【コラム・沼田誠】茨城県の外国人政策が変化している。その象徴が2026(令和8)年度予算案に盛り込まれた「通報報奨金制度」だ。外国人を不法に受け入れている事業者について、市民から具体的で根拠のある情報を募り、有益な情報には報奨金を支払うという。茨城は不法就労の摘発数が全国で最も多く、何らかの対策が必要だとしても、このような制度設計は都道府県レベルでは異例だ。
その背景には外国人住民の急増がある。全国の在留外国人数は、2025年6月末で395万人に達し、この10年で約1.7倍に膨らんだ。茨城県の在留外国人数も5.8万人から10.6万人とほぼ倍増している。農業・建設・サービス業を中心に、外国人なしでは成り立たない産業構造が広がる一方、外国人居住者と日常的に隣り合わせになるという現実は、多くの県民にとって初めての経験だ。
県が「適正化」を強めるのであれば、市町村には「地域で暮らす外国人住民をどう支え、社会参加につなげるのか」という別の役割が問われる。水戸市やつくば市は、増加する外国人住民にどう向き合っているのだろうか?
水戸50人に1人:つくば20人に1人
水戸市の在留外国人数は4772人。人口比では1.8%だが、県都としては無視できない規模だ。その対応策の相当部分は、外郭団体の水戸市国際交流協会が担っている。2022年に公表された市政モニターからの政策提言への回答では、同協会が運営する国際交流センターは、外国人市民の実態やエスニックコミュニティの状況をこれまで調査しておらず、具体的な課題をあまり把握できていないと認めている。
つくば市の在留外国人数は1万4650人と県内最多で、住民の20人に1人が外国人になっている。この10年で約5000人も増加しており、研究者や留学生に加え、就労目的の外国人が増えているとみられる。こうした変化を受け、市は2023年3月「第2次つくば市グローバル化基本指針」を策定、「すべての人にとって住みやすいグローバル都市」をゴールに掲げ、日本語学習支援を「都市インフラ」と定義した。
ただ、この指針の根拠となる「つくば市外国人市民意識調査」は、ウェブ方式で実施されており、情報アクセスが限られている層の声や実態が十分拾えていない可能性がある。これに対し大阪府豊中市の「外国人市民アンケート」(2023年3月)では、住民基本台帳から無作為抽出した対象者に、多言語の調査票を直接郵送する方式で行われ、孤立感・定住意向・子どもの教育環境まで可視化できている。解像度が異なれば、そこから導かれる施策も変わってくるはずだ。
「見えない声」を拾う調査が必要
外国人居住者が安心して社会参画できる環境を設計することは、人手不足に苦しむ産業の持続可能性への回答であると同時に、人権上の要請でもある。その出発点は、泥臭く「見えない声」を拾い上げる実態調査にあるのではないだろうか。私たちは、隣人についてもっとよく知り、理解する必要がある。(元水戸市みとの魅力発信課長)






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