木曜日, 1月 20, 2022
ホーム コラム 太陽光発電に浸食される里山の危機 《宍塚の里山》78

太陽光発電に浸食される里山の危機 《宍塚の里山》78

【コラム・佐々木哲美】3年前、宍塚里山の南西部にある畑と森林が伐採され、太陽光発電のパネルが設置されました。その面積は約3.5ヘクタールにも及びました。土地所有者の権利の大きさを前に、里山を維持できなかった私たちは無力さを痛感。そこで、土地を取得するために、ナショナル・トラスト(文化財や自然風景地などの保全活動)の取り組みを検討しました。「宍塚の里山」約100ヘクタールのうち数ヘクタール取得すれば、行政も考えるのではないかと期待したからです。

太陽光発電の位置=全国農地ナビから作成

私たちは昨年1月、公益社団法人「日本ナショナル・トラスト協会」の助成金をいただき、改めて土地所有者の調査に入りました。11月には「里山保全のためにNPO法人は何ができるか」をテーマに学習会を開催しました。最近、学習会に参加した方の母親がお亡くなりになり、相続財産の中から50万円を寄付してくれました。また、当会が土地の寄付を受け付けていると知った方から、宍塚の里山に所有する67坪の山林を寄付したいとの申し出がありました。

また、当会が10数年整備してきた土地の所有者から「太陽光発電に土地を貸すか売らないか」と言われているが、どうしたらいいかとの相談もありました。周辺の土地所有者に当たって調べたところ、約2.7ヘクタールの事業が計画されていることが判明しました。その対応を考えているさなか、5月中旬、「上高津貝塚ふるさと歴史の広場」南側に発電設備の材料が突如運び込まれ、あっという間にパネルが設置されました。その後も周辺の草が刈られ、新たな施設建設の勢いは止まりません。

「再生可能エネルギー」が自然を破壊

経産省のホームページにFIT(固定価格買い取り方式)認定の計画は大小を問わず掲載されていると聞き調べてみましたが、確認できませんでした。また、茨城県のガイドライン(2021年4月改定)によれば、50キロワット以上の計画(面積換算700平方メートル以上)は市町村に計画を提出するように定められています。しかし、FIT認定外の情報は公表されていないため、市町村への問い合わせが必要ということでした。

土浦市では2016年12月、「太陽光発電設備の適正な設置に関する条例」が制定され、市内に50キロワット以上の事業用太陽光発電設備を設置する場合は、市との協議が必要となっています。担当者に問い合わせたところ、県のガイドラインに対応した条例改定の動きはなく、経産省ホームページに掲載されている以上の情報は把握していないということでした。

経産省の資料によれば、事業用太陽光発電のコストは、2014年にキロワットアワー(KWh)当たり約34円だったのが、19年には13.1円まで下がりました。30年には5.8円まで下がると予想されています。このままでは、CO2を削減する再生可能エネルギーの美名のもとに「地球にやさしい自然破壊」が加速していきます。 そもそも、CO2を固定している都市近郊の森林を伐採して、太陽光発電とは本末転倒です。一刻も早く里山保全の方策を講じなければなりません。(宍塚の自然と歴史の会 副理事長)

3 コメント

誹謗中傷するコメントはNEWSつくば編集局が削除します。
3 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最新記事

運営事業者の継続求め陳情 不登校の学習支援拠点「むすびつくば」保護者会

つくば市とNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)が協働で、不登校の児童生徒の学習支援を行う「むすびつくば」(同市吾妻)の保護者会が19日、次年度以降もリヴォルヴによる事業継続を訴え、五十嵐立青市長と小久保貴史市議会議長に陳情書を提出した。 昨年12月、市は2022年度の委託事業者を公募型プロポーザル方式で募った。名乗りをあげた4事業者中、新規の民間事業者が1位に選定され、リヴォルヴは次点になったという通知が今月7日に届いたからだ。 保護者会代表の小柴架奈子さんは「通所している子どもたちは学校に居場所がなく、親子でお先真っ暗の辛い時期を過ごした。今はリヴォルヴのスタッフのおかげで通所を楽しみにするようになった。人間関係に不安があったり、新たな環境への適応が難しい子どもは通所が困難になることが予想され、またあの辛い日々に戻らなければならないのかと不安を抱えている」と保護者たちの思いをぶつけた。 また「次年度の事業者が公募されることは知っていたが、つくばで20年以上フリースクールを運営しながら発達障害や学習障害への対処法を研究してきたリヴォルヴの実績は市も知っていて、外されることは想定していなかった。当事者は不登校を経験した繊細な子どもたちなのに、モノをとっかえるような教育政策は納得できない」と憤る。 小久保貴史市議会議(左)に陳情書を手渡す保護者会代表の小柴架奈子さん=つくば市役所 市は不登校の子どもたちの社会的自立に向け、リヴォルヴと協働で2020年10月1日、TXつくば駅に近いつくば市産業振興センター内に支援拠点「むすびつくば」を開設した。支援業務の教育効果などを明らかにする目的で「協働実証事業」と位置づけられた。

「イースト ベース」のお弁当で忘年会 《ご飯は世界を救う》43

【コラム・川浪せつ子】昨年12月、茨城県内も新型コロナ「ゼロ」の状態が続きました。そんなとき、県建築士会・女性部会の「手作り・忘年会」を、2年ぶりに土浦の市営施設で開きました。 今回は、最近人気の「アルコールインクアート」をやりました。紙の上にアルコールインク液を垂らし、にじんで混ざり合った部分を生かして描く、アートです。思いがけない色の広がりや混ざり具合で、鮮やかな模様が出来上がります。帰宅後、早々に壁に展示。 筆者のアルコールインクアート作品 久々に仲間たちと近況報告 短時間で小さい作品を2枚製作したあと、ランチは「イースト ベース(EAST BASE)」(牛久市刈谷町)のお弁当。1級建築士でありながら、お総菜も作っている、通称「たまちゃん」の店のお弁当です。イラストでご覧のように、食材、素材、調理方法にはこだわりが!

つくばセンタービルの価値を紹介 市民団体が「謎解きツアー」

つくばセンタービル(つくば市吾妻)の7カ所を巡りながら、建築デザインの意味や価値について解説する現地ツアー「つくばセンタービル謎解きツアー」を、市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)が開いている。 昨年11月3日から毎月2回開催し、これまで延べ83人が参加した。1月16日に7回目が開かれ、11人が参加した。同会代表でNEWSつくばコラムニストの冠木新市さんがガイドを務める。冠木さんは、つくばに移り住んで以来30年にわたり、センタービルについて独自に研究してきたという。 つくばセンタービルは建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した磯崎新さんが設計した。ポストモダン建築の代表作として世界的な評価を受けている。2020年、つくば市は同ビルにエスカレーターを設置するなどの改修計画を発表したが、専門家や同会から建築物の価値を喪失するなどの指摘を受け、昨年12月、当初の計画を大幅に見直した経緯がある。 冠木さんによると、センタービルの建設に当たり磯崎さんは1978年、日本住宅公団(現在はUR都市機構)が実施した設計者を選ぶプロポーザルコンペで、筑波研究学園都市を批判するレポートを書き、7つの性質をセンタービルに与えることを提案した。劇場性、胎内性、両義性、迷路性、寓意性、逸脱性、対立性の7つだ。磯崎さんはつくばセンタービルが起死回生の役割を果たす象徴的な建築となることを目指し、その中核として同ビル中心に、くぼ地となるセンター広場を造ったという。 センタービルの中心にあるセンター広場の床面は、ルネサンス期のイタリアの建築家ミケランジェロが設計したローマのカンピドリオ広場を引用するデザインとなっている。ツアーで冠木さんは「床面の模様がカンピドリオ広場を反転した色合いになっている」と解説する。広場には霞ケ浦や桜川を反転した形が水の流れでデザインされており、冠木さんは「この反転は現実と虚構、日常と非日常を意味しているのではないか」と参加者に問いを投げ掛ける。 続いて、センタービル正面玄関の柱に引用されている18世紀のフランスの建築家、ルドゥーのアル・ケ・スナン王立製塩所のこぎり歯のモチーフ、ホテル日航つくば1階に設置されている、米女優マリリン・モンローの体のカーブを表現したいす「モンローチェア」などを見て回った。

動物は取り換えのきく玩具ではない 《晴狗雨dog》4

【コラム・鶴田真子美】私が理事長を務めるNPO法人CAPIN(Citizens for animal protection,ibaraki network)は、2008年に設立された「捨猫防止会いばらき」の活動を引き継ぎ、虐待動物保護、被災者支援、法改正運動などに取り組んできました。毎週末に開催する里親会、地域イベントへの参加を通じ、「捨てない、増やさない、終生飼養(しよう)」を訴えてきましたが、避妊去勢手術、フィラリア予防薬、疾病治療など、犬や猫にお金をかけることへの抵抗感がまだ根強く存在しています。 茨城県動物指導センターに収容される迷子犬や捨て犬たちの多くが、フィラリア陽性でせきをしています。避妊を怠ったために産まれてしまった子犬や子猫。老いたから、皮膚病になったから、捨てられたと思われる、決してお迎えの来ない収容犬たち。 動物は取り換えのきく玩具ではない、1匹ごとに命ある生き物です。飽きたら捨てることは許されません。飼い主には責任があることを伝えていかねばなりません。 学校教育で子どもたちの意識を変えていくことが大切と思います。子どもたちが学校で新しい法律や世界の潮流を学び、啓発チラシを家に持って帰り、親御さんに読んでもらうのもよいでしょう。また、学校も子どもたちにお世話の仕方を体験するきっかけを与え、動物との暮らしの豊かさを教えたら素晴らしいと思います。 つくばインターナショナルスクールと交流