土曜日, 4月 4, 2026

令和一番乗りなら筑波山頂 近場の初日の出スポットを紹介

【相澤冬樹】令和一早い初日の出を拝めるかもしれない。2020年、日本の本土の初日の出の予想時刻は午前6時46分(千葉県銚子市)から7時25分(長崎県平戸市)の範囲だが、あくまで平坦な地図上での計算。標高差を加味した日本気象協会などのデータでは、冬期閉山中の富士山頂の6時42分を除くと、筑波山山頂の6時44分は清澄山(千葉県鴨川市)と1、2を争う早さとなる。年の初め、「夜明け前が一番暗い」と格言にもあるから、お出かけには万全の注意を払い、高みを目指したい。 女体男体に3000人が登る 筑波山の初日の出。標高877メートルの女体山頂、870メートルの男体山頂からは関東平野の雄大なパノラマが広がる。 中腹まで車で行けば、ケーブルカー(宮脇駅~山頂駅)とロープウェイ(つつじケ丘~女体山駅)が山頂付近まで運んでくれる。1日はともに早朝運転を行う予定で、ケーブルカーは午前4時30分から、ロープウェイは同5時から運転する。天候や混雑度にもよるが、フル回転だと10分間隔で運行。往復の大人料金はケーブルカー1070円、ロープウェイ1120円(税込み)。 運行の筑波観光鉄道(つくば市)によれば、2019年は天候に恵まれ、日の出の時刻には女体男体に合わせ3000人以上が登っていたと見られるという。筑波山神社には大晦日、三が日とも参拝客が多数押し寄せ、駐車場待ちの長い車列ができる。神社周辺には市営の第1~第4まで約450台分、民営と合わせ1000台の駐車場があるが、元日早朝も例年満車状態となる。渋滞を避けたいなら山麓からの山登りも選択肢になる。多くのルートが整備されている。 ◆筑波観光鉄道(電話029-866-0611)。筑波山観光案内所(電話029-866-1616) 富士山も見えるスポット 宝篋山・小町山 つくば市、土浦市の初日の出時刻は6時50分ごろ、標高461メートルの宝篋(ほうきょう)山、同361メートルの小町山は、少し早めに霞ケ浦方向から登る朝日を望めそうだ。目を西に転じれば天候次第だが、茜色に染まる富士山も見えるスポットだ。。 この10年、登山ルートが整備されたことにより、地元では筑波山の混雑を避けるように宝篋山に迂回してのトレッキング客が増えた。元日朝も宝篋山小田休憩所に車を置いて山頂をめざす利用者が多いが、東郷重夫さんによれば「一昨年は午前4時前、今年は3時ごろには駐車場がいっぱいになった。1000人以上登っていたのではないか」という。徒歩ならば、小田の旧市街に入って市営駐車場、小田城跡歴史ひろば駐車場も利用圏内だ。 この宝篋山の混雑から、さらに押し出される格好で近年人気なのが朝日峠近くの小町山。地元有志らが愛称を付けて登山ルートを整備してきた。こちらは土浦市小野の小町の館駐車場が利用できる。低山とはいえ、木立が深く、沢沿いの傾斜もきついので、衣類や靴を整え、装備も懐中電灯やヘッドライトは必携となる。 ◆宝篋山小田休憩所(電話029-867-1368)。小町の館(電話029-862-1002) ネイチャーセンターが早朝特別開園 雪入山・三ツ石公園 筑波山系をさらに東に向かうとかすみがうら市に入り、雪入ふれあいの里公園が整備されている。約14ヘクタールの園内には雪入山、浅間山と標高345メートルの山の連なりがあり、リピーターたちの「元朝参り」スポットになっている。地元では初詣でをこう呼ぶ人が多い。 雪入山にはかつて砕石場だった跡地を整備して、標高150メートル地点にネイチャーセンターがあり、つづら折りに急崖を登ると石岡市から土浦市にかけての霞ケ浦の眺望と鹿行地域の遠景が見渡せる。霧の出やすい地形のため、雲海のような展望が見られる年もあった。ネイチャーセンターは1日午前5時から8時まで特別開園、約100台収容の駐車場が開放される。 浅間山中腹にある三ツ石森林公園は駐車場を含め常時開園、こちらも年々出足が早まっているそうだ。 ◆雪入ふれあいの里公園(電話0299-59-7000) 初日の出クルーズも 霞ケ浦 ご来光を拝むには東に開けた地形の場所を選ぶのが近道。茨城には大洗海岸という初日の出の景勝地があるが、土浦入りからの霞ケ浦も近年人気を集めている。土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園のオランダ水車やネイチャーセンター周辺はごったがえすほどの人出になる。太陽が美浦村馬掛沖あたりに上がってくるのは午前6時50分ごろだが、写真撮影には1時間前ほどに来て場所を確保、空や湖面の色の変化を楽しみながら日の出を迎えるとおもしろいそうだ。 さらにアクティブにいくならラクスマリーナ(土浦市)が運航するホワイトアイリス号による「初日の出クルーズ船」がある。15年ほど続く人気企画で、土浦港を午前6時に出発、土浦・沖宿沖あたりをクルーズして寄港は7時30分ごろの予定。航行中、温かい豚汁やお酒も振る舞われる。料金は大人3000円、子供1000円。要予約で12月31日まで受け付けている。 ◆霞ケ浦総合公園管理事務所(電話029-823-4811)。ラクスマリーナ(電電話029-822-2437)

【霞ケ浦を遊ぶ】1年越しのリベンジへ 冬の味覚ワカサギ釣り

【田中めぐみ】記者は今年1月、土浦港―ラクスマリーナ(土浦市川口)のイベント「手ぶらでワカサギ釣り体験」に参加した。まったくの初心者、それも午前中限定の“腰かけ気分”では、懇切丁寧な指導にもかかわらず釣果はゼロの残念な結果だった。1年越しのリベンジへ、改めて体験イベントを振り返る。 エサの「サシ」にひるむ 2018年の霞ケ浦北浦のワカサギ漁獲量は177トンで全国第4位。ワカサギ漁の最盛期は10月から3月ごろで、寒くなる秋から脂がのってくるが、霞ケ浦では毎年、産卵期の親魚の保護のために春の禁漁期間がある。2020年は1月21日から2月末日まで。採捕禁止期間は産卵後の5月1から7月20日にも設けられている。 体験イベントは春の禁漁期を前にしての開催。旬のワカサギを狙って朝10時、続々とラクスマリーナ事務所前に人が集まってきた。本来ラクスマリーナ内は釣りの禁止区域だが、この日は特別に開放され、大人と小学生の子ども、合わせて25人が参加を予定していた。釣りは全くの初心者でも、道具類はすべて貸してくれるというので安心だ。桜川漁業協同組合の組合長、鈴木清次さんをはじめとする3人の組合員さんとマリーナの職員さん1人が指導についた。 釣り糸には釣り針が5つ付いており、それぞれの釣り針にピンク色の「サシ」というハエの幼虫をひっかけていく。自分で付けろと言われると少しちゅうちょするが、組合員さんがエサ付けも全部やってくれる。至れり尽くせりだ。 ゆったり時間が流れるだけ 桟橋に行き、いよいよ釣り始め! リールの使い方が分からないでとまどっていると職員さんが丁寧に教えてくれた。「気長な人より気が短い人の方が良く釣れる。気が短い人は釣るために試行錯誤するので釣れやすい。場所を変えるのもいいですよ」と聞き、どんどん場所を変えながらトライしてみることにした。 ほどなくして、近くで釣れたという人が出た。全長12センチほど。銀色の透き通った体がきらきらと美しい。確かにワカサギがいるようだ。「よーし、自分も!」と意気込む。 が、どんなに待っても手応えはない。そろそろとリールを回して引き上げてみるも、エサは付いたままだ。「ワカサギは暗く冷たいところにいる」という組合員さんのアドバイスを聞き、日陰に場所を変えてみた。しかし、やはり何の手ごたえもない。別の桟橋からは「釣れたー!」という女の子の声が聞こえてきた。 長い竿でチャレンジしている隣の男性2人も釣れないようで首をかしげている。 釣れなくとも水平線と青空を眺めているだけで心地よい。静かで冷たい空気の中、鳥が飛んでいくのを見ながら、釣り糸を垂れる。それだけで心が洗われていくようだ。ゆったりとした時間が流れる。なんとか1匹は釣り上げたい。ワカサギが隠れて居そうなボートと桟橋の間の日陰に場所を移した。 ワカサギヒットか 残り時間20分ほどになったころ、急にぐんっと釣り糸が引っ張られる感覚があった! 「あっ、ちょっと、待って!」 かなり強い力だ。しかし、落ち着いて対応しなければならない。静かに腕に力を込めていると、ふっと糸が緩まった。逃げられてしまったようだ。だが、ワカサギはこれほど強い力だろうか。そろそろとリールを巻いてみると、一番上の餌がない。やはり何かが食いついたのだ! 隣の男性を見ると、こちらの慌てぶりを見ていて互いに苦笑い。その後そのまま同じポイントで続けたが結局午前の釣果はゼロに終わった。姿は見えなかったが、それでも魚と1度は勝負できたという満足感があった。午前中のみの参加だったため、今回はここでタイムアップ。 午前は全く釣れなかった人も多かったが、組合長の鈴木さんによると、前年の同時期はよく釣れたのだという。釣れなかった人にも味わってほしいと、組合員さんたち自らが去年獲れたワカサギの冷凍をてんぷらにしてくれた。揚げたてのあつあつをいただく。 釣れなかったのが悔しく、帰宅して改めてワカサギの釣り方を調べた。エサを生きているように見せるために、動かしたり止めたりしなければならないが、自分のやり方は止める時間が短かったかもしれない。霞ケ浦の暗い水底で餌を狙って隠れすむワカサギに思いを巡らせた。 新年も1月11日に開催 今季、霞ケ浦(西浦)のワカサギは豊漁だそう。県水産試験場内水面支場(行方市)では、餌となるプランクトンが多かったことが原因とみている。大きさは例年よりやや小ぶりだが、痩せすぎているわけではなく味も例年とそん色ないという。 食べ方についても、霞ケ浦北浦水産事務所(土浦市真鍋)が12月、コミュニティーウェブサイト「クックパッド」にワカサギやシラウオ、エビなどを使ったレシピを紹介するページ「霞ケ浦北浦水産事務所のキッチン」を開設した。地元漁師の漁師飯や郷土料理、職員の一押しの料理25品のレシピを公開している。釣る前に食欲で釣られてしまいそう。 ラクスマリーナの「手ぶらでワカサギ釣り体験」は2020年も1月11日に開催される。定員10人、参加料は大人1000円、子ども500円、前日までに予約が必要。詳しくはラクスマリーナ(電話029-822-2437)まで。

高齢者におせち届ける 土浦市社協

【鈴木宏子】豊かなお正月を迎えてもらおうと、土浦市内の一人暮らしの高齢者など147世帯に27日、手作りのおせち料理が届けられた。 同市社会福祉協議会のボランティアら計38人が同日午前8時30分から、同市大和町の市総合福祉会館内で調理した。大鍋で筑前煮と紅白なますの2品を手作りし、容器に盛り付けた。昆布巻き、黒豆、伊達巻、栗きんとん、かまぼこなどのおせちと一緒に届けた。 手作りのお弁当を月2回、一人暮らしの高齢者らに届けているボランティア団体のメンバーが、安否確認も兼ねて1996年から毎年取り組んでいる。 調理を指導した市内の料理研究家、石塚ナツ子さんは「煮物の具は縁起のいい7品で、こんにゃくなどは両面に隠し包丁を入れてかみ切りやすくした。一人暮らしでは煮物などはなかなか作らないと思う。大勢で心を込めて作ったので心を満たしていただければ」と話していた。 おせち料理を受け取った宮本和子さん(85)は「楽しみにしていました。手を付けるのがもったいないくらい。ありがたい」などと話していた。 おせち料理は1世帯400円。歳末助け合い募金の一部を活用している。

狩りガール押し立てイノシシ狩猟 県がコンテストと体験ツアー

【相澤冬樹】茨城県がイノシシ狩猟コンテストを行っている。亥年(いどし)の今季が初開催。元年度の「狩猟者登録」を行ったものが参加でき、新年2月15日まで県内で捕獲したイノシシ限定で体長の大きさを競う。 県民以外でも参加できるが、茨城県で狩猟者登録を行い、県内で捕獲した体長(尾の付け根から鼻の先までの長さ)100センチ以上のイノシシが対象になる。捕獲方法はわな猟、銃猟になるが、国の補助金が出ている有害鳥獣捕獲許可と指定管理鳥獣捕獲等事業で捕獲したイノシシは対象外となる。 参加者は捕獲したイノシシを横たわらせ、メジャーで採寸する写真を撮って応募する。コンテストは、体長に後ろ足長を加算したポイントを基準に審査し、上位入賞者を決める。第1位は最優秀狩人賞として10万円相当の副賞が贈られるのをはじめ、5位までを表彰。女性参加者の第1位には狩りガール賞(副賞5万円相当)、応募数が最も多かった者には特別賞として県猟友会長賞(副賞5万円相当)が出る。 県によれば、県内のイノシシによる農作物被害は17年度に約1億5000万円で、前年から約3割増加し、獣類全体の8割以上、鳥獣全体の約3割を占めた。さらに最近は市街地にまで出没し、通学や日常生活の安全安心の観点から看過できない状況になっている。 対策の強化が求められる一方で、捕獲の担い手となる狩猟者は20年前に比べてほぼ半減した。狩猟免許所持者の約7割が60歳以上と高齢化も進んでいるなど、全県的に担い手の確保が大きな課題となっている。 このためコンテストは、狩猟の意義や役割を広く発信し、理解を深めてもらうとともに、少しでも多くの人に捕獲の担い手になってもらう機会と位置づけ実施する。この際「大型獣を駆除するほど個体数の減少に効果があるという研究結果もある」(県自然環境課)ことから100センチ以上を対象にした。現在わな猟、銃猟合わせ延べ4000人近くが参加資格を持つという。 定員超えの狩猟ツーリズム コンテストは県の主催、県猟友会の協力で行われるが、応募や問い合わせの窓口は旅行代理店が担っているのが異色だ。同店では今季の猟期中、2回に分けて「狩りガールと行く狩猟体験ツアー」(主催は県)を企画・催行しており、第1回の「わなプラン」は今月7、8の両日、城里町で行った。 箱わなの架設見学やイノシシの解体体験に29人が参加、土浦市から3人、つくば市から1人の参加もあった。全体で20代、30代からそれぞれ2ケタの参加者があり、底辺拡大の目的は一部果たした。来年2月8、9日には第2回「銃プラン」の開催が予定されており、こちらは1月17日の締め切りを前に募集定員超え、抽選が必至となっている。 問い合わせはJTB水戸支店(電話029-225-5233)

子ども食堂にクリスマスプレゼント つくば市の2JA

【鈴木宏子】クリスマスイブの24日、JAつくば市(岡本秀男組合長)とJAつくば市谷田部(横田伊佐夫組合長)から、市内の子ども食堂に、コメ600キロと野菜1年分の贈り物があった。 県内では各地域のJAがすでに、市町村の社会福祉協議会や生活協同組合などを通して、野菜やコメなどを子ども食堂に寄贈する取り組みを展開している。「当然、農協としてやっていかなくてはならない取り組み」(岡本組合長)、「皆で食べられる場所をつくるという取り組みをバックアップしたい」(横田組合長)と寄贈に至った。 併せて、経済的困難を抱える子供の未来を支援しようと市が4月に創設した「つくばこどもの青い羽根基金」に、2JAから総額約25万円が寄付された。JA職員からも寄付を募ったという。 寄贈されたコメ600キロは、市内にある子ども食堂6カ所に100キロずつ贈られる。野菜は各子ども食堂に商品券を贈り、JAつくば市の直売所3カ所でいつでも購入できるようにする。 寄付金は、子どもの学習支援に取り組むボランティア団体の事業や、学習塾代の助成、子ども食堂などの運営などに活用する。 目録などを受け取った五十嵐立青市長は「子ども食堂は基本ボランティア。両JAのご支援をいただくことができ頼もしい」と話すと、横田組合長は「私どもは明日の命を守る食材を持っているが、こういうことをしなくて済むような社会をつくっていただければありがたい」などと言い添えた。 市によれば、同基金に寄せられた寄付は11月末時点で約330件、総額約690万円になった。

「進学は回り道にあらず」5選手がプロに 筑波大蹴球部

【池田充雄】筑波大学(つくば市天王台)で23日、来季のプロチーム入団が内定した蹴球部5選手の合同記者会見が開かれた。5人ともJリーグクラブの育成組織出身で、うち4人は元のクラブに戻ってデビューを果たす。プロを目指す選手にとって大学進学はもはや回り道ではなく、将来を見据えた戦略的な選択になったと言えそうだ。(文中敬称略) J1川崎フロンターレに進む三笘薫は、相手の間合いを外すドリブル突破や、創造性に富むパスが魅力の攻撃的MFだ。会見の翌日にはU-22日本代表に合流し、28日のキリンチャレンジカップ・ジャマイカ戦に備えるという。「この試合への思いは強い。活躍すれば東京オリンピックに向けて生き残れる。自分の特徴を生かしながら、チームに貢献できるようなプレーがしたい」 J1コンサドーレ札幌に進む高嶺朋樹は、体の強さを生かした1対1の守備と、左足からの高精度なキックを武器に、守備から攻撃へのスイッチを入れるボランチだ。「3年冬にオファーをもらい即決した。厳しい戦いになるだろうが1年目からスタメンを勝ち取り、試合に出られるようにしたい」 J1ヴィッセル神戸に入る山川哲史は、長身を生かしたヘディングと、クレバーな守備を得意とするセンターバック。「監督から言われた、チームを勝たせられる選手になること。蹴球部のビジョンである、人の心を動かす存在になること。この2つを意識し、今後も目標にしたい」 J2アルビレックス新潟入りするGK阿部航斗は、身体能力に優れ、視野の広さと正確なポジショニングでゴールを守る。「考えてシュートを止めることと、相手が嫌がるような駆け引きを心掛けている。自分の力で新潟をJ1に上げ、ビッグクラブにすることが目標。新潟を象徴するような選手になりたい」 シンガポールプレミアリーグのアルビレックス新潟シンガポールに入団が決まった大川圭為は、瞬発力を生かしたシュートストップや、安定感あるロングキックが長所。同ポジションの阿部と切磋琢磨して成長し、4年後期は正GKに就いた。「来年1年で結果を出さないと先がなく、いい意味であせりがある。自分の努力次第でどれだけできるか、チャレンジしたい」 大学で得た、自ら成長する姿勢 三笘と山川は、ユース卒業時にもプロへの誘いがあったが、「もっと成長したい」「まだプロになれる覚悟がない」との理由で筑波大を選んだ。他の選手も「大学だからこそ学べたことがある」と口をそろえる。それは何だったのか。 一つは、自ら考えて取り組む姿勢だ。トレーニングや栄養管理はもちろん、自分の特徴は何なのかと悩み、それを作り出す努力や、身体能力などの弱点を直視し、プレーでカバーする取り組みなども含まれる。 「サッカーに対する考え方の幅が広がった」と話す選手もいる。ユースではチームのスタイルに合わせた練習ばかりだったが、筑波大では相手の強みを消すためのさまざまな戦い方を学んだ。また、試合や練習以外の活動を通じて、各自がそれぞれの役割を果たして物事を成し遂げることを学び、自分たちも誰かに支えられてサッカーができていることに気付いたそうだ。 小井土正亮監督は「技術の育成だけでなく人間的成長にも、大学が果たす役割は非常に大きい。本学で学んだことを生かし、プレーヤーとしても人としても必要とされる人材になってほしい」とエールを送る。 筑波大蹴球部にはプロ志望以外にコーチやトレーナー、あるいはクラブ運営スタッフなどを目指す部員もいる。技術レベルも人によってさまざまだ。大勢の仲間の中で、幅広い学びが得られる環境は、他大学にはない特徴的なものだという。

【民生委員】㊦ 災害の時代を超えて 取り組みと見守り

【橋立多美】「続けるからこそ横のつながりができ、地域のことがよく分かった」。11月末で茎崎地区の民生委員を退任したつくば市あしび野の稲川誠一さん(75)はそう語る。 子らの環境守った除染活動 4期12年の活動で忘れられないのが、2011年3月11日に発生した大地震に伴う福島第一原発の事故で、放射性物質に汚染されたあしび野児童公園の除染だという。 国は同年12月、被ばく線量が年間1ミリシーベルト以上の地域がある8県102市町村を、除染の財政支援が受けられる「汚染状況重点調査地域」に指定した。指定を受けた市が「放射線対策室」を設置。毎時0.23マイクロシーベルトを超える21区域の除染実施計画を公表した。 その中にあしび野が含まれ、住民たちに動揺が走った。当時民生委員兼自治会長だった稲川さんは、自治会主催で放射線物質の専門家による勉強会を開催し、あしび野自治会館は保護者や住民でいっぱいになった。 一方、同対策室から線量計2台を借りて自治会館や団地内道路、公園など5カ所の空間放射線量を測定した。稲川さんは測定を担当したり立ち会って数値に目を凝らした。「どうか(数値が)下がってくれと祈るような思いだった」。 8月22日の時点で、児童公園だけが毎時0.249マイクロシーベルトと数値が高いことが分かった。市は子どもたちが長時間滞在する幼保や小中学校の除染は行ったが、公園の除染は実施しなかった。 10月、子どもたちの被ばく線量低減のために自治会役員と保護者らの協力で児童公園の除染に取り組んだ。作業は対策室の助言を受けて進め、安全を確保するためにマスクと長袖、手袋、長靴を着用した。 砂場は砂を入れ替え、ブランコ周辺のくぼみは土盛りをした。さらに公園内に植えられていたヒマラヤ杉6本のうち4本を伐採。残る2本は枝木を剪定した。ヒマラヤ杉は放射線物質が葉に溜り、降雨で地表の放射線量が高くなりやすいとされるためだ。 ヒマラヤ杉周辺の表土は放射線物質濃度を測定しながら掘り進め、芝生は深く刈り込んだ。汚染土は何重にも重ねた放射線遮へいポリ袋に入れ、公園内の土中深く埋めた。 除染作業の結果、11月中旬に児童公園の放射線量は基準値を下回った。 大震災から8年9カ月ー。残った2本のヒマラヤ杉は大きくなった。目に見えぬ放射性物質におびえ、子どもたちの健康被害を食い止めようと住民が1つになったと稲川さんは振り返る。 「地域の福祉を担う民生委員は、住民の生活を守るのも仕事のうち。予想外の自然災害が発生する昨今、民生委員には臨機応変の判断が求められる」と話した。 30年やってよかった 10期30年間、桜地区の民生委員として地域を見守ってきた中川発子さんも先月末で退任した。 市から引き受けてくれないかと声がかかり、民生委員として活動を始めたのは45歳のとき。「自分にできるか」という不安を「なんとかできそう」に変えたのが、先輩委員が言った「民生委員は目立ってはいけない」だった。 「そっと見守って困り事の悩みや寂しい気持ちを理解することで、人へのいたわりを持ち続けることができた。自分のためにも続けてきてよかった」と満足そうに振り返った。(おわり)

筑波大学サテライトオフィスで書籍を無料貸し出し つくば駅前

【田中めぐみ】つくば市吾妻のBiViつくば2階、筑波大学サテライトオフィスが、同大学の施設案内や各種資料の配布のほか、教員や卒業生が執筆した書籍の貸し出しを無料で行っている。貸出期間は3週間。 書棚には筑波大学出版会から刊行された本を中心に約30冊が並び、ジャンルは栄養学や生物学、社会学、宗教学、スポーツ理論などさまざま。出版年は問わず、古いものから新しいものまで、できるだけ分野が偏らないように並べ、時々新しいものと入れ替えているという。オフィスには筑波大学の学生スタッフが常駐しており、本や大学について聞くこともできる。 『蟲愛づる人の蟲がたり』を読む  並べられた本の中から、今年3月6日に出版された『蟲愛(むしめ)づる人の蟲がたり』(筑波大学出版会)を手に取った。同大学山岳科学センター菅平高原実験所が発行している情報誌「菅平生き物通信」に掲載してきた10年分の記事の中から、昆虫にかかわる記事をピックアップしてまとめたもので、虫をこよなく愛する教職員と学生執筆者20人による、虫のエッセーや紹介、およそ60編が収録されている。 「昆虫は口で呼吸をしない!」「結婚するために目が飛び出ちゃった昆虫たち」など、興味ひかれる見出しが並び、それぞれのテーマが1ページから2ページに短くまとまっている。読みたいところどこから読み始めてもいい。 「なぜ蛾は光に集まるの?」「ノミの心臓はどこにある?」といった誰もが一度は感じたことのあるような素朴な疑問も学術的に解説し、イラストや写真も豊富。内容は中学生から大人向けだが、専門用語には読みがながふってあり、語り口はやさしく読みやすい。 記者が特に驚いたのは、昆虫は血管が無い代わりに「背脈管(はいみゃくかん)」という長いポンプで血液を循環させているということだ。翅(はね)にも血液を行きわたらせるために「翅脈(しみゃく)」を使い、筋肉の弛緩によって血液を送り出すのだという。また、昆虫の脱皮が「クチクラ」という分泌物を使って行われ、昆虫にとって命がけの作業であることも初めて知った。昆虫はまるで宇宙生命なのではないかと思うほど不思議に満ちている。 本書のタイトルに用いられている「蟲」の字は、今は常用されていないが、宋代に作られた字書『集韻(しゅういん)』に、裸蟲、毛蟲、羽蟲、鱗のある生き物、魚介など細々とした小さな生き物たちを指すとある。「蟲」の字は、小さな虫たちが表紙の絵のように一堂に集まる様子を表しているように思える。そして短い文章が集まった本書の構成自体も実に「蟲」的だ。 「蟲愛づる人」というタイトルは、平安末期から鎌倉初期にまとめられたとされる短編集『堤中納言物語』の「虫めづる姫君」によっている。虫めづる姫君は「風の谷のナウシカ」のモデルにもなったという虫好きのおてんば姫だ。 物語の中で姫君は、様々な虫を採集し「これが成長して変化する様子を見よう」と言って虫かごに入れる。中でも毛虫が大のお気に入り。「毛虫が思慮深い様子をしているのは奥ゆかしい」と、一日中、額髪を耳の後ろにはさみ、毛虫を手のひらの上にはわせてじっと見つめ続けている。 高畑勲監督のアニメ「かぐや姫の物語」に出てくるかぐや姫はおてんばで、虫めづる姫君のイメージに近い。毛虫が「心深し」(思慮深い)というのはなんとなく分からないでもないが、「心にくし」(奥ゆかしい、心ひかれる、上品で美しい)とは。本書の中にも『枕草子』に模して「かはげら草子」と題し、カワゲラという虫の魅力について「をかし」と語ったエッセーが収録されている。虫愛でる姫君と本書の虫好き研究者たちとはまさに同じ目線。『蟲愛づる人の蟲がたり』というタイトルがぴったりだ。 ◆BiViつくば 筑波大学サテライトオフィス(電話029-855-2101)

【民生委員】㊤ 担い手不足と高齢化 つくば

【橋立多美】住民の生活相談に応じて行政に橋渡しをする民生委員が今月、3年ぶりに全国一斉に改選された。困ったときの地域の「見守り役」だが、高齢の単身世帯や高齢者のみの世帯が増える一方、なり手不足などによる高齢化で「老老見守り」が進む。 今月の改選で2期目に入った50代女性は、担当区域で身寄りのない高齢男性の孤立死を経験した。 最初に訪問した時はパジャマ姿で現れ、「民生委員なんかの世話にはならない」と怒鳴られた。恐る恐る訪問するうちに玄関の椅子を勧めてくれてパジャマは洋服になった。 次の訪問で終活の相談に乗ることになっていたが、その日を待たずに亡くなった。「もっと早く訪問すればよかった」と今も自分を責める。 オートロックに阻まれて 女性によれば訪問はおおむね月1回、認知症の発症が疑われるなど目配りが必要なケースは毎週。さりげない地道な見守りは毎日のことだという。 訪問をかたくなに拒んだり、居留守を使う人もいる。ある委員は「民生委員に相談していることを知られたくない人の家には暗くなってから訪問する。それが民生委員の常識」と明かしてくれた。 「マンション1階玄関のオートロックに阻まれて会うことすら難しい」と話すのは田中邦宏さん(79)。TX沿線開発で誕生した高層マンションが林立する研究学園地区担当で、約860世帯を受け持つ。 まれに1階の共有スペースに降りてきてくれる人もいるが、インターホン越しでは会話は成立しない。「近所付き合いが面倒でマンションを購入した人が多く、一歩一歩やっていく」と話す。 茎崎地区で4期民生委員を務める片岡三郎さん(76)は、ほぼ毎夕、宝陽台団地の単身高齢者34世帯を見守るパトロールを続けている。昨日と違っているところはないか、電灯が付いているか、と注意を払う。 これまでに急に手足がしびれ、車庫で動けなくなった高齢者を見つけたり、徘徊する女性を見つけ、牛久の家族の元に帰したことがある。 改選のたびに適任と思う何人かに頼んでみたが「仕事が忙しい」「向いていない」と断られた。使命感から続けてきたが、ようやく60代の後任者が見つかった。「今期3年を悔いのないように努めたい」。 60代、70代で9割占める 民生委員は市町村の推薦で厚生労働相が委嘱する非常勤の地方公務員。任期は3年(再任可)で全国に約23万人、県内には約5千人いる。月1万円程度の活動費が支給されるだけで報酬はない。守秘義務があり、児童や妊産婦を支援する児童委員も兼ねる。 市社会福祉課によると、今月の改選時の定数271人に対し欠員は7人。再任は206人で新たに58人が推薦を受けた。30~80歳代で構成されているが60歳代が5割(133人)、70歳代が4割(110人)を占め、75歳以上の後期高齢者は21人いる。 国は「民生委員は原則75歳未満」としていたが、なり手不足を受けて2007年に年齢基準を緩和した。多くの自治体が国の通知に沿って選任したことで高齢化が進んだ。同課の木本係長は「75歳を目安として地域の事情に詳しく健康な人を推薦している」と話す。 担い手がさらに不足しかねない動きがある。国が進める高齢者の就業拡大だ。安田課長は「共働きや定年後も働く人が増え、支援が必要な人を支える分母の人数が減っている」と表情を曇らせた。 2018年度中に民生委員が受けた相談件数は7528件で年々増加している。介護保険や生活困窮の相談をはじめ、家族形態の変化に伴って家や墓の後継者問題など困難化しているという。安田課長は「日常的に地域に目を配り、相談に乗って支援することは行政には難しく、民生委員に助けられている」と話してくれた。(つづく)

冬至に甘い完熟カボチャ 土浦・亀城公園の老ザルカップルに届く

【相澤冬樹】土浦市中央の亀城公園で飼われている2匹のニホンザルの元に、冬の滋養食カボチャが届いた。オスのリョウタとメスのスミレ、つがいとは言い難い奇妙な同居生活を送っている老境のサルで、すき間風吹く猿舎で迎える厳寒の冬は19回目になる。飼育関係者がハロウィンで使われたジャンボカボチャを入手、22日の冬至に特別メニューとして差し入れた。 2匹はともに県内で捕獲され、引き取った同公園での飼育は2001年にスタートしている。生年は不明ながら20歳は超しているとみられ、持病やストレス障害を抱えている。互いの毛づくろいや身を寄せ合って暖をとるような仕草もなく、その境遇に同情が寄せられてきた。(1月11日付既報) 公園管理の一部は同市シルバー人材センターが請け負っており、サルには毎日1回のエサやりをする。ペットフードに野菜や果実を混ぜ、2匹に対し毎回1キロのエサを与えている。管理スタッフにも高齢のサルは気になる存在で、「冬至にカボチャを食べると病気にならない」という古くからの言い伝えがあることから、同センターの市村勇治さん(78)は重さ約50キロのカボチャを調達してきた。 同市内で行われたハロウィンのイベントに使われたアトランティックジャイアントという巨大品種を譲り受けた。人間の食用にはならないが、収穫から丸3カ月経った完熟カボチャの中味をくりぬき、倉庫に保存。切り取ってサルに与えた。好物のリンゴやミカンはオスのリョウタが2匹分を奪い取ってしまうが、一通り食べてしまうと手を出した。 「カボチャは収穫から日が経つほど甘味も強くなる、栄養補給にも良さそうだ」と冬至の22日には特別メニューとして与えることにした。リョウタは音を立ててかじりつき、スミレは猿舎の隅に持ち込み背を向けて食べた。クリスマスやお正月にも提供することになりそうという。 気象庁の3カ月予報(11月25日発表)通り、暖冬気配のなか迎えた冬至、2匹の老ザルにも「一陽来復」の日となるだろうか。

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