木曜日, 11月 5, 2026
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ジオパークで学ぶユニバーサルデザイン(上) 誰でも楽しめる筑波山へ

日本ジオパーク委員会が、筑波山地域ジオパークの「再認定」を決めた(2月6日付)。「再認定」の理由の1つに、「特にユニバーサルデザイン(UD)の取り組みは注目に値する」との評価がある。障害の有無に関係なく、誰でも楽しめるジオパークを目指した取り組みが評価された。

触って楽しく学ぶ

産業技術総合研究所・地質標本館(つくば市東)では、5年前からユニバーサルデザインにも配慮した館内ツアーが月に2回行われている。元副館長の酒井彰さんをはじめ、標本館の職員たちが、市民と研究機関をつなぐネットワーク「ジオネットワークつくば」のメンバーとして始めた。仕事が休みとなる土日を使っての活動だ。

ツアーでは、視覚障害者でも理解しやすいよう、筑波山の3D立体模型を触って、地形や地質の特徴に触れる。筑波山に分布する斑れい岩や花こう岩、風化標本を実際に触り、岩石の成り立ちによって、手触りや水のしみこみ方が異なることを学ぶ。筑波山にある岩石の特徴を触って確かめることで、もとは硬い石でも、風化などにより脆(もろ)い石に変化すること、それが原因となり、筑波山で土石流が起きやすいことも理解でき、防災の知識にもなる。

筑波山に興味を持ってもらい、実際に筑波山まで足を運んでもらうきっかけになればという思いから、地質標本館では、新型コロナ流行前までで96回ツアーを行った。

障害者と巡る筑波山

筑波山地域ジオパーク推進協議会は2016年、市民団体「つくばバリアフリー学習会」(北村まさみ代表)、研究団体「ユニバーサル・ミュージアム研究会」(大阪府吹田市)とともに、「感じる筑波山ジオツアー」を主催した。一般の参加者と一緒に視覚障害者も山頂や梅林を訪れ、筑波山を体験するツアーだ。

中腹や山頂にある岩を触り、風化による大きさや感触の違いを確認しながら、山の成り立ちを説明した。また、麓まで流れている沢の水に触った後に、地下水で作られた酒を味わった。視覚障害者と一緒に筑波山を巡る中で、ツアーの問題点や今後の可能性を模索した。

ツアーの案内役を務めた、認定ジオガイドの矢野徳也さんは「障害など個人の特性によって楽しめないのは、みんなにとっても楽しくない」と話す。

車いす利用者に実際に筑波山周辺を移動してもらい、移動面でどのような問題があるか確認するツアーも実施した。学習会の北村さんは「これからもバリアフリーを進めていくと同時に、障害があっても行きやすいルートを情報発信していけたら」と話す。

誰もが興味を持てる教材開発

矢野さんは、石や岩は種類によって重さや手触りが違うことを、実際に触って理解できるような教材や、粒の大きさにより堆積する順番が変わることを、見えなくても触って理解できるような実験教材を開発し、ジオパークのイベント時に活用している。

他県では、どのような立体模型なら理解しやすいか、視覚障害者に監修してもらい試験的に作成した「見ても触ってもわかる」地質図なども存在する。矢野さんは「今後、茨城県内でも同様のことができる可能性はあるだろう」と期待する。

「視覚障害者だけでなく、障害のない子どもや大人でも、触った方が興味を持ってもらえる」と酒井さんや矢野さんは話す。筑波山地域ジオパークでは、障害の有無にかかわらず、理解しやすい教材の開発を続けている。(下につづく)

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