日曜日, 11月 8, 2026
ホームつくば【民生委員】㊤ 担い手不足と高齢化 つくば

【民生委員】㊤ 担い手不足と高齢化 つくば

【橋立多美】住民の生活相談に応じて行政に橋渡しをする民生委員が今月、3年ぶりに全国一斉に改選された。困ったときの地域の「見守り役」だが、高齢の単身世帯や高齢者のみの世帯が増える一方、なり手不足などによる高齢化で「老老見守り」が進む。

今月の改選で2期目に入った50代女性は、担当区域で身寄りのない高齢男性の孤立死を経験した。

最初に訪問した時はパジャマ姿で現れ、「民生委員なんかの世話にはならない」と怒鳴られた。恐る恐る訪問するうちに玄関の椅子を勧めてくれてパジャマは洋服になった。

次の訪問で終活の相談に乗ることになっていたが、その日を待たずに亡くなった。「もっと早く訪問すればよかった」と今も自分を責める。

オートロックに阻まれて

女性によれば訪問はおおむね月1回、認知症の発症が疑われるなど目配りが必要なケースは毎週。さりげない地道な見守りは毎日のことだという。

訪問をかたくなに拒んだり、居留守を使う人もいる。ある委員は「民生委員に相談していることを知られたくない人の家には暗くなってから訪問する。それが民生委員の常識」と明かしてくれた。

「マンション1階玄関のオートロックに阻まれて会うことすら難しい」と話すのは田中邦宏さん(79)。TX沿線開発で誕生した高層マンションが林立する研究学園地区担当で、約860世帯を受け持つ。

まれに1階の共有スペースに降りてきてくれる人もいるが、インターホン越しでは会話は成立しない。「近所付き合いが面倒でマンションを購入した人が多く、一歩一歩やっていく」と話す。

茎崎地区で4期民生委員を務める片岡三郎さん(76)は、ほぼ毎夕、宝陽台団地の単身高齢者34世帯を見守るパトロールを続けている。昨日と違っているところはないか、電灯が付いているか、と注意を払う。

これまでに急に手足がしびれ、車庫で動けなくなった高齢者を見つけたり、徘徊する女性を見つけ、牛久の家族の元に帰したことがある。

改選のたびに適任と思う何人かに頼んでみたが「仕事が忙しい」「向いていない」と断られた。使命感から続けてきたが、ようやく60代の後任者が見つかった。「今期3年を悔いのないように努めたい」。

60代、70代で9割占める

民生委員は市町村の推薦で厚生労働相が委嘱する非常勤の地方公務員。任期は3年(再任可)で全国に約23万人、県内には約5千人いる。月1万円程度の活動費が支給されるだけで報酬はない。守秘義務があり、児童や妊産婦を支援する児童委員も兼ねる。

市社会福祉課によると、今月の改選時の定数271人に対し欠員は7人。再任は206人で新たに58人が推薦を受けた。30~80歳代で構成されているが60歳代が5割(133人)、70歳代が4割(110人)を占め、75歳以上の後期高齢者は21人いる。

国は「民生委員は原則75歳未満」としていたが、なり手不足を受けて2007年に年齢基準を緩和した。多くの自治体が国の通知に沿って選任したことで高齢化が進んだ。同課の木本係長は「75歳を目安として地域の事情に詳しく健康な人を推薦している」と話す。

担い手がさらに不足しかねない動きがある。国が進める高齢者の就業拡大だ。安田課長は「共働きや定年後も働く人が増え、支援が必要な人を支える分母の人数が減っている」と表情を曇らせた。

2018年度中に民生委員が受けた相談件数は7528件で年々増加している。介護保険や生活困窮の相談をはじめ、家族形態の変化に伴って家や墓の後継者問題など困難化しているという。安田課長は「日常的に地域に目を配り、相談に乗って支援することは行政には難しく、民生委員に助けられている」と話してくれた。(つづく)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最近のコメント

最新記事

データセンターを議論しよう 14日 歌川学さん講演【再掲載】

NEWSつくば主催 「データセンターを議論しよう」をテーマに、NEWSつくばは計3回の連続講演会を開催します。第1回は14日(土)午後6時から、つくば市役所コミュニティ棟で、温暖化対策を研究する歌川学さんが「データセンターの地域影響」と題して講演し、その後、意見交換会を開きます。 つくば市大穂の元公有地にグッドマンジャパンが計画している国内最大級のデータセンターに対し、歌川さんは今年4月、排熱や水利用、騒音・振動などの環境影響可能性を指摘しました。(5月19日付、5月20日付) 歌川さんの講演会はこれまで、データセンター建設予定地近隣の大穂交流センターで計3回開かれてきましたが、歌川さんの話を直接聞きたいという声がNEWSつくばに寄せられていることから、連続講演会第1回の講師に歌川さんを迎えます。 歌川さんの指摘以降、つくば市や事業者はそれぞれ、データセンターのメリットや環境影響などについて情報発信を始めました。ただし排熱、水利用、騒音・振動など環境影響について具体的な数値予測はまだ示されておらず、市民からは依然として不安の声が出ています。14日の講演会では、これまでの市議会一般質問の答弁を中心に、現在までに明らかになった課題も踏まえてデータセンターの問題を考えます。 市民が議論する場をつくります 周辺住民団体「データセンターから市民を守る会」はこれまで、事業者のほか、市に対し住民説明会の開催を求めてきました。しかし市が10月に策定したデータセンター建設ガイドラインは、敷地境界から100メートルより外側の市民に対しては、集会型の住民説明会ではなく、展示パネルや資料を見て回るオープンハウス型説明会を開催するとし、グッドマンジャパンは、市のガイドラインに沿って、オープンハウス型の情報・相談ブースを11月から12月に開設すると市に回答しました。(8月31日付、9月29日付、10月6日付、10月23日付、10月29日付) 集会型の住民説明会は、参加した市民がそれぞれの意見を表明したり、ほかの人の意見を聞くなど、議論して合意形成を図る、民主主義を維持・発展するための重要な場でもあります。市や事業者が一般市民向けの住民説明会を開催しないと表明しているなら、地域メディアであるNEWSつくばが、その場をつくり、報道します。 地域メディアの新たな方向性を模索する動きの一つに「エンゲージド・ジャーナリズム」という取り組みがあり、米国などですでに実践されています。市民とメディアが地域の現実やニーズ、課題について対話しながら、新たな信頼とつながりを育んでいこうという試みです。NEWSつくばは、連続講演会「データセンターを議論しよう」をエンゲージド・ジャーナリズムの実践の場と位置づけ、市民の声を聞き、市民と共に、地域の具体的な課題を可視化し、報道していきます。 連続講演会は11月から月1回程度、計3回を予定しています。 連続講演会「データセンターを議論しよう」第1回歌川学さん講演会日 時 11月14日(土)午後6時~9時 講演(70分)&意見交換会(90分)会 場 つくば市役所コミュニティ棟1階参加費 300円(資料代)定 員 120人(事前予約必要)主 催 NEWSつくば参加申し込みは、グーグルフォームへ。先着順問い合わせ NEWSつくばのメール(info@newstsukuba.jp)へ。

少し変わった「キツツキ」《鳥撮り三昧》19

【コラム・海老原信一】見た目はそうでないけれど、れっきとしたキツツキの仲間。その名はアリスイ。爬虫(はちゅう)類に似た雰囲気があり、図鑑でキツツキの仲間だと知ったときは驚いた。林などをすみかにする他のキツツキ類と違い、ヨシ原のような湿地が好みらしい。初めて観察できたときは、「なにこれ?」と驚いた。 その後、何度か観察する機会があり、湿地の灌(かん)木などにいるアリの巣に、長く伸びる舌を差し込み、舌の粘膜にアリをからめとって食べる様子を観察できた。動物のアリクイのように、この仕草からアリスイの名がついたのだろう。ここに鳥見の楽しさがある。隠れているなら見つけてやるぞ…と。 もちろん、ガサゴソと彼らの近くへ踏み込むことはしない。望遠鏡を使い、丹念に居そうな場所を探す。他の隠れるのがうまい鳥を探すとき同様、静かに、丹念に。冬鳥たちの観察が楽しくなるシーズンに、これから入る。 隠れ上手なタシギ 保護色となると、冬枯れの緑の消えたハス田でタシギを見かける。危険を避ける場所を探し、レンコンの葉や茎が重なり合ったところに隠れている。うまくカモフラージュされているのだ。「うまく隠れるものだなあ」と思ったりするが、「頭隠して尻隠さず」の言葉があるように、隠れ上手のタシギも「尻隠さず」のことがある。 タシギにしたら隠れた気分なのだろう、こちらから体は丸見えなのに、目だけが隠れている。それを見て、うれしくなっている自分がいる。鳥見は楽しいと思える日々が、気力と体力と相談しながら、もう少し続くようにと願うこのごろ。(写真家)

シミュレーションゴルフ施設 つくば市梅園にオープン 24時間 完全個室型

市内初、ガソリンスタンドに隣接 室内に設置されたスクリーン上に国内外の有名ゴルフコースを映し出し、スクリーンに向かってショットを打つことで、弾道や飛距離を再現するシミュレーションゴルフ施設「DOOR TO GOLF(ドアトゥゴルフ)アドバンスセルフつくば梅園店」(岡野広大店長)が6日、つくば市梅園のガソリンスタンド隣りにオープンした。つくば市内で初のシミュレーションゴルフ施設となる。 世界のトッププロも使用するゴルフシミュレーターを導入し、スイングやボールの弾道などを高精度なAIで分析する。ヘッド軌道、インパクトデータ、ボール初速、打ち出し角などを瞬時に可視化し、感覚だけに頼らない効率的な練習をサポートする。完全個室のため、周囲の目を気にせず自分のペースで練習に集中でき、初心者から上級者まで、それぞれのレベルや目的に応じて利用できる。 セキショウグループの一員で、ガソリンスタンドなどを展開するアドバンス・カーライフサービス(つくば市、関太士社長)が、ガソリンスタンド「Dr.Drive(ドクター・ドライブ)アドバンスセルフつくば梅園店」に隣接して開設した。グループ初のシミュレーションゴルフ施設となる。 年中無休で24時間営業する。施設は個室型で完全貸し切り。個室の面積は約43平方メートル(13坪)、3人まで一緒に利用できる。利用は会員制で、インターネットで空き状況を確認し予約、鍵アプリを利用し入室する。 施設のオープンを記念して6日、導入式が催され。エネオス関東第一の南秀樹副支店長が第1号を試打。打球は正面大型スクリーンに映し出され、ボールの速度、弾道などの数字が瞬時に表示された。自身のフォームなども側面のディスプレイに映し出されていた。 アドバンス・カーライフサービスの坂林康二副社長は「ゴルフの盛んな茨城県に合わせこの施設を考えた。元の施設は整備工場だった。セルフ給油所隣接ということもあり、ここも(最新の設備やシステムを導入し無人化するなど)人をあまり使わずに出来る施設を考えた。まずは会員数を伸ばしていきたい。状況を見て2号店と、今後も増やしていく可能性がある」と話した。(榎田智司) ◆「DOOR TO GOLF アドバンスセルフつくば梅園店」はつくば市梅園2-25-12、電話029-855-2236。料金プランは▽ライト会員(月4回枠) 1万1000円▽スタンダード会員(月8回枠)1万7600円▽アドバンス会員(月12回枠)2万4200円▽ナイト⑷会員(月4回枠/利用時間 午前0時10分~7:00)6600円▽ナイト⑻会員(月8回枠/利用時間 午前0時10分〜7時)1万1000円 。入会金は通常1万1000円。料金はいずれも消費税込。家族(または同伴者)は3人まで無料で利用できる。

オタクと研究者 認知症になるのはどっち?《看取り医者は見た!》57

【コラム・平野国美】「著名な研究者と部屋にこもるオタク、どちらが認知症になりやすいと思いますか?」。講演などでこう問いかけると、大半の方は「人付き合いをせず閉じこもるオタクのほうが危ない」と答えます。世間では、頭脳労働や社会的地位こそがボケ防止の切り札であり、孤独は万病の元だと信じられているからです。 認知予備能の崖落ち しかし、老年医学や地域医療の現場で多くの人生の黄昏(たそがれ)を見つめていると、こういった常識はしばしば裏切られます。特に理工系の大学教授や研究機関のトップを務めたような碩学(せきがく)が、定年退職を迎えた途端、まるで断崖絶壁から転落するかのように、急速な認知症を発症・進行させてしまう事例は少なくありません。 医学的には「認知予備能(コグニティブ・リザーブ)の崖落ち」と呼ばれる現象です。彼らは高い知性によって、脳内に蓄積する病変を長年カバーし続けています。しかし、その知性は「研究室」という手厚い外部環境に依存していました。巨額の実験装置、論文執筆を促す締め切り、身の回りの手続きなどを整えてくれる秘書や学生など、その「足場」が退職とともに失われたとき、長年覆い隠されていた脳の機能低下が隠しきれず、一気に決壊してしまうのです。 内発的情熱のドパミン 一方、世間から「孤立のリスク」と心配されるシニアのオタクたちはどうでしょうか? 彼らの姿を見ていると、その驚くべき自立性に目を見張ります。 オタクの探求は、初めからすべて自己完結しています。自室の机の上、パソコンの画面、ネット上のコミュニティ…。退職したからといって、奪われる設備も権威もありません。むしろ、「これで誰にも邪魔されず、一生分の模型作りに没頭できる」「あの資料を心ゆくまで読み解ける」と、定年を人生の黄金期として迎え入れます。 彼らは、誰かに頼まれて動いているわけではありません。内発的な情熱からドーパミンを自前で分泌させ、指先を動かし、情報を分類・アーカイブし、至福の時間を過ごします。世間的な意味での「お付き合い」は希薄でも、関心で結ばれたネットの仲間と知的な交信を保ち、退屈という最大の毒を軽々と無力化してしまうのです。 偏愛と探求の場を持つ 高齢者施設に足を運ぶと、かつて社会を動かした大人たちが、折り紙や童謡、風船バレーといった幼稚園の遊戯のようなレクリエーションを強いられ、書き上げた書道に赤ペンで「花丸」をつけられ、自尊心を削られている光景に出会います。大人のプライドを無視した一律のケアが、どれほど人を無気力に追い込むことか。 知性の高さそのものが脳を守るのではありません。自分の手元に、誰にも奪われない「偏愛と探求の場」を自前で持っているかどうか。定年後の認知機能を支えるのは、かつての肩書ではなく、一人で面白がれるオタク的な「したたかさ」なのだと感じています。オタク、恐るべし!(訪問診療医師)