土曜日, 4月 4, 2026

第3弾マーケットゾーンオープン 土浦駅ビル 「モデルつくり全国展開目指す」体験型書店が意欲

【鈴木宏子】「日本最大級の体験型サイクリングリゾート」を掲げる土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」(藤本沢子店長)2階南側に31日、体験型書店と地元茨城のフードショップを組み合わせたマーケットゾーン「ブック&テーブル」がオープンした。 書店は、読書会やゼミ、演劇、旅行会を開くなど、本の先にある体験を提供する次世代型書店として知られる「天狼院書店」(東京都豊島区)で、県内初出店となる。これまで京都や福岡など人口150万人規模の都市に出店してきたが、人口約14万人規模の地方都市に出店するのは初めて。三浦崇典店主は「『こんな本を置いてほしい』とか『こんなことをしてほしい』などお客様の要望を聞いて、要望に応じた店をつくっていきたい。街の本屋さんがどんどん撤退する時代だが、土浦店で新しいモデルをつくり、全国に100店の土浦型天狼院をつくりたい。寿命100年の時代にそのまちの知を担い続ける本屋でありたい」と意気込みを話した。 第1弾のサイクリング拠点、第2弾のレストランゾーンに続く第3弾で、2020年にオープン予定のホテルを除き、体験型の新業態店舗すべてが姿を見せた。 フードショップは、土浦の老舗どら焼き専門店「志ち乃」、かすみがうら市発祥の焼き芋専門店「かいつか」、県南を中心に展開する自家製酵母を使用したパン屋「クーロンヌ」と、地元で人気の高いスイーツとベーカリー店が出店した。店内はむき出しの天井とコンクリートが特徴のおしゃれな空間で、自転車を押したまま入店できる。 31日、2階南側のマーケットゾーンには長蛇の列ができ、大勢の来店客でにぎわった。市内のアルバイト女性(68)は「右籾から50分かけて自転車で来た。パン屋を利用したい」などと話した。「地元の人が勤め帰りに買えるお惣菜のお店がほしい」(50代主婦)などの声もあった。 アトレ土浦の藤本店長は「地元茨城で人気のフードショップ3店をそろえた。地元の方はもちろん、観光客やサイクリングの方に茨城のおいしさを知ってもらって、お土産に持って帰ってもらえれば。土浦から全国区の人気店になるようPRしていきたい」と話した。 ➡土浦駅ビルの関連記事はこちら

スケール大きく 一色邦彦・直彦展「宙(そら)と大地」 6月4日から筑波銀行

【相澤冬樹】筑波銀行(本店・土浦市、藤川雅海頭取)は6月4日から、つくば市竹園の同行つくば本部2階ギャラリーで第22回ギャラリー企画展、一色邦彦・一色直彦展「宙(そら)と大地」を開催する。6月30日まで。 彫刻家の一色邦彦さん(83)は東京生まれ、土浦市育ちで、1968年アトリエを牛久市に移して以来、地元茨城を大切に活動している作家。第9回高村光太郎賞、中原悌二郎賞優秀賞など、現代彫刻展で受賞を重ね、美術振興に大きな足跡を残した。 日本画の一色直彦さん(52)はその長男、1992年東京藝術大学大学院日本画科を修了。日本画の枠にとどまらず、岩絵具や金箔などの画材を用いて、杉やケヤキなどの板材に描く立体的で神秘的な作品を中心に発表している。 銀行の地域振興部が運営する同ギャラリーの存在を評価していた邦彦さんは2016年、常総市の鬼怒川水害を悼み「淼湎(れいめん)」と銘打った個展を開いた。「水」は邦彦さんが長く取り組んだテーマだった。反響の大きさに、同行が次回展を持ちかけたとき「今度はさらに大きなテーマで」と返答していた。 それが今回の「宇宙と大地」になった。広大無辺の宇宙をテーマに取り組む邦彦さんと2人展を開きたい思いがずっとあったためだ。しかし邦彦さんは、親子展という言い方を嫌う。「子供だから一緒にと思ったことはない。同じ芸術家の立場でやりたかった」というと、「大変名誉に思います」と直彦さんも応じた。 今回、邦彦さんは立体造形の4作品を出展、直彦さんは近作を中心に40点を出展。週に一度は牛久市のアトリエに集まって、展示構成を練ってきた。初日の4日には、2人そろってオープニングに立ち会いたいという。 ◆つくば本部2階ギャラリー(つくば市竹園1丁目、電話029-859-8111)入場無料、土・日曜日も開廊。 ➡筑波銀行ギャラリーの関連記事はこちら

TX沿線に3校新設急務 児童・生徒数増でつくば市 過大規模校に懸念の声

【鈴木宏子】つくばエクスプレス(TX)沿線で児童・生徒数が急増している問題で、つくば市は30日、人口が急増している地区の2033年度までの児童・生徒数推計を発表した。すでに用地を取得した万博記念公園駅周辺に香取台小学校(仮称)を新設するほかに、新たに、みどりの駅周辺のみどりの学園義務教育学校と、研究学園駅周辺の学園の森義務教育学校で教室が足りなくなり、学校の分離新設が急務であることを明らかにした。 同日開いた市議会全員協議会で推計値を報告した。みどりの、学園の森の2校はいずれも2018年4月に開校したばかり。今年度中に、みどりのは15教室、学園の森は特別教室を含め27教室を敷地内に増築する。しかし、みどりのは2022年度以降、学園の森は23年度以降から再び教室が足りなくなるという。これから用地を取得し学校を新設するには5年程度かかることから、開校までの間、2校ともさらに教室を増築することが求められる。 一方、みどりのと学園の森の2校が文科省が解消を促している過大規模校=メモ=になることも分かった。市の推計によると分離新設をしない場合、みどりのは開校時の2018年の児童・生徒数が719人だったのに対し、最大で2030年に6.3倍の4576人になる。学園の森は2018年の1151人に対し、最大で2027年に2.9倍の3427人になり、分離した新設校も過大規模校になってしまう懸念がある。 市議からは「あり得ない規模の学校になる。子どもたちへの影響や市財政への影響も示してほしい」「(推計値が)やっと出てきたが、想像以上でびっくりしている。適正なクラス数があり、それを無視して増築で対応してはいけない」など過大規模校への懸念が出た。 市教育局によると、2014年8月に策定した市学校適正配置計画の推計値と比べ、その後に、予想を上回る子育て世帯の流入があったという。さらに学校用地などを配置したTX沿線の土地利用計画では、小中一貫の義務教育学校の建設が想定されておらず、学校配置で土地利用のアンバランスが生じているとしている。 市は現在、同計画の見直しを進めており、今年度中に策定するとしている。人口が急増するTX沿線の学校は早急な対応が求められていることから、策定を待たずTX沿線に限定して推計値を公表し、先行して対応方針を明らかにした。 ※メモ 【過大規模校】全校で31学級(1200人程度)以上の学校をいう。文科省は2015年策定の「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引き」で、大規模校(25~30学級)や過大規模校には①教員集団として児童生徒一人ひとりの個性や行動を把握し、きめ細かな指導を行うことが困難で問題行動が発生しやすい場合がある②児童生徒一人当たりの校舎面積、運動場面積が著しく狭くなった場合、教育活動の展開に支障が生じる場合がある③特別教室や体育館、プールの利用に当たって、授業の割り当てや調整が難しくなる場合がある―などの課題が生じることを挙げている。特に過大規模校に対しては、速やかに解消を図るよう促している。 児童・生徒数が急増するTX沿線の小中学校・義務教育学校の対応方針 児童・生徒数推計 対応方針 みどりの学園 最大想定で、1~6年生は2028年まで増加し(最大約3240人)以降減少。7~9年生は32年まで増加し(約1630人)以降減少。 2019年度中に敷地内に15教室を増築し、21年度まで対応可能。新たな学校建設を検討するが、22年度以降は教室増築が必要 学園の森 最大想定で、1~6年生は2026年まで増加し(最大約2380人)以降減少。7~9年生は31年まで増加し(約1160人)以降減少 2019年度中に敷地内に特別教室を含め27教室を増築し、22年度まで対応可能。新たな学校建設を検討するが、23年度以降は教室増築が必要 竹園東小 2024年まで増加し(最大約720人)以降減少 既存校舎で対応 竹園西小 2025年まで増加し(最大約990人)以降減少 2019年度中に8教室を増築 竹園東中 2028年まで増加し(最大約880人)以降横ばい 2019年度に11教室を増築 手代木南小 減少から横ばいに転換し2024年がピーク(約340人) 既存校舎で対応 松代小 今後も減少 既存校舎で対応 葛城小 今後も増加し2031年にピーク(約720人) 北側の県有地を購入し校舎を増設 手代木中 2024年まで増加(最大約690人) 2021年度までは既存校舎で対応。22年度までに敷地内に校舎を増築 島名小 2027年まで増加し(最大約880人)以降は減少 2022年度までは既存校舎で対応。香取台小(仮称)を23年4月に開校 真瀬小 今後も緩やかに減少 高山中 2028年まで増加(最大約470人)し、その後、増減しながら横ばい 2021年度までは既存校舎で対応。22年度までに敷地内に校舎を増築 ➡葛城小の過去記事はこちら ➡竹園西小・竹園東中の過去記事はこちら

健康体操で認知症を予防 つくば市高齢者ふれあいサロン

【橋立多美】つくば市茎崎地区の特別養護老人ホーム「いちょうの木」で30日、「中高年の健康管理について」と題した講話と健康体操の指導が行われた。講師は健康管理士一般指導員でシルバーリハビリ体操指導士の橋本明さん。60~70歳代の地区住民10人が熱心に講話に聴き入り、椅子に腰かけたままできる健康体操に取り組んだ。 主催したのは「通学路の安全を守る会」(稲川誠代表)。同地区の中で牛久沼に突き出た台地にある富士見台や泊崎、あしび野などの住宅地の子どもは自転車で通学する。その子どもたちの安全を守ろうと2010年に発足した。今春、同市がスタートさせた「ふれあいサロン運営補助事業」=メモ=の実践団体として認可され、その第1回の集まり。 講話は認知症をテーマに進められた。15年の認知症患者520万人が25年には700万人と推定され、その65パーセントをアルツハイマー型が占めるなど、認知症の概要が説明された。また認知症を完治する薬はないが、早期に受診することで薬で進行を遅らせることができると説いた。 橋本さんは「認知症の予防に役立つのが適度な運動で、毎日10分の軽い運動で脳の機能は向上する」と語りかけた。そして室内の椅子に座った姿勢で気軽にできるシルバーリハビリ体操を指導した。腹式呼吸を取り入れた肩こりや失禁、誤嚥(えん)などに効果のある体操で、参加した宝陽台在住の片岡三郎さんは「毎日欠かさず続けていこうと思う」と話した。 近年、歯周病が認知症に関与しているという研究報告について触れ、橋本さんは「メカニズムが解明されたわけではないが新しい治療法への第一歩として期待できる」とし、丁寧なブラッシングが重要と結んだ。 講演会の最後に参加者が「施設に入所すると認知症が進行するのはなぜか」と質問した。橋本さんは「入所したことで、それまでやっていた身の回りのことを施設職員がやってしまう。忙しい職員を責められないが、残っていた機能が失われていくことが原因」と答え、施設の現状を浮き彫りにした。 ※メモ 【ふれあいサロン運営補助事業】高齢者の介護予防及び孤立化の防止のための地域憩いの場を確保し、高齢者の福祉の増進に資することが目的。参加者を特定の者に限定せず、定期的に介護予防活動を実施することなどが条件。

原発事故を超えて つくばの原木シイタケ生産者 全国サミット開催へ奔走

【相澤冬樹】茨城県の原木シイタケ生産量は2016年に401.6トン、福島第一原発事故後の出荷制限・自粛下にありながら静岡、鹿児島、群馬に次ぐ第4位となったことはあまり知られていない。さらに年間150トンを出荷するという生産者がつくば市にいることはもっと知られていない。「おそらく日本一のはず」と胸を張るのは、なかのきのこ園(つくば市中野、飯泉厚彦社長)の創業者、飯泉孝司さん(71)。事業を子息に任せ、自身は全国の生産者らに参集を呼び掛けて、8月につくばで「原木しいたけサミット」を開催すべく東奔西走の日々を送っている。 県内19市町で続く出荷規制 2011年東日本大震災時の原発事故に伴う放射性物質の影響により、県内産原木シイタケは大打撃を受けた。19市町で出荷制限・自粛の規制がかかり、10市町村で一部解除になったものの、現在も19市町すべてで継続中だ。「規制と風評被害に耐えかねて廃業してしまったものも多く、生産者が再出荷に向け線量検査など申請手続きを行わなければ出荷規制だけが残ることになる」(飯泉さん)。事故当時県内に約500人いた原木シイタケ生産者は150人ほどになった。 被ばく線量の基準値を下回ったつくば市は規制の対象から外れたものの、飯泉さんは原木のホダ木約200万円分を廃棄処分にした。このため丸1年、生産できない時期が続いたが、再開には次のハードルが待ち受けていた。原木の高騰である。 きのこ園では原木にコナラとクヌギを用いているが、つくば周辺の生産者5人で共同購入グループを組んで、調達先を福島・阿武隈山地に確保していた。1本の木からホダ木7本が取れる。グループの年間使用量40万本のためには1ヘクタール約7000本として、60ヘクタール分が必要。植林から伐採まで約20年かかるのを見込み、1200ヘクタールもの広さを手当てしていた。福島県内の、その調達先が消えた。 当座は在庫でしのぎつつ、長野県産に切り替えるなどの措置をとった。7センチ径で長さ70センチの原木1本が事故前は200円だったのが、今は倍の400円以上している。東電の震災復興基金からの助成が入るが、これも19年度までで打ち切りとなる。この先原木調達が生産コストを押し上げるのは必至だ。 「今後の活路見出す」 川上に自前の原木調達先を持たず、川下に安定した流通経路を確保していない産地には苦境が待ち受けている。飯泉さんは、生産、販売に関わる課題と情報を共有し、今後の活路を見出すべく、全国の産地に連携を呼びかけた。 所属団体の東日本原木しいたけ協会(古河市)を社団法人化する過程で知り合った大分県の阿部良秀さん(現日本椎茸農業協同組合連合会長)らと協議を重ね、実行委員会形式で初のサミット開催を打ち出した。行政に協力を求める一方、消費者も巻き込んで、森林や山村の豊かな環境を保全するなかで成長戦略を描く道筋を考えた。「全国規模となると原発問題は扱えないし、第1回とも打ち出せない。しかしSDGs(持続可能な開発目標)に懸ける思いは強くある」という。 「原木しいたけサミット」は8月29、30日、つくば市小野崎のホテルグランド東雲をメーン会場に開催。全国から約150人の参加を見込み、パネルディスカッションや6分科会での討議を予定している。2日目の現地視察はなかのきのこ園が会場、付属のレストランでシイタケ料理の試食会を行う計画でいる。 菌床栽培全盛の中で スーパーなどに並ぶシイタケには、生(なま)と干しの2種類あるのはご存知だろうが、生産の仕方でも2通りに分けられる。短く切った樹木に菌を植え付けて林地やハウスに並べて栽培する原木栽培と、粉砕した樹木のオガクズなどから作る菌床を用いてハウス栽培する菌床栽培である。人工的なシイタケ栽培が始まったのは大正年間で、そんなに古いものではないが、昔からの手間ひまかけて作るのが原木栽培で、近代化されたオートメーション促成型が菌床栽培といえる。 シイタケ菌を植え付けた原木をホダ木といい、これを寝かせて生育を待つだけで1年以上を要するのに対し、菌床なら3~4カ月で収穫でき、同じ面積のハウスなら4倍以上生産可能という。だから、今日では両者の生産量に圧倒的な差がついた。林野庁統計によれば、16年の生シイタケ生産量は全国で6万9707トン、うち原木栽培は7322トンに過ぎない。天候や気温の影響を受けやすい原木栽培は生産量が上下しがちだが、概ね全体1割前後にとどまっている。 1975年から一貫して原木シイタケ栽培に取り組んでいる飯泉さんによれば、見た目はもとより、食品成分を調べても両者の間に明確な差は認められないそうだ。それでもなぜ原木栽培を続けるかといえば、「食べれば分かる」という味覚へのこだわりにほかならない。大口出荷先の生協からも、飲食店からも原木シイタケ以外の取引はしないと言われている。

不登校生徒のフリースクール「ライズ学園」岐路に つくばで19年

【橋立多美】不登校の子どもたちが学ぶフリースクール「ライズ学園」(つくば市谷田部)が岐路に立っている。経営が苦しく、3月末で一旦閉園して運営を検討しようとしたが、保護者の声に押されて教室を移転し、週に1日開級している。同園の礎を築いた小野村哲さん(59)は「これで終わりではない」と奮起する。 公立中学の英語教師だった小野村さんは、小さなつまずきから勉強に追い付けなくなり、「どうせ自分なんか…」と思ってしまっている生徒を見ていた。その一方で、落ちこぼれていく子どもに対応できない学校の限界を感じていた。保護者の「勉強が分からない子どもを見てくれる場所がない」に背中を押され、1999年に教職を離れた。 登園者延べ2万2585人 2000年7月にリヴォルヴ学校教育研究所(01年にNPO法人化)を設立し、不登校の児童・生徒が学力を身に付けることのできる「ライズ学園」の運営に乗り出す。定員15人の少人数制。週4日の時間割で、教員免許を持つ教科担当者が指導するほか、スポーツや絵画造形、農作業など体験型の学習を取り入れた。教室は谷田部内町の洋品店の2階(約132平方メートル)を借りた。 同園のモットーは「みんなちがって、みんないい」。不登校の背景にはいじめや学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などが潜むケースがある。また勉強のつまずきは千差万別。子ども一人ひとりがどこに困難を感じているか理解した上で学習支援を行っている。 「ダメな子」とレッテルを貼られていた子どもが丁寧な指導で分かるようになると、意欲を出して変わっていくという。高校、大学への進学や、社会に適応できないと思われていた子どもが数年して独立していく。開園から今年3月末までの延べ登園者数は2万2585人に上る。 個に応じた学習支援を行うことで得た発達障害などへの対処法や成果を教材としてまとめ、その販売収益と月謝=メモ参照=、助成金、寄付金を活動経費に充ててきた。しかし、次第に負債が膨らみ始める。 4月に学園を巣立つ生徒が数人いても、それに代わる人数の入園生を迎えることはしない。春を待たずに「学校に戻る」ことを選択した子どもが「やっぱりライズに…」となった経験から、卒園生の居場所を確保しておこうという配慮だ。 こうした配慮が月謝収入を不安定にさせ、指導にあたるスタッフが転勤などで退いても経営難から新たなスタッフを採用できなくなった。スタッフ不足は定員に満たない運営につながり、数年前から新たな入園希望に応じられない状況に陥った。 「せめて週に1日でも」 リヴォルヴ学校教育研究所の理事やスタッフが話し合いを重ね、19年度は難局を乗り切り発展するために一時休園という結論に傾いた。ところが保護者から「活動をゼロにしないで欲しい」「せめて週に1日でも」の要望が相次いだ。 教室を近くの公共施設、市民ホールやたべの一室に移し、4月から毎週水曜日に開級している。現在、市内外の中学生2人と高校生4人(通信制2人)が通う。スタッフは数学担当で学園長の本山裕子さん、英語担当の小野村さんら計8人。 書類などを保管する棚がないためスタッフは毎回、教科書や辞書、実験器具、画材を運び込んでの活動だ。教室が変わったことで動揺する通園生はいなかった。授業時間外はスタッフとフレンドリーに言葉を交わし、学校でも家庭でもないライズ学園を子どもたちは心地よく思っていることが伝わってきた。 小野村さんは「今はライズが果たすべき役割を考えて基盤強化を図りたい。ライズ学園はこれで終わりではない」と言い切った。学ぶ意欲を育み、不登校の心に寄り添う挑戦が続く。 ※メモ 【フリースクールの月謝】義務教育の教育費は無償だがフリースクールには公的な支援がなく、親が学費を負担する。文科省の調査によれば月会費の平均は3.3万円で親の金銭的な負担は大きい。その一方でフリースクールは月謝だけでは立ち行かず、職員が待遇面で我慢したり寄付金を集めるなど経営に苦しんでいる。 ➡NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所のホームページはこちら

剣の道通じ地域の青少年を育成 運武館80周年 かすみがうら

【田中めぐみ】剣道場、運武館(かすみがうら市深谷)が今年2月、創立80周年を迎えた。これを記念し6月に「運武館活人剣八十年」が発刊される。県剣道連盟名誉会長の中里誠さん(82)は「孟母三遷というが、子どもの教育は環境が大事。運武館は豊かな自然の中にあり、静かな雰囲気で、ここに来るだけで心が洗われるよう。館には文化的な価値がある」と話す。 運武館は、現在の館長である川島安則さん(80)の祖父、運平さんが1939(昭和14)年、私財を投じ自宅敷地内に設立した。前身は運平さんが1927年に開校した私立の男子校、昭和文農学校で、農村で質実剛健な気風を養いながら社会で活動する教育を施すことを目的に、英語、数学、国語、漢文、農業、珠算などの他、剣道を教えていたという。1941年に国民学校令が施行され、男子私立学校の多くが廃校とされる中、同校も廃校となり剣道場だけが残った。 同年には安則さんの父、武さんが召集令状を受け運武館での稽古は中断。しかし戦後、進駐軍の目を避けながら稽古を始め、1948年にシベリアに抑留されていた武さんが戻ると、再び本格的に道場を開始した。1970年半ばごろになると少年部の入館者が激増し、1977年に門下生や保護者を中心とする後援会が発足。地域一体となって青少年の育成に尽力してきた。 1997年には現館長である安則さんが3代目館長に就任。運武館と同学校で学んだ地域の青少年は1000人以上になるという。現在は木曜日と土曜日の2時間程度、就学前の子どもから70代までおよそ30人が練習している。 安則さんは幼いころから敷地内の道場で、父武さんや他の先生たちが稽古する様子を見ていて自分も剣道をやってみたいと思い、11歳から剣道を始めたという。中・高・大学と剣道部に所属し、父の死後も伝統を後世に残したいと道場を継いだ。「後援会のみなさんのご支援とご協力で80周年を迎えることができた」と話す。 一昨年からは市教育委員会と連携し小学1年から中学3年までを対象に月2回、土曜日の学習支援教室「寺子屋運武館」を開校している。市出身の大学生が講師となり「地域の子どもは地域で育てる」という基本理念のもと、学校の宿題などを中心に支援を行っている。  

JA水郷つくばのレンコン生産者4人 県版GAPを取得

【鈴木宏子】JA水郷つくば(本店土浦市、池田正組合長)のレンコン生産者4人が、東京オリンピック・パラリンピックへの食材提供が認められる県版GAP(ギャップ、農業生産工程管理)制度の認証を取得した。同GAPの取得はJAつくば市の筑波北条米などに次いで8件目。レンコンは初めて。 4人は同JA蓮根部会霞ケ浦支部の若手でつくるGAP推進班の全メンバー。28日、土浦市真鍋の県土浦合同庁舎で交付式が催され、班長代理の斉藤由佳さんが、県南農林事務所の佐藤明彦所長から確認証を受け取った。 大手スーパーなど小売業者の間で、食品の安全や農場の環境保全、労働の安全確保を図るGAP制度に関心が高まる中、今後、農産物にはGAPなどの認証が求められると見込んで、昨年から取り組みを進めてきた。 確認証を受け取った斉藤さんは「ほっとしている。GAPは消費者に安全・安心な農産物を提供していくためにも重要」などと話し、佐藤所長は「レンコンは本県にとって重要な食材。来年開催される東京オリンピック・パラリンピックの食材提供に向けて支援していきたい」と語った。 かすみがうら市のレンコン生産者でつくる同霞ケ浦支部は、160戸が計237ヘクタール(2018年)で栽培している。このうち今回、認証を取得した4人は計約20ヘクタールで生産する。 池田組合長は「持続可能な農業を進めていくには、収量や味だけでなく安全・安心な農産物の生産が求められる」とし「今回4人の若い生産者が取得したので、これを機に広げていきたい」と話した。 ➡茨城県版GAP制度の関連記事は3月16日付と4月17日付

古写真につづる千の言葉 「つくばアーカイブス」再構成し刊行

【相澤冬樹】それは「A picture is worth a thousand words(1枚の写真は千の言葉の価値がある)を合い言葉に始まった」と総合科学研究機構(CROSS、土浦市)研究員の木村滋さん(79)。2007年から10年にかけ、同機構のつくばアーカイブス研究会で集めた昭和期の写真を中心にした記録約500点を再構成し、「目で見るつくばの歴史」にまとめて刊行した。 刊行物はA4判232ページの書誌と画像収録のCDで構成され、「つくばアーカイブス大賞記録集」のサブタイトルがついている。農水省蚕糸試験場(現農研機構)で所長を務めるなどした木村さんは、退職後籍を置いた同機構で、副理事長だった高橋嘉右さんから相談を受けた。 「アメリカにA picture is worth a thousand wordsってことわざがあるが、実は社会運動のスローガンになっている。つくばでアーカイブ事業をやれないか」。写真を中心に、地域から失われつつある記録、消えそうな記憶を集めて未来に伝える。折しもつくばエクスプレス(TX)開業(2006年)直後で、つくばの変貌が加速する時代だった。筑波研究学園都市建設の閣議了解(1963年)から50年が迫っていた。 記憶集めに自腹と手弁当 アーカイブス研究会は、同機構に関わる役員や委員などの任意活動としてスタートした。報酬や経費の支給はなく、手弁当で記録収集に当たった。代表に就任した高橋さんは毎年自腹を切ってポスターを作成するなどし、募集の先頭に立ったという。 集められた写真は審査して、2007年から4回にわたりつくばアーカイブス大賞を選定するなどした。日本植物分類学の泰斗、牧野富太郎博士が筑波山に登り、蝶ネクタイ姿で収まっている記念写真(1939年撮影)などが選ばれている。しかし公募では次第に点数が集まらなくなり、つてをたどって地域の名士の家々などを訪ね歩き、採集するスタイルになった。 この取材の中心にいたのが木村さん。土浦市在住のカメラマン、御供文範さんと連れだって、古写真や図版類を複写して回った。「やってみて分かったのは、写真を手に入れても、それだけじゃあ何なのか実は分からない。持ち主や家族の話を聞いてやっと、そういうことかと氷解できることがある」 取材先はつくばにとどまらず、膨大な写真を収めた「浮島村改良養蚕組合写真帳」(1927年)の発見から、現在の稲敷市の保管先に行き当たる。何回か訪ねるうちに、養蚕農家が昭和初期に取り組んだカイコ飼育の技術革新を突き止めて、カイコ研究者だった木村さんは因縁を感じることになる。「千の言葉が必要になるときもある」と感じたという。 失われた郷土愛のありか 1914(大正3)年の筑波鉄道株式会社の設立総会時に撮られた集合写真が出てきたときも、これだけだと写っているのが誰か分からない。持ち主を訪ねて話を聞くうち、当時の株券やら絵はがきやらが出てくる。「筑波鉄道、のちの関東鉄道筑波線は1987年に廃線となる運命をたどる。経営的にはどうにも立ちいかなかったけれど、株券まで大事に残してるってことは金儲けをしようとこの鉄道を作ったんじゃない。郷土愛ってものが感じられるんだ」と木村さん。「それこそ今失われてしまったものだねえ」というのだ。 事業は4年間で収束したが、当時の資料提供者や関係者へ「きちんとお礼も報告もしていない」のが気になった。平成の終わる前に、と再点検に乗り出した。未整理の文献もあり、それらを建設・景観、民俗・祭事などのテーマごとにまとめ直してみると、時代に埋もれたきれぎれの記憶の断片が、体系化できるのに気づいた。 そんな思いをこめて、今回の書籍も自費出版。自分でワープロを打ち、版下を作って印刷所に持ち込んだ。独力で日本図書コードを取得して300部を刷ったが、あくまで関係先への「お礼」の部数。市販するには負担も大きく、今回は非売品扱い。書誌に収めきれなかった写真も含めて制作した添付CDならば、頒布も可能だが、提供方法は検討中ということだ。 ◆総合科学研究機構(CROSS)土浦市上高津1601、電話:029-826-6251

エコバッグのような持ち運べる花器を開発 つくばの花屋店主

【戸田さつき】つくば市梅園のフラワーギフト通販店、アクア・ブルーム店主の大澤眞理さん(54)が、持ち運べて、飾れて、つるせて、たためる、エコバッグのような花器「アクア・ブルームバッグ(AquaBloomBag)」を開発した。大きさは幅14センチ(上部)、高さ19センチで、ビニール製の袋にバッグのような持ち手が付いている。 花をもらっても自宅で生ける花瓶がない、花瓶を置くところもない、上手に生ける自信もない―。それらの不便を解決することが、生花を身近に置いてもらえる近道ではないかと考えた。 着想のきっかけは、昨年、市内で開催された花業者が集ったイベント「つくばフラワーマーケット」。出店した大澤さんは、石岡市のバラ生産者から直接買い付けた種類豊富なバラを、来場者が自由に選んで買う「ビュッフェスタイル」で提供したいと考えた。花を入れる容器として、軽くて鮮度を保って持ち帰れるバッグを開発した。すると、会場内にはそのバッグを持って買い物を楽しむ人たちの姿があふれ、用意した150個は完売した。 その後、このイベントでバッグを買った人が来店し、「バッグにそのまま花をさしてほしい」とリクエストされた。このまま持って帰れば生け直すこともなくて便利で重宝していると話してくれた。コンサートで来場者に配る花にしたい、壁につるせる特性を生かしてブライダルの壁面装飾に使いたい―。次々と要望が舞い込んだ。 しかし、改善しなければならない点もあった。まずは形。花を入れ過ぎると、重さでひっくり返ってしまう。次にデザイン。今は印刷したシールで対応しているが、デザイン性では劣る。工場で量産したい。資金をかけてまでやる意味があるのだろうか。悩みを友人たちに相談すると「応援するから、とことんやってみなよ」。 弁理士に相談し意匠権の申請をした。海外の生産工場との打ち合わせも四苦八苦。最難関にもぶつかった。量産するとして、どうやって販売していくか分からなかった。自分の店だけでは到底1万枚も販売しきれない。 自分の力でできるのは何だろうかと探していたところ、クラウドファンディングサイトでは資金調達だけではなく、予約販売の側面でメーカーが活用しているのを知った。同サイトで27日から予約販売を開始したばかり。 市場縮小 「生花を飾るきっかけに」 大澤さんが花の魅力を知ったのはカナダ留学中。語学習得のために、カナダ人が通うフラワースクールに入った。もともと雑貨の開発やバイヤーへの転職の一歩として留学した。帰国後、花をもっと深く学びたいと東京・白金の生花販売会社に入社。ホテルの装飾やブライダルの提案など幅広く手がけた。 その後独立し今の場所に店を構えた。「みずみずしい花を楽しんでほしい」という思いで「アクアブルーム」と名付けて15年。 昨今では、アートフラワー、プリザーブドフラワーが台頭し、生花の市場は縮小しているという。花を購入する機会は、母の日や結婚式、卒業式のような行事のみで、日頃、花を飾る習慣は遠のいている。 大澤さんは「このバッグをきっかけに、生花を飾ってほしい。四季を感じ、枯れゆく姿もまた生きているまぶしさとして愛おしく思えるはず」と話す。 さらに「正直、50代になってこういう思い切った挑戦をするとは思わなかった。この勇気もいつも応援してくれる仲間のおかげ。みんなの応援に応えられるように、これからの人生にも花を咲かせられるように精一杯頑張りたい」と続けた。 ◆アクア・ブルームバッグは27日(月)から発売が開始されている。 価格は280円(消費税別)。事前予約販売ページはhttps://www.makuake.com/project/aqua_bloom_bag/ ◆アクアブルームは、つくば市梅園2丁目8-14、電話029-863-6222。

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