月曜日, 4月 6, 2026

見頃は今月後半に遅れ気味 筑波山頂付近カタクリの花

筑波山山頂付近で薄紫色のカタクリの花が咲き始めている。今年は3月に積雪があったため例年より10日程度遅い開花となっている。つくば観光コンベンション協会によると、例年は4月10日前後が見頃になるが、今年は10日程度遅くなり4月15日から20日ごろになりそうだという。 筑波山はカタクリの群生地で、山頂付近の御幸ケ原や、男体山山頂周辺を周回する自然研究路、ケーブルカー沿いなどに約3万株のカタクリ草が自然のまま群生している。さらに北側の斜面の筑波高原キャンプ場(桜川市真壁町)周辺にもカタクリの群落が広がる。 カタクリは、ユリ科カタクリ属の多年生植物で、美しい薄紫色と2枚の葉の間から一輪の花を凛(りん)と咲かせる姿から、多くの愛好家がいる。 カタクリは、早春に花を咲かせる植物「スプリング・エフェメラル」の一種。直訳すると「春のはかない命」の意味となり、「春の妖精」とも呼ばれる。早春に落葉樹林の林床で美しい花を咲かせ、林床に光が届く初夏までに鱗茎(りんけい、地下茎の一種)に養分を蓄え、夏には地上部を枯らせて休眠する多年生植物を指す。カタクリがその花を咲かせるまでには、7〜8年を要する。 標高800メートルに位置する御幸ケ原の約2ヘクタールの「カタクリの里」では、3月末から可憐な花が咲き始めている。筑波山ケーブルカー筑波山頂駅から、山頂連絡路を女体山山頂の方向へ約100メートルほど進んだところに位置する斜面だ。普段は人が立ち入ることができないが、カタクリの花が咲く時期だけ期間限定で開放される。 カタクリの里付近では3月末、咲き始めたばかりのはかなげな花に、訪れた人が足を止める姿も見られた。 カタクリの生育には、その生活史から春に林床に十分、光が当たる必要がある。下草刈りなどの手入れが必要だが、山頂付近は自然の保護や生物多様性の確保などを目的とした環境法である自然公園法に基づいて特別保護地区に指定されているため、作業にも県の許可が必要だ。手入れはコンベンション協会が中心となり行っている。 同協会の本間亮太さん(37)は「カタクリの群生地には、ニリンソウも生えている。4月中旬にはカタクリとニリンソウ、可憐な花々の薄紫と白の色のコントラストを楽しむことができる」とし「これからゴールデンウイークにかけては、筑波山に多くのお客さんが訪れる季節。花や新緑を味わい、リフレッシュできる良い機会になると思う」と話す。新型コロナ感染予防のため、「こまめな手洗い、マスク着用、咳エチケット、ソーシャルディスタンスの保持など予防対策をした上で、お楽しみください」と呼び掛けている。(門脇七緒) ◆「春の筑波山、始動です。」と銘打つ春のキャンペーンが5月15日(日)まで開催中。例年、春は「筑波山頂カタクリの花まつり」を4月中旬まで開催しているが、今年はコロナ禍でも安心して楽しめるよう、期間を例年より長く設定し、周遊を促すことで、筑波山全体をフィールドとし分散して観光できるように工夫している。問い合わせ電話029-869-8333(つくば観光コンベンション協会)

作り手から使い手へのメッセージ【つくば建築散歩】4

つくばカピオ つくばカピオは、国際会議場よりも一足早い1996年に完成し、竹園公園エリアにおける公共建築物の意匠や高さなどの規範になった施設だが、小ぶりながらアリーナと演劇場を併せ持ち、「寄席も呼べる」と関係者間で話題になった。稼働率の高さやロケ地などでの露出も多い建物のひとつだ。設計は谷口建築設計研究所による。 緻密な空間の職人芸 【鵜沢隆 筑波大名誉教授コメント】「この巨大なボリュームの建築の魅力は、その規模ではなく、空間配置の合理性と明快さにある。そして、この大きな建築の隅々に至るまで、設計者のデザイン的感性が張り巡らされている。寡黙でありながらも、張り詰めた緊張感がこの建築にはみなぎっている。 谷口吉生のこの作品は、屋内スポーツのためのアリーナと劇場としてのホールという2つの機能を併置させたコンプレックス(複合)建築である。全く異なる機能をひとつの空間にまとめあげているのが、公園に面した北側正面の大きなキャノピー(大庇=おおひさし=)である。 8本の細長い鉄骨柱で支えられたキャノピーの東側6スパン(柱間)がアリーナ部分、西側3スパンがホール部分に対応する。南北の奥行きは全く同じであるため、建築はひとつの巨大なキューブとしてまとまられている。 アリーナとホールの境界には、ふたつの機能を管理するための廊下が南北に貫通する。このバックヤードの廊下は来館者たちの動線とは切り離されているため、ほとんど気づかれないが、その廊下の延長線上に、2階レベルで掛け渡されたブリッジがキャノピーの下から北側に伸び出して、ひとつの建築ボリュームに内在するふたつの機能の分割軸の存在を明確に視覚化している。 全く異なるふたつの機能空間をひとつの建築的ボリュームにまとめ上げることは容易ではない。そうした困難を微塵も見せず、むしろ空間の各所を破綻なくまとめあげている技こそが、谷口吉生の作品の真骨頂である。外壁パネルの割り付けから、様々な目地に至るまで、見事に一体的にコントロールされている。谷口のデザイン技法はそれらを声高に主張するのではなく、あくまでも寡黙なままにまとめ上げる、まさに緻密な空間の職人芸である」 「将来、スキルにつながっていったらいい」 【建築散歩】この施設は、当時の住都公団(現UR都市再生機構)が計画し工事発注を行った。 当時、公団筑波開発局内には「建築課」が一定期間設置されていた。メーンの仕事がカピオだったが、そもそも筑波開発局は学園都市やテクノパークといった都市開発、区画整理部隊で、建築課を置くのは少し異例の出来事だった。 ここに在籍していた若手の建築課長の仕事ぶりが印象的だった。建設工事が開始された後も、執務デスクにかじりついて何かをまとめる作業に没頭していた。何を書いているのかたずねると「建物が出来上がった後の運用マニュアル」という答えが返ってきた。 「こういった公共施設をハードだけ作って監理者や地元に投げてしまうのは不親切だと思うのです。こう使えば建物のどこが役立つ、イベントの規模から施設のどれだけの部屋や設備を効率よく使うか判断できる、そういったソフトウエアも提供していかなければ」 建築課長は「それが将来、つくば市のスキルにつながっていったらいいな」と話してくれた。(鴨志田隆之) 続く ➡つくば建築散歩1 槇文彦、筑波大学大学会館はこちら ➡つくば建築散歩2 鵜沢隆、筑波大学総合研究棟Dはこちら ➡つくば建築散歩3 坂倉建築研究所、つくば国際会議場はこちら ➡つくば建築散歩5 伊東豊雄、南3駐車場はこちら ➡つくば建築散歩6 妹島和世、ひたち野リフレはこちら ➡つくば建築散歩7 磯崎新、つくばセンタービルはこちら (敬称略)

重要案件で蚊帳の外 つくば市の陣笠議会 《吾妻カガミ》130

【コラム・坂本栄】総合運動公園計画が2015年の住民投票で覆されてから7年。つくば市は3月、ずっと放置されていた用地を民間に売り払うことを告知。これに反対する声が市民から湧き上がり、本サイトのコメント欄にも賛否の意見が書き込まれています。ところが、議会はこの重要案件で「蚊帳(かや)の外」に置かれ、その役割を果たしておりません。 130を超える意見については、コラム129「公有地売却に見る『逃げ』の…市長」(3月21日掲載)のコメント欄をご覧ください。また、記事「一括売却へ…公募開始 総合運動公園用地」(3月8日掲載)、記事「…(市長)リコール運動へ…受任者集め…」(3月10日)では、ことの経緯がリポートされています。 購入手順とは大違いの売却手順 この公用地売却について、①(賛成は少ないのに)なぜ市民の声を無視するのか、②なぜ議会にその是非を諮らないのか、③なぜ民間売却に固執するのか―と、前回コラムで疑問を呈しました。②の市が議会承認は不要と判断した理由は、用地は市土地開発公社が保有し、市の直接財産ではないから、議会の同意は必要ない―ということだそうです。 用地は広い意味で市の財産ですから、この説明は何か変です。「売却」が「購入」の逆のプロセスだとすれば(購入がゼンマイを巻く作業なら売却は巻いたゼンマイを解く作業)、購入のプロセスを見れば、売却の正しい作法が見えてくるはずです。そこで、購入の経緯を調べました。 公社が運動公園用地をUR都市機構から購入する際、公社は土地代66億円を銀行から借り、その借金を市が保証しました。貸し倒れが生じても、市民が納める税金から返してもらえると、銀行は安心したことでしょう。また、公社の借金は複数年度にわたる市の予算から返済されました。言うまでもなく、市の債務保証と返済予算は議会の承認を得ています。 つまり、ゼンマイを巻くときは何度も議会のOKをもらっているのに、ゼンマイを解くときには議会のOKは要らないというのは、おかしな理屈です。コソコソ処分するのではなく、議会に諮るのが正しい作法ではないでしょうか。そうしないのは、公社をタテにして、議会から(否決されるのが怖くて)逃げ回っているとしか思えません。 議会が市の「逃げ」を止めないのも何か変です。議会の決を採るよう議員から提案し、公有地売却の是非について議会の判断を示すべきでしょう。つくば市議会はそういった仕事もできない、陣笠議員の集まりなのでしょうか? 売却は地方自治法・市条例違反 ここまで書いてきて、五十嵐市長解職(リコール)運動を展開している市民グループが、運動公園用地の民間一括売却は違法だとし、市に「監査請求書」を提出したことを知りました(青字部を押すと全9ページが表示されます)。 監査請求では、公社は事実上「市の一部局」であり、その公社が所有する土地を議会の承認を得ないで処分するのは、地方自治法96条1項および市条例第22号に違反すると指摘。売却を差し止めるよう要求しています。私の緩~い「正しい作法」論と違い、違法と判断した複数の厳しい視点が提供されており、とても勉強になります。(経済ジャーナリスト)

お隣さんへの「登城」記念に 土浦市立博物館で「御城印帳」販売

全国各地の城郭でさかんになる「御城印帳」、土浦城に隣接する土浦市立博物館(同市中央)でも3月から取り扱いを開始した。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にあやかる特別展の関連企画だが、表紙に描かれたお城のイラストが土浦らしい「ローカルチャー」をしっかりアピール、評判上々の滑り出しを見せている。 神社や寺院を訪ねた際に頂戴する「御朱印」がブームになるとともに、城郭登城の記念となる「御城印」も広がりを見せている。その数は全国で1000以上になるという。県指定史跡の土浦城が2017年、公益財団法人日本城郭協会による「続日本100名城」に認定されたのを機に、同博物館が御城印を作ると、来場者から御朱印帳を求める多くの声が寄せられた。 今回製作したのは、重厚感のある藍色と、上品な鮮やかさをもつ朱色を基調とした2種類の「御城印帳」。和紙調の柔らかい手触りの表紙には、土浦城櫓門(やぐらもん)と東櫓、歴代の主だった土浦城主にまつわる4種の家紋があしらわれている。同市では初めての試みで、県内では、水戸城、かすみがうら市歴史博物館に次ぐ3例目となる。 デザインは、土浦市職員の若田部哲さんが担当した。若田部さんは、オリジナルのイラストと記事で、霞ケ浦流域のグルメやレジャー、文化などを紹介する個人ページ「日本一の湖のほとりにある街の話」で昨年、ウェブサイトコンクール「TCDアワード2021」の最優秀賞を受賞する(21年8月2日付)など、独特のイラストが高く評価されている。若田部さんは「これまでの御城印帳ファンを含めて、女性や若い方にも手に取りやすいものをと考えた」と制作にこめた思いを話した。 5月8日まで合同企画開催中 同博物館では3月から、「鎌倉殿の13人」の一人「八田知家」にスポットを当てた「八田知家と名門常陸小田氏-鎌倉殿御家人に始まる武家の歴史」の開催中(3月19日付)で、これに合わせ販売を開始した。 さらに合同企画として、上高津貝塚ふるさと歴史の広場(考古資料館、同市上高津)がテーマ展「中世から近世へ―小田氏が活躍した時代の考古学」を、土浦市民ギャラリー(同市大和町)が「サムライたちのデザイン-諏訪原寛幸イラスト展」を、共に5月8日まで同時開催している。 同期間内、関連図書コーナーを設置した市立図書館も含め、市内15カ所の小田氏ゆかりの場所を巡るスタンプラリーも展開する。集めたスタンプの数に応じて、諏訪原寛幸さん書き下ろしのオリジナルイラストによる、八田知家、小田氏治をあしらった「武将印」やクリアファイルと交換できる。「武将印」は、市立博物館で販売される2種類の「土浦城御城印」(300円)と共に、御城印帳に収納可能だ。 市立博物館で学芸員を務める萩谷良太さんは「街の中心に位置する土浦城は、市民の憩いの場として生活に根づく。市民の方々には、身近な文化財への関心を、市外の方には土浦や土浦城のことを知っていただくきっかけにしていただきたい」と、一連の企画へ込めた思いを語った。 御城印帳はA5判、一部2500円。蛇腹状になった42ページそれぞれにクリアポケットがあしらわれ、ハガキサイズの御城印を差し込むことができる。裏面にはポケットはついておらず、糊付けも可能。市立博物館のほか、土浦市観光協会・土浦まちかど蔵「大徳」(同市中央)で販売。土浦市民ギャラリー(同市大和町)でも5月8日まで購入できる。(柴田大輔)

水害から立ち直るリニューアル 筑波山麓のペット葬祭場で竣工式

犬のテーマパーク、つくばわんわんランド(つくば市沼田)に3日、ペットの葬祭場「わんわんメモリアルパーク」がオープンした。竣工式がこの日行われ、施設を運営するサンスイグループの東郷治久代表ら関係者が出席した。 同施設では2019年10月、台風19号による河川増水により、ペットの葬儀・火葬が可能な霊園「ペットメモリアルパーク紫峰苑」が浸水し、営業を中止していた。今回、施設を一新してのリニューアルオープンとなる。 新しい葬祭場は、火葬塔と納骨堂を併せ持つ。敷地面積約1000平方メートル、建築面積約140平方メートルと水害前の6倍の規模となる。水害の際、約1.5メートルに及ぶ浸水があったことから、火葬場と納骨堂を約500メートル移転し、地盤のかさ上げを行った。 火葬場には、最大60キログラムの大型犬の火葬が可能な火葬炉を新たに導入し、敷地内の合同墓地への埋葬までを含む「合同火葬」、一頭ずつ火葬を行う「個別火葬」、お骨拾いまで一緒に行う「立ち合い火葬」など、予算や希望に沿ったプランを選ぶことができる。また、火葬棟と隣接する納骨堂には、371室を備えた個別納骨棚を新設し、スペースの広さや位置によって3つのタイプから選ぶことができるようになっている。 併設のわんわんランド、つくば国際ペット専門学校を運営するサンスイグループの東郷治久代表は、竣工式後の挨拶で、水害からの再開をうれしく思うとした上で、「日本でも類を見ない、『(ペットにとっての)ゆりかごから墓場まで』をサポートする『ペットの総合企業』として歩みを止めず、質・内容の伴う企業を目指していく」と今後の決意を語った。(柴田大輔) ◆わんわんメモリアルパーク利用料(すべて税込み) 【火葬料金】合同火葬(埋葬料込み)7700円から 個別葬1万1000円から 立ち合い火葬1万4300円から(※体重によって異なる) 【納骨料金】スタンダード1万9800円から プレミアム3万800円から ロイヤル4万1800円から(※スペースや位置によって異なる) 【個別墓地料金】墓地代(小)3万8500円から 墓地代(大)5万5000円から 墓石大(小)5万3900円から 墓石大(大)17万9300円から(※墓地代+墓石代が必要となる) 詳細はこちら(わんわんメモリアルパーク公式ホームページ)電話番号:029-866-1002

自治体営繕課による意欲作【つくば建築散歩】3

つくば国際会議場 筑波研究学園都市中心部にあるつくば国際会議場(エポカルつくば)は、1999年に開館した。学園地区の公共建築整備のガイドラインの一つであり、周辺の公園や市街地に圧迫感を与えず、街並みと融合するような軒高を与えられている。この施設の建設に当たって民間から、現在つくばセンタービルの改修を手がける坂倉建築研究所が参加したが、設計主体は茨城県土木部営繕課だ。 現実超えた過剰性 【鵜沢隆 筑波大名誉教授コメント】つくば市で坂倉建築研究所が実現した最大の建築空間。国際会議場という特異な施設機能がつくばで成立しうるか否かについては、計画当初から熾烈(しれつ)な議論があった。そうした議論をねじ伏せるかの如く、茨城県が推進したこのプロジェクトを坂倉建築研究所は具体的な空間としてデザインした。この施設の膨大な空間的ボリュームを、都市と調和的に馴染ませる空間配置の設計手法は、成功したかに見える。 しかしながら、既に計画当初から指摘されていたこの施設の特殊性が、竣工直後からすでに問題を顕然化させることとなった。つまり、つくばの地に主要な国際会議が招致できないというジレンマに直面することとなった。茨城県の潤沢な予算を受けて坂倉建築研究所が設計した国際会議場という施設は、街の風景に紛れてはいるが、有効活用されぬままに、つくばの過剰な施設となった。 国際会議場の充実した設備は、繰り返される小規模の集会程度では、完全に消化不良をきたしている。ここでしばしば開催されている、和服の着付け教室やら美容講座など、目を覆いたいほどの現状である。現実を超えたこの施設の過剰性がこの建築の全てであり、茨城バブルの建築的象徴である。 つくば市に坂倉建築研究所が実現した多数の建築群の中でも、その初期の南1駐車場の設計思想と比較すると、この国際会議場には明確な設計理念は認められない。ぜいたくな仕上げ材やほとんど人気のないうつろで巨大なホワイエなどが目立つだけである。つくば市の国際会議場という非日常的な機能を、新たな建築的空間として提示し得なかっただけでなく、単に都市の風景の中に埋没させただけである。 東京都に続き設計競技方式を駆使 【建築散歩】地方自治体による公共建築設計は、80年代に東京都財務局が設置した建築設計候補者選定委員会が、若手建築家の発掘や国際レベルの設計競技を実施し活躍した。この動向に続いたのが茨城県。土木部営繕課が様々な設計協議方式を駆使して、県内の大型建築でそれにふさわしい設計者を選出した。県土木部には内製で設計を手がけるという事例もあり、地方公共団体としては優秀な技能士職員が育っていた。 国際会議場もそのひとつ。この当時、営繕課担当者からうかがったエピソードは「会議場の1階空間を通して、建物内外の壁や窓の感覚的な隔たりを無くしたい」というものだった。その発想が、1階フロアの広々とした間取りと、そこから眺めることのできる竹園公園やつくば公園通りとの連続性をもたらしているが、樹木が成長した現在は、2階フロアからの眺望が、学園都市の緑被率の高さを再認識できる。(鴨志田隆之) 続く ➡つくば建築散歩1 槇文彦、筑波大学大学会館はこちら ➡つくば建築散歩2 鵜沢隆、筑波大学総合研究棟Dはこちら ➡つくば建築散歩4 谷口吉生、つくばカピオはこちら ➡つくば建築散歩5 伊東豊雄、南3駐車場はこちら ➡つくば建築散歩6 妹島和世、ひたち野リフレはこちら ➡つくば建築散歩7 磯崎新、つくばセンタービルはこちら (敬称略)

かすみがうらマラソンコースを自転車散歩《ポタリング日記》7

【コラム・入沢弘子】今年は3年ぶりに日本有数の市民マラソン大会「かすみがうらマラソン」が開催決定。参加予定者の方々は胸躍る思いでしょう。 そんな気持ちを少しだけ味わいたいと思い、私も10マイルコースを折り畳み自転車で走ってみました。今回はナショナルサイクルルートに指定された「つくば霞ケ浦りんりんロード」の霞ケ浦コースのごく一部。短い区間でしたが、他地域の自転車用道路と比べ、地面の凹凸や樹木の根などの障害物がなく、景色を楽しむことができ、最高のポタリングになりました。 快晴の土曜日午前9時。「りんりんポート土浦」の駐車場はまだ余裕がありました。トランクから愛車「BROMPTOM(ブロンプトン)」を取り出し、スタート地点に向かいます。 一昨年開催予定だった、第30回記念大会時にリニューアルしたスタートゲートに到着。未使用のゲートから、ランナーより少しお先に自転車で出発しました。新川を渡り、境川と並行する県道へ。この道の広い歩道は自転車通行可なので、私のような初心者ポタリストは安心です。 左手は一面のハス田の平坦な直線道。シラサギがゆるやかに飛び交っています。土浦バイパスにぶつかったら右折。両側にハス田が広がっています。今の時期は水面だけですが、初夏から秋にかけては、波のように風に揺れるハスの葉や花が見られます。 手野町南の信号を越すと、道は緩やかな上り坂になりました。民家と雑木林の単調な景色と重いペダル。ギアチェンジし、ラデッキー行進曲を歌いながらリズミカルにこいでいきます。坂を上り切った手野町信号から折り返し。途中に勾配(こうばい)4.5パーセントの標識がありました。下りは霞ケ浦越しに富士山が望める絶景です。 霞ケ浦の前に広がるハス田 坂の下に戻ったら信号を左折。石岡田伏土浦線に入ります。JA水郷つくばれんこんセンター、レンコン直売所、レンコン農園とレンコン尽くし。通称・レンコン街道です。道路から霞ケ浦まで広がる一面のハス田。今は植え付け前の準備・代かきの最中です。あぜ道には作業の軽トラックがたくさん止められていました。 沖宿郵便局を越したところで、霞ケ浦名産の看板が目に入ります。おなかが空いたので行ってみることに。「常盤商店」は、以前に土浦ブランドの仕事でお世話になったお店。住宅地の一角で、紺色の暖簾(のれん)が迎えてくれました。霞ヶ浦で獲れた魚からシラウオとエビの加工品を購入。 折り返し点から湖岸道に出ました。聞こえてくるのは、小さな波音とヒバリの声。この田村地区は土浦藩4代藩主・土屋篤直(つちや・あつなお)が編んだ「垂松亭(すいしょうてい)八景」に詠まれた場所。道沿いの古い水天宮・水神社は、霞ケ浦と肥沃(ひよく)な土地に恵まれたこの場所の農業・漁業を見守ってきたのでしょう。 霞ケ浦越しに見える、土浦駅周辺のビル群を眺めながら走っていると、あっという間にりんりんポートに到着。出発から1時間、16キロの小さな旅でした。 「かすみがうらマラソン」まであと2週間。当日の好天候と、参加者の皆さんが安全に楽しめることをお祈りしています。(広報コンサルタント)

ホーム開幕戦はドロー つくばFCレディース

プレナスなでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)2部、つくばFCレディースの今季ホーム開幕戦が2日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアムで開催され、静岡SSUボニータと対戦し0-0で引き分けた。現在の通算成績は0勝1分1敗、2日時点の順位は10チーム中9位。 プレナスなでしこリーグ2部・第2節(4月2日、セキショウチャレンジスタジアム)つくばFCレディース 0-0 静岡SSUボニータ つくばFCにとって、なでしこ2部で2季目となるシーズンが始まった。昨季は天然芝ピッチのひたちなか市総合運動公園陸上競技場をホームスタジアムとしていたが、今季はセキショウチャレンジスタジアムがJFA公認のロングパイル人工芝に張り替えられたため、慣れ親しんだつくばの地で、ファンやサポーターの応援を身近に受けながら戦うことができる。 新主将の原嶋祐芽は「久しぶりのセキショウで応援の力を感じた。新しい芝は長めでボールが走らないので、ビルドアップからパスがつながるよう、止める蹴るの基礎をしっかりやることを意識した」と話す。 対戦相手の静岡SSUボニータ(静岡SSUアスレジーナから名称変更)は、昨季3位でシーズンを終え、つくばには2戦2勝している強豪だ。つくばは右の山口恵実、左の藤井志保らがサイドを起点にボールを運ぼうとするが、なかなか前線に収まらない。一方、相手FWの三好茜はまだ18歳ながら前線の仕事を一人で幅広くこなし、センターバックの渋谷巴菜、高田莉緒とたびたび激しいバトルを繰り広げた。前後半を通じてのシュート数は、静岡の17本に対しつくばはわずか4本。 「相手は体格や足元の技術など個の力が高く、われわれはその差を集団で補おうと、ボールを簡単に手放さず、勇気を持って運ぶことを心掛けた。もっと守備からだけでなくこちらのリズムで試合をしたかった」と、試合後の橋野威監督。 ただし惜しい場面も作った。後半36分、沖土居咲希の右サイド深くからのクロスに、石田永愛がゴール前へ飛び込み、つま先で合わせるが、惜しくもゴール左へ外れた。さらに後半アディショナルタイム、藤井のクロスを岸川りなが頭で折り返し、中央で松田留光那が反転シュート。これはネットを揺らすもののオフサイドの判定となった。 「最初はオーバーヘッドしようかと思ったが、相手DFが来てなかったのでトラップして打った。オフサイドになりすごく悔しい。今日は私の誕生日なので絶対勝ちたかった。次こそ勝ち点3を取れるよう頑張る」と松田のコメント。 次節は9日、ヴィアティン三重レディースと、アウェーの朝日ガスエナジー東員スタジアム(三重県東員町)で対戦する。今季なでしこ2部に昇格し、昨季までチームメートだった鈴木朝恵も在籍するクラブなので、プライドに懸けてもつくばは負けられない。(池田充雄)

「解のない時代、社会の求める人材に」 筑波学院大学で入学式

筑波学院大学(つくば市吾妻)で2日、2022年度の入学式が行われた。留学生3人を含む61人が入学し、新たな一歩を踏み出した。新入生代表でILA(国際リベラルアーツ)コースの才川峻大(さいかわしゅんだい)さんが入学誓約書を提出した。 望月義人学長は、ロシアのウクライナ侵攻や、国内の経済成長の停滞などについて触れ、「激動の時代、解決の難しい時代に私たちはどのように対処すればよいのか、その答えを見つけ出すのは容易なことではない」と述べた。また4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことについて「皆さんには権利と共に責任が求められる。選挙権も与えられ政治参加の機会も持っているが、この権利を生かすも殺すも皆さんの意識次第。その権利を生かすためには、何よりも判断力の元となる幅広い教養を身に付けること」だと呼び掛けた。 同大には昨年度から、英語ですべての授業を行うILA(国際リベラルアーツ)コースが設けられた。新入生は、様々な専門分野を学ぶ総合コースかILAコースのいずれかのコースで学び、2年次から人文科学、社会科学、経営学、情報デザインの4つの分野を専門科目として選択する。4つの分野は専攻の壁を越えて履修することができる。 望月学長はこのようなカリキュラムの特徴についても説明し「これらの授業を満遍なく履修することで、英語で仕事ができる公務員、経営に強いデザイナー、プログラムが書けITに強いビジネスマンなど社会の求める人材になれると確信している」と話した。さらに「何かの答えを見つける際にインターネットで検索すればすぐ答えが見つかる気がするかもしれない。しかし、解のない時代、本当に大事な場面で生きるのは、自分で考え抜き、試行錯誤をした経験だと思う。専門性を追求するのも大事だが、それ以上にベースとなる教養をまず身に付けてほしい。本を読んで、人と議論し、新聞などのメディアに接して、さまざまな世界があることを知る。入学を機会に、考え、試行するという過程を大切にしていただきたい」と式辞を述べた。 橋本綱夫理事長は、小さな達成と新しい刺激を積み重ねて、来たるべきチャンスに備えてほしいと話し、「いろんなことに興味を持って、疑問を持って、そこから学びを深めていってほしい。いろんな専門分野の先生がいらっしゃるので、皆さんの好奇心、探究心にどんどん応えていってくれると思う。ぜひ教職員の先生方を活用し、学びを深めていってほしい」とあいさつした。 これを受け、新入生代表の伊藤陸さんは「このコロナの逆風の中で、あきらめず進み続けられた私たちならば、それぞれの目標を達成できると信じている。私たちは運命でつながっており、大学生活においても互いに協力することができる。この恵まれた環境で学ぶことの楽しさや新しい仲間との出会いを大切にし、大学生活をより良いものにしていきたい。それぞれが掲げている目標に向かってかじを取るのはもちろんのこと、物事を多角的視点から見られるようになるためにこれから様々なことに挑戦したい。ゆくゆくは社会に貢献できる人間に成長したい」と宣誓した。 式典に臨んだ新入生の髙橋つかささんは「この日を迎えられてうれしい。大学ではサークル活動をしてみたい」と大学生活への希望を話した。 式典は、新型コロナ感染防止のため新入生と教職員のみで行われ、保護者の出席はなかった。新入生は入り口での検温と手指のアルコール消毒を行って入場、1席ずつ開けて着席した。(田中めぐみ)

キャンパスの風景変える開放系のファサード【つくば建築散歩】2

筑波大学 総合研究棟D 2000年代初頭、筑波大では部分的なキャンパスリニューアルを進め、次世代研究や授業の拠点となる施設を新築した。中でも、従前の大学施設に見られる茶褐色系の落ちついた意匠から離れ、メタル系の外装とガラスカーテンウオールを駆使した斬新な建物として2004年に完成したのが総合研究棟Dだ。本連載のコメンテーターである筑波大学名誉教授の鵜沢隆さんの設計作品でもある。 視点の移動で表情が変化 【鵜沢名誉教授コメント】「学内を環状に循環するループ幹線道路の南端の敷地に、新たな大学院教育・研究施設を設計するにあたり、道路に沿って湾曲した建築のボリューム計画が、その必然的なスタートラインであった。それに対して大学施設部からは、他の大学施設との連続性から、キュービックなボリュームの建築が強く求められたが、最終的にはデザインに対する全面的な理解と支持を獲得して実現した。 主要な設計意図は、緩くカーブする開放的で、柔らかな外観の表現と、連続的に変化する道路からの視点に応じて表情が変化する、建築の外観の実現にあった。 そこで採用されたファサード(正面の外観)の素材が、開放的なガラスとFRP(繊維強化プラスチック)のグレーチング(格子状の構造材)であった。FRPのグレーチングは、視点の移動による表情の変化が意図されただけでなく、直射日光や西日のコントロールのためにも採用された素材であった。その結果、教育・研究施設としての開放的な空間を実現したばかりか、筑波大学の新しい建築のシンボルとして学内外から受け入れられることにもなった。 建築の外観のみならず、各階のインテリアには様々なデザイン的仕掛けが施されているが、教員や学生たちには、それらのデザインはすでに日常的な風景となっているようだ」 次世代のイメージを実現 【建築散歩】この建築プロジェクトで、名誉教授で建築家の鵜沢隆さんと出会った。 当時、芸術学系教授であった鵜沢さんは、学生が通って快適さを感じる開放的な建物を提案した。建物はキャンパス内をループする周回道路沿いの建設敷地で、周回道路に沿った外観を特徴とするような配置計画を描き、実際の研究棟も道路側ではけやき通りからかえで通りに連なる道の、アールに寄り添うような曲面で建設されている。 このファザードが、今ではスタンダードとなった金属製ルーバー(細長い板を平行に複数並べたもの)による意匠表現を与えられ、研究棟本体がコンクリートの塊である様子を感じさせない。ルーバーの内側はサッシュ(窓枠)を含めたガラスのカーテンウオールが見え隠れしており、質実剛健な印象を与えた他の総合研究棟に対して、並木道と融合した次世代のキャンパスイメージを実現させた。 設計は、東京ビッグサイトの設計で有名な佐藤総合計画が協力している。佐藤総合計画は、土浦市役所旧庁舎(2020年5月17日付)や改修以前の土浦市民会館(20年5月16日付)を手がけた佐藤武夫建築設計事務所が前身だ。(鴨志田隆之) 続く ➡つくば建築散歩1 槇文彦、筑波大学大学会館はこちら  ➡つくば建築散歩3 坂倉建築研究所、つくば国際会議場はこちら ➡つくば建築散歩4 谷口吉生、つくばカピオはこちら ➡つくば建築散歩5 伊東豊雄、南3駐車場はこちら ➡つくば建築散歩6 妹島和世、ひたち野リフレはこちら ➡つくば建築散歩7 磯崎新、つくばセンタービルはこちら (敬称略)

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