木曜日, 9月 10, 2026
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感覚過敏に対応 心地よく学び休める部屋 筑波大が公開

障害のある学生への修学支援組織、筑波大学(つくば市天王台)のダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター(DACセンター)が、試行運用中の「アクセシブルスタディルーム(ASルーム)」を公開した。同センターを利用する障害学生向けの学習・休憩スペースで、特に感覚過敏のある学生の使用に配慮した。多様な学生一人ひとりが自分の感覚に適した学び方、休み方を見つけられるという。

落ち着きと集中に配慮した2室

大きな音やまぶしい光、人混みなどが苦手な人にも安心して過ごせる環境を提供する「センサリールーム」の取り組みが国内外で始まっている。ASルームも、聴覚や視覚など感覚過敏のある人が落ち着いて快適に過ごせるよう企画・設計された。「アクセシブル」は近寄りやすさ、利用しやすさをいう。海外の大学で導入され、日本でもサッカースタジアムへの導入例などあるが、国内の大学では初めての設置、運用となった。

一人用の学習・休憩スペースと複数人で使用できる共同スペースの2室に分け、設けられた。個人で使用するスペースは自分の心地よさに合わせて空間をカスタマイズできる。照明の明暗や赤、青、緑など部屋の色調は調整可能だ。天井に設置されている無線通信のスピーカーから音楽や作業用BGMなど、自分がストレスに感じない音を流すことも出来る。

泡による視覚と音波の効果によって感覚を落ち着けられるバブルチューブ、狭くて暗い空間を作り出すための簡易式テントなど、落ち着いたり集中するための様々なグッズが配置された。障害学生は1人当たり1日3時間を上限に利用できる。

感覚過敏な人との相互理解

発達障害のある学生は近年、全国的に増加しており、筑波大でも障害学生全体のうち67%にあたる110人が発達・精神障害だという(12月1日現在)。発達障害のうちの一つが自閉スペクトラム症で、その69%~95%には感覚過敏という特性があるという。

感覚過敏は個人差が大きく、体調や不安の程度によっても変動することがある。しかし、大学の環境は感覚過敏の学生らに十分に対応しているとは言い難く、これまでは耳栓などの器具の利用許可を得るなど障害学生側が工夫する対策に留まっていた。さらにコロナ禍の昨今、オンライン授業により「目が疲れる」「集中力が続かない」と訴える障害学生は、発達障害に限らず全国的に増えている。

筑波大では2019年12月に、ASルームの企画・運営のため、教員・学生の共同プロジェクトチームがスタート、当事者目線での意見を共有するために障害学生も参画した。書店や図書館では周囲の目が気になってしまうという障害学生の指摘を受け、発達障害に関する書籍やリラックスするためのグッズを置いたり、注意が逸れないよう本棚に目隠し用のカーテンをつけるなど、意見の反映を図った。

バブルチューブをはさんでルームの説明をする小山慎一教授(左)と佐々木准教授

8月の試行運用開始から障害学生16人が利用登録し、利用者からは「ルームでは靴を脱いでカーペットに座ったり、自分にあった聞き方で受講できるのが良かった」という声が上がった。

今回の公開を機に試行運用期間による利用学生の限定も拡大していく予定という。活用事例の蓄積による他大学や社会への情報発信、持ち運び可能な簡易型、貸出型のセンサリールームの検討も視野に入れ運用していく方針だ。

芸術系の小山慎一教授は、コロナ禍のマスク着用で感覚過敏の人々が感じている困難を例に「感覚過敏な人とそうでない人の相互理解が進むと良い」と語った。人間系の佐々木銀河准教授は「感覚過敏は外からは誰も分からないし、本人自身も気付いていないかもしれない」と述べ、ASルームが障害学生自らの感覚特性を知るための機能を担っていると位置づけた。(渡辺陽)

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