【渡邉由貴】ロボットアームがコーヒーをいれる「ロボットカフェ」が8日、つくば駅改札口前にお目見えした。大学院生の樋口翔太さん(23)が代表を務める筑波大発ベンチャー、Closer(クローサー)による実証実験で、12日まで無料でコーヒーを提供する。
コーヒーを注文すると、アームが動き、紙コップにコーヒーをいれて、差し出す。ロボットアームは重さ約7キロ、アームの長さ約50センチ。
革新的な技術やアイデアで社会課題を解決することを応援する、つくば市の社会実装実証実験の一環。コーヒーを提供するのは、注文から決済、調理、提供までが自動化されたロボットアームだ。市内での実証実験は今回が3回目。
今回はコーヒーが提供できることをアピールしているが、人手不足が指摘されている飲食業界や食品工場などでの活用を目指している。これまでに工場で実用化されている従来のロボットアームと比べ、低コストで、製造ラインの部分的な自動化に応用することができる。
副代表の杉江ニックさん(38)の話では「自動車工場など従来の工場で導入されている大量生産を得意とするロボットは、設計から導入まで1年程度かかる場合があるなど高コストであり、多品種少量生産を中心とした食品工場などへのロボットの導入はいまだに進んでいない」そう。低コストロボットアームは、初期コストを従来の10分の1以下に抑えることができ、導入までの期間も大幅に短くすることができるという。
大学院で知能機能システムを専攻する樋口代表は、以前から農業の人手不足について関心があった。今回は食品産業での人手不足に焦点を当て、低コストロボットアーム開発の着想を得た。「人手不足を解消するためのロボットを今後も作りたい」と話す。
低コストロボットアームの実用化は、今夏から行う予定だ。実証実験では技術的な安定性、汎用性を多くの人に知ってもらい、ロボットアームの身近さを分かってもらえるよう期待している。
◆ロボットカフェの実証実験は12日まで毎日午前11時から午後6時まで、つくば市物産館(つくば駅地下1階)前で行っている。