水曜日, 11月 5, 2025
ホーム ブログ ページ 242

土浦駅ビルに星野リゾート 来年3月、ホテル開業

0
自転車に乗って会場に入り記者会見に臨む(左から)星野リゾートの星野代表、アトレの一ノ瀬社長、大井川和彦知事=東京ステーションホテル

【鈴木宏子】土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」を運営するアトレ(東京都渋谷区、一ノ瀬俊郎社長)は30日、星野リゾート(長野県軽井沢町、星野佳路代表)によるサイクリングを楽しむためのホテル「星野リゾートBEB5(ベブファイブ)土浦」を来年3月19日、同駅ビル3~5階に開業すると発表した。

全90室、1泊6000円から宿泊できるカジュアルなホテルで、自転車に乗ったままチェックインやチェックアウト、入室ができる。アクティブな若者たちをターゲットにした「星野リゾートBEB5」ブランドのホテルは軽井沢に続いて2カ所目になる。土浦駅ビルは第1弾としてサイクリング拠点「りんりんスクエア土浦」(2018年3月オープン)、第2弾はレストランゾーン(19年4月)、第3弾は体験型書店と地元フードショップ(同5月)を次々にオープンさせてきた。ホテルは第4弾となり、ホテル開業により「日本最大級のサイクリングリゾート」が誕生する。

30日、東京駅(東京都千代田区)にある東京ステーションホテルで、アトレの一ノ瀬社長、星野リゾートの星野代表と、大井川和彦知事が記者会見し発表した。大井川知事は同ホテルを県の宿泊施設立地促進事業の第1号に認定した。最大10億円を補助して茨城の魅力を発信する宿泊施設を誘致する事業で、今回は約1億円を補助する。

「35歳以下をえこひいきする」

「BEB5土浦」について星野代表は「35歳以下をえこひいきする」と強調した。その戦略と背景について、日本では外国人観光客が年々増えているのに対し、日本人による国内旅行が減少しているために全体の旅行需要が減少していると危機感を話した。主な要因は日本の若者の旅行参加率が低下していることにあると分析し、「10年、20年後の旅行業を支えるためにはインバウンドと同じくらい日本の若い人の旅行が大切だ」と強調した。

土浦駅ビルにオープンするホテルは、20代から30代前半の世代がもつ旅行概念を、星野リゾートが独自に調査・分析し、導き出したホテルになるという。

35歳以下の世代にとっての旅行とは、飛行機に乗って行くなどでなく、日常の先のちょっとした旅行である、どこに行くかよりもだれと行くかが重要である―などと分析し、BEB5土浦について、従来の旅行の敷居の高さを取り除き「居酒屋以上、旅未満の旅行をつくる」と強調した。

具体的には、飲食物の持ち込みを自由にする、部屋よりもホテル内のパブリックスペースで過ごす若者が多いことからパブリックスペースを24時間利用できるようにする、35歳以下をえこひいきし、お盆や年末年始など季節によって変動するのが一般的な宿泊料金を35歳以下は一定にするなどだ。

星野代表は「年間稼働率80%以上を目標にするが、数字が表れるまでには時間がかかる。正しい取り組みをしていけばどこかで急に伸び始める時が来る。茨城県全体を盛り上げる地道な取り組みをしていきたい。海外にも情報発信していきたい。5年、10年で考えている」と話した。

アトレの一ノ瀬社長はプレイアトレ土浦の戦略と背景を改めて説明した。土浦駅ビルはピーク時の1991年は112億円の年間事業収入があったがバブル景気が崩壊し、6分の1の20億円に落ち込んだとし、「ここでJR東日本グループとして、土浦の魅力をどう引き出すかを徹底的に議論した。その結果生まれたのがプレイアトレ土浦」だとした。その上で「筑波山、霞ケ浦に日本最長のサイクリングコースが整備されているのだから、土浦駅を玄関口にして街の活気を取り戻す。モノが売れない時代に、体験の提供を軸にしたコト発信する」とし、「今スタートラインに立った。土浦が本当の意味でサイクリングのメッカとなるよう息長く取り組みたい」と意欲を話した。

一方、同ホテルを県宿泊施設立地促進事業第1号に認定した大井川知事は「手ぶらで来て楽しめる全国初、駅直結のサイクリング拠点。全国区のブランドと連携した星野リゾートBEB5土浦は本県のフラッグシップになりうる。本県を魅力的なものにするために全国に魅力を発信できるようにしていきたい」などと述べた。

来年3月のホテルオープンに向け工事が続けられている土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」

「星野リゾートBEB5土浦」は延床面積約5000平方メートル。客室90室、カフェやライブラリーがあるパブリックスペース「TAMARIBA(たまり場)」、ショップなどで構成する。自転車好きのほか、ダイエットのためやファッションのための自転車ニーズ、 キッズの自転車デビュー まで 、あらゆる自転車ニーズに「ハマる」ホテルにする。

「TAMARIBA」は24時間オープンで、大迫力のスクリーン、ライブラリー、カフェなどを備える。飲食物を自由に持ち込め、好みのソファーとテーブルでまったり過ごしてもらえるようにする。時間や計画を気にせず、その時の気分でやりたいように過ごしてもらうため、朝寝坊して午前11時のチェックアウト時間を多少過ぎても追加料金は徴収しない。全員が35歳以下のグループの場合、3人1室1万2000円(1人4000円)で年中、均一料金で利用できるようにする-などが特徴になる。

一般の宿泊料金は1泊6000円から(2人1室利用の場合の1人当たり、税別、食事別)。9月30日午後2時から予約を受け付けている。予約はhttps://hoshinoresorts.com/ja/hotels/beb5tsuchiura

➡土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」の過去記事はこちら

【茨城国体】相撲少年男子、初日3勝で決勝トーナメント進出

0
先鋒としてチームに勢いを与えた江連春樹=霞ケ浦文化体育会館(土浦市)

【池田充雄】第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」の相撲競技が29日に開幕、初日は土浦市の霞ケ浦文化体育会館で少年男子の団体予選が行われた。茨城県チームは岡山に4-1、愛媛に4-1、島根に5-0と3戦3勝で決勝トーナメントに駒を進めた。30日は少年男子団体および個人の決勝トーナメントと、成人男子の団体予選が行われる。

 ▽少年男子 団体予選1回戦 茨城4-1岡山

〇江連(押し出し) 〇幡谷(押し出し) 〇亀井(押し出し) 〇花房(寄り倒し) ●丹羽(はたき込み)

▽同2回戦 茨城4-1愛媛

〇江連(寄り切り) 〇幡谷(突き倒し) 〇亀井(押し出し) ●花房(押し出し) 〇丹羽(突き出し)

▽同3回戦 茨城5-0

〇江連(押し出し) 〇幡谷(突き出し) 〇亀井(押し出し) 〇花房(押し出し) 〇丹羽(突き出し)

本番での強さを発揮した二陣の幡谷健人

茨城の初日成績は3勝13得点で7位タイ。47チーム中上位16チームが翌日の決勝トーナメントに進む。山本紳童監督は「まずは最初の目標を達成できた。やるべきことをみんなやれた。多少の誤差はあったが全部想定の範囲内」とほっとした様子。決勝トーナメント1回戦の相手は青森県。その後も強いチームが控えており、厳しい戦いが予想される。「どこが来ても自分たちの相撲を取り、勝ちに全力を尽くすだけ。他チームと比べて体の小さい子が多いが、当たって押すことを基本に、絶対に引かない攻める相撲を取らせたい」

今回のチームは東洋大牛久高の4人に水戸農高の江連が加わった形。「江連はすごく力があり、チームに安定感と厚みを増す。いちばん勢いがある相撲を取っており、先鋒としてチームを勢い付かせてほしい」と山本監督の期待も高い。週末には合宿を行ってチームとしての熟成度を高め、9月に入って霞ケ浦文化体育会館に土俵が完成すると、地の利も生かして十分な稽古を積むことができた。本番の大声援には「プレッシャーにもなるが力にもなる。楽しもう、どんどん目立ってやろう」と、力に変えて勝利につなげる考えだ。

団体予選の取組で全勝した選手には、個人決勝トーナメントの出場権が与えられる。該当者は61人で、茨城からは江連、幡谷、亀井の3選手が出場する。

組手のうまさが光った中堅の亀井颯人

➡茨城国体の過去記事はこちら

調査から保全、そして教育へ 宍塚の自然と歴史の会が30周年記念行事

0
映画会であいさつする宍塚の自然と歴史の会・及川代表=県霞ケ浦環境科学センター

【相澤冬樹】認定NPO法人宍塚の自然と歴史の会(及川ひろみ代表)の発足30年を記念する映画会が29日、県霞ケ浦環境科学センター(土浦市沖宿町)で開かれた。会員はじめ、同会の活動を特徴付ける親子連れら約200人が集まり、同会の活動とも共振する循環型農業の取り組みを描いた映画『武蔵野』(2018年、原村政樹監督作品)を鑑賞した。

生物多様性日本アワードで優秀賞

同会は1989年9月4日に発足したNPO法人で、つくば市に近い土浦市の宍塚大池を中心とした100ヘクタールほどの里山エリアで様々な活動を行っている。及川代表は会の設立から関わっており、NEWSつくばに執筆のコラム「宍塚の里山」は27日付けで46回を数えている。

同コラムで告知したのが今回の映画会で、会では「30周年記念式典などやらない」と決めているそう。映画会以外の記念行事は予定していなかったが、開催直前になって1つの朗報がもたらされた。イオン環境財団による第6回生物多様性日本アワード(国内賞)で、同会は優秀賞4団体の1つに選ばれた。及川さんは26日、国際連合大学で開催の授賞式に出席したことを報告した。

及川さんは、同会の取り組みが地域の農家1軒1軒を訪ね、里山の暮らしを聞き書きする調査活動から始まったと回顧する。今日1900種を超える動植物が確認される大池周辺の多様な生態系に触れるためには、まず地元の人たちとの交流がベースになければならなかったという。調査には専門家が加わり、より深く正確に知ることで、保全に生かす活動になった。

保全はさらに教育のステージに進み、今や会員は400人を超える。この1年で約40人が入会しており、20代、30代の若い人たちが数多く加わった。田んぼの学校はじめ各種の観察会など、親子で参加できるイベントが年に80回以上組まれ、同会の活動を特徴付けている。

「武蔵野」上映後には鈴木プロデューサーと意見交換=同

宍塚大池周辺は環境省の「重要な里地里山」コアサイトに選定され、長期間(100年)のモニタリング調査を実施中。この宍塚の里山を100年先にまでつなげていこうというのが、同会のスローガンになっている。その先行例に位置づけられる埼玉県南西部、武蔵野地域の取り組みを学ぼうと、この日の映画会となった。同映画のプロデューサー鈴木敏夫氏を迎え講演会と意見交換が行われた。

➡及川ひろみさんのコラムはこちら

認知症と男性更年期の早期発見 県内初2つの人間ドック、10月から筑波大病院

0
脳ドック健診に用いるMRI装置(つくば予防医学研究センター提供)

【相澤冬樹】筑波大学付属病院(つくば市天久保、原晃院長)が10月から、新しい人間ドック2コースをスタートさせる。軽度認知障害(MCI)の早期発見に特化した「認知機能ドック」と中高年男性の加齢に伴う心身の不調の改善を促す「男性健康ドック」で、ともに県内初、大学病院の診療体制や研究機能とも連携した全国的にも珍しい人間ドックということだ。

2つの人間ドックは、通常行われている基本コースに付加するオプションとして設けられる。それぞれ軽度認知障害と男性更年期障害の早期発見が目的。共に高齢社会にあって、早期介入による改善の手立てが望まれている医療分野だ。異常が発見された場合、大学病院の精神神経科、泌尿器科の医師らと連携することでスムーズに治療に移れるメリットを生かしての設置となった。

中年期から「認知機能ドック」

軽度認知障害は認知症の前段階に位置づけられる。認知症の原因物質とされる脳内物質の蓄積は、発症の20~30年前から生じるため、中年期からのケアが必要になる。物忘れの自覚があったり、自覚がなくても周囲から指摘があったりする人が対象で、脳ドックのMRI(磁気共鳴画像)検査に続けて判定を行う。脳の萎縮度合いを数値化しての判断や心理士による対面でのきめ細かい検査によって調べるという。

オプション料金としては3万円だが、基本コース(6万2000円)と脳ドック(4万円)の受診が必須なため、自治体等からの助成を見込んでも1回で10万円を超える負担になる。同病院によれば、毎週水曜日のみの開設で、今年度は毎回1人、来年度からは毎回2人で、最大年96人程度の利用を見込んでいる。(利用料金はすべて税別)

軽度認知障害であることが明らかになった場合、同病院で実施の「認知力アップデイケア」が紹介される。認知症予防研究から効果が科学的に検証された運動、食事、認知トレーニングなどのプログラムを選び、インストラクターのサポートなどで認知機能を維持・改善できるよう取り組むものだ。

更年期障害に備える「男性健康ドック」

一方、男性更年期障害は加齢やストレス、生活習慣の乱れから、男性ホルモンが低下して起こる。性欲減退や発汗・ほてり、不眠、集中力低下、イライラなどの症状を伴う。近年では男性ホルモンの低下は、メタボリックシンドロームや心血管疾患とも関連することがわかり、低下の早期発見が様々な疾患の予防につながる可能性も指摘されているそうだ。

男性更年期障害の診断には、血液中の「遊離テストステロン」という男性ホルモンの量を測定することなどが有効。必要な場合、男性ホルモン製剤の注射などの治療が行われる。費用は1万2000円で、前立腺がん健診(PSA測定、3000円)との同時受診が推奨されている。年間200人程度の利用を想定している。

同病院の人間ドックは、つくば予防医学研究センター(西山博之センター部長)が担う。開設から3年目で、今年度初めて受診者が1000人台に到達する見通しになった。大学病院の診療科医師2人がダブルチェックした上で、健診結果を判定する体制を整えている。2つのドックの受診者から得られた検査結果は解析を加え、今後の研究に活用していくという。

つくば予防医学研究センターがある筑波大学付属病院

➡筑波大学の関連記事はこちら

2陣営が出席 土浦市長選 立候補予定者説明会

0
2陣営が出席した立候補予定者説明会=土浦市役所

【谷島英里子】任期満了に伴う土浦市長選(11月3日告示、10日投開票)の立候補予定者説明会が27日、同市役所で開かれ、5選を目指して立候補を表明している現職の中川清氏(74)陣営の関係者と、市内の政治団体、周文会代表の相澤保男さん(81)が出席した。取材に対し相澤さんは「周文会で立候補者を募集する」と話した。

同市長選をめぐっては、現職の中川氏が9月議会で一般質問に答えて立候補を表明した=9月11日付。現時点で表明しているのは中川氏ただ1人。

27日の説明会では市選挙管理委員会が、公職選挙法や選挙運動などについて説明した。

事前審査は10月15、16日。市選管によると9月1日現在の18歳以上の有権者数は11万8310人(男性5万8818人、女性5万9492人)で4年前(20歳以上)より約3000人増えた。4年前の投票率は28.42%だった。

【総合運動公園問題】つくば市議会が特別委を設置 売却日程いったん足踏み

0
委員長就任あいさつで「つくば市で大変重要な案件なので建設的な議論をしていきたい」と話す小久保貴史委員長(中央)=27日、つくば市議会本会議場

【鈴木宏子】住民投票で事業が白紙になったつくば市の旧総合運動公園用地(高エネ研南側未利用地、同市大穂)を、市が民間に一括売却する方針を示している問題で、同市議会は27日、高エネ研南側未利用地調査特別委員会(小久保貴史委員長)を設置した。市の売却方針に対し、議会や市民からさまざまな意見が出ていることから、これまでに出された意見を改めて検討するという。

特別委の設置を受け五十嵐立青市長は同日の本会議で「いったんスケジュールを後ろ倒しする」と表明した。売却に向けて市は、9月中に新たな土地利用計画案を検討、10月上旬に市民説明会開催、10月から都市計画変更手続きを開始し、11~12月に利活用事業者を公募するとしていたが、売却に向けた作業はいったんストップし、特別委の報告を待つことになった。

市議会9月議会最終日の27日開かれた本会議で、神谷太蔵議長が特別委の設置を提案し、全会一致で設置が決まった。委員は議長を除く議員27人全員で構成する。

小久保委員長によると、6月と9月議会で計7人から旧総合運動公園用地の売却方針などに対し一般質問があったほか、9月6、7日に市内3カ所で開かれた住民説明会=9月7日付=でさまざまな意見が出されたことを受けて設置に至った。

特別委では今後、これまでに出た意見を改めて検討するという。進め方や期間についても今後決める。小久保委員長は「(市に事業提案をした)民間事業者がいるので、引き延ばすのではなく、なるべく早く結論を出せるようにしたい」と話した。特別委として報告書等をまとめ市に提案していくという。

一方五十嵐市長は「(66億円を借り入れして購入した)利子負担が重いので、現状のままにしておくわけにはいかないと動いてきた。議会(特別委)にはきちんと説明し情報を提供していきたい」とした。当初予定していたスケジュールが足踏みすることについては「(事業提案した)事業者も議会の議決がないと進まないことはわかっていると思う」などと話した。

旧総合運動公園用地をめぐっては今年3月、五十嵐市長が民間に一括売却する方針を示し、4月に事業提案を公募した。1社が応募し、同用地約45ヘクタールを約40億円(市の購入価格は約66億円)で取得して、物流倉庫、商業施設、老健施設などを整備する事業提案をした。その後9月6、7日、市内3カ所で市が住民説明会を開いたところ、参加した市民から、一括売却する市の方針に異議を唱える意見が相次いだほか、新設予定の大規模商業施設がイーアスつくばと同規模であることから既存商業施設への影響や交通渋滞対策を求める声などが出た。

➡つくば市総合運動公園の過去記事はこちら

彼岸花 秋を彩る つくば市沼田の燧ケ池

0
燧ケ池の土手に群生する彼岸花
花茎の上に6枚の花弁が放射線状に咲く

【橋立多美】筑波山麓のつくば市沼田集落にある燧ヶ池(ひうちがいけ)の土手に、今年も彼岸花が咲き始めた。

池を望む古木のエノキと真紅であでやかな彼岸花は、写真愛好家に人気が高い筑波山の隠れた撮影ポイントだ。

枝ぶりの良かったエノキは数年前に枝が折れて基幹中心部の洞(うろ)を人目にさらすが、残った幹が枝を伸ばして堂々たる風情。沼田のお年寄りは「俺らの子どもの頃からエノキの根元は洞窟のようで、鬼ごっこの隠れ場所だった」と話す。

古木と群生する彼岸花との組み合わせのほか、筑波山をバックにした彼岸花も望める。

例年だと彼岸花は秋の彼岸入りには開花するが、今年は残暑の影響か開花が遅れ気味でつぼみが多く、この先1週間はすくっとした立ち姿と妖艶な姿を楽しめそう。

観光地化されておらず、狭い農道を進み乗用車2台ほどしか駐車できないので注意を。それだけに彼岸花が彩る里山の秋を満喫できる。

【霞ケ浦を遊ぶ】女性に人気のSUPヨガで土浦の魅力発信 開放感たっぷり、癒やしに

0
霞ケ浦でSUPヨガを行うインストラクターの滑川織美さん

【田中めぐみ】水に浮かべたボードの上でヨガをする「SUP(サップ)ヨガ」が女性を中心に人気を集めている。ゆらゆら揺れる水面で行うため体幹を鍛えるエクササイズとしての効果が高いといわれる。ヨガを体験したことがある記者も数年前から興味を持っていた。今回、霞ケ浦で「SUPヨガ」のクラスが開講していると聞きつけ、早速参加してみた。

講師は石岡市出身の滑川織美(あやみ)さん。プロのボディーボーダーでSUPヨガインストラクターだ。霞ケ浦は海と違って波や風が穏やかなため、初心者も難なく楽しめるという。女性に人気のSUPヨガで、霞ケ浦の魅力を発信したいと考えている。

土浦駅東口近くに今年3月オープンしたばかりの「りんりんポート土浦」(同市川口)で待ち合せた。コインロッカー、シャワー室、トイレなどを完備し、無料駐車場がある主にサイクリスト向けの休憩スペースで、屋上には展望スペースもあり、県外客や市民の憩いの場になっている。滑川さんは「りんりんポートは土浦インターから約20分と交通アクセスが良い場所にある。トイレやシャワーが利用できるので、手ぶらで来て体験しシャワーを浴びて帰れる」と話し、この「りんりんポート」を自転車ばかりでなく、SUPヨガの拠点にできればという。

りんりんポート土浦の室内=土浦市川口

SUPヨガの「SUP」とはスタンド・アップ・パドルボードの略で、ボードの上に立ってパドルをこぎ水面を移動していくアクティビティ。ゆっくりとした動きで進むため、初心者でも簡単に楽しめるのが特徴だ。

この日、SUPを初めて体験する私のために、滑川さんは初心者向けでバランスの取りやすいボードを用意してくれた。ボードはレンタルできるので手ぶらでOKだという。ただし水に落ちたときに備えて水着着用が条件。水着さえ着てくれば、SUPヨガ用のウェアも貸し出してくれる。

体験場所は、ボードに乗って水に入りやすいスロープがある土浦新港。岸壁に囲まれ波が穏やかだ。

スロープがある土浦新港。ここからSUPで出発する

まずSUPの操縦の仕方、基本動作の説明があり、その後準備運動を行ってからボードに乗る。最初は座った状態でこぎ出し、ボードが進み出してから立ち上がるのだが、落ちるのではという恐怖感がありうまく立つことができない。行きたい方向を見る、遠くを見るといったコツを教えてもらい、パドルの使い方についても指導を受けると徐々に慣れてきた。

確かにコツをつかめば簡単で、パドルの使い方に慣れたころには恐怖感は一切なくなっていた。湖面はとても静か。滑るように進むボードの上で徐々に気持ちが穏やかになってゆくのを感じる。目線を遠くにやると、土浦港を出入りするボートやヨットで遊ぶ人も目に入る。開放感たっぷりだ。

滑川さん(右)にSUPのこぎ方を教わりながら恐る恐る進む田中記者(左)

港湾の真ん中までこぎ出し、いよいよヨガのレッスン開始。まずはボードをまたぎ、足を水に浸けて水温を確認する。この日の気温は高めで汗ばむ。水温も温かく気持ちがいい。透明度も意外と高く、パドルで確認してみると80センチ程度の深さまで見えるようだ。水に落ちて泳いでみてもいいかなという気分になる。

最初に四つんばいになりポーズをとる。陸上で行うヨガと同じポーズも、水の上では体幹の強さが必要で、体幹がかなり鍛えられるのが分かる。続いてお尻を空に突き出して足と腕とボードで三角形を作る「犬のポーズ」。水面ではぐらぐらするのでいつも以上に集中力が必要だ。呼吸を整えることを忘れず、心地よい風を感じながらゆっくりとヨガの動作を行う。最後は立ちポーズにもチャレンジ。合掌であいさつして終わった。

SUPは愛犬と一緒に楽しめるのも醍醐味。滑川さんの愛犬も途中からボードに乗って霞ケ浦を満喫していた。水辺が好きなワンちゃんが居たらぜひ一緒に楽しみたい。

レッスン後はりんりんポート土浦に戻り、シャワーで汗を流す。シャワーは30分200円。ドライヤー、ボディーソープ、シャンプーもあり、快適だ。

滑川さん(右)の指導を受けながら湖上でヨガをする田中記者ら

◆SUPヨガはSUPボード、パドル、ウェアのレンタル込みで2時間4000円。レッスンは予約制で、毎週日曜日と月曜日に開講している。霞ケ浦は海と比べて穏やかだが、天候によっては中止する場合もある。予約・問い合わせは電話080-2370-9848(滑川さん)。メール 2019.beach.life@gmail.com。フェイスブックhttps://www.facebook.com/ayami.namekawa。インスタグラムhttps://www.instagram.com/ayami_namekawa/

◆土浦新港を使用する場合は許可が必要。問い合わせは指定管理者のラクスマリーナ(電話029-822-2437)

◆りんりんポート土浦は土浦市川口2丁目13番25号、開館時間は午前9時から午後6時。

➡「霞ケ浦を遊ぶ」シリーズの過去記事はこちら

➡りんりんポート土浦の過去記事はこちら

来年秋、再認定審査の筑波山ジオパーク 拠点施設、事務局体制など課題解決急務

0
一部を活用して中核拠点施設の整備が検討されている旧筑波東中学校

【山崎実】来年秋の再認定審査を控え、筑波山地域ジオパーク活動に関わる課題解決に向け、県、地元自治体など関係機関(者)の取り組み姿勢が問われている。

筑波山と霞ケ浦、関東平野で構成される筑波山地域ジオパークは、2016年9月、日本ジオパークとして認定され、同ジオパーク推進協議会(つくば、石岡、笠間、桜川、土浦、かすみがうらの6市で構成)を中心に、ジオガイドの養成、ジオツアーなどを実施し、地域の魅力向上、PRに努めてきた。

しかし一方では中核的な拠点施設の整備、協議会事務局体制の強化、県及び協議会自治体との連携強化などが課題として指摘され、早急な対応策の確立が迫られている。

ジオパーク再認定への条件となる課題解決については、開会中の県議会第3回定例会でも論議に上り、県は現状と今後の対策に言及した。

それによると、協議会は今年度、筑波山麓の筑波東中学校跡地の一部を活用して、中核拠点施設を整備する基本構想の策定に着手しているほか、事務局体制についても協議会自治体間で人員の強化、検討が行われている。

他方、協議会活動の支援窓口となっている県は、2017年度から庁内連絡会議を設置。県北地域ジオパークともども、観光やプロモーション、交通アクセスなどの諸課題について情報を交換。昨年度の連絡会議では、NPO法人日本ジオパークネットワークから講師を招き、再認定に向け意見交換を行った。

さらに今後も自然博物館職員の助言などによるジオガイドの育成、案内板設置など許認可手続きに関わる調整、県北ジオパークとの連携、支援のほか、来年の再認定に向けた情報収集に取り組んでいくとしている。

6市連合の推進協議会は、筑波山地域ジオパーク内の食材を使った認定商品(食品、料理)を各種イベントでPRするなど、魅了発信に努めている。その成果を含め、来年秋の再認定を照準に据え、協議会活動は待ったなしの正念場を迎えているといえそうだ。

認定商品の一部(筑波山地域ジオパーク認定商品ガイドブックより)

➡筑波山地域ジオパークの過去記事はこちら

【茨城国体】茨城が初の総合3位 パワーリフティング つくばで日本新記録5つ

0
総合成績の表彰

【池田充雄】第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」の公開競技、パワーリフティング大会は23日、つくばカピオで最終目を迎え、成年男子105キロ級・120キロ級・120キロ超級が行われた。県勢は2選手が出場し、筑波大出身の林直明が4位入賞を果たした。また都道府県団体成績では茨城が初の3位に輝いた。

120キロ級の林直明(パワーハウスつくば)はトータル635キロで4位入賞。「予選の5位から順位を1つ上げられたが、数字的には満足していない」と話す。誤算だったのはデッドリフト。1回目の250キロは簡単に上がるはずだったが、バランスを崩して失敗。2回目では失格を避けるため252.5キロと最低限の重量増に留め、3回目で282.5キロに挑戦。あとひと引きが足りなかったものの、成功していれば3位に届くという大きな賭けだった。「この会場だからあそこまでやれた。地元の声援をすごく近く感じ、あれだけの重量が浮いたことも自分の中では驚きだった」。

笠間市生まれ、県科学技術振興課職員の28歳。大学時代は陸上部で、今も投てき種目の選手を続けている。競技としてのパワーリフティングは昨年、国体出場を目指して取り組み始めた。平日はほぼ毎日、仕事が終わるとつくばに来て、練習に励んできた。

林がデッドリフトで282.5キロに挑戦する

105キロ級の伊藤秀樹(パワーハウスつくば)は、トータル672.5キロを上げて10位。地元の代表としての責任感と、耳に届く大声援が力となって、自己ベストを大きく更新した。ベンチプレスでは2.5キロダウンだったが、スクワットとデッドリフトはともに20キロアップ。「みんなの中で一番の上げ幅だったと思う」と胸を張った。

大会本番に合わせて重量や回数を調整し、計画的な練習ができた。当日のコンディションも万全で、「この2つの要因が重なると精度の良い試技ができる」と、9回の試技すべてを成功させた。つくばみらい市出身の43歳。「一般対象の大会でも若い者に負けない活躍ができた。今後もいっそう上を目指して鍛えていきたい」と話す。

伊藤はスクワットでも大きく自己ベストを更新した

常総、下館工、真壁が選手育成

今大会について県パワーリフティング協会の寺門浩之理事長は「種目によっては300キロオーバーを上げる選手もいて、日本新記録も5つ出た。各県とも大きくレベルアップし、見ていて面白い大会だった」と振り返った。

総合3位となった茨城の成績については「選手一人一人の頑張りのおかげ。地元開催ということで、普段は国体に出ていない人も協力し、皆がこの大会に集中してくれた」と、オール茨城で臨めたことを要因に挙げた。

今までの10位台から大きく順位を上げたが、東京や千葉という強豪の壁は崩せなかった。課題となるのは選手層の厚みだという。「高校では常総学院、下館工、真壁が一生懸命選手を育てており、各ジムにも取り組んでいる人たちがいる。裾野が広がれば強い選手が必ず出てくる」。

●団体総合成績
①千葉 ②東京 ③茨城 ④北海道 ⑤神奈川 ⑥愛知 ⑦宮城 ⑧京都

➡茨城国体の過去記事はこちら

反物質はつくば、ニュートリノは東海の特産物 J-PARC 10周年で村山斉さん

0
ユーモアを交え講演する村山斉さん=つくば国際会議場

【相澤冬樹】東海村にあるJ-PARCセンター(齋藤直人センター長)の10周年記念行事が23日、つくば市竹園のつくば国際会議場で始まった。初日の市民公開講座は「宇宙・物質・生命の起源を求めて」をテーマに、現在の最先端科学を紹介する5講演が行われた。科学コメンテーターとして人気の講師の登場で、冒頭から立ち見が出るほどの盛況となった。

人気を集めたのは、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構初代機構長で、米国カリフォルニア大学バークレー校教授の村山斉さん(55)。宇宙の成り立ちに迫る研究を第一線で指揮しているが、「私たちはどこからきたか」というヒトの成り立ちとからめて、分かりやすく説明する著作や話術が受けている。この日も主催者によれば、県内外から330人もの聴講者が会場を埋めた。

講演で村山さんは①約138億年前ビッグバンが起きたとき、誕生した宇宙には水素とヘリウムしか元素がなかった②それ以上重い炭素や窒素、鉄までの物質は星のなかで生成され超新星爆発で宇宙空間にばらまかれた③さらに重い金やプラチナなどは中性子星合体という現象で作られた―ことが最近の重力波の観測などから分かってきたとステップを踏んで解説した。

ここで、よく分かっていないのは、この宇宙はなぜ物質が優位なのかということ。宇宙創成の段階では物質と反物質が同量だけつくられたはずだが、膨大なエネルギーを生み出す対消滅の後、なぜか物質だけが残った。反物質の10億分の1が物質に入れ替わった形になっている。これを「CP対称性の破れ」で説明するのがノーベル物理学賞研究、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の小林誠教授らによる小林・益川理論だった。

ところが最近の精度を上げた研究により、同理論では物質の存在量のすべてを説明できないのが分かってきた。このためKEKの最新加速器、スーパーKEKB(ケックビー)を使った検証(Belle II実験)が始まった。村山さんによれば「米国スタンフォード(SLAC)に勝って、今や世界で最も反物質を作り出している場所となった。反物質こそがつくばの特産物だ」と紹介した。

80年代に稼働したつくばの陽子加速器を今日受け継ぐのがJ-PARCの大強度陽子加速器。ここでは加速した陽子をターゲットに当て、中性子やニュートリノ、ミュオンを生み出し、さまざまな実験に使っている。なかでも岐阜県神岡にある検出器、スーパーカミオカンデにニュートリノを打ち込む「T2K実験」で知られる。「ここでは毎秒300兆個ものニュートリノを生成するよう増強中で、これが実現すれば世界一。ニュートリノが東海村の特産になる」と語り、会場を沸かせた。

スーパーカミオカンデのニュートリノについては、2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さん(東京大学宇宙線研究所長)がこの日の午後の講演に登場、関心を集めた。

J-PARCは高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構 (JAEA)が共同で設置し、運営する研究施設。施設を構成する物質・生命科学実験施設 (MLF)、ニュートリノ、ハドロンの主要実験施設がそろい、2009年末までに供用を開始した。

10周年記念式典は24日、同会議場で行われる。同時開催は第3回J-PARC国際シンポジウムで、26日まで。パネルディスカッション「社会における科学の役割、世界における日本の役割」はじめ各種セッションが予定されている。

高校生の熱心な質問シーンも見られたJ-PARC10周年市民公開講座=同

➡J-PARCの過去記事はこちら

➡Belle II実験の過去記事はこちら

【どう考える?免許返納】12 返納者同士助け合う術を模索 つくば市茎崎の住宅団地

0
高齢者向けに作られたシニアカー=つくば市茎崎地区

【橋立多美】入居者が一斉に高齢化しているつくば市茎崎地区の住宅団地住民が、市中心部へ向かうコミュニティバス「つくバス」の発着時間に合わせ、高齢者を自宅からバス停まで送迎する術を模索している。免許を返納した高齢者が運転できる送迎車があれば、シニアボランティアが団地ぐるみで送迎を担えるのではないかというアイデアだ。

片岡三郎さん=つくば市宝陽台

発案者は同市宝陽台に住む片岡三郎さん(76)。宝陽台は1978年に入居が始まった住宅団地で世帯数は約550世帯。入居から40年を経た今、夫婦だけの世帯か独居の高齢者が目立つ。65歳以上の高齢化率は同市で最も高い55%(4月1日現在)だ。

片岡さんは宝陽台自治会の街づくり委員として高齢者の交通アクセス問題に取り組んでいる。遠くの店や病院に行かざるを得ないのに、車しか手段がない。バス停までのスムーズな移動手段があれば、免許を返納した高齢者が引きこもりになるのを防げるのでは、と考えている。

団地内に牛久市のコミュニティバス「かっぱ号」のバス停が2カ所設置され、牛久駅までの足はある。しかし、市中心部に向かう「つくバス」のバス停までは距離があって高齢者には使いづらい。バス停から最も遠い街区だと、重い荷物を持った高齢者は10分近くかかるという。

考えた末の結論が「つくバス」の発着時間に合わせて自宅とバス停間に送迎車を走らせること。送迎車は運転免許がなくても運転できることが条件になる。今後、免許を返納する人がもっと増えても運行に支障がでないためだ。

情報を集める中で「グリーンスローモビリティ」と呼ばれる環境に配慮した移動手段を知った。ゴルフカートをベースとした電動車両で時速20キロ未満で公道を走り、乗員は4人以上。狭い路地も通行が可能で、国土交通省は公共交通から取り残された地域の新たなスタイルとして各地で実用化に向けた試験を進めている。

東京大学とヤマハ発動機が共同研究したスローモビリティ(ヤマハ発動機提供)

ところが、スローモビリティは免許保有者でなければ運転できないことが分かって断念した。現在は運転免許不要で歩道を通行できる1人乗り電動車両「シニアカー」(最高時速6キロ)を、2人乗りにできないかと思案する。「つくばには多くの研究機関がある。望みを託してみたい」と話す。

市や警察は着想に否定的

片岡さんは宝陽台独自の交通システムを考え始めてから市高齢福祉課やつくば中央警察署交通課に相談に行った。着想に否定的で、警察署では自動運転車を紹介された。「自動運転車の普及は2020年代以降。今の高齢者には間に合わない」と不満を募らせる。

また「移動する方法はゼロではないが、さまざまな規制があって自由度が低い」という。一例が「つくタク」だ。移動範囲が決められ1時間単位の予約で時間が読めないことから「行きはいいが帰りが怖い」と指摘する。

片岡さんは「誰もが余生は自由に送りたいと思うもの。好きな時に外出できるよう送迎を実現させたい。突破口は免許を返納した人が運転可能な車。諦めることなく模索していく」と揺るがない。(免許返納シリーズ 終わり)

➡【どう考える?免許返納】の過去記事はこちら

色彩にこだわり 町田保さん、新作41点展示 筑波銀行つくば本部

0
展示作品を紹介する町田保さん

【矢神若菜】つくば市在住の画家、町田保さん(66)の絵画展が21日から、つくば市竹園の筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで開かれている。展示されているのは風景画を中心としたアクリル画と書道作品の41点。すべてこの1年の新作という。

60歳のとき同ギャラリーで鑑賞したつくば市在住の画家、軽澤直雄さんの水彩画に感銘を受け、自己流で絵画を始めた。翌年には個展を開き、今回で7回目。人気のギャラリーのため3年前にようやく予約できたと言い、念願かなっての絵画展開催となった。

今回のテーマは「美しさに感動」。「見た人が美しいと感じるものを描きたい」という町田さんは、「きれいな色が好き。暗い絵よりも明るい絵を描くようにしていて、例えば空を描くときは、参考にした景色が曇っていても描いているうちに自然と晴れにしてしまう」と語った。

乾きが速く、画用紙上で簡単に上描きできるアクリル画の特質をいかし、年間30~40もの作品を描くという町田さんだが、待望のギャラリーでの展示に力作をそろえた。中でも「初夏の頃に」という雄大な自然を描いた作品は完成までに2カ月をかけた。この大作で第75回現代美術家協会「現展」に入選した。

色彩に強いこだわりを持つ町田さんは「深みのあるきれいな色を出すために絵の具を色々混ぜてみた。そのため納得のいくものが描けたので、今年はお気に入りの作品が多い」と語る。会場を訪れた同業者の石山克さん(65)は「秋を描いた絵の紅葉がとても鮮やかで印象的だった。どの絵も緑が深い色できれいだと感じた」と感想を述べた。(ライターは筑波大1年、ドットジェイピーのインターン生)

◆町田保絵画展は30日まで。時間は午前10時~午後4時(最終日は午後3時まで)。入場料無料。

展示作品

➡昨年の町田保さん個展の過去記事はこちら

【茨城国体】土浦市議 目黒、50代日本新に挑戦も及ばず パワーリフティング2日目

0
目黒はスクワットで自己新の220キロを達成

【池田充雄】第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」の公開競技、パワーリフティング大会は22日、つくばカピオで2日目が実施された。成年男子74キロ級・83キロ級・93キロ級の3階級が行われ、県勢6選手がそれぞれ自身の記録などに挑戦した。土浦市議の目黒英一が93キロ級に出場し50代の部の日本新記録に挑戦したが及ばなかった。

74キロ級の瀬尾雅也(パワーハウスつくば)は、トータル512.5キロを出して16位。「重量では自己ベストに5キロ及ばなかったが、体重比の記録では大きく更新でき、必要最低限の試技はできた」と前向きにとらえる。手応えを感じた試技はベンチプレスの3回目。「シャフトの軌道、動き、フォームがきれいにはまった。ベンチプレスは腕や胸で上げると思いがちだが背中や下半身も重要。このフォームをいつも出せるようにしたい」。つくば市出身の23歳。常総学院高と首都大学東京のパワーリフティング部で活動。今年から野田市のキッコーマン病院で理学療法士として勤務しており、仕事で学んだ技術や知識が競技にも役立っているという。

デッドリフトに挑む瀬尾

83キロ級は3選手が出場。門祐介(エニタイムフィットネス水戸赤塚店パワーリフティング部)は605キロで9位。「自己ベスト更新で満足。スクワットが特に良く、目標だった240キロを達成できた。ベンチプレスは2回目の失敗が響き、140キロに届かなかった」と話す。社会人野球のJR水戸でも活躍した32歳。

五月女健(水戸市パワーリフティング協会)は580キロで15位。「調子は万全で、スクワットでは自己ベストを10キロ更新。デッドリフトでは自己初の250キロにチャレンジし、あと一歩で返せなかったが、今の全力を出せた」と話す。総合格闘技のプロ経験もある29歳。

荒井政俊(日本製鉄鹿島製鉄所パワーリフティング部)は、562.5キロで18位。「大会レベルがすごく高く刺激になった。この大会に照準を合わせて練習し、ベンチプレスとトータルで自己ベストを更新できた。全国で戦えるよう茨城全体でレベルアップしていきたい」と話す。筑西市出身の33歳。

「諦めなければ年齢に関係なく結果を出せる」

93キロ級は2選手が出場した。大島陣(エニタイムフィットネス水戸赤塚店パワーリフティング部)は617.5キロで9位。「地元の大会なので気合いを入れていたが準備不足だった。スクワットでは重さで不安になり、深くしゃがめなかった。デッドリフトでは自己ベスト更新のため265キロに挑戦し、上げきることができた」と話す。陸上競技の円盤投げの選手でもある28歳。

デッドリフト265キロに成功した大島

目黒英一(パワーハウスつくば)は、自己ベストタイの610キロで11位。ベンチプレスでは50代の部の日本新記録167.5キロに挑戦。「第2試技では上がりはしたが判定で通らず、第3試技では余力が残ってなかった」という。国際武道大でパワーリフティングを始め4年時にインカレ2位。その後は競技から離れたが40歳で再開し、2014年のクラシックマスターズ40代の部で優勝。翌年の世界大会でも同部門で8位入賞。今年土浦市議に初当選した50歳。「諦めなければ年齢に関係なく結果を出せる。子どもたちにも自分の好きなことや得意なことを貫く大切さを伝えていきたい」。

最終日の23日は成年男子105キロ級・120キロ級・120キロ超級が行われる。

➡茨城国体の過去記事はこちら

【どう考える?免許返納】11 急発進抑制装置 県交通安全協会が補助を開始

0
新車は軽自動車も標準装備されている安全運転支援システムについて説明するホンダカーズ茨城南つくば花室店の広瀬裕一さん。正面のエンブレムの部分にレーダーが搭載されている

【鈴木宏子】高齢ドライバーによる交通事故が社会問題となり、東京都がブレーキとアクセルの踏み間違いによる急加速(急発進)抑制装置の9割補助を発表したことをきっかけに、踏み間違い事故を防ぐ後付けの装置が注目され始めた。

茨城県内でも9月1日から、県交通安全協会が後付けの急発進抑制装置の取り付け補助を開始した。県内在住の70歳以上の高齢者を対象に、取り付け費用の一部(同協会会員は1万円、非会員も2000円)を補助する。各警察署にある地区協会の窓口に、免許証や車検証、領収書などのコピーを添付して申請すれば、窓口で補助を受けることができる。同協会によるとスタートからほぼ半月の18日時点で、県全体で23人がこの制度を活用して装置を取り付けた。

踏み間違い 高齢になるにつれ増加

ブレーキとアクセルの踏み間違い事故は、高齢になるにつれて起こる割合が高くなり、さらに駐車場などで発生しやすいのが特徴だ。交通事故総合分析センターの交通事故分析レポート(2018年2月発行)によると、駐車場内では周囲の歩行者や他の車の動きに注意しながらハンドル操作やアクセルとブレーキの操作をする回数が増えるため、慌てたりパニックになってミスをしてしまうという。さらに体の柔軟性が低下している高齢者は、車をバックさせる際に上半身を後方にひねると、足先の位置がずれ、踏み間違いにつながってしまうのだという。

急発進抑制装置は、停止しているときや低速で走行しているときに、アクセルを強く踏み込んだ際の信号を検知し電気的にエンジン出力を制御する製品などがあり、3万円程度で取り付けできる装置もある。国交省は警報が鳴っても踏み続けると機能が解除されるとして装置の性能を理解するよう呼び掛けている。

「取り付け頼まれたことはない」

ただし現時点でつくば市周辺ではまだ普及していないようだ。同市上郷の自動車整備工場「柴原モータース」の柴原正妃さんによると「これまでお客さんとの会話の中で、高齢者の事故やブレーキとアクセルの踏み間違いなどが話題に上ることはあっても、後付け装置の取り付けを実際に頼まれたことはない」と話す。

同市若栗の自動車整備・塗装「CARドック進」も「装置についてお客様から質問されたことはなく取り付け経験もない」とする。「シニア運転手は、今乗っている車で終わりにするという人が大半で、近場での買い物と通院しか乗らないからか、保険は無駄を省いて安く設定したり、走行距離も総じて短くなっているためではないか」と推測している。

新車はシステムを標準装備

一方、新車の安全運転支援システムはここ数年、格段に進化している。自動車メーカーの販売店「ホンダカーズ茨城南」つくば花室店の広瀬裕一さんによると、現在発売されている新車は、軽自動車も含め安全運転支援システムが標準装置されている。ブレーキとアクセルの踏み間違いによる急発進を抑制する装置はもちろん、カメラとレーダーを車の前と後ろに搭載し、人や車の動き、物や建物、道路の状況などを監視する。人や車に衝突する恐れがあると自動でブレーキをかけたり、歩行者が前にいるのを発見するとハンドルを切って衝突を避けるなど10の安全機能を備える。安全運転支援システムのフル装備費用は10~15万円くらい。広瀬さんは「システムの能力には限界があり過信しないでほしい」と強調するが、3年くらい前から徐々に機能が向上してきたと話す。

自動車整備工場の柴原正妃さんは「メーカーのシステムは急発進抑制装置のほかにカメラとレーダーも付いている。メーカーの車は周りに人や車がいて物があることを想定しているのに対し、急発進抑制装置はペダルの踏み間違いを想定しているだけ。標準装備でカメラやレーダ―が付いた車と、後付けで装置を取り付けるのと、どっちが安心かとお客さんに問われれば、メーカーの標準装備の車の方が安心と答える」とし、「お客さんから依頼されれば取り付けるが、いろいろ情報を集めて、間違いないものを取り付けたい」と話す。

➡どう考える?免許返納の過去記事はこちら

【茨城国体】土浦出身 澤山あおいがジュニア日本新 つくばでパワーリフティング

0
スクワットで首位スタートを切った澤山

【池田充雄】第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」公開競技の一つ、パワーリフティング大会が21日、つくば市のつくばカピオで開幕した。初日は成年女子軽量級・重量級、成年男子59キロ級・66キロ級の計4階級が実施された。県勢は女子軽量級で土浦出身の澤山あおいがジュニア日本新記録で準優勝、男子は59キロ級で取手市出身の消防士、蛯原孝晴が優勝した。

女子軽量級では澤山あおい(パワーハウスつくば)が準優勝、しかもベンチプレス77.5キロとトータルスコア347.5キロはいずれもジュニア日本新記録というおまけ付き。「茨城の団体優勝に貢献したい思いと、自分の記録を目指す気持ちで臨んだ」と話す澤山は、土浦市出身の21歳。常総学院高のときパワーリフティングを始め、今は大学生活のかたわらジムに通う。トータルの日本新を狙った最後のデッドリフトは「上げなきゃという気持ちと、皆さんの応援のおかげで」重かったバーベルもだんだん上がっていき、最後に思わず笑顔になれた。

女子重量級の堀越百恵(常総学院高3年)は4位。結果に対し「3位以内が目標だったので悔しい。自分に勝てなかった」と涙。デッドリフトの3回目では、2回目より17.5キロ増の145キロにチャレンジ。成功していれば表彰台の可能性も残っていた。「初めて挑戦する重さだったが自信はあった。ここで上げないと県代表として、応援してくれる皆さんに恩返しできない」と、強い気持ちを持って臨んだ。同高パワーリフティング部の前田俊佑顧問は「受験勉強もしながらここまで頑張ってくれた。悔いはあると思うが、十分いい勝負ができた」とねぎらった。

取手市出身の消防士、蛯原孝晴が優勝

デッドリフトで優勝を決め、雄叫びを上げる蛯原

男子59キロ級優勝の蛯原孝晴(MNW)は、デッドリフトの3回目で勝負に出た。競っていた相手が220キロを上げたのを見て、直前で222.5キロに変更。トータルで同じ重量なら、体重の軽い蛯原の方が勝ちとなる。「優勝がかかっているので必死で上げた。地元の大会であることが力になった」と、見事に成功させた。取手市出身の消防士。土浦日大高と帝京大学で柔道に打ち込み、古傷があったひじを今年手術。予選のときは回復の途中で、記録も低調だった。「出場しなかったら記録も何もない。とりあえず順位のことは考えず、調子を見ながら淡々とできたことがよかったのでは」と、望外の勝利を喜んだ。

男子66キロ級準優勝の飛田渉(エニタイムフィットネス水戸赤塚店パワーリフティング部)は、自らを「先行逃げ切り型」と評する。その言葉通り、スクワットとベンチプレスで2位を12.5キロ引き離してトップに立つ。しかしデッドリフトが思いのほか伸びず、チャレンジに出た相手に最後に上回られた。常陸大宮市出身で職業は蛯原と同じ消防士。以前から筋トレは体づくりのためにしていたが、2年前に消防学校の講師で来てくれた蛯原の勧めでパワーリフティングを始めた。「マイナーな競技だが、自分も少しでも魅力を伝えられたらいい」と話す。

23日までの3日間。22日は成年男子74キロ級・83キロ級・93キロ級が行われる。

下位を大きく引き離した飛田のベンチプレス

※県勢記録
【成年女子軽量級】2位=澤山あおい(347.5キロ)▽14位=藤崎晴美(235.0キロ、水戸市パワーリフティング協会)

【成年女子重量級】4位=堀越百恵(310.0キロ)

【成年男子59キロ級】1位=蛯原孝晴(537.5キロ)

【成年男子66キロ級】2位=飛田渉(615.0キロ)▽12位=西川明男(527.5キロ、個人参加)▽15位=飯村貴弘(515.0キロ、パワーハウスつくば)

➡茨城国体の過去記事はこちら

【どう考える?免許返納】10 運転手不足に拍車がかかる つくばの移送サービス

0
買い物を希望する高齢者をマイカーに乗せるボランティア会員=つくば市茎崎地区

【橋立多美】公共交通を利用できない移動困難者のために外出支援をしている、つくば市の移送サービスの高齢ドライバーが送迎活動を休止したいと申し出ている。近頃の「高齢者は免許返納すべき」という風潮の影響と見られる。高齢化時代のサービスとして期待され、需要が伸びているだけに関係者に不安が広がる。

同市を中心に、正月三が日を除くほぼ毎日、外出が難しい高齢者や障害者を有償ボランティアがマイカーで送迎するNPO法人「友の会たすけあい」(同市下岩崎)。茎崎町時代に発足、活動は22年になる。国土交通省が認めた福祉有償運送で、市の依頼を受けている。

「たすけあい」は、登録した利用会員からの電話を茎崎高齢者交流センター内の事務局で受け、その居住地や行き先に応じ協力会員(運転ボランティア)を決める。利用は通院や買い物、墓参りなどさまざまで、費用はタクシーの半額程度と格安。昨年1年間で延べ3380人を移送した。

免許返納の広がりを受け、ボランティア会員17人のうち、75歳を過ぎた3人が送迎活動を止めて電話の受付を希望するようになった。無事故で利用会員からの苦情はないが、「利用者が高齢ドライバーの自分の運転を不安に思うのではないか」の思いがこうした状況を生んでいるそうだ。

運転は75歳までのルール

ボランティア会員は定年退職後に活動を始めた人たちだ。佐藤文信理事長は「ボランティア会員の運転は75歳までというルールはあるが、定年後も働き続ける人が増えて運転者が足りず、地域に詳しいベテラン3人に頼らざるを得ない状況が続いてきた」と話す。

申し出を受け入れ、3人の活動は近距離のルートだけに絞り乗車回数も減らしている。これからはボランティア会員を75歳以下にしたい考えだが、佐藤さんは利用会員からの予約を断るケースが出てくるかも知れないとした上で、「今年度の移送は延べ3500人を見込んでいるが乗り切れるかどうか…」と思案する。

移動困難者を支えるボランティアの前に立ちはだかる年齢の壁。その一方で、地区内では高齢化が進行して車を手放す人が増えるなど利用増加が予想される。132人の利用会員中、最近利用会員になった4人は要支援になって免許を返納し、マイカーを処分したためだという。

運転手不足は全国の福祉移送サービス事業者共通の課題だ。取手市のNPO法人「活きる」はボランティア不足で需要に応えきれず、昨年は利用会員の新規登録を中断した。今年は困っている障害者や高齢者を捨て置けないがすべてを受け入れられないと、新規登録を制限する一方、運転ボランティアの活動年齢を75歳から80歳に引き上げた。

佐藤さんは「長く働きたい人が増えてボランティアのなり手がいない今、高齢者に免許返納を迫る風潮が重なった」と現状を憂う。

➡【どう考える?免許返納】の過去記事はこちら

起業に向けて助走を始める つくばスタートアップパーク

0
参加者がこぞってカメラを構えるなかで五十嵐市長らがテープカット=つくばスタートアップパーク

【相澤冬樹】つくば発の産業創出の拠点にしようと、つくば市が整備してきた「つくばスタートアップパーク」(略称:スタパ)がこのほど完成し、20日、市民ら約100人が出席して記念の式典が開かれた。10月1日の正式供用開始を前に、30日まではプレオープン期間として、施設が無料開放される。

科学技術関連の研究・教育の集積を基盤に、新しいビジネスで市場の開拓を目指す起業家などが活動できる場所を提供しようとする施設。つくばエクスプレス(TX)つくば駅付近のつくば市産業振興センター(同市吾妻)の1階部分を再整備してきた。

オープニングイベントは参加資格を設けず、一般市民にも広く呼びかけて行われた。産学官の研究者や企業人、学生らが参加した。式典で五十嵐立青市長は「つくばの研究集積を生かした産業の創出は20年以上も前から言われてきたが、市民の実感できる成果に乏しかった。研究者や新たなビジネスを志す経営者らが交流し、実践していく場所にしたい」と力強く語った。

施設には利用料を支払って使う共用の仕事場(コワーキングスペース)があり、一時的な作業(ドロップイン)やオフィス(定期利用)に用いられる。専用Wi-Fiなども設置され、大小4つのミーティングルームを利用できる。起業を志す、特に若い人たちの発想での活用が期待される。

利用料金(税込み)は、平日のみとなるドロップインで1時間当たり300円(1日最大1500円)、365日24時間対応の定期利用で1カ月当たり1万8000円。いずれも9月のプレオープン期間中は無料で体験できる。10月1日以降は初回の利用の際に、事前に利用申請が必要となる。同市によれば、20日までに正式の申し込みはないが照会は複数件寄せられているという。

出入口付近には誰でも気軽に出入りが可能な交流スペースが設けられ、スペース内ではコーヒーファクトリー(本店・つくば市)がカフェを運営する。

詳しくはつくば市経済部スタートアップ推進室(029-883-1111)まで。

➡つくばスタートアップパークの過去記事はこちら

【どう考える?免許返納】9 うつや閉じこもりの可能性大 運転やめた高齢者

0
室生さんが主宰している高齢者サロン「ゆうゆう」。立っているのが室生さん=つくば市研究学園

【橋立多美】高齢ドライバーが引き起こす悲惨な事故による運転免許返納の動きのなかで、語られていない側面がある。それは「免許返納に伴う高齢者の健康リスク」だ。東京医大霞ケ浦病院内科医長を経てつくば市倉掛に開院し、在宅医療を担ったことで高齢者の心身の変化に詳しい室生勝さん(NEWSつくばコラムリスト)がいう。

マイカーで移動できる楽しさを甘受した現在の高齢者にとって、自家用車は通勤、買い物、通院、レジャーなどの日常生活に欠かせないツール(道具、手段)だった。

75歳以上の後期高齢者になって身体機能が衰えてきても、運転に不都合を感じないまま乗ってきた。しかし身体機能、特に危険を察知したときの手足の動きは鈍くなっており、さらに驚きと精神的動揺から運転を誤り暴走したり道路から逸脱してしまう。

また、軽度の認知症では信号や交通標識(右折禁止、一方通行など)の見落としが事故につながる。そして道路脇の建造物の破損のみならず通行人にも危害を与えることになる。ところが、多くの高齢者は自分はそのような事故を起こさないと自信とまでもいかないが強い気持ちを持っている。

子どもたちから運転免許証の返上を迫られ、家長としてのプライドが傷つき、生きがいを失った高齢者もいる。高齢者のみの世帯の人は車がない生活を考えただけで生きていく気力が無くなってしまうのではないか。

配偶者や家族、ペットとの死別、故郷との訣別(知らない土地へ移り住んだ場合)などの喪失体験はうつ状態になりやすい。高齢者にとって運転免許証の返納は大きな喪失体験となる。

うつ状態にならなくても車を運転できなくなれば外出は少なくなり、閉じこもり状態になりやすく、地域から孤立してしまう。うつ状態や閉じこもりは運動不足や食欲不振の引き金となり、下肢筋力は低下し転倒しやすくなり、転倒すれば骨折して寝たきりになることもある。

交流に誘うのは早いほど望ましい

軽度認知機能障害の人が返納を契機に認知症に進む場合もある。区会・自治会や互助活動、見守り活動に関わる人たちは運転免許証を返納した、あるいは自家用車を運転しなくなった高齢者に気づいたら、買い物や高齢者が集うサロンに誘うなど交流することが望ましい。早ければ早いほど、閉じこもりやうつ状態から脱することができる。

市は今夏、市内を舞台に、AIを活用して新たな移動手段を目指すとして国土交通省のモデル事業に選ばれた。その技術を生かし、免許返納後も高齢者の活動が維持できる交通システムの整備も急ぐべきだ。

➡【どう考える?免許返納】の過去記事はこちら

お手柄! 湧水を嗅ぎ当てる 筑波山の水脈を守る会の四国犬

0
自噴している泉に手を入れるとひんやり冷たい=つくば市臼井、六所集落裏手の山林

【相澤冬樹】ここ掘れとばかり、愛犬がかき出した地面から水が湧き出した。やがて水が澄んでくると、地中から自噴しているのが分かる。愛犬の名をとって「リリーの泉(仮)」と名付けたのは、「筑波山の水脈を守る会」(つくば市臼井)で事務局を務める茅根紀子さん。同会の活動を1月から始め、4月に作業に入った土地から、6月に来たばかりの四国犬が掘り当てた、最初のお手柄だった。

同会は、筑波山の「水脈」をたずねて、滞ってしまった水の流れを復活させようという取り組みを始めた団体=4月6日付け=で、筑波山南麓の六所集落にある宮山を主に活動している。専門家の指導を受けながら、ワークショップ形式で山に入り下草を刈ったり、沢の河道をふさぐ枝葉を取り除くなどの活動を行っている。

東京生まれの茅根さんは中世ヨーロッパ美術の研究家。2014年、長女の出産を機にドイツ人の夫と地縁も血縁もないつくばにやってきた。筑波山の文化や環境を気に入っての移住だったが、一歩山に入ると森は荒廃し、土壌は硬く、山津波などの災害リスクが高まっているのが分かった。危機感をもつ六所集落の有志らと同会を立ち上げた。

お手柄の四国犬、リリー

水脈整備の作業を始めてから、四国犬の子犬を飼うようになった。6月に来たときは生後3カ月、娘がリリーと名付けた。「お手もお座りもしない、いたずら好き」(茅根さん)のメス犬だった。

ところが8月末、散歩で4月のワークショップで手を入れた場所に向かうと、リリーは突然駆け出し、杉木立の根元を嗅ぎ出した。直後、勢いをつけて掘り出し、小さな穴を鋭角的に掘りはじめたという。

穴を広げてみると、これが湧水だと分かった。付近は沢筋で、河道が途切れたところでも斜面を掘ると伏流水が姿を現す場所だが、ここは水底から砂粒を巻き上げるように自噴しているのが見て取れた。手を入れると冷たく、伏流水の水温とは異なる。六所集落には「ヒヤミズ」と呼ばれる湧き水があるが、今日ほとんど涸れかかっており、作業に入って初めて見つけた湧水ポイントだった。

お手柄のリリーは同会のマスコット的存在になった。茅根さんによれば「四国犬は日本犬のなかでも最もオオカミに近い犬種。嗅覚と聴覚に優れているとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった」そうだ。専門家の意見を聞いて泉の保全を考えていく。

今月は28日が活動日

同会の9月の活動は、28日午前9時、六所皇大神宮霊跡地境内集合で行う。昼食後、随時解散。自然土木が専門の今西友起さんを講師に招く。参加は汚れていい服装(黒系統は避ける)で、水筒はじめノコ鎌や移植ゴテ持参で。昼食代として一人300円(未就学児100円)のカンパを求めている。詳細は同会ブログ