水曜日, 4月 8, 2026

太陽光発電に浸食される里山の危機 《宍塚の里山》78

【コラム・佐々木哲美】3年前、宍塚里山の南西部にある畑と森林が伐採され、太陽光発電のパネルが設置されました。その面積は約3.5ヘクタールにも及びました。土地所有者の権利の大きさを前に、里山を維持できなかった私たちは無力さを痛感。そこで、土地を取得するために、ナショナル・トラスト(文化財や自然風景地などの保全活動)の取り組みを検討しました。「宍塚の里山」約100ヘクタールのうち数ヘクタール取得すれば、行政も考えるのではないかと期待したからです。 私たちは昨年1月、公益社団法人「日本ナショナル・トラスト協会」の助成金をいただき、改めて土地所有者の調査に入りました。11月には「里山保全のためにNPO法人は何ができるか」をテーマに学習会を開催しました。最近、学習会に参加した方の母親がお亡くなりになり、相続財産の中から50万円を寄付してくれました。また、当会が土地の寄付を受け付けていると知った方から、宍塚の里山に所有する67坪の山林を寄付したいとの申し出がありました。 また、当会が10数年整備してきた土地の所有者から「太陽光発電に土地を貸すか売らないか」と言われているが、どうしたらいいかとの相談もありました。周辺の土地所有者に当たって調べたところ、約2.7ヘクタールの事業が計画されていることが判明しました。その対応を考えているさなか、5月中旬、「上高津貝塚ふるさと歴史の広場」南側に発電設備の材料が突如運び込まれ、あっという間にパネルが設置されました。その後も周辺の草が刈られ、新たな施設建設の勢いは止まりません。 「再生可能エネルギー」が自然を破壊 経産省のホームページにFIT(固定価格買い取り方式)認定の計画は大小を問わず掲載されていると聞き調べてみましたが、確認できませんでした。また、茨城県のガイドライン(2021年4月改定)によれば、50キロワット以上の計画(面積換算700平方メートル以上)は市町村に計画を提出するように定められています。しかし、FIT認定外の情報は公表されていないため、市町村への問い合わせが必要ということでした。 土浦市では2016年12月、「太陽光発電設備の適正な設置に関する条例」が制定され、市内に50キロワット以上の事業用太陽光発電設備を設置する場合は、市との協議が必要となっています。担当者に問い合わせたところ、県のガイドラインに対応した条例改定の動きはなく、経産省ホームページに掲載されている以上の情報は把握していないということでした。 経産省の資料によれば、事業用太陽光発電のコストは、2014年にキロワットアワー(KWh)当たり約34円だったのが、19年には13.1円まで下がりました。30年には5.8円まで下がると予想されています。このままでは、CO2を削減する再生可能エネルギーの美名のもとに「地球にやさしい自然破壊」が加速していきます。 そもそも、CO2を固定している都市近郊の森林を伐採して、太陽光発電とは本末転倒です。一刻も早く里山保全の方策を講じなければなりません。(宍塚の自然と歴史の会 副理事長)

90チームの組み合わせ決まる 高校野球茨城大会 7月8日開幕

7月8日に開幕する第103回全国高校野球選手権茨城大会(県高校野球連盟・朝日新聞社主催)の組み合わせ抽選が23日、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館で行われ、参加90チーム(うち合同連合チーム4チーム)の組み合わせが決まった。決勝は7月26日。 シード校16校のうち、今年春の選抜高校野球全国大会に出場し、5月の春季関東地区高校野球県大会で優勝した常総学院はAグループ、2019年の第101回県大会で優勝し、昨年夏の県独自大会でベスト4入りした霞ケ浦はBグループ、土浦日大はCグループで出場する。 常総学院の田邊広大主将(3年)は「去年の3年生は甲子園が無いという中で代替試合で戦った。自分たちは甲子園がある。感謝の気持ちを忘れずに、去年の先輩たちの分もしっかり戦って、いい結果を報告できるよう頑張っていく」と決意を語った。 霞ケ浦の新山秀男主将(3年)は「去年の3年生の分まで、という気持ちが一番強い。甲子園に行きたくても去年の3年生たちは行けなかったので、自分たちが先輩の分まで甲子園に行けるようにと練習に取り組んできた。それが発揮できるようになればと思う」と意気込みを見せた。 学校応援やブラスバンド演奏 禁止 昨年は「県独自の大会」として無観客(選手や保護者のみ入場可)としたが、今大会は2年ぶりに観客を入れて開催する。ただし「コロナ禍での大会」として特別態勢を取る。 全出場校が一堂に会しての開会式は実施せず、代わりに「開始式」として、ノーブルホームスタジアム水戸(水戸市民球場)の開幕試合(茨城―神栖・茨城東連合チーム)開始前に主催者あいさつなどを行う。 感染拡大防止対策として、学校応援やブラスバンド演奏応援は禁止とする。組み合わせ抽選会前に行われた各出場校の顧問教員向け説明会で、出席した教員から「応援の練習をしてきた子どもたちに向けて説明がしたい」として、学校応援禁止に至った経緯の説明を求める声が上がった。 これに対し、県高野連の榎戸務専務理事は「茨城県の感染状況は(累計で)1万人を超えている。47都道府県で1万人を超えているのは13都道府県。関東に集中している」と述べた上で「声を出しての応援は禁止。ブラスバンドも飛沫感染になる」と述べ理解を求めた。 入場制限も実施し、県内5球場のうち3球場(ジェイコム土浦、ノーブルホームスタジアム水戸、ひたちなか市民)は観客数を約5000人に制限する。日立市民球場は約2000人、笠間市民球場は約1500人と、外野席を除く収容人数の50%に制限する。 入場券は当日券のみの販売で、一般客は入場料1000円(高校生以下は無料。高校生は学生証など必要)。(崎山勝功)

議会は付帯決議 箸とスプーン「華美でない」 つくば市

つくば市が、9月の敬老の日前後に「箸とスプーンセット」を70歳以上の高齢者全員に贈るとしていることに対し議会から異論が出ていた問題で(17日付)で、市議会予算決算委員会(山本美和委員長)が22日開かれ、付帯決議を全会一致で可決した。 付帯決議は①(記念品は)華美にならず、敬老の敬意を表すものとする②(物品調達や梱包、発送作業などは)障害者優先調達推進法の主旨にのっとり、障害者施設が受注機会を拡大できるよう体制づくりに努めるーの2点に配慮するよう求めている。 一方、付帯決議に対し市高齢福祉課は「(箸とスプーンセットは)華美でなく、敬老の敬意を表すものと考えており(記念品の)変更は考えてない」とし、物品調達や発送作業については「(障害者就労施設が)発注機会を拡大できる体制、組織づくりができるよう働き掛けたい」などとしている。 記念品は、コロナ禍で敬老福祉大会を中止するのに代わって、市が70歳以上の高齢者計約3万7200人に贈るとして、開会中の6月議会に、敬老祝品贈呈委託料(記念品購入費と包装代など)約6300万円と郵送代約1300万円の計約7600万円を提案している。 修正案は賛成少数で否決 22日の予算決算委員会ではまず、小森谷さやか市議らが同贈呈事業の予算を削除する修正案を出し、「障害者就労施設の作業として適切なのか、税金の使い方として市民の理解が得られるのか、いったん立ち止まって再考いただきたい」となどしたが、賛成少数で否決となった。 続いて小野泰宏市議から付帯決議案が出され、全会一致で可決された。25日の6月議会最終日に改めて審議される。(鈴木宏子)

つくば科学万博の夢 《遊民通信》19

【コラム・田口哲郎】 前略 つくば科学万博(国際科学技術博覧会)のテーマが「人間・居住・環境と科学技術」だったと、前回(6月10日付)書きました。つくば万博というと、自然開発や快適性増進のための科学技術の祭典というイメージがありました。しかし、1985年というバブル期直前の時代にも関わらず、住環境や環境に配慮したテーマが掲げられていたのです。 そこで小学生の時、2回訪れた際に入手したガイドブックやパビリオンのパンフレットを引っ張り出してきて、当時を思い出しながら見返しました。一番印象に残っているのは、芙蓉グループが出展していたロボットシアターです。さまざまなロボットが行うショーは楽しく、ロボットのデザインも近未来的でワクワクしたものです。ロボットは「友だちロボット」と呼ばれ、人間との共生が強調されていました。 この共生は、手塚治虫の鉄腕アトムや藤子不二雄のドラえもんなどで扱われてきたものです。カラフルでかわいいロボットが繰り広げるショーを眺めながら、子供ながら自然に明るい未来を思い描くことができました。 今顧みて驚いたパビリオンがあります。日本電信電話株式会社(NTT)のでんでんINS館です。INSは後にADSLとなり、現在の光通信へと進化する高度情報通信システムのことです。配られたパンフレットの中に「INSが築く便利なくらし」というページがあり、テレビ電話やネットショッピングが挙げられています。そして、インターネットを使った自宅学習、在宅勤務、ホームドクター(在宅医療)も書かれています。コロナ禍になって一気に現実味を帯びたことが網羅されています。 高度に産業化した社会が情報化し、集中から分散へシフトし、地域社会が復権し、プラクトピアという社会になるという予言はアルビン・ トフラーの『第三の波』(1980年)でなされていました。このような壮大な予言でなくとも、今現在起こっている事象が35年前にはすでに実現可能なものとして発表されていたんですね。 これからの社会の夢は何か? ところで、でんでんISN館のテーマは「INSがひらく夢のあるくらし」でした。あのころの夢が実現している2021年現在、便利なくらしは夢に満ちているでしょうか? コロナ禍ということで夢どころの話ではないのですが、それにしても、かつての夢が現実に落とし込まれると、それは夢っぽくなくなるのかもしれません。 夢とは一体何でしょうか。それに、今現在の社会が描ける夢はなんなのだろうかと考えると、これからの社会があまりにも読みにくいので輪郭すらつかめません。2025年開催予定の大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、キーワードは「共創」です。博覧会は、夢の裏には堅実な科学技術・思想があるのだと教えてくれます。競争ではなく共創、夢のためのヒントは何なのか注目したいと思います。ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)

2050年 脱炭素社会実現へ 吉野彰センター長が記念講演 産総研

産業技術総合研究所(産総研)つくばセンター西事業所(つくば市小野川)に整備されたゼロエミッション国際共同研究拠点の竣工記念シンポジウムが22日、オンライン開催された。研究センター長の吉野彰さんが記念講演し、2050年カーボンニュートラル実現=メモ=に向けた研究の方向性を示す中、ネガディブエミッション技術の導入について力説した。 吉野さんはリチウムイオン二次電池の発明者の一人で、19年のノーベル化学賞を受賞した。産総研が20年に設立したゼロエミッション国際共同研究センター(GZR)の研究センター長に就任した。 総勢240人で国際共同研究拠点 つくばの研究拠点は、西事業所本館と別棟群の一部を改修し、3月末までに約1万2000平方メートル規模で整備した。つくば地区でカーボンニュートラルに関わる研究者とスタッフを集約する形で、1日現在総勢240人10チームの体制を整えた。 次世代太陽電池、人工光合成技術、水素製造・貯蔵基盤研究などを柱に、海外研究機関との連携を深めながら推進する。目指すところは、2030年度の新たな温室効果ガス(GHG)削減目標である13年度から46%の削減、2050年には二酸化炭素をトータルでゼロにする、わが国のグリーン成長戦略の支えとなる。 この「トータルでゼロにする」意味を解説した吉野さんは、「ネガディブエミッション」の考え方を取り上げた。農業や工業には電化や省エネではどうしてもカーボンニュートラルを達成できない分野が残る。そこで、温室効果ガスの多くを占める二酸化炭素を、大気中から除去する技術で相殺を図ろうとする考え方が登場した。バイオエネルギー利用による二酸化炭素の回収貯留(BECCS)や直接空気回収(DACCS)を図る研究が進んでいるという。 吉野さんによれば、植物は夏の間、光合成で盛んに二酸化炭素を酸素と水に分解するが、冬には酸素を呼吸したり分解のために消費したりして二酸化炭素を放出する。放出の前に地下や家具などの耐久消費財のなかに貯留(CCS)してしまえば、大気中の二酸化炭素は増えない。ゲノム編集などにより植物を改質する研究やコスト低減の技術が必要になるそうだ。 大気中の二酸化炭素を地中に固定した例は、地球が長い年月をかけて石灰岩を形作ったプロセスに見られるが、今の技術では玄武岩の活用による鉱物化の加速が有望視される。「産総研には地質学の集積もあり、海洋底に豊富にある玄武岩を貯蔵に活用するための研究などが広がるのではないか」と話した。(相澤冬樹) ※メモ【カーボンニュートラル】温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること。菅義偉首相が昨年10月の臨時国会で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言した。

エスカレーター1基は取り止め つくばセンタービルリニューアル

つくばセンタービルのリニューアルで、つくば市が、エスカレーター2基の設置を計画していた問題で、市議会中心市街地調査特別委員会(ヘイズ・ジョン委員長)が22日開かれ、市は、2基のうち北側(ホテル日航つくば側)の1基の建設を取り止めることを明らかにした。 一方、特別委では「エスカレーターは1基で了解した」(皆川幸枝氏)という意見と、「(1基であっても)磯崎新氏の建築物の全体イメージを壊す」(飯岡宏之氏)という相反する意見が出された。 エスカレーターをめぐっては、今月3日開かれた同特別委で「1基はなくてもよい」という方向性が出された(同3日付)。市議会の意向を受け市は、改めてどうするか検討していた。 22日の市の説明によると、2基のうち、西側(旧ライトオンビル側)の1基のみを設置する方向で、近く実施設計を発注する。 北側の1基を取り止める理由として市は①北側に計画していたエスカレーターは、1階のセンター広場まで降りることができず、途中から階段を下りなくてはならなくなること②議会から磯崎新氏の建築意匠に与える影響について指摘が出ていることなどから「慎重に対処する必要があるため」だと説明した。 もともとエスカレーターを設置する理由について、動線と視認性の向上が目的だと説明していたことから、1基を取り止めることによる動線や視認性の確保について、案内表示を工夫したり、まちづくり会社のつくばまちなかデザインと連携して情報発信を充実させるなどとした。 その上で「必要な改修について、リニューアル後に改めて検討したい」などとした。 一方、特別委ではさらに、市が1階に整備する計画の市民活動拠点についても意見が出された。「市民交流スペースが十分なのかという意見が出ている。窓口センターをBiViに移すことはできないか」(皆川氏)、「(市民活動拠点の)スペース自体が狭いので(まちづくり会社が貸しオフィスにする)アイアイモールや吾妻交流センターなどを含めて市民活動拠点を広げるべき」(橋本佳子氏)などの意見が出された。

利用者10万人を突破 つくば霞ケ浦りんりんロード

地域起こしと一体不可分な茨城県の新たな観光「サイクルツーリズム(自転車観光)」が順調な伸長ぶりをみせている。 つくば霞ケ浦りんりんロードの昨年度の利用者数が約10万5000人と、10万人の大台を突破した。波及効果は県央部の「大洗・ひたち海浜シーサイドルート」、県北の「奥久慈里山ヒルクライムルート」にまで及んでいる。 また、わが国最大級のサイクリングリゾート、JR土浦駅ビルの「プレイアトレ土浦」が国交省の自転車活用推進功績者表彰を受けた。 コロナ禍でも1.13倍増 つくば霞ケ浦りんりんロードの利用者数は、右肩上がりで伸びている。コロナ禍の昨年、アウトドアや健康志向が高まったためとみられる。 今後の取り組みとしては、休憩所を活用したサイクリスト「ウエルカムイベント」の実施▽街中に誘導するための周遊イベント(スタンプラリーなど)の推進▽サイクリストにやさしい宿の更なる認定とPR▽県サイクルステーション整備支援事業(りんりんロード沿線の施設をサイクリストに必要な設備をもつ施設とするための補助事業)―などを実施していく方針だ。 一方、プレイアトレ土浦の自転車活用推進功績者表彰は、2017年5月施行の自転車活用推進法に基づく受賞。県内の観光資源や自然を生かし、地元事業者も協力したサイクリング、キャンプなどの大型イベント、バーチャルライドによる情報発信など様々な取り組み、サイクリングシーンに対応した設備の完備など環境面が高く評価された。(山崎実) ◆サイクルツーリズムに関する問い合わせは県スポーツ推進課(電話029ー301-2735)。

ナツツバキ、ドクダミ、アザミ、ネジリバナ 《続・平熱日記》88

【コラム・斉藤裕之】4月の初め、家のプルーンの木に小さな白い花がいっぱい咲いていて驚いた。これまでも、ぽつりぽつりと咲いたことはあったのだが…。去年植え替えたブーゲンビリアも見事に咲いて、気が付けば、昨年手に入れたレモンの鉢植えもいくつか花が咲いている。 花は色彩にあふれ生き生きとして、描く者にとっても飾る側としても、最も好まれるモチーフだ。バラやユリ、シャクヤクやボタンなどは、文字通り「華のある」モチーフとしてよく描かれるが、私はそれほど引かれない。 ふと、モネの「睡蓮(スイレン)」を思い出した。フランスに留学していた時には美術館のフリーパスをもらっていたので、「睡蓮」のあるオランジェリー美術館(元はオレンジの倉庫だった)に何度も通った。また、パリ郊外のジベルニーにあるモネのアトリエを訪ね、睡蓮の池のある庭も歩いた。 日本では優しい色彩の印象派として知られるモネだが、その眼は驚くほど映像的で一眼レフカメラのようだ。それから、例えば積み藁(わら)の絵や崖を描いた作品を白黒にしてみると、デッサン力が卓抜していることもわかる。そして、一見情緒的に見える色彩は理論的に重ねられている。 しかし、なぜ睡蓮だったのだろう。当時モチーフに苦慮していたモネが、偶然ジベルニーを訪れて睡蓮に出会ったというが…。 歴史的に、花は卓上の静物あるいは風景の一部として描かれた。しかしモネにとっては、睡蓮という花そのものではなく、「睡蓮のある水面」が重要だったのだろう。つまり、ルーアンの大聖堂が建築物としての構造や奥行きを描くために選ばれたのではないように、何度も描かれた庭や池は、モネの求める絵画空間や色彩表現の実験台として格好のモチーフであったのだと思う。 例えばモネが土浦に住んでいたとして、霞ケ浦の広大な蓮田を描いたか? 否。(ゴッホなら蓮を描いたかも) 花はやはり軽くなくてはいけない さて、今年もドクダミがきれいに咲く季節となった。それから、以前はほとんど見ることがなかったアザミが、ここ数年道端や野にあるのを見つけて、これまた描きたいと思う。そして、ご近所さんの庭先や公園で、白くてころりとしたナツツバキが、こちらは地面に落ちているのを描く。 花はやはり軽くなくてはいけない。どんなにきらびやかでも、華々しくとも、触れれば柔らかく薄く軽くある。だから、アジサイが何キロもあるような塊になってはいけない。それから、花こそ自然の摂理そのままの形をしていて、いい加減には描けない。そのあたりが面倒くさいから、花を避けているのかもしれない。 散歩の途中でネジリバナを見つけた。らせん状のピンクの花がかわいらしいが、こちらは描かずにめでる。「ネジリバナ ねじれて咲いて 素直かな」。どなたの句だったか忘れたが、毎年この花を見ると思い出す。そうだ、今年はクズの花を描こう。毎年描こうとしてうまくいかない花たち。(画家)

「コロナ禍をチャンスに」 地域の芸術家たちをサポート つくばのにれ工房

つくば市平塚の「にれ工房」で家屋のリフォームや家具制作業を営む代表の山崎誠治さん(66)が、コロナ禍で苦しむ地域の芸術家を支援している。 山崎さんはコロナ禍で多くの画家や工芸作家、音楽家らが活動の場を失い苦しむ様子を間近で見てきた。コンサートが中止になり、教えていた教室や、作品を販売していたマルシェが次々中止になった。そこで山崎さんが始めたのが、活動の場を失った芸術家へのサポートだ。 音楽家には自宅のスペースを提供し、つくば市による芸術家振興事業の「オンライン文化芸術奨励事業」に向けた動画制作や、来場者数を絞って感染防止対策をしながらの「プチライブ」を企画した。もの作りの場として作家に教室を提供もしている。 「若い芸術家にとって活動できなくなることが一番辛い。コロナが明けた時に必ずチャンスが来る。だから、前を向こうと励ましました」 音楽祭などを長年開催 山崎さんは、つくばエクスプレス開通前年の2004年に千葉県から転居し「にれ工房」を開業した。仕事の傍ら、芸術を通して人が集まり楽しめる場づくりとして、研究学園での屋外イベント「トワイライト音楽祭」や、小さな子を持つ母親のためのコンサート「ママコン」の開催などを長年続けてきた。 つくばには、筑波大学芸術学群で学ぶ学生や、県内外で活躍する音楽家や作家など、芸術活動を生業とする市民が多数暮らしている。地元にも活動の場を作り、地域の人との橋渡しができればと考えてきた。しかし、コロナ禍で人が集まるイベント開催が難しくなった。「このままではダメ。新しいことを始めよう」と思った。 ケーブルテレビと計画 今後は地元ケーブルテレビとの企画で、にれ工房で収録した音楽家の演奏をテレビで放送する「つくば音楽祭」を計画している。毎回収録には少数だが観客も入れる予定だという。 また、市社会福祉協議会ボランティアセンターのメンバーとして始めた「ちいかつ(小さな地域の活動)」では、地域の先輩たちとの交流を通して、芸術・文化活動に悩みを持つ人がヒントを得てもらえるような場作りを始めた。「つくばは、芸術の街として大きな可能性がある」という。 「こんな時期だからこそ、ピンチをチャンスに変え力を発揮することで、若い芸術家たちが自信を持ち笑顔で活動し続けられるよう、伴走できたらと思っています」(柴田大輔)

つくばの街づくり 迷走する市の計画 《吾妻カガミ》109

【コラム・坂本栄】TXつくば駅前に新装オープンした「トナリエ クレオ」をのぞいてみました。撤退した西武百貨店では「デパ地下」だった1階には、食品スーパー「ロピア」のパワフルな食材が並び、以前とは大分違った雰囲気でした。茨城初の同店が核店舗として入り、つくばセンター地区は平成のころとは違ったまちに生まれ変わるような予感がします。 徒歩や自転車で行ける「クレオ」 トナリエ・クレオ開店の様子は、本サイトの記事「クレオ3年ぶりに再オープン」(5月19日掲載)をご覧ください。新しい家主「日本エスコン」の伊藤社長のあいさつが引用されていますが、「大型百貨店などのGMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)を核とする構成から、地域住民に欠かせない食品スーパーを核とするNSC(ネイバーフッド・ショッピング・センター)に構成を変えていく」との考え方には、なるほどと思いました。 業界用語NSCとは、食品スーパーを中心にして、近隣住宅街などの小商圏をターゲットとする商業施設のことだそうです。大商圏を想定して高級品も扱う百貨店とは違ったコンセプトです。中部電力系の東証1部上場不動産会社・日本エスコンとしては、つくば駅周辺に林立するマンションに注目(自らもクレオ隣りに建設中)、勢いのある食品スーパーを誘致したようです。 この地区には、カスミ・フードスクエア学園店、ヨークベニマル・つくば竹園店、西友・つくば竹園店など、有力な食品スーパーがひしめいています。そこに新たなNSCをぶつけてきたことに、エスコンとロピアの気合いを感じます。クレオに徒歩あるいは自転車で来られるエリアに、これからもマンション、戸建住宅が増えると読んだからでしょう。 これらの店の大商戦によって、つくば駅周辺が活気ある「オフィス+マンション+飲食店+小売店」地域になればと思います。 市の無為は「まちづくり」にプラス こういった絵を描いていたら、2年半前に、五十嵐市長が「つくば駅周辺にマンションを建てさせない」と言っていたのを思い出しました。この計画がまだ生きているとすれば、進出会社の読みに狂いが生じます。そこで市長にただしたところ、マンションを規制する方針は変わっていないということでした。どうやら、市は民主導の「まちづくり」が面白くないようです。 市主導の「まちづくり会社」による「クレオ再生計画」が失敗した後、コラム「クレオ問題 そして祭りは終わった?」(2018年11月5日掲載)の中で、「市は時間軸を曖昧にしたまま、つくば駅周辺にマンションを建てさせない用途制限措置を導入しようとしている。これでは、建設を誘導しているようなものです」と指摘しました。 その後の推移を見ると、市はマンション規制に動かず、市長発言によって逆に建設が促され、マンションの集積が進むことになりました。市長の言行不一致=無為が「まちづくり」にプラスになったわけです。 エスカレーター問題で迷走するセンター地区再生計画もそうですが、市は余計なことをしない方がよいようです。この際、お荷物の「センタービル」の再生も、市主導の「まちづくり会社」ではなく、知恵と力がある民間会社に頼んだらどうでしょうか。この提案、コラム「センタービル再生の問題点」(2020年8月3日掲載)でも書きました。(経済ジャーナリスト)

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