金曜日, 4月 23, 2021
ホーム スポーツ 「進学は回り道にあらず」5選手がプロに 筑波大蹴球部

「進学は回り道にあらず」5選手がプロに 筑波大蹴球部

【池田充雄】筑波大学(つくば市天王台)で23日、来季のプロチーム入団が内定した蹴球部5選手の合同記者会見が開かれた。5人ともJリーグクラブの育成組織出身で、うち4人は元のクラブに戻ってデビューを果たす。プロを目指す選手にとって大学進学はもはや回り道ではなく、将来を見据えた戦略的な選択になったと言えそうだ。(文中敬称略)

鋭い切り返しで敵陣を切り裂く三笘=全日本大学選手権準々決勝=12月16日、味の素フィールド西が丘、以下同

J1川崎フロンターレに進む三笘薫は、相手の間合いを外すドリブル突破や、創造性に富むパスが魅力の攻撃的MFだ。会見の翌日にはU-22日本代表に合流し、28日のキリンチャレンジカップ・ジャマイカ戦に備えるという。「この試合への思いは強い。活躍すれば東京オリンピックに向けて生き残れる。自分の特徴を生かしながら、チームに貢献できるようなプレーがしたい」

J1コンサドーレ札幌に進む高嶺朋樹は、体の強さを生かした1対1の守備と、左足からの高精度なキックを武器に、守備から攻撃へのスイッチを入れるボランチだ。「3年冬にオファーをもらい即決した。厳しい戦いになるだろうが1年目からスタメンを勝ち取り、試合に出られるようにしたい」

フィジカルの強さとともに気の強さも持ち味の高嶺(左写真)とインカレでは守備力だけでなく得点力も発揮した山川

J1ヴィッセル神戸に入る山川哲史は、長身を生かしたヘディングと、クレバーな守備を得意とするセンターバック。「監督から言われた、チームを勝たせられる選手になること。蹴球部のビジョンである、人の心を動かす存在になること。この2つを意識し、今後も目標にしたい」

J2アルビレックス新潟入りするGK阿部航斗は、身体能力に優れ、視野の広さと正確なポジショニングでゴールを守る。「考えてシュートを止めることと、相手が嫌がるような駆け引きを心掛けている。自分の力で新潟をJ1に上げ、ビッグクラブにすることが目標。新潟を象徴するような選手になりたい」

俊敏性と跳躍力を生かし、数々の大舞台で活躍したGK阿部(左写真)と来年度、大学院を休学してプロの道へ踏み出す大川

シンガポールプレミアリーグのアルビレックス新潟シンガポールに入団が決まった大川圭為は、瞬発力を生かしたシュートストップや、安定感あるロングキックが長所。同ポジションの阿部と切磋琢磨して成長し、4年後期は正GKに就いた。「来年1年で結果を出さないと先がなく、いい意味であせりがある。自分の努力次第でどれだけできるか、チャレンジしたい」

大学で得た、自ら成長する姿勢

三笘と山川は、ユース卒業時にもプロへの誘いがあったが、「もっと成長したい」「まだプロになれる覚悟がない」との理由で筑波大を選んだ。他の選手も「大学だからこそ学べたことがある」と口をそろえる。それは何だったのか。

一つは、自ら考えて取り組む姿勢だ。トレーニングや栄養管理はもちろん、自分の特徴は何なのかと悩み、それを作り出す努力や、身体能力などの弱点を直視し、プレーでカバーする取り組みなども含まれる。

「サッカーに対する考え方の幅が広がった」と話す選手もいる。ユースではチームのスタイルに合わせた練習ばかりだったが、筑波大では相手の強みを消すためのさまざまな戦い方を学んだ。また、試合や練習以外の活動を通じて、各自がそれぞれの役割を果たして物事を成し遂げることを学び、自分たちも誰かに支えられてサッカーができていることに気付いたそうだ。

小井土正亮監督は「技術の育成だけでなく人間的成長にも、大学が果たす役割は非常に大きい。本学で学んだことを生かし、プレーヤーとしても人としても必要とされる人材になってほしい」とエールを送る。

筑波大蹴球部にはプロ志望以外にコーチやトレーナー、あるいはクラブ運営スタッフなどを目指す部員もいる。技術レベルも人によってさまざまだ。大勢の仲間の中で、幅広い学びが得られる環境は、他大学にはない特徴的なものだという。

会員募集中

NEWSつくばでは、私たちの理念に賛同し、一緒に活動していただける正会員、活動会員、ボランティア会員、および資金面で活動を支援していただける賛助会員(クレジットカード払い可)を募集しています。私たちと一緒に新しいメディアをつくりませんか。

スポンサー

注目の記事

最新記事

日本の子どもは可哀そう 《ひょうたんの眼》36

【コラム・高橋恵一】青年海外協力隊員として東南アジアに派遣された青年の経験談である。優れた日本農業技術で作物を育てたところ、高温多湿の気候の効果もあって、半年でそれまでの1年分の収穫ができた。現地農民は、大喜びをした。次に、協力隊員は、後半の作付けに取り掛かろうとしたところ、農民は動かない。1年分の収穫ができたのだから、もう働く必要がないというのだった。30年前のことだ。 青年海外協力隊員は、苦笑しながら、現地農民の経済感覚を伝えてくれたが、今なら、ゆとりのできた時間や資金をどう使うかを考えたかも知れない。 日本では、高度成長期から、成果をひたすら企業資金力の強化に回し、労働時間の短縮やセーフティーネットの構築、地球環境の改善・保護に回すことはほとんどなかった。 それから30年。日本の幸福度ランキングは、世界で56位。韓国とピッタリ寄り添って、ロシア、中国の少し上位に位置しているが、OECD(経済協力開発機構)37カ国のうち最下位レベルだ。 我々の生活レベルを考える時、「昔」と比べると、格段に忙しさが変わって来ている。拘束された忙しさ、義務的な忙しさである。 日本の幸福度を改善するためには、就業時間を短縮し、最低賃金を思い切り上げればよい。毎日の労働時間を7時間、週35時間以内にすれば、全く違う世界が見えてくる。当然、フレックスタイムが導入され、満員電車も解消する。生産力を維持するためには、雇用を拡大しなくてはならない。女性の役割が大きくなり、より多様性が拡大する。変化への原動力は、格差社会の解消である。

高齢者施設にワクチン配送 65歳以上4万7000人に接種券郵送も つくば市

高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの配送が22日、つくば市で始まった。同日午前、第1便となるファイザー社製のワクチンが、市内の介護老人保健施設に1カ所に届けられた。併せて同日、市内の65歳以上の高齢者約4万7000人にワクチン接種券が郵送された。23日以降、各家庭に届く。 マイナス70度の超低温冷凍庫から取り出したワクチンを必要な数だけ素早く配送用の保冷箱に移す作業員=22日、つくば市役所 配送されたワクチンは、17日に国から届いた2箱(1950回接種分)のうちの一部で、市役所内に設置された超低温冷凍庫でマイナス75度で保管されていた。 4月26日から5月3日の週には5箱(4875回接種分)が国から届く予定で、医療機関のほか、特別養護老人ホーム10カ所とグループホーム18カ所にも届けられる予定だ。 接種開始は5月24日

開園25周年 つくばわんわんランド 「人とペットが共存する拠点に」

日本最大級の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(つくば市沼田、東郷治久社長)が27日、開園25周年を迎える。1996年4月27日、現在の3分の1ほどの面積でスタートした。ペットは家族の一員であるという価値観が浸透すると共に、犬を見せる施設から犬と触れ合う施設へとコンセプトを変化させてきた。現在、約90種約500匹の犬がいる。 寺崎修司園長は「日本のペットに対する意識は、ペット先進国と比べまだまだ遅れているところがあるので、正しい知識をもって人と動物が共存する社会を目指す拠点になれれば」と話す。 珍しい大型犬、ナポリタンマスティフをなでる寺崎園長 25周年を記念して26~28日の3日間、25歳の人と小学生以下の入園料が100円になる特別イベントが開催されるほか、ゴールデンウイーク(GW)中の29日から5月5日まで、グループ法人のつくば国際ペット専門学校講師による犬のお手入れ教室やしつけ教室などが開催される。 園のシンボル 黄色い木造犬は4代目

別の学校も臨時休校 つくば市教員が新型コロナ

つくば市は21日、市立学校教員が新型コロナウイルスに感染していることが分かり、この教員が勤務する学校を22~23日の2日間、臨時休校にすると発表した。 市教育局学び推進課によると、20日に感染が確認された教員が勤務する学校とは別の学校という。 21日感染が分かった教員の濃厚接触者は現在、保健所が調査している。この教員の症状や、いつまで勤務していたかなどは公表しないとしている。 一方、20日に教員の感染が確認され、21~22日の2日間、臨時休校としていた学校は、23日から通常通り授業を開始する。