月曜日, 4月 6, 2026

《映画探偵団》41 いま、つくばは「西部劇」の舞台

【コラム・冠木新市】記念すべき第1回アカデミー賞授賞式は1929年5月16日、米国ロサンゼルスのルーズベルト・ホテルで開催され、玄関には彫刻家コディ・ヒューストン作のブロンズ像が飾られた。この像は西部劇の撮影を表現したもので、ジョン・フォード監督や14人のカウボーイスターの雄姿が彫られてある。長い間、多くのファンに愛された彫刻物だが、いまは米国には残っていない。どこに消えたのか。 実はつくば中心市街地の市民ギャラリー休憩所に無造作に置いてある。説明プレートの右上は欠け落ち、全体を白いテープで止めてある。私が『つくつくつくばの七不思議 サイコドン』(ACCS)でロケしたときには、ゴキブリの死骸を片付けて撮影した。米国から寄贈されたアート作品をこのままにしておいてよいのだろうか。 C・イーストウッド監督・主演『許されざる者』 第1回アカデミー賞の翌年1930年の5月31日、後の大スターで名監督クリント・イーストウッドが生まれた。現在90歳になるが、監督・主演の新作に取り組んでいて生きる映画史ともいえる。イーストウッドは日本、欧州で映画作家として認められ、米国では遅れて評価された。最後の西部劇と言われた『許されざる者』(1992)で第65回アカデミーの作品賞と監督賞を授賞した。この作品は正義とは何かをめぐって一筋縄ではいかない内容となっている。 ウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)は冷酷な殺し屋だったが、3年前に亡くなった妻のおかげで改心し、幼い息子と娘を育てている貧しい農夫だ。そんな彼のもとに若い男から殺しの誘いがくる。ビック・ウィスキーという町で、若い娼婦の顔が牧童から滅多切りにされた。娼婦たちは保安官のリトル・ビル(ジーン・ハックマン)に訴えるが、軽い刑で済ませる。怒った娼婦たちは貯えなどをはたいて1000ドルの賞金を作る。マニーは牧童殺しの仕事を昔の仲間を誘って引き受ける。 保安官のビルは町での拳銃所持を禁じ、自分1人で家を建て、強固な信念で町を守る一見正義を体現する人物に映る。しかし威圧的で過剰な暴力をふるい、流れ者やグズを下劣と見なしている。保安官助手に言わせると、ビルの建てている家は歪んでいる。町に入ったマニーは、ビルから殴り倒され瀕死(ひんし)の重症を負う。そして顔に傷を負った若い娼婦の看病を受ける。マニーは若い娼婦を心根の美しい女性だと見ていることが分かってくる。 「中心市街地リニューアル」は是か否か 『広報つくば3月号』が発行された。「つくば中心市街地の魅力づくりが本格化します」「つくばセンタービル・センター広場のリニューアルを進めています」と、初めて内容が市民に発表された。市のホームページでチェックしていない市民にとっては、いきなり号外のように感じたのではなかろうか。 「スマートシティ」や「スーパーシティ」のニュースは次々流れてくるが、中心市街地リニューアルの件は1年近く伏せられてきた。これから、強引にセンター広場の階段は壊され、エスカレーター2基が付けられる。アイアイモールは変形し、窓ガラスは全部取り替えられ、イノベーションセンターには意味のないテラスが造られる。 私はぜひ知りたい。つくば市議会議員が『許されざる者』を見たとしたら、保安官のビルを支持するのか、改心したマニーを支持するのか、を。いま、つくばセンターでは文化をめぐって「西部劇」が繰り広げられている。アカデミー記念の彫刻はセンタービルのホテルロビーに置くのがふさわしいと思う。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

「最年少」から4年 毛塚副市長3月末で退任 つくば市

【鈴木宏子】つくば市の毛塚幹人副市長(30)が、任期満了に伴って3月末で退任する。2017年4月、最年少の副市長として26歳で就任した。 10日開かれた市長定例会見で退任のあいさつをした。毛塚副市長は「当初から1期4年間と決めていた」とし「つくば市との縁は終わりではない。今後、つくば市に貢献できるやり方を考えていきたい」と話した。退任後については「検討中」だとし「言及は避けたい」と述べた。 毛塚氏は栃木県出身、東大法学部卒。財務省を退職し副市長になった。2019年には米国の経済雑誌「フォーブス」日本版が選ぶ「世界を変える30歳未満の30人」に選ばれ、「地方自治体の行政改革の担い手として圧倒的な実行力で変革を起こしている」などと評価された。 副市長としての実績については、スタートアップ戦略の策定や、起業を支援する「つくばスタートアップパーク」の立ち上げ、行政の事務の仕事を自動化するRPA実証実験、高い改ざん防止技術を備えたブロックチェーンという技術を用いたインターネット投票の実証実験などを挙げ、「つくば市にとどまらず全国的にも意味があった」などと振り返った。 市の今後の課題については、市が掲げる「世界のあしたがみえるまち」について、「市役所だけで話をしていてもしょうがないので、多様な市民、様々な主体、市外の様々な主体とも連携し、取り組みの輪を広げていくことが必要」などと話した。 後任の副市長は、3月議会最終日の19日、提案される。五十嵐立青市長は「その時その時で市の状況は違うので、状況に合わせて適材に活躍してもらうことが必要。人事案件なので議会に示してから考えをお伝えしたい」などと話した。

コロナ禍を異国の地で乗り越える つくば国際語学院で卒業式

【伊藤悦子】つくば文化学園(東郷治久理事長)が運営する日本つくば国際語学院の卒業式が9日開かれた。2年間の課程を終了した留学生9人と、一般の在日外国人向け日本語レッスンの修了生3人が新たな一歩を踏み出した。 式は、理事長が代表を務めるサンスイグループのつくば山水亭(つくば市小野崎)で行われ、学校関係者や在校生らが列席。新型コロナ感染対策のために、全員マスク着用、検温をしたあとアルコールで手を消毒して入場し、席は約1メートル離して着席した。 青色のガウンをまとい、四角い帽子をかぶった卒業生らに向けて、東郷理事長は「皆さんはコロナのまん延や慣れない異国の地での生活などさまざまな困難を乗り越え、よくここまで頑張ってくれた。卒業はさらなる夢を叶える通過点。この先も、学校で学んだことを思い出してほしい」とエールを送った。 卒業証書を理事長から授与された卒業生は、一人ひとり壇上に上がり、流ちょうな日本語で学院での思い出や感謝の気持ちを語った。ベトナム出身の女子学生グエン・ティ・フェンさんが感極まって声を詰まらせると、卒業生や在校生、教員らが拍手で励ましていた。 在校生を代表して、韓国出身の男子学生チョ・ヨンヒョンさんは「後悔しながら生きるのではなく、挑戦する人生を送ってください」と力強く送辞を述べると、卒業生に立ち上がるように促し、「いつも私たちを信じてくれた先生たちに礼をしましょう」と呼び掛けた。 卒業生代表、中国出身のコカさんは「2020年は僕にとってコロナで思うような活動ができず大変な1年だったけれど、みんなで助け合ってここまでたどりつけました。すべてが宝物です」と答辞を述べた。 式の後半では卒業生らが制作した動画を鑑賞する時間が設けられ、会場は拍手や笑い声に包まれて一気に和やかな雰囲気になった。閉会後、卒業生らは、教員や友人たちと記念撮影をしながら別れを惜しんでいた。

作家の夢が膨らんだ土浦時代 新川帆立さんインタビュー

【池田充雄】宝島社主催の昨年の第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した新川帆立さんの『元彼の遺言状』は1月に刊行されるや、1カ月半で18万部を突破し、今も部数を伸ばし続けている。東京大学法学部卒業、弁護士、そしてプロ雀士としての活動経験もあるという異色の作家だが、高校時代の3年間を土浦で過ごした経歴から、地元にもファンを増やしている。土浦で作家の夢が膨らんだという新川さんに、当時の思い出や自作について語ってもらった。 にぎやかだった駅前の商店街 ―幼少期を宮崎市で過ごし、父の転勤に伴う形で県立土浦一高へ入学。住居は霞ケ浦の近くで、桜川の土手などもよく散歩した。春は桜が一斉に咲いてすごくきれい。湖上にはヨット部の人たちが帆を浮かべていて優雅な感じ。当時は駅前の商店街もにぎやかで、イトーヨーカドーのミスドで友達と一緒に勉強したり、モール505の「かつら」でもんじゃ焼きを食べたり。あと一高前の「特米弁当」が麻薬的なおいしさで、よくお昼に食べていた。 ―2006年から09年にかけての高校生活になる。当時の思い出は。すごく楽しくて本当にいい思い出しかない。小中学生のころは周りから宇宙人みたいに見られていたが、一高に来たら私より変な人がいっぱいいて、それで楽になれた部分もある。大人な人が多く、多様性を認める環境だったのかなと思う。私は好奇心が強い方で、興味を持ったことは何でもやってみようと、囲碁部に入って囲碁や麻雀を覚えたり、趣味とか楽しみが少しずつ広がった時期だった。高校の友達とは今でも一番仲がいい。一高祭でお化け屋敷をやったり、一緒に花火大会に行ったり、青春ぽいことをいろいろ経験した。旧本館へは弦楽部の友人の練習を訪ねて行ったり。明治維新や大正ロマンの香りあるハイカラな校舎で、旧制中学の流れをくむ学校の伝統が感じられた。 漱石好き、『吾輩は猫である』にはまる ―読書歴は。最初にはまったのがハリー・ポッターで、小中学生のときは海外のファンタジーやミステリー、冒険小説などハラハラドキドキするものばかり。純文学は高校に入ってから読んでおいた方がいいかなと義務感にかられ、明治の文豪など有名どころを順番に読んだ。一番好きだったのが夏目漱石。特に『吾輩は猫である』を読んだとき、これはすごいと思い、私も書く側に回りたいと思った。漱石の小説はテーマや作家自身の悩みに重たいものを感じるが、それを重たいまま書かず、ユーモアに転化して表現しており、読者もそれを読むことで悩みが軽くなる。 ―ミステリーを書き始めたのはなぜ?物事を分析したりロジカルに考えるのがもともと好きで、だから囲碁や麻雀も好きなんだと思う。でもミステリーに適性があると気付いたのは今回が初めて。それまではファンタジーを書こうとして全然向いていなかった。ミステリーが書けるのは一つの強みなので、今後も大事にしていきたい。 欠点がありつつ魅力的な人間を描きたい ―『元彼の遺言状』はキャラクターが特徴的。主人公の剣持麗子は波風立てつつわが道を突き進む、漱石で言うと『坊っちゃん』の破天荒さがある。坊っちゃんは男性には一つのあこがれのようだが、女性目線だと「この人何?」って引いてしまうところがある。でもその欠点が結果として愛らしい。だから私もキャラクターにはなるべく欠点を持たせようと、本当に変な人とか問題を抱えた人ばかりを出した。だめなところも含めて魅力的な、多面的な人間を書きたい。 ―人を決め付けるような麗子の口調も坊っちゃん的。今作の主人公は激しい性格の人なので、彼女なりのものの見方や考え方で書くよう心掛けた。私自身は、この子なら世界をどう見るかなという視点で、欠点も含めて人のあり方って面白いなと思いながら書いていた。 ―彼女のモデルは新川さんではという声も多い。女性弁護士は世の中に大勢いるし、本当にいろんな人がいるのに、私自身が主人公に結び付けられることに驚いた。男性弁護士が弁護士ものを書いてもこうは言われない。女性ならではの難しさを感じた。女性が働く中でぶつかる問題とか生きづらさに対し、背中を押せる作品を書きたいと思っているが、その一つのモチベーションにもなった。 元気が出るミステリーに ―主人公の成長も描かれている。即物的な世界に住んでいる女性が、価値観の逆転した世界に足を踏み入れていき、それまでの自分とは違う世界が存在することを知るのが基本のストーリーライン。日本もバブル以降の消費を楽しむスタイルから、もうそれでは世の中は回せないことに若者は気付いてきた。そういう現代的感覚も潜ませている。作者が解説するとすごい寒いんですが。 ―今作は特に、同世代の女性に楽しんでもらいたいと。現在コロナ禍で、社会全体がもやもやとして暗く、気持ちが落ちてしまう状況がある。そういう停滞した空気感を吹き飛ばす、元気が出るミステリーにしたかった。読者の方々にも、生活や仕事で忙しくしている合間の、ほっと一息つける時間にしていただけたら。 ―次作の予定は?今作の続編を書いていて、なんとか形になりそう。やはり法律知識を生かしたミステリーで、剣持麗子も出てくる予定。もう少し時間をかけて、最高の形でお届けしたい。

ジオパークで学ぶユニバーサルデザイン(上) 誰でも楽しめる筑波山へ

日本ジオパーク委員会が、筑波山地域ジオパークの「再認定」を決めた(2月6日付)。「再認定」の理由の1つに、「特にユニバーサルデザイン(UD)の取り組みは注目に値する」との評価がある。障害の有無に関係なく、誰でも楽しめるジオパークを目指した取り組みが評価された。 触って楽しく学ぶ 産業技術総合研究所・地質標本館(つくば市東)では、5年前からユニバーサルデザインにも配慮した館内ツアーが月に2回行われている。元副館長の酒井彰さんをはじめ、標本館の職員たちが、市民と研究機関をつなぐネットワーク「ジオネットワークつくば」のメンバーとして始めた。仕事が休みとなる土日を使っての活動だ。 ツアーでは、視覚障害者でも理解しやすいよう、筑波山の3D立体模型を触って、地形や地質の特徴に触れる。筑波山に分布する斑れい岩や花こう岩、風化標本を実際に触り、岩石の成り立ちによって、手触りや水のしみこみ方が異なることを学ぶ。筑波山にある岩石の特徴を触って確かめることで、もとは硬い石でも、風化などにより脆(もろ)い石に変化すること、それが原因となり、筑波山で土石流が起きやすいことも理解でき、防災の知識にもなる。 筑波山に興味を持ってもらい、実際に筑波山まで足を運んでもらうきっかけになればという思いから、地質標本館では、新型コロナ流行前までで96回ツアーを行った。 障害者と巡る筑波山 筑波山地域ジオパーク推進協議会は2016年、市民団体「つくばバリアフリー学習会」(北村まさみ代表)、研究団体「ユニバーサル・ミュージアム研究会」(大阪府吹田市)とともに、「感じる筑波山ジオツアー」を主催した。一般の参加者と一緒に視覚障害者も山頂や梅林を訪れ、筑波山を体験するツアーだ。 中腹や山頂にある岩を触り、風化による大きさや感触の違いを確認しながら、山の成り立ちを説明した。また、麓まで流れている沢の水に触った後に、地下水で作られた酒を味わった。視覚障害者と一緒に筑波山を巡る中で、ツアーの問題点や今後の可能性を模索した。 ツアーの案内役を務めた、認定ジオガイドの矢野徳也さんは「障害など個人の特性によって楽しめないのは、みんなにとっても楽しくない」と話す。 車いす利用者に実際に筑波山周辺を移動してもらい、移動面でどのような問題があるか確認するツアーも実施した。学習会の北村さんは「これからもバリアフリーを進めていくと同時に、障害があっても行きやすいルートを情報発信していけたら」と話す。 誰もが興味を持てる教材開発 矢野さんは、石や岩は種類によって重さや手触りが違うことを、実際に触って理解できるような教材や、粒の大きさにより堆積する順番が変わることを、見えなくても触って理解できるような実験教材を開発し、ジオパークのイベント時に活用している。 他県では、どのような立体模型なら理解しやすいか、視覚障害者に監修してもらい試験的に作成した「見ても触ってもわかる」地質図なども存在する。矢野さんは「今後、茨城県内でも同様のことができる可能性はあるだろう」と期待する。 「視覚障害者だけでなく、障害のない子どもや大人でも、触った方が興味を持ってもらえる」と酒井さんや矢野さんは話す。筑波山地域ジオパークでは、障害の有無にかかわらず、理解しやすい教材の開発を続けている。(下につづく)

コロナ禍に「東京脱出組」動く つくばの分譲マンションなど 野村不動産

【山崎実】野村不動産(東京都新宿区、宮嶋誠一社長)が、北関東周辺の主要駅で分譲している全4件の新築マンションにかかる累計資料請求数を調べたところ、契約者の約2割が首都圏からの住み替えであることがわかった。いわゆる「東京脱出組」だ。 この結果は、直近の2021年2月上旬に第2期販売を行ったマンション「プラウド高崎あら町」(群馬県高崎市)の例。その他の分譲マンションも同様で、つくばエクスプレス(TX)の始発駅、つくば駅から徒歩7分に位置する「プラウドつくば」(つくば市東新井)では、現在の資料請求数のうち4割程度、また購入者の約2割を首都圏からの顧客が占めるという。 ほかに「プラウド水戸三の丸」(水戸市三の丸」、「プラウド郡山」(福島県郡山市大町)でも、問い合わせの2割前後を首都圏からが占めている。 コロナ禍の影響を受けて、「リモートワークが増加し住み替えを決めた」という声が一定数あるといい、いわゆる働き方改革(働き方の変化)が、住まい選びにも反映してきていると同社はみている。

《続・平熱日記》81 出会い 「びょう」と鳴く犬

【コラム・斉藤裕之】「八郷の山中でアケビのつるを取っていた人が見つけました。里親募集…」。その日SNSで見かけた友人の投稿。生後間もない、まるまるとした子犬の画像。それも6匹。カミさんに見せようかどうか迷った。 コロナ禍ではあるし、この歳になると特に欲しいものもない。「あえて言えば犬がいいなあ…」とつぶやくカミさん。ちょっと待った。昨年飼い終えたフーちゃんで、犬人生はお開きになったはず。しかし出かけた先のホームセンターでは、ペットコーナーに必ず立ち寄る。 「こういう犬はあまり好きじゃないけど…」と言いながら、おもちゃのような子犬を眺めている。驚くような値段に「軽トラ買えるな」と私。思い切って友人の画像を見せた。「かわいいけど、この子たちは多分大きくなりそうね…」。興味津々ながらそこは冷静。 その日は2月には珍しいぐらいに暖かく良い天気。茨城空港の空の駅「そらら」でヨーグルトとプリンを買って涸沼(ひぬま)、鉾田を巡るコースにお出かけ。しかし、お昼を当てにしたお店がお休みで急きょ、那珂湊のおさかな市場に行き先を変更。さてと、魚も買ったし、帰ろうかと思ったときに、ふとひらめいたのが水戸のはずれにある骨董(こっとう)店。 隠れ家のような敷地の青いペンキで塗られた扉を開けると、薄暗い店内には骨董ともアンティークも違う、ご主人曰(いわ)く「ジャンク」なお宝が所狭しと置かれている。「いらっしゃいませ」の声もないが、奥にカウンターのようなところがあり、そこをのぞき込むカミさん。 また朝晩の散歩が始まる 実は半年ほど前に訪れたときに、カミさんはその犬に出会っていた。そのときは確か2匹の犬がいて、お目当ての犬はこのカウンター内の三和土(たたき)に気持ちよさそうに寝ていた。手足の長い白い犬。「里親募集」と張り紙がしてあった。カミさんはどうやらその犬が気になっていたらしい。そのことを思い出して再度訪れてみたのだ。 「すいませ~ん、犬についてちょっと…」。奥から現れた優しそうなご主人と3匹の犬。どれもペットショップにはいないタイプのなんとも可愛げのある犬たち。その中にあの白い犬もいた。聞けば、保護犬を預かって里親に出すお手伝いをされているそうで、この白い犬は殺処分を免れた1歳ちょっとの女の子。少しおどおどしているが、優しい性格だという。リードをつけて敷地内を少し散歩させてもらった。 間もなくして、飼育環境を確認するためにご主人がやって来た。そのとき書類を見て、実はお店を訪れた日からちょうど1年前の同じ日に保護されたことがわかった。「ママが好きなのは『びょう』と鳴く犬だね!」「なにそれ?」「ペットショップでキャンキャン鳴いているんじゃなくてさ…」。 八郷の子犬はすべて引き取り手が見つかったそうだ。やれやれ、また朝晩の散歩が始まるのか。(画家)

アームのお点前「ロボットカフェ」 つくば駅改札口にお目見え

【渡邉由貴】ロボットアームがコーヒーをいれる「ロボットカフェ」が8日、つくば駅改札口前にお目見えした。大学院生の樋口翔太さん(23)が代表を務める筑波大発ベンチャー、Closer(クローサー)による実証実験で、12日まで無料でコーヒーを提供する。 コーヒーを注文すると、アームが動き、紙コップにコーヒーをいれて、差し出す。ロボットアームは重さ約7キロ、アームの長さ約50センチ。 革新的な技術やアイデアで社会課題を解決することを応援する、つくば市の社会実装実証実験の一環。コーヒーを提供するのは、注文から決済、調理、提供までが自動化されたロボットアームだ。市内での実証実験は今回が3回目。 今回はコーヒーが提供できることをアピールしているが、人手不足が指摘されている飲食業界や食品工場などでの活用を目指している。これまでに工場で実用化されている従来のロボットアームと比べ、低コストで、製造ラインの部分的な自動化に応用することができる。 副代表の杉江ニックさん(38)の話では「自動車工場など従来の工場で導入されている大量生産を得意とするロボットは、設計から導入まで1年程度かかる場合があるなど高コストであり、多品種少量生産を中心とした食品工場などへのロボットの導入はいまだに進んでいない」そう。低コストロボットアームは、初期コストを従来の10分の1以下に抑えることができ、導入までの期間も大幅に短くすることができるという。 大学院で知能機能システムを専攻する樋口代表は、以前から農業の人手不足について関心があった。今回は食品産業での人手不足に焦点を当て、低コストロボットアーム開発の着想を得た。「人手不足を解消するためのロボットを今後も作りたい」と話す。 低コストロボットアームの実用化は、今夏から行う予定だ。実証実験では技術的な安定性、汎用性を多くの人に知ってもらい、ロボットアームの身近さを分かってもらえるよう期待している。 ◆ロボットカフェの実証実験は12日まで毎日午前11時から午後6時まで、つくば市物産館(つくば駅地下1階)前で行っている。

「廃墟」モチーフのセンタービルで 筑波大生グループが美術展

【山口和紀】廃墟などの「遊休空間」で表現活動をしたいと立ち上がった筑波大学の学生グループの企画による美術展が14日から、つくばセンター広場(つくば市吾妻)で開かれる。平砂アートムーヴメント(阿部七海代表)による「狢PLAY(むじなプレー)」。学生たちが「スラム」と呼ぶ大学の平砂学生宿舎から始まったもので、今回は「廃墟」をモチーフとして設計されたつくばセンタービルの広場(※メモ参照)に会場を移す。発案者で「平砂アート…」のディレクターを務める栄前田さん(芸術専門学群4年)に話を聞いた。 14日から31日、センター広場をメーンに 平砂アートムーヴメント2020は14日から31日まで、各日正午から午後8時までの開催。つくばセンター広場をメーン会場に、作品の展示やセンタービルに入居する飲食店「フィンラガン」(センタービル1階)でのトークイベントなどを行う。 「平砂アート…」は、今回が2回目。廃墟や空き店舗などの「遊休空間」で展覧会を開きたいという栄前田さんの思いからスタートした。故郷帯広の廃ホテルで行われたアート展「マイナスアート2015」にインスピレーションを得ている。「平砂宿舎には1年生のときから住んでいた。2年生のときに宿舎の古い棟に電灯がつかなくなっているのを見て、高校生のときに行った廃ホテルでのアート展を思い出し、あの使われなくなった宿舎で展示会をしてみたいと同級生に話した」 筑波大学の学生課や学群長にかけあって2019年に実現したのが、第1回の展示会「ここにおいて みせる/みる」。19年5月20日から6月2日まで平砂宿舎で行われた。芸術専門学群、情報メディア創生学類を中心に55人の学生がアーティストとして参加した。「廃墟」の棟内で自由に場所を選び、制作と展示を行った。 「人気があったのは、室内に人が『存在』しているという近藤舞さんの展示だった。ドアを開けたら人間が室内に居て存在しているというもので、装飾もまるで舞台のようになっていた。情報メディア創生学類の稲田和巳さんの展示も面白かった。宿舎に明かりを取り戻そうという発想で、14人の参加者の自宅と平砂宿舎の部屋の明かりが連動するようにしていた。参加者が家で電灯をつけると、平砂宿舎の方も自動的に明かりがつくというもの」 今回、会場をセンター広場にしたのは、フィンラガンのマスターである松島壮志さんの呼びかけから。「マスターからは、センター広場周辺に賑わいを生み出したいという思いを伝えられた。やっぱり、つくばは学生と市民の間に大きな乖離(かいり)がある。その異なる2つの立場の人をセンター広場に集めてみたいとの思いは、自分たちのプロジェクトのステートメントでも同じように示している」 しかし、思いが重ならない部分もある。「それはセンタービルという廃墟、おしまいになってしまう場所でアートをするという部分。そもそも平砂アートムーヴメントは誰にも使われなくなってしまった『遊休空間』におけるアートを意図している企画なので。だから、そういう点での違いはあると思う」。賑わいにはせる思惑と廃墟に魅せられた思いとか交錯する。 【メモ】つくばセンタービルの廃墟性センター広場について設計者の磯崎新氏は「筑波研究学園都市という国家プロジェクトでつくられた街ゆえに、中心に国家のシンボルを描き出すのではなく中心を空間にし、空間の中に向かって消滅していくような反転した空間をつくり上げた」と述べている(建築のパフォーマンス―つくばセンタービル論争、パルコ出版局)。また、センター広場の石は、筑波山の筑波石と笠間市の稲田石をわざと崩れたように積み上げて「廃墟」を表現したものとされる。⇒NEWSつくば

《邑から日本を見る》83 モリカケに今度は菅の親子丼

【コラム・先﨑千尋】永田町、霞が関界隈(かいわい)で「モリカケに今度は菅の親子丼」というざれ歌がはやっているそうだ。際限のない官僚や国会議員、大臣の疑惑事件。総務省、農水省の違法接待が減給や厳重注意などでケリをつけたと思っていたら、また「文春砲」がさく裂し、総務省のナンバー2の谷脇康彦審議官、辞任した山田真貴子内閣広報官がNTTの接待を受けていたことが判明した。しかも金額は東北新社からの接待の時よりも多く、一度に10万円以上というから私たちには雲をつかむような話だ。 NTTの接待攻勢については、現時点ではまだ何が目的だったのかはわからないが、総務官僚と東北新社との関係については、これまでの報道で全体像がつかめるようになった。1放送事業者が、その死命を制する許認可官庁の担当者を現職課長から事務次官級まで芋づる式に違法接待の闇に取り込んでいた。そのキーマンが菅総理とその長男だったという構造だ。あまりにも無防備、異常な接待。なぜ優秀な官僚がリスクを冒してまであえて接待に応じてしまったのか。 私の知っている元総務官僚は「役所に忖度(そんたく)がはびこる中で、彼らにこれを断る選択肢はなかった。相手が首相の長男だから、拒否できなかったと思う」と語ってくれた。接待に応じた人たちは、会食の中で働き掛けはなかったと言っているが、その場に行っただけで、相手の要求、要望に応えるという意思表示、と考えるのが普通ではないか。他の会社の人たちとはそのような場を持たなかったと言っているのだから、問わず語りだ。 山田元広報官は「飲み会を絶対に断らない女」を動画で流していたそうだが、彼女はこの中で「イベントやプロジェクトに誘われたら絶対に断らない。飲み会も断らない。断る人は二度と誘われない。出会うチャンスを愚直に広げてほしい」と語っているそうだ(私は見ていないので)。そういう人が国会で首相の長男のことを聞かれると、「覚えていない」と言葉を濁す。そんな馬鹿なことがあるか。ウソに決まっているではないか。 この人から「自助」を聞きたくない 学校法人「森友学園」事件に絡んで、財務省の公文書改ざんをさせられて自殺した近畿財務局元職員の赤木俊夫さんの遺品には「国家公務員倫理カード」があった。「国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正に職務を執行していますか? 職務や地位を私的に用いていませんか? 国民の疑惑や不信を招くような行為をしていませんか?」と書かれたカードは擦り切れていたという。菅総理や高級官僚の皆さんは、このカードを持っていないのかな。 菅総理はいつでも「自助、共助、公助」を口にする。しかし、総務大臣就任時に、無職だったバンドマンの長男を大臣秘書官として抜擢し、総務省の許認可先へ就職させたのは「自助」ではない。この会社は親と切っても切れない関係でもある。また長男が東北新社に入社する際、総務省と距離を置くように言ったと伝えられている。長男とは別人格だと言うのなら、こんなことを言うはずがない。この人から「自助」という言葉を聞きたくない。 コロナ対策でも今回の山田辞任劇でも、菅総理のやることは後手、後手。こんな人に、私たちの命と暮らしを任せておいていいものだろうか。(元瓜連町長)

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