火曜日, 12月 30, 2025
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軽症は自宅療養を 知事 新コロナで発熱外来や救急医療ひっ迫

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

新型コロナの感染が拡大していることから、大井川和彦知事は5日、軽症の場合は、症状が出てもすぐに発熱外来を受診しないで、自宅での療養に努めてほしいと呼び掛けた。重症化する恐れがある①65歳以上②基礎疾患がある人③妊娠している人④4日以上症状が続く人は、状況に応じて、すぐ入院なり医療機関を受診する必要があるとした。

感染拡大により多くの医療従事者が感染し、発熱外来や救急医療が非常にひっ迫しているため。医療機関に余計な負担をかけないため、無症状者は発熱外来でなく、薬局で無料の抗原検査を利用してほしい、事業所は従業員に対して、陽性・陰性証明を求めないでほしいとした。

さらに県内の感染者数は延べ20万人に達し、だれが感染してもおかしくないことから、自宅療養に備えて食料品、生理用品、日用品、薬などをある程度備えておくことが重要だとした。

入院患者は想定下回る

今回の第7波については、新規陽性者のうち入院を要する患者の割合は第6波より低下し、7月31日時点で、60歳以上の入院率は9.6%(第6波は15.4%)、60歳未満は0.7%(同0.8%)、全体では1.8%(同2.4%)となっている。

県はコロナ病床の確保について、8月上旬にピークを迎え600床以下で収まるケースと、8月中下旬でピークを900床を超える病床が必要になるケースを想定し、800床から900床を確保しているが、5日時点の実績は475床と想定を下回っている。

つくば市の新規陽性者数は5日時点で539人、土浦市は195人、県全体は4833人。年代別では県全体で40代が多く、次いで30代、20代、10歳未満となっている。県内の病床稼働率は59.3%、そのうち重症病床稼働率は11.2%。入院患者の年代別は80代が最も多く、次いで79代、90代、60代の順。

県は7月22日に、対策の判断基準を「感染が拡大している状態」のステージ3に引き上げたが、行動制限は行っていない。

県は救急車を呼ぶべきかに迷ったときは電話相談を呼び掛けている。コロナ疑いの電話相談は、県新型コロナ受診・相談センター(電話029-301-3200、午前8時30分~午後10時、土日祝日も相談可)、それ以外は県救急電話相談(電話は大人#7119、15歳未満は#8000、24時間365日対応)。

なんでひどいことをするの? 《続・気軽にSOS》114

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【コラム・浅井和幸】人(Bさん)との行き違いで傷つき、相談に来られる方(Aさん)がいます。Aさんは、Bさんのこれまでの言動の説明をして、「こんなひどいことが人としてできるはずがない。どうしてBさんは、こんなことをするのか?」という質問をします。

無知で世間知らずの私は、「Bさんの行動理由で考えられるのは、〇〇と〇〇。環境的にこのようなことがあるとか、Aさんとのコミュニケーションのパターンから、〇〇も考えられますね」と、想像できるBさんの言動の理由をお伝えします。

Aさんと私の関係性がそれほどではない場合、こういったBさんが取る行動の理由の説明について、かなり高い確率で、Aさんは憤慨されます。「悪いやつ」に行動理由などはなく、悪い人間だから、ひどいことができるというのが、一般的な考え方です。こういった説明をすると、「理由があれば悪いことをしてもよいのか」と思ってしまうものです。

「悪い人間の気持ちなんて理解したくない」という言葉に、違和感を覚える人は少ないでしょう。理解すべきは「良い人間」の気持ちであって、「悪い人間」の気持ちなど理解してはいけないと考える人も多くいるはずです。敵と思われる人の理由なんて知りたくないもので、必要なのは「良い人間である自分」を受け入れてくれる人となります。

問題解決は、解決していない今の所とは別の所に行くことです。別の所に行くことは、また、別のストレスがあるかもしれないという不安が生じます。実際に、今よりも良い所に移ることはストレスになるものです(うれしいと感じていても、昇進やマイホーム購入も大きなストレスになります)。

苦しく、余裕がないときは、自分自身が動くのではなく、「悪いもの」を除くことを、意識的、無意識的に考えます。もっと緊急性を感じるときは、その場から逃げる可能性も増えますが、「いっぱいいっぱい」で、自分の変化は受け入れられないし、今持っているものも手放したくないというのは当たり前の感覚ですよね。

疑問を解決したいのか、同意を求めているのか

さて、冒頭の「どうして、ひどいことができるのか?」ですが、この言葉だけを見れば、これは明らかに質問です。しかし、この質問の目的が疑問の解決なのか、同意を求めているのかで、対応を変える必要があります。

しかも、この質問は無意識で、Aさん自身も自覚がない場合もあります。なので、Aさん自身が、相手の行動理由を知りたいと意識していても、無意識で知りたくないと葛藤状態のときは、不用意に回答してしまうと、Aさんをより孤独の状況に追い詰めてしまうので、要注意です。

ストレスが大きすぎる場合は、固まった状態で心身の回復が必要です。今まで「Aさんにとって最適、最高の言動をとってきた」ことと、「とりあえずは問題解決をしない」ことを支援者は頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。Aさんに余裕が出てきたら、別の方法を試してみるぐらいの気持ちで、解決策を探る余裕が支援者には求められます。(精神保健福祉士)

入り口はスマホアプリ「つくスマ」【スーパーシティって何@つくば】3

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スマホアプリ「つくスマ」の画面

今年4月、つくば市役所のお知らせを発信する無料のスマートフォンアプリ「つくスマ(つくばスマートシティアプリ)」の配信が開始された。住んでいる地区、年代、家族構成などを登録し、個々人の登録内容に基づいて適切な情報を通知するというアプリだ。

市スマートシティ戦略課によると、7月25日時点の登録者は市人口の3%の約8400件。つくスマ同様、自動的に市役所等のお知らせを配信するプッシュ通知型のアプリは、守谷市、福島県会津若松市、東京都渋谷区や港区などですでに導入されている。他自治体のダウンロード数は数%か15%程度だが、つくば市は2024年度に20%を目指すという。

市議会6月議会一般質問では、せっかく機能があるなら、年代、性別、家族構成、住まい等、登録者の属性に応じて配信する内容を変えてはどうかという質問があり、五十嵐立青市長も前向きな答弁をした。

しかしまだ、市長の答弁通りとはいかないようだ。市スマートシティ戦略課は「つくスマのプッシュ通知は現在、部署ごとに配信している」とし、登録者の属性に応じて配信内容を変えているかについては「実際にそのような運用をしているかまでは把握してない。導入初期段階でもあるため、あまり条件を絞り過ぎると配信対象者数が少なくなるため、あらかじめ配信対象者数を確認の上、配信するようにしている」とする。

現在の配信本数は「職員がまだ慣れてないこともあり平均的な件数を挙げることはできないが、最近では多い時は1日5本程度」と同課。

さまざまなサービスを連動

つくスマは、単に行政情報を通知するだけににとどまらない。スーパーシティ構想では、さまざまなサービスをつくスマに連動させ、将来さまざまなサービスを、「つくスマ」を起点に市民が利用できるようになることを目指している。市民にとってはスーパーシティの入り口の扉が「つくスマ」になる。インターネット投票も「つくスマ」から行えるようにする。

アプリは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)のメンバーである凸版印刷(東京都台東区)、アスコエパートナーズ(東京都港区)とつくば市の3者によるプロジェクトチームが、約1600万円で開発した。市民の利用料は無料だが、市はライセンス料としてダウンロード数にかかわらず年間500万円を凸版印刷に支払う。

マイナンバーで紐づけ

スーパーシティは、行政や企業、個人などがもつさまざまな情報を複数の分野で共有してサービスを行う。事業者にとっては本人確認、住民にとっては個人情報保護がしっかりなされているかが重要になる。つくば市の場合、本人確認をマイナンバーカードとデジタルIDによって実施する予定だ。

具体的には、本人の同意を得ることを前提に、住民異動届、医療Maas、医療・健康事業でマイナンバーの利用拡大が構想されている。例えば医療・健康事業では、企業や行政、個人などが分散して保有する診療履歴、服薬履歴、食品購入履歴、運動情報などの情報をマイナンバーで紐づけして一元的に管理し、食生活を改善したり生活習慣病を予防するサービスを展開するなどだ。昨年5月の国のヒヤリングで五十嵐立青市長は「毎回(つくスマの画面に)マイナンバーカードをかざさずに、スマホだけで利用することが可能になる」と説明する。

民間ではマイナンバーを利用しなくてもすでに様々なサービスが展開されているのに、つくば市はなぜマイナンバーを利用するのか。同課は、マイナンバーカードは本人確認がすでになされているため、一番確実であるとし、特段利用者のハードルが高いとは考えてないとする。

ただし現在の法律では、マイナンバーを利用できる分野は社会保障・税・災害対策の3分野に限定され、利用方法も罰則付きで厳しく制限されている。民間企業がマイナンバーを利用してサービスを展開することはできない。マイナンバーは国民全員に割り当てられた12ケタの背番号で、さまざまな分野に紐づけられると監視社会につながるという懸念があるからだ。

つくば市では今後、条例をつくるなど、スーパーシティのサービスでマイナンバーを利用できるよう法整備をすることが必要になる。法整備の内容や時期について同課は、今後、国家戦略特区の枠組みを活用して国と協議していく予定だが、具体的な時期は未定だとする。(鈴木宏子)

ムシたちにも過酷な夏 《くずかごの唄》113

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【コラム・奥井登美子】

「今年の夏はゴキブリが台所に出なかったの、お宅はどうですか?」

「ゴキブリ? そういえばいつもの年より少ないかなあ」

コロナで、図書館でも、スーパーでも、どこへ出かけても体温を測っているけれど、その体温よりも気温が高いなどということは今まであまりなかった。

6月末から7月初め、気温が、人間の体温よりも高い日が何日かあった。我が家の庭の山椒(さんしょ)の木に、毎年たくさんイモムシが発生するが、今年は1匹もいなかった。昆虫の世界も、酷暑で、何か変化しているらしい。

熱中症を起こして救急車で運ばれる人が、がぜん多くなってしまった。我が家では居間にクーラーがなかった。クーラーの大嫌いな亭主が許可してくれなかったのだ。しかし、今年はクーラーがないと熱中症になってしまいそうで、とうとうクーラーをつけてしまった。

何か異変が起こっている

どんぐり山の昆虫観察会は、毎年1回、10数回以上続いている。救急係の私は、2~3日前に、刺されたり、かみつかれたら困る、マムシ君とヤマカガシ君とハチなどの下調査に行く。

昨年はコロナの影響で観察会は急きょ中止になってしまった。今年はコロナの心配をしながらも、断固決行することになった。

下調査でヘビはいなかったけれど、ハチの数がいつもの年よりも少なかった。森に住む黄金虫(ゴキブリの仲間たち)も見かけなかったが、あまり深く考えなかった。

観察会の当日は、たくさんの子供たちが来てくれてうれしかった。山に入る前にムシ刺されの注意はするが、毎回、何人かの人がムシに刺されてしまう。今年はどういうわけか、刺された人が1人もいなかった。虫たちも少なくて、しかも、何か元気がなかった。

憧れの国蝶(ちょう)オオムラサキもいなかった。人間は虫たちにも無視されてしまった。酷暑の地獄。人間の世界にも、虫の世界にも、何か異変が起こっている。(随筆家、薬剤師)

原告住民21人が控訴 常総水害訴訟

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控訴状提出後、記者会見する(左から)住民側の五來則男弁護士と原告団共同代表の片倉一美さん=水戸市大町、茨城県弁護士会館新館

2015年9月の鬼怒川水害で、住民が甚大な浸水被害に遭ったのは国交省の河川管理に落ち度があったためだとして常総市などの住民が国を相手取って損害賠償を求めた裁判で、原告住民21人が4日、一審の水戸地裁判決を不服として、控訴した。

7月22日に水戸地裁で出された一審判決(7月22日付)は、常総市若宮戸地区の鬼怒川河川敷で、砂丘林による自然堤防が掘削され太陽光発電パネルが設置された場所から水があふれ出たことに対し、国が砂丘林を河川区域に指定することを怠ったのは、国の河川管理の落ち度だと認定し、住民側の主張を認め、同地区住民10人の家屋や家財などの被害に対し約3900万円の損害賠償を認めた。

一方、堤防が決壊した下流の同市上三坂地区については、堤防の高さが他地区に比べて低かったことは認めたものの、他地区に優先して堤防を改修しなかったことは、国の改修計画が格別不合理だとはいえないなどとして、国の落ち度を認めず、住民22人の損害賠償を認めなかった。

4日は、原告住民32人のうち21人が、約2億3300万円の損害賠償を求めて控訴した。

原告団共同代表の片倉一美さん(69)は控訴状提出後、水戸市内で記者会見し「(一審は)一部勝訴だったが、国を擁護する裁判所の体質は全く変わってない。水害は現実として堤防の低いところから水が浸水して決壊する。(上三坂地区で国の落ち度を認めない理由とされた堤防の計算方法の)スライドダウンは架空の経済的評価であり、まだまだ意見を言いたい」と控訴理由を話した。さらに「原告からは、水に色が付いている訳ではないので、若宮戸からの水による被害と、上三坂の決壊による被害がそれぞれどの程度だったか分からないという声がある」とし、「市民として国民として常識的に考えておかしいでしょう、ということを訴えていきたい。水害訴訟は日本全国で起きており、国の非常識を皆で訴えることで司法の考え方が変わっていけばと思っている」と語った。

国も同日、控訴した。控訴審は東京高裁で行われる。(鈴木宏子)

吾妻70街区に近未来都市?【スーパーシティって何@つくば】2

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樹木が茂る国家公務員住宅跡地の吾妻2丁目の70街区=つくば駅近く

「ここはスーパーシティの中で、グリーンフィードという、ある意味まっさらにしてそこから新しい街を立ち上げていく実証実験の場所」ー。来年度以降、売りに出されるつくば駅近くの国家公務員宿舎跡地、吾妻2丁目の通称70(ななまる)街区(約6ヘクタール)について五十嵐立青市長は、今年4月開かれた市民説明会で参加者の質問に答え、こう説明した。

グリーンフィールは、ブラウンフィールドと並ぶ、スーパーシティの用語。グリーンフィールドはこれから新たに街をつくるまっさらな土地、ブラウンフィールドは既存の市街地などすでに建物が建っている土地をいう。グリーンフィールドにはまだ住民が住んでない。スーパーシティでは、これから新たにグリーンフィールドに入居する住民に、例えば行動履歴や購買履歴などのデータを事業者に提供したり活用することなどを入居の条件にすることにより、街全体をデジタル化できることがメリットとされている。

ドローン、自動運転車行き交う

吾妻70街区では、どのような街の姿が描かれているのか。4月の市民説明会で五十嵐市長は「市としてまだイメージ図を描いているわけではない。いろんな企業からさまざまな提案をいただいたが、詳細は企業の皆さんからまだ言わないようにと、そういう制約もあったりする」とした上で、近未来の姿をこう話す。

「70街区には住宅地もないと民間企業が参入できないので、例えばマンションや商業施設、イノベーション拠点、クリニックなどがあって、マンションに住む方は、商業施設のものはスマホで注文ができ、敷地内ならドローンでベランダまで運んでくれるというようなサービスや、このエリアの中は完全自動運転でモビリティが動いて、移動が不自由な方でも自動運転で移動していけるというようなサービスをできるだけ詰め込んでいく。例えば、健康状況とか心拍なども提供すると自分に合った食事メニューが届くなども。そういうことを複合的にやる場所にしたい。事業の採算性もあるので、その辺含めて詰めていきたい」。

1年前の2021年5月に開催された国のスーパーシティ国家戦略特区ワーキンググループのヒヤリングでも五十嵐市長は70街区について「このグリーンフィールドに入居する住民は、原則としてサービスに参加する。ショッピングエリア等も考えているが、すべてマイナンバーカード等で様々なサービス提供を受けられるようにする。当然お店にもすべてキャッシュレス対応をしてもらい、現金は扱わないでもらう。あらゆるサービスをドローンで運んでいくということもあったり、医療のサービス等も考えられる。最初から住民側にかなり高い要求というか、期待値をもっていただいて、本当にゼロからつくり上げていくような場所にしていく。そこで成功事例をつくって、市内の他のフィールドに広げていくような役割分担もしたい」と説明している。同じヒヤリングで森祐介市政策イノベーション部長(当時)は「金融機関がこの開発に強い関心というか、やる気をもっており、単なる出資とか、融資の枠組みを超えて、自ら不動産業を営むような形で運営していきたいということまでおっしゃっていただいている」とも述べる。

来年度にも売り出し

吾妻70街区については、9割の5.4ヘクタールを所有する財務省関東財務局と、残りの0.6ヘクタールを所有するつくば市が共同で昨年、民間事業者を対象にサウンディング型市場調査を実施した(21年10月26日付)。結果は、建設業者や不動産業者など7事業者からマンション、戸建て住宅、商業施設などの提案があった。つくば市が掲げるイノベーション拠点の誘導に対しては「理念より現状を正確に把握した上で市民にニーズのあるものを整備することが最優先」「行政の補助が必要」などの意見が出され、市場のニーズと市の方針に乖離(かいり)があった(22年3月22日付)。

市は今年4月と5月に市民説明会と意見募集を実施。それらを踏まえて国と協議調整し、今年度中に活用方針を検討したり、必要に応じて都市計画の変更を行う。今後については「一つのスケジュールとして来年度、二段階入札で売却をして」いくと五十嵐市長は市民説明会で述べている。

実際、どのような街になるのかは、現時点でまだ決まっていない。市スマートシティ推進課は「70街区の開発事業者は今後、土地所有者である財務省が公募で選定していく」「今後、開発事業者と相談しながら、スーパーシティで検討している先端的サービスをどのように導入できるのか相談していく」としている。

一方、市民の意向はどうか。市が今年4月下旬から5月末まで実施した意見募集には47人が回答した。市が掲げるスーパーシティの構想に賛成する意見はわずかで、「マンション開発に歯止めをかけてほしい」「緑を残してほしい」などの声が目立った。県立高校、スポーツ施設、子供の数が急増している学校施設の充実など公共施設のほか、商業施設の誘致を求める意見もあった。「駅前の一等地をスタートアップ企業やリノベーション事業の誘致に用いても、その利点が還元されるのは関係者のみで、市民にとっては何の価値もない」など厳しい意見あった。(鈴木宏子)

痛みのおはなし《ことばのおはなし》48

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【コラム・山口絹記】この1年と半年ほど、しつこい肩こりに悩まされている。「痛い」のかと問われると、痛いというよりは、重いとかだるい、という方が近い。「耐えられないほどなのか」と問われると、まぁそれほどではない。思い返せば、母はひどい肩こり持ちで、肩こりからくる頭痛で寝込んでいることもあった。そんなものに比べれば、私の肩こりなどきっと軽いものなのだろう。

とはいえ、つらいものはつらい。痛みや苦しみなどというものは、どこまでも主観的なものなので、他人の痛みと比べて自分の痛みが軽いから楽になれる、なんてことは当然ないし、自分がどれだけ苦しんでいても、それを見た他者の苦しみが軽くなることもない。だから、むやみに苦しみを訴えないようにしている。

一方で、もともと、肩こりとは無縁の人生だったこともあり、肩こりに悩む人に出会っても、「ああ、大変だなぁ」程度にしか感じてこなかった私も、すっかり共感できるようになった。なってしまった。一緒になって「つらいよね」と言い合っても、肩こりがやわらぐことはないのだけど、ふとした拍子に寄り添えるというのは、これはこれで悪いことではないように思う。まったく難しいなあ、と思う。

苦痛を正確に伝えられない

2カ月ほど前から、ついに鍼灸(しんきゅう)院に通うようになった。自分的には最後の手段、という感じである。つらさは一進一退だが、それでも毎回親身になってくれる鍼灸師さんと、痛みの原因について話し合いながら、日々の生活を改善するようになった。

それにしても、痛みをことばで伝えるというのはなんと難しいことだろう。今までも、海外生活のなかで、自分の痛みや病気などの症状を第2言語で伝えることの難しさは味わったことはある。しかし、もっともっと繊細な意味で、そもそも「重い」とか、「だるい」というのはどういうことなのかと改めて考えてみると、「重いもんは重い」「だるいと言ったらだるい」以上の説明ができなかったりするのだ。

鍼灸師さんもプロなので、自分の感じる苦痛を正確に伝えられなかったとしても、治療に大きな影響はないのだろう。それでも、なんとなく通じてないな、と感じるときに覚えるのは孤独感で、つまるところ痛みというのは自分だけのものなのだなあと、しみじみ感じ入ってしまうのだ。(言語研究者)

「次の市長選、市議選は必ずインターネット投票を」【スーパーシティって何@つくば】1

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7月10日実施された参院選の投票所の様子=つくば市役所内

つくば市が今年4月の閣議で「スーパーシティ」型国家戦略特区に指定された。7月15、16日には市内の商業施設、イーアスつくばで、市によるキックオフイベントが開かれた(7月15日付)。国に対し、つくば市がアピールした看板事業はインターネット投票だ。スーパーシティって何だろうか。

「3年後(2024年)の市長、市議会議員選挙で、必ずネット投票を導入したい」ー。2021年5月、オンラインで実施された内閣府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)のヒアリングで、五十嵐立青市長は国の委員らにこうアピールした。

国がホームページで公開している議事録によると、「昨年(2020年)市長、市議選が行われたが、投票率は過去最低の51%。20代前半が3割を切っている。70代に向かって投票率が上がっていくが、80代以上が急落して40%を割り込む。市内で高齢化率トップの地域の役員さんにいろいろ話を聞いたところ、投票所まで行けないというのが非常に多い。インターネット投票があれば助かるという声もいただいた。筑波大での調査でも約9割がネット投票を使いたいということだった」と五十嵐市長。

続けて、市内の学校の生徒会選挙で行われたインターネット投票の実証実験の実績を強調し、「スーパーシティ基本構想の住民投票でも、必ず(インターネット投票を)活用したい」とも述べる。

特区の委員は期待、総務省は難色

つくば市をスーパーシティに選んだ、内閣府国家戦略特区の専門調査会が、同市に最も期待するのもインターネット投票の実現だ。国の委員からは「このインターネット投票をぜひできるように、そうすれば非常に大きな目玉になる」(竹中平蔵慶応義塾大名誉教授)、「つくばに関してはインターネット投票、これは何とか実現しないといけない」(原英史WG座長代理)と口々に期待を語る。

ただし公選法を所管する総務省は現時点で、インターネット投票の実施を認めていない。「選挙の公正確保の観点から課題があり、選挙制度の根幹に関わる問題であるため、各党各会派における議論が必要であり、特区として実験的に行うべきものではない」という立場だ。

投票の秘密、買収や強要に懸念

投票所以外の、どんな場所からも投票できるインターネット投票に対しては、投票の秘密が守られる環境が確保できるのかや、買収や強要などの事態が横行するのではないかという懸念がある。

国の委員の高橋滋法政大学教授は解決策として「例えば公選法を改正して、条例によって、選挙事務所で投票のために端末が利用されないよう配慮する義務を選挙責任者に課すことができるようにする、かつ、選挙責任者の違反に対しては連座制を本人に適用する、そして特定の候補者について運動した者については、有権者に対してスマホやパソコンを用いた投票の動作の確認を求め、あるいは確認してはならないとする禁止規定を罰則で設ける等の提案をする、さらには、何人も有権者に対して、スマホ、パソコンを用いた投票の動作の確認を求め、確認してはならないとする規定を設ける等、柔軟な発想、対処方法を示しつつ働き掛けをすべきではないか」などとアドバイスする。

金品をばらまいて票を買うなど金権選挙の摘発が全国各地で無くならない中、買収や強要などの懸念は払しょくできるのだろうか。

つくば市の森祐介部長(当時)は6月議会の一般質問で、なりすましや強要などへの懸念に対し、「技術的に解決できるか検討する」などと答弁。市スマートシティ戦略課はその後の取材に対し、買収の懸念について「買収された本人の意思によって投票しているため、技術的に防止するのは難しい。こうした場合は、罰則を設けるなど法令で対応する方法が考えられる」とし、強要の懸念に対しては「強要は本人の意思によらずに投票を強制されているので、上書き投票(再投票)を可能とするなど技術的に解決する方法が考えられる」とする。

ただし、上書き投票を可能にするためには、1回目にだれがだれに投票したのかを判別できることが前提になる。選挙の基本原則である、だれがだれに投票したか分からないよう秘密を守るという「投票の秘密」を侵すことになってしまう。これに対し同課は「秘密投票との関係もあるので、慎重に検討していく必要がある」とする。(鈴木宏子)

「カスイチ」ショートコースを走った 《夢実行人》11

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秋元コラム

【コラム・秋元昭臣】最近、「カスイチ」(霞ケ浦一周サイクリングコース、130キロ)のショートコース(霞ケ浦大橋で横断、90キロ)を左廻りで走ってきました。午前6時、JR土浦駅に近い霞ケ浦・土浦港区域にある「りんりんポート土浦」(サイクリスト向けの駐車場や自転車メンテナンス場が整備されている)を出発。

余談ですが、JR常磐線の土浦駅ビルには、サイクリスト向けショップのほか、自転車持ち込みOKの喫茶店やホテルがあります。また、駅東口(霞ケ浦口)の「サイクルステーション」には、自転車組み立て用の場所も用意されています。

走路上に描かれた矢羽根に誘導され、間もなく「霞ケ浦総合公園」に。この公園には温浴施設、淡水魚博物館、霞ケ浦を一望できる風車などがあり、ここからの出発もOK。阿見坂下信号を左折。施設を迂回して湖岸道路に入ると、「予科練平和記念館」。少し先の「旧鹿島海軍航空隊大山スロープ」はウインドサーフィンのメッカです。

江戸崎入り江の「古渡橋コンビニ」を通過して、次の休憩所は浮島。昔は、遠浅の水泳場にバンガローが並び、霞ケ浦の遊覧船「さつき丸」で遊びに来る子どもたちでにぎわいました。今は、春に開かれる「チューリップ祭り」が人気。

「自転車も乗れる」遊覧船・アイリス号

稲敷大橋を越えて左折。一般道を横断して潮来大橋を渡ると、JR鹿島線潮来駅に。近くにある「潮来観光協会」では、レンタルしてきた自転車の乗り捨てもOK。日曜日、駅前では、地場の野菜や果物を販売する朝市が開かれます。

潮来駅から川沿いに戻り、「北斎遊学館」を通過。北利根橋をくぐり、10キロほど走ると、「麻生温泉白帆の湯」。近くの「天王崎交流センター」には売店や喫茶室も。湖岸の養魚場からは、コイ、フナ、ウナギ、ナマズ、金魚などが出荷されます。

霞ケ浦大橋手前の「霞ケ浦ふれあいランド」には地元・行方市の土産品も。大橋で湖を横断すると、間もなく「歩崎公園」。一画には「かすみがうら交流センター」があり、近くには「水族館」や「歴史博物館」も。多目的浮桟橋からは「自転車も乗れる」遊覧船・アイリス号が発着します。

土浦に向かうコースの右方高台にあるのは「茨城県霞ケ浦環境科学センター」。終点目前の新港橋を渡り、「りんりんポート土浦」に戻りました。(元ラクスマリーナ専務)

街中に涼しさを表現 「大型タペストリー展」開催

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優秀賞を受賞した倉田舞さん(左)と相川奈月さん(右)。後ろに展示されているタペストリーは倉内さんの「かき氷」

つくば駅前の商業施設トナリエMOG(同市吾妻)1階にあるプラザ・パフォーマンス・ギャラリーで1日、筑波学院大学とつくば都市交通センターが主催する「大型タペストリー展」の授賞式が行われ、優秀作品に選ばれたタペストリーの展示が始まった。

作品は、同大メディアデザインコース3年生が制作した。7月12日から19日にかけて、トナリエクレオ3階のスペースに同コースの学生25人の作品が展示され、買い物客など来場者による投票と、それを踏まえた審査員の選考会によって、優秀賞2作品が決定した。受賞作品は倉田舞さん(21)の「かき氷」と、相川奈月さん(20)の「夏の庭」。投票は、オンラインと手書きを合わせて115票が集まった。

倉内さんの作品は、かき氷にかかったイチゴとレモン、サイダーをモチーフにした爽やかな色使いが特徴的。特に、サイダーの「シュワシュワ感」がポイントだと倉内さんは話す。「かき氷は、子どもから大人まで誰が見ても楽しめる、伝わりやすい作品になったと思う。たくさんの人の心に残ることができたらうれしいと」喜びを話した。

相川さんの作品は、縁側から見た庭の景色を表現した。障子をイメージした白地に赤い金魚があしらわれ、5本のタペストリーの中央には、障子越しにのぞく夏の庭の風景を、淡い緑のグラデーションで表した。相川さん「受賞はとても良い経験になった。将来は、伝わりやすく、楽しんでもらえる作品を作っていきたい」と思いを語った。

同展は2015年にスタートし、今年9回目を迎えた。展示期間は、倉内さんの「かき氷」が8月1日(月)〜22日(月)、相川さんの「夏の庭」は8月22日(月)~9月12日(月)の期間、プラザ・パフォーマンス・ギャラリーで展示される。入場無料。(柴田大輔)

夏休みは科学の街つくばが熱い!

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つくば市内の研究機関など6施設を巡回する、つくばサイエンスツアーバス

科学の街つくばの夏休みは、子どもたちを夢中にさせる企画が今年も目白押しだ。JAXA筑波宇宙センターなど市内6カ所の研究施設を巡回するつくばサイエンスツアーバス(茨城県科学技術振興財団運行)は「夏バス」として特別便を増便し、夏休み特別企画・謎解きゲーム、実験や工作イベントが開催される。つくば市による「つくばちびっ子博士2022」では、市内36の研究・文化施設を結ぶクイズラリーが開催。一定の正解数を越えると「最優秀ちびっ子博士」号が贈られる。

夏バス、週6日運行

「夏休みの自由研究にお薦めです」と力を込めるのは、夏バスを運行する茨城県科学技術振興財団スタッフの海原麗子さん。夏休み期間の7月23日から8月28日まで、月曜を除く週6日、市内6つの研究施設を循環する。乗り降り自由の1日乗車券で、好みの施設を見学できる。スタッフガイドの詳しい解説がつく同行コースも9回ある。各日募集定員19人でウェブで要予約だ。各施設を巡ることで、地震や宇宙など、さまざまなテーマを多角的な視点で知ることができるのも見どころだ。

乗車券を購入すると渡される「招待状」

海原さんのいち押しが、特別企画「謎解きサイエンスミステリー『暗号だらけの招待状』」。夏バス1日乗車券を購入するともらえる「招待状」を手に、6つの施設に散りばめられた「暗号」を解読する。

つくばサイエンスバスツアー「夏バス」は、つくばセンター発着の「北回り」「南回り」の2ルート。停車地は、国土地理院、つくば実験植物園、つくばエキスポセンター、産業技術総合研究所(地質標本館、サイエンス・スクエア)、筑波宇宙センター。大人500円、小学生250円、幼児無料(保護者同伴)。

スタッフガイド同行コースは各日19名、要ウェブ予約。1日コースは 8月6日(土)、20日(土)の2日間で、地図と測量の科学館、筑波実験植物園、サイエンス・スクエアつくば、地質標本館、筑波宇宙センターの3カ所を回る。午前北回りコースは8月2日(火)、4日(木)、9日(火)、12日(金)、24日(水)。見学施設は地図と測量の科学館、筑波実験植物園。

つくばサイエンスツアーオフィス(茨城県科学技術振興財団)は電話029-863-6868 ウェブサイトはこちら

夏の工作実験イベント開催

期間中、研究機関の見学訪問と、実験や工作を楽しめるイベントがセットになったツアーも開催される。

8月17日(水)と25日には、チョウの翅(はね)にある鱗粉を紙に写し取り、それをもとにポストカードをつくる工作実験教室が開催される。実験教室のほかに、地質標本館とJAXA筑波宇宙センターを見学する。小学生とその保護者が対象。実験材料として300円のほか、サイエンスツアーバス運賃(大人500円、小学生250円)がかかる。

8月21日(日)は、霞ケ浦環境化学センターで、植物のタネが飛散する仕組みを理解するための工作講座が行われる。その他に、地図と測量の科学館、筑波実験植物園を見学する。小学生以上が参加できる(小学生は保護者同伴)。サイエンスツアーバス運賃(大人500円、小学生250円)のほか、筑波実験植物園入園料(一般320円、小学生、65歳以上は無料)がかかる。

各ツアーとも、定員を設けた事前予約制。詳細・申し込みはつくばサイエンスツアーオフィスのホームページで受け付けている。

見どころのひとつ、JAXA筑波宇宙センター

クイズに答えて「ちびっ子博士」

つくば市による「つくばちびっ子博士2022」では、市内36カ所の研究施設や、歴史・文化施設を結んだクイズラリーを開催する。期間は7月23日から9月30日まで。現地を見学したり、オンラインイベントなどを通じて出されるクイズに答える。

対象施設は、つくばエキスポセンター、ゆかりの森昆虫館などの博物館、高エネルギー加速器研究機構(KEK)などの研究施設のほか、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも関連する小田城跡歴史ひろばといった歴史・文化施設など多岐にわたる。新型コロナ感染対策としてオンライン企画を充実させ、現地見学の混雑緩和のために期間を9月末まで延長した。

各施設の動画は特設サイトから視聴できる。さらに同サイト上には、感じた疑問を25の参加機関にぶつけられる『つくばSTEAMコンパス「なぜなぜなぜ」スペシャル!』が実施される。質問の期限は8月7日まで。

クイズラリーの参加に必要な「パスポート」は、つくば市役所、市内の地域交流センター・窓口センター、総合インフォメーションセンター交流サロン(BiViつくば2階)で配布する。クイズの正解数に応じて、「最優秀つくばちびっ子博士」号、「優秀ちびっ子博士」号、「つくばちびっ子博士」号が認定され、それぞれに参加賞が贈られる。

イベントの詳細は、市の特設ページ「つくばちびっ子博士2022」、参加機関の情報は「つくばちびっ子博士2022 参加機関情報」で確認できる。(柴田大輔)

情報戦争とオシント 《雑記録》38

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【コラム・瀧田薫】7月16日付の毎日新聞に、「本社オシント新時代取材班がPEP・ジャーナリズム大賞を受賞」との記事が掲載された。「PEP」とは、「Policy Entrepreneur’s Platform」の略称で、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブが立ち上げた日本発の政策起業家コミュニティーである。

そのホームページには、専門性、現場知、新視点をもって課題を発掘・検証する活動を支援し、公共政策プロセスへの国民1人1人の参画を促し、政策本位の政治熟議を生み出すことを目指すとある。

「オシント新時代取材班」の受賞理由は、オシントの技術を駆使して、報道内容の精度を高めたことと、フェイク・ニュースの欺瞞(ぎまん)性を積極的に暴こうとする「報道姿勢」にある。たとえば、ロシアと中国におけるサプライチェーンの動態を取材した「隠れ株主『中国』を可視化せよ AI駆使し10次取引先までチェック」(2021年12月)や「ロシア政府系メディア、ヤフー・コメント改ざん転載か 専門家工作の一環」(2022年1月)といった特集記事が高く評価された。

ところで、オシントとは「open-source intelligence」の略語であり、公開情報を検証する情報分析手法である。

2013年に、シリア政府軍による化学兵器使用疑惑が持ち上がったとき、1人のネットウォッチャーが攻撃の日に撮影された映像や画像をネット上で収集・検証し、どのような兵器がどこから来たかを突き止めた。兵器の正体は神経ガス・サリンを搭載できるソ連製M14型ロケットであること、さらに、ロケットがシリア軍の施設の方角から発射されたことまで明らかにした。これがオシントの事実上のデビューである。

「ベリングキャット」の衝撃

その後、このネットウォッチャーが立ち上げた独立系調査グループ「ベリングキャット」はウクライナ上空で撃墜されたマレーシア航空17便の事故を解明するなど実績を積み、最近はオシントの講座を開くなどの普及活動も展開している。

今回表彰された毎日新聞「オシント新時代取材班」のキャップ・八田浩輔氏もこの講習に参加し、そのときの体験を新聞紙上で紹介している(「ベリングキャットの衝撃」毎日新聞2020年2月6日付)。また、ベリングキャットの創始者E・ヒギンズ氏自身もオシントの現状を紹介している(『ウクライナ危機後の世界』宝島社新書)。

この書によると、ベリングキャットはロシアのウクライナ侵攻を調査中で、すでに多くの証拠がアーカイブ化されているという。将来、これがウクライナ紛争のアカウンタビリティ(説明責任)を果たすことになるだろう。

今後、AIを導入するなどして、オシントの存在感がさらに高まっていくものと期待される。旧来のジャーナリズムがオシントを取り込んで自らをどのように変えていくのか、また変えていけるのかどうか、見極める段階に来ているように思う。(茨城キリスト教大学名誉教授)

飲酒に反対の声多数 県、計画のさらなる見直し示唆 洞峰公園説明会終わる

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洞峰公園体育館で開かれた。第4回説明会の様子。会場には131人の参加者が集まった

4回で延べ370人参加

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)を、パークPFI制度によりリニューアルする計画について、7月2日から計4回開催された県による住民説明会が31日、終了した。4回の説明会には延べ約370人が参加し、グランピング施設やバーベキュー(BBQ)施設での飲酒などに対して反対の声が多数上がった。

県は、多くの参加者から繰り返し反対意見が出されたことを受けて「さまざまな選択肢を考えながら検討し、つくば市とも協議して決定していく」と回答し、今回の説明会で示した計画をさらに見直すことを示唆した。

31日、洞峰公園体育館で開かれた第4回説明会には、近隣住民のほか、高校生や大学生を含め、つくば市内外から男女131名が参加した。毎回、質問が途切れず、予定時間をオーバーして終了しているが、最終回の31日は予定の2時間を大幅に超え、計4時間半に及んだ。

参加者「声を聞いてほしい」「賛成もいる」

「生の声を届けたかった」と話すのは、つくば市在住の30代の夫婦。住まいは公園から徒歩10分、数年前に県外からつくばに越してきたという。1歳になる子供が歩き始めた今年春ごろから公園を頻繁に利用するようになった。いつ来ても安心できることから、「地元の人が楽しむ憩いの場」だと感じてきた。リニューアル計画に盛り込まれる、公園内で製造・販売されるビールや、グランピングやBBQでの飲酒に対して心配の声が多数上がる中、「子どもが大きくなれば、公園を通って学校に通うことになる。その時、お酒の提供される公園を想像すると不安を覚える」と話す。質疑では「近隣住民、利用者の声を聞いてほしい」と県と事業者に訴えた。

「23日にも来ていた」と話す市内在住の60代の女性は、31日の説明会に再度参加した。その理由を、「賛成(する人)もいると伝えたかった」と話す。女性は、愛犬を連れてのドッグラン付きグランピング利用に期待を寄せる。自身の周囲にリニューアルを歓迎する人が多く、反対の声ばかりが取り上げられる報道に違和感があった。だから説明会に「自分の足で出向いてみた」。反対の人に対しても、「互いに歩み寄れたら」と話す。

現在の計画の対案も複数出された。公園の雰囲気を維持したいという男性は、グランピングではなく「公園を生かした植物園、バラ園を」と訴えた。また、公園での飲酒に反対する男性は、計画されるビール工房ではなく「たとえばヨーグルトではどうなのか?」とするなどの意見が参加者からあがった。

パークPFIは国の流れ 

説明会開催に先立ち、つくば市から伝えられた懸念事項を踏まえて県は、匂いや騒音に対してBBQの位置や設備を変更し、樹木の伐採への懸念には伐採範囲を限定的にするなどの改善案を示してきた。

一方参加者からは、大規模修繕費や収支の内訳など、計画の不透明な部分への不安、酒類提供による治安への影響、樹木伐採による環境悪化への懸念、「慣れ親しんだ洞峰公園を変えてほしくない」という意見が、4回の説明会を通じて繰り返し伝えられた。

参加者からの「説明会を開いて(市民の声を聞いた上で)今後どうするのかを決めるのかと思っていた」という声に県は、「事業は4月1日からスタートしている」とし、「県民、市民の皆さんの声を伺い、現状のPFI事業をより良いものにしていくことで、皆さんのご理解をいただきたいと考えている」とし、説明会の意図が、参加者に伝わっていないことが見える場面も相次いだ。

県は、今回の説明会とアンケート調査を「事業計画に対する県民、近隣住民の意見を聞くというのが趣旨」であり、計画に対する「賛成、反対を問うものではない」としている。

また31日の質疑で、県は、現在リニューアル計画は停止状態にあるとしつつ、パークPFIによる事業そのものは、「官民連携」という国が普及・促進する都市公園の運営方針によるもので、洞峰公園もその流れの中にあることを、改めて強調した。市民団体が求める、公園管理者と利用者らによる「協議会」設置には、「その可否については、アンケート等の意見を集約し、市と相談して決める」ことであり、「都市公園法に規定される協議会は重みのあることと認識している」とした上で「その協議会に誰が入るかというのは、相当慎重な検討が必要と理解している」との姿勢を示した。

県によると、4回の説明会・アンケート調査で出た意見、未回答の質問への回答は、アンケート受け付け最終日の8月31日を待って、取りまとめたものをつくば市と共有する。その上で後日、何らかの形で県民に公表・回答するとしている。(柴田大輔)

洞峰公園管理棟に設置された事業計画の説明パネルとアンケートBOX。アンケートは8月31日まで受け付けている

▽31日、洞峰公園体育館で開かれた第4回説明会の主なやり取りは以下の通り。

参加者1 洞峰公園が建設されて40年になる。当初、維持管理はどのように考えられていたのか。大規模修繕は考えられていたと思う。(公園内の)どのような施設が、どのような規模で考えられていたのか。収支の説明があったが、コロナの影響で苦境の事業があった。収支を達成するためにどのくらいの人を呼ぶ計画か。

県都市整備課 40年前の維持管理がどういう計画だったか、詳細な資料は持ち合わせていない。当初から体育館、プール、テニスコートなど箱モノ施設があり、洞峰沼を中心とする豊かな自然環境がある。細かな修繕を繰り返しながら運営してきたと思う。40年経ち樹木も大きくなっている。どんどん増えていく修繕費を標準化して、修繕計画を立てながら、適切に運営していかなくてはならない。年平均8000万円かかると説明した大規模修繕費は、過去5年間の実績と今後5年間の将来計画を平均した金額だ。詳細は後ほど改めてお示ししたい。これまでに大きくかかった費用として例えば、体育館の屋根の上に載っている太陽光発電がある。大規模改修を数年前にやって修繕を行っている。まだまだ直しきれてないところもあり、計画的に修繕していく費用も(8000万円の)中に入れている。園路の照明の改修だったり、防犯灯のケーブルの交換だったり、目に見えないことにも経費が掛かっている。

コロナの影響だが、昨年と一昨年、コロナの影響で休館にした施設があった。休館の間は利用できず、見込んでいた収入が入ってこないので運営が厳しい状況だったが、(今は)利用者数は従前に近い形で戻ってきている。屋内施設に関しては基本的に(コロナによる)大きな影響は出ていない。

コロナによって近場のレジャーの人気が高くなり、グランピング施設はそういった意味で大変需要がある、将来的にも需要は継続していくのではないかということで各地でグランピング施設が増えている。

参加者2 洞峰公園のリニューアル計画が残念でならない。365日24時間利用できる施設がたくさんできる。ビール工房ができるなど、飲酒がいつでもできる公園になってしまうのがすごく残念。グランピングの周りが1.8メートルの木製ルーバー(柵)に囲まれる。(今の洞峰公園を)子供たちがたくさん通学で使っている。(今の公園は)子どもたちだけで安心して遊べる。このままであってほしい。前の説明会で「こういうことが自分たちの近所で起きて歓迎できますか」と聞いた。それをもう一度お聞きしたい。

 治安に対する不安の声は聞いている。特に子供たちのことについて、不安の声が多くあると聞いている。(これらに対しては)24時間スタッフの配置だったり、問題が起きたらすぐに駆け付ける体制をとるので、十分、対応は可能だと考えている。アルコールは販売時間を限定する。飲酒できるエリアも限定する。対応するので大きな問題ないと考えている。一方で「公園の近くに住んでいる。夜暗くて不安だが、グランピングできることで明るくなって人目が増えて安心だ」という意見もいただいている。治安、防犯について、つくば警察署と相談を始めている。事業者も、安心、安全な公園にするのを第一に考えている。(説明会で示した対策で)特に大きな問題はないと考えている。

参加者3 近所に住んでいる。洞峰公園は新宿御苑とか皇居とかと同じ(聖域的な)存在だ。(グランピング施設でなく)噴水、植物園、バラ園をつくる方が(公園が)唯一無二の存在になるし、インスタ映えする。公園としての価値も上がる。良い公園かどうかを決めるのは利用者だ。パークPFIができなくなると6000万円の収入が不足するということだが、つくば市民1世帯当たりで割ると510円だ。洞峰公園の環境を守れるなら、そのくらいみんなで払う。

 今さまざまな意見を伺いながら、立ち止まって検討しているところ。さまざまな選択肢を考えながら検討していくと、つくば市と話している。

参加者4 毎日犬の散歩で使っている。知事は洞峰公園に視察に来ているか。来てないのだったら今後来る予定はあるか。

 公園に来たことはあると聞いている。

参加者4 野球場にフェンスをつくるとき反対した。(パン屋の交差点前にある洞峰公園の)モニュメントに7000万円かかったと聞いている。(パークPFIができなくなると不足すると説明があった)6000万円の根拠は何か。バランスシートを出してほしいと言っても長大は出してくれない。あろうことか、(パークPFI事業を)トライアンドエラーでやると言っている。できない場合は現状復帰で芝生にして返すと言う。40年かかかってできた公園をどうしてくれるんだと思う。

 野球場のフェンスは、野球場は有料、お金をとって利用する施設なので、適正な管理運営を行うためにフェンスで囲った。モニュメントについては手元に資料がないので(7000万円かどうか)分からない。(パークPFI事業者の)洞峰わくわく創造グループの事業がトライアンドエラーというは、失敗を前提にしているとは理解していない。小さいエラーを、管理運営しながら、より良い管理運営方法を見出していくという意味だと理解している。

参加者5 (7月2日の)1回目の説明会に参加した。(4回目までの)1カ月間でいろいろな意見が出た。それに対して答えを聞かせていただけるかなと思っていたが、無かった。残念に思う。(計画を)白紙に戻して、原点から考えてほしいと提案する。近隣住民の意見を聞く前に、計画がどんどん進んでいった。民主主義のルールを破った計画だと思っている。都市公園の役割について、国交省が4項目を挙げている。一つ目は、良好な都市環境を提供すること。地球温暖化の防止やヒートアイランド現象の緩和、生物多様性の保全による良好な都市環境の提供は、国家的な課題だとある。(今回の計画は)逆行する計画で、国家的考えに背いたことになる。二つ目は、都市の安全性を向上させ、地震などの災害から市民を守ること。11年前の東日本大震災の時(洞峰公園の)この体育館は福島からの避難者で埋まっていた。前回の反省をし、防災機能をもっていただきたい。三つ目は、市民の活動の場、憩い場を形成すること。健康づくりや、子供たちの将来への役割がこの公園にはある。(グランピング施設を囲う)塀をつくって、塀の中と外をつくるというのは、貧困家庭の子供たちが6人に1人いるということを考えた時、そういう子の気持ちになって1メートル80センチの塀を眺めたとき、どう思うか、大人の見識が問われる。四つ目は、豊かな地域づくり、地域の活性化に不可欠であること。地域の歴史的資源を活用しながら人を呼び入れていくのが主題になるが、つくばは何もないところに研究学園都市をつくった。洞峰公園をつくった時のエンブレムは、鳥の顔やトンボの絵、魚の絵だ。自然環境を守っていくんだという、先人たちがつくったレガシーかと思っている。(洞峰公園は)開園から50年経てば登録文化財の資格が得られる。(今回の計画は)それを自ら手放してしまうことになる。市民からしたら、どう考えても許しがたい。

 貴重なご意見ありがとうございます。繰り返しになるが、説明会とアンケート調査でさまざな意見を頂戴して、立ち止まって考えることにしている。都市公園の役割はその通りだ。ただ今回の計画は洞峰公園をがらっと変えることではない。野球場を変えるが、既存の環境は変わらない。

参加者6 何十年も洞峰公園を利用している。大好きな場所だ。グランピング施設やドッグランがつくられるということで、うれしく楽しみにしている。高齢の犬を世話しているので、ドッグランがあるグランピング施設に犬と泊まって、そこで遊ぶことを楽しみにしている。どのくらいで夢がかなうのか、見通しを示してほしい。宿泊費用はどのくらいか。

 見通しだが、現在、説明会を開き、8月いっぱいアンケートをとる。その結果をもってつくば市と相談上で決めていくので、今のころなんとも言えない。

長大 グランピング施設の料金は柔軟に考えている。素泊まりなら施設によって、ドッグランが付いた施設なら1棟4万円から1.6万円ほど。1棟なので4人で利用すれば、÷(割る)4になる。シニア割や近隣住民の料金設定などは今後考えたい。

参加者7 今回の計画を皆さん、楽しみにしている。子供たちはグランピングの写真を見せただけでわくわくしていた。夜だれもいない公園と、夜、監視する人がいる公園と、どちらが安心か。ここ(説明会)に来ていない人も皆が楽しみにている。洞峰公園の隣に住み、洞峰公園のごみ拾いもしている。長年思っていたことが実現になる。どんどん進めてほしい。

 ご意見ありがとうございます。

参加者8 今回のプランがどれくらい期待できるのか、永続性があるのか、具体的に聞かせてほしい。

 県として洞峰公園を将来にわたって持続可能な公園にすることを目指してパークPFI事業者を公募し、事業者から提案をいただき、収支計画を立てた。

参加者8 収支計画の根拠を知りたい。(グランピング施設に)永続的に人が来るか考えないといけない。事業者が撤退する可能性はないのか。

 事業者は、事業が成立する見込みがあると考えている。10年で一区切り、20年間担保する制度となっている。現段階で撤退は考えていない。

参加者8 安全対策として不審者をどうするかが強調されているが、問題を起こすのは不審者ではなくて、だいたい客。どういう問題を起こすか、データが調べられてると思う。具体的にどういうことを想定しているか。

 グランピング施設に泊まる方が犯罪を起こす等、グランピング施設で何が問題になったかというのは今のところ把握できていない。

参加者8 犯罪ではなく、全裸で歩くとか、池に飛び込むとか、そういうことに対して、どう対処するのか。

 つくば警察署と相談を始めているので、軽犯罪の対策の必要があるのか、必要があれば検討していきたい。

参加者9 先ほど、子どもたちはグランピング施設を望んでいるという意見があったが、私の知っている子どもたちは現状の洞峰公園を望んでいる。多くの中高生がランニングしたりしている。多くの観光客が来れば、ランニングする環境が失われる。従来の静かな洞峰公園がなくなってしまっては、つくばの中高生たちは健全な環境を失われてしまう。

 公園全部を変えようという計画ではない。グランピング18棟は現状の野球場につくる。園路は変わらない。

参加者10 先ほど、夜だれもいない公園と、明るくにぎやかな公園という話があったが、洞峰公園では夜、若い女性が走ったり歩いたりしている。そのことをご存知でおっしゃったのか。そこに酔っ払いが出てきたらどうかと心配する。夜だれもいない公園ではない。だれにとっての魅力向上かということだが、高齢者は車を運転するなと言われて、緑を求めて遠くに行きたくても行けない。緑の中に身を置けるが洞峰公園だ。年寄りにとっての聖域をつぶしてつくるのがグランピングだと思う。

 だれにとっての魅力向上かは、幅広い利用者であり、近くにお住まいの方から、県民まで、幅広い多くの利用者だ。静かな環境を維持するのは大前提になる。改変するのは一部のエリアだ。

参加者11 息子は公園を通学路として使用している。新事業によって飲酒が許される公園になることを大変心配している。息子は「偶発的に酔っ払いにからまれたら怖い」と話していた。洞峰公園が近隣の学校の通学路や課外授業の学習の場、マラソン大会で使用されていることはご存知か。これからでも遅くないので、近隣の学校の先生や保護者と話し合う機会を持っていただきたい。

 洞峰公園の中が、通学路や学習の場、マラソン大会で使われていることは知っている。事業者の方で防犯対策を考えている。つくば市の教育委員会と協議をさせていただくことは必要と思っている。

参加者12 飲酒、喫煙反対だ。グランピング施設で飲酒をした人が(グランピングエリアの)外に出ることが心配だ。ビール工房の計画があるが必要性はなにか、ヨーグルト工房じゃだめか。

 ビール工房は、つくばブルワリーと提携して、レストランで提供することが公園の魅力向上につながるとして計画している。

参加者12 再検討する可能性について伺いたい。

 さまざまなご意見を伺い、立ち止まって再検討している。

参加者13 娘が3人いる。娘は洞峰公園で育ったといっても過言ではない。今、3人とも東京にいるが、いずれはつくば市に住んで、孫が出来て、洞峰公園で育っていくと思う。(計画は)これで決定なのか。協議会をつくって、住民の声を取り入れて、茨城県としての在り方を探るということはないのか。パークPFI事業者の公募期間は、質問締切から13日しかなかった。(洞峰わくわく創造グループの)3つの会社が集まって協議して提案書を出したということは、決まってたのかなと思う。住民の声をしっかり聞いて、もう一度白紙撤回してやり直した方がいい。

 説明会を踏まえて、ご意見を8月31日まで集めている。パークPFIの公募は8月から9月の2カ月だった。質問締め切りからは短いが、公募期間は2カ月間。結果として1事業者からの応募だった。

参加者14 洞峰公園から100メートル以内に住んでいる。2日前の夜中、暴走族がぶんぶん走っていた。暴走族は定期的に走っている。(グランピング施設に宿泊するため)4万円払って(柵の中に)押し込められて、暴走族の音を聞きながら、都内から人が来たいと思うだろうか。グランピングは普通、山とか湖とかでやる。洞峰公園から車で23分以内にキャンプ場やバーベキュー場が8カ所もある。ここで、押し込めて、やる必要あるのか。生まれたときから(洞峰公園で)楽しんできたが、お酒を飲んでいる人や酔っぱらっている人を今まで1回も見たことがない。ビール工房ができると、飲んだくれ公園になる。利用者は、学生が通学できて、夜も1人で来て、静かにジョギングできる静かな公園を求めている。車で来て、飲酒して帰る人もいるかもしれない。その辺のことは考えているのか。

 飲酒について心配の声があることは理解できる。飲食店も同じようなことがある。飲食店と同じ対策を考えている。警察署と相談もしているので対策を考えていきたい。暴走族の音については、分からないでなんともお答えできない。

参加者15 なぜパークPFIを唐突に導入したのか。そこまでして進めたいのは、だれが、何のためにかをはっきりさせてほしい。大井川知事は(説明会での参加者の意見は)反対のための反対で的確な意見が出てない、というようなことを言っていたが、本当にそうか。先ほど洞峰公園は皇居と同じくらいの価値があるという意見があったが、それに準じるものだ。グランピングやドッグランはどこでもやっているので差別化できない。長大は使命と目標でSDGsを標ぼうしている。グローバルに生きていかなくてはならない中で、あの程度のプランしかできないのは情けない。(洞峰公園に)財政問題があるなら、実際どうなのか、お金がないからどうすべきかという議論から始めるべきではないか。これで進めるという乱暴なことは(県は)ゆめゆめしないと思う。

 民主的に県民の意見を聞くことを行っている。経費縮減と魅力向上を両立させて、限られた予算の中でやっていく。パークPFI事業という国交省の施策そのものを否定されるとなんとも言いようがないが、県としても(国などの)その流れを踏まえてやっていきたい。

参加者16 子供の安全についてだが、飲酒運転のことで懸念がある。公園の外にも通学路が巡っている。しかし飲酒運転はなくなっていない。民間はまだしも、公がビール工房の設置を進めるとか、周りに飲食店がたくさんあるのに、民業を圧迫することを公が進めていいのか。

 飲酒運転の心配は理解しているが、即、飲酒運転を助長することではない。警察と適切な対応をとりながら進めていく。

参加者17 維持管理費用が財政を圧迫するので6000万円浮かしていきたいということだが、県の施設には指定管理費用が3億円、4億円の施設がいっぱいある。洞峰公園でこういうことをするということは、県としてこのアプローチをすべての指定管理の公園でやっていくということなのか。洞峰公園には体育館やプールなど教育的な施設がある。ヨーグルト工房でなくアルコールをもってくることが、他の青少年の施設に今後あり得る、他の施設も導入するということなら開示していただきたい。洞峰公園だけということならそれも開示していただきたい。つくばだけの話で、県全体に広げないなら、それも示していただきたい。つくばのこの公園だけということなら、地域ともっと話していただきたい。(南側駐車場の拡張による)伐採問題だが、今回、可能な限り伐採しないとおっしゃっているが、具体的にまったく触れていない。アシ原の景観が悪いから切っていくのか、600本よりもっと切っていくのか、調査して中長期的にプランを示してほしい。今回(都市公園法改正でパークPFI制度が設けられたのと合わせて)協議会設置が新たに導入されたことについて、国交省に電話して聞いてみた。「自治体の裁量と見識に任せている」ということだった。(洞峰公園のパークPFI事業の計画によって)地域が分断されたり、行政が分断されたり、(パークPFI事業者の)選定委員会委員が地域と話し合うべきだと言っているのにやっていない。長大はSDGsをポリシーにしている大手の会社。小さい会社の人でも、地域住民に説明したり、調査をするのは当たり前だと言っている。長大は、会社のポリシーに基づいてきちんとしたプランを提示していただきたい。それから、(障害のある子供もない子供も一緒に遊べる)インクルーシブ遊具をグランピングありきで設置するのは間違っている。グランピングとバーターにするものではない。

 洞峰公園からパークPFIを広げていくのかという質問だが、順番は逆。県の施設の今後の在り方を検討した上で、今後どういった管理運営が望ましいのか、洞峰公園だけでなく、民間の管理運営を活用するのが望ましいということを検討している。各施設に特徴があるので、マーケットサウンディング調査をした上で、民間に任せて効果があるとして進めている。洞峰公園の結果を周りに広げていくということではない。つくば市の担当者とは、マーケットサウンディング調査の段階から情報共有しながら進めてきた。市民に直接意見を聞く方法もあったかと思うが、公園について、公園管理者が利用者からいただいた意見を、利用者の意見とした。つくば市の方はオブザーバーとして参加していだいた。(駐車場の拡張による)伐採する部分の測量ができてないということだが、これから場所を変更しようとしているので、測量や伐採本数もこれから精査する。そうした中で、駐車場拡張予定地の測量に入ってないのは事実。駐車場はさまざまな意見を聞いて、さまざまな選択肢を考えている。インクルーシブ遊具はグランピング施設とバーターではない。今回、グランピング、バーベキュー、インクルーシブ遊具等の提案を受けてそれを採用した。通常のものとしてインクルーシブ遊具に変えていくことやトイレの改修など、ほかにもやるべきところはあるが、できるところからやっていく。

参加者18 説明資料で、にぎわい創出で得た収益は指定管理費に譲渡されるとなっている。収益がなぜ指定管理者に入る仕組みになるのか。

 にぎわい創出のグランピング、バーベキュー、トレーニングジム、カフェ、駐車場の拡張などにより新たな利用者が増える。それによって指定管理者の収入が増える。結果的に指定管理料が削減できるという意味合い。

参加者18 一番心配しているのは、にぎわい創出でどれだけ収益が上がるのかということだ。儲かったとして、指定管理料に入らない。例えば6000万円稼げなくて1000万円しか収益が無いとすると長大がかぶるのか。

 端的に言うとその通り。

参加者19 (パークPFIにより)公園が私企業の活動のために使われ、自然環境がどんどんなくなっていく。今、洞峰公園に来ている人たちが離れる。全く悲しい傾向、絶対反対する。

参加者20 事業者選定に至るまでの過程に疑問がある。樹木の伐採について、公募資料によると、昨年8月、環境調査の事項を規定し、事業留意事項の中で、洞峰沼の周辺や外周は環境に留意するよう言っているが、最終的に樹木の伐採を行う事業者を選定している。公募資料で樹林の保全に留意してくださいとしているにもかかわらず、県と事業者の直接交渉の中で樹木の伐採を認めている。県を欺いていることにならないのか。今回、南側駐車場の拡張予定地は公園外周の緩衝帯樹林に該当しないのか。

 緩衝樹林帯の保全に留意した計画だと理解している。今、事業者の方で、なるべく伐採する樹林を減らそうと考えているので問題ないと考えている。

参加者 賛成でも反対でもない。納得する洞峰公園であることを望んでいる。きちんと話し合える協議会設置をしてほしい。(説明会会場で)賛成意見を述べた人に対しても(参加者が)しっかり聞くこと大切だと思う。(説明会で)攻撃的な雰囲気を感じた。賛成意見も尊重する必要がある。県の行政に対しても(県職員に対する)個人的な人格攻撃が見受けられた。(洞峰公園のパークPFIは)ずさんな事業だと持っている。もう少し話し合うべきと思っているが個人的な攻撃をすることは問題だと思う。質問だが、谷田部総合体育館での説明会の議事録を読むと、具体的にどうするかは、つくば市と相談して決めるとあった。参加者からはアンケートついて「先に妥当性を吟味してから出すべき」「反対意見を書く場所が無い」という要望があった。アンケートのとり方は、信頼性や妥当性があるのか。先に吟味したのかお伺いしたい

 アンケートの集計は、母数をどれだけ集めれば優位性があるかは今後検討したい。反対と書く欄がないというのは、今回は、賛成、反対の住民投票ではなく、事業計画に対する意見を聞きたいというやっている。

参加者21 大規模修繕にお金がかかる、だからパークPFIを導入しましょうということだが、パークPFIで長大が儲けた場合、大規模修繕費にいくのか。(パークPFIができなくなると6000万円の収入不足が生じるということだが)大規模修繕を県がやるなら、何のためにパークPFIをやるのか。これまで県が独自で修繕していた。(パークPFIによって)6000万円が修繕費としてプールされることはない。長大は大規模修繕の面倒を見ないということなら、(パークPFIを導入する)主旨としておかしい。

 大規模修繕はあくまで、県が、県の予算で行う修繕を指している。パークPFIで大きな収益を上げた場合、どれだけ儲けたから県に還元しろということではなくて、しっかり運営して、その都度、協議しながら進めていく。6000万円というのは、これまでかかっていた指定管理料から、これからかかる指定管理料を引いて、浮いた分を大規模修繕にあてるということ。今までなかった6000万円が大規模修繕に充てられるということ。(県の)予算の枠組みには指定管理料も大規模修繕も含まれる。予算は県議会の可決で決まるが、これまでと同等の予算が付くとしたら大規模修繕に充てることは可能だ。

参加者22 そもそも法的にグランピング施設が建設できるのか。洞峰公園は都市計画法における第1種中高層住居専用地域。グランピング施設は、建築基準法48条のただし書きの許可を得ると(建設が)認められる。手続きを経て、つくば市の建築審査会に諮問し、許可、不許可となる。つくば市との意思疎通が十分なされてきたか疑問に思っている。(事業者選定にあたっての)質疑が県のホームページで公開されている。事業者は、48条を、いつ、どのように相談したらよいか聞いている。つくば市に確認したところ、昨年9月につくば市に3事業者から確認の問い合わせがあった。そのうちグランピングの相談は1事業者から。その時つくば市からは、特例許可の判断はできないと伝えた。今年4月1日から、長大による管理運営が行われている。特例許可の手続きは何も進んでおらず、これからになるのか。もしつくば市から許可が下りなかったらどのように対応するのか。(収益が)足りない分は値上げになるのか、事業者がかぶるのか。

 建築審査会という手続きがある以上、つくば市の方で判断できないとの回答は当然だ。建築基準法48条のただし書きは、良好な住環境への対応を適切に行うことなので、事業者も、つくば市は許可を認めていただける可能性が高いという認識だ。仮に市が認めなかった場合、さまざまな選択肢の中で検討していく。県と市の関係において、県が市に特別な働き掛けをすることはない。

参加者22 協議会の設置について、4000人以上の署名を添えた要望書が出されている。洞峰公園の自然を守るよう求める要望書も出されてる。2つの要望書について今の検討状況はどうか。

 協議会については、アンケートも踏まえて市と相談しながら検討していきたい。協議会は重みのあるものと考えており、どういった人に入っていただくかについて慎重に検討したい。環境影響調査についてはつくば市から要望をいただいている。つくば市や専門家の意見を聞きながら適切に考えていきたい。

参加者23 環境保全に対処しますという話だが、こういうふうにしますということを示していただきたい。例えば、木は切りませんと言いながら、木の数は数えていませんと言う。どんどん変わっていく。具体的に説明していただけないといつまで経っても終わらない。大井川知事は記者会見で住民に丁寧な説明をしていくと言っているが、この程度(の説明)でいいと言われたのか。

 この説明会をもって納得してほしいということではない。まずは計画を見ていただいて、この件に関して意見をいただきたいということ。アンケートの結果を踏まえて、つくば市と協議するが、強行に決めようということではないのでその辺はご理解いただきたい。

参加者24 駐車場拡大のための木の伐採についてだが、県林政課森づくり推進室が。公園の森づくりを推進している。洞峰公園でも木を大事にすることをやっていただけないかと電話したら、今年から部署が変わった、新しい部署は土木部 都市局 都市整備課 公園緑地担当だと言われた。どんなことを担当しているのか。昨年度まで森づくり推進室が行っていた森づくりの引き継ぎはされてないのか。木を伐採しないで守るような洞峰公園の保全をしていただけないのか。

 林政課が言っているのは自然公園ではないかと思う。我々がやっているのは都市公園。部署が変わったということはないので、引き継ぎもない。公園緑地グループは我々のグループで間違いない。都市緑地保全法の都市緑地を所管している。

参加者25 指定管理費を6000万円削らなくてはいけないという説明だが、指定管理者は黒字が出るのを嫌う。黒字が出ると指定管理料を減らされるかもしれない。笠松運動公園と、洞峰公園・赤塚公園の指定管理料を比べると、人件費は洞峰公園の方が1.6倍だ。洞峰公園は多過ぎるのではないか。面積は笠松運動公園(56ヘクタール)の半部だ。今までたくさん払い過ぎていたのではないか。洞峰公園の2020年度の人件費は2018年度に比べて多い。2020年度はコロナが始まった年で、施設が閉鎖した時期もあった。なぜ多いのか。

 2020年度は職員がコロナ対策をしながら公園の管理運営をしていた。

筑波都市整備(洞峰公園の指定管理者) 2020年度は9000万円ぐらい計上した。19年度は8000万円弱なので1000万円くらい増えている。コロナでこの施設(体育館)も閉鎖したが、洞峰公園に務めているスタッフは常勤。閉鎖したから働くのを止めてくださいという職員ではない。常に給料は払い続けていた。(洞峰公園の)スポーツ教室には3000人の参加者がいる。施設を閉鎖した期間は、閉鎖するに当たって、直前に閉鎖が決まるので、一斉に連絡しないといけない。再開するにも直前に決まるので、一斉に連絡しなくてはいけない。現況の職員だけでは手が足りないので、そちらの人件費も計上したので金額が増えている。(閉鎖された期間中、職員が)遊んでいたということではなく、今まで出来なかった作業を行った。受け付けとかの業務とは別の、例えば、洞峰沼のアシの伐採を職員が自ら行った。2週間ぐらいかかった。

参加者25 例えば「ひだまりカフェ」の収益は収支に載ってない。(パークPFI事業でこれからつくる計画の)ビール工房も、安い賃料で貸して、外にいるところに儲けさせることをこれからも続けていくのではないか、疑わしい。

 新都市記念館の事業は指定管理者に委ねている。賃貸料は適正な単価だと思っている。

参加者26 今年始まった第2次茨城県総合計画の理念は「県民が日本一幸せな県」だ。事業は、硬直的な運営はやらない、地方のことは地方で、とも言っている。説明会ではパークPFIがうまくいかないときの代替案を出していただいた、それは利用料の値上げだ。県の施設は安く設定されている。もう少し(利用料を)上げてもユーザーにご理解いただけると思う。そういう方向にかじを切っていただきたい。全国では、花壇のオーナー制度とか、いろいろ、地道なことをやっている。地道にやっていただきたい。代替案にかじを切っていただくことはできるか。

 総合計画では、県民の意見を聞きながら、と言っており、今行っている(説明会)ことも一貫している。硬直的な事業運営を止めましょうということも柔軟に対応している。(利用料値上げの)代替案だが、今回お示ししたのは過程の試算だ。利用料は県の条例で単価を定めている。今回、可能性の一つとして、さまざまな選択肢の一つとして提案させていただいた。

参加者27 一番引っかかるのは県民、地域の住民の声を聞かないでパークPFIの計画を立てたこと。パークPFIをやろうということが先にあって、洞峰公園を後付けでもってきたのではないか。そのような印象をもつ。第2次茨城県総合計画では、地域づくりは地域が自主的、主体的に進めるとある。この説明会も順番が逆だ。計画をつくる前に私たちの声を聞いていただきたかった。総合計画の中に、身近な自然環境を保全していくとある。(洞峰公園の)木を切ってにぎわいをつくっていくことが自然環境の保全につながっていくのか。これだけ多くの疑問や不安が出ている。回答はこれから検討していくということだが、計画の見直しや中止も検討の中に含まれているのか。長大は、既存の利用者を意識した公園づくりといっているが、既存の利用者のことをどう考えているのか。説明会や、いろいろな質問、皆の声を聞いてから回答するということだが、いつまでにどのような形で回答するのか。回答したら、どのように私たちの声をフィードバックするのか。アンケートは、賛成、反対でなく、意見を聞く場とおっしゃったが、当然反対意見も出る。間口を広くして真摯に私たちの意見を聞いてほしい。知事が記者会見で、ろくな反対意見がなかったと言ったのは悲しくなる。総合計画では、県民の声を受け止めて、県と住民が一体となって地域づくりを進めていくとうたっているのでその通りにやっていただきたい。

 アンケートは8月いっぱい受け付ける。つくば市と共有して、できるだけ速やかにホームページ等を通じてお示しする。様々な選択肢を想定しているので、つくば市とも相談した上で進めていきたい。説明会をやったから終わりとは考えていない。

長大 弊社は1980年につくば市内につくば事務所を立ち上げて、つくばに総合研究所を置いている。弊社の社員につくば市民がたくさんいる。弊社の会長もつくば市民。今回の事業提案を着想するにあたって、つくば市民である多くの社員と情報交換して、自分にとってどうしたら使いやすい公園になるのか、ヒヤリングをたくさんさせていただいた。つくば市民の100%が賛成するものではないが、事業をやる側として、そういったことを考えながら提案させていただいた。(今後については)どこが落とし所として一番最適か、茨城県と相談しながら検討していきたい、

長大 公園の使われ方について、現地踏査や関係者、既存の公園利用者にヒヤリングをして、多目的広場、体育館、園路は、ジョギングだとかいろいろな使われ方をしているので、そこはいじってはいけない、野球場は(いじっても)影響が少ないと、このような提案をさせていただいた。

参加者28 既存の洞峰公園の利用者は(新しくつくる)施設ではなくて、静けさ、環境を求めている。ビール工房やグランピング施設が建設されることによって、利用者が洞峰公園に求めているものが失われてしまう。

 さまざまな考え方あるのでご意見として受け止めたい。環境を壊すことはないということで今の提案を立案している。その辺の配慮は十分された提案かと思っている。

参加者29 スポーツ教室を利用していた。娘に嫌なことがあって、意見箱に入れた。(指定管理者は)その意見を全く無視した。県に、返事がもらえていないと言ったら、初めて(意見を)掲示をした。指定管理者は都合が悪いことは掲示しない。(洞峰公園体育館で回収する)アンケートはどこが受け付けるのか。以前、都内に住んでいた。バーベキュー、カフェ等、都内からわざわざ来ない。テニスコートを増設する計画だが、スクールが利用すると聞いている。一般の人は利用できるのか。先日、娘がテニスコートで転んだ。既存の施設を直すなど、先にやることがもうちょっとある。住民の声を真摯に聞いてほしい。

 アンケートの取り扱いだが、紙で受け付けているものは、その日の夕方、県庁に送ってもらう。ウェブは県のシステムで受け付ける。アンケートはつくば市と共有する。

参加者30 (パークPFI事業の)詳しいことがなかなか分からなかった。周辺住民にもまだまだ知らない人がいる。まず県民、市民に計画を周知するやり方がおかしい。収支計画がどうなっているのか。安全性や環境調査は、聞けば聞くほどしっかりされていない。子どもたちが自分の時間に遊べなくなったり、この公園が治安の悪化につながっていくなら引っ越そうかなと考えている。周辺住民が利用しなくなるのは、年に1回来るかどうか分からないグランピング利用者より打撃が大きいと思う。近隣住民、利用者の声をしっかりと聞いてほしい。朝昼夜の公園の様子をきちんと自分で見てほしい。

 こういった場で、よく意見を聞いている。意見を聞きながら検討を進めていきたい。朝昼晩、そこまでは見てないが、今の事業者グループの中には(指定管理者の)筑波都市整備が含まれており、公園利用者の声を聞いている。我々は(筑波都市整備を)信頼している。

参加者31 洞峰公園自体、広域防災拠点の指定を受けている。(パークPFIの)プランに一言も(防災拠点の)問題意識がない。グランピングと聞いて、非常時の対策のために使えるなと思った。東日本大震災のときは体育館が福島の人のためにフル稼働した。50メートルプールに水が蓄えられている。防災拠点の意義を再検討していただきたい、

 防災の視点が説明では漏れていたが、県の防災計画でも防災拠点に位置付けられ、災害時に使える防災トイレや貯水槽、かまどベンチなどを整備した。グランピングも場合によって災害時に使えると思う。

参加者32 行政として基本のキである市民の声を聞いてから進めるべき。ボタンの掛け違いがあるので、しっかり聞いて進めてほしい。アンケートには(賛成、反対を書く欄がないが)反対と書いてもいいと聞いている。意見だけを書いても、反対と数えなかったことがあったので、反対ということを書いた方がいい。

 アンケートは自由に書いていい。こういう理由で反対だということも書いていただきたい。

参加者33 説明資料の収益の還元と利害の喪失についてだが、収益の中のどれくらいの割合を還元するのか。大規模修繕に必要だとされる8000万円の積算根拠が不明確だ。昨年度までの実績では年平均いくらになるか。計画は積み上げれば積み上げるほど大きくなるので、実績から8000万円の根拠を明確に示してほしい。長大は説明会で毎回、駐車場台数の数字を訂正しているが、なぜ資料自体を訂正しないのか。

 数字の根拠は後日改めてホームページで示したい。長大の資料の訂正は、第1回の説明会の直前で気づいた、資料は毎回(説明会開催ごとに)アップデートしていくわけではない。できるだけ多くの人に聞いていただきたいと、説明会を開催している。

参加者34 利用者の声をよく知っている指定管理者が(パークPFI事業者に)入っているということだが、子供たちの利用状況とかスクールとかを分かっている筑波都市整備が(洞峰公園に)アルコールをもってくる。スクールに通わせている保護者や子どもたちにどういうメリットがあるのか。なぜアルコールを(公園に)入れるのか。なんで、と不信感をもってしまう。事業者として説明してほしい。長大の社員はつくば市の住民で、住民の意見をよく聞いてプランつくったというが、40年前、国のプロジェクトで、つくば市全体の緑のネットワークをつくる計画の中で、中核的なものとして洞峰公園がつくられた。にぎわいをつくると儲かると言うが、これが一番最初のボタンの掛け違いだ。長大のような力量のある会社なら、地域住民の調査も、環境調査もできる。市対県という、対立構図で報道されることがあってほしくない。プレスが喜ぶ対立構造にもっていってほしくない。

参加者35 (県や事業者と)けんかしたいとは思ってない。(洞峰公園は)昔からの里山を残した公園なので、樹齢100年くらいの木がたくさんある。木はできるだけ切ってほしくない。10年、20年経ったら芝生にして返すとあるが、森は戻ってこない。

参加者36 (県の説明によると)にぎわいをつくるのは何のためかというと、収益を上げるため。収益を修繕費や管理費に回していくという説明だった。洞峰公園近くに30年住んでいるが、昔は静かな公園だった。今はかなりにぎわっている。特にコロナでもっとにぎわうようになった。これ以上、にぎわいをつくる必要ない。つくば市はグランピングに反対だということなので、洞峰公園の運営管理をつくば市にやらせればいいのではないか。洞峰公園は県民のものだが、私は近くに住んでいる。エゴが強いので、洞峰公園はつくば市のものだと思う。洞峰公園をつくば市に買ってもらえばいいのではないか。

参加者37 グランピング施設はだれのためかというと、長大は茨城県民のためというが、グランピングが好きなわずかな人のためだ。茨城県民のためというのはおかしい。野球場は、無料で子供たちとキャッチボールするのに使えていた。(洞峰公園を含む周辺の自然環境は)県が洞峰公園と赤塚公園の管理をやっていて、ペデストリアンデッキはつくば市が管理をやって、間に産総研と気象研がある。4つがしっかりやってきたから自然が残っている。あの辺、切っちゃいますよと言って、県が切ったら、産総研も切ってもいいのかと思ってしまうかもしれない。気象研も建物を建ててしまうかもしれない。そのようなきっかけになるようなことは止めてほしい。先ほど、アンケートに意見だけでなく「反対」と書いた方がいいという意見あった。一度出したアンケートを出し直して大丈夫か。

 アンケートを記名でするのは、1人で2通、3通出すのは止めていただきたいということ。記名したアンケートは出し直して大丈夫。計画については、やるという前提で説明させていただいたが、さまざまな意見を聞いてこれから議論していく。様々な選択肢を考えている。(説明会示した計画通り)やることが前提じゃないと受け取っていただいて結構だ。

以上

つくば市長に見られる 民主主義の劣化 《吾妻カガミ》138

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【コラム・坂本栄】五十嵐つくば市長リコール署名運動(~8月10日)が進行中です。前回の137「つくば市長の宿痾…」(7月18日掲載)では、同運動の主唱者が問題視する「運動公園用地売却手順の違法性」を検証、「(市長は)民主主義の基本を軽んじ、市政運営の『金看板』を自ら降ろした」と指摘しました。今回も、五十嵐市政に多見される「民主主義の劣化」について検証します。

リコール運動のリーダー・酒井泉さんは、本サイトの記事「つくば市長に『NO』を突きつける…」(7月13日掲載)の中で、五十嵐市政の「情報統制」「政治宣伝」「大衆迎合」といった手法が「民主主義を壊す」と批判しています。私も本欄で同じことを言ってきましたが、深刻なのは「情報統制」と「大衆迎合」です。

劣化1:市民の市政批判を裁判沙汰で封圧

まず情報統制(メディア・コントロール)の事例。行政者は自分がまとめた政策を批判されるのを嫌がり、批判を封じたいという誘惑に駆られるものです。五十嵐市長も、市政批判を連載したミニ新聞を名誉毀損で訴えるという、絵に描いたような批判封圧の挙に出ました。

そのあらましは、126「…市民提訴 その顛末を検証する」(2月7日掲載)をご覧ください。提訴(2020年11月)→ 裁判所での審理(2021年)→提訴取り下げ(2022年1月)の経緯をまとめてあります。ポイントは、ミニ紙発行人の元市議を名誉毀損で訴えたものの、裁判に勝てそうにないことが分かり、裁判官を挟んだ協議の末、提訴そのものを取り下げるに至った―ということです。お粗末な幕引きでした。

上のコラムでも指摘しましたが、これは「市民の市政批判を萎縮させる」効果を狙った裁判沙汰であり、民主主義の基本である「言論の自由」を抑圧する行為です。市政に長く関わった元市議はこれに激怒。この分野に精通した弁護士に頼んで徹底抗戦。取り下げに追い込みました(事実上、五十嵐市長の自滅)。

訴訟のプロセスで、「言論の自由」抑圧だけでなく、他の「困った行為」も明らかになりました。具体的には、▽法律をよく調べないで1市民を提訴した=行政責任者としての適格性に疑問符、▽取り下げ後、被告市民への謝罪を対面ではなくネット上で済ませた=大人が備えるべき常識に疑問符、▽取り下げの実相を隠そうと図った=政治家としてのメデイア対応に疑問符―などです。

劣化2:退職金辞退というポピュリズム

次に大衆迎合(ポピュリズム)の事例。市長など政治家は票が欲しくて、平均的な投票者に受ける公約を並べたがるものです。それでも、選挙公約は政策中心であるべきです。ところが五十嵐市長は、「市長退職金辞退」という、絵に描いたようなポピュリズム公約を掲げ、2回の市長選に臨みました。

新興国だけでなく先進国でも、大衆迎合が民主政治を壊し、それが権威政治につながると、良識ある政治学者は懸念しています。研究学園都市でポピュリズム公約を掲げた五十嵐市長の鈍感さには、驚くだけでなく、恐怖さえ覚えたものです。121「…つくば市長を追撃」(2021年12月6日掲載)では、県南の市長たちがこの公約に白け、反発したという話を紹介しました。その選挙手法にも疑問符が付いたといえます。(経済ジャーナリスト)

「なぜギザギザ?」住民が団地フェス開き謎解き 県営小野崎アパート つくば

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ギザギザの建築デザインが特徴の県営小野崎アパートで草刈りなどの活動をする「小野崎団地ローズマリーの会」の(左から)荒牧信允さん、会長の三浦一憲さん、岩村将幸さん、正津ミチ子さん

小野崎アパートはなぜギザギザなのかー。つくば市二の宮の県営小野崎アパートの住民が、ギザギザに設計された集合住宅の建築デザインをテーマに、ギザギザの謎を解き明かす団地フェス「小野崎アパートメントサマーフェス2022」を8月5日から8日まで、団地近くの洞峰公園新都市記念館展示ホールで開く。

約120世帯が暮らす同団地で、草刈りなど環境美化活動をする住民ボランティア団体「小野崎団地ローズマリーの会」(三浦一憲会長)が主催する。団地の写真や図面を展示して謎解きをしたり講演会を開催するほか、ジャズ演奏会を開く。

同団地は、日本を代表する著名な建築家の一人、内井昭蔵(1933-2002)が設計した3階建ての集合住宅で、筑波研究学園都市に約80施設ある、著名な建築家が設計した現代の名建築の一つだ。つくば科学万博が開かれた1985年に完成し、当初は、世界各国からやってきた科学博のパビリオンを運営するスタッフの宿泊施設になったという。

階段状にギザギザに設計された広いテラスなどが特徴で、「つくば建築フォトファイル」(NPOつくば建築研究会発行)によると、都市の中に健康な住宅をつくることが都市の空洞化を防ぎ健康な都市づくりにつながるという考え方をもとに、二つの仮説を立ててつくられたとされる。

住民が集まれる場に

ローズマリーの会は2020年に設立。40代から80代の9人がメンバーで、毎月1回、敷地内の草刈りをしたり、芝生にウッドテーブルと椅子を設置したり、プランターをつくり草花を植えるなどしている。住民が高齢化していることなどから、環境美化活動を通して、孤立しがちな高齢者が外に出て親睦を深めることを目的にしている。

会設立3年目に当たり、団地にお祭りがないため、住民が集まれる場をつくりたいと今回、団地フェスを開く。将来、自治会と連携して小さな祭りを開くための実験的な位置づけになるという。

団地フェスの期間中、内井昭蔵の凝った建築デザインに対する敬意を込めて、三浦会長(69)らが撮影した小野崎アパートの四季の風景のほか、航空写真、図面など計20~30点を展示する。

5日夜は「小野崎アパートの建築遺産としての価値と環境」と題して、建築と高齢社会問題に詳しい東京大学大学院の大月敏雄教授が、同団地の建築の価値と住民の高齢化問題について話す。

6日夜は「大人のための記念ジャズライブ」として、宇都宮市を拠点に活動する塚本澄夫カルテットと、つくば市在住のジャズシンガー結城章子さんによるジャズ演奏会を開く。

三浦会長は「コロナ禍だが感染に気を付けながらやっていきたい。団地住民だけでなく、どなたでも気軽に遊びに来てもらえれば」と参加を呼び掛ける。(鈴木宏子)

◆同フェスは8月5日(金)~8日(月)午前10時~午後5時(最終日は午後3時まで)、つくば市二の宮、洞峰公園新都市記念館展示ホールで開催。入場無料。ただし記念講演会は5日(金)午後7時から、ジャズライブは6日(土)午後7時から、同館内のカフェで開催する。カフェでの開催のため飲食の注文が必要。いずれも事前予約不要。

子どもの幽霊が出るらしい《短いおはなし》5

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【ノベル・伊東葎花】

タクシーの運転手をしていると「幽霊を見たことがありますか」などと訊かれることがある。答えは「ノー」だ。私には、霊感というものが全くない。

だから、客待ちの合間に誰かが怪談話を始めても、その輪に入ることはない。

「子どもの霊が出るらしい」

背中越しに聞こえてきた。またかと思いながら缶コーヒーを飲み干した。

夜、坂の手前で子どもが手をあげていて、うっかり乗せたら大変なことになるらしい。

修学旅行の怪談話みたいなひそひそ声で、内容はよくわからなかった。

「おお怖い。深夜に子どもは乗せるな、ということだな」

誰かが身震いしながらそう言って、怪談話はお開きになった。

下り電車が到着して、それぞれのタクシーがロータリーに向かう。

さあ、仕事だ。怪談話を気にする暇などない。

その夜、客を降ろして帰る途中、ライトが人影をとらえた。

ガードレールの切れ目で、手をあげている子どもがいた。

時刻は11時を少し回ったころだ。

てっきり親がいっしょだと思って車を止めた。

ドアを開けると、子どもはひとりで乗ってきた。

「さくら坂霊園までお願いします」

子どもが言った。霊園? この深夜に? 

こんな時間に子どもがひとり。どう考えてもおかしい。

そこが、昼間の話に出てきた坂の手前だと気付いたときには遅かった。

昼間の話に出てきた子どもの幽霊だろうか。ちゃんと話を聞けばよかった。

「深夜に子どもは乗せるな」という言葉だけが、耳の奥で渦を巻いた。

しかしもう乗せてしまったものは仕方がない。私は車を発進させた。

後部座席は静まり返っている。バックミラーには何も映らない。

怖くて振り返ることは出来ない。

考えるな。前だけを見て運転しろ。

自分に言い聞かせて、ハンドルを握った。

初めて幽霊を乗せた、それだけのことだ。

霊園に着くと、きっと子どもは消えている。

そして後部座席が濡れている。そんなベタな話、今や誰も怖がらない。

大丈夫。怖くない。怖くない。

対向車もない寂しい林道を走り抜け、車は霊園に着いた。

クーラーがあるのに汗だくだ。車を止めて、恐る恐る振り向いた。

子どもはいた。つぶらな瞳で私をじっと見ている。

「いくらですか?」

はっきりした声だ。なんだ、普通の人間の子どもじゃないか。

何を怖がっていたんだ。

そうだ。この先に住宅が数軒ある。きっとそこの子どもだ。

塾か習い事で遅くなって、タクシーで帰るように親に言われたのだ。

バックミラーに映らなかったのだって、この子が小さいからだ。

まったく何を怖がっていたんだろう。

霊感がない私に、幽霊が見えるはずがないだろう。

ほっと肩を下ろしてにこやかに答えた。

「970円です」

子どもは、誰もいない助手席に向かって話しかけた。

「970円だって。お母さん」

(作家)

多世代交流「子ども第三の居場所」 つくば市内でカフェ事業スタート

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「みんなのカフェ・ロベ」を開設した居場所サポートクラブロベの森美智子理事長(左)と前島麻里絵マネージャー

つくば市内で低所得・ひとり親家庭向けの無料塾や障害者のグループホームを運営するNPO法人、居場所サポートクラブロベ(つくば市島名、森美智子理事長)が、同市緑が丘に「子どもの第三の居場所」事業による「みんなのカフェ・ロベ」を開設、29日には開所式が行われた。カフェは週に3日(月・水・金)、午後2時から8時の間、食事の提供や勉強のサポートなどを通じて子どもたちに居場所を提供するとともに、地域住民も利用できる。多世代の交流を通じて「誰一人取り残されない地域子育てコミュニティー」作りを目指す。

「子ども第三の居場所」は、日本財団(東京都港区)が2016年から始めた事業で、困難な状況にある子どもたちに、家庭や学校以外に、放課後に安心して過ごせる居場所を提供し、バランスの取れた食事や学習支援などを通じて、子ども自身の力を育むことを目的としている。同事業による「居場所」は、準備中も含めて全国で179カ所あり、県内では笠間市にある「ともだちの家」に続く2例目となる。

同法人は、2011年3月につくば市内で始めた学童保育を皮切りに、2016年には同市初となる、貧困世帯向けの学習支援無料塾「Robeつくば学習会」を開設した。その後、無料塾に通う発達障害など困難を抱える子どもの親から、「自分が亡き後、果たして我が子は自立できるのか」という相談を受けて障害事業を開設した。現在は、無料塾の他に障害者グループホーム、放課後デイサービス、児童クラブなどを運営している。

今回のカフェ開設について、森美智子理事長は「地域のシニアや子どもたちなど、多世代が交流できる場所を作るチャレンジ。今までの経験をブラッシュアップしながら、地域に喜ばれる事業をしていきたい」と思いを語る。

子どもたちのために設けられた屋上スペース

「ただいま、おかえり」言い合える

施設は2階建て、「ただいま、おかえり」と言い合う家庭的な雰囲気を意識したという。室内には4部屋があり、1階には子どもや保護者のリラクゼーションにつなげるためのヒノキを用いた大きな机が用意され、特注したという鍵付きの大きなロッカーにはランドセルや手提げ袋を収納できる。2階にはボルダリングなどの遊具も準備されている。カフェの目印にもなる赤い螺旋(らせん)階段を登ると、緑の人工芝が敷かれた屋上に出られる。森理事長は「屋上を作りたかった。コロナ禍で引きこもるなど、心を病んだ子どもが増えた。夜眠れない子どもも、太陽に当たることでぐっすり眠ることができる。重要性を感じている」と思いを語る。

「カフェ・ロベ」は、おやつや夕食を低額で提供する食堂のほかに、宿題をサポートする学習塾や、外国にルーツのある保護者などに日本語を教えたり、習字やアート教室などの習い事教室を開催する。(柴田大輔)

■問い合わせ NPO法人居場所サポートクラブロベ 電話:029-886-9318

茨城空港とTXはいいね 《令和楽学ラボ》19

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大塚国際美術館(徳島県鳴門市)で孫たちを写す=筆者撮影

【コラム・川上美智子】新型コロナが少し落ち着きを見せた5~7月、茨城県内での3年間の巣ごもりを解禁し、茨城空港から福岡と淡路島に飛び立ちました。どちらも1泊2日の日程でしたが、十分に目的を果たすことができ、この空港の価値の高さを再認識しました。

若いころから海外旅行が大好きで、成田空港はよく利用してきましたが、お隣に行く気分でローカル空港を活用すると、行動範囲が一挙に拡大することを実感しました。茨城空港のもう一つの魅力は、駐車場が無料で、ドアtoドアで手軽に空港に行けることです。

発着するスカイマーク便は、札幌、神戸、福岡、那覇の国内主要都市と茨城を結び、幼い子どもでも高齢者でも、簡単に短時間で目的地に運んでくれます。また、遠方から容易に旅行客を招き入れることができます。そのためか、家族連れも多く搭乗し、飛行機は満席でした。

先週あたりから、新型コロナ感染症の第7波が猛威を奮いはじめ、次にいつ利用できるかはわかりませんが、人気でチケットの取得が難しいので、便数を増やしてもらえると助かります。

TX延伸は県にとって死活問題

ところで、つくば市と秋葉原を結ぶTXの延伸が大きな話題となっています。振り返ると、TXがつくば市にもたらしたものは想像以上に大きかったと思います。1970年代の筑波研究学園都市の建設、1985年の科学万博開催、2005年のTX開通により、つくばは大きく発展してきました。

建設期のころ、県の公共事業再評価委員を拝命していたことから、つくばの開発現場を視察する機会がありました。そのときは、どこまでも広がる大地や林を前にして、このような田舎に人が住むようになるのだろうかという印象でした。一緒に視察した委員たちも、この開発は大丈夫かなと心配していました。

TXの1番電車にも試乗しましたが、田んぼや畑の中をひた走るTXの車窓からは、建物らしいものはほとんど見えませんでした。

今、TX沿線は住宅ラッシュで、若い家族が増えています。また、私が園長をしている保育園では、東京通勤の保護者や、東京から転入してくる子育て家族が目立ち、つくば市は成長し続けています。このTXの延伸がどうなるかは、県内の市町村にとっては死活問題です。

実現の時期は2050年ごろと言われていますので、我が年代が見ることはかないませんが、高齢社会の中での公共交通という立ち位置を考えると、とても重要な問題です。日本の大都市やアジアの玄関口となるよう、茨城空港へのTX延伸を期待しています。つくば駅から石岡、茨城空港、水戸とつながることが、県全体の発展に大切だと思います。

私は淡路島に生まれました。神戸から船で島に渡る時代は、旅行も大ごとでしたが、明石大橋や大鳴門橋が出来たことで、大きく発展し続けています。今回の1泊2日の旅行でも、島の先にある大塚国際美術館(鳴門市)に、簡単に足を伸ばすことができました。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園長)

前年度比1.5倍の相談件数に 差別の認識高まったか 県障害者差別相談室

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2021年度の報告をする県障害福祉課職員=28日、水戸市福祉ボランティア会館

茨城県障害者差別相談室(水戸市)に2021年度、寄せられた相談は107件で、前年度から1.5倍増加した。28日オンライン開催された同相談室の21年度実績報告会で明らかにされた。報告会には県内の障害者団体のメンバーなど11人が参加した。

相談室は2015年に県障害者権利条例をもとに設置された。県が運営し、障害者やその家族、支援者などから、障害者差別に関する相談を受け付けている。相談内容によっては、関係者双方から事実を確認し、解決策として合理的配慮を提案したり、関係者間の調整などを行う。

相談件数は2016年度の173件をピークに毎年減少していたが、21年度は20年度の68件から1.5倍の増加に転じた。理由について、相談員は「昨年度の相談件数のうち、実際に差別に該当し、相談室の介入を必要とする事例が21件と、相談件数における差別事例の割合も増えている。どのようなことが差別に当たるのか、周知されてきたのでは」と話した。

相談室の介入で解決した具体例として、車いすでも利用できる施設なのに、受付の職員の認識不足で、車いすでの利用を断られた事例や、発達障害で急な変更への対応が難しいため、担当医の変更は早めに教えてほしいと伝えたのに、直前まで教えてもらえなかったケースが紹介された。

感染対策と合理的配慮の両立

一方、コロナ禍での新しい生活様式が定着したゆえの相談も出てきているという。例えば、聴覚障害児が出席する式典で、感染対策のために手話通訳者の立ち位置が登壇者から離れてしまい、両者を同時には見られないため、通訳者の立ち位置を変えてほしいという家族からの相談事例が紹介された。この事例では、相談室から式典開催者に働きかけた結果、感染対策と両立しつつ、可能な限り通訳者を登壇者に近づけ、該当児童の席を通訳者が見やすい位置に配置する対応がとられ、相談者の納得が得られた。

「オンライン授業が広がる中で、情報を得にくくなった聴覚障害者からの相談があるなど、感染対策と障害者への合理的配慮をどう両立させるかについての相談も増えた印象がある」と相談員は話す。

合理的配慮とは、障害者が他の者と同等の生活を営むために必要な環境の調整をいう。車いすでも店に入れるように、入り口にスロープを付けたり、聴覚障害者に筆談で対応すること。2016年施行の障害者差別解消法で、行政機関等は、過重な負担でない限り、合理的配慮を提供することが義務化された。努力義務とされていた民間事業者も、昨年5月の改正により、2024年5月には義務化になる。

今回の報告会では、過去3年間の相談件数における、相談者の障害種別や、医療や教育など、分野別の内訳が報告された。これに対し、参加した障害者等から「県内の地域別内訳も教えてもらえると、私たちも差別相談室の周知活動に協力しやすい」「3年後の差別相談室開設10周年の節目に、開設当初からの相談者の男女比や、分野別の相談件数をまとめてもらい、データをもとに私たち障害者団体も協力しながら、差別をなくしていきたい」などの意見が聞かれた。(川端舞)

朝鮮学校の県補助金再開を求める 土浦で市民団体総会

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朝鮮学校の現状を訴える高石典校長(中央)と「朝鮮学校の子供たちの人権を守る会・茨城」共同代表の尾池誠司弁護士(右)

茨城朝鮮初中高級学校(水戸市)に対する補助金交付を県が停止している問題で、「朝鮮学校の子供たちの人権を守る会・茨城」の共同代表の尾池誠司弁護士は27日、土浦モール505ホール(土浦市川口)での同会総会で、「どんなに時間がかかろうが、(補助金再開が)実現するまで主張していく」と訴えた。この日は、同校の高石典校長が記念講演し、「財政的にも(朝鮮学校が)窮地に追い込まれることによって、ゆくゆくは朝鮮学校をなくしてしまえと言わんばかり」だと補助金交付停止の状況を「不当」と訴えた。

茨城の朝鮮学校、つくば・土浦に原点

私立各種学校にあたる茨城朝鮮初中高級学校へは、都道府県の判断で交付できる準学校法人立外国人学校運営費補助が1981年度から交付されてきた。しかし文部科学省が2015年度、「北朝鮮と密接な関係を有する朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)が教育内容などに影響を及ぼしている」ことなどを問題視して、朝鮮学校が所在する28都道府県の知事宛てに「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について」を通知すると、茨城県は16年度の補助金交付の中止を決定し、現在に至っている。

一方、「人権を守る会」などの支援団体は、県が教育の問題に政治・外交的な問題を持ち込んでいることなどを非難し、同年以降、要望書や、約2万筆の署名を届けるなど、県に対して補助金の再開を求める活動を繰り返してきた。

朝鮮学校は、日本の統治時代に朝鮮半島から渡ってきた人たちの中で、戦後の国土分断、政情不安、朝鮮戦争などから日本に残った約60万人が、子どもたちに母国語を学ばせるために各地に自力でつくった「国語講習所」が原点となった。茨城では、1946年2月に開校した朝連関本初等学院と谷田部初等学校が最も古く、その後、下館、土浦、北条など47年までに22校が開校したとされている。茨城朝鮮初中高級学校は、1953年に前身となる茨城朝鮮中学校が創立され、来年創立70周年を迎える。現在は児童・生徒を含め県内外から48人が在籍している。

県「再開を検討する状況にない」

日本政府は2012年に朝鮮学校を高校無償化から、19年からの幼保無償化制度へは他の外国人学校とともに対象から除外した。さらに、コロナ禍で困窮した学生に国が最大20万円を支給した学生支援緊急給付金制度では、朝鮮大学を対象外とした。

高校無償化からの除外に対しては、これを違法だとし、学校の運営法人や卒業生らが全国5カ所で訴えたが、すべての裁判で敗訴が確定している。しかし、国連の子どもの権利委員会は、高校の授業料無償化から朝鮮学校だけを外した日本政府に対し、「他の外国人学校と同様に扱うべき」であるとし、見直しを求める勧告を出した。また、東京弁護士会は「朝鮮学校に在学する生徒の学習権を侵害し、平等原則に違反するおそれが大きい」と声明を発表している。朝鮮大学を給付金の対象外としたことに対しては、国連人権理事会の特別報告者4人が「差別」であるとして政府に是正を求めている。

NEWSつくばの7月28日の取材に対し、県は、補助金の交付再開について、政府が見解を変更させていないことをあげながら、「状況に何ら変化はなく、再開を検討する状況にはない」とこれまでの主張を繰り返した。