土曜日, 4月 4, 2026

県議会がいじめ根絶条例可決 出席停止措置も

【山崎実】県議会第4回定例会に議員提案されていた「県いじめ根絶を目指す条例」が最終日の20日、可決成立した。条例は、いじめのない学校運営が行われるよう、校長の責任を明確にしている。教育現場での対応として、いじめを行った児童生徒の出席停止措置や、いじめを受けた児童生徒とは別の場所で学習を行わせる措置を講じるなど、かなり厳しい内容が盛り込まれている。 背景には取手市の女子中学生自殺事件がある。その後もいじめによる不登校や、自ら命を絶つ事件などが全国的に発生しているため、「いじめの根絶に向けて社会が総がかりで取り組む」ことを柱に掲げている。全国11県目のいじめ防止条例として来年4月1日から施行される。 条例は全23条で構成され、県独自の取り組みとして、児童生徒からのSOSの受け止めと、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)による相談体制など、相談しやすい環境づくりを構築する。専門的知識に基づいていじめ対策が行われるよう、スクールロイヤー(弁護士)の派遣による支援なども規定し、「いばらき教育月間」(11月)での重点的な県民啓発活動を提唱する。 県は、いじめに関する諸課題を克服するため、県教育委員会や学校、市町村教育委員会、児童相談所、水戸地方法務局、県警察本部など関係機関(団体)で構成する「県いじめ問題対策連絡協議会」を設置。相互協力、連携を深め、いじめ根絶を目指すとしている。

救われた小さな命 交通事故被害の子猫もらって つくばの愛護団体

【橋立多美】街中や住宅地でネコがのんびり昼寝をしている風景は平和そのもの。しかし交通量が増え、不意に道路に飛び出したネコが走ってきた車とぶつかったら小さな体はひとたまりもない。 つくば市に活動拠点を置く動物愛護団体「Team.ホーリーキャット」(7月17日付)が、交通事故に遭った生後4カ月半の雌ネコの里親になってくれる人を探している。 今月中旬、同団体に「交通事故に遭った子ネコの里親さんを探してほしい」という連絡があった。連絡したのは牛久市在住の坂朋子さん(36)。 坂さんは今月6日午後4時半頃、つくばみらい市の職場から帰宅途中の市道で、前を走っていた2台が左側をよけていることに気が付いた。スピードを緩めると道路上に子ネコが座っていた。「頭が上がっているから生きている。このままでは後続車にひかれる」と思った。安全な場所に移動させようと車を停めて近づいた。 抱き上げると鼻血が流れ出て坂さんの手首を赤く染めた。ぐったりした全身は小刻みに震え、鳴くそぶりを見せたが声は聞こえなかった。置き去りにできないと助手席に乗せて動物病院に運んだ。 すぐに対応した小林獣医師は「レントゲン検査で大きな骨折は見られない、鎮痛剤で経過を見ましょう」と坂さんに告げ、1週間入院することになった。鼻血は頭をはじかれたことによるものと診断された。 入院中は仕事帰りに立ち寄り、ケージの中で痛みに耐えて頑張っている子ネコを見守った。また、飼い猫かも知れないと思い、保護した場所近くのコンビニに「子ネコを保護しています」と写真付きのチラシを貼らしてもらったが、飼い主は現れなかった。 病院での早い処置もあり、運び込んだ時は自分で歩くことができなかったが退院するときには歩行できるまでに回復した。だが体の右側を強打したことで右目を失明し、右耳の聴力と声を失った。同獣医師は「一過性の神経障害で発達途中なので回復する可能性はある」と話す。 退院後は坂さんの自宅に引き取った。ところが手乗りで遊んでいたハムスターがケージから出てこなくなった。「ハムスターは警戒心が強いそうで、手に残ったネコのにおいが影響しているかも」と肩を落とす。 先住のハムスターを優先させる決意をし、子ネコの里親を探すことにしたという。子ネコは右目が見えないとは思えないほど活発に遊びまわり、食欲旺盛だ。坂さんは「人懐こくてかわいい。やさしい里親さんの下で幸せに暮らしてほしい。でも手放す日は涙が止まらないと思う」 里親探しを依頼されたホーリーキャットの代表重松聖子さんは「後続車にひかれる前に坂さんの機敏な行動で保護され、獣医師につないだことで救われた小さな命。家族として迎えてくれる里親さんに手渡したい」と話した。同獣医師は「室内で飼育し定期的に健康チェックをしてやってほしい」と言い添えた。 ◆子ネコを譲渡する里親会は明日22日(日)午後1時~4時、つばた接骨院(牛久市さくら台1丁目)。新年は1月5日(日)と19日(日)午後1時~3時、TXつくば駅前のセンター広場(つくば市吾妻)で開催。問い合わせは重松さん(電話090-8058-3129)まで。

つくば市の門脇教育長が退任 後任に森田局長

【鈴木宏子】つくば市の門脇厚司教育長(79)が任期満了に伴って24日退任し、後任に森田充市教育局長(61)が就任する。つくば市12月議会最終日の20日、教育長任命議案が追加提案され全会一致で同意された。 門脇氏は「子どもの社会力」(岩波新書)などの著書がある教育学者で、筑波大教育系教授、筑波学院大学学長、美浦村教育長などを歴任し、2016年12月につくば市教育長に就任した。就任直後は工事の遅れによる秀峰筑波義務教育学校の開校延期問題に取り組み、このほど作成された市教育大綱案の策定に尽力した。 後任の森田氏は、県内各地の小中学校で教べんを執り、03年県県南教育事務所指導主事、08年つくば市立大曽根小校長などを務めた。13年から県教育庁義務教育課長、同学校教育部長を歴任した。県職員を定年退職後の18年4月から任期付職員として市教育局長を務めている。25日、市教育長に就任する。任期は3年間。

レジオネラ菌検出 つくば市ふれあいプラザ ジャグジー

【鈴木宏子】つくば市は19日、生涯学習施設、市ふれあいプラザ(同市下岩崎)のフィットネスプール内ジャグジーから、基準値を上回るレジオネラ菌が検出されたとして、16日から利用を停止していると発表した。 市文化芸術課によると、指定管理者の常陸興業が今月6日、年2回の水質定期検査を実施したところ、休館日の16日、検査機関から「分析途中だがレジオネラ菌検出の疑いがある」旨の連絡があった。指定管理者はジャグジーとプールの利用を停止し、高濃度洗浄剤でジャグジーを清掃、配管など循環設備の清掃を実施した。 18日、検査機関から基準値(100ミリットル当たり10CFU未満)を上回る10CFUのレジオネラ菌が検出されたと口頭で報告があり、19日、検査報告書の提出があった。 ジャグジーは直径約2.5メートル、深さ約1メートル。36度から40度程度の温水で、隣接のプールで水中ウオーキングなどをした利用者が体を温めるために使用している。温水は毎日、水をすべて抜き、入れ替えている。 一方、プールからレジオネラ菌は検出されておらず、利用者から健康被害の報告もないという。 指定管理者は今後、さらに滅菌効果を高るためアルカリ洗浄などの追加清掃を行う。再度、水質検査を実施し、安全が確認でき次第再開する。 ※  ※  ※ 同市は2020年1月21日、再検査の結果、水質の安全が確認されたとして、22日から利用を再開すると発表した。利用停止期間中、プールとジャグジーについて、高濃度洗浄、塩素消毒、高圧洗浄などを実施し、その後の水質検査で安全が確認されたという。21日時点で健康被害の報告はない。 ※CFUはコロニーの形成単位 ➡レジオネラ菌に関する過去記事はこちら

2月の初午に「すみつかれ」 民俗学会若手が収集呼び掛け

【相澤冬樹】「すみつかれ」あるいは「しもつかれ」は、栃木県から茨城県の一部で食べられている郷土料理。この埋もれがちの食文化を掘り起こし、採集・調査に取り組む若手が茨城民俗学会(飯村保会長)に現れた。稲敷市在住の古山菜摘さん(31)、「平成」を特集テーマに取り上げた最新の機関誌「茨城の民俗」58号に、論文「すみつかれと小池夫妻との出会い」を寄稿して、さらなる収集への協力を呼び掛けている。 古山さんによれば、「すみつかれ」は茨城県の県西・県央地域を中心に、2月の初午(はつうま)の日に食べられている料理。鬼おろしと呼ばれる道具で大根をおろし、節分の残りの炒り大豆を加え、家庭によってニンジン、油揚げ、酒粕、正月の残りの塩サケの頭などを混ぜ合わせて作る。煮込んだり、熱は加えなかったり、酢やしょう油の加え方もまちまちだ。 似たような料理に「しもつかれ」がある。栃木県内から茨城の鬼怒川流域にかけては、この名がポピュラーで、パック入りのものがスーパーで売られていたりする。さまざまな料理法を分類して、「すみつかれ」と「しもつかれ」の分布と境界を明らかにしたいと、つくば市在住の小池英治さん(46)、容子さん(43)夫妻と日本すみつかれ楽会を立ち上げた。 「しもつかれ」との分布図作る 古山さんは筑波大学芸術専門学群出身のイラストレーター。障害児を「福子」と呼びならわし、家族や周囲に「福」をもたらす存在として大事に扱ってきた地域共同体のありように興味を覚えたのがきっかけで、卒業後民俗学の世界に関心を広げた。 そんなとき出会ったのが小池さん夫妻。毎月つくば市大角豆でコミュニティーマーケット「まめいち」を開催している。東北出身の夫妻はかつて居住していた下妻市(旧千代川村)の農家ですみつかれに出合い、カルチャーショックを受けたそうだ。つくばに移って自分で作るようになり、古本市の打ち上げに持ち込んだところ、同席していた古山さんが目を丸くした。「これは何だ!」、正直おいしいとは思わなかったが、衝撃的だったという。 古山さんは今春、民俗学会に入会。最年少の会員には、8月締め切りの機関誌に用いるイラストの作成と特集「平成」の原稿を書くよう注文が届いた。時間がないことから「すみつかれ」をテーマに選んだが、内容は小池英治さんが収集した記録がベースとなった。それらを食材や調理法によって再整理し、分布を地図上に配置して体系化してみた。 今回収集できたのは宇都宮市(栃木県)の2点と茨城県内8点。つくば市や土浦市、石岡市に分布したが料理に明らかな地域特性は認められなかった。英治さんは「民俗学的アプローチは、疑問はふくらむけど結論が導き出されることはない。ひたすら聞き取りを続け収集するのが大事になる」と励まし、古山さんに続報の執筆を求めた。 来年2月に「サミット」開催 新年の初午は2月9日。「まめいち」では2月16日に、6回目となる「すみつかれサミット」を開催する。すみつかれ楽会は、食べ比べ企画を拡大したい考えで、新たな参加や情報提供を求めている。古山さんは「今度は自分で作ってみたい」と意欲的だ。 ◆茨城民俗学会は電話029-350-3310

東郷元都市整備部長を提案へ 土浦市副市長

【鈴木宏子】土浦市議会全員協議会が18日開かれ、空席となっている副市長人事について安藤真理子市長は、元市都市整備部長の東郷和男氏(64)を提案することを明らかにした。12月議会最終日の24日、追加議案として提案し同意を求める。 東郷氏は、市職員を定年退職後、市産業文化事業団常務理事を歴任した。 全協で安藤市長は、土浦市は、財政再建、インフラ整備、地域産業の活性化、農業の振興など多くの課題に直面している。独自性を発揮したまちづくりが求められるなどとして東郷氏が適任だと強調した。 同市では中川清前市長と共に市政を担ってきた五頭英明副市長が、中川氏の任期満了に合わせて退任し、副市長が空席となっていた。 一方、11月の市長選では最大会派の郁政会と公明党が中川前市長を応援した。副市長人事について郁政会の内田卓男代表は取材に対し「大変いい人材だと思う」と話している。 ➡土浦市議会の過去記事はこちら

公約実現へ道筋語る 土浦市議会で安藤新市長

【鈴木宏子】土浦市で市長交代後、初の市議会が始まっている。16日、会派代表質問が行われ、安藤真理子市長は公約実現への道筋を語った。 同12月議会は10日開会し、安藤市長は、公約に掲げた七つの基本政策を改めて述べ「すべての市民に寄り添った、暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる市政の実現に取り組む」と所信を表明した。 これを受けて16日、会派代表質問が行われ、安藤市長は、選挙戦で公約に掲げた①コミュニティバスを市内全域運行する②市立保育所を守る③指定ごみ袋の料金を再考する―などについて、自らの考えと公約実現に向けた道筋を話した。 コミュニティバス運行へ、来年度から調査 コミュニティバスについては、NPOが現在、中心市街地で運行している「キララちゃんバス」ということではなく、新たなコミュニティ交通または民間のバス事業者により、公共交通不便地域を解消していきたいと改めて強調した。実現への道筋については、来年度から課題や問題点を調査するとした。さらに運行区域や路線の検討など市全体の公共交通ネットワークについて調査研究し、市民に寄り添った温かさあふれる公共交通網の形成に向け努力すると述べた。運行の予算や財源については、利用者、事業者、学識経験者などで構成する市地域公共交通活性化協議会で協議を進める中で具体的にしていくとした。 後期計画の4公立保育所「残したい」 公立保育所10カ所については、前期計画で21年3月までに6園を民営化し、後期計画で残り4園を25年度までに民営化の対象とするとされていた。これに対し安藤市長は「近年、家庭の養育機能の低下や虐待児童の増加、子供の貧困、特別な支援を必要とする子供への対応が課題となっており、公立は長年培ってきた保育のノウハウを生かして先導的な役割を担うことができる」とし、後期計画の4園について「後期計画策定時には学識経験者や保護者などの意見を聞きながら民営化の効果や課題について検証し、ぜひ公立保育所を残したい」と述べ、後期計画で対象となる神立、霞ケ岡、天川、荒川沖の4保育所を公立のまま残す検討の対象とする意向を示した。 有料ごみ袋料金、検証し再考 家庭ごみ処理の有料化が昨年10月スタートし、「燃やせるごみ」と「燃やせないごみ」の指定ごみ袋が最大で10枚入り500円と、県内市町村で最も高くなったごみ袋料金については、「有料化はやむを得ない」と述べる一方、「同じ有料化を実施している県内他市に比べて高いという意見をいろいろな市民から聞いている」とし、今後データや資料をとりまとめて様々なアイデアを出しながら、現在の制度の実施状況や効果を検証して、ごみ袋の値段をいくらにできるのか再考に取り組みたいと述べた。 ほかに公約に掲げた新治運動公園多目的グラウンドの人工芝化については、グラウンド全面に人工芝を張る場合は約4億3000万円、少年サッカー用ピッチ3面分の場合、約2億7000万円の事業費が見込まれているとし、財政健全化を推進しながら整備手法や維持管理経費を改めて検討し、市サッカー協会などの意見も参考に早期に実現したいと話した。 一部用地取得ができず塩漬けとなっている常名(ひたな)運動公園問題についても質問が出た。安藤市長は、今後も引き続き「早期解決に向け用地交渉に取り組んでいく」と答弁し、運動公園から新たな土地利用計画への変更についても「考えてない」とした。同運動公園は27年前の1992年から事業着手し、これまで計画面積23ヘクタールのうち93%の21.7ヘクタールを利子も含めて約77億8800万円で取得した。残り1.58ヘクタールの取得が難航し未買収地が点在しているため面的整備ができないまま現在に至っている。 ➡土浦市長選の過去記事はこちら

“見えない”多様性を可視化 筑波大でセクシュアル・マイノリティの写真展

【山口和紀】LGBTなどセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の多彩な人物像を撮影するプロジェクト「OUT IN JAPAN(アウトインジャパン)」の写真展が16日から筑波大学附属図書館(つくば市天王台)で始まった。様々な写真家が5年間で1万人を撮影するプロジェクトで、同大では、これまで撮影された中から、シンガポール出身の著名写真家、レスリー・キーが撮影した30点が展示されている。 尊重し学び合える大学へ 写真展をとりまとめるのは同大人間系の河野禎之助教だ。大学のセクシュアリティ支援窓口・DACセンターの担当教員でもある。同大は2017年、全国の大学に先駆け、セクシュアル・マイノリティへの相談・支援体制などをまとめ「LGBTに関する筑波大学の基本理念と対応ガイドライン」として公表した。河野助教はこのガイドラインの策定を中心的に進めるなど、大学における相談・支援体制を充実させることの必要性を訴えてきた。 同大は2017年からさらに、性別、国籍、文化の違い、年齢、障害の有無にかかわらず、人の可能性と多様性を尊重し、学び合える大学を目指すために多様性に関する啓発イベントを行ってきた。過去には、誰もが楽しめるスポーツ「ボッチャ」の体験会や、「人工知能研究からみた身体障害者支援の未来」と題したイベントが行われた。 今年度は、同性が好きな人や自分の性に違和感を覚える人を含む「セクシュアル・マイノリティ」に焦点を当てた写真展のほか、LGBTに関する座談会「LGBTQA茨城県人会議@つくば」を開催する。 「泣きそうな気持ちになった」 OUT IN JAPANは「目に見えないLGBTの存在をポジティブに可視化」するプロジェクトだ。日本のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)を始めとするセクシュアル・マイノリティのありのままの姿を撮影する。NPO法人グッド・エイジング・エールズが主催をしており、これまで20回の撮影会が行われた。 開催について河野助教は「自分は当事者を知らないと話す学生はすごく多い」ことに触れた上で「セクシュアル・マイノリティを含む多様な生き方を知ってもらうことが目的」と話す。多くの人の目に触れる展示会は関心の薄い人たちにも伝えることができる良い機会だという。 今回はセクシュアル・マイノリティに焦点を当てるが、あくまでも「多様性」に触れて、それぞれに考えるきっかけを作ることが狙いだ。「一人ひとりにそれぞれの生き方がある。展示されている写真のメッセージを見てもらえば、同じセクシュアル・マイノリティといっても、全ての人が違う生き方を持っていることを感じてもらえるはずだ」と語る。 同大に展示されている写真にはそれぞれ被写体からのメッセージがついており「無理にカミングアウトをする必要はない」「自分の人生を生きてください」など思いの伝わる写真が並ぶ。 展示を見た学生は「実際にメッセージを読むと泣きそうな気持ちになった。セクシュアル・マイノリティが身近にいるありふれた存在だと知ってもらえたらうれしい」「OUT IN JAPANを初めて知った。良い活動だと思うし勉強になった」などと話していた。 ◆展示会は16日(月)~20日(金)の1週間、つくば市天王台、筑波大学附属図書館2F展示スペースで開催されている。入場無料。図書館のカウンターで受け付けを行えば一般市民も観覧できる。

無ろ過で元年デビュー果たす つくば産ワイン限定500本

【相澤冬樹】筑波山麓で今秋収穫されたブドウを使い、初めて現地醸造されたワインが15日、店頭デビューした。つくば市北条でワイン用ブドウを栽培してきたカドヤカンパニー(本社・小美玉市、岡崎正光社長)が製造・直売するもので、今回は無ろ過のロゼワインを「TSUKUBA PRIMO(ツクバプリモ)」と銘打ち、500本限定で売り出した。 無ろ過ワインは、製造時に混入する不純物を除去することなくそのまま販売するもので、「いわゆる澱(おり)が残っており、それが風味にも雑味にもなり、扱いが難しいワイン」(北村工マネージャー)だそう。当初は年明け以降、正規品での販売を予定していたが、引き合いが増え、無ろ過でも出来のいいワインに仕上がったことから、暮れの需要期に合わせ販売に踏み切った。 同社はこの秋、同所に醸造所と売店からなる施設、ワイナリーを開設して、つくば産ブドウ100%を使ったワイン製造を開始した。今秋収穫したブドウは15トン、720ミリリットル換算で1万5000本を製造・販売する計画だった。 発酵・熟成のためのタンク1基を開封し、500本の瓶詰めを終えた。封入はコルク栓でなく器械(気開)栓を用い、ワイナリー直売品らしさを打ち出している。帯ラベルには「日本ワイン」「材料/ブドウ(つくば産)」の表示が誇らしげに入っている。720ミリリットル入り2500円(税別)。 SNSなどで情報を伝え聞いたワイン党が早速ワイナリーに駆けつけ、2本、3本と買い求める姿があった。筑西市から来たという会社員(27)は「偶然通りがかったら売り出しているのを知った。お歳暮用に買い求め、自分用に買い足した」そうだ。 岡崎洋司専務は「この勢いだと限定500本は1週間とかからず売り切れそう。正規のワインは年明け以降、準備を本格化させ、2月には売り出せると思う。楽しみにしてほしい」という。 ➡つくば産ワインの過去記事はこちら

【筑波大、26年ぶりの箱根路】㊦ 最後の壁「意識の差」乗り越える

【池田充雄】箱根への最後の壁となったのは、選手たちの本気度だった。6月下旬、全日本大学駅伝の関東地区予選会が開かれたが、その中に筑波大の名前はなかった。予選会の参加枠20校に入れなかったのだ。だが選手たちには悔しさを見せる様子もなかったという。弘山勉監督は「本気でやらないなら、自分が教える必要はない」と迫り、そこから選手たち自身による意識改革が始まった。 アクションを起こしたのは上迫彬岳主務。「5月からプレーイングマネージャーとして、少し離れたところからチームを見る中で、不足を感じる部分があった」という。選手一人ひとりから匿名で意見を募り、パワーポイント資料にまとめ、ミーティングで問題提起した。 「入学したときは本気で箱根を目指していた選手たちが、いつの間にか、国立であることを負ける言い訳にし始めていた。他の大学では自分たちより実績ある選手が、より恵まれた環境で、より一生懸命練習している。それに自分たちは本当に勝てるのか。箱根に出るためにどれだけのことを犠牲にし、どれだけ苦しい思いをする覚悟があるのか。その部分を確認したかった」 100%で打ち込むチームへ 大土手嵩主将は「上迫が中心になって動いてくれて、それぞれの競技に向き合う理由や、練習に取り組む意識など、全員の考えに触れられた。考えが甘かったと気付かされた」と感謝の言葉を述べる。 トラック種目を捨てて箱根一本に絞るのか、学業や就職に重きを置くのか。そうした自問自答の末、結果的に駅伝から離れる部員もいたが、チームの結束はかえって強まった。監督や主要メンバーによるミーティングを定期的に行い、強化方針や練習の意図、流れなどを話し合うほか、チーム内でも互いに改善点を指摘し合うなど、横の風通しも良くなった。 「今の3年は各自が責任を持って、能動的にチームを引っ張っていこうとする者が増えた。データ班やエントリー班、SNS班など、それぞれが自分のできる仕事を見つけて動いてくれる。やっとこういう体制が作れた」と、前年の駅伝主将だった川瀬宙夢は話す。 成功体験が与えた心身の充実 生まれ変わったチームは、夏合宿を経て着実に成長を重ね、10月の予選会を6位という予想以上の成績で突破。11月の1万メートル記録会でも、各選手がこぞって自己新を更新した。12月10日にはエントリーメンバーが確定し、本選まで残り3週間と迫る中、最後の追い込みをかける。 「夏合宿で順調に強くなっている感覚があり、それが予選会で確信に変わった。自分たちのやってきたことは間違っていなかったと、今は自信を持って練習に取り組めている。あとはけがや体調不良を出さないよう、細かいところを詰めるだけ」と大土手主将。 「予選会を勝ち抜いたことで、選手には大きな目標を成し遂げたという達成感が生まれている。この充実した気持ちの中でいかに本選を目指せるかがカギ。競技レベルに対し、体だけでなく心が追いつくことが肝心で、それにより調子を上げ、戦うパフォーマンスを発揮できる」と弘山監督。 目標は、翌年のシード権を獲得できる10位以内。復活から新しい伝統の創造へと、夢舞台での挑戦は続く。(おわり)

Most Read