金曜日, 11月 7, 2025
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小中学校も5月31日まで休校延長 つくば、土浦

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つくば市内の義務教育学校

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による学校の臨時休校について、つくば、土浦両市は27日までに、小中学校の休校期間を5月31日まで延長することを決めた。

県が24日、県立高校の休校期間を5月31日まで延長することを決め、小中学校についても同様の対応をとるよう各市町村に要請したことを受けて延長した(25日付)。4月初め時点では小中学校の休校期間は5月6日までだった。

つくば市教委は「この期間の子供たちへの生活支援については、メールや電話、ポスティング等を行い、家庭とやりとりできるようにし、子供たちへの支援に向け可能な限りの対応に努める」としている。

休校期間中、保護者が仕事を休めない子供については、引き続き放課後児童クラブなどで受け入れる。

小学校が休校になり、子供の世話をするため保護者に有給休暇を取得させた企業に対しては、正規、非正規を問わず、国が小学校休業対応助成金で賃金相当額(上限8330円)を助成する。個人事業主の保護者に対しては、国が小学校休業対応支援金で1日4100円を支援する。

公共施設も休館延長

学校の休校期間の延長に併せて、土浦市は市立図書館や博物館、地区公民館などの休館期間を6月1日まで延長することを決めた。

《邑から日本を見る》62 東海第2再稼働の是非は住民投票で

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飯野農夫也氏の版画「憩い」

【コラム・先﨑千尋】「いばらき原発県民投票の会」は22日、日本原子力発電東海第2原発の再稼働の是非を問う県民投票条例制定を求める直接請求署名簿を、県内全44市町村の選挙管理委員会に提出した。署名簿は90,899筆で、法定必要数の1.87倍にあたる。地域別では、県南地域が法定必要数の2倍近く、東海第2原発の再稼働にあたり事前同意が必要な周辺6市村では、東海村が1.95倍、水戸市が1.69倍、那珂市が1.47倍など。

各選管は署名が有効かどうかを審査し、その後署名簿は会に返付される。会では5月25日に大井川知事に条例案と署名を提出する予定だ。条例案は6月の県議会に上程される見通しだが、可決されるかどうかはわからない。

わが国では、国、都道府県、市町村いずれも間接民主制なので、国民、住民が事案に対して直接意思を表明できない。しかし、東京電力福島第1原発の事故でわかるように、原発の存廃は私たちのくらしに大きな影響を及ぼす。そのために、東海第2の再稼働には直接住民の意思を反映させよう、と投票の会が準備を進めてきた。

東海第2の再稼働に関しては、これまで報道機関の世論調査では県民のおおむね3分の2が反対という結果が出ている。また、茨城大学人文社会科学部の渋谷敦史教授らの調査では、住民・県民が直接意思表示する方法を望む人が7割を超えている。もし東海第2が再稼働され、事故が起きたときは、周辺住民の生命、財産は危険にさらされる。これだけは首長や議会に任せられない、自分たちの意思で決めよう、ということだ。

沖縄「辺野古」同様、軟弱地盤

東海第2原発については、昨年秋から今年にかけて動きが活発化してきている。日本原電は一昨年秋に、20年延長などの原子力規制委員会許認可を受け、再稼働の意向を表明し、なし崩しに安全対策工事を進めている。工事の内容は、電源の多重化や防潮堤の建設などだが、東海村など6市村の同意を得ていない。

日本原電と6市村で構成される原子力所在地域首長懇談会(首長懇)の会合が2月18日に開かれた。その席で原電側は、規制委に提出する書類に「原子力施設の使用開始予定時期は2022年12月」と記載し、安全対策工事の終了時期と再稼働時期を同時にしていた。これに首長側は反発。同月26日に、再稼働前に実施される使用前検査は再稼働に直結しないと確約せよと原電に申し入れた。

また、東海第2の再稼働に反対する市民グループの「とめよう!東海第2原発首都圏連絡会」は今月1日に、同意なき工事の中止を求める署名簿を原電に提出した。首長懇の申し入れを受け、日本原電は今月14日に「使用前の検査は再稼働に直結しない」という回答書を6市村に出した。

東海第2の所在地は沖縄辺野古と同様、軟弱地盤であり、津波に耐えられる防潮堤を造るのは無理、と専門家はみている。新型コロナウイルスの影響もあり、原電の思惑通り工事が進められるかはわからない。市町村が策定する避難計画策定も課題が多すぎて、進んでいない。東海第2が再稼働するかどうか、双方にとってこれからが真剣勝負になる。(元瓜連町長)

旅を通し、自分を成長させたい人を後押ししたい 「旅キャリ」武田直樹代表

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武田直樹さん

【池田充雄】交通手段や情報技術の発達によって世界はますます狭くなりつつある。地域活動でさえ、 グローバル世界との関係の中でとらえ直す必要があるとSDGs(持続可能な開発目標)の理念は示す。だれもが一度は外へ出て、大きな枠組みの中で自らの使命を考えるべきだ-と筑波学院大をこの春退職した武田直樹さん(50)は、自主運営組織「旅キャリ」を立ち上げアピールする。

自分の人生をデザインする力を

「旅キャリ」は、さまざまな人に体験学習、フィールドワーク、社会貢献活動、国内外スタディツアーといった「旅」の機会を提供する活動。観光地を訪ねるだけの旅行とは違い、年齢や社会的立場を問わず、旅を通して学びや成長を得ることに力点を置く。

「旅の中でキャリアを積み、社会力を磨く文化を創りたい」と武田さんは訴える。「社会力」はさまざまな人が協力し、より良い社会を作り上げる力のこと。筑波学院大学初代学長の門脇厚司さんが著書『子どもの社会力』(岩波新書)などで提唱した造語だ。

フォレストアドベンチャーつくばでの学生研修会(2015年、つくば市)=武田さん提供

「心の殻を破り、領域外へ出て挑戦するということ。旅先で人々の中に飛び込み、新しいものごとに触れ、そこで自分に何ができるかや何をするべきかなどを見つめ直し、自分の力で人生を作り上げられるようになる。それが今後、ますます重要なテーマになると思う」

さまざまな人の「旅」を応援

武田さん自身も、多くの仕事を通して社会と協働する経験を積み、専門性を磨いてきた。日本国際ボランティアセンターのタイ事務所スタッフや日本テレビの「24時間テレビ」のカンボジア事務所代表なども務めた。

2006年からは筑波学院大学で、社会力コーディネーターとしてオフ・キャンパス・プログラムを推進。これは学生が地域へ出て社会貢献活動を行い、社会力を育む取り組みで、20年までの14年間で約4800人の学生と約260の団体をコーディネートした。その間にも国際協力や災害支援で毎年のように海外を回り、訪れた国は79カ国に及んだ。

2015年9月のシリア難民視察で(イラク・クルド自治区、ナナカリ小児白血病専門病院)=同

退職後のリスタートに当たっても、身をもって「旅キャリ」のコンセプト実現を目指すことにした。まずは自らが世界中を旅するプロジェクトに、クラウドファンディングでの支援を呼び掛けている。

「今回の主な目的は、世界中に新たな人脈を築くこと。旅先でさまざまな生き方をしている人になるべく多く出会い、そこから次の時代に通用するアイデアを得て、限定コミュニティーSNS『旅キャリ』を通して情報発信する。このSNSでは相談や意見交換なども行い、皆さんと一緒に新たな価値を作り上げる場にしたい」

新しい生き方や価値観に期待

旅の開始は今年夏以降の予定だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、先行きはまだ不透明だ。

「コロナの重圧はあまりにも大きいが、これを契機に世界中で新しい生き方や価値観が生み出されると思う。そこに注目していく。行き詰まると人はどうしても萎縮しがちだが、そんなときこそ『旅キャリ』的な生き方が力になると証明したい。そして世界中のみんなが夢と希望を持ち、未来へ向かって懸命に走るような生き方を応援したい」

→「旅キャリ」のクラウドファンディングページはこちら

《食う寝る宇宙》60 太陽から噴き出るガスの塊が地球へ

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【コラム・玉置晋】運用中の人工衛星に関わる仕事柄、僕は毎日、太陽を監視しています。とはいえ、望遠鏡をのぞいているわけではありません。人工衛星や地上の観測機器から得られた画像やグラフを見ながら、「今日の宇宙環境は静穏だから安心だね」とか、「太陽での爆発の影響が地球周辺にも及びそうだね」とか判断し、必要であれば人工衛星の運用者に注意喚起する取り組みを行っています。

こういった取り組みが仕事として確立しているのかといえば、まだ途上です。別な仕事の付帯的な位置付けで活動しつつ、徐々に確立していこうとしています。「求ム、宇宙天気アナリスト!」という求人情報が出る世界を目指しているところです。

地球のコアにはドロドロに溶けた金属が対流しており、電磁石の原理で地磁気を発生していますが、太陽から飛んできたガスの塊が太陽の磁場を運んできて、この地磁気を打ち消す現象が磁気嵐です。その結果、人工衛星が不具合を起こしたり、地上で停電が起きたりといった、影響が出ることもあります。

4月20日、太陽から噴き出すガスの塊が地球をかすめていたことを、皆さんは気付いていますか? この影響で、弱い「磁気嵐」が発生しました。

地球をかすめ、弱い磁気嵐が発生

弱いレベルの磁気嵐でしたので、幸いわれわれの生活への影響は皆無でしたが、もし、これが強力な磁気嵐だったらと思うと、恐ろしいものです。さて、この磁気嵐の元となった現象は、4月15日、太陽から淡いガスの塊が飛び出していたことにあります。地球を直撃するコースではなかったので、塊の端っこが地球にかすったようです。

僕は4月17日の時点で、このガスの塊の存在を認識していましたが、これが地球に影響を及ぼすかの判断は難しく、僕の予想では「磁気嵐は起きない」でした。まだまだ修行が足りませんなあ。

現在、情報通信研究機構宇宙天気予報センターから、24時間365日体制で、「宇宙天気予報」が出されています。みなさんも、是非、ご覧になってください。将来、「求ム、宇宙天気アナリスト!」が出たら、一緒に仕事をしましょう。(宇宙天気防災研究者)

臨時休校を5月31日まで延長 県立高校

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茨城県庁

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による学校の臨時休校について、大井川和彦知事は24日、県立高校と特別支援学校の休校期間を5月31日まで延長すると発表した。小中学校についても同様の対応をとるよう各市町村に要請している。

4月初旬時点では5月6日までを休校期間としていたが、現在の感染状況から、ゴールデンウイーク明けに解除するのは現実的ではないと判断した。

休校中の生徒のケアについては、1~2週間に1回程度、学校が心身の健康状態を定期的に確認するほか、スクールカウンセラーや養護教諭による電話やウェブ会議システムを活用したカウンセリングなどを実施する。

学びの保障については、分散登校や家庭訪問時に、課題の提示と回収、確認とテストのほか個別の質問に対応する。さらにオンライン学習を促進し、授業動画を配信したり、ウェブ会議システムによる授業を推進するとしている。

県教育委員会は、県内の小中高校の先生たちが制作した授業の動画「いばらきオンラインスタディ」をYouTubeで配信している。

小学生向けは、https://sites.google.com/view/ibastudye/

中学生向けは、https://sites.google.com/view/ibarakionlinestudy-j/

高校生向けは、https://www.edu.pref.ibaraki.jp/board/gakkou/koukou/gakuryoku/dougasakusei/index.html

《茨城の創生を考える》15 新型コロナを機に企業も変わるべき

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ダイヤモンド筑波

【コラム・中尾隆友】新型コロナウィルスの感染拡大について、様々なメディアが心の暗くなるような報道ばかりをしている。しかし私は、茨城の企業が今回の出来事をバネにして、大きなチャンスをものにするように願っている。というのも、「テレワーク」という働き方が本格的に普及する環境になってきているからだ。

テレワークは日本の生産性を大幅に引き上げるポテンシャルを秘めている。日本の会社員にとって毎日の「通勤」は「痛勤」と揶揄(やゆ)されるほど肉体的または時間的な負担が大きいので、その負担をなくせるだけでも効果が大きいはずだからだ。

東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県と呼ばれるエリアの会社員は、毎日、満員電車や満員バスに押し込まれ、往復の長い移動だけで疲弊してしまっているが、茨城でも常磐線やTXで東京や千葉に通勤している会社員がいるし、圧倒的に多い車による通勤も決して楽ではない。

ところが、テレワークが一般的な働き方となった場合、毎日の通勤で体力を消耗することもなく、最初から仕事に集中できるようになる。仕事にあたる集中力を高めることができれば、業務の効率性は想定を超えて上がり、だらだらと長時間労働をする必要もなくなっていく。

これまで毎日の通勤にあてている体力と時間をすべて仕事に振り向けることができれば、どれだけの効果がもたらされるのか、想像してみてほしい。

テレワーク拡充で生産性をアップ

たとえば、午前7時から仕事を始め、午後3~4時に終わらせることが十分に可能となるのだ。これからテレワークの仕組みを拡充していくことで、ホワイトカラーの生産性を2~3割引き上げることは難しくはないというわけだ。

総務省の統計によれば、国内でテレワークを導入した企業の割合は2018年の時点で19%と、アメリカの85%と比べ4分の1以下の水準にすぎないという。新型コロナの感染拡大防止のため、足元では20%台後半にまで割合が増えているというが、残念ながら、茨城も含めて地方の中小企業ではほとんど普及が進んでいない。

企業のなかには、「労務管理が難しい」「営業マンに不向きである」といった意見が多いのだが、「できない理由を列挙する」のではなく、「できるためにはどうしたらいいか」を考える段階に来ているのではないだろうか。

日本人の働く場所が1週間のうち3日は自宅に切り替われば、ホワイトカラーの生産性が上がるばかりか、子育てや趣味にあてる時間が増えて生活に潤いが増えていくだろう。

そのうえで、私がお勧めする働き方は、自宅以外に集中力が高まる場所や空間をいくつも確保しておくということだ。たとえば、私は細かいデータを分析するときは、リラックスできる行きつけの喫茶店を利用したりしている。(経営アドバイザー)

つくば市長選・市議選は10月25日投票

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つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市選挙管理委員会は24日、第1回委員会を開き、11月に任期満了となるつくば市長選と市議選について、10月18日告示、25日投開票の日程で同日選挙を実施することを決めたと発表した。

同市長選には、すでに現職の五十嵐立青氏(41)が2期目を目指して立候補を表明している。

前回の市長選は3氏が立候補して激しい選挙戦が展開された。投票率は53.31%だった。今回も激しい選挙戦になるとみられる。

市議選は前回、定数28に対し10人オーバーの38人が立候補した。a

感染拡大の中で生活を続けていく 障害者介助の今

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週に一度、事務所で会議を行っている川島さん(右)と職員

【川端舞】新型コロナウイルスの感染拡大により世の中全体が混乱している今、障害者支援にはどのような影響が出ているのか。介助者のサポートを受けながら一人暮らしをしている障害者の中には、介助者の派遣が止まってしまったら、食事をすることも、医療機関に電話で体調の相談をすることもできない人も多い。

変わってしまった日常

地域で生活している障害者を支援する「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)代表の川島映利奈さんは、自身も脊髄性筋萎縮症という障害を持っていて、24時間、介助者のサポートを受けながらつくば市内のアパートで生活している。

今までは、センターの活動で週に4日、私用で1~2日外出していたが、感染拡大が身近に迫ってきた4月初めからは、週に1~2回、買い物など本当に必要な数時間の外出しかしていない。食事やトイレ、痰の吸引など、日常生活すべてに介助が必要な川島さんは、自分が新型コロナに感染するよりも介助者にうつしてしまうことの方が怖いと話す。部屋のドアノブを一日一回は消毒したり、介助者に手洗いやマスク着用を徹底してもらったりなど、できる限りの感染予防をしている。

最悪を想定、一人一人の対応を検討

「ほにゃら」は、地域で生活している障害者に介助者派遣もしている。「障害者のことは障害者が一番よく知っている」という理念のもと、介助者の採用面接や研修、シフト作りに川島さんも関わっている。

通常、週に1度、利用者や介助者の近況報告・問題共有をするための会議を開いている。そこでは個別具体的な話もされるため、ビデオ通話では難しい。現在週に1度だけ、十分な感染対策をしながら、川島さんも同センター事務所に行っている。

同センターでは最悪の事態を想定した対応策を考えている。利用者一人が感染した場合、その利用者のところに入っていた介助者は濃厚接触者となり、他の利用者の介助にも入れなくなる。濃厚接触者を少なくするために、どの介助者がどの利用者の介助に入るか固定する方法も考えたが、複数の利用者の介助に入っている介助者も多いため、現実的ではなかった。

現状は、利用者と介助者の両方に、手洗いや検温の徹底、利用者の部屋の換気などをお願いするとともに、事務所内の仕事もなるべくそれぞれの家でできるように工夫している。そして、利用者が感染した場合に備えて、使い捨ての防御服や雨合羽、フェイスガードなどを少しずつ備え、どうやって介助するべきかというシミュレーションを利用者一人一人について考えているそうだ。

つくば自立生活センターほにゃらも加盟している全国自立生活センター協議会(東京都八王子市)でも、新型コロナウイルス対策についてのホームページを立ち上げ、感染した障害者を介助する際の注意点などを掲載している。

障害者にとって、介助派遣事業所が感染予防だけでなく、もし利用者が感染した場合の介助方法も事前に考えてくれていることは、何より心強く、不安な中でできる限りの感染予防をやりながら、自分らしい生活を続けていこうと思える力になるだろう。

《宍塚の里山》61 環境省のモニタリング1000調査

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生物相調査風景

【コラム・及川ひろみ】日本は、亜寒帯から亜熱帯にまたがる大小の島々からなり、屈曲に富んだ海岸線と起伏の多い山岳など、変化に富んだ地形や、各地の気候風土に育まれた多様な動植物相が見られます。

多様な生態系(高山帯・森林草原・里地里山・湖沼・砂浜・磯藻場干潟・サンゴ礁・島嶼)のそれぞれについて、環境省では全国1000カ所程度のモニタリングサイトを設け、基礎的な環境情報の収集を長期にわたって(100年)継続し、日本の自然環境の質的・量的な劣化を早期に把握することを目的に調査を行っています。

調査は記録を残すことだけが目的ではありません。結果を生かすことこそが大切なのではと、われわれは環境省のシンポジウムで質問しました。変化を捉えたなら、素早く保全に生かすことが調査の目的ではないかと主張しました。(環境省のHPには調査の目的に保全に生かすとは書かれていないことが残念です)

モニタリング調査を行う環境省の方針のもと、里地里山の調査内容について、日本自然保護協会が専門家、市民2団体と調査・検討を開始したのは2003年のことです。昆虫・植物・土壌・動物・水質などの調査項目が挙がる中、生態系を捉える上で、昆虫より上位に位置する動物の調査が必要だと提案した結果、アカガエルの卵塊調査、哺乳動物調査の項目が入り、試行錯誤をしながら、調査を開始しました。

より正確に里山の自然環境を把握

環境省は里地里山モニタリング調査を、当初、専門家に委託することを考えていました。しかし、身近な自然環境である里地里山調査は、年数回やって来る専門家による調査より、専門性を持った市民が足しげく通って調査する方が、より正確な里山の自然環境の把握ができるのではないか―と思い、(公財)日本自然保護協会と当会が2006年2月、モニタリングシンポジウムを土浦市民会館で開催しました。

そのとき、環境省「モニタリング1000」担当者を前に、これまで行ってきた市民調査を発表した結果、里地里山モニタリング調査は市民団体が行うことになり、その取りまとめを日本自然保護協会が行うという、現在の体制が確立しました。

市民調査と言っても、モニタリング調査に求められることは、正確さと全国一律の方法で実施することです。専門家が各サイトに出かけ、調査の正確さと手法(マニュアル)の指導を行うことで、この問題を解決しました。

われわれの会は、里地里山コアサイトとして、生物相調査(毎月)、アカガエルの卵塊(1~4月)、野鳥(繁殖期・越冬期)、中型哺乳類(5~10月)、カヤネズミ(6月・11月)、チョウルートセンサス(4~11月)、水質(年4回)―の調査を行っています。(宍塚の自然と歴史の会代表)

校舎増築を検討 教室不足のつくば特別支援学校

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県立つくば特別支援学校=つくば市玉取

【山崎実】特別支援学校の過密問題と教室不足対策が県議会などで議論されている。この問題に直面しているのが、人口急増地域に立地するつくば特別支援学校(つくば市玉取)だ。

同校は主に知的障害の子供たちが通う土浦特別支援学校の過密解消と、肢体不自由の子供たちが通う下妻特別支援学校の通学負担軽減を図るため、2007年4月、県内初の知肢併設型特別支援学校として開校した。

しかしその後、少子化傾向の中にあっても、特別支援学校の児童生徒数は増加。特に増加が著しく、過密状態のつくば特別支援学校は、2017年度に28教室が不足した。

2019年4月に石岡特別支援学校が開校したのに併せ通学区域を変更。急場をしのいできたが、しかしそれでも普通教室の不足が生じている。

5年後の2024年度ピーク

このため現在、一つの普通教室を仕切って二つに分けて使用したり、実習室などの特別教室を普通教室に転用するなどの措置を講じているが、今後、児童生徒数がピークを迎えると推計される5年後の2024年度には、不足教室が約17教室生じる見込みになるという。

このままではいつまでも問題は解決しない。県は特別支援学校の全県的な抜本的対策の検討に乗り出し、今年2月、県立特別支援学校教育環境整備計画を策定した。つくば特別支援学校は、近隣の用地取得を含め、校舎の増築など施設の拡充を検討するとしている。

つくば特別支援学校の教室不足対策は、整備計画の中でも優先度が高い。そこで県は、「児童生徒にとって学習しやすい環境を最優先に、防災の観点やスクールバスの動線、駐車場の確保など施設の配置を踏まえながら、教室不足の解消に向け校舎の増築を進めていく」(教育庁)方針だ。

増築にかかる必要な土地調査や、具体的な設計はこれからだが、「教育現場の意見を積極的に取り入れ、知的障害、肢体不自由の子どもたちが利用しやすい施設となるよう努力していく」(同)と議会答弁で約束した。

《ひょうたんの眼》26 10万円給付は手付金

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馬酔木の新芽

【コラム・高橋恵一】政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対策として、やっと国民1人当たり10万円を支給することにした。経済対策というより、生活不安を和らげる意味合いの方が強いであろう。感染拡大と外出「自粛」によって、国民は極度の多重不安にさらされている。

中国での新型コロナウイルス感染症の発生と、それに続く武漢封鎖が1月中旬。さらに、感染拡大が中国周辺だけでなく、ヨーロッパにまで一気に広がったことには、驚いた。

日本で最初に感染者が出てから3カ月。報道によると、感染拡大を受けて、台湾や韓国は、検査の徹底により、どうやら危機は乗り越えた。欧州では、イギリスが賃金の80%保証、スイスの現金給付などにより、徹底した外出規制と国民の生活不安緩和を手早く措置しているように見える。ドイツは、隣国の患者まで引き受けるほどに万全な医療体制を組んだようだ。早々と。

新型コロナの感染拡大は、地震や津波、大空襲などによる都市の壊滅的な破壊と同じような状態になろうとしているのだ。日本は、世界の動きを横目に見ながら愚図愚図(ぐずぐず)としていて、現時点での具体的な対策は、各戸2枚の布マスク配布着手と、補償もはっきりしないままの外出自粛要請だけなのだ。

先ず、さっさと10万円を支給する。国民に一口水を飲んで貰って、落ち着きを促し、広範な休業補償、生活保障をすることを宣言して、新型コロナの感染拡大を抑え込むべきだ。

連休中に各人の口座に振り込め

10万円は、国が国民の命と生活を守り抜く決意の手付金みたいなものだ。だから、スピードが肝心だ。東日本大震災の津波被害を受けた北茨城市では、被害世帯の当座をしのぐために、市が保証して銀行を巻き込み10万円の緊急無利子融資を実施した。危機管理の好例である。

選挙の投票券のように、予算成立の時には、給付金申請の用紙が届いていてよい。実務は市町村だろうから、市役所は連休前半を稼働してもらって、連休を後ろ倒しにしてもらう。金融機関も、だ。どうせ、連休後も外出自粛は続けざるを得ないだろうが、連休中には、各人の口座に振り込まれていて欲しい。

10万円一律支給で13兆円くらい必要になる。今後の追加対策で、真水で100兆円を超えるかもしれない。財源は、国債発行になり、その面から慎重意見がある。しかし、日本は下手な経済財政運営で、すでに1100兆円、GDPの2年分に相当する国債を抱え込んでいるのだから、2カ月分増えるだけである。

経済政策として、「ベーシックインカム」を確保するという個人消費創出先行の考え方があり、すでに取り組んでいる国もある。供給側を優遇して内部留保と格差が拡大する、現代資本主義の見直しが模索されているこのタイミングに、今回の経済対策は、将来の経済政策のヒントになるかもしれない。(元茨城県生活環境部長)

市営駐車場が一斉閉鎖 筑波山中腹

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閉鎖された筑波山中腹の市営駐車場=22日

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大により、知事による休業要請がテーマパークや商業施設などにまで大幅に拡大された22日、つくば市の観光の中心地、筑波山では、中腹の市営駐車場4カ所(計約470台)が一斉に閉鎖された。閉鎖期間は5月6日まで。

市観光推進課によると、緊急事態宣言が出された後も筑波山には県外ナンバーの車が多く来ていたことから、不要不急の外出自粛に協力してもらうため閉鎖に踏み切った。

市に対しては、観光業者関係者などから「筑波山に県外ナンバーの車がたくさん来ていて感染リスクが気になる」などの声が寄せられていたという。18日、同課が市営駐車場を利用する車を調べたところ、半数が首都圏などの県外ナンバーだった。

土産品店も一斉休業

土産品店などが一斉に休業し閑散とした筑波山神社門前通り=22日

駐車場の閉鎖と同時に、筑波山神社門前通りの土産品店や飲食店などは22日、一斉に休業し、閑散とした。

市は前日の21日付けで、筑波山中腹のホテルや旅館、土産品店、飲食店などの観光業者約40数件すべてに、新型コロナウイルス感染防止に向けさらなる配慮を求める通知を出した。市営駐車場の閉鎖と市の通知を受けて、土産品店などが一斉休業した形だ。

筑波山ケーブルカー宮脇駅近くで土産品店を経営する女性は「3月までは、山は(3密ではないので)大丈夫だろうと来る人がいたが、4月に入って緊急事態宣言が出された後はそれもなくなり、人出は10分の1になった。この先どうなるか不安」だと話していた。

筑波山の麓にある犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」も、県と市の休業要請を受けて22日から5月6日まで休業となった。

筑波山つつじケ丘駐車場は22日時点で利用できるが、県道路公社によると、今後閉鎖するかどうか検討しているという。

《県南の食生活》12 ミーコ(水路)の恵み

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現在(2019年)の田んぼの様子

【コラム・古家晴美】新緑が鮮やかな季節となってまいりましたが、新型コロナウィルスの影響で、おうちにこもって仕事や勉強をされている方もいらっしゃると思います。例年、ゴールデンウィーク前後になると、田植えをされている光景が見受けられますが、今回は田んぼや周辺の水路から頂戴(ちょうだい)してきた恵みについてです。

昭和30年ごろまでは、子供たちは夜になるとかがり火を持ち、まだ苗が植えられていない田んぼへやって来て、棒の先に針をつけた道具でドジョウを捕まえるドジョウブチをしていました。この時期はフナやコイの産卵期(ノッコミ)で、大人たちは産卵のために霞ケ浦から水路に上って来たノボリブナの魚群を玉網(たまあみ)で獲りますが、子供たちは川をせき止めて水を汲み出して魚を獲るカワボシ(カッポシ)を行っていました。

また、平成の初めごろまでは、5月に入ると、霞ケ浦の手前の堀に3~4メートルのシド(袋網)を張ったり、突きヤスを持って毎晩のように魚獲りに出かけたと言います。網にかかったドジョウが多過ぎて、酸欠で死んでしまうこともあったほど獲れたそうです。谷田部からわざわざやって来て、カーバイトランプを頭に照らしてドジョウを獲る人もいて、堤防はとにかくにぎやかでした。

いつもは島津(現阿見町)から自転車で売りに来る魚を買っていた方も、この時期には獲れ過ぎたドジョウを自宅で身を開かないままみそ汁に入れて食べ、残りを舟子(現美浦村)の魚屋さんに売りに行きました。

ドジョウ、コイ、フナ、ライギョ、ナマズ

湖岸に面していない農村部でも、田植え後に稲の丈が伸びてきたころ、大雨が降り水路から霞ケ浦へ大量の水が注ぎ込むようなときや、逆に霞ケ浦が増水して川の水がさかのぼってくるようなときには、途中に網やわなを仕掛けておくと、ドジョウのほかに、コイやフナ、ライギョ、ナマズなど様々な魚がたくさん獲れました。

フナはこってりとした味で、特にマブナの方はヒラブナ(ヘラブナ)よりも美味しかったとのこと。コイやフナはウロコと内臓を自分で取って、煮たり焼き浸しに、ライギョは切ってから火であぶり、皮をスルッとむいてから煮ると、背骨以外に小骨がなく、とても美味しかったと言います。

釣り好きの人にとって、この時期の夜の漁は、食糧確保と言う面ばかりでなく、獲ること自体が大きな楽しみだったそうです。疲れていても夜な夜な出掛けてしまうので、シーズン明けの6~7月になると、不摂生がたたり体調を崩すこともあったとか。

外に出て人に会いたいとウズウズしている方も多いと思いますが、このコロナウィルス騒動が1日でも早く終息しますように。(筑波学院大学教授)

「親にプレッシャー」 つくば市の保育園利用自粛通知に不安の声

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保育園のお昼寝の敷布団とタオル(本文と関係ありません)

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、つくば市は17日、保育園などを利用する保護者に対しさらなる利用自粛を求める通知を出した。「今後、利用率が下がらない場合や、市内で感染が拡大する場合は施設を休園する可能性もある」「(休園となっても)保護者が医療従事者等の場合は子どもを預かる」などと書かれていたことから、保護者から「医療従事者でないと子どもを預けることができないのか」など不安が声が出ている。

医療従事者だけ?

同市研究学園、ラ・フェリーチェ保育園では、保護者から「私は医療従事者ではないが、医療機器をつくる会社で働いている。それでも仕事を休まないといけないのか」などの声が高橋晃雄園長に寄せられたという。

不安の声を受けて高橋園長は20日、厚労省の見解を元に、自身の考えをまとめた文書を保護者に手渡した。「親にプレッシャーを与える施策を私は支持しない」「それぞれの家庭にはそれぞれの事情があり、事情の重要性はその家庭が判断すべき」だとする内容だ。

緊急事態宣言後、保育園の受け入れ対応が市町村によって異なったことから、厚労省は7日、医療従事者や、社会の機能を維持するために就業を継続することが必要な人、ひとり親家庭などで仕事を休むことが困難な人などの子どもは、保育園で受け入れるよう通知している。

高橋園長は「医療従事者だけでなく、医療機器をつくる人も、スーパーで働く人も、配送する人も、社会の機能を維持するために働いている。さらに、それぞれの家庭にはそれぞれの事情がある」とし、「確かに保育園は過密で感染リスクは家庭より高い。市が焦るのは分かるが、プレッシャーを与えるのはいかがなものか」と話す。

厚労省と同じ

一方、市は、4月6日付けで保育所の保護者に利用自粛を要請。しかし利用率がなかなか低下せず過密な状況が解消しないことなどから、さらなる利用自粛を求める通知を17日に出した。

「医療従事者しか預かってもらえないのか」という保護者の不安に対して、市幼児保育課は「『医療従事者等』と書いており、『等』の中に社会機能を維持するために働いている保護者などが含まれる」とし、厚労省の見解とつくば市の見解が異なるということではないとしている。

市は通知の中でさらに、保育園の直近の利用状況として、4月第2週(6~10日)の平均利用率が70.4%だったところ、16日に54.2%、17日に52.3%と、先週と比較して自粛効果が現われているとした。しかしこの数字は公立保育所だけの数字。同課は誤解を与えてしまったとしている。

《法律かけこみ寺》17 善悪の此岸

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土浦市文京町の神龍寺山門(写真は本文と関係ありません)

【コラム・浦本弘海】前回はクーリング・オフという制度の紹介をいたしました。ところで、新型コロナウイルス感染症の拡大をチャンスとばかり、詐欺や詐欺的商法が活発化しています。そこで今回も消費者として知っておきたい法律を紹介します。

最近、身に覚えのない使い捨てマスクが送りつけられる事案が発生しています。一方的に商品を送りつけ、送られた人が商品の購入をしない旨の通知をしないと購入だと決めつけて代金を請求する悪質な商法、これを「送りつけ商法」と言います。

身に覚えのない使い捨てマスクも、送りつけ商法と考えたほうがよさそうです(知り合いからのサプライズという可能性もありますが…)。

そこで、送りつけ商法の対処法を。

1.お金は払わない(代金引換の場合も)。事業者に連絡する必要も返送する必要もない。

2.マスクが送付されたら14日間は使用せずに保管する。14日以内にマスクを使うと商品を購入したとみなされるので注意!

3.送付から14日間を経過したときはマスクを自由に処分でき、事業者からの返還請求に応ずる必要はない(14日以内に引き取りにきた場合は返還のこと)。

世に詐欺人の種は尽きまじ

消費者庁の対応方法の資料には、最初に「とにかく、ひとまず落ち着きましょう。」とあります。これはあらゆる詐欺や詐欺的商法への最高の処方箋です。逆に落ち着かせないのが向こうの手口なので、少しでも不審に思ったら、まずご家族などに相談なさってください。

ちなみに上記対処法の法律上の根拠は、特定商取引に関する法律59条1項です(法律のコラムなので条文も載せたいところですが、かなり長いので省略します)。

石川五右衛門の辞世の歌に「石川や/浜の真砂は/尽きるとも/世に盗人(ぬすびと)の/種は尽きまじ」というのが伝わっていますが、世に詐欺人(さぎびと)の種も尽きないようです。

新型コロナウイルス感染症関連の消費者トラブルについて、国民生活センターのサイトにいろいろな実例が掲載されています。消費者庁のサイトでも注意喚起がされています。どうかご注意を!

なお、電話勧誘などでたしかに商品を買ったが後悔している!といった場合、前回紹介したクーリング・オフ制度が使える可能性がありますので、国民生活センターなどにご相談ください。(弁護士)

テイクアウト飲食店に一律10万円 つくば市が1億6000万の緊急経済対策

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市議会全員協議会後に記者会見し、4つの緊急経済対策を発表する五十嵐立青市長=20日、つくば市役所

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けているつくば市の事業者に、同市は20日、総額1億6400万円の緊急経済対策を実施すると発表した。食事のテイクアウト(持ち帰り)を実施している飲食店に一律10万円を給付するなど4つの対策に取り組む。

同日、市議会全員協議会を開き、五十嵐立青市長が説明した。5月1日に臨時議会を開き、補正予算案を提案する。可決されれば5月1日から受け付けを開始する。

緊急経済対策はほかに、クラウドファンディングで民間資金を集め、芸術文化事業やタクシーなどの旅客運送、飲食店などのチケットを事前購入してもらい経済的被害の大きい事業者に前払いする▽従業員が新型コロナウイルスに感染して売り上げが減少した事業者に100万円、個人事業主に50万円を給付する▽売り上げが減少しているホテルや旅館に最大300万円を給付するーなど。財源は財政調整基金を活用するという。

飲食店500店を想定

一律10万円のテイクアウト協力金は、外出自粛要請で外食する客が減る中、密閉空間、密集場所、密接場面の3密を防ぐテイクアウトやデリバリー(出前)の取り組みをしている市内の飲食店を支援する。店内で飲食を提供しているか、提供を止めているかにかかわらず給付する。

テイクアウト実施店に対してはさらに、市が5月中にホームページを作って各店のテイクアウトメニューや価格などを掲載し宣伝する。テイクアウト店を一堂に掲載したちらしなども制作し7月1日付けの市広報紙と一緒に各世帯に配布する。飲食店の店頭に置くのぼり旗やステッカーなども市が制作する。

市内にある飲食店のほぼ半数に当たる計500店を給付対象として想定しているという。事業費は5400万円。

市が2割上乗せ

クラウドファンディングによるチケットの前払いは、新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けている文化芸術、旅客運送、飲食店など5分野程度を想定している。コンサートや公演、タクシー乗車、飲食など各事業者にメニューを提案してもらい、応援したいという市内外の市民などから広く資金を募る。

詳しい内容は、市と事業者団体などによる実行委員会を5月早々に設立して決める。チケットを前払いで購入してもらう際、市がチケット料金の2割を上乗せする形で補助し、事業者と利用者双方にお得感がある仕組みを作って前払い購入を促進する。市が負担する上乗せ分として1分野当たり約880万円、5分野で約4400万円を計上する。

隠させないで支援

従業員などが新型コロナウイルスに感染した場合の最大100万円の給付は、事業休止による売り上げ減少や再開に向けた設備の消毒費用などを支援する。感染を隠しながら営業したり、働き続けるのを防ぐことも目的の一つ。

売り上げが50%以上減った中小企業に上限200万円、個人事業主に上限100万円を給付する国の持続化給付金を受給した事業者が対象で、同給付金に市が上乗せする形となる。事業費は1500万円で、中小企業10件、個人10件を想定している。

宿泊者に7000円補助は取り止め

ホテルや旅館など宿泊事業者への支援は、売り上げの減少分と客室の規模に応じて最大80万円から300万円の給付となる。

一方、市は3月議会で、市内のホテルや旅館の宿泊者に1人最高7000円(宿泊費5000円割引、食事券2000円交付)を補助することを決めていた(3月13日付)。新型コロナウイルスが収束すれば取り組むとしていたが、現時点で収束の見通しが立たず事業を開始できる状況にないことから、宿泊者に最高7000円を補助する事業は取り止める。3月議会で計上した9000万円の予算は組み替えて、宿泊事業者に最大300万円を直接給付する事業に充てる。事業費は約5100万円。

宿泊費の割引と併せて交付するとしていた1人2000円の食事券についても、収束の見通しが立たず事業を開始できる状況にないことから、こちらも予算を組み替えて、食事券利用対象の申請を受けた飲食店に一律6万円を給付する。食事券2000円の交付事業には、すでに市内の約240店の飲食店から参加の申し込みがあるという。

3月議会で決めた宿泊者への割引などは、国が旅行商品の2分の1をクーポンなどで付与する消費喚起事業(GoToキャンペーン)を感染収束後に実施することを発表したため、国の事業に代えてもらう。宿泊者に配布するとしていた食事券についてのみ、感染の収束を見極めて、宿泊者を対象に先着約1万人に2000円の食事券を配布する事業を実施する予定という。

古民家ブック作成 活用事例を紹介 県

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「いばらき古民家ブック2020」

【山崎実】古民家を活用した茨城ブランド力向上を進めている県は、県内の古民家活用事例を紹介する冊子「いばらき古民家ブック2020」(A4判、8ページ)を初めて作成した。県関係機関や移住相談窓口、道の駅、図書館、県内外のイベントなどで2万5000部を配布し展開していく。

地方創生推進交付金を活用し、貴重な地域資源である古民家の活用方法などを広域連携で展開していくことで、県のイメージアップやブランド力向上につなげるのが狙い。

業種別に地域バランスを考慮して作成した。県内15件の古民家活用事例を紹介。例えば、つくば市金田の藤右エ門は「築約190年のかやぶき屋根の民家を活用したイタリアンレストランで、梁や大黒柱の存在感と、長い時間が産んだ建物の自然なゆがみを活用して設計された」と紹介されている。

同市小野崎のShingoster LIVING(シンゴスター・リビング)は「つくば市の大通りから脇道に進むと現れる。築70年の土壁の木造蔵を改装したギャラリーショップ。隣接する飲食店舗の現代的な造形との対比も特徴的」と記載されている。

15事例は、古民家オーナーに取材を行い、活用のきっかけなどを分かりやすくまとめているほか、県内マップに表示し、観光周遊にも役立ててもらう。

県は「古民家の活用を検討している人、古民家の魅力を楽しみたい人の参考として、あるいは本県への誘客、移住促進、または空き家対策などに活用してほしい」と作成の意義を強調している。

問い合わせは県地域振興課(電話029-301-2786)。

《吾妻カガミ》80 「大型コロナ病床をつくばに」の是非

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日本財団つくば研究所跡地

【コラム・坂本栄】新型コロナウイルスとの戦いの激化にともない、緊急事態の対象地域を広げるなど、国や自治体の対コロナ戦の陣形も整ってきました。2週間前のコラム(4月6日掲載)では、政府の取り組みを「初期対応は緊張感に欠け、…戦時の形にはなっておりません」と記し、つくば市については「ナイーブな施策が見られました」と指摘しましたが、やっと本気になってきたようです。

それでも、外出自粛(人の移動を抑える)や店舗閉鎖(群れる場を減らす)といった作戦の基本に対する国民・市民の不平不満を気にしているのか、オペレーションにはチグハグなところがあります。医療崩壊を恐れ、国と激論した東京都に比べると、国にもつくば市にもまだ甘さが見られます。

対コロナ作戦で各主体にばらつきがある中、実戦的な策が飛び込んで来ました。競艇の収益で公益活動をしている日本財団が、つくば市内に保有する1万7300坪の研究所跡地に、軽症コロナ患者(戦傷者)の病床施設(野戦病院)を建て、戦傷者を収容するという緊急支援策です。

その詳細は「『市の理解得ながら進める』 日本財団 つくばに軽症者病床9000床整備」(4月5日掲)をご覧ください。大型テントなどから成る施設の建設費、そこに詰める医者や看護師の人件費などは、すべて財団が負担するそうです。

同財団は、首都圏でコロナ患者が増えると想定、設備が整っている病院は重症者用とし、軽症者はつくばなどの施設に移すことで、東京の医療崩壊を回避したいと考えています。7月末までに稼働させたいと言っており、東京の医療崩壊(事実上の首都崩壊)を阻止するための、現実的な取り組みといえます。

「戦時」にコンセンサス型?

この支援に対し、つくば市はできれば断わりたいとのスタンスです。詳細については「つくば市長、受け入れに難色 日本財団9000床整備計画」(4月6日掲載)をご覧ください。

その理由を整理すると、①事前に何の相談もなかった②7月末の完成では遅すぎる③県と市で同様の施設(36床!)を用意する④市民の同意を得るのは難しい―ということでしょうか。①と②と③は断る理屈付けであって、市長が「(住民に理解してもらう)プロセス構築が極めて困難」と言っているように、本音は④にあるようです。

軽症者用とはいえ、コロナ感染源になるリスクを抱える迷惑施設―と、市民に受け止められるのを恐れたのでしょう。コンセンサス型の行政を進める市長にとっては、当然の判断かも知れません。

しかし、東京の医療崩壊は日本経済の破綻につながります。日本財団の支援は首都陥落を阻止する決定打ではありませんが、国の緊急事態宣言を受け、都が策定した対コロナ作戦を補完するものであることは間違いありません。非常時(戦時)のいま、首長に必要な素質はリーダーシップ型であり、通常時(平時)のコンセンサス型ではありません。

つくば市は、その成り立ちからしても、国との関係で特殊な位置にある自治体です。「つくばファースト」ではなく、「日本ファースト」が求められています。(経済ジャーナリスト、戦史研究者)

女性のシェアハウスオープン つくばの居住支援法人LANS 市内2軒目

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3月にオープンした2軒目のシェアハウスで入居者の女性と話をする浅井さん(右)

【鈴木宏子】住まいに困っている低所得者などに民間のアパートを紹介したり相談や見守りをする、つくば市の居住支援法人「LANS(ランズ=ライフ・アシスト・ネットワーク・サービス)」(浅井和幸代表)がこのほど、2軒目のシェアハウスを同市内にオープンした。

空き家だった6LDKの一戸建て住宅を活用した女性専用のシェアハウス(定員4人)で、緊急の住まいや一時的な避難所などとして運営する。住宅の所有者からLANSが賃貸し、県の補助金を受けて3月に開所した。現在20代と40代の女性2人が入居している。

交通事故きっかけ

このうち40代女性は4月初旬に入居したばかり。離婚し、つくば市内の実家に戻ったが、家族と折り合いが悪く、2年前に実家を出た。その後は仕事をしながらウイークリーマンションで暮らし、自立した生活を送った。

暗転したのは交通事故がきっかけだ。昨年の夏は、派遣社員として夜間に荷物の仕分けをする仕事に就いていた。自転車で出勤途中、信号機のある横断歩道で右折車にはねられ、けがを負った。軽傷だったため治ると仕事に復帰できたが、今度は胸の痛みを感じるようになった。病院に行ったところ、ろっ骨が折れていたことが分かり、医師からは安静にするよう言われた。なぜろっ骨が折れたのか、原因が分からないまま、荷物を運ぶ仕事が続けられなくなり、昨年10月、仕事を辞めた。

今年3月、家賃を払えなくなり、ウイークリーマンションを出た。その後、約2週間、県南のネットカフェを転々とした。

所持金が底を尽き、友人に相談。友人の付き添いでつくば市役所に相談に行き、市役所の紹介でLANSのシェアハウスに入居できた。

女性は「仕事を見つけて自立し、自分で部屋を借りられるようにしたい」と話す。

とにかく相談を

LANSは住宅セーフティネット法に基づく県内第1号の支援団体だ。精神保健福祉士で、引きこもりの若者の自立支援に取り組む浅井さんら3人が2018年7月に設立した。

住宅確保が難しい低所得者のほか、母子家庭やDV(配偶者や恋人からの暴力)被害者などに一時避難所や住まいを紹介したり、入居を拒まれがちな一人暮らしの高齢者や障害者に民間のアパートなどを紹介している。

18年7月につくば市内の空き家だった一戸建てを活用して1軒目のシェアハウスを開設した。これまで1年半の間に、自立を目指す引きこもりの若者、家賃が払えなくなった高齢者、母子など計7人が利用した。現在は男性3人が入居している。

浅井代表は「生活サイクルが悪化して住む場所を確保できなくなっている人は、とにかく相談してほしい。1人でも世帯でも対応できる。家賃を払えない場合でも、一緒に払える方法を探したい」と話す。

◆女性シェアハウスは家賃月3万円。入所者を支援するカンパや生活物資の寄付なども受け付けている。

LANSの問い合わせは電話080-1018-7670、メールはasai-kazu@sinri-soudan.com(いずれも浅井さん)。

➡LANSの過去記事はこちら

優秀ビジネスプランに3社 中小企業の競争力強化支援 県

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土浦・つくば地区から関東情報サービス、東京電機の2社が選定

【山崎実】県が2019年度からスタートさせた「次世代技術活用ビジネスイノベーション創出事業」の優秀ビジネスプランに、▽関東鉄道グループのソフトウエア開発会社、関東情報サービス(土浦市文京町、塚﨑俊一社長)▽自家発電装置の製造・販売会社、東京電機(つくば市桜、塩谷智彦社長)▽ゴム成型・精密機械部品製造会社、ハリガイ工業(常総市大生郷町、小室勉社長)の3社が選定された。

同事業は、県内中小企業の競争力強化を図るため、県が、IOT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などのノウハウ修得から、ビジネスプランの構築、次世代技術を活用したビジネスの創出・展開まで、一貫した支援を実施し、ビジネスプランの事業化に必要な経費(上限500万円)を補助する。

関東情報サービスのビジネスプランは、画像認識とAIを活用した道路路面診断。路面の穴や段差など道路の老朽化を画像認識とAIで自動判定する。道路巡回監視のコスト削減や早期発見による事故防止、作業現場の負担軽減や省力化ができる。

東京電機は、IOT活用の遠隔操作が可能なゴムクローラー付き移動電源車の開発。災害時などに孤立した地域へ速やかに電源を供給し、電源復旧までの時間と費用が削減できる。

ハリガイ工業は、ゴムと炭素繊維を複合化した高強度、高弾性、耐衝撃性などの特性をもつ新素材の開発。土木や防災分野への応用が期待できる。

県はこれら優秀プランについて、引き続き今年度も事業化に向けた支援を行っていく。同時に「次世代技術活用ビジネスイノベーション創出事業」を継続して実施し、新ビジネス創出のワンストップ支援、ビジネスプラン実証支援などに1億2800万円を当初予算で措置している。

問い合わせは県技術革新課(電話029-301-3579)