土曜日, 5月 18, 2024
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「遺贈」で提携 筑波銀行と日赤茨城

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協定式に臨んだ筑波銀行の長嶋明伸営業本部長(右)と日本赤十字社茨城支部の服部隆全事務局長

筑波銀行(本店 ・土浦市、生田雅彦頭取)が15日、日本赤十字社茨城県支部(水戸市、日赤茨城)と「遺贈寄付に係る業務提携協定」を締結し、締結調印式を、同日、筑波銀行つくば本部ビルで行った。「遺贈」とは、遺言により遺言者の財産を特定の個人や団体に無償で譲ること。今後、双方の連携を通じて、遺贈寄付の希望者へのサポート体制を充実させる構えだ。日赤茨城は、災害救護をはじめとする活動資金確保の多様化を期待する。

社会貢献意識高まる

会見で、筑波銀行取締役の長島明伸営業本部長は、協定締結の背景について、高齢化社会の中で多様化する顧客のニーズや、社会貢献意欲の向上をあげ、顧客の要望に応えるためのサービス手段の一つとして、今回の協定締結に至ったとした。

日赤茨城の服部隆全事務局長は、高まる社会貢献意識の背景として「阪神淡路大震災や東日本大震災を通じて、助け合いの気持ちが強くなった。また間近で支援する人々の姿を見る機会が増えた」ことをあげる。さらに遺贈寄付については、昨年、同社に31件の相談が寄せられたとし、「年々増加傾向にある。高齢化社会で、子どもが少ない家庭や単身世帯の増加など、社会構造の変化がある」と指摘した。

寄付の市場規模拡大

2021年11月、認定NPO法人「日本ファンドレイジング協会」が、国内の寄付市場調査をもとに「寄付白書2021」発表した。それによると、2020年の個人寄付の総額は、名目GDPの0.23%に相当する、1兆2126億円であり、2016年の調査から1.5倍以上増えたとしている。また、NPO法人「国境なき医師団日本」の2018年の調査によると、「遺贈」の認知度は70代で85.5%におよび、「遺贈してもよい」と考えるのは全体の49.8%と、半数にのぼっている。また同調査では、「遺贈の魅力」の上位に、「遺産の託し先を自分で決められる」「遺贈先によって相続税の控除が受けられる」ことがあがっている。

要望かなえる

協定締結により、今後、両者は連携を密にしながら、遺贈希望者に対して双方を紹介し合い情報提供するなどし、遺贈希望者の要望をかなえていくとした。筑波銀行では、遺言書作成や保管、必要時の提携信託会社との仲介など、顧客に寄り添ったサービスを充実させていくとした。(柴田大輔)

「気軽に豪華なキャンプ」を記者が体験 19日、土浦にオープン

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記者が宿泊したスタンダードドーム。広い窓から風景を一望できる

グランピングヒルズ「アウテラス茨城」

「気軽に豪華なキャンプを楽しむ」をコンセプトに、全棟独立型で完全プライベート空間を実現したグランピングヒルズ「アウテラス茨城」(にしがき、本社・京都府)が19日、土浦市東城寺にオープンする。関東平野を見渡す山の斜面に、白いドーム型テントと、コテージが点在する。都心から車で1時間、土浦、つくば市街地から10キロほどの場所にある。周囲には、県内外から多くの観光客が訪れる筑波山や、パラグライダー、ハンググライダーなどスカイスポーツが楽しめる朝日峠がある。

家族で気軽に ペット同伴も

オープンに先立ち、メディア向けに施設が公開され、記者も宿泊体験をした。

以前からキャンプには関心があったが、テントをはじめとする装備をそろえたり、設置したりといった手間を負担に感じていた。それがここでは着替え一式あればよく、バック一つで気軽に行くことができる。

記者が泊まったのはドーム型テント。幅約8メートルの窓からは、周囲の山と関東平野を見渡せ、床はカーペット敷きで、そのまま寝転ぶこともできる。各部屋にある専用浴室で、いつでも汗を流すことができるのもありがたい。たき火セットもレンタルでき、夜は各棟でさらにキャンプ気分を満喫できる。

遮音性にすぐれたコテージもあり、小さな子どもがいる人も安心して泊まることができる。犬同伴で宿泊ができる「コクーンテント」は、犬が走り回れる屋外スペースや、犬用アメニティも準備されている。「ペットと泊まれる場所が少ないという飼い主たちの思いに応える取り組み」と、アウテラス茨城の広報、森下めぐみさんは話す。

敷地内の路地には桜の木が植えられ、春には桜を満喫できる

豊富な地元食材を堪能

バーベキューは、食材の準備、火起こしや加減の調節、後片付けなど、手間がかかる。ここでは、各部屋のダイニングキッチンにはバーベキューコンロが設置され、届けられた食材を焼くだけでよい。

食材は常陸牛、ローズポークのスペアリブ、土浦産レンコン、貝類など、豪華な茨城の味を堪能できる。アヒージョやラタトィユなど、手のこんだ料理もスキレット(鉄製のフライパン)ごとコンロに入れるだけ。後片づけも任せられるので、家族や友人とゆったり過ごすことができる。ビールやハイボール、つまみなどをそろえた無料のフリードリンクバーもある。野菜をたくさん食べたい人は、共有スペースに用意された茨城産の野菜(無料)を部屋に持ち帰り、焼くこともできる。

地場産の豊富な食材でバーベキューを楽しめる

素泊まりプランで、好みの食材を持ち込むなど、予算や場面に応じて自由な楽しみ方も可能だ。森下さんは「女子会などでも気軽に使ってほしい」と言う。このほか、ピザづくりやヨガ、貸し切りサウナなども体験できる。幅広い年齢層が楽しむことができる。

ポテンシャル高い地域

新型コロナ対策に関し、森下さんはこう話す。「当施設は全棟独立型で、他のお客様との接触も少なく24時間換気を行っているので、比較的安心してご利用いただけるのではないかと思います。希望によっては、チェックイン、チェックアウトをそれぞれのお部屋で行うこともできますし、食材も冷蔵庫に入れておくなどして、接触を減らすことも可能です」。こうした機能的な背景から「コロナ禍でもグランピングの需要は伸びている」という。

全国グランピング協会によると、新型コロナ感染拡大により影響を受ける中小企業への支援策として2021年3月から始まった事業再構築補助金制度には、200件以上のグランピング事業が採択されており、コロナ禍、グランピング施設の増加が予想されているという。

「この地域は首都圏からのアクセスが良く、気軽にアウトドアを楽しむ機会をつくりたい」とし、森下さんは地域の魅力をこう話す。「霞ケ浦も筑波山も近く、豊かな自然と、山と海の食材が豊富な茨城は、ポテンシャルの高い地域。そして何より人がやさしい。そこに助けられている。皆さんに支えてもらい、私たちも茨城に貢献できたらと思っています」。(柴田大輔)

敷地内は、職員が運転する専用カートで移動することができる

◆客室は全15棟、それぞれに冷暖房が完備され、シャワー・バスルーム、トイレ、個別食事スペースがついている。料金は、1泊2食付きグランピングBBQプランが2万3430円から(消費税込み)、素泊まりが1万2980円から(同)。予約や詳細は、公式サイトにて。また、その他の問い合わせは、電話050-3198-5845にて受け付けている。

コロナ対策避難所を検証 つくば 水素燃料バスで電源供給も

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新型コロナ対策のため1~2メートルずつ間隔を空けて敷かれたブルーシートに移動する避難者役の職員(右)=つくば市北条、旧筑波東中学校体育館

つくば市の指定避難所となっている旧筑波東中学校体育館(同市北条)で14日、新型コロナウイルス対策を施した避難所レイアウトの検証が実施された。併せて、災害時の停電を想定した水素燃料電池バスによる電源供給の実証実験も実施された。

つくば市と筑波大、茨城県が共同で実施した。避難所感染症対策の検証は、筑波大医学医療系感染症内科学の鈴木広道教授がアドバイスなどした。水素燃料電池バスによる電源供給は内閣府の戦略的イノベーション創出プログラムの一環で実施された。避難所の新たな電源供給の在り方として今後、同大システム情報系の鈴木健嗣教授らが国に提案などしていくという。

ブルーシート敷き区切る

感染症対策をした避難所のレイアウトとして、体育館1階の床に、単身用、2人家族用、3人家族用と大きさが違うブルーシートを敷いて並べ、それぞれ2メートルまたは1メートルの間隔を空けて区切り、家族ごとにまとまって過ごせるようにする。

感染の疑いがある人が避難してきた場合は、入り口に近い、換気のよい体育館2階に間仕切りテントを設置し、非感染者とは別の場所で、家族ごとに過ごせるようにする。

感染の疑いがあることが分かり、体育館2階に設置された間仕切りテントに誘導される避難者役の女性職員=同

感染症が専門の鈴木広道教授によると、避難所の感染症対策は、感染の疑いがある避難者と非感染者の動線を分ける、避難所内で感染者が移動する距離を短くする、空気の流れをつくるため2方向の窓を開けて換気する、トイレが1カ所しかない場合、感染者と非感染者で使用時間を区切り、感染者が使用した後は避難所の職員が消毒するーなどがポイントになるという。

ただし感染症対策をした場合、200人が避難できる体育館であっても、収容人数は3分の1ほどの60~70人になってしまう。市は、避難所への避難だけでなく、自家用車による車中避難や被災の恐れのない親戚や友人宅への避難、宿泊施設への避難などさまざまな避難を呼び掛けたいとしている。

一方、感染者専用の避難所を別に設ける予定で、指定避難所に一時滞在した後、自家用車で専用の避難所に移動してもらうことになるとしている。

14日は、避難所に来た後、具合が悪くなった患者役の職員を、非感染者用の1階のスペースから、2階の間仕切りテントに誘導する訓練なども実施され、避難所の職員が対応の方法を確認などした。

専用アプリで残りの電気量把握

避難所の脇に駐車し、避難所に電気を供給する筑波大学の水素燃料電池マイクロバス=同

停電を想定した避難所への電源供給は、今年1月に開発された小回りのきく水素燃料電池マイクロバスが出動した。同体育館に新たに非常用電源盤を設置して、マイクロバスから電気を供給した。

同体育館の場合、点灯する天井の照明の数などを3分の1ほどに減らせば30時間ほど電源を供給し続けることができるという。専用アプリで、供給可能な残りの電源供給量も把握できることから、残りの電気を確認しながら、避難所でお湯をわかしたり、避難者の携帯電話を充電したりできるという。

人工知能などを研究する鈴木健嗣教授は「バスだけでなく、水素燃料電池の乗用車からも電源供給できるので、住民、市民の力を借りて避難所で電源供給をやっていけるようなことも発信したい」と話している。(鈴木宏子)

原子力施設攻撃は人類への犯罪行為だ 《邑から日本を見る》107

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門出彩るサイネリア =那珂市のしどり農園

【コラム・先﨑千尋】プーチンのとどまるところを知らないウクライナへの侵略。強大な核戦力を背景にし、2月末には核兵器運用部隊を戦闘警戒態勢に置くよう命令した。さらに停止中のチェルノブイリ原発を占拠し、今月4日にはウクライナ南部のザポロジエ原発を武力で制圧した。同原発は6号機まであり、欧州で最大。ウクライナ総電力の2割を供給している。同国のクレバ外相は「爆発すればチェルノブイリ事故の10倍の被害になる」と警告している。

運転中の商用原子力発電所への軍隊による攻撃は史上初めて。国際法やジュネーブ条約・議定書に明確に違反する行為だ。運転員はロシア軍に銃口を突き付けられながら運転を続けている模様だが、心身ともに疲労して、正常な運転操作やトラブルへの対応ができなくなる可能性が高い。また、運転を素人が強制的に止めれば、最悪の場合、東京電力福島第1原発事故の時のように原子炉が炉心溶融後に原子炉建屋が爆発・崩壊することもあり得る。変電所や送電網が破壊されれば原発の運転も不安定になり、不測の事態が起きることも想定される。

最新の情報では、チェルノブイリ原発では外部からの電源が切断され、非常用電源で動かしているようだが、放射能漏れなどが懸念される。ザポロジエ原発で外部電源が遮断されたら、ロシアも含めてヨーロッパ全体に被害が及ぶ。ロシアは、訓練を受けた原子炉操作員を制圧した発電所に配置し、ウクライナの操作員から引き継ぐことを考えているのだろうか。誰でもわかるように、素人は手を出せない。

原発は何よりも「おっかない」代物

プーチンの狙いは何か。原発の制圧で、電力という市民生活の要を押さえ、ウクライナのゼレンスキー政権に圧力をかけ、核戦力に言及し、欧米に圧力をかけるねらいのようだ。毎日、ウクライナの人たちが殺害され、街が破壊され、他の国に避難する映像をテレビで見せつけられているが、プーチンはよその国に「中立化、非武装化、政権交代」を要求し、住宅や病院、学校までも破壊している。聞く耳を持たない彼の暴虐をどうすれば止められるのか。胸が痛むばかりだ。

IAEA(国際原子力委員会)のラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長は、2020年に原子力の安全と防護の7つの柱を表明した。それは、原子炉、核燃料プールなどの施設の物理的な安全性が維持されなければならない、運営スタッフは安全及びセキュリティの義務を果たし、不当な圧力から解放された意思決定を行う能力を有するなど、基本中の基本なのだが、それがプーチンにいとも簡単に破られてしまった。「人が作ったルールは人によって破られる」ということだ。

わが国の原発はどうか。当然だが、今回のような戦争を想定した防御策は講じていない。自然災害も含めて有事の際、原発は巨大なリスクになると肝に銘じる必要があることをウクライナ情勢は教えている。本県には日本原電東海第2発電所があり、会社は再稼働を目指しているが、すぐ近くに住んでいる私にとっては、原発は何よりも「おっかない」代物である。(元瓜連町長)

ホーム最終戦で白星 サンガイア 

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満生はレシーブ成功数でもチームトップの23本(撮影/高橋浩一)

若手の力かみ合う

バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイア(SunGAIA、本拠地つくば市)は12日、今季最後のホームゲームを桜総合体育館(同市流星台)で開催。千葉ゼルバ(ZELVA、千葉市)と初対戦し、セットカウント3-1で勝利した。つくばの現在の成績は10勝12敗で8位。次節は19日、アウェーの和歌山県で警視庁フォートファイターズと対戦する。

2021-22 Vリーグ2部男子(3月12日、つくば市立桜総合体育館)
つくば 3-1 千葉
22-25
25-20
25-21
25-18

第3セット、鎌田が技ありのスパイクを決める

今季3部から昇格した千葉は、高さと選手層の厚さを強みとするチーム。初顔合わせの難しさもあってか、つくばは立ち上がりにややもたつき、序盤から千葉に3点のリードを許す展開。今季初先発となった新人セッターの堀夏央哉は、味方に幅広くトスを散らすものの、相手のブロックやレシーブを振り切ることができず、チームのアドバンテージを生かしきれない。結局、最初の点差が響いたまま、第1セットを落としてしまう。

だが第2セット、つくばは明らかにリズムが良くなった。右の鎌田敏弥や左の満生大輝らアタッカー陣が、自らの高さや滞空時間の長さを生かし、豪快なスパイクを気持ちよく打ち込む。堀自身も相手の意表を突いてフェイントを決めるなど、終始先手を取ったままセットを奪い返す。

第3セットもつくばがリードする展開だが、終盤、千葉は4連続得点で追い上げ、21-20と1点差まで詰め寄ってくる。だが曹海倫のブロックで相手の流れを断つと、最後は一気に押し切ってセットを連取。第4セットは序盤の競り合いから中盤以降は徐々に点差を伸ばし、結局3セット連取で逆転勝利を収めた。

ブロックなどの活躍でMIPに輝いた曹(左)

五十嵐元監督は「立ち上がりは小さなずれや反応の遅れなどがあり、ちょっとずつかみ合わなかった。選手たちが同じ絵を描きながら迷いなくプレーできるよう、考えを整理して伝え、2セット目からはよく対応してくれた。順位を考えると落とせない試合なので、勝ててほっとしている」と、胸をなでおろす。

今季初めての1試合フル出場で、攻撃の中心を担いつつ守備でもよくチームを救った満生は「スタートからチームを引っ張るつもりで臨み、自分の役目を果たすことができた。第1セットは相手の流れを断ち切れなかったが、第2セット以降は堀がしっかりと修正をかけてくれた」と振り返った。

セッターの堀は自らのプレーについて「相手の守備とこちらの攻撃が、悪い意味でかみ合ってしまった。ブロックを翻弄(ほんろう)しつつ、攻撃を決められるトスを上げることが目標。残り試合も出場機会を得て、全部勝てるようできる限りのプレーをしたい」とコメント。

「残り3試合、上位との対戦も残っている。苦しい試合が予想されるが、このリーグは力が均衡しているので、うまく調整できれば勝機はあると思う。練習を重ねて完成度を高めていきたい」と、五十嵐監督は締めくくった。(池田充雄)

コロナ禍も「共に成長し合えた」 つくば国際ペット専門学校で卒業式

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はかまやスーツ姿で卒業式に臨む卒業生ら=つくば市竹園、つくば国際会議場大ホール

つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、高橋仁校長)の2021年度卒業式が12日、つくば国際会議場(同市竹園)大ホールで催され、ドッグトリマー、ドッグトレーナー、動物看護福祉、ペットケア総合の4つのコースで学んだ141人が卒業した。

新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年度に入学し、コロナ禍が収まらない中、卒業の日を迎えた。

高橋学長は「入学式が中止、緊急事態宣言の中、休講、自宅待機で始まり、皆さんが顔を合わせたのが6月。制約を強いられた学校生活だった」と振り返り、「2年間、先が見通せない日々の中で、自分だけでなく家族や友人を思いやりながら研さんを積んだ。卒業してからも夢に向かって歩んでください」と式辞を述べた。

卒業生代表として答辞を述べる秋葉若奈さん(左)とはなむけの言葉を贈る東郷治久理事長

東郷治久理事長は「入学当初から新型コロナの拡大により想定外の不自由を余儀なくされたが、現場で培った様々なスキルは今後の力になり自信につながっていく。今やペットは家族同然。飼い主の心に寄り添い、今まで学んだことを今後に生かしてください」とはなむけの言葉を贈った。

卒業生を代表してペットケア総合コースの秋葉若奈さんが「見えないウイルスの恐怖と隣り合わせだったが、1日1日を有意義に過ごすことができた。新型コロナの影響で思い描いていた学生生活とは少し異なることもあったが、日々を全力で楽しみ、皆と共に成長し合えた」と感謝の答辞を述べた。

高橋仁学長から卒業証書の授与を受ける卒業生

式典では高橋学長から一人ひとりに卒業証書が手渡されたほか、資格試験合格者に、全日本愛犬技術者指導協会の松島美夫代表理事からトリマー1級、ペットケアマネージャー1級などのライセンスが授与された。

同校は全国トップクラスのペット専門学校。4月からはペット専門学校として全国初の通信制学科「通信制ペット学科」がスタートする。

困難を乗り越える指針「ロールモデル」 筑波学院大卒業式の学長告示

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答辞を述べる大久保璃奈さん=筑波学院大(つくば市吾妻)

筑波学院大学(つくば市吾妻、橋本綱夫理事長)の2021年度卒業式が11日、行われ、経営情報学部ビジネスデザイン学科の学生108人が卒業した。望月義人学長は「(困難にぶつかった時に)ロールモデル、つまり生き方の模範となり生き方や考え方に共感し尊敬できる人物、そういった人の価値観や人生観を自分の生き方の指針にするという方法が解決策になる。自らを磨くために常に努力を続け、進化を遂げていく人の姿はいつも輝いている」と告示した。

卒業式は感染拡大防止のため、スーツや袴姿の列席者は1席ずつ離れて着席し、換気のため式典の最中は窓や扉が開けたまま、約40分間執り行われた。学位記の授与は卒業式の終了後、各教室で行われた。

望月学長は「この約2年間はオンライン授業であったり、対面授業であっても感染を気にしながら受講したり、サークル活動を制限されたり、と思い描いていたキャンパスライフを満喫できなかったと思う。大学生活としてはマスクとパソコンと我慢だらけの思い出などという人も多いかもしれない」とコロナ禍を振り返り、「厳しい状況の中、課題提出物の増加などを乗り越え、単位を取得して立派に卒業し学士の称号を得られたみなさんの努力を評価したいと思う」と苦難の大学生活を乗り切った卒業生たちを労った。

望月学長の話に耳を傾ける卒業生たち=同

橋本綱夫理事長は「一人ひとりの努力が結実して卒業となった。これまでたくさんの人の恵みを受けて今がある。たくさんの人に恵みを送り、たくさん返ってくる、それが幸せということだと思う。大変なこともあるかもしれないが、人生は楽しくすばらしいもの。幸せに満ちた人生が待っていることを祈っています」と挨拶した。

卒業生代表として答辞を述べた大久保璃奈さんは「学院大で学び、小学生のころから夢だった父と同じ会社に内定をいただくことができた。大学で出会った友人の存在は何物にも代えがたく、学生生活を豊かにしてくれた。この先も多くの新しい出会いがあると思うが、全てを大切にしていける人間になれるよう精進して参ります」と述べ、恩師や友人、家族への感謝の気持ちを述べた。

卒業生の今野奈々瀬さんは式典後、「単位を取るのがとても大変だったので卒業できてうれしい。今後ももっと勉強し、やりたいことを探していきたい」と卒業の喜びを語った。(田中めぐみ)

『男と女』 2つの続編 《映画探偵団》53

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【コラム・冠木新市】フランスの映画監督クロード・ルルーシュが28歳のとき、自分のプロダクションで作った『男と女』(1966年)はざん新で衝撃的だった。望遠レンズで撮った仏北西部ドーヴィルのきらめく海辺の景色。ロング―アップと、自由自在に構図を変えた短なカット割り。全編に流れる新人作曲家フランシス・レイのジャズ調音楽。若者たちで作られたこの作品によって、世界の映像表現は一変したと言っても過言ではない。

お話は、妻を亡くしたレーサーのジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)と夫を失った映画の記録係アンヌ(アヌーク・エーメ)との出会いを描いた恋物語。30代の2人は、ドーヴィルにある同じ寄宿舎に子どもを預けている。色々あって、ラストは駅のホームで抱き合う2人を捉え、ぐるぐる回るカメラワークにテーマ曲が流れ、ストップモーションで終わる。ハッピーエンドで幸せな気分にさせてくれる作品だった。

続編『男と女Ⅱ』(1986年)が、同じ監督とキャストで20年後に製作される。ところが、1作目で感動した観客はギョツとしたと思う。2人は一緒にならず、駅で別れたという皮肉な設定で始まるからだ。

ジャンはレーシングチームの監督で、息子の結婚相手の妹と恋仲。一方、アンは映画プロデューサーとなり、年下の恋人がいる。戦争映画の興業で失敗したアンは、昔の自分の恋物語をミュージュカルにしようと企画し、ジャンの許可を得るために20年振りに再会する。

50代になった2人の再会シーンを見ると、1作目の幸せな気分がよみがえる。また1作目を再現する撮影風景はとても奇妙で面白い。だが出来上がった映画を試写すると、皆が納得せずお蔵にしてしまい、今度は全く別の実録犯罪映画を作り始める。ルルーシュ監督はまるで1作目を否定するようなドラマ展開を見せるのだ。しかし結局、2人は年下の恋人と別れ、一緒になるハッピーエンドを迎え、1作目の観客に満足感を与えてくれる。

研究学園都市スーパーサイエンスシティ

そして2作目から33年後。やはり同じ監督とキャストで第3作『男と女 人生最良の日々』(2019年)が公開される。80代後半となった2人はあれからどうなったのか。

今では雑貨店を営むアンヌのもとに、ジャンの息子が訪ねて来る。施設にいる認知症の父親がしきりに昔の彼女のことを思い出すので、会ってもらえないかとお願いに来たのだ。2作目を見た観客はアレッと思う。

なんと、3作目は2作目の続きではなく1作目の続きで、53年後の別のお話だからである。ルルーシュは3作目を作るに当たり、2作目の存在を消してしまった。だから、1作目に直接つながる続編は2作目と3作目と2つあるわけだが、どちらの続編を好むか私はまだ決められないでいる。

筑波研究学園都市建設の閣議了解(1963年)に始まって、科学都市つくば市(1987年)となり、今ではつくばスマートシティ(2019年)、つくばサイエンスシティ、つくばスーパーサイエンスシティが作られるみたいだ。1作目が研究学園都市だとすると、次につながるシティはなんなのだろうか。私は、53年たっても変わらない映画のドーヴィルみたいな街であってもらいたいと思っているのだが…。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

それぞれの夢を胸に6人が巣立つ 日本つくば国際語学院で卒業式

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卒業証書を手に笑顔の卒業生たち=山水亭(つくば市小野崎)

つくば文化学園が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷治久理事長)の卒業式が11日、行われた。今年度の卒業生は6人で、4人が式典に臨み、恩師や在校生に見守られながら学びやを巣立った。

卒業式は山水亭(つくば市小野崎)を会場に開かれ、卒業生は青いガウンに帽子とマスクを着けて入場、列席者に感謝の意を述べた。卒業生の出身国はメキシコ、タジキスタン、ウズベキスタン、スリランカ、中国、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国。卒業後は大学や専門学校などに進学し、興味のある専門分野を深めるという。

東郷理事長は「将来どのようなことがあるが分からないが、困ったことがあったら母校であるつくば国際語学院を思い出してほしい。教職員があたたかく迎えてくれるでしょう」と話し、卒業証書を一人ひとりに手渡した。授与された卒業生は、それぞれ日本語で学院の思い出を話したり、後輩たちにエールを送ったりした。

答辞を述べるアルメイダさん=同

卒業生代表でメキシコ出身のアルメイダ・ミチェルさん(23)は、「私たちはかけがえのない経験をし、大きく成長することができました。学びの場と貴重な経験、機会をくださったすべてのみなさまに感謝の気持ちを伝えます。私たちは本当に恵まれていました。今日まで本当にありがとうございました」と答辞を述べた。

アルメイダさんは、中学3年生の時に趣味で日本語を学び始めたのが高じ2017年に来日した。同学院で勉強し、日本語を母語としない人の日本語能力を測定する「日本語能力試験(JLPT=Japanese-Language Proficiency Test)」の最高レベルであるN1とそれに次ぐレベルN2の両方に満点で合格。特にN1は日本人でも満点を取るのが難しいと言われている。卒業後は筑波大学人文・文化学群比較文化学類に進学し、日本文学やジャーナリズムについて勉強するという。

同じく卒業生でタジキスタン出身のキムサノブ・アズィズさん(21)は、東京国際大学国際関係学部に進学する。キムサノブさんは中学と高校で合わせて5年間日本に住んでいた経験がある。来日した当初は日本語が分からず苦労したことから、自分と同じような境遇の外国人に向けた教育について勉強し、教育関係の仕事がしたいと話す。

ウズベキスタン出身のサミタガニエフ・ムスタフォ・トジベクウギリさん(22)は、栃木県にあるビジネスの専門学校に進学予定。「(卒業式で)緊張していますが、卒業できてとても嬉しいです」と話し、日本とウズベキスタンの文化、技術の懸け橋となる仕事をするのが夢だと希望をふくらませた。

同学院の森山英熙本部長によると、新型コロナの水際対策による入国制限で日本に入国できずにいる学院入学予定者が57人いるという。入国を2年待っている人もおり、中には留学を取りやめて就職するというケースもあるため、留学の夢をあきらめることがないようオンラインで課題を配信するなどの対応を行っている。今後の水際対策緩和で、4月から5月末までには新入生が入国し、来年度の新入生受け入れの手続きが進むのではとの見通しだ。(田中めぐみ)

入札の設計額に誤り つくば市

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つくば市役所

つくば市は11日、市が昨年4月に実施した水道配水場の草刈り業務の一般競争入札で、市が計算した設計金額に誤りがあり、本来より少ない予定価格及び最低制限価格で入札を行っていたことが判明したと発表した。正しく設計額を計算していれば、別の業者が落札していた可能性もあるという。

誤った設計額で入札を行ったのは、昨年4月23日に入札を実施した、市内30カ所の配水場の植栽維持管理委託で、計18社が入札に参加し、最低制限価格を上回った業者が、予定価格の93.14%の1057万1000円(消費税を含まない)で落札した。

30カ所の草刈りや剪定(せんてい)などは昨年5月14日から今年3月15日までに実施され、11日現在、ほぼ終了した。

市水道工務課水道監視センターによると、共通仮設費、現場管理費、一般管理費と呼ばれる3つの経費を計算する際、端数の処理を誤ったり、対象とするべき費用を加えなかったなどして、本来よりも29万7000円少ない金額で設計していた。同センターが、間違った計算式のフォーマットを使って設計金額を計算したのが原因という。前年度も同じ計算式のフォーマットを使って設計しており、2020年度も設計金額を間違っていた。

情報開示請求をした一般の人から指摘があり、今年2月24日、設計金額の誤りが判明した。

市は、入札に参加し落札できなかった17社に謝罪した。さらに落札し業務を実施した業者に対しては、現在の契約金額のまま業務を進めることで了承を得たとしている。

再発防止策として同センターは、設計時に積算システムを活用して経費を審査するなど、確実に設計できる体制を整備することで再発防止に努めるなどとしている。

巻き返しのキャンプイン 新監督の下、茨城アストロプラネッツ始動

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選手を指導する松坂賢監督(左から2人目、サングラスをかけている)=笠間市民球場

独立リーグの茨城県民球団、茨城アストロプラネッツ(県南事務所・土浦市)のキャンプが10日、笠間市民球場でスタートした。実戦を想定した練習、対外試合15試合をこなし、開幕前日の4月8日まで行われる。

チームは、ALL OUT(オールアウト、すべてを出し切って)勝利を目指して頑張るーをスローガンに掲げる。松坂賢新監督(30)の下、 新戦力として練習生を含み24人が入団、所属選手は38人となった。昨年東地区22勝8分け35敗と最下位に終わったチームの巻き返しを図る。

茨城アストロプラネッツ。監督、コーチ、選手、練習生の集合写真=同

松坂監督は「昨シーズンは思うように勝てなかったが次のステージに5選手を送ることが出来たのが収穫」という。昨年NPBドラフト会議で、2選手が育成ドラフト指名されるなどしている。今シーズンは「もっと多く上のステージに発進し、優勝を目標にしていく」と抱負を語った。

活躍が期待されている霞ケ浦高出身の2年目、市毛孝宗投手=同

霞ケ浦高校出身の2年目、市毛孝宗投手(26)は昨年の背番号1からエースナンバーの18に変わった。「気持ちが引き締まり責任を感じる。結果を出していきたい」と語る。昨年は後半にかけて調子が上がってきたが、「今年はキャンプでしっかり調整し、4月からいい結果を出したい」と意気込む。「球数を少なくして完投目指して2ケタ勝ちたい」の目標を掲げた。

筑波大学から今年入団した野中大輝外野手(22)は、学生野球でプロを意識しはじめた選手だ。「卒業後も野球を続けることが出来たのがうれしい。長打力が持ち味なので力を発揮したい」と語った。

開幕戦は4月9日、栃木県営球場で栃木と戦う。ホームでの開幕は29日に笠間市民球場で栃木と対戦、9月中旬まで62試合の熱戦を繰り広げる。(高橋浩一)

原発再稼働阻止訴え つくばで市民集会【震災11年】

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震災11年3.11集会の様子=つくばセンター広場

東日本大震災から11年目の11日、「さよなら原発! 守ろう憲法!」をテーマに、つくば市の市民団体「戦争をする国づくりNO@つくば」(山本千秋代表)など3団体が、つくば駅前のつくばセンター広場(同市吾妻)で市民集会を開いた。「脱原発をめざす首長会議」メンバーの村上達也元東海村長が参加し「(東海第2原発の)再稼働を何としても阻止するため、我々市民が頑張らないといけない」などと訴えた。

2011年の東日本大震災の翌年から、毎年3月11日に開催している。今年は約90人が参加した。

東海第2原発の再稼働阻止を訴える村上達也元東海村長

村上元村長は、東海第2原発の現在の状況について「再稼働に向けて盛んに工事をやっている。人家にすぐ接するところでクレーンが林立し、ダンプカーがばんばん走り回っている」などと話した。

昨年3月に出された水戸地裁判決後の東海村の動きについても「避難計画ができていないので運転してはならんという判決が出て、議会では早く避難計画を策定せよという請願が出てきた。何でもいいから形だけ作れとなっている」と述べた。

原発の耐震性については「東海原発のところは元々砂浜で岩盤が深い。原発は岩盤の上に建てることが基本だが、東海原発は岩盤が深すぎて、原電が人工岩盤といっているコンクリートを固めた上に建っている。原子力規制庁でも最後までもめた」と原発建屋の耐震性に疑念を呈した。

東海第2原発を所有する日本原子力発電(日本原電)が再稼働に向け約3500億円の投資を東京電力などから受けていることについても言及し「日本原電は破綻している。再稼働しても元がとれないところまできている。3500億円の投資を回収するためには無理に無理を重ねる」などと指摘した。

さらに「ハード面の心配がたくさんあるが、一番心配なのは10年間一度も原発を動かしてないこと。運転技術が継承されていない」などと話した。

山本代表は「福島原発事故の被災者3万8000人がまだ帰還できていない。被災者の要望に応えた継続的な支援を要望したい。人間の手で制御不可能な原発を一刻も早くなくしていかなくてはならない」などとあいさつした。

ロシアのウクライナ侵攻に抗議にウクライナ国旗を掲げる参加者

会場では、ロシアのウクライナ軍事侵攻に抗議し、参加者が青と黄色のウクライナ国旗を掲げるなどの抗議行動も実施された。

TX延伸ルート 県が調査開始 《茨城鉄道物語》21

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つくばエクスプレス

【コラム・塚本一也】2月10日付で「TX延伸、調査費1800万円」という見出しの新聞報道がありました。「ついに来たか」と思った方はたくさんいたのではないでしょうか。これまでの茨城県の総合計画には、TX延伸先として、①筑波山方面、②水戸方面、③茨城空港方面、④土浦方面―の4案が書かれていました。これを一つに絞り込むため、2022年(令和4年)度予算に調査費を計上するという内容です。

私はこれまで、つくば駅が終点のTXを北部に延ばす必要性を訴え続け、自費で「つくばエクスプレス最強のまちづくり」(三省堂出版、2014年刊)という本まで出しました。県議という立場になってからも、あらゆる場面でその必要性を説いてきました。来年度、県が北部延伸に向け一歩踏み出すことになり、感慨無量です。そこで今回はこの問題について少しおさらいします。

本コラムでTX延伸について論じたのは、「つくばエクスプレス延伸論に思う」(2018年6月21日掲載)が最初です。TXの次のステップの議論には、南部(東京駅方向)延伸論と北部(つくば駅より先の県内)延伸論があります。両論は関係していますが、分けて考えた方がよいと思います。また県内延伸については、TXの原点である「第2常磐線構想」がなぜ必要だったのか―そこまで戻って考える必要があります。

つくば市が主導して地元をまとめよ

第2常磐線構想は「常磐線混雑緩和対策」として生まれました。それから社会情勢も変化しましたが、基幹鉄道=大型インフラの必要性は変わりません。常磐線のバイパス(迂回路)の役割が求められたTXは、その機能を満たすためにも、どこかで常磐線とクロスさせなければいけません。これがTX県内延伸の大前提です。

TX県内延伸図

2005年のTX開通までの間に、栃木県や群馬県には新幹線が開通。在来線は湘南新宿ラインや上野東京ラインによって、東海道線との相互乗り入れになりました。全国的には、北海道や九州に新幹線が開業し、それぞれ次のステージに向かっています。山形新幹線はフル規格化を、北陸新幹線は新幹線ルート環状化を目指しています。

このような状況下、TX(秋葉原駅―つくば駅)開通から16年間をへて、茨城県はようやく次のステップに動き出しました。首都近郊の鉄道計画で大事なことは、準新幹線ともいうべきTXの機能を損なわないような線形を確保しつつ、東京への通勤可能な「1時間圏内」をどこまで広げられるかということです。

さらに重要なのは、TX延伸が県内のみならず、県外の沿線地域や国土開発に意味のある貢献ができることです。そういった広い視野と連携があってこそ、茨城県が孤立しないで延伸計画を進めることが可能になります。そのためには、TXの名前にもなっている、つくば市が主導して、関係地元の熱意をまとめ上げることが必要です。(一級建築士)

一括売却へつくば市公募開始 リコール運動へ市民団体は受任者集め 旧総合運動公園用地

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記者会見する「五十嵐市長リコール住民投票の会」の酒井泉代表(左から3人目)ら=つくば市竹園、記者クラブ

つくば市が民間一括売却する方針を示している旧総合運動公園用地(同市大穂、46ヘクタール)について、市は10日、敷地全体を一括購入する事業者の公募を開始した。一方、一括売却に反対する市民団体「五十嵐市長リコール住民投票の会」(酒井泉代表)が同日、記者会見し、市長リコール(解職請求)に向けて受任者集めを開始すると表明した。

市が公表したスケジュールによると、参加申込書は4月11日から5月6日まで受け付け、5月16日から6月10日まで提案書類の提出を受ける。6月18日には応募事業者によるプレゼンテーションと審査を実施し、同22日に結果を公表する。8月22日には土地売買契約を締結する。

購入代金は契約締結日から30日以内にすべて支払うことが必要で、代金支払い終了と同時に所有権が売却先に移転する。平行して都市計画の変更手続きを行うとしている。

売却の条件は、最低売却価格は68億5073万円、購入事業者は都市計画決定告示から3年以内に一部施設の供用を開始する、契約締結から10年間は土地所有者であるつくば市土地開発公社の承諾を得なければ事業計画を変更することができず、契約不履行があった場合、10年間は同開発公社が土地を買い戻すことができるーなど。

併せて事業者が整備する防災備蓄倉庫は2400~2600平方メートルとし、市が賃貸借する期間は20年間、賃貸料は年4000万円以内を条件に応募時に賃貸料の提案を受ける。

防災広場は4ヘクタール以上とし、アスファルトの駐車場200台分を確保し、それ以外は全面芝生とする、水源は深井戸または耐震性貯水槽のどちからかを整備する、ほかにトイレを整備するーなど。

購入事業者の選定方法については、学識経験者、法律・経営・不動産などの専門的知見がある人、都市計画等の専門的知見がある人、地域のまちづくりに精通する人で構成する候補者選定委員会を設置し、6月18日に選定委員会を開催して応募事業者のプレゼンテーションを聞き、審査する。審査方法は、提案価格による審査が50点、事業計画による審査が50点の計100点満点で順位を付けるーなどとしている。

「市民に意志表示の機会つくる」

これに対し、一括民間売却に反対する元大学教授の酒井泉さん(73)、元市議の亀山大二郎さん(80)、元研究者の大須賀鬨雄さん(76)ら7人が10日記者会見し、市民団体を同日結成し、五十嵐立青市長の解職を求めるリコール運動に向けて、署名をとる受任者集めを6月10日まで実施するとした。

代表の酒井さんは「旧総合運動公園用地は未利用地ではなく、将来のつくば市の公共施設用地や新しい研究分野の研究施設用地として重要な未来用地。市として具体的な利用案もなく一括売却するのは不自然で不可解。市は物流基地やデータセンターなどを候補としているが、いずれも周辺の市街地ににぎわいをもたらすものではない」とし、「一括売却に対して議会が何も言えないなら、市民の実効性のある意志表示はリコールしかない。(一括売却に)イエスも含めて、住民投票は住民に意志表示の機会をつくることになる」と話す。

首長のリコールは有権者の3分の1以上の署名が必要。署名は署名収集受任者が集める。解職請求があった場合、60日以内に首長解職の賛否を問う投票が行われる。つくば市の有権者数は3月1日現在、19万2704人、3分の1は6万4235人。(鈴木宏子)

まん延防止の37日間 誤って予約断る つくば市ゆかりの森キャンプ場

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つくば市役所

つくば市は10日、自然体験施設「豊里ゆかりの森」(同市遠東)キャンプ場で、国のまん延防止等重点措置が適用された1月26日から3月3日までの37日間、誤ってキャンプ場の予約を断っていたと発表した。

市として施設の利用を制限していなかったにもかかわらず、同施設の担当職員が、昨年8月のまん延防止等重点措置と同じ対応をするものと勘違いし、予約を停止していた。

今月3日、予約を申し込んだ人から市に連絡があり、対応の誤りが分かった。

ゆかりの森によると、キャンプ場には1日3件程度の予約申し込みがあったという。施設内にはほかに、宿泊施設や体験施設などがあるが、ほかの施設は利用を受け付けており、キャンプ場だけが利用を断っていた。

ゆかりの森は、3日に連絡があった人に謝罪し、4日から予約の申し込みを再開したとしている。

再発防止策として市は、施設の運営方針について、主管課である観光推進課と定期的に情報共有を行うほか、施設内の職員間でも情報共有を徹底して再発防止に努めたいとしている。

小学校、またリモート授業に 14~18日 つくば、土浦

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

新型コロナウイルスの新規感染者数が下げ止まっている中、県教育委員会は9日、県内の小学校などで児童の感染が急増しているとして、県内すべての小学校を対象に14~18日までの1週間、通常登校をやめ、リモート授業または分散登校などを実施するよう要請した。

要請を受けつくば、土浦両市は14~18日まで、小学1~5年生はリモート授業などとし、卒業式を控える6年生は午前中のみの登校とする。

両市とも、小学校1~5年生は14~17日まで、通常登校を実施せず、リモート授業やプリント学習とする。保護者が日中、子供の面倒を見ることができない家庭は、学校で受け入れるが、弁当の持参が必要となる。放課後は児童クラブなどで子供を受け入れる。

18日の卒業式を控える6年生は、午前中のみの登校とし、授業や卒業式の準備を実施する。卒業式が催される18日は1~5年生は休みとなり、学校での受け入れはしない。

今回の第6波の感染拡大により、両市の小学校は1月31日から2月18日まで臨時休校となり、2月21日に通常登校を再開したばかり。3月14日からさらに1週間、通常登校ができなくなり、事実上の休校期間は計4週間に及ぶ。

休校などによる授業時間の確保や学習への影響についてつくば市教育局は、今後、各学校の状況を把握しなければならないが、必要な授業時間などは確保できる見通しだとしている。土浦市教育委員会は、24日の修了式までに学習に影響が出ないよう進めたいが、学校によって万が一、授業時間の確保に影響が出る場合は、次年度に持ち越すこともあり得るとしている。

県の9日の発表によると、県内の新規感染者数1221人のうち、小学生児童の感染者数は2割の229人。

10日時点で、学級閉鎖を実施している小中学校は、つくば市は、小学校29校、中学校12校、義務教育学校4校のうち、小学校8学級。土浦市は、小学校15校、中学校7校、義務教育学校1校のうち、小学校3学級、中学校2学級。休校は両市とも無い。

科学のまち つくばで教養について考える 《遊民通信》36

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【コラム・田口哲郎】
前略

つくば駅前の中央公園を散歩していたら、男性と猫が並んで歩く銅像が目に留まりました。近づいてみると、それは「朝永振一郎博士と愛猫」像でした。ノーベル物理学賞を受賞した博士は筑波大学の前身、東京教育大学の学長でした。朝永博士はつくば市に住んだことはなさそうですが、研究学園都市・つくばに縁がある偉人ということになるのでしょう。

つくば市は科学のまちで、科学をウリにできるのは素晴らしいことです。科学技術は社会の発展に実際に役立ちますから、たたえられるのは当然ですね。

それに引き換え、文学は飯を食えるようになった後、暇があったらやるような、趣味の世界のことと思われがちですから、社会的地位を科学技術に譲らざるを得ないのは仕方ないのかもしれません。

でも、人類は石けんを発明するよりもずっと前に詩を作っていた―なんて言葉もありますから、科学技術も文学、どちらも必要なのは間違いないようです。

ホメロス『イリアス』を朗誦する英首相

先日、You Tubeで面白い動画を見つけました。英国のボリス・ジョンソン首相がロンドン市長時代、あるトークショーに出演したものです。ジョンソン氏はウィットに富んだ話で会場や司会者を笑わせます。

そして、ふいに「メーニナエイデテアペーイアデオーアキレイオス」と唱え始めます。それは古典ギリシア語で、ホメロスの叙事詩『イリアス』の冒頭なのです。その後の40行を3分間、ろうろうと朗唱します。2700年ほど前の詩を原語で。ジョンソン氏の強弱の付け方が独特なので、会場からはまた笑い声が起こる。

シェイクスピア作『ジュリアス・シーザー』のセリフに「it was Greek to me」というのがあり、直訳は「それは私にとってギリシア語だった」ですが、慣用句的に「それは私にはちんぷんかんぷんだった」という意味になります。

古典ギリシア語の文法はとても複雑で難しく、西洋人にとってもラテン語と並んで難しい言葉なのです。タモリがでたらめの外国語のマネをして、人を笑わせる芸に近い感じです。しかし、ジョンソン氏のギリシア語はでたらめどころか、教養の正統中の正統なのです。

古代ギリシア文化はヨーロッパ文化の根源のひとつです。ですから、ヨーロッパの人々は古典ギリシア語を学ぶことを重視して、ギリシアの哲学・文学を読む古典学が生まれました。古典学は中等教育にも取り入れられ、近年まで教養の基本になっていました。

この古典学をリードしてきたのは、独ボン大学、仏ソルボンヌ大学、英オックスフォード大学です。ジョンソン氏はそのオックスフォード大学で古典学を修めました。

過激な言動で世間を騒がせ、トランプ前米大統領の同類のように映るジョンソン氏。おどけたり失言したりするのはただのフリなんじゃないと思わせるほど、『イリアス』朗唱はすごさを感じさせます。教養とは何なのかを改めて考えさせられる動画でした。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

学習塾と不登校の居場所共存に疑問符 つくば市議会で意見相次ぐ

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文教福祉委員会による予算決算委員=つくば市庁舎

つくば市議会文教福祉委員会(木村清隆委員長)が7日開かれ、市が4月から新たに委託事業として実施する不登校の学習支援事業をめぐって質問が相次いだ。

トライグループ(本社・大阪市、平田友里恵社長)が研究学園駅前の学習塾「トライ研究学園駅前校」で、塾の利用がない日中の時間帯に不登校学習支援事業を実施するとする市の方向づけ(3月3日付)に対し、「(空間や環境づくりで)昼と夜の入れ替えは無理がある。場合によっては場所を変えることも含めて進めてほしい」(木村委員長)などの意見が出された。

不登校学習支援事業を学習塾で実施する方針に対しては「学習効率を上げ、受験を成功させるための環境に、通学できない子どもたちが通えるか。学力を上げていくための雰囲気が確実にある塾と、不登校の子供たちの居場所の両方が共存する環境がつくれるのか疑問だ」(山本美和市議)などとする意見が出された。

これに対し市教育局学び推進課の横田康浩課長は、公募型プロポーザルで次点となったNPOリヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)が同市吾妻の市産業振興センターで運営している学習支援拠点「むすびつくば」の扱いにも触れた。「(同じ場所で不登校学習支援事業を継続できないかなど)一連の流れの中で検討した結果、こういった形となった。(環境づくりの)重要性は認識しているので引き続き検討したい」と答えるにとどまった。

子どもたちの意見を取り入れた、むすびつくば のフリースペース。奥に畳の部屋がある=つくば市吾妻

新規事業者(トライ)は研究学園駅前の教室で40人を支援する。「ニーズがあるか」などの質問に、横田課長は「学校には行けないがフリースクールには行けるという児童生徒は2020年の調査で100人以上いる。休みが多くなっている児童生徒への周知方法を模索している」とした。

トライの支援拠点に「トライ」の名称を入れるかという質問があった。トライグループが東京都練馬区から委託を受けて不登校生徒の学習支援を行っている教室の名称が「中学生対象適応指導教室トライ」のためだ。横田課長は「つくばでは名称に使わない方向で検討していく」とした。

横田課長はまた「オンラインでつながる手立ては必要で、トライにはオンライン学習への対応を期待している。むすびつくばに通所している保護者と意思の疎通を欠き、説明不足で陳情に至った反省に立ち、学び推進課が中心となって連携していく」とも述べた。

ほかに「不登校支援の事業者を選択するための公募に受験業者が入ることは慎重にするべき。今回の公募で道をつけてしまった」(橋本佳子市議)との意見も出た。 

木村委員長は「むすびつくばは、人と交わりたくない子どもが1人になれるフリースペースを用意している。トライの学習拠点を駅前校から別の場所に移すことができないか検討する一方、学び推進課は密接な連携をとってほしい」と提言した。さまざまな意見が出されたことで、文教福祉委員会での不登校の学習支援は採決されず、議長以外の市議会議員が招集される17日の予算決算委員会で審議が続けられ、3月定例議会最終日の23日に採決される。(橋立多美)

県教育長「受け皿は整っている」 つくばの県立高問題で県会答弁

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密を避けるため一般質問時には議員の議場入場は通常の3分の1に制限。他議員は別室でweb参加=県議会議事堂

茨城県議会は8日、定例会本会議を開き、つくば市内に県立高校が少ないとされる問題について、山中泰子議員(日本共産党、つくば市区)が一般質問した。答弁に立った小泉元伸県教育長は、市内の中学生にとって「進学先の受け皿がない状況とは考えてない」と答弁。その理由として県立高等学校改革プランに基づく適正配置をあげた。この問題が今回の本会議で取り上げられるのは4日の星田弘司議員の一般質問に次いで2回目。

山中議員は、昨年3月の市内の中学卒業者1958人のうち竹園、つくば工科、筑波高校への入学者は311人。6人に1人しか市内県立高校に入学できていない状況に加え、県が適正とするエリア内での入学者も県平均を下回っており、平均まで引き上げるには定員が600人不足していることをあげ、TX沿線などの交通利便性のよい場所に県立普通高校を新設すべきと主張。

小泉教育長は、今年度の市内の中学卒業生は、県立高等学校改革プランで定められたつくばエリア(つくば市、つくばみらい市、守谷市、常総市)や隣接エリアなど、私立高校を含む多様な選択肢の中から進学先を選び、通学していると話し、受け皿は整っていると答弁。さらに、エリア内の進学率を県平均と同じ水準にという要求については、各エリアの特性などを踏まえて広域的に配置を考えており、市内から通学可能な県立高校で募集定員増など必要な対応をとると話すにとどまった。新設についても、定員に満たない学校があることから、既存の県立高校の魅力化を優先すべきと答え、市内に新たに高校を作ることは現段階ではほぼないことをうかがわせた。

「つくば市の県立高校不足は8万人を呼び込むTX沿線開発のもとで起きていること。教育行政の問題というよりむしろ県政の責任であると思っている」と山中議員。県立高等学校改革プランが現状に即しているのかを含め今後も追及していく構えだ。(花島実枝子)

介護施設の父と通所する母 《ハチドリ暮らし》11

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【コラム・山口京子】父が現在の介護施設に入所して、ちょうど1年が経過。先月、ケアマネジャーさんから連絡がありました。父が軽い肺炎で、医師から酸素導入の処方があったという報告でした。継続的ではなく、肺の機能が回復すれば外せるとのこと。

しばらくして、また施設から電話がありました。父が酸素導入の管を嫌がって外し、大声で怒り出して困っているというのです。認知の低下があるのかもしれません。家族としては、本人が嫌がるなら外してくださいと、施設担当者と医師に伝えました。

家にいるときから、本人は「こんなに長生きしたんだから、早くお迎えがくればいい」と言っていました。介護が必要になってから5年目、今年89歳になります。自分のことが自分でできない不甲斐(ふがい)なさを持て余しているようです。冗談なのか本気なのか。本当にそう思っているのかもしれません。

施設の父とは、ガラス越しに対面はできますが、踏み込んだ会話は難しくなっています。入所するに当たって、いくつもの書面を作成しました。終末期医療については、痛みは取ってほしいが、延命治療は不要であると意思表示しました。

「とうちゃんは、死にたいとばかり言ってるよ」

でも実際の場面で、具体的な判断が求められる際の難しさに、戸惑っています。呼吸ができないで苦しいと感じたとき、酸素導入を望むのか、やっぱり嫌がるのか。これから父の体はどんなふうに変化していくのか。意識がなくなった後、医師の処方と家族の思いはどう折り合うのか。

「とうちゃんは、死にたいとばかり言ってるよ」と、母が言います。父が入っている施設にデイサービスで通っている母の話です。母はもう覚悟をしているのかもしれません。

「自分の方が早く逝くこともありえるのだから、そのときはよろしく頼む」とも言われています。「こんなに長生きするとは思わなかった」が口癖の母です。両親が結婚してから67年。だんだんと一つの家族の終わりが近づいているのかもしれません。

何かを成すには時間がいるということは事実でしょう。でも、人生は時間の長さではないかもしれません。でも、そう思えるのに随分時間がかかってしまいましたいつだって、「今」においてしか、生きることはできないのだもの。人は記憶や意識という機能を持つ、やっかいな生きものなのでしょうか。優れた生きものなのでしょうか。

今年もまた、ジャガイモの種を植え付けました。庭にはフクジュソウが咲いています。(消費生活アドバイザー)