全国各地の城郭でさかんになる「御城印帳」、土浦城に隣接する土浦市立博物館(同市中央)でも3月から取り扱いを開始した。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にあやかる特別展の関連企画だが、表紙に描かれたお城のイラストが土浦らしい「ローカルチャー」をしっかりアピール、評判上々の滑り出しを見せている。
神社や寺院を訪ねた際に頂戴する「御朱印」がブームになるとともに、城郭登城の記念となる「御城印」も広がりを見せている。その数は全国で1000以上になるという。県指定史跡の土浦城が2017年、公益財団法人日本城郭協会による「続日本100名城」に認定されたのを機に、同博物館が御城印を作ると、来場者から御朱印帳を求める多くの声が寄せられた。
今回製作したのは、重厚感のある藍色と、上品な鮮やかさをもつ朱色を基調とした2種類の「御城印帳」。和紙調の柔らかい手触りの表紙には、土浦城櫓門(やぐらもん)と東櫓、歴代の主だった土浦城主にまつわる4種の家紋があしらわれている。同市では初めての試みで、県内では、水戸城、かすみがうら市歴史博物館に次ぐ3例目となる。
デザインは、土浦市職員の若田部哲さんが担当した。若田部さんは、オリジナルのイラストと記事で、霞ケ浦流域のグルメやレジャー、文化などを紹介する個人ページ「日本一の湖のほとりにある街の話」で昨年、ウェブサイトコンクール「TCDアワード2021」の最優秀賞を受賞する(21年8月2日付)など、独特のイラストが高く評価されている。若田部さんは「これまでの御城印帳ファンを含めて、女性や若い方にも手に取りやすいものをと考えた」と制作にこめた思いを話した。
5月8日まで合同企画開催中
同博物館では3月から、「鎌倉殿の13人」の一人「八田知家」にスポットを当てた「八田知家と名門常陸小田氏-鎌倉殿御家人に始まる武家の歴史」の開催中(3月19日付)で、これに合わせ販売を開始した。
さらに合同企画として、上高津貝塚ふるさと歴史の広場(考古資料館、同市上高津)がテーマ展「中世から近世へ―小田氏が活躍した時代の考古学」を、土浦市民ギャラリー(同市大和町)が「サムライたちのデザイン-諏訪原寛幸イラスト展」を、共に5月8日まで同時開催している。
同期間内、関連図書コーナーを設置した市立図書館も含め、市内15カ所の小田氏ゆかりの場所を巡るスタンプラリーも展開する。集めたスタンプの数に応じて、諏訪原寛幸さん書き下ろしのオリジナルイラストによる、八田知家、小田氏治をあしらった「武将印」やクリアファイルと交換できる。「武将印」は、市立博物館で販売される2種類の「土浦城御城印」(300円)と共に、御城印帳に収納可能だ。
市立博物館で学芸員を務める萩谷良太さんは「街の中心に位置する土浦城は、市民の憩いの場として生活に根づく。市民の方々には、身近な文化財への関心を、市外の方には土浦や土浦城のことを知っていただくきっかけにしていただきたい」と、一連の企画へ込めた思いを語った。
御城印帳はA5判、一部2500円。蛇腹状になった42ページそれぞれにクリアポケットがあしらわれ、ハガキサイズの御城印を差し込むことができる。裏面にはポケットはついておらず、糊付けも可能。市立博物館のほか、土浦市観光協会・土浦まちかど蔵「大徳」(同市中央)で販売。土浦市民ギャラリー(同市大和町)でも5月8日まで購入できる。(柴田大輔)