金曜日, 12月 9, 2022
ホーム つくば 車いす席への配慮を実地見分 筑波大吹奏楽団 定期演奏会

車いす席への配慮を実地見分 筑波大吹奏楽団 定期演奏会

筑波大学吹奏楽団が定期演奏会における車いす席への配慮を模索している。一般席とは別に車いす席のチケットもインターネットから購入できるようにし、車いす席の隣には介助者席も設ける形で12日、今年2回目の定期演奏会を開いた。車いす利用者である記者も演奏会場を訪れ、団長で数学類3年の小林萌愛さん(21)と副団長で障害科学類3年の宮田桃佳さん(21)から話を聞いた。新たな課題も見え隠れしている。

介助者と隣り合わせの社会距離

楽団では毎年2回、ノバホール(つくば市吾妻)で定期演奏会を開催しているが、コロナ前は障害者への配慮は特に考えていなかった。今年6月、初めて感染対策をしながらの演奏会を準備する中で、一般席と同様に車いす席周辺も1席ずつ間隔を空けるべきではという議論が上がり、楽団内で車いす席の扱いを考え始めた。これまでは特段、車いす席用のチケットを販売していなかったが、「車いす席は会場に4席しかないため、一般席とは分けてチケットを販売する必要があるのでは」と気づき、チケット販売サイトで一般席か車いす席かを選択できるようにした。

議論を進めていた中、宮田さんが「車いす席の隣は介助者が座ることを前提に考えたらどうか」と提案した。宮田さんは週2回、アルバイトで記者の介助をしている。

記者は外出時、常に介助者を同伴しているが、コロナ禍になってから、映画館などで車いす席を予約すると、介助者とは1席分空けて座ることを求められ、上映中に、姿勢を直したり、パンフレットを見る動作を介助者に手伝ってもらうことが難しかった経験がある。介助者はすぐ隣に座った方が演奏会中も気軽に介助を受けられ、演奏会に集中できると考え、宮田さんに相談した。

楽団では当初、観客が隣り合って座らないための張り紙を、車いす席の隣席にもする予定だった。しかし、宮田さんからの提案を受け、車いす席の隣には介助者が座る前提にし、その周囲の客席をどう割り当てたら他の観客とソーシャルディスタンスを保てるか考えた。客席は全て自由席だったが、一般の観客は車いす席の隣には座らないように、介助者席だと分かる張り紙をした。さらに受付から車いす席までの誘導経路も確認した。

多様な障害者への配慮

今年6月と12月に開催した演奏会では、いずれも4つある車いす席は完売した。宮田さんは第86回となる12日の定期演奏会に記者を誘ってくれた。

車いす席の隣に介助者が座れるようにした=同

今回の演奏会で車いす席を購入した40代男性に話を聞くと、「私は歩くことは可能だが、階段の上り下りは大変。今回、車いす席の隣に介助者席もあると聞き、私は介助者同伴ではないが、車いす席の隣席に座ることができれば、階段を使わずに席まで行けると思い、車いす席を購入した」という。

小林さんは「今まであまり障害について学んだことがなく、車いす席の必要性までは考えられても、介助者を同伴する障害者の存在など知らないことが多く、もっと普段から問題意識を持つ必要があると気づいた」と話す。

宮田さんは「大学で障害について学んでいるが、今まで車いす席のことをあまり考えていなかった。しかし、私から楽団に提案すると、チケット担当や当日の受付担当など、団員それぞれの役割の中でできることを考えてもらえた。準備段階から車いす席の存在を考慮に入れておけば、多くの人が参加しやすい環境にできることに気づいた」と振り返る。

宮田さんは今年度で楽団を引退する予定。「車いす席の配慮は後輩に継承してもらいたい。今後は、車いす席だけでなく、長時間着席することが難しい人など、多様な障害を持つ人への配慮も考えていければ」と楽団に期待する。(川端舞)

1コメント

特定候補や特定政党等をおとしめたり誹謗中傷するコメントは公選法や刑法に抵触する恐れがあり、削除します。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

無償譲渡受け市管理も選択肢の一つ 洞峰公園問題でつくば市長

つくば市長定例会見が8日開かれ、同市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)にグランピング施設をつくるなどのパークPFI事業について、五十嵐立青市長は「グランピング施設とバーベキュー施設は望ましくないという考えに変わりはない」と述べ、県から無償で公園の譲渡を受け市が管理することも選択肢の一つだとする考えを述べた。 洞峰公園のパークPFI事業をめぐっては、大井川和彦知事が1日の定例会見で、年明けにもグランピング施設などの建設許可の事前協議を開始したいと発言し、さらに、つくば市が自ら管理するのであれば洞峰公園を無償で市に移管したいなどと述べている(12月2日付)。8日の市長会見では、知事発言について記者から質問が出て、五十嵐市長が答えた。 一方で五十嵐市長は、無償譲渡について「簡単に『はい』と言えるものではない」とも述べ「(市として維持管理費などを)精査しているわけではないので、そもそも維持管理費がいくらかかるか分からない。市の他の公園規模と比べてどうかなど、検討するにしても細かい情報は必要になる。無償移管を検討するのであれば(県から)細かいデータをいただかないと市民にも議会にも説明できないし、今の段階で何をどうするかはまだまだ分からない」とも話した。 県は8月の説明会などで、洞峰公園の維持管理費用として、指定管理料が年約1億5000万円、来年度から2027年度までの大規模修繕費用として3億5600万円かかるとしている。 五十嵐市長はさらに、プールやテニスコートなどの利用料金値上げ要望に対し、大井川知事が1日の会見で「利用者の中の一部にだけ負担を押し付けるやり方でバランスが非常に悪い」と否定し、さらに協議会設置要望についても「協議会の位置付けや性格が不透明」だと市の要望をいずれも否定したことについて、「値上げ案は県が当初より代替案として示していたもの。そういう代替案に対して『バランスが悪い案だ』というのは、いささかとまどっている」と不快感を示し、さらに「(県は)『協議会の必要性が分からない』という話だが、(協議会は)話し合っていく素地を作るためには必要なものと思っている」と反論した。 その上で五十嵐市長は「つくば市への回答をちゃんと文書で示していただいた方が、お互いのミスコミュニケーションはないと思っている。はっきりと県の方向性が決まったら文書でお示しいただいて、それをもとに県と協議していきたい。協議が整わない中で(グランピング施設建設の事前協議が)申請されることはないと思っている」と改めて述べた。

「5時に夢中」の岩下さんの見せる「文化」《遊民通信》54

【コラム・田口哲郎】 前略 東京メトロポリタンテレビジョンの月~金曜日夕方5時からの番組「5時に夢中」を楽しく視聴していることは、以前書きました。「5時に夢中」は東京ローカルのワイドショーという感じですが、コメンテーターが多彩で、サブカルチャーの殿堂のようです。 私が好きなのは、木曜日の中瀬ゆかりさんと火曜日の岩下尚史さんです。中瀬さんは新潮社出版部部長で、文壇のこぼれ話を巧みな話術で披露して笑わせてくれます。岩下さんは新橋演舞場勤務から作家になった方で、東京のいわゆるハイ・カルチャーをよくご存じの方で、こちらも話術が巧みで笑わせてくれますが、ひとつひとつのお話に含蓄があるというか、うなずくことが多いです。 岩下さんの小説『見出された恋 「金閣寺」への船出』の文体は流麗で、引き込まれます。岩下さんは國學院大学ご出身ですが、國學院の偉大な民俗学者にして作家の折口信夫の小説『死者の書』などの文体を思わせる傑作だと思います。 さて、岩下さんのインスタグラムの話題が出ていて、美食家としての一面が見られるというので、見てみました。岩下さんらしい、ハイソな生活を垣間見られるのでおすすめです。シティ・ホテルでのパーティーや会食、料亭とおぼしきところでの高級料理など、きらびやかな世界が広がっています。

TX県内延伸に賛成?反対?【県議選’22つくば候補者アンケート】3

県議選候補者アンケート最終回は、つくばエクスプレス(TX)県内延伸構想の是非と、旧統一教会と接点をもったことはあるかについて、つくば市区の立候補者8人に聞いた。 TX東京延伸については11月25日、東京都が「都心部・臨海地域地下鉄構想」の事業計画案を発表。まず臨海地下鉄を単独で整備し、将来的に、TX東京延伸(秋葉原-東京)との接続や、羽田空港との接続を今後検討すると発表したばかり。 一方、県内延伸をめぐっては、県が今年度、初めて調査費を計上し、今年度中に①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案の中から1本に絞り込むと発表し、県内各地で誘致合戦が繰り広げられた。延伸に必要な事業費、需要予測、費用対効果も調査が行われている。一方つくば市は東京延伸を優先するとし、県内延伸の誘致合戦には加わらなかった。 NEWSつくばは告示前、8候補者に対し「TX県内延伸ルートを絞り込む調査費を県が計上し、県内延伸を求める運動がつくば市以外で盛り上がっています。県内延伸計画に賛成ですか、反対ですか」と質問した。賛成、反対、どちらでもないの3つのいずれかに〇を付けてもらい、50字程度で理由を書いてもらった。 各候補者の回答は以下の通り。 ▽佐々木里加氏 賛成「県内延伸には反対しないが、土浦ではなく、本来はつくばエクスプレスの名の通り筑波山を経由し県庁のある水戸へ、あるいは空の玄関茨城空港を経由し水戸へ伸ばすべき」

筑波山が初冠雪

筑波山頂に6日朝、この冬初めて雪が降り、初冠雪となった。標高877メートルの山頂付近は午前中、雲に覆われたが、雲が薄くなったところは、雪が薄く積もっているのが麓からも見えた。 山麓の住民によると、平均的な初冠雪は12月中旬頃で、例年より少し早い初冠雪となる。 昨晩、南岸低気圧が通過、冷たい空気が大陸から流れ込み、気温が低い山頂は雪になったとみられる。この気圧配置は関東地方に雪を降らす典型的なパターンだ。 つくば市館野の6日の最低気温は11月下旬並みの3.1度。筑波山頂近くの御幸ケ原の気温は午前6時半時点でマイナス0.1度だった。気温は標高が100メートル上がるごとに0.6度下がるといわれており、標高877メートルの筑波山は、地上より約5度低いことになる。 南岸低気圧は2~3月によく発生し、大雪になることもある。雪の降る範囲は標高500メートル辺りまでのことが多い。「逆転層」という中腹付近の気温が高くなる独特の気象現象があるからだといわれる。(榎田智司) ◆筑波山の気象状況はライブカメラで確認することが出来る。