私と介助員双方の話を聞いてくれ、すれ違いを一緒に解決しようとしてくれる大人が近くにいれば、問題が複雑にならないうちに、関係を修復できたかもしれない。障害児の支援を介助員1人だけに任せ、他の教職員は支援に関与しないという状態では、何か問題が起きた時に過度に障害児や介助員を苦しめることになりかねない。

他の障害児者と出会う機会

障害児が必要な支援を受けながら、健常児と同じ学校に通うことは、大人になってから障害者と健常者が共に生きていくためにも大切なことだ。同時に、障害児が普通学校に通っていても、地域に住む他の障害児者と出会い、周囲からどのように支援を受ければいいのかなど、自分と同じような障害のある人に相談できる環境も必要なのかもしれない。

私は高校時代まで自分のような障害者に会ったことがなかった。中学時代、介助員との関係を他の障害者に相談できていたら、解決方法を見つけられたかもしれない。

内閣府によると、令和元年現在、日本の障害者は人口の7.6パーセントを占める。1つの学校に障害児が数人しか通っていないこと自体、不自然なことなのだ。(障害当事者)

年内、年明けに5万円ずつ現金で つくば、土浦両市の10万円給付

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つくば市役所(左)と土浦市役所

18歳以下の子供に1人当たり10万円相当を給付する国の子育て世帯臨時特別給付金について、つくば、土浦市はいずれも、現金5万円を年内に振り込み、残り5万円は年明けに現金で給付する方針だ。

つくば市こども政策課によると、先行して給付する現金5万円について、児童手当を受給している中学生までの世帯などに13日、通知を発送した。24日に銀行口座などに振り込む。

給付対象となる同市の18歳以下の子供は約2万5000世帯、約4万人。24日にはそのうち約1万7000世帯の約3万人に振り込む。

一方、児童手当給付対象外の高校生など約8000世帯の約1万人は申請手続きが必要で、来年1月4日に申請書を送付し、申請書類が市に届き次第、順次、口座に振り込む。残り5万円については、1月以降に準備ができ次第、現金で振り込むとしている。

土浦市も5万円ずつ、現金で給付する方針だ。市こども政策課によると、先行給付の5万円について市は14日、児童手当を受給している中学生までの世帯などに通知を発送した。23日に現金5万円を振り込む。

給付対象となる同市の18歳以下の子供は約1万3000世帯、約2万1000人、23日にはそのうち約8600世帯の約1万5000人に振り込む。

児童手当対象外の高校生など申請手続きが必要な約4400世帯約6000人に対しては、来年1月4日に申請書を送付し速やかに給付する。残り5万円については、年明けのなるべく早い時期に現金で支給する方向で検討中だとしている。

国は当初、5万円を現金、残り5万円をクーポンで給付する方針を示していたが、13日、自治体の判断で年内からでも10万円現金一括給付を選択肢に加えることを認める方針に転換した。14日には自治体向け指針を出し、①1回目現金、2回目クーポン②1回目現金、2回目現金③現金10万円を一括給付の3通りを示した。

10万円一括給付についてはつくば、土浦両市とも、手続きが間に合わないとしている。

筑波大5人減る 医師臨床研修マッチング 県全体は過去最高に

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筑波大学付属病院=つくば市天久保

県医療人材課は、来年度から茨城県内の医療機関で臨床研修を開始する今年度の医師臨床研修マッチング結果を発表した。募集定員が最も多い筑波大付属病院は募集定員94人に対しマッチ者数52人(前年度は96人に対し57人)で、マッチ者数は前年度より5人減った。

マッチング参加は20病院で、募集定員244人に対し、マッチ者数は72.95%の178人。前年度が定員248人に対しマッチ者数が69.35%の172人だから、今年度のマッチ者数は3.6%(6人)増加した。2004年度の制度開始以来、過去最高となった。

表中 A:募集定員 B:マッチ者数

参加病院20病院のうち10病院が募集定員をクリアした。クリアした県南地域の病院は、土浦協同病院(15人)、東京医科大茨城医療センター(10人)、牛久愛和総合病院(5人)、JAとりで総合医療センター(5人)など。

医師研修マッチングは、04年度に医師の臨床研修が義務化されたことに合わせて導入された。医学生と病院のプログラムを一定のアルゴリズム(規則)に従って、コンピューターにより組み合わせを決定するシステム。臨床研修を行う病院等の団体で構成する医師臨床研修マッチング協議会が実施している。

定員に空席がある病院については、各病院それぞれが自助努力で医学生にアプローチすることになる(二次募集)。全病院の充足状況が明確化するのは、年度開始から2~3カ月後の夏前になりそうだという。(山崎実)

アリーズ フレンド カフェ&レストラン《ご飯は地球を救う》42

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【コラム・川浪せつ子】水彩画を描くのに必要な画材を、JR常磐線荒川沖駅近くのホームセンター「ジョイフル本田」(土浦市中村南)によく買いに行きます。ネットでも買える時代ですが、見てから買いたい、新しい画材などの情報を得たい、と。

ホームセンターは、植物販売や併設スーパーも魅力的です。そして、気になっていたのはケバブ(中東料理)のお店「アリーズ フレンド カフェ&レストラン」。TXつくば駅上の広場で見るあの黄色い車のお店。そこで1回買っておいしかったのが、忘れられなくて。

そこで、入るチャンスを狙っていました。ラミネート加工をしなくては…の時、出来上がるまでの待ち時間でまずはお茶を。チョコレートのお菓子、美味でした。

1年ぶりの友人とお互い近況報告

次回こそケバブと、荒川沖駅近くに事務所がある建築士の友人を誘ってランチ。彼女と会うのは1年ぶりでした。建築士会の活動で以前はたびたび会っていたのですが、コロナ禍で、勉強会のほか見学会までリモート。なんか寂しい、悲しい。

1年ぶりの友人と、お互い近況報告。彼女、そして家族のうれしいサプライズを聞いて、感動。やはり、直接会って話すのって重要ですね。もちろんケバブ、いけてました~♪

ホームセンターの植物コーナーには、たくさんのクリスマスグッズが販売されていました。雪の上に置かれているような雰囲気で。皆さま、良いお年をお迎えくださいね。(イラストレーター)

感覚過敏に対応 心地よく学び休める部屋 筑波大が公開

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アクセシブルスタディルームの説明をする佐々木銀河准教授。手に持っているのは感覚を落ち着けるためのグッズ

障害のある学生への修学支援組織、筑波大学(つくば市天王台)のダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター(DACセンター)が、試行運用中の「アクセシブルスタディルーム(ASルーム)」を公開した。同センターを利用する障害学生向けの学習・休憩スペースで、特に感覚過敏のある学生の使用に配慮した。多様な学生一人ひとりが自分の感覚に適した学び方、休み方を見つけられるという。

落ち着きと集中に配慮した2室

大きな音やまぶしい光、人混みなどが苦手な人にも安心して過ごせる環境を提供する「センサリールーム」の取り組みが国内外で始まっている。ASルームも、聴覚や視覚など感覚過敏のある人が落ち着いて快適に過ごせるよう企画・設計された。「アクセシブル」は近寄りやすさ、利用しやすさをいう。海外の大学で導入され、日本でもサッカースタジアムへの導入例などあるが、国内の大学では初めての設置、運用となった。

一人用の学習・休憩スペースと複数人で使用できる共同スペースの2室に分け、設けられた。個人で使用するスペースは自分の心地よさに合わせて空間をカスタマイズできる。照明の明暗や赤、青、緑など部屋の色調は調整可能だ。天井に設置されている無線通信のスピーカーから音楽や作業用BGMなど、自分がストレスに感じない音を流すことも出来る。

泡による視覚と音波の効果によって感覚を落ち着けられるバブルチューブ、狭くて暗い空間を作り出すための簡易式テントなど、落ち着いたり集中するための様々なグッズが配置された。障害学生は1人当たり1日3時間を上限に利用できる。

感覚過敏な人との相互理解

発達障害のある学生は近年、全国的に増加しており、筑波大でも障害学生全体のうち67%にあたる110人が発達・精神障害だという(12月1日現在)。発達障害のうちの一つが自閉スペクトラム症で、その69%~95%には感覚過敏という特性があるという。

感覚過敏は個人差が大きく、体調や不安の程度によっても変動することがある。しかし、大学の環境は感覚過敏の学生らに十分に対応しているとは言い難く、これまでは耳栓などの器具の利用許可を得るなど障害学生側が工夫する対策に留まっていた。さらにコロナ禍の昨今、オンライン授業により「目が疲れる」「集中力が続かない」と訴える障害学生は、発達障害に限らず全国的に増えている。

筑波大では2019年12月に、ASルームの企画・運営のため、教員・学生の共同プロジェクトチームがスタート、当事者目線での意見を共有するために障害学生も参画した。書店や図書館では周囲の目が気になってしまうという障害学生の指摘を受け、発達障害に関する書籍やリラックスするためのグッズを置いたり、注意が逸れないよう本棚に目隠し用のカーテンをつけるなど、意見の反映を図った。

バブルチューブをはさんでルームの説明をする小山慎一教授(左)と佐々木准教授

8月の試行運用開始から障害学生16人が利用登録し、利用者からは「ルームでは靴を脱いでカーペットに座ったり、自分にあった聞き方で受講できるのが良かった」という声が上がった。

今回の公開を機に試行運用期間による利用学生の限定も拡大していく予定という。活用事例の蓄積による他大学や社会への情報発信、持ち運び可能な簡易型、貸出型のセンサリールームの検討も視野に入れ運用していく方針だ。

芸術系の小山慎一教授は、コロナ禍のマスク着用で感覚過敏の人々が感じている困難を例に「感覚過敏な人とそうでない人の相互理解が進むと良い」と語った。人間系の佐々木銀河准教授は「感覚過敏は外からは誰も分からないし、本人自身も気付いていないかもしれない」と述べ、ASルームが障害学生自らの感覚特性を知るための機能を担っていると位置づけた。(渡辺陽)

お代は「鳩サブレー」で! 《続・平熱日記》99

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【コラム・斉藤裕之】2人の娘も家を出たし、コロナ禍のステイホーム期間に不要なものを処分して、家の中は大分すっきりした。食べるものも着るものも、普段通りのもので充分だ。カミさんも特にぜいたくを言うことはなく、強いて言えば、たまに甘いものを食べるくらいのことだ。

例えば、寒くなるとホームセンターに出店する大判焼きの店。クリームの入ったやつがお気に入り。それから、しばらく前から盛んに「鳩サブレー」が食べたいと言うのだが、ここら辺りでは売っていない。似たようなお菓子ならあると思うのだが、「鳩サブレー」でなければ嫌だという。

さて、平熱日記展も友人知人がぽつりぽつりと足を運んでくれて、無事に終えることができた。その中にある同級生がギャラリーを訪ねてきてくれた。

今思えば、私の通った大学には後に頭角を現す才能豊かなやからがうろうろしていて、この男も当時からオーラを放っていた1人だ。今も、越後妻有(えちごつまり)のトリエンナーレをはじめ、野外を舞台に作家として実にエネルギッシュに活動しているのだが、男気のあるロマンチストで人望も厚い。

そんな彼がわざわざ私のちっぽけな作品を見に来てくれるのには、正直ちと気が引けたが、今年でギャラリーが閉まることもあり、遠路はるばるやって来るという。

母校「大浦食堂」の「扉」

ところが、現れた彼の手には白いギブスが。にぎわうカフェでパスタをほおばりながら、彼は近況を報告。90を超えたご両親の面倒をみていること。これから高校に入る息子さんのこと。道の真ん中に立っていた標識に単車で突っ込んで骨折したこと。次の作品に意欲を燃やしていること。大変なことも楽しいことも淡々と語る彼。話を聞くうちに、痛々しいはずのギブス姿がなぜかたくましく思えてくる。

そんな彼がこのエッセイを毎回楽しみしているという。また私の作品に興味を持ってくれたのがうれしかった。中でも「扉」という作品が気に入ったと言う。それは我が家の玄関の扉を描いた絵なのだが、30年近く前に美術館建設のために取り壊された母校・東京芸大の「大浦食堂」の扉をもらい受けて、我が家に取り付けたものだ。

その後も美術館内で営業を続けていた大浦食堂は学生や教官に愛されていたのだが、多分コロナ禍の影響もあったのだろう、今年、その長い歴史に幕を下ろした。豆腐のバター炒め丼、通称バタ丼という名物があって、彼はいよいよ営業が終了すると聞いてわざわざ食べに行ったらしい(私達夫婦の結婚パーティーもここで開いた)。そんな思いを募らせながら、彼はこの絵を見ていたのだろう。

「おやじたちの晩飯作りに帰らなきゃ!」と言って、名残惜しそうに彼は家路についた。後日、「扉」の作品を彼に送ってやった。宛先の住所は鎌倉。実は彼は生粋の鎌倉人。「お代は鳩サブレーで!」という手紙を添えた。(画家)

車いす席への配慮を実地見分 筑波大吹奏楽団 定期演奏会

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演奏会での車いす席=12日、ノバホール

筑波大学吹奏楽団が定期演奏会における車いす席への配慮を模索している。一般席とは別に車いす席のチケットもインターネットから購入できるようにし、車いす席の隣には介助者席も設ける形で12日、今年2回目の定期演奏会を開いた。車いす利用者である記者も演奏会場を訪れ、団長で数学類3年の小林萌愛さん(21)と副団長で障害科学類3年の宮田桃佳さん(21)から話を聞いた。新たな課題も見え隠れしている。

介助者と隣り合わせの社会距離

楽団では毎年2回、ノバホール(つくば市吾妻)で定期演奏会を開催しているが、コロナ前は障害者への配慮は特に考えていなかった。今年6月、初めて感染対策をしながらの演奏会を準備する中で、一般席と同様に車いす席周辺も1席ずつ間隔を空けるべきではという議論が上がり、楽団内で車いす席の扱いを考え始めた。これまでは特段、車いす席用のチケットを販売していなかったが、「車いす席は会場に4席しかないため、一般席とは分けてチケットを販売する必要があるのでは」と気づき、チケット販売サイトで一般席か車いす席かを選択できるようにした。

議論を進めていた中、宮田さんが「車いす席の隣は介助者が座ることを前提に考えたらどうか」と提案した。宮田さんは週2回、アルバイトで記者の介助をしている。

記者は外出時、常に介助者を同伴しているが、コロナ禍になってから、映画館などで車いす席を予約すると、介助者とは1席分空けて座ることを求められ、上映中に、姿勢を直したり、パンフレットを見る動作を介助者に手伝ってもらうことが難しかった経験がある。介助者はすぐ隣に座った方が演奏会中も気軽に介助を受けられ、演奏会に集中できると考え、宮田さんに相談した。

楽団では当初、観客が隣り合って座らないための張り紙を、車いす席の隣席にもする予定だった。しかし、宮田さんからの提案を受け、車いす席の隣には介助者が座る前提にし、その周囲の客席をどう割り当てたら他の観客とソーシャルディスタンスを保てるか考えた。客席は全て自由席だったが、一般の観客は車いす席の隣には座らないように、介助者席だと分かる張り紙をした。さらに受付から車いす席までの誘導経路も確認した。

多様な障害者への配慮

今年6月と12月に開催した演奏会では、いずれも4つある車いす席は完売した。宮田さんは第86回となる12日の定期演奏会に記者を誘ってくれた。

車いす席の隣に介助者が座れるようにした=同

今回の演奏会で車いす席を購入した40代男性に話を聞くと、「私は歩くことは可能だが、階段の上り下りは大変。今回、車いす席の隣に介助者席もあると聞き、私は介助者同伴ではないが、車いす席の隣席に座ることができれば、階段を使わずに席まで行けると思い、車いす席を購入した」という。

小林さんは「今まであまり障害について学んだことがなく、車いす席の必要性までは考えられても、介助者を同伴する障害者の存在など知らないことが多く、もっと普段から問題意識を持つ必要があると気づいた」と話す。

宮田さんは「大学で障害について学んでいるが、今まで車いす席のことをあまり考えていなかった。しかし、私から楽団に提案すると、チケット担当や当日の受付担当など、団員それぞれの役割の中でできることを考えてもらえた。準備段階から車いす席の存在を考慮に入れておけば、多くの人が参加しやすい環境にできることに気づいた」と振り返る。

宮田さんは今年度で楽団を引退する予定。「車いす席の配慮は後輩に継承してもらいたい。今後は、車いす席だけでなく、長時間着席することが難しい人など、多様な障害を持つ人への配慮も考えていければ」と楽団に期待する。(川端舞)

入管法改正案再提出の動きに危機感 「牛久の会」が活動報告

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活動報告会後半に演じられたクルドの子どもたちによる「クルドっこ劇」=つくば市吾妻

牛久市にある東日本入国管理センター(牛久入管)に収容される外国人を支援する、牛久入管収容問題を考える会(牛久の会)が12日、つくばイノベーションプラザ(つくば市吾妻)で年次活動報告会を開き、入管や入管法の問題点について議論した。難民など外国人の収容や送還のルールを見直す出入国管理法改正案はことし5月、国会で廃案となったが、再提出の動きが与党内で広がっていることに危機感を募らせた。

長期収容問題、入管法改正案の問題点

入管法改正案は、送還を拒否するなどした外国人が入管施設に長期収容される問題に対して、外国人の在留管理を厳格化するものだ。長期収容される外国人には、母国での迫害を理由に難民申請をする人がいる。改正案では、難民認定申請を事実上2回までに制限し、それを超える場合、手続き中でも送還が可能になる。また、退去命令に従わない際の罰則を設けるなど、人権上の問題を含んでいるとし、国連はじめ国際機関から批判が相次いだ。

活動報告をする田中喜美子代表=同

会の冒頭で代表の田中喜美子さんは、今年は仮放免により、全国的に入管に収容される外国人の数が大幅に減少しているものの、コロナ禍による三密回避のための一時的なものである可能性が高いとし、依然、牛久入管には最長7年におよび収容されている難民申請者がいることも含め、入管収容問題の根本的な解決には至っていないと述べた。

外国人支援に取り組む伊藤しのぶ弁護士は記念講演で、入管法改正案で問題視された難民認定制度の是正の必要性を指摘した。日本における極端に少ない難民認定数を踏まえた上で、難民申請者が強制的に母国に送還されること、退去命令に従わない人に罰則を設けることは、難民を送還してはならないという国際法に反するものだとした。

また、現在の収容長期化の要因として、収容に司法審査がないことが入管の恣意的な収容を可能にしていると述べるとともに、問題解決には、外国人を取り巻く環境の総合的な改善が欠かせないことであり、若い世代を含めたより多くの人々との問題意識の共有が必要だと呼びかけた。

入管では、2019年に大村入管(長崎県)で餓死したナイジェリア人男性、2021年3月に適切な医療行為を提供せずに死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんなど、入管職員による収容者への暴力や差別が問題化している。また、長期収容問題に関しては、昨年8月、牛久入管に長期収容された難民申請中の外国籍男性2人に対して、国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会は恣意的拘禁に該当するとし、自由権規約9条等に違反するという意見書を採択している。(柴田大輔)

私の「生き字引」竹内さん逝く 《邑から日本を見る》101

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竹内さんの著作の一部

【コラム・先﨑千尋】図書館学の泰斗、竹内悊(さとる)さんが10月に93歳で亡くなったという知らせが届いた。私の生き字引。それこそ「困った時の竹内さん」だった。

竹内さんは米国のフロリダ州立図書館学大学院やピッツバーグ大学図書館情報学大学院で学び、1987年につくば市の図書館情報大学(現筑波大学)副学長に就任した。古今東西の図書館に関する情報に精通し、2001年から2005年まで日本図書館協会理事長を務めた。

図書館に関する著作も『図書館のめざすもの』(編・訳、日本図書館協会)、『図書館のこと、保存のこと』(共著、けやき出版)などがあり、一昨年にはその集大成として『生きるための図書館』(岩波新書)を出版した。

私が瓜連町長の時、小学校を木造で建て替えたが、その際に図書室を理想の姿にしたいと考え、谷貝忍水海道市立図書館長(当時)、寺田章阿見町立図書館長(同)らと一緒に、竹内さんにも相談に乗ってもらった。もう30年も前のことだ。それ以来、竹内さんから、図書館とは何か、図書館をどう活用すればいいのかなどを教えてもらった。

それまでの私は、本は買うもの、資料は集めるものと考え、図書館の利用は、新聞雑誌を見たり小説を借りたりする程度だった。

しかし、自分で郷土茨城の人や事績を書くには図書館を使わざるを得ない。『ほしいも百年百話』『前島平と七人組』(いずれも茨城新聞社)を書くために、ひたちなか市や常陸太田市の図書館に行ったが、それこそ何もない。静岡県内の図書館や鹿児島県枕崎市、函館市の図書館から多くの情報を得た。

「本は人の感覚と思考と行動の記録」

大部分の郷土資料を閉架にして利用者に見せない水戸市立中央図書館とのバトルの時には、竹内さんに「これからの図書館はどうあるべきか、図書館にとって最も大事な仕事はレファレンス」などのことを教えてもらった。その時、幕末から明治にかけて『大日本史』編さんなどに関わった栗田寛の残した麗澤館文庫は現在どうなっているのか、という宿題をいただいた。

県立歴史館、茨城大学図書館、水戸市立図書館などで調べてもらったが、分からずじまい。結局、那珂市立図書館員から「戦前の火事で焼失した」と連絡があり、一件落着した。

わが家にある戦前の右翼の思想家権藤成卿(ごんどう・せいきょう)の扁額の文字と意味がずっと分からなかった。水戸学の大家などに聞いたが、最後は竹内さん。一発で内容が分かった。竹内さんは中国の古典にまで通じていた。

若いころ、図書館は水戸市にしかなかった。しかし今では、どこの市町村にもある身近な存在だ。自分で必要な本をすべて買う経済的余裕はないし、またその必要もない。近くの図書館を利用、活用する。国立国会図書館の文献も地元の図書館で見られるし、コピーもできる。他の市町村の図書も地元の図書館で借りられる。分からないことは調べてもらえる。インターネットで問い合わせもできる。

竹内さんは、最後の著書に添えて「図書館とは人が生きる上で一体なんなのだろうと考え続けてきた結果、本は、人の感覚と思考と行動の記録。人が生きていく上で大きな働きを持つ。多彩な本と人の多様な要求をつなぐために図書館があると考えるようになった」と私に書き送ってくれた。

竹内さんは私に「これからは人に頼るな。自分で道を切り拓(ひら)け」と呼びかけている気がする。「ありがとうございました。そしてさようなら」。竹内さんへの最後の手紙になる。(元瓜連町長)

全国行脚の「ヒコーキ写真」 つくばで飯田淳一さん個展

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飯田淳一さん=つくば市民ギャラリー

アマチュア写真家、飯田淳一さんの個展「ヒコーキ写真に魅せられて2021」が19日まで、つくば市吾妻のつくば市民ギャラリーで開催中だ。空港周辺の風景や気象現象などの中に飛行機を置いた情景的な写真がテーマで、北海道から沖縄まで全国を撮り歩いた16万点の中から約60点を選んで展示している。

情景的なヒコーキ写真の魅力について飯田さんは「飛行機の哀愁を感じる。着陸や飛び立つところなどを周りの風景とからめ、その空港らしさを開拓したい。自分がプロの写真を見ていいなと思ったのと同じように、自分の写真を誰かにいいなと思ってもらえたらうれしい」と話す。

中学生のとき写真を始め、キャリアは36年。風景や鉄道、自動車レースのラリーなどを撮っていたが4年前から飛行機に魅了された。羽田や成田から始まり今では年に数回、遠征してレンタカーなどで現地を数日間回る。「飛行機は簡単に撮らせてくれない。風向きや機体の重量でも飛ぶコースや高さが変わってしまったり、待って待ってやっと来たと思ったら太陽が隠れたりなど、狙った通りに撮れない難しさがある」

コロナ禍にシャッターチャンスも減便

昨年からはコロナ禍の影響も大きい。「旅客便が激減し、貨物便ばかりの時期もあった。成田でも以前は5分に1本とか山手線並みに来ていたのが、今は1時間に数本程度になってしまった」

そのような中で撮れた会心の一枚もある。今年11月、沖縄県の宮古列島にある下地島空港での写真だ。滑走路に向かう飛行機を、サンゴ礁に伸びる赤い進入灯とエメラルドグリーンの海面にからめて撮ることができた。

飯田さんの作品、下地島空港に降りるボーイング737型機

地元からは今年10月、今年度の茨城空港フォトコンテストで優秀賞を獲得した作品。これもコロナ禍で便数が少ない中、珍しいチャーター便が夕方に上空を旋回し、茨城空港へ向かうところをとらえた。「筑波山と霞ケ浦を入れたいと思い、フライトレーダーでルートを調べ、グーグルマップで目星を付け、現地を回ってポイントを決めた。初めての場所でどう飛んでくるか予想がつかず一発勝負。意外と高度があったが雲の色や形も良く、締まった写真になった」

同、霞ケ浦上空を行くエンブラエルE175型機

今後は国内の未開拓の空港や、同じ場所でも季節や時候などを変えながら回ってみたいという。飯田さんは土浦市出身(土浦三中、常総学院高)、つくば市竹園在住。専門学校を卒業後、電子機器の工場勤務を経て昨年独立し、ハウスクリーニング専門店「おそうじ革命茨城つくば竹園店」を経営。顧客も写真や飛行機が好きな人が多いそうだ。個人のインスタグラムはiidacchi777。(池田充雄)

◆飯田淳一写真展「ヒコーキ写真に魅せられて2021」
12月11日~19日(日)午前9時30分~午後4時30分(最終日は午後3時まで)、つくば市民ギャラリー(つくば市吾妻2-7-5)。入場無料。会場ではオリジナルカレンダーも販売中

太陽フレアの情報③ 《食う寝る宇宙》99

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【コラム・玉置晋】10月29日発生した大規模太陽フレアに関する情報は、SNS上でちょっとした騒ぎになり、夕方のテレビニュースでも放映されました。この太陽フレアにより発せられたガスの塊「コロナ質量放出(CME)」は地球の南方を通過し、地球周辺に影響はほとんどありませんでした。しかし、そのころ、太陽では新たな太陽フレアが発生しました。[以下時間表記はUT(世界時)]

2発の太陽フレアはそれぞれ地球方向にCMEを放っていました。11月1日10時58分:中規模太陽フレア発生。11月2日10時52分:中規模太陽フレア発生。日欧米の研究機関も、数日後に強い磁気嵐が発生するとの予報を出していました。地球から150万キロの距離にある監視衛星がCMEの到来を検知したのは、11月4日4時半ごろです。

一般的には、大きな速度のCMEが南向き磁場をもってと到来すると、大きな磁気嵐を引き起す傾向にあります。3日未満での到来は予報よりも早く、速度の異なる2発のCMEは地球に向かう過程で玉突き事故を起こしたために、早い到来となった可能性があります。

この件については、研究サイドの成果を待っているところです。そして、11月4日6時ごろから11月5日0時ごろにかけて、強い磁気嵐が発生しました。2015年3月にも似たようなイベントがあって、大きな磁気嵐を発生させたことがありました。だから、複数のCMEが発生した場合は注意が必要なのです。

宇宙天気情報の拡散は報道に依存

一撃目の太陽フレアの影響がほとんどなかったことから、人々の関心は薄れてしまったのか、新たな2発の太陽フレアの話題は、日本語の報道、SNS上ではほとんどありませんでした。そして、磁気嵐が強まったのが、日本では昼間であったこともポイントです。

そのころ欧米は夜。普段はオーロラが見えない地域でも、オーロラが見えたという話題が英語圏のSNSに出ていました。北海道と地理緯度が同じ米国カリフォルニア州サクラメントからも、赤色のオーロラがみえたそうです。今回は社会インフラへの影響は聞こえてきませんでしたが、過去の例からみると、あと一段階上のレベルになると、影響の兆候が見えはじめます。

この場合、オーロラが出た時点で社会インフラには影響が出てきていますので、現状の宇宙天気情報の扱いはちょっと危ういなと感じています。

今回の太陽フレアで分かったことは、情報の伝達は現象の社会に与える大きさ・リスクではなく、情報発信力の大きな報道担当者に依存していることが分かりました。一撃目の太陽フレアでは大手メディアがネット上で記事を発信したことで、SNS上に一気に情報が拡散しました。

このことから、宇宙天気情報を適切に社会に発信するためには、報道機関の中に宇宙天気に精通した人材が増えることが重要だと思いました。(宇宙天気防災研究者)