過去40年で台風は大幅に遅くなっていた 災害増加懸念も 気象研
茨城県を9月に通過する台風の速度を、過去40年間で比較すると、大幅に遅くなっていることが分かった。気象研究所(つくば市長峰)の山口宗彦主任研究官が、18日開催された日本気象学会2021年度春季大会で発表した。
地球温暖化が台風に与える影響に関する研究は、これまで主に強さや発生数、経路に着目していた。今回の研究は台風の移動速度に着目しただけでなく、その速度変化に温暖化がどれくらい影響しているかを解析することで将来予測につなげた。
温暖化で時速61キロから39キロに
気象庁の台風の観測データから9月に発生した台風を対象に、過去40年について、前半20年(1980ー99年)と後半20年(2000ー19年)に分けて移動速度を比較した。茨城県では前半が時速61.2キロだったのに対して後半は時速38.9キロと、約36%遅くなっていた。大阪では33%、沖縄では26%遅くなっていた。秋の到来をもたらす偏西風の南下が遅れることで、台風を移動させる風が弱まっていたことが要因の一つと考えられた。
温暖化が続くと?
台風の速度は温暖化だけでなく、「太平洋十年規模振動」と呼ばれる、太平洋の海面水温に生じる十年から数十年規模の変動の影響も受ける。
そこで山口主任研究官はスーパーコンピューターを使って、過去に実際に生じていた温暖化を再現した9月の台風速度のシミュレーション結果と、実際にはあった温暖化を無かったことにしたシミュレーション結果を比べ、温暖化とそれ以外の影響を切り分けて比較することで、過去40年間の移動速度の鈍化に与える温暖化の影響と太平洋十年規模振動の影響を推定した。
計算には、地球の海表面と大気を、規則正しく並んだ格子(約1000万個)で覆い、それぞれについて東西風、南北風、気温、湿度の変数を20分ずつ、40年分計算した。計算の繰り返し回数は1億回を超える。
シミュレーションの結果、過去40年における移動速度の鈍化は、地球温暖化と太平洋十年規模振動が約1対1の割合で寄与していたことが分かった。
また地球の平均気温がこのまま上昇を続け、産業革命以降4度上昇した状態が続いた場合、将来、地球温暖化の影響がさらに強まって9月の台風の速度が現在よりもさらに20%程度減少するだけでなく、10月の台風の速度も減少することが分かった。
地球温暖化は台風の速度の減少だけでなく、降水量の増加ももたらしている。このままの状態が続くと、県南地方でも「降水の強化×移動速度の鈍化」の相乗効果により災害リスクが高まると、山口主任研究官は懸念している。(如月啓)
5年で9割超の大幅減 殺処分 最新集計を検証する㊤
【コラム《晴狗雨dogせいこううどく》特別編・鶴田真子美】2016年から20年まで、過去5年にわたる茨城県動物指導センター(笠間市)の犬猫収容数及び殺処分数に関する最新の集計が出てまいりましたので、読者の皆さまとこの数字を検証したいと思います。
今は希望殺到し予約待ち
県動物指導センターの犬の殺処分は、20年までの5年間で612匹から94%減の35匹に激減したことがわかります。
かつて、茨城県は犬の殺処分が8年連続で全国最多でした。2016年には子犬、人慣れした家庭犬さえ505匹が殺処分されました。子犬はきょうだいのうちいちばん可愛い1匹を除いて、残りは殺処分とされたのです。つい5年前のこと、そうした時代が最近までありました。
センターの子犬用モデル犬舎やふれあい犬舎の房数を見ますと、モデル犬舎は5匹分、ふれあい犬舎は8匹分の部屋しか用意されていません。数千匹という収容がある中で、ごくわずかな数しか生かされなかったのです。譲渡に選ばれなかった残りの犬は、収容中の犬猫の情報を公表する公示期限が過ぎたらガス室入りとなりました。
2021年の今は、小型犬や子犬には常に希望が殺到し、予約待ちとなっています。それほどに子犬の収容数が減ったことはほんとうに喜ばしいことです。
個体識別され犬違いほぼなくなる
収容数が減れば、犬の過密収容もなくなります。1匹ごとの個体識別が可能になります。以前はセンターに犬を引き取りに行くと、犬違いが頻繁にありました。引き取り予定の犬はセンターが間違えて前日に殺処分しており、命に間に合わなかったことがあります。また、殺処分される前に保護団体が引き受ける「引き出し」申請をした犬とは別の犬が渡されたこともあります。
大部屋にいるたくさんの犬たちを前に、見分けがつかずに難儀することがありました。犬ごとの管理カードがあって犬がいない、探したら別の房の中に移されていたこともあります。あるいは管理カードがないのに犬が多くいる、という事態もありました。犬は一匹ごとに扱われることはなく、個体識別も重要視されていなかったのだと思います。どうせ3日後にはガス室に入るのだし誰も迎えに来ないのだから、と。
これは、センターだけに責任があるのではありません。迷子になった犬を探してセンターに足を運ばなかった飼い主たちの責任でもあります。また、飼い主不明の迷子犬が集められてセンターで殺されるのを知りながら、センターから譲渡を受けずにペットショップに走った消費者である県民の責任でもあります。
しかし現在は、犬違いはほぼなくなり、2020年4月を最後に、成犬の殺処分は1年間は行われていません。
成猫は引き取り拒否に
猫の殺処分数も5年間で1679匹から337匹へと、約5分の1に減りました。
2019年にプレハブ猫舎2棟が建てられる以前は、猫は即日処分でした。今の雑居房2頭房がかつての猫の殺処分部屋でした。市町村や警察から集められた子猫成猫たちは、里親譲渡もされず、存在することさえ内密にされて、収容当日に殺処分されていました。
なぜなら、猫には狂犬病予防法に基づく公示の義務がないからです。飼い主を探すための2日の公示期間は、都道府県により延長され、1週間、1年と、センターや保健所により異なりますが、迷子の犬はまず飼い主探しが義務付けられています。
が、猫の収容と殺処分は法的根拠を欠いています。集めては密室で殺処分。これが繰り返されてきました。しかし、地域猫の取り組みが浸透するにつれ、また外飼いの猫の所有権侵害の問題から、成猫はセンターに持ち込んでも、引き取りは拒否されるように変わりました。
2014年くらいからでしょうか、茨城県は成猫の引き取り拒否に関して、ありがたいことに対応は早かったのです。成猫はだれかが地域で面倒をみている地域猫だったり、出入り自由の飼い猫の可能性があるから、勝手につかまえてセンターに持ち込んでも引き受けないのです。
茨城県は全国に比べて収容過多
県動物指導センターの収容数は5年間で、犬が1628匹から1063匹に減少しました。約3割減です。猫は2272匹から1401匹へ、約4割減です。もっと減ってもよい、茨城県は全国に比べて、これでも収容過多です。(犬猫保護活動団体CAPIN代表)
最も有効な避難計画は再稼働させないこと 《邑から日本を見る》88
【コラム・先﨑千尋】「避難計画は実際には機能しない。絵にかいた餅でしかない。最も有効な避難計画は再稼働させないことだ」。東海第2原発に隣接する那珂市議会の勉強会で、桜井勝延前福島県南相馬市長はこう強調した。
同市議会は常設の原子力安全対策委員会を持ち、これまでに原発関係の有識者を呼び、勉強会を開いてきた。また昨年11月には、東海第2原発の再稼働に関して市民の声を聴こうと、「市民の皆さまの声を聴く会」を開くなどしてきた。今回の勉強会は、議員全員が東京電力福島第1原発に隣接する自治体の首長の体験談を聴こうと開いたもので、16人の議員のほか、一般市民にも公開した。
桜井氏はまず、10年前の事故当時を振り返り、体験した者でないと分からないことがいっぱいあると話し、「大津波で多くの犠牲者が出、救助のさなかに福島第1原発の爆発が起きた。国や県からは何の情報も届かず、テレビの画面で避難指示が出たことを知った。市民は自分の命を守ることが最優先で、行政の指示通りには動かない。それぞれが行きたいところに行く。病院の患者や要介護者の避難が大変だった。東電の作業員は真っ先に遠いところに逃げた。住民のために活動すべき議員も半数以上が逃げ出した。議長は事故の4日後に北海道の千歳空港にいた。新潟県の泉田知事から避難者を受け入れるという電話をもらい、助かった」と、情報が入らなかったこと、バリケードを張られ生活物資までもが入らなくなったこと、避難指示などが困難を極めたこと―などを細かく報告した。
南相馬市の居住人口は震災9年後の時点で約1万7000人減少し、独居や高齢者世帯が増え、若い働き手や子育て世帯が減っている。父親が帰還し就労しても、避難先で生活を続ける母親と子どもが多く、パート、アルバイトが不足しているという。
「まだ以前の生活を取り戻せない」
桜井氏はさらに、「市民の多くはまだ以前の生活を取り戻せないでいる。復興というと響きはいいが、復興とはなんぞやと思っている。復興五輪と言っているが、誰のために開くのか。東電は私たち市民に約束したことを守らない。信用に値しない。東電からの賠償金は原発からの距離で差別される。除染でがんばり、避難区域から解除されると賠償金が減らされる。住民に差別を持ち込むと地域が分断されてしまう。被災地の首長は市民からボコボコにされながらがんばってきた」と、自治体とトップの苦悩を語ってくれた。
講演後の質疑では、「情報はどのようにして入手したのか」、「全市民の避難にかかった時間は」、「情報が伝わっていれば、避難の対応は違っていたのか」などの質問が出された。櫻井氏は、水戸地裁が今年3月に、避難計画の不備などを理由に原電に東海第2原発の運転差し止めを命じた判決にも触れ、「判決で明らかになったように、避難計画は実際には機能しない」と話し、「最も重要なことは、市民の命を守ること」と強調した。
桜井氏は現在、「脱原発をめざす首長会議」の世話人として、村上達也前東海村長らと活動を続けている。(元瓜連町長)
つくばの市街地に咲く「絶滅危惧種」 私はどうすればいい?
4月、NEWSつくばに読者から「絶滅危惧種の『キンラン』がつくば市街地に自生している」というメールが届いた。
その場所は、つくば駅に近いセンター地区の市街地。後日、メールの差出人に案内されると、ある企業の私有地に、黄色く小さな花をつける1本のキンランがあった。一見、どこにでもあるような普通の植物。周囲の雑草と見分けがつかず、探すのに時間がかかった。
「絶滅危惧種」がなぜ市街地に生えているのだろう? 希少な植物に出合ったとき、私たちは一体どうすればいいのだろう? 湧き上がるいくつかの疑問を胸に、専門家に話を聞いた。
キンランとは?
そもそもキンランとはどのような植物なのか。
キンランは、日本に約300種あるとされるラン科の植物の一つ。多年草で、ブナ科やマツ科の樹木の根もと近くに生育し、30センチから70センチほどの高さになる。これらの樹木の根に寄生する菌類が作る養分を、キンランは取り込み生きている。こうした菌類との共生関係を必要とし、単体では生きられないのも大きな特徴だ。
かつて雑木林に群生するキンランを見ることは珍しくなかった。しかし近年、個体数が減少し将来的な絶滅が危惧されることから、環境省は「絶滅危惧II類」に、茨城県も独自に「準絶滅危惧」に指定している。
なぜ「絶滅危惧種」に?
では、なぜキンランは個体数が減ってしまったのか。
県自然博物館(坂東市)で学芸員を務める伊藤彩乃さんは、減少の理由の一つとして、かつて人の暮らしに欠かせなかった雑木林の手入れが行き届かなくなったことを指摘する。
「かつてキンランは、私たちにとって身近な植物でした。雑木林にはコナラやクヌギといった、キンランの生育に必要なブナ科の樹木が多くありました。それらの樹木を、まきや炭として利用するために定期的な伐採や下草の刈り取りを行っていました。しかし、生活の変化によって放置される林が増え、下草が密集し伸びると、背丈の低いキンランに光が届かなくなり、光合成ができず生育できなくなったと考えられます」
つくば市で環境保全活動をする「つくば環境フォーラム」の田中ひとみさんも同様の指摘をした上で、「キンラン以外にも絶滅の危機に瀕する動植物が、人との関わりが停止した雑木林を含めた『里山』に多く存在している」と話す。
「里山」とは、農林業など人の生活を通じてつくられた、農地や集落を含めた広い生活圏のことを指す。かつて日本各地で見られた環境だ。「里山」の減少がキンランだけでなく、キキョウやオミナエシなどいくつもの植物を絶滅の危機に追いやっている。環境省は植物以外にもメダカ、タガメ、クロシジミなどの動物も、里山減少による絶滅危惧種として挙げている。
環境保全の意味
「絶滅しそうな里山の動植物を保全するには、人による再生が必要」だと、田中さんは話す。
ではなぜ私たちは里山を保全し、動植物の減少を防ぐ必要があるのだろうか。田中さんはこう説明する。
「実感しづらいかもしれませんが、人が自然の恵み(生態サービス)によって、その命を繋いでいるからです。自然界は、多様な生物のバランスによって今まで持続してきました。絶滅危惧種が急増しているのは、そのバランスが崩れてきている証拠ではないでしょうか。自然界のバランスが崩れると、生物種のひとつである人類にもいずれ生存の危機がくるかもしれません」
生活する人間と、その環境に適応する多様な動植物の関係が長い年月をかけ育まれた。人の暮らしも、そのバランスの上に成り立ってきたのだ。
再び増えつつある個体数。都市部に適応する生命力
今回キンランが見つかったのは、つくば市の中心市街地という「自然」と離れた場所だった。そこにキンランが咲く意味を、どう捉えればいいのか。質問に対し、県自然博物館の伊藤さんはこう話す。
「私たちにとっての『(自然の)豊かさ』とは、原生林など人の手が加わっていない場所を想像するかもしれません。しかし、生き物の視点から見た時に、意外と都市の中にも、彼らにとって『豊か』な場所はあるのです」
「キンランが生きるために必要な条件は、ブナ科やマツ科の樹木、そこに寄生する菌類、適度に人手が加わり、光が届く場所。意外かもしれませんが、都市部にも、こうした植物にとって『良い』条件が整う場所が少なくないのかもしれません」
「街路樹や公園など、植栽された林が市街地には多いと思います。昔ながらの雑木林ではなく、街をつくった時に新たに木を植えたところです。そこにブナ科やマツ科の樹木を選んで植えることがあります。そうした場所に生えるキンランを、最近見るようになりました」
つくばの中心市街地で今回見つかったキンランを振り返ると、近くに松の木があったし、周囲の雑草は適度に刈られていた。伊藤さんがこう続ける。
「はっきりとした理由はわかりませんが、元々あった雑木林から飛んできた種子が発芽した可能性もありますし、植えられた樹木の根についてきた可能性もあります。キンランは、菌類との共生関係が必要です。持ち込まれた樹木と共生する菌類が活発であれば、キンランが発芽する条件は整います」
「人が作った環境に適応するキンランの姿を見ると、生き物としてのしたたかさを感じます」
見つけた人はどうすればいいのか?
希少動植物の中でも特に保護が必要とされる「国内希少野生動植物種」は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づき、個体の捕獲や譲渡が原則禁止され、違反すると罰則が適用される。しかし、キンランは法的な保護の対象には含まれていないものの、県は「茨城県希少野生動植物保護指針」で県民に対し、「自主的かつ積極的に取組みを進めること」を求めている。
では具体的にキンランに遭遇したとき、私たちはどうすればいいのか?
今回つくば市でキンランが確認されたのは、吾妻1丁目、NTT東日本茨城支店つくばビルの敷地内だった。NEWSつくばの問い合わせに同社は、こう回答している。
「キンランが生育している場所の状況から、囲い込み等の保護は行わず(囲い込みを行うことにより、かえってイタズラ等にあう可能性もあるため)、自然体で見守っていきたい。除草作業等時はキンランの花弁が落ちていたことを確認したうえで、球根を傷つけないよう配慮しつつ、来年以降も対応をとっていきたい」
茨城には、キンランの他に、キンランの一品種である「ツクバキンラン」もある。珍しさも手伝い、思わず自宅に持ち帰りたくなるかもしれない。それに対して伊藤さんはこう話す。
「(キンランの)数が減ってしまった要因に、花がきれいなために採集されてしまったということもあります。キンランは、樹木と菌類との共生関係が必要なので、持ち帰って鉢に植えても育つことはできません。それだけでは生きることができないのです。樹木や菌を含めた周囲の環境が整ってこその生き物です。なので、むやみに採ることはせずに、林のなかで咲いている姿を楽しみましょう。周りの環境と共に見守ってほしいと思います」。(柴田大輔)
宇宙の最前線に迷い込むハチ 《食う寝る宇宙》86
【コラム・玉置晋】5月の暑い日、僕が常駐するオフィスの窓からハチ君(恐らくアシナガバチ)が迷い込んできて、直上の蛍光灯に止まりました。どうしたものかと、10分ほど様子をみたのですが、動く様子がありません。仕方がないので、部屋のみんなに「電気消すよ~」と宣言しました。部屋を暗くして、ハチを明るい窓際に誘導しようとする試みです。夜、虫たちが電灯に集まるじゃないですか。あれと同じです。
この試みは見事に成功。でも、窓際であと一歩のところで出ていかない。とっさに、脇にあった30センチ×30センチほどの発泡スチロール板であおいだら、板が「ベキ!」と折れて、まるでドリフのコントのよう。新人の方に、「最近で一番大笑いしました」と言われる始末。先輩の面目丸つぶれです。
ちょうどこの日は誕生日だったのにツイてない。でも、ハチ君はびっくりして窓から出ていきました。ちなみに、ここは日本の宇宙開発の最前線の施設。こんな、ほのぼのした日がこれからも続いて欲しいものです。
軽くて丈夫なハニカム構造
さてこのハチ君、宇宙分野でも大いに役に立っているのです。
ハニカム構造とは、ハチの巣(英語でハニカム)のように、正6角形や正6角柱を隙間なく並べた構造です。ハチ君たちはハチミツを効率的に貯蔵する必要があります。どんな形状だと最も効率的か考えてみましょう。すべて同じ形状の組み合わせで面を敷き詰めることができるのは、3角形と4角形と6角形しかありません。それらの外周の長さが等しい場合、最も面積が大きくなるのは正6角形です。
全体の強度の面でみると3角形が最も優れていますが、一方向から力を受ける場合の力の分散からみると、正6角形の衝撃吸収性が最も高くなります。宇宙用の構造物は軽くて丈夫なものが有利です。例えば、ロケットのフェアリング(人工衛星を覆っているカバー)や人工衛星の構体、アンテナにハニカム構造が適用されています。
火星ハチ「Mars Bee」
人類が火星で生活するためには、現地で食料となる植物を育てないといけません。植物が実をつけるためには受粉が必要となります。ここで活躍するのがハチ君です。
NASA(米航空宇宙局)が行った実験では、無重力環境でハチ君は上手に飛ぶことができなかったそうです。日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)と玉川大学の先生の航空機を使った実験によると、地球の1/3の重力の火星では、ハチ君たちは飛べる可能性がありそうだということがわかっています。
先日、NASAが火星でドローンを飛ばしたというニュースがありました。2018年にNASAは、「Mars Bee」と呼ばれるハチ型ロボットを飛ばす構想を発表しました。ハチの体にセミぐらいの羽根がついたもので、なんとも不思議な形です。火星にハチ君が飛ぶ日はそう遠くはないと思います。(宇宙天気防災研究者)
市立学校と市役所職員が新型コロナ つくば市
つくば市は22日、市立学校の非常勤職員と、市役所2階に勤務する正職員の2人がそれぞれ、新型コロナウイルスに感染していることが分かったと発表した。
非常勤職員と正職員との間に接触はないという。
市立学校は、接触者のPCR検査と学校の消毒のため24日を臨時休校とする。
市役所は、正職員が勤務する2階の部署の消毒を行い、通常通り業務を実施する。
食材無料提供、毎月欠かさず半年 筑波大生ら延べ1300人利用
コロナ禍、アルバイトが減った学生を支援しようと、つくば市天久保の松見公園で開かれている食材無料提供会が5月で半年を迎える。市民団体「学生応援プロジェクト@つくばPEACE」(冨山香織代表)が昨年12月から毎月欠かさず、無料でコメや野菜、日用品を配布し、半年間で延べ約1300人が利用した。半年で何が浮き彫りになったのか。冨山代表は「共助でやっているが、公的支援がすごく求められている」と話す。
ここ数カ月は毎回300人を超える学生や親子連れなどが利用し、午前11時の開始30分前には長い行列ができる。利用者のうち大学生が9割を占め、ほとんどが筑波大生だ。
毎回、利用者にアンケートをとり結果をまとめて、A4判裏表のニュースを作成し、カンパを寄せてくれた支援者に報告している。ニュースは5月で9号になった。
「学費払えない」
県独自の緊急事態宣言が出されていた2月のアンケート結果は、アルバイトをしている人のうち57%が「シフトが減るなど減収になった」と回答した。
3月のアンケートでは「現金があまりない」「バイトで稼げない」「(オンライン授業のため)大学の友達ができない」「気力が足りず就活が心配」などの声が寄せられた。
4月のアンケートでは回答した189人中、21人が「学費を払えない、または今後の支払いが不安」、7人が「退学や休学をした、または検討中」と答えるなど、深刻な状況が浮かび上がった。
冨山代表は「実家の仕送りが減ったという学生もいた。バイト代を生活費に充てている学生も多く、状況は日に日に悪化していると感じる」と話す。
市内で一人暮らしをしている大学生からもらったお礼のメールには「(自分は)ひとり親家庭なので、配布会でもらったチョコレートを1枚だけ残して、あとは全部実家に送りました」と書かれていた。この学生はアルバイトをいくつか掛け持ちし、実家に仕送りしながら勉強しているという。
休業支援金を案内
飲食店の時短営業要請が断続的に続き「バイト収入が減った」という切実な声が寄せられる一方、学生からは「休業手当をもらってない」「休業支援金なんて知らない」という声が聞かれた。1月のアンケートではアルバイト収入が減ったと回答した学生のうち、実際に休業手当を受け取っていたのは3人に1人だった。
2月の配布会では、利用者に休業支援金や給付金制度を案内するちらしを配布し、会場に「なんでも相談コーナー」を設置した。休業支援金の申請書を用意し、記入を手伝うなどもした。
個別対応も
コロナ対策のため2月から、レトルト食品、菓子、日用品などが入った基本セットを250人分つくり、一人当たりの滞在時間を短くした。
さらに「配布会当日は用事があって行けない。どうしたらいいですか」などの問い合わせを受け、3月からはメールやツイッターで申し込みがあった学生などを対象に、配布会の翌週などに松見公園駐車場で待ち合わせをして、食材を配布している。
学生ばかりでなく、社会人や親子連れも利用する。コロナで解雇されたという20代の女性から「4月の配布会に行けない」とメールがあり、翌日、松見公園駐車場で会う約束をして食材を渡したこともあった。所持金は2000円しかなかった。生活保護の申請をアドバイスし、市役所窓口まで付き添ったケースもあった。
冨山代表は「毎回たくさんの人が配布会に来てくれてうれしいが、こういう社会って何なんだろうと毎回複雑な気持ちになる」と語り、「4月の配布会には筑波大の新入生たちがたくさん来てくれた。1カ月前まで高校生だった子たちが、勉強の心配でなく生活の心配をしなくてはならない。お金のことを考えずに学べる環境とはほど遠いのでは」と憂える。
毎回20万円分購入、支援金確保課題
冨山代表は、夫が経営する筑波大近くの洋風居酒屋を手伝う。店のアルバイトも客も筑波大生が主。昨年春以降、大学生のアルバイト先が減って困っているのを知り、ずっと心苦しかった。
去年夏頃から全国各地で学生を支援する取り組みが始まったのを知り、友人に相談したところ「やるなら応援するよ」という背中を押す返事が返ってきた。
昨年12月6日のスタート以来、毎回10人から20人がボランティアで配布を手伝う。用意するコメや野菜、日用品は、市内外の住民から寄付されたものだ。寄せられたカンパで毎回20万円分ほどの食材や日用品などを購入する。
寄付者は年配者が多く、10万円をぽんと振り込んでくれた人、毎月60キロのコメを寄付してくれる人、毎月欠かさず1万円を寄付してくれる人などもいるという。
新聞などで活動が紹介されるとカンパが多く寄せられる。しかし残金は残り少なく、5月初め時点で残り13万円しかない。毎回カンパを呼び掛けているが、続けるためには支援金の確保が大きな課題だ。冨山代表は「いつまで続けられるか分からないが、続けられるよう努力したい」という。
公的支援求め署名活動
これまでの活動で浮き彫りになった実態を踏まえ「将来の発展を支える学生が経済的不安を抱くことなく学業に専念できる環境を整えるのが自治体の責任」だとして、3月下旬から、署名活動を始めた。
昨年8月、18歳以下と70歳以上に商品券を配布したつくば市に対し、18歳以上の全学生に現金または商品券を配布するよう求める。さらに県に対し、経済的に困難な学生を対象に独自の支援を実施するよう求める。
署名はわずか1カ月で全国から1万1000人を超える数が集まった。6月上旬に市長と話し合いの場をもつ予定だ。(鈴木宏子)
◆5月の食材無料提供会は、23日(日)松見公園レストハウスで開催する。今回は予約制で約250人から申し込みがある。カンパの送り先や利用などの問い合わせはメールpeaceoftsukuba@gmail.com。
にぎやかな谷津田 《宍塚の里山》77
【コラム・及川ひろみ】カエルがにぎやかな里山の谷津田(台地の浅い浸食で開かれた田んぼ、両側には雑木林)の畔(あぜ)植物を見て回りました。まさに百花繚乱(りょうらん)。宍塚の田んぼには今もレンゲ草が見られます。田んぼ一面に覆うほどではありませんが、遠目にもピンクが広がっています。そして畔には、足を踏み入れるのもはばかられるほど、草花の絨毯(じゅうたん)が広がっていました。
風にそよぐ黄色の花はオオジシバリ。カスミソウのような白い花を一面に咲かせているのはノミノフスマ。ハコベの仲間です。ムラサキサギゴケは名前のように紫の花がコケのように地面に這って広がっています。どれもよく見ると色も形も全く異なる造形の美。こんな世界が広がっていることに驚かされます。
かつて各地の水田や水路に生息していたドジョウやカエル、アメンボなどの生き物にも出会えます。日本の原風景の一部でもあったこの生物たちは、自然と共生した伝統的な農法が育む、水田や水路などの環境に適応し、息づき、進化、食物連鎖が成立しています。
水田・水路は、人の手が入った2次的な自然環境であり、原生の自然ではありません。しかし、隣接する山地や雑木林と一体となった、水田、水路、ため池は、生物多様性がきわめて豊かな場所。里山、里地と呼ばれる景観の重要な構成要素の一部です。
谷津田の米オーナー制
水田やそれにかかわる水環境は、日本をはじめ、稲作文化を持つアジア地域に広く分布していますが、国際的な湿地保全条約「ラムサール条約」でも、これを保全すべき重要な水環境(ウェットランド)の一つとして定義しています。日本におけるこれらの水田・水路は、国内で最も生物多様性の高い自然環境の一つであり、多くの日本固有種を含む、5,668種もの野生生物が確認されています。
谷津田の田んぼは平場の田んぼと異なり、面積が狭いことから大型の農耕用機械を使った耕作が行えません。農作業者の高齢化に伴い、耕作者が激減し、谷津田の田んぼは絶滅危惧状態です。宍塚の谷津田は「認定NPO法人宍塚の自然と歴史の会」と耕作者が協定を結び、「谷津田の米オーナー制」によって収穫した米の買い取り、谷津田での耕作を維持しています。
そして、この田もようやく田植えの準備、田のくろ(畔)塗り、代かきが始まります。田植えの準備が終わった田の畔を歩くことは禁物です。(宍塚の自然と歴史の会前会長)
東京23区の地下を立体的に見る 産総研の「次世代地質図」完成
産業技術総合研究所(産総研)地質情報研究部門(つくば市東)は21日、東京都心部の地下数十メートルまでの地質構造を、3次元で立体的に見ることのできる次世代地質図「3次元地質地盤図~東京23区版」を完成させ、ウェブ上に一般公開した。同部門情報地質研究グループの中澤努研究グループ長、野々垣進主任研究員らが、会見し発表した。
5万地点に及ぶ大量の調査データを独自に開発した3次元モデリング技術で解析することで、東京都心部の詳細な地下地質構造を立体的に可視化した。3次元地質地盤図としては、2018年に千葉県北部地域を公開しているが、中澤さんらは「これほど緻密なのは世界初」としている。
これまでの地質図は、地層の種類ごとに色分けして平面図に表していた。このため平坦な都市部では、地下の地層の分布をわかりやすく表現するのが難しく、地下の断面図もあらかじめ決められた部分だけしか掲載できなかったという。信頼性の高い地下地質構造の解析が得られたことで、今回の完成に至った。
どこでも誰でも使える情報
東京東部の低地には、沖積層と呼ばれる軟弱な泥層を主体とする地層が、最終氷期(最盛期は約2万年前)に海面の低下により形成された谷を埋めるように分布することが知られていた。ボーリング調査データの解析は、この沖積層が埋積する埋没谷の3次元形状を、詳細に描き出すことを可能にした。埋没谷底は、東京湾岸の最も深いところで、深さがおよそ80メートルあった。
存在する軟弱な地層の分布が詳細に把握できるようになっただけでなく、これまで軟弱地盤がないと考えられていた山の手の武蔵野台地の地下にも、一部で軟弱地盤が広がっていることが新たに分かった。これら軟弱地盤の有無は地震時の揺れ方に影響することから、地震ハザードマップや都市インフラ整備などでの幅広い利活用が期待される。
茨城県南は⁈
研究グループは2024年までに首都圏主要部をカバーし、その後は京阪神など、他の都市域についても作成する予定。
つくば・土浦地区については既に公開している環境地質図のデータがあり、それを用いての3次元化を検討中という。つくば・土浦地区は東京同様、最終氷期の谷に軟弱地盤が広がり、また台地に軟弱地盤が広がっている可能性も否定できないことから、早期の着手が望まれる。
「都市域の地質地盤図」は21日から、産総研地質調査総合センターウェブサイトで公開されている。(如月啓)
オンライン会議での負担軽減 筑波技術大学に手話通訳スタジオ
日本で唯一の視覚障害者・聴覚障害者のための大学である筑波技術大学に2月、新しく手話通訳スタジオが設置された。昨年からのコロナ禍により、学内の会議のほとんどがオンラインになり、手話で発言する参加者がいる会議に配置していた手話通訳もオンラインに移行した。スタジオ設置により、これらの会議で手話通訳の負担が軽減した。
手話通訳専用の大型モニター
現在、同大学の天久保キャンパスには、約200人の聴覚障害学生に加えて、聴覚障害のある教職員も 9 人在籍している。大学の授業では、基本的に担当教員が手話で話したり、スライドなどの視覚的にわかる教材を使用し、学生と直接やり取りする。一方、大学には手話がわからない教職員もいるため、聴覚障害のある参加者がいる職員会議や職員研修などには手話通訳を付けている。
オンライン会議で手話での発言を音声言語に通訳する場合、分割された小さい画面上で手話を読み取る必要があるため、ノートパソコンのモニターでは通訳者の目に負担がかかる。そのため、当初は手話通訳が必要な会議の際は、大型モニターのある部屋を使用し、モニターで会議の様子を見ながら通訳ができるよう、部屋のレイアウトを変えていた。しかし、その都度空いている部屋を探していたため、各部屋の機材に対応する必要があり、準備に時間が必要だった。また、一般の大型モニターを使用していたため、視線が上向きになり、長時間画面を見ていると通訳者の首に負担がかかった。
スタジオができたことで、毎回同じ環境でできるようになり、準備の負担が軽減し、問題点が出てきても、すぐに改善できるようになった。また、手話通訳専用に大型モニターを通常よりも低めに設置し、通訳者が椅子に座った状態でも自然な視線で画面を見られるようにした。
学内の職員研修等で使用するオンデマンド動画に付与する手話通訳も録画できるよう、グリーンバックや撮影用照明、ビデオカメラ等も整備した。
通訳環境が安定し会議がスムーズに
対面の会議でも、手話通訳が話の流れについていけないことがある。会議の担当者と通訳者が別の部屋にいるオンライン会議では、さらに通訳者が会議の様子を把握しづらくなり、通訳が困難になる時も多かった。新しいスタジオは、担当者と通訳者が十分な距離をとりつつ同席することが可能な広さだ。同じ部屋にいることで、担当者も手話通訳の存在を意識しながらゆっくり話すようになり、通訳者もわからない部分を担当者に直接確認することができる。
しかし、同じ部屋で複数のパソコンから参加すると、ハウリングが起きてしまう。それを防止するため、スタジオではそれぞれのパソコンにスピーカーマイクを接続し、機器同士を連結させることで、ひとつのマイクとして認識させるようにした。両手で手話をしていても、ボタン 1 つでオン・オフが操作できるスピーカーマイクを常設している。
大学に手話通訳者として勤務する小貫美奈さんは「手話通訳の環境が安定したことで、発言に対する聞き返しが減少し、会議全体がスムーズに進行できるようになった」と話している。(川端舞)
