日曜日, 3月 8, 2026
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バードウォッチングにこと寄せて《文京町便り》32

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土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】今回は、私が米国および英国で経験した軽微な(体力勝負でない)アウトドア活動についてです。2度目の米国滞在中(1993年、ワシントンDC近くのバージニア州フェアファックス)、バードウォッチングの会に何度か参加しました。

土曜日の早朝(日の出直後)、大西洋岸の河口あるいは(バージニア州西部の)シェナンドー・バレー麓などの適当な駐車場に15名程度が集合した後、リーダーの誘導で、防水対応のシューズと携帯双眼鏡を片手に、森林、灌木(かんほく)や草地に静かに分け入るのです。

この経験で私が得たポイントは、鳥を探すにはむやみに辺りに目を向けるのではなく、さえずりや羽音のする方向に体と視線と双眼鏡を向ける、ということでした。

ベテランになれば、鳥のさえずりでその鳥の姿と名前を当てることができます。私も、カセットテープを入手して、車の運転中、語学テープをヒヤリングする要領でチャレンジし、帰国後も少し続けてみましたが、残念ながら、とてもその域には達しませんでした。要するに、鳥のさえずりは聞き分けられませんでした。

米国のバードウォッチングでは、もう一つ得難い体験をしました。熱心な会員の中には、自宅を野鳥の住み家にしつらえている方が少なくない、ということです。

そうした会員のお誘いで、ご自宅に案内されたとき、そのご自宅はさほど広いわけではないものの、家屋内部も庭もきちんと手入れされているだけでなく、いたるところに巣箱と水辺が配置されていて、野鳥がこれらを目指して絶えず飛来するのです。当家の方は日ごろからそれを眺め、かつ1年を通じた変化を楽しんでいるのです。

しかも、同好者に自分たちの「作品」を披露することで、それぞれの満足感・好奇心を高めているのです。

自宅を限定的に開放する試み

自宅を限定的ながらも開放するという試みは、英国でも、ガーデニングやフラワーアレンジメントの会で体験しました。

元々、かつての領主の館や庭園などはナショナルトラスト運動の対象になっていることもあり、広大でかなり解放されているのですが、それほどの由緒・来歴を持たない一般庶民のささやかな家屋や庭でも、こうした公開対象になっているのです。それは、自然およびその移ろいを楽しんでいる自分たちの「作品」を、同好者に見てもらいたいという気持ちの発露でもあります。

したがって、維持管理が行き届かなくなり、基準に達せずユニークさに欠けると判断されると、公開リストから外されてしまいます。

日本でも、野鳥の会、盆栽、菊づくりなど、歴史と伝統を誇る文化的なアウトドア活動は数多くあります。茶の湯の野点なども、そうした趣向かも知れません。古民家をカフェ・レストラン・宿泊施設などに改修し、こうした歴史的文化遺産の管理・説明を地元ボランティアが交代で担当することなども、地域資源や人材の再生・掘り起しにつながり、有意義でしょう。

しかし、それぞれの自宅などをいわば「作品」として(日にち・時間・対象者を)限定しながらも開放するという静謐(せいひつ)な試みも、地域再生という観点からももう少し普及してもいいのかもしれません。(専修大学名誉教授)

慶応大の学生10人 土浦・阿見の博物館など巡り 歴史語り継ぐ方法を調査

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土浦市立博物館を見学する学生たち=18日、同市中央

土浦市立博物館(同市中央)や予科練平和記念館(阿見町廻戸)などを巡り、歴史を語り継ぐ方法を調査しようと、18日から、慶応義塾大学の学生10人が土浦を訪れている。土浦市内に20日まで滞在し、街歩きをしながら史跡を見たり、地元の人にインタビューするなどしてフィールドワークの手法を学ぶ。最終日には同市中央のギャラリー、がばんクリエイティブルームで作業をし、体験したことをまとめる予定だ。

社会学者の清水亮さん企画

訪れたのは同大環境情報学部と総合政策学部の1~3年生10人。土浦や阿見町の戦中・戦後史をまとめた「『軍都』を生きる 霞ケ浦の生活史1919-1968」(岩波書店)=23年3月22日付=の著者である同大専任講師の清水亮さんが教育活動の一環として合宿を企画した。社会学を専門とする清水さんのゼミ生や、フィールドワーク法の授業を受講する学生など、調査手法を学びたい学生たちが参加した。清水さんは学生時代から自身も幾度となく土浦を訪れ、近現代史の調査を続けている(24年8月3日付)。

調査1日目となる18日には、明治、大正、昭和の調剤道具などが展示されている「奥井薬局」や、1929年に飛来した際の写真や資料が展示されている「ツェッペリン伯号記念館」、江戸時代後期の商家を活用した観光拠点「まちかど蔵」などを学生たちが巡って、街中にある小さな展示を見学。手作りの展示に取り組む人々に聞き取りをするなどし、土浦の街全体を博物館に見立てる「フィールドミュージアム」の可能性を探った。

午後には市立博物館を訪れ、歴史や文化を伝える資料を見学した。学生たちは一つ一つに足を止め、メモを取ったり写真撮影をしたりしながら、熱心に見入っていた。見学後は同館学芸員の野田礼子さんに展示の工夫や課題についてインタビューした。2日目となる19日には予科練平和記念館などを訪れ、学芸員の山下裕美子さんや、予科練戦没者の遺書や遺品などの資料を保存・収集する「海原会」の行方滋子さんにも話を聞いた。

災害、地方創生…それぞれの興味から

参加した3年生の福島優希さんは桜川市の出身で、防災教育に関心があり普段は全国各地で調査を行っている。地元の茨城についてもっと深く知りたいと考え、この合宿に参加した。調査で土浦を訪れるのは2回目だ。「土浦は水運の街。今は水害を避けて川辺には住まないことが多いが、土浦の昔の富裕層は川辺に住んでいたのが興味深く、もっと調べたいと思った」と災害の観点から着目し、関心を深めていた。

同じく3年生で静岡県出身の高久快さんは地方創生や地方の経済活性に関心を持っているという。土浦を訪れるのは初めてで「昔の街並みが残りつつ、昔と今とが融合している。『昭和レトロ』な雰囲気がいい」と話す。戦後、軍用地がどのように利用されてきたかに興味を持っており、調べたいという。

1年生の中沢遥花さんは図書館や、サードプレイスと呼ばれる自宅や学校、職場でもない第3の居場所に関心があり、合宿に参加した。「土浦は昔の雰囲気が残っており、歴史を感じられる街」と土浦の印象を語った。

五感で「生きた歴史」見つけて

同大の清水専任講師は「博物館などの展示は、それを作る人の努力と工夫があってできている。リスペクトの気持ちを持ってほしい」と活動の目的を話す。歴史をどのように語り継いでいくか、若い世代の視点で考えてほしいとし、「フィールドワークのノウハウやスキルというよりも、人との出会いを大切にし、そこに生きた歴史があることを学生たちに伝えたい。街中も、風景や地形など実際に歩いて分かることがある。教室での勉強や、書物を紐解いていく勉強とは違い、空間の中で五感を使って体験することを大事にしてほしい」と思いを語り、フィールドワークの楽しさを説く。(田中めぐみ)

◆社会学者の清水亮さんは、29日(日)午後1~3時、土浦市民ギャラリー(同市大和町、アルカス土浦1階)で開かれるトークセッション「ツェッペリン伯号と湖都・土浦を語る」に出演し、小説家の高野史緒さんと対談する。トークイベントに先立って24日(火)~29日(日)、同ギャラリーで「霞月楼所蔵品展」が開かれる。開館時間は午前10時から午後6時(初日は午後1時から開場)。いずれも入場無料。

➡詳しくはこちら

「愛」と「生命」を込める 筑波大大学院の姉弟2人展 つくば スタジオ’S

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姉の小松原佳織さん(右)と弟の優作さん(左)=つくば市二の宮、ギャラリー「スタジオ’S」

小松原佳織さん(25)と小松原優作さん(23)による二人展「いつものところ」が20日からつくば市二の宮のギャラリー、スタジオ’S(関彰商事つくば本社内)で始まった。2人は静岡県掛川市出身の姉弟で、それぞれ筑波大学芸術専門学群を卒業後、同大大学院に進学し絵画を研究している。佳織さんは「愛」を、優作さんは「生命」を、自然の中に見る光や色と共に作品に描き込む。油絵やアクリル画、手芸品など佳織さんが15点、優作さんが8点の作品を展示する。30日まで。

佳織さんがベージュ色の布製手提げバッグに描くのは、夕日に照らされるように赤やオレンジ、黄色に彩られた雲。部分的に盛り込まれた青や緑が色彩の鮮やかさを引き立てる。バッグの反対面には毛糸で表現した雲を縫い込んだ。「雲は、光の加減で見える色が変わっていく。人が感じる愛、心が動く瞬間を表現したい」と作品への思いを語る。「信仰」という作品では、ある作家の展覧会で見た、大型作品に引き込まれるように集まる観客を、無機質な四角形とそこに漂い集まる雲で表現した。

優作さんが描くのは「生命から感じる喜び、感謝、美しさ」。世界で続く戦争や貧困、差別を意識しながら日々の暮らしで感じる喜怒哀楽に心を寄せる。「生活の中で感じる命の大切さを作品に込めたい」と言う。よく足を運ぶというつくば市内の筑波実験植物園でみた光を描いたのが「植物園」。湿気がこもる温室に夕陽が差し込み、拡散する柔らかい光に包まれる植物に感じた生命の力強さを表現した。その他に、実家の台所で料理する母親の後ろ姿や、故郷に広がる田園風景に目を向ける父親を描いた作品が展示される。両親への感謝を込めたと話す。

小松原佳織さんの作品「信仰」

姉弟で先に絵を始めたのは、姉の佳織さん。漫画などの絵を書き写すことが好きだったという小学生のときに近所の絵画教室に通い始めた。後を追うように、2歳違いの優作さんも小学1年で同じ教室で絵を始めた。その後は姉の後を追うように、同じ高校、大学、大学院へと進学し、互いに刺激し合いながら絵を探究してきた。

佳織さんは絵を描くことの魅力を「悩んだときや自然を見たときに絵を描くことが多い。気持ちを消化できる。描き始めると、周りの音が聞こえなくなるほど集中する」と言い、優作さんは「描いていく中で、自分が好きなものや嫌いなものがわかっていく。自己理解が進むのが絵の魅力」だと話す。

市内の義務教育学校で非常勤講師として美術を教えたこともある佳織さんは「将来は教員になる予定。子どもたちの吸収力のすごさに驚くし、どうすればよりわかりやすく教えられるか考えるのも楽しい。いろいろな教材を生徒に提供できるよう、布染めや金継ぎなどにも挑戦したい」と言い、優作さんは、「今回の作品には、おがくずを絵の具に混ぜて凹凸を表現したものがある。今後はアクリル絵の具を多く使ったり、千代紙を主体的に使うなど表現方法を広げていきたい。将来は作品を販売していきたい」と意気込みを語る。

壁面に「愛」を貼って

会期中29日まで、鑑賞者が自由に手を加えられる作品制作コーナーをギャラリー内の6メートルほどの壁面に設置する。壁に貼り付けられた無地の大型模造紙に、来場者がそれぞれ「愛」を感じる場面や瞬間を書いた付箋を貼り付けていくと、最後に「何か」が浮かび上がる。「人が人へ持つ愛、感じる愛が私の作品作りの大きなテーマ。皆さんが感じる『愛』を一緒に貼り付けながら、一つの作品として展示を一緒に盛り上げていきたい。ぜひ、参加していただけたら」と佳織さんが呼びかける。(柴田大輔)

◆「小松原佳織・小松原優作 二人展『いつものところ』」は、9月20日(金)から30日(月)、つくば市二の宮1-23-6 関彰商事つくば本社内、スタジオ’Sで開催。開館は午前11時から午後5時まで。29(日)は午前10時から、作家によるギャラリートークが予定されている。入場無料。詳しくはスタジオ’Sのイベントホームページへ。

私を信頼し、私と話せ《電動車いすから見た景色》58

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車椅子に乗った筆者が電話口で話しているのに、相手から「介助者に代わってください」と言われている様子。イラストは筆者

【コラム・川端舞】時々、一本電話をかけるだけで疲弊することがある。それは、電話の相手が私の言葉を聞き取れなかった時ではなく、私の言葉を聞こうとしなかった時だ。

私が初めての場所に電話する時は、相手が言語障害の人とのコミュニケーションに慣れていない場合を考え、事前にできるだけ話したい内容を紙に書いておく。そして、もし相手が私の言葉を聞き取れなかったら、どのタイミングで通訳を入れてもらうかを、そばにいる介助者と打ち合わせてから電話をかける。

私が電話をかけると、たいてい相手は一瞬、沈黙する。困った表情を浮かべているのが、電話口からもよく分かる。その反応には慣れているので、私の言ったことを介助者に通訳してもらう。多くの場合は、介助者の通訳を入れることで、私と相手の会話が成立する。これが私なりの電話をかける方法だ。

しかし、時々、この方法が通用しない時がある。電話の相手が、私にではなく、介助者に話しかけてしまうのだ。そんな時は、電話のスピーカーで介助者も一緒に聞いているから、私に直接話してもらえばいいことを説明するのだが、ごくたまに、「では、ご本人ではなく、介助者に電話を代わってください」と言われてしまうことがある。

私が話したいことがあるから電話をかけているのに、介助者と話してどうするのだろう。私の言いたいことを介助者が全部把握している訳でもないのに。私を信頼してもらえていないようで、すごく悔しい。

障害者の生きた経験をなめるな

初めて私と話す人に、私の言葉を全て聞き取れとは言わない。ただ、私が「話したい」と言っているのだから、まずは私と話せ。あなたは言語障害のある人と初めて話すのかもしれないが、私は30年以上、言語障害と付き合っていて、どのタイミングで介助者の通訳を入れるのが効果的なのかも、あなたより熟知している。この社会の大半の人間は、言語障害のある者と話すのに慣れていないことも、私は嫌というほど知っている。

だから、介助者が隣にいる時に、あなたに電話をかけるのだ。言語障害のある者と話すことに慣れていて、聞き取れなかったら聞き返してくれると見込んだ相手に電話をかける時は、介助者と打ち合わせてから電話をかけるなどという、面倒なことはしない。

私は、自分に言語障害があることも、その時々でどのコミュニケーション方法が自分に一番合っているのかも、この社会で一番よく知っている。その上で、あなたに電話をかけているのだ。障害者をもっと信頼してほしい。(障害当事者)

霞ケ浦湖畔で音楽フェス 5年ぶり野外開催 

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2018年に野外で開かれた霞ケ浦KOHANロックの様子(同実行委員会提供)

21、22日 土浦

土浦で最大規模の野外音楽フェスティバル「霞ケ浦KOHANロック2024」(同実行委員会主催)が、21、22日、土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園で開催される。コロナ禍で21年は開催中止、20年と22、23年は市内のライブハウスなど屋内で開催した。野外開催としては5年ぶりとなる。

ロックやジャズ、フォークなど多彩なジャンルのプロやアマチュア32組が出演し、2日間、湖畔の芝生広場で音楽を奏でる。入場無料。

21日は日本の伝統的な民俗音楽である民謡を世界の音楽でアレンジして演奏する「民謡クルセイダーズ」、22日は俳優でトロンボーン奏者としても活躍する浜野謙太を中心としたファンクバンド「在日ファンク」が出演するなど、ビッグなアーティストも出演する。

第9回となる今年のスローガンは「土着」と「反骨」。日本人のDNAにある民族的なもの、ロックの持つ反発するエネルギーを言葉にした。

同公園内にある入浴施設「霞浦の湯」近くの芝生広場を「グランドレインボウステージ」とし、人工砂浜がある水辺広場を「水際熱風ステージ」として二つのステージを設置する。そのほか郷土芸能などを披露するアートパフォーマンスエリア、飲食村エリア、マルシェエリアも充実し、音楽以外でも楽しめるようにする。

入場無料にこだわる

地元の観光資源である霞ケ浦を全国の人に知ってもらいたいと、10年前の2015年、つくば市在住の会社員、山田径子さんが音楽フェスを始めた。山田さんは20年以上にわたり湖畔で開催されてきた親子向けイベントに参加、広々とした湖畔の緑地で野外ライブを開いたら、たくさんの人に来てもらえて、かつての臭くて近寄りがたい霞ケ浦のイメージを払拭でき、霞ケ浦に目を向けてもらえるのではないかと考えていたという。当初は市内のライブハウスが会場だったが、湖畔での開催が実現し、19年は50組が出演し約1000人が来場するなど最大規模となった。

老若男女誰もが湖畔の素晴らしい環境を楽しんでほしいと、入場無料にこだわる。開催資金調達のため、クラウドファンディングも活用、オリジナルTシャツや缶バッチの販売にも力を入れる。

主催者の山田径子さんは「一般的な野外フェスは入場料が高く、子供連れなどでは行けない。このフェスはペットも連れて聞きに行ける。Tシャツなどのグッズを買った人は優先的に前の方で見られる仕組みをつくっている」と話し「初めて来る人も常連の人も、湖畔の環境の中で素晴らしい音楽を楽しんでもらえればうれしい」と来場を呼び掛ける。(榎田智司)

◆雨天決行。当日のプログラムなど詳しくはこちら

茗溪学園中2年 石井美空さん 国内最高峰のジュニアテニス大会で3位に

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石井美空さん(左)と安藤市長=土浦市役所

地元土浦市長に報告

国内最高峰のジュニアテニス大会「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2024」の14歳以下女子ダブルスで、土浦市に住む茗溪学園中学2年の石井美空さんが3位となり、18日、地元の土浦市役所を訪れ、安藤真理子市長を表敬訪問した。

大会は8月26日から9月6日まで都内の有明テニスの森公園テニスコ-トで催された。石井さんは同じ中学2年でつくば市に住む色川渚月さんとペアを組み、順調に勝ち進み3位となった。7月に開かれた第98回関東ジュニアテニス選手権は優勝している。

石井さんは土浦小学校から茗渓学園に進み、土浦市内のテニススクール「ABCテニスアカデミー」でテニスを学んでいる。

表敬訪問には石井さんと母親の和香さん、市からは安藤市長、小林勉副市長、入野浩美教育長が出席し和やかに話が進んだ。

石井さんは「レベルの高い大会で大変だった。負けた時は悔しかったが、楽しく終わることができた」とあいさつ。安藤市長は「おめでとうございます。こんなに華奢(きゃしゃ)な娘さんが快挙を成し遂げたことは驚き。今後オリンピックで活躍する日も来るかも知れないとわくわくしている」と健闘をたたえた。

ペアを組んだ色川さんとは時間を合わせる余裕もなく、ほとんど一緒に練習をしないで成し遂げた快挙だということで、出席者全員が驚いていた。母親の和香さんから、2年前、入野教育長から絵画の表彰を受けたという話題も出た。(榎田智司)

ワンちゃんがネコちゃんに負けた日《看取り医者は見た!》27

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写真は筆者

【コラム・平野国美】犬の訓練士の方から興味深い話を聞きました。今の時代風に言えば、犬の世界もジェンダーレスになってきたそうです。どういうことか?と聞くと「肉体的にはオスなのだが、しぐさがメスっぽいとか、同性に興味を示すオスが増えてきた」と言うのです。

食餌(しょくじ)や環境のせい?と尋ねると、「大昔、まだ野性だったころは、強くないと餌を獲れなかったのだろう。現代では、飼い主が安定して餌を与えるので、強くなくても生きていけるようになった。さらに、敵と戦う必要がなくなった」と話すのです。

さらに「今の時代、人懐っこくて、おとなしいワンちゃんが喜ばれる。獰猛(どうもう)にほえる犬は集合住宅で飼うには難しい。そういった『かわいい系』の犬が掛け合わされた結果、こういうワンちゃんが増えてきた。飼い主が高齢化して同居する若い家族がいないので、散歩に連れ出すのも厳しくなり、おとなし目の性格の子が好まれる」と。

こういった話を聞くと、独居高齢化時代のペットに望まれる形が見えてきます。22年前、私が訪問診療を始めたころ、ペットの世界は犬が優勢でした。ところが現在は、猫が圧倒的に多くなりました。統計を見ると、2016年ごろ、犬と猫の数は逆転しています。その後、犬は減り続け、猫は右肩上がりです。

高齢化時代の散歩や餌を考えると、猫の方が経済的です。それに散歩の必要がなく、飼うスペースも狭くて大丈夫。高齢者の体力にも優しいということが、この逆転劇の原因ではないでしょうか? 2016年に犬が猫に負けたのです。保健所などの尽力で野良犬、野良猫は見かけなくなりましたが、隠れ猫、迷い猫は、まだいそうな気がします。

仏壇の中のワンちゃん

犬派であったある患者さんの話。残念ながら飼い犬に先に逝かれ、ペットロスで傷心の日々、迷い猫がやって来て、ペットロスから離脱しました。猫とのスキンシップでも、あのオキシトシンは分泌されるそうです。時代が流れ、ペットの傾向も変わっていくのでしょう。

診察に行く夫婦のお宅の話。診察中、仕事に出かける前の娘が部屋にやって来て、私にあいさつした後、仏壇に線香を上げ、手を合わせてから出勤して行きました。「今時、仏壇にお祈りをするなんて感心ですね。お2人も御先祖様も安心ですね」と話すと、母親が「違います。亡くなったチャッピーちゃんに手を合わせたんです」

仏壇の中にワンちゃんの写真が飾られていました。今、ペットとの関係は家族以上なのです。(訪問診療医師)

選挙運動費用の上限額を誤って告示 4年前のつくば市長選・市議選

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つくば市役所

つくば市選挙管理委員会は18日、4年前の市長選・市議選で、各候補者の選挙運動費用の上限額(支出制限額)を誤って告示し、法で定められた金額を下回る額を、各候補者に通知していたと発表した。

市選管事務局によると、市長選については支出制限額を1829万2800円とすべきところを、誤って1550万円と告示していた。市議選については、555万6100円とすべきところを誤って440万円と告示していた。

一方、実際に選挙運動費用に使われたとして市選管に報告された費用は、3人が立候補した市長選は、最も少なかった候補者が105万200円、最も多かった候補者は288万6295円だった。41人が立候補した市議選は50万2832円から238万9465円で、いずれも選挙への影響は無かった。

昨年11月初旬、職員が誤りに気付き選管委員長と事務局長などに報告、当時は選挙への影響がなかったことから誤りを発表しなかった。その後今年9月2日、同じ職員から改めて話があり、内容を精査した結果、発表すべきものと認識を改め、18日、発表に至ったという。

選挙運動費用の支出制限額は、お金がかからない選挙をして、立候補の機会を均等化するために設けられた。選挙運動での自動車の使用、ビラの作成、ポスターの作成費用が公費で負担されることから、選挙公営制度ともいわれる。金額は、有権者数(選挙人登録者数)によって計算式に基づいて算出され、告示日に各候補者に通知される。

同選管事務局は金額を誤ってしまった原因について、計算方法及び選挙人登録者数のいずれにも誤りがあったにもかかわらず、事務局並びに選挙管理委員の確認が不足していたためとしている。

今後の対応として、4年前の市長選・市議選に立候補した人全員に謝罪するとし、再発防止策については、選挙管理委員及び事務局職員が計算方法を再確認し、それぞれ責任をもって計算を徹底するとしている。

同選管の南文男委員長は「民主主義の根幹である選挙執行において、このような不適正な事務処理と、報告が遅れたことにより、市民、有権者、立候補者の信頼を損ねることとなり深くお詫びし、今後このようなことが無いよう、深く反省し、さらに緊張感をもって取り組みます」などとするコメントを発表した。

川エビ捕り、漁協が料理教室【桜川と共に】12

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参加者につくだ煮を教える桜川漁業協同組合の鈴木組合長(左から2番目)

季節ごとシリーズ化目指す

つくば市内を流れる桜川で捕れた川エビを使った料理体験会が17日、つくば市栗原の栗原交流センター調理室で開かれた。桜川漁業協同組合(鈴木清次組合長)が主催した。桜川への関心を広げたいと、在来魚を用いた「親子料理教室」に向けたもので、来年度以降は川エビをはじめ、フナやコイ、ハゼ類のゴロなど、季節ごとに桜川で捕れる魚介類を材料にしてシリーズ化を目指す。この日は同漁協の鈴木清次組合長(82)が講師を務めた。

地域住民にとってかつて貴重なタンパク源だったが、漁獲量が減り今では作る家庭も少なくなった。出来上がった川エビのつくだ煮を口にすると参加者からは、「美味しい、絶品」「楽しくて普段の仕事を忘れられる」などの歓声が上がった。参加者は地元の女性5人。鈴木組合長が会長を務めるつくば市水質浄化対策推進協議会のメンバーで、日ごろ河川敷でごみ拾いや花壇の整備などに取り組んでいる。

この日のために用意したのは、鈴木組合長が桜川で採った1.5キロほどの大ぶりの川エビ。これから11月にかけて旬を迎えるという。鈴木組合長は、活動の幅を広げようと60歳で調理師免許を取得し、漁協などの活動の中で、川エビやコイなど、桜川の魚介類で作った手料理を参加者に振る舞っている。

この日作った川エビのつくだ煮も鈴木組合長の自信作。エビの量に見合った鍋を選び、砂糖、塩、みりん、醤油を適量混ぜ合わせ、沸騰したところにエビを入れていく。弱火で2時間煮込むと完成だ。ポイントはたっぷりの砂糖と、少量の塩。塩味が砂糖の甘さを引き立てる。

出来上がった川エビのつくだ煮

桜川への関心広げたい

今回の活動は、桜川が流れる地域住民に、川への関心を持ってもらうことだと鈴木組合長は話す。背景にあるのが、水質悪化や川辺の荒地化、増加する外来種と減少する在来種などだ。かつて桜川はきれいな水と豊かな漁業資源に恵まれていた。霞ケ浦を代表する在来魚のワカサギは、桜川など流入河川を産卵場にするが、桜川に遡上するワカサギも激減し、漁獲量はピーク時の1パーセント未満にまで減っている。

さらに漁協が抱える課題が組合員の高齢化だ。現在71人いる組合員の平均年齢は80歳を超えている。同漁協では、稚魚や卵の放流、川辺の整備・清掃等を通じた河川管理をしてきた。今後は多様な市民とのつながりの中で、地域住民の関心を得るとともに、次世代を担う若い世代の参加が必要だと考える。

桜川漁協では、子どもたちに伝統漁法の投網を教えたり、地域イベントにブースを出展したりするなど地域に向けた啓発活動を行ってきた。最近では、桜川で増えるアメリカナマズのほか、ブラックバス、ブルーギルなど特定外来魚の駆除をイベント化した「特定外来魚釣り大会」を開催すると、市内の中華料理店が霞ケ浦のアメリカナマズを料理した新メニューを開発するなど、桜川を通じて市民との新しいつながりが生まれつつある。今年5月からは、市民団体やNEWSつくばと漁協が協力し、伝統漁法など漁協の活動を参加者が学びながら、川の環境保全への関心を高めるための「桜川川守養成プログラム」が始まった。

鈴木組合長は「料理教室も、桜川への啓発につながれば」と期待を込める。(柴田大輔)

➡「桜川と共に」の過去記事はこちら

筑波山とエキスポセンターのロケット《ご近所スケッチ》12

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】この絵は10年くらい前に描きました。今では見ることのできない風景です。

理由は3つ。この風景を見た場所は吾妻の公務員宿舎。かつては誰でも敷地内に簡単に入れました。階段の踊り場から描いた風景です。私は高所恐怖症にもかかわらず、高い場所から地域を眺めるのが大好き。いま人は住まず、敷地に入ることもできません。

2つ目は、樹木が大きくなり、筑波山などが臨めなくなったということ。3つ目は、手前に見える小学校と駐車場だった場所にはビルが建ちました。数年前、その横の立体駐車場の屋上から同じ方向を見たのですが、木が大きくなり、期待した風景は見えませんでした。

「X」でつながる新々住民

私は42年前、今はつくば市になった旧谷田部町に移ってきました。1985年に科学万博があり、引っ越してきたころ閑散としていた所は大きく変わりました。街はどうやって変貌するか興味があり、建設中の西武百貨店(今のトナリエ)をスケッチしたりしました。

都内で建築パース(未完成建物などの完成予想図)の仕事をしていたとき、磯崎新さんが設計した「つくばセンタービル」の下描きをしたこともあります。そのときは、まさかつくば市に引っ越して来るとは思いもしませんでした。

最近、つくば周辺のことをもっと知りたくて「X」を始めました。そうしたら、東京から移って来た方々に出会い、ビックリ。コロナ禍の数年間、若い方、働き盛りの方、リモートでお仕事の方、たくさん移って来たようです。こういった新々住民の方々が街に活力を与えていくように思います。

いろいろな意味で、私も背中を押され、頑張りたいと思います。(イラストレーター)

<ご案内>
9月23日(月)~29日(日)、つくば市桜が丘15-4のギャラリー「アート・スペース・コリーヌ」で「つくば水彩画会」4人展を開催します。絵やレプリカ、ハガキ、カレンダーの販売もします。

つくば水彩会のはがき

「ゴジラ-1.0」で戦跡巡り 霞ケ浦でロケ地ツアー開催

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ゴジラをラッピングした水陸両用バスで霞ケ浦を遊覧する

映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」の主要ロケ地だった美浦村にある旧海軍の鹿島海軍航空隊跡と霞ケ浦を巡るツアー「ゴジラ-1.0霞ケ浦水上大作戦」(県観光物産協会主催)が14日から始まった。国内外の「ゴジラファン」を呼び込みながら、希少な戦争遺跡の継承につなげたいと関係者は言う。

水陸両用バスをラッピング

「入水します!」「オー!」ツアーガイドの呼び掛けに参加者たちが手を挙げて応じると、大型の水陸両用バスが水しぶきを上げて霞ケ浦に突入する−。ツアーでは、霞ケ浦に現れたゴジラを倒すため、ゴジラを太平洋へとおびき寄せるというストーリーに沿って、参加者たちが映画にも登場する戦争遺跡群と、霞ケ浦を水陸両用車に乗り巡っていく。

ツアーガイドを務める、美浦村出身で「大山湖畔公園」施設長の青木和城さん

映画「ゴジラ-1.0」は2023年に公開されると、日本の作品として初めてアカデミー賞で視覚効果賞を受賞した。終戦間際から戦後が舞台の作品で、美浦村の鹿島海軍航空隊跡をはじめ、筑波海軍航空隊記念館(笠間市)、ヒロサワ運動公園本球場前(筑西市)など県内3カ所が主要ロケ地に選ばれた。茨城県は、都内からのアクセスの良さや広い敷地があるなどの理由から、映画やドラマ、CMなど多数の撮影が各地で行われている。県は2002年に「いばらきフィルムコミッション」を設置し、ロケ支援に力を入れ、誘致を進めてきた。

今回のツアーの舞台となる鹿島海軍航空隊跡地は美浦村の霞ケ浦湖畔に位置する。敷地内には、同航空隊の旧本部庁舎やボイラー室、自力発電所など、20施設以上の旧海軍史跡が残されている。同航空隊は1938年に水上機の練習航空隊として発足し、終戦後は東京医科歯科大学霞ケ浦分院の結核療養施設などに使われた。1997年に同院が閉院すると、長らく放置され、「心霊スポット」となるなど荒廃していた。2016年、美浦村が国から払い下げを受けて、一帯の史跡群を「大山湖畔公園」として整備し、一般公開されたのが昨年7月から。今回のツアー企画の共催団体「茨城プロジェクト」(金沢大介代表)が、指定管理者として公園を管理運営している。

ゴジラがラッピングされた水陸両用バス

「震電」コックピットを体感

ツアーでは、JR土浦駅から「特殊海防艇526号」と名付けられた水陸両用バスで陸路、同航空隊跡地を目指す。交通に不便を抱える美浦村への移動そのものを一つのコンテンツにしたもので、窓のない無骨な車両から霞ケ浦や広い田園風景を望むことができる。

現地に着くと、かつて荷揚港として利用された場所から霞ケ浦に入水し、霞ケ浦を約20分遊覧する。当時の姿を残す軽油庫内では暗闇の屋内に、「ゴジラ-1.0」制作関係者が監修した約6分間のオリジナル映像作品が投影され、映画にも登場する戦闘機「震電」をコックピットで操舵する気分を体感できる。その他、ロケ風景の写真、歴代ゴジラのポスター、実際の撮影に使われた「震電」のコックピット模型が展示されている。

映画で使用された戦闘機「震電」のコックピット模型が展示される

インバウンド集客を期待

主催団体、県観光物産協会の鈴木友子DMO推進課長(53)は「インバウンドの集客を期待している。茨城は映画などロケが盛んで、それ自体が地域資源となっている。世界中で認知される『ゴジラ』をきっかけに、ロケ地と地域を関連づけた企画を通じて、地域の魅力を伝えたい」と話す。

「茨城プロジェクト」の金沢代表(53)は「全国に多数ある戦争遺構には壊されているものも多い。未来に残すためには、まず知ってもらうことが重要。映画をきっかけに、史跡への人の流れができ、人同士が結びつく場所になれば、存在する理由ができる。ここに対して多くの方に関心を持っていただき、考えてもらうきっかけになれば」と話すと、「(鹿島海軍航空隊跡の)軍事目的の使用は終わったが、これからどんな施設になるか、僕らが向き合うべきことだと思っている」と語った。(柴田大輔)

内部が公開される鹿島海軍航空隊跡の旧本庁舎

◆「ゴジラ-1.0霞ケ浦水上大作戦」は、12月22日までの土日祝日(一部金曜日)、午前と午後、1日2回実施する。土浦駅発着のバスツアーは、水陸両用バスでの霞ケ浦遊覧と映像による震電搭乗体験に、日本語と英語ガイド、8カ国語のパンフレットにオリジナルレインコートが付いて2万円(税込)。現地集合でのツアーは、水陸両用バスでの霞ケ浦遊覧と映像による震電搭乗体験のみで5000円(税込)。問い合わせは県観光物産協会(電話029-226-3800)へ。

里山の暮らしを学ぶ(3)《デザインを考える》12

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写真は筆者

【コラム・三橋俊雄】今回は「ブリコラージュ(bricolage)」のお話をします。文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースの著書『野生の思考』に登場する「ありあわせの道具や材料を使い自らの手でモノをつくる」というフランス語で、日本では「器用仕事」「日曜大工」などと訳されています。

コラム11(8月21日掲載)で紹介した桶(おけ)職人のTさんは、まさに「ブリコラージュの名人」でした。彼は、生活に必要な道具をつくるとき、まず、その道具の機能的・形態的・構造的イメージと重ね合わせながら、それに使えそうな材料を身の周りの自然から探します。

そこには、自然物あるいは自然物の一部を、つくりたい道具のイメージと重ね合わせる「見立て」の技を通して、そのモノがもつ形状や構造を最大限に生かし、目的にかなう道具をつくり上げていく「ブリコラージュ」の手法を見ることができます。

上の左の写真は、農具置き場としてTさんが田んぼの脇に建てた納屋の写真です。この納屋の庇(ひさし)を支える方杖(ほうづえ)と呼ばれる部位は、雪の重さで曲がった杉の「根曲がり材」を利用したものです。この方杖からは、自然の造形を生かし構造的にも合理的で美しい、ものづくりの知恵を見ることができます。

右の写真は、農作業用の鎌などを研ぐために用いられる砥石(といし)の台です。後方は現在使われているもので、2本の角材を脚として釘(くぎ)で台座に打ちつけたものです。一方、手前は、Tさんが長らく愛用していた砥石の台です。これは、自然木の三つ股の部分を砥石台のイメージそのままに切り取り、わずかな加工を施しただけのものです。

こうした砥石の台座と脚部を一体としてとらえ、それに見合った自然物を探し利用するものづくりの手法は、ブリコラージュの好例と言えるでしょう。

曲がり具合がちょうどよい

そのほかにも、Tさんのお宅には、Y字型の「イツキ」の枝を利用した物掛け棒や、奥さんのHさんが杉の下刈りに行ったときに「カッコガエエナー」と思って切り出してきた太さと曲がり具合がぴったりのご主人愛用の杖(つえ)、筵機(むしろばた)の足に使うため納屋の脇に逆V字型にしばらく立てかけてある太めの二股の原木など、枚挙にいとまがありません。

また、コラム10(7月16日掲載)に登場した「背負子(しょいこ)」の両端の「オヤギ」も、Tさんが「曲がり具合がちょうどよい」と山から切り出してきて保存し、必要なときに利用するブリコラージュの技に違いありません。

ひるがえって現代のものづくりは、自然が創り出してきた造形を無視して、加工の手間やエネルギーを浪費しながら、大量生産型、技術優先型のものづくりに邁進(まいしん)しているように思えます。上述のような、里山の暮らしの中から生み出されてきた「ブリコラージュ・デザイン」は、まさに、人と自然が共生していくための一つの「在り方」といえるのではないでしょうか。(ソーシャルデザイナー)

土浦で初 筑波大芸術系卒業制作展 市民作家減少、新たな萌芽に 

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株田昌彦さんの油彩画「排気4000 Ⅰ,Ⅱ」の前で足を止める来場者たち=土浦市大和町、アルカス土浦1階市民ギャラリー

筑波大学芸術系の卒業制作作品のうち、特に優れた作品を展示する「筑波大学アート・コレクション展 TURNING POINT(ターニング・ポイント)」が土浦駅前の同市大和町、アルカス土浦1階市民ギャラリーで開かれ、絵画や造形など卒業生の力作16点が展示されている。同大アート・コレクション展の土浦市での開催は初めて。

決意表明の作品

日本画や彫塑(ちょうそ)、書、版画、総合造形など、14の領域を有する筑波大学ならではの多様なジャンルの作品が展示されている。第11回MOE創作絵本グランプリを受賞した絵本作家、塩満幸香さんの油彩画「Sit down, please.」や、多摩美術大学講師の陳芃宇さんの日本画「The End・Be Start」、宇都宮大学准教授の株田昌彦さんの油彩画「排気4000 Ⅰ,Ⅱ」など横幅2~4.5メートルの大作や、映像作家浅井佑子さんの映像作品「make-up」なども見ることができる。

塩満幸香さんの大きさ約2.3×3.6m油彩画「Sit down, please.」

いずれも同大で「芸術賞」と「茗渓賞」として1999年から2018年までに表彰された受賞作だ。「芸術賞」は1997年度、「茗渓会賞」は2006年度に始まった表彰制度で、これまで120点余りの作品が受賞している。受賞作品は毎年大学が買い上げ、「筑波大学アート・コレクション」として収蔵されている。卒業制作は、芸術を志す若者が、自身の今後の方向性を宣言する決意表明の作品でもある。

土浦市の友人と一緒につくば市から訪れた須藤スミ子さんは「これまでヨーロッパやアメリカなど16カ国の美術館を訪れているが、遜色なく、プロ並みの力作ぞろいで迫力があり、驚いた。若い人たちにがんばってほしい」と話し、展示された工芸作品などに見入っていた。

会場の様子=同

市民美術展、県内一の歴史

土浦市は、市民公募型の美術展「土浦市美術展覧会」が1947年に始まり、県内一の歴史ある美術展として知られるなど、県南の芸術文化の中心地となってきた。しかし少子高齢化が進む近年は、創作活動をする市民作家が減少しているという。若い感性で創り出された作品に触れることで土浦市の芸術文化振興の新たな萌芽のきっかけにしたいと同市が展示を企画した。

企画した同市文化振興課の若田部哲さんによると、ターニング・ポイントというタイトルには、展示された作品が学生の卒業後の方向性を決め、大きな転機となったという意味と、同展が土浦の芸術文化への意識を変える転換点になればという思いが込められているという。「芸術系を目指す若い人たちにぜひ見に来てほしい。土浦の高校生にも見てもらえたら」と来場を呼び掛ける。(田中めぐみ)

◆会期は10月20日(日)まで。開館時間は午前10時~午後6時。月曜日は休館(祝日を除く)。入場無料。土浦市民ギャラリーは、土浦市大和町1-1、土浦市立図書館1階。問い合わせは電話029-846-2950(同ギャラリー)。

つくば市長における退職金問題の研究《吾妻カガミ》191

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】コラム189(8月19日掲載)で「今度は退職金もらうの? つくば市長」と問うたら、要旨「もらうけど、金額は市民に決めてもらう」との答えが五十嵐市長から返ってきた。その仕組みは記事「ネット投票し市民評価で金額決定へ…」(8月26日掲載)に詳しい。

金額を操作できる仕組み

ざっと説明すると、ネット投票(採点)で2期目の仕事振りについて市民に点数を付けてもらい、その平均が100点ならば規定額の2040万円を受け取り、市民の評価が50点ならば1020万円で我慢するというスキームだ。評点ゼロの場合は、受け取りを辞退した1期目の退職金と同じ22円(法律上の最少額)になる。

一見すると、仕事振りと退職金額を連動させるスマートな仕組みになっている。しかし、市民だれもが投票できるわけではなく、採点に参加できるのはマイナンバーカード取得を済ませた15歳以上の市民に限られ、しかも市が用意したスマホ上の参入アプリを使いこなせる人だけが対象になる。

つまり、マイナンバー嫌いとネット弱者は市長採点に参加できないから、この仕組みの公平性には疑問符が付く。市長ファンのマイナンバー好きとネット強者を動員して高い得点を演出することが可能だからだ。もちろん、逆動員をかけて低い平均点に誘導することもできる。

採点者無作為抽出を回避

市民採点を導入するのであれば、無作為に抽出した市民3000人ぐらいから何点付けるか聞き、その平均点を出して決めるべきだろう。新聞やテレビが世論調査に使う方法だ。これであれば、回答者がマイナンバー好きとネット強者に偏らず、いま市長が導入しようとしているスキームよりも公平性を担保できる。

たとえ五十嵐氏が考案した仕組みを使うにしても、市ホームページ(HP)上の市政広報(PR)だけを信じてはいけない。市長は「市長公約事業ロードマップ2020~2024」を採点の参考にしてほしいと言っているが、市政を厳しく監視している本サイトの記事も参考にしてもらいたい。

ハムレット並に悩んだ?

コラム189では「(1期目の退職金を辞退したのは)おカネにこだわらない市長像を市民の間に広げたかったようだ。政治の世界ではこの種の受け狙いの政治手法をポピュリズム(大衆迎合主義)と呼ぶ」と、五十嵐氏の振る舞いを批判。「退職金はハードな仕事をこなす市長の報酬の一部だから…、堂々と受け取るべきと考える」と述べた。

市長の後援者からも「受け取るべきだ」と言われていたようで、2期目の退職金は受け取った方がいいか、1期目との整合性を保って2期目も受け取らない方がいいか、五十嵐氏は悩んだようだ。ハムレット並の煩悶(はんもん)の末、「もらうけど、金額は市民に決めてもらう」という仕組みをひねり出した。

退職金辞退=ポピュリズム=批判をかわし、秋の市長選挙に(資金面で?)備えたわけだが、ネット採点という市民受けを狙ったカラクリといえる。まだポピュリズム思考から脱していないようだ。(経済ジャーナリスト)

<参考> 最近復刊され「つくば市民の声新聞」第7号も採点の参考になります。発行者の許可をもらいリンクを張りました。青字部をクリックすると読めます。

やさしい日本語で外国人にも分かりやすく 防災イベント 28日つくばで

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(左から)主催団体の鬼木さん、水谷さん、山口さん、つくば市国際交流協会の中村さん、西田さん

9月商品化の「防災かるた」も登場

やさしい日本語を使ったゲームを通じて外国人に防災意識を高めてもらおうと、つくば市の市民団体「にほんごでおしゃべりプロジェクトチーム」(山口寛子代表)が28日、同市吾妻、つくばセンタービル内の市民活動拠点コリドイオと同センター広場で「やさしいにほんごで にげろ!たすけろ!防災脱出ゲーム」を開く。参加者は、施設各所に置かれた防災がテーマの課題を解きながら、施設からの脱出を目指す。今年で4回目で、昨年は筑波大で開かれ約80人が参加した。

イベントでは、市内在住の防災士で主催団体にも関わる水谷寛子さん(64)が、イラストや文面を自作し、9月に商品化された防災かるた「やさしいにほんごで ぼうさいかるた」(白泉社製作)も使われる。水谷さんは第1回から企画に参加する中で、防災についてどうしたら外国人により分かりやすく伝えられるか考えたのが、かるた製作につながった。「災害の多い日本で安心して暮らすためには、自分の防災力を上げることが大切。かるたはルールが簡単。大人も子どもも楽しみながらできる」と話す。

水谷さんが考案し9月に販売された「防災かるた」

やさしい日本語で月2回おしゃべり会

主催する同チームは、外国人を対象とするおしゃべり会を2021年から月2回開催し、8月で91回を数えた。ベトナムやスリランカなどつくば在住の外国人や日本人らが参加し、外国人が日々の暮らしで感じる疑問を語り合う。代表の山口さん(40)は「『やさしい日本語』というのがあることを、外国の方だけでなく日本人にも知ってもらえたら、英語ができなくても、いざという時に、必要なことを外国の方に伝えるのに役立つ」と話す。

今年1月の能登半島地震では、避難所に身を寄せた外国人が、言葉がわからないことから「勝手に手をつけたら怒られるのでは」と思い込み、支援物資の食糧や毛布を手にできなかったことが報道された。防災かるたを制作した水谷さんは「決してそこにいた人が冷たかったり、意地悪だったりしたわけでない。混乱の中でも外国人に分かりやすい言葉で伝えられたなら状況が違っていたはず」と言う。

同チームで活動する日本語教師の鬼木尚子さん(56)は「一つの文を短くすることで伝わりやすくなる。『備蓄』といっても難しいので『ようい(用意)』にするなど、難しい日本語や漢語を使わないのが大切」だと言い、発音が日本語読みになってしまった「カタカナ語」も通じにくいと話す。

身を守る方法 楽しみながら知って

山口さんは「過去のイベントには子どもから大人まで、家族連れや1人での参加もあったし、日本人も参加している。防災のことは、災害がないと忘れるし、見直しを怠ってしまいがち。ジャッキを使った救出や模擬消火器体験、本物の消防士とのやりとりなど、普段はなかなかできない体験ができるので、是非、多くの方に参加していただければ」と言い、共催する市国際交流協会の中村貴之さん(52)は、「災害時に必要な情報をどのように外国の方に伝えられるか考えてきた。身を守る方法を楽しみながら知ってもらえたら」と参加を呼び掛ける。

イベントでは、屋外のつくばセンター広場で、つくば中央消防署の協力を得て水を使った模擬消火器を使ったり、施設内では車の車体を持ち上げるジャッキを使って障害物の下敷きになった人形を助け出したりする。その他に、会場にいる消防士に電話を架け、火事、病気、けがの3パターンの状況を日本語で的確に伝えたり、防災バッグの中身を当てたりする。調理室では非常食のアルファ米を実際に調理して試食体験もできる。

各所には、消防士の意見をもとに作った、緊急時の電話の会話例文や、けがや病気の症状を伝える際に必要になる体の部位名などを、外国人にも分かるように配慮した「やさしい日本語」で記した冊子が用意され、参加者は持ち帰ることができる。(柴田大輔)

◆「やさしいにほんごで にげろ!たすけろ!防災脱出ゲーム」は、9月28日(土)午後1時から4時まで、つくばセンタービル内コリドイオとつくばセンター広場で開催される。参加費は無料。事前申込制。申し込みは専用サイトへ。問い合わせはメール(oshaberinihongo@gmail.com)へ。

「青い眼の人形」と「赤い靴」の謎《映画探偵団》80

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】2025年は、茨城県出身の詩人・野口雨情没後80年に当たる。また「筑波節」「筑波小唄」誕生95周年でもある。今、記念イベントを準備している。これまでは雨情の茨城県民謡14曲に絞り活動してきたが、今回は初めて童謡も取り上げることにした。

代表作「七つの子」「青い眼の人形」「赤い靴」は、なんと同じ1921(大正10年)、雨情40歳のときに作られた。しかも「青い眼」と「赤い靴」は同じ12月に発表されている。2つは独立した童謡だが、「青」と「赤」が同時期に作られているため、何か関連があるのではと想像してしまう。

それは、元は1つの詞を2つに分けた「筑波節」と「筑波小唄」の仕事があるからだ(映画探偵団22)。雨情の詞は極度にシンプルなため、謎めいていて想像力を刺激する。

青い眼の人形

青い眼をした
お人形は
アメリカ生まれの
セルロイド

日本の港に
ついたとき
一杯涙を
うかべてた

「わたしは言葉が
わからない
迷子になったら
なんとせう」

やさしい日本の
嬢ちゃんよ
仲よく遊んで
やっとくれ

米国生まれのセルロイド人形を持った人が日本へやってくる。言葉が分からない人形に、優しい日本の嬢ちゃんよ、仲良く遊んでやっとくれと言う。この大人は女性だろうか。

赤い靴

赤い靴 はいてた
女の子
異人さんに つれられて
行っちゃつた

横浜の 埠頭(はとば)から
船に乘って
異人さんに つれられて
行っちゃつた

今では 青い目に
なっちゃつて
異人さんのお国に
いるんだらう

赤い靴 見るたび
考へる
異人さんに逢ふたび
考える

赤い靴をはいた少女が異人さんに連れられ、外国に行ってしまう歌である。日本に来る「青い眼の」歌と、異国に行く「赤い靴」の歌。つながりはないのだろうか。

「サムライ」と「ある殺し屋」

1967年に作られた2つの映画がある。アラン・ドロン主演のフランス映画「サムライ」と市川雷蔵主演の日本映画「ある殺し屋」だ。2本とも殺し屋が主人公で、暗黒街のヤクザからの依頼で仕事を引き受ける。

「サムライ」はベッドと鳥かごがあるだけのガラ~ンとした室内に住み、殺しに出かける。車を盗み、仲間の所でナンバーを変え、銃を調達する。恋人のマンションとカ一ドゲーム場に寄り、アリバイをつくる。ほとんどセリフはなく淡々と行動を追っていく。

「ある殺し屋」の主人公は小料理屋を経営し、料理も作る独り身である。こちらは、針を使って相手の首を背後からブスッと刺す。後の池波正太郎作の必殺仕掛人シリーズは、この作品が基になっていると思われる。

2作品とも、なぜ殺し屋をやっているのかの説明はない。ただ「ある殺し屋」では、旅客機が飛ぶ真下で殺しを依頼される場面で、笑顔の主人公と戦闘機乗りの仲間との写真と、暗黒街のボスの写真が映る。戦争で散った純粋な若者と現代の腐敗した大人の対比に、何か主人公の怒りに満ちた思いが感じられる。

「サムライ」も、ナチスドイツとのレジスタンス体験を持つジャン・ピエール・メルビル監督なので、なんとなく戦争の匂いがする(映画探偵団44)。

私は、フランスと日本の殺し屋を描いた映画になぜか同じ空気を感じてしまう。

日本と米国の戦争を暗示?

雨情の2作品をこんなふうに読めないだろうか。昔、赤い靴をはいていた少女が、異人さんにもらわれていき、外国人と結婚して青い眼の娘を生む。赤い靴をはいていた女の子は外国人と離婚して、娘を連れて日本に帰国する。娘は日本語が話せない。故郷に戻り受け入れてもらえるか、不安と再び故郷で暮らせる期待感。

「青い眼の人形」と「赤い靴」。少女から母親となった1人女性を描いた話。さらにその後の日本と米国の戦争を暗示していたのかもしれない。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

争点は裏金解明とジェンダーフリーだ《ひょうたんの眼》72

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写真は筆者

【コラム・高橋恵一】自民党に対する厳しい支持率低下を受け、岸田首相は党総裁への再選を放棄し、次の首相でもある自民党総裁選が行われている。支持率低下の要因は、統一教会問題と政治資金の裏金問題の解明と関係者の処分がないことだろう。統一教会問題にしても、裏金問題にしても、安倍元首相の主導のもとに、不当な選挙活動が行われたであろうことは疑いの余地がなく、安倍一強と言われた現有議席の正当性さえも疑われることになる。

しかし、自民党は、支持率低下の要因解明に頬かむりして、新たな権力争いに国民の目をそらそうとしている。各総裁候補は、問題の解決ではなく、党首交代を逆手にとって自分の権力獲得に乗り出し、新首相就任直後の解散を予告して、政権選択選挙に持ち込んでしまった。

自民党の党首候補は勢いがよい。経済を活性化し、再度、世界トップレベルの経済力を取り戻す。防衛力を強化し、アメリカに頼るのではなく、日本が中心になって、世界の紛争を止め、世界秩序を構築する。政治資金の問題は、様々な議論をして、国民に理解してもらう(時間をかけて、うやむやにして、忘れてもらう)?

現実には、小泉政権以来の長期経済停滞の失われた30年。さらにダメ押しになったアベノミクスの輸出産業優先の円安政策。いずれも低賃金構造が内需不足・不況を引きずっての30年だ。経済政策の失敗で、GDPがドイツに抜かれ世界4位になり、間もなくインドにも抜かれる見通しだ。

世界の常識から遅れている日本

深刻なのは1人当たりのGDPが、世界38位と昨年より4位後退し、先進国の最下位レベルになっているのだ。アベノミクスは、安易な国債発行を続け、国債残高もGDPの2倍以上になっている。自分たちのお粗末な経済運営の失敗を棚上げにして、世界に冠たる経済大国に戻ったり、世界を席巻する防衛大国になるなど、どういう計算で考えられるのだろう。

1人当たりGDPでみると、この30年間に、ヨーロッパに確実に後れを取っているのだが、大局的な言い方をすれば、ヨーロッパでは社会経済政治分野などあらゆる場面で女性の活動が当たり前になり、男女の区分を論ずる意味がない状態になっている。

GDPは、1人当たりGDPの総計だから、働き手の中に、構造的な低賃金層を抱えている国のGDPが負けるのは当然だ。低賃金労働者の多くは、市役所の非正規職員や看護師、介護士など女性就労者だ。ヨーロッパでは、女性のあらゆる場面での活動を抑制することのないように、社会制度、労働環境、生活文化を改革して来た。それがジェンダーフリーだ。

配偶者の130万円の壁だの、選択的夫婦別姓、女性初の首相などの可否を議論していること自体が、日本が世界常識から遅れ切っていることを示しているのだ。

岸田政権は、企業に賃上げを要請しているが、市役所の臨時職員の給与も、看護師や介護士の給与も、政府が決定できるのだ。女性の賃金が安いのが当然という政治家は、これからの日本には不要なのだ。(地歴好きの土浦人)

市職員の請願、継続審査に つくば市議会特別委 生活保護行政の不適正事務問題

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13日開かれたつくば市議会請願審査特別委員会の様子

現役のつくば市職員(39)が、市議会9月会議に提出した「生活保護業務の適正化を求める請願」(9月3日付)について審議する市議会請願審査特別委員会(長塚俊宏委員長)が13日開かれた。生活保護行政をめぐる不適正な事務処理問題について現在、市役所内と市公平委員会で、調査が進められているなどとして、請願を継続審査とすることを決めた。

次の特別委の開催日程は未定。市議会は10月27日に改選が行われ、現市議は11月29日に任期満了となる。継続審査となった請願は、任期満了により審議未了で事実上、廃案となる。長塚委員長は「現段階で(公益通報などの)調査がされており、推移を見ないと、委員会で意見は出てこない。(市執行部や公平委員会が)しっかりした調査を進めていただくことがあるべき姿だと思う。(改選後に)再度、請願として上がってくるということもあると思う」としている。

13日の特別委ではまず、請願を出した市職員が今年2月と3月に計4回、市公平委員会に公益通報し、不適正事務の是正を求めたことについて、請願の中で「市として最終的な自浄作用を期待して公益通報もしたが、受理までに3カ月以上もかかり、その後も一向に不適正事案は是正されていない」などと指摘していることについて市議から質問が出て、公益通報の受け付け窓口である市人事課は「受理までに一定の時間を要し5月30日に受理した。何も動いてないことは一切なく、慎重かつ綿密に調査して一定の時間がかかっている」などと主張した。

市議からは「請願の趣旨は(生活保護行政の)適正化だが、事実認定の方法として双方の主張を聞き取って、意見が分かれる場合は証拠に基づいて判断しなければならない。どう進めていくか(市議同士の)共通理解が得られないと進められない」「つくば市として事実認定をしっかりやらなければ判断できない。委員会はそれから判断していくべき」などの意見が出て、請願の中身の審査には入らなかった。その上で長塚委員長が「(請願で指摘されている不適正事務について)一つ一つ(委員会が)事実認定していくのは難しく、(市や公平委員会の調査の)経緯を見ながらでないと難しい」とする見解を示し、全会一致で継続審査となった。

継続審査となったことについて、請願を出した市職員は取材に対し「(市議会には)県の特別監査の要請や、第三者委員会による検証を採択することなども期待していたが、時期的に継続審査も致し方ないことかなと理解した。(市議会には)何より問題の大きさを受け止めていただけたことに感謝している。請願は異例なことかとは思うが、12月議会までの各調査の進ちょくも踏まえて、再度請願させていただきたいと考えている」とし、「(市の公益通報の対応に関する)市長のX(旧ツイッター)投稿も、兵庫県にようにブラックボックスになってしまいがちな公益通報について、その流れを明確にしていただけて感謝している。(市の公益通報が)調査の前の受理に3カ月以上かかっていたことも含め、より誤解されにくい発表がされていくことを今後も期待しています」としている。(鈴木宏子)

➡市職員の請願はこちら

香取市の落花生専門「オオノ」農園《日本一の湖のほとりにある街の話》27

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】9月から10月ごろにかけての短い期間、スーパーや道の駅などで見かける「生落花生」。今回は、全国の落花生の8割以上を生産する千葉県で、その栽培の現場に行ってきました。向かった先は、落花生専門農園である香取市の「株式会社オオノ農園」。4代目の大野雄一郎さんにお話を伺いました。

同農園は大正時代、あたり一帯が開墾地だったころより農業を始め、3代目の先代が栽培を落花生一本に絞り、2008年に法人登録したそうです。千葉県の独自品種「Qなっつ」に加え、「郷の香」、「千葉半立(ちばはんだち)」などの品種を生産するほか、6次産業として風味豊かな「落花生ペースト」をはじめとする、様々な加工品を生産・販売しています。

有機肥料5種類をブレンドしたオリジナルの肥料により、青々と葉が茂った圃場(ほじょう)を眺めながら、まず年間の栽培スケジュールを教えていただきました。4月から7月初旬に種まき、8月末から10月いっぱいが収穫、そして10月以降は収穫した落花生を加工しつつ畑を耕し、その後1月ごろからは肥料をまいて土づくり、というのが年間の大まかな流れとのこと。

悩ましいのが多雨の季節が重なる収穫期で、雨により収穫が遅れると収穫量が激減してしまうのだそうです。収穫後、畑で「わらボッチ」と呼ばれる状態で積み重ね、実を乾燥。さらにその後、コンテナに入れて乾燥させるそうで、圃場近くのハウス内は、収穫を待つ全面網張りのコンテナが何段も積まれていました。

生産者によっては機械乾燥とするところもあるそうですが、食味の点からいえば自然乾燥の方が良いため、大野さんは自然乾燥にこだわっているそうです。

落花生ペースト、とりたて塩ゆで

圃場を見学した後、「Qなっつ」に次ぐ人気商品であり、農園の代表的6次生産品である「落花生ペースト」を試食させていただきました。自社栽培落花生100%、砂糖不使用の濃厚なペーストは、落花生の風味豊かで濃厚な味わい! パンやアイスなどにあわせるのはもちろんのこと、「ガトーショコラなど濃厚な味の物とあわせるのもおススメです」と大野さん。

そして、生産地ならではの楽しみが、とれたて生落花生の塩ゆで! 取材後、頂いた朝どりの「郷の香」を、たっぷりの塩を入れたお湯でゆであげ、カラを割っていただくと…ソラマメのようなホクホク感と甘み、カラを割る手と口が止まりません! 手はセカセカ、口はムシャムシャと、山と積んであった落花生はみるみる消えてしまいました。

香取市の「道の駅 水の郷さわら」をはじめとして、各所で広く親しまれる同農園の落花生商品。産地ならではの新物とあわせ、ぜひお楽しみください。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

➡これまで紹介した場所はこちら

生活保護受給者27人の個人情報を誤送信 つくば市

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つくば市役所

つくば市は12日、生活保護受給者27人の氏名、居住している集合住宅の部屋番号、家賃額が書かれたリストを、誤って別人のファックス番号に送信してしまったと発表した。

市社会福祉課によると、受給者が複数入居している集合住宅の不動産管理会社宛てに、27人の9月分の個別家賃額をファックスで送信しようとしたところ、一桁番号違いの別人に誤送信したという。

27人の家賃については、市福祉事務所が直接、家主などに支払う「代理納付」という制度を使って不動産管理会社に振り込んでいる。同社が管理する集合住宅で今回、複数の退去者と入居者があったことから、9日、同社から、市が振り込んだ9月分の個別の家賃額内訳について情報提供の依頼があり、同課の担当職員が27人分のリストを作成して同日ファックス送信した。

11日、同社からファックスが届いてないとの連絡があり、同課が送信履歴を確認したところ、ファックス番号を間違えて送信していたことが分かった。

市は同日、誤送信先に電話し謝罪すると共にデータの削除を依頼した。生活保護受給者27人に対しては今後直接会って謝罪するとしている。

同市では代理納付の家賃をまとめて振り込む場合があり、個別の家賃額について問い合わせがあった場合、通常は電話で回答している。今回は人数が多かったことからファックスで送信してしまったことが原因としている。

再発防止策として同課は、職員に個人情報を厳重に取り扱うよう注意喚起すると共に、原則電話で回答しファックスで個人情報を送付しないようにするとしている。やむを得ずメールで送信する場合には、まずメールで依頼を受け、それに返信する形でパスワード設定をした上で送付し、メールの到着を電話で確認した上でパスワードを伝えるなど取り扱いを徹底するとしている。