月曜日, 12月 29, 2025
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「超断熱素材」売り出し中のNIMS発ベンチャーに大賞 いばらきイノベーションアワード授賞式

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大賞受賞のサーマリティカ、小沼和夫代表(左)と大井川知事=茨城県庁

第4回いばらきイノベーションアワード(同アワード実行委員会制定)の授賞式が8日、水戸市の茨城県庁で行われた。賞金100万円の大賞受賞のThermalytica(サーマリティカ、本社・つくば市桜、小沼和夫代表)と優秀賞受賞の3企業に大井川和彦知事から表彰状が手渡された。

同アワードは先端技術を活用した新製品や新サービスを対象に募集し、革新性や市場性を評価し顕彰する事業。茨城県が事務局となる。今回大賞に選ばれたのは、断熱材「TIISA(ティーサ)」を開発し、本格的な事業展開に乗り出したサーマリティカ社。物質・材料研究機構(つくば市)の研究成果をもとに、2021年起業したNIMS発ベンチャーだ。

「TIISA」は、エアロゲル(酸化シリコン)の一種で、特殊な微細構造により、軽量かつ液体のような流動性を持つ粒子として開発された。市販の断熱材よりも桁違いに高い断熱性と遮炎性(耐火性)を備えており、「超断熱素材」として売り出している。断熱塗料として利用できるので、建物の断熱性や工場の加熱設備の保温性を高めることで地域の省エネルギーに貢献できるという。

加えてマイナス253℃の極低温でも優れた断熱性能を発揮するため、極低温保冷断熱材として非常に高い優位性を持つ。また、液化水素の保冷材として利用すれば水素の気化損失を大幅に防ぎ、地域の水素利用の促進に貢献できるとしている。建設関係から自動車、家電など各方面から照会や提案を受けており、同社はこの春、新たな資金として1億1250万円を調達、素材の量産化と多用途対応に乗り出している。

この成果に大井川知事は「夏の暑さがこたえる昨今、塗るだけで断熱効果が期待できるという素材はインパクトある。急いでビジネスチャンスをつかんでいってほしい」とエールを送った。

小沼和夫代表は「断熱材は今役に立つ技術だが、一方で水素社会に向けた脱炭素をはじめとする環境関係から多くの引き合いをいただいて手ごたえを感じており、今回の表彰を励みにしていきたい」と語った。(相澤冬樹)

第4回いばらきイノベーションアワード授賞式=同

◆このほか、優秀賞の3社は次の通り。(県外本社企業も県内に研究拠点などを有している)
▽Octa Robotics(本社・埼玉県さいたま市、鍋嶌厚太CEO、前川幸士COO)自律移動型サービスロボットを、エレベーター・自動ドア等の設備と連携させるサービス「LCI」
▽クォンタムフラワーズ&フーズ(本社・水戸市、菊池伯夫代表)中性子線照射による突然変異の誘発を利用し、生物資源の開発改良を行うサービス
▽ピクシーダストテクノロジーズ(本社・東京都中央区、落合陽一代表、村上泰一郎代表)誰が何を話しているかをリアルタイムで可視化し、聴覚障がい者と聴者をつなぐサービス「VUEVO(ビューボ)」

鉄道ファン格好の撮影アングル、10日で見納め 土浦

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一番橋からみた新二番橋。このアングルも10日で見納め

二番橋8日開通 一番橋は通行止め、撤去へ 

JR常磐線をまたぎ土浦市富士崎2丁目と小松ケ丘町を結ぶ跨線(こせん)人道橋、通称「二番橋」が8日午前10時に開通する。昨年9月から通行止めとなり、架け替え工事が行われていた。この開通を待って11日には、同じく通称「一番橋」が通行止めとなり、解体・撤去工事が始まる。

二番橋は自転車歩行者用の橋。土浦市が管理する市道で、常磐線3号橋が正式名称。同4号橋が正式名称の一番橋の撤去とセットになった工事で、21年6月からJRの関連会社が基礎工事や橋脚の設置を行い、市が橋げた製作と橋面舗装を行ってきた。延長32メートル、幅員3.7メートル、開通後も自動車の通行はできない。

隣り合う2橋は2016年の点検で、構造物の機能に支障が生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき状態であると位置付けられた。橋脚や手すりに古レールを使った構造で、建設時期は不明ながら戦前にさかのぼると見られ、老朽化が著しかった。17年度の交通量調査(日量)では一番橋が63人、二番橋が450人だったことから、二番橋のみ架け替えし、一番橋は撤去することになった。

一番橋。名残惜し気な冬の散歩道=土浦小松ヶ丘側から

8日の開通は渡り初めなどのイベントはなく、一連の事業は11日から一番橋の解体・撤去に移る。同橋は土浦市街地をふかんするロケーションにあり、鉄道写真ファンには格好の撮影スポットになっていた。撤去工事は来年5、6月ごろまでに完了する。同市道路建設課によれば、常磐線の環境整備などを含む全体事業費は約11億円になる見通し。同市には常磐線をまたぐ市道が1号橋(荒川沖)から6号橋(神立町)まであるが、一番橋の撤去により4号橋は欠番になるという。

地元、小松ケ丘町の松下恒正区長は「安全面から架け替えは待ち遠しかった。生活道路として大切に使っていきたい。一番橋が無くなるのはさびしいけれど、歴史的な古道の上にある橋、二番橋の名が残されてよかった」と語る。橋名を示すプレートには「常磐線3号橋(二番橋)」と記されている。(相澤冬樹)(相澤冬樹)

➡一番橋と二番橋の過去記事はこちら(2018年2月6日付22年9月24日付

巨大都市パリの郊外から見えるもの《遊民通信》78

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【コラム・田口哲郎】

前略

先日、NHKのBSで「地下鉄のザジ」というルイ・マル監督のフランス映画が放映されていました。1960年の作品です。冒頭はパリの郊外からパリ中心部に入る列車のフロント窓の風景が映し出されます。列車はパリの南東にあるオステルリッツ駅に向かうわけですが、沿線の風景を見て驚きました。

その風景は、郊外から東京都心に向かう京浜東北線や中央線、東海道線、常磐線から見える風景と変わらないからです。いわゆるパリと言われたら思い浮かべる、古いながらも豪華な外装のアパルトマンが立ち並ぶシャンゼリゼ通りのような風景ではなく、日本のどこにでもある機能的な建物が延々と続くのです。

パリは19世紀には世界の都と言われるほどに発展しました。世界の都というのは近代的な政治、経済、文化の中心という意味です。いま私たちが普通に目にしている大都市は、19世紀のパリやロンドンが人類史上最初だったと言えます。江戸も大きかったのですが、石づくりで道路も舗装されていたいわゆる近代都市としては、パリのほうが先でした。

パリの人口は増え続け、拡大してゆきます。古いパリはグラン・ブールヴァールという環状道路の内側で、新しいパリはその外に無限に増殖してゆくのです。東京の山手線の内側が古い東京、外側が新しい東京と言われるのに似ています。

欧米の枠組みとしての近代都市

東京も浅草や日本橋のような江戸風情の残るところを「東京」とするように、パリも19世紀の雰囲気が残る凱旋門の辺りを「パリ」とします。それが街の顔ですが、その周りには、どの国にも似たような「郊外」が広がっている。

前代未聞の巨大都市パリのような都市が、欧米文化の広がりとともに世界に広がりました。それはグローバル化の波と一致しているのだと、パリの郊外の風景を見ていて気づきました。江戸も当然、その波にのまれ、大きな変貌を遂げ、いまの東京があります。

コロナ禍を経て、欧米の価値観がどんどん流入してくるだろう、と以前に書きました。忘れてはならないのは、いまの私たちの生活基盤である都市も実は欧米の枠組みによって作られているということです。そういう意味で、日本にも欧米の価値観を受容する下地はつくられていて、ソフト面が入ってくる環境は整っていると言えます。

あたりまえの「都市」を見直すことで、新たな気づきがあるかもしれません。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

給食開始が最大50分遅れ つくば市の9小学校

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つくば市役所

つくば市は6日、学校給食に米飯を納入する業者の炊飯機械が同日故障し、米飯が学校に到着する時間が遅れ、市内の9小学校で最大50分、給食開始時間が遅れたと発表した。

学校では、5時間目の授業を給食前に繰り上げて実施したり、掃除の時間を前倒しにするなどして対応したという。

市健康教育課によると、同日午前9時ごろ、米飯を炊いて学校に納入する業者の炊飯機械のローター(回転子)部分に漏電が発生し、炊飯できなくなった。

同市の学校給食の米飯は、県学校給食会を通じて、2つの業者が小中学校と幼稚園にそれぞれ納入している。炊飯機械が故障した業者は、市内の幼稚園2園と小中学校14校の米飯を炊いて納入していた。

このうち2園と5校については、米飯の到着時間が遅れたものの、給食の開始時間に間に合った。

一方、小学校9校の計約3400食分は間に合わず、午後0時10分に給食を開始する予定だったが、最大で50分遅れ、午後1時に給食開始となる小学校もあった。

炊飯機械は修理が終わり、7日からは通常通り提供できるという。市は米飯業者に対し、設備管理の徹底を図るよう指示したとしている。

「魔女の学校」が地域住民と音楽祭 クリスマスに筑波山麓で

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魔女の学校を主宰するいしざき緑子さん(右)と、イベントに出演する地元ミュージシャンの塚Tさん

子供たちに体験と交流の場を

筑波山麓の廃校で手作り品などを販売するマルシェ「魔女のフェスタ」を開催してきたアロマテラピー教室「魔女の学校」(いしざき緑子さん主宰)が、クリスマスの25日、山麓のつくば市国松で地元有志の協力を得て、子供たちのための「魔女の学校 シリウス音楽祭」を開催する。

会場はいしざきさんが「筑波山天国」と名付けたガソリンスタンド跡地。数年続いたコロナ禍で、生の音楽や地域住民との交流が希薄になった地域の子どもたちに、地元住民がサンタクロース役になって、豊かな体験と地域住民との温かい交流の場をプレゼントしたいという。

「魔女の学校」は2019年4月から独自に、いしざきさんやアロマテラピー教室に通う生徒らが、いずれも廃校となった石岡市柴内の朝日里山学校やつくば市国松の旧筑波小学校でオーガニックな手作り品などを販売するマルシェを6回ほど開催してきた。今回は地元住民有志と、地域と一体となったイベントを開く。

シリウスは冬の空に輝くおおいぬ座の1等星。主催者は「暖かい薪ストーブの火を囲み、シリウスの光を浴びながら、多彩な音楽と素敵な魔法を持ち寄ったお店屋さんたちと豊かなクリスマスのひと時を過ごそう」と参加を呼び掛ける。

音楽祭では、アフリカン太鼓、生バンド、ピアノや弦楽器の演奏が無料で聞ける。当日は地元陶芸家による、陶芸体験も無料で開催。好きなことや得意なことを仕事にしている飲食、クラフト、占い、セラピーなど多彩な出店者が、イベントを盛り上げる。

会場となるガソリンスタンド跡地の「筑波山天国」

主催するいしざきさんは「激変する社会でいま子供たちに必要なのは、多様な人との出会いや体験が重要であると思い企画した。多様性を拒む現代の教育からはみでた子供たちに豊かな体験をプレゼントできたら」と語る。

地元区長の岡田実さん(72)は「少子高齢化と言われる中、子供たちが外で遊ぶ姿が見られなくなった。筑波山麓という自然環境に恵まれた地域で、元気に遊ぶ子供たちの姿を見たいと思う。子供たちのためという趣旨に賛同し、シリウス音楽祭を大いに応援したい」と語る。

◆「魔女の学校 シリウス音楽祭」は25日(月)午前11時~午後8時、つくば市国松162-1、筑波山天国で開催。入場無料。音楽祭ステージの出演者は▷ケイタモモ(栃木県・アフリカンジャンベ奏者)▷beee(千葉県・ドラム、ギター、ベースの生バンド)▷もっさん(茨城県シンガーソングライター)▷塚T&kiki(筑波山麓元シンガーソングライター)▷meiko(埼玉県・祈りのピアニスト)▷河村英之(千葉県・墨絵画家。ライブペインティング)▷村上忠(茨城県・魂の絵画家。ライブペインティング)など。

借金をして死ぬと家出《続・気軽にSOS》144

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【コラム・浅井和幸】日々、様々な相談に対応している浅井心理相談室。過去に下記のようなやり取りがあったとか、なかったとか。

「甥(おい)っ子が家出をして、どうしてよいかわからない」と、叔母に当たる女性から相談がありました。親子の不仲が原因の一つであるのは間違いないのですが、甥っ子は借金をしていました。無職の甥っ子は母親(来談者の姉)にそれをとがめられ、死んでやると家出をして、1週間ほど行方不明になっていました。

LINEをしても、電話をしても、応答がありません。うろたえている姉を見かねて、その方は相談に訪れたそうです。もう諦めたほうがよいのでしょうかという来談者に、とりあえず下記のことをしてみるように伝えました。

▽今までの半分のペースで、LINEを送る。内容は、何かをアドバイスするのではなく、心配しているとか、あいさつ程度の短い内容のものにする。

▽LINEで、浅井という人に相談していることを伝える。電話番号も一緒に。心配しているよと。

「アルバイトで返せる額じゃないかな」

次の日の昼、来談者の甥っ子から私に電話がかかってきました。

浅井「はい、浅井です」

甥っ子「〇〇です。叔母から聞いて電話をかけています」

浅井「ずいぶん、つらそうだね。力も出ない様子だけど、ちゃんと食べている? 心配だな」

甥っ子「一昨日ぐらいから何も食べていません。もう死にたいです。死ぬしかないんです」

浅井「どうして?」

甥っ子「借金をして、仕事もしていないし、返せないし…。このままだと、親にも迷惑をかけてしまうから」

浅井「そうなんだ。それはつらいね。ところで、君みたいに若い男の子が死ななければいけないほどの借金って、何億円ぐらい借りたの? というか、よくそんなに借りることができたね」

甥っ子「いえ、そんなには大きい額では…」

浅井「そっか。じゃ、何千万円ぐらい借りたの?」

甥っ子「いえ、そんなには…」

浅井「そうかぁ。細かくはいいから、だいたい、どれぐらいの借金があるの?」

甥っ子「〇〇〇万円です」

浅井「それは大変だね。でも、そのぐらいの額だったら、ちょっと良い大きめのバイクか、軽自動車の新車が買えるぐらいだね。君ぐらい若い男の子ならば、その辺のアルバイトをして返せる額じゃないかな」

甥っ子「そんな感じですか? でも、何もかも嫌になって」

「今日1日は生き、また電話して」

この間に色々と話をして、本人の様子や、どんな場所にいるのか、雰囲気で予想していました。

浅井「でも周りが敵ばかりに感じて、つらいよね。もうどうなってもよいって感じるんだね」

甥っ子「はい」

浅井「遠くにいるということだけど、場所さえ教えてくれれば、迎えに行くか、何か方法を考えるよ。でも、すぐにとも、無理にとも言わない。その代わり、今日1日は生きてみて。夏だけど、ちょっと外は寒いかな。けど頑張って考えてみて。それでよかったら、明日、また、電話してよ」

甥っ子「わかりました。もういいです」

後日、私が電話をした次の日に帰ってきたと、母親から電話がありました。その後、来談者からも、お礼の電話とおいしいクッキーが届いたとか、届かないとか。いや~、いただきものはうまい。(精神保健福祉士)

農業委員の選考会始まる つくば市 前回は紛糾、警察捜査も

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2023年度つくば市農業委員会委員候補者選考会第1回会合の様子=12月4日、市役所

つくば市農業委員会委員の任期満了(定数24、任期は来年5月18日まで)に伴って、新しい農業委員の候補者を選考する同市農業委員会委員候補者選考会(会長・飯野哲雄副市長、9人で構成)が4日始まった。

3年前の前回の改選時は、地区別人数割や農地法違反をめぐって紛糾した(21年5月20日付同28日付)ほか、会長選をめぐって警察の捜査が入り、農業委員の一人が贈賄申し込みの罪で罰金50万円の略式命令を受け辞任するなどの事件に発展した。前回、紛糾の種になった地区別人数割や農地法違反の扱いをどうするかが注目される。

応募は39人

市は来年の改選に向け、10月2日から31日まで公募を実施。4日開かれた選考会では、39人の応募(うち農業委員会業務に利害関係がない中立委員は1人)があったことが報告された。

さらに前回の改選で問題になった地区別人数割や農地法違反について委員の一人から質問が出た。地区別人数割について飯野会長は「(法令では)市内全域が一つの選挙区になっているが、(選考会委員が採点する)選考シートの結果について極端な差があると後の運営に差し障りが出るのではないかということもあるので、一時的な評価の結果を見てみて、結果によってさらなる検討が必要な状況かどうかを判断して、それから会の中でどうしていくか、皆さんで協議をしていきたい」とした。

応募者の農地法違反については委員から「前回、親が違反転用して(本人は)全く知らなかったということがあった。前に親がやったことに対し責任を取るのか」などの質問があり、同事務局から「違反転用を本人以外の親がやった場合、(農業は)基本的に同一世帯の家族経営なので『親がやったから知らない』は好ましくない。(採点は)農地法に反する転用があるとマイナス5点、農地法と他法令に反する転用があり農地への復元も困難だとマイナス10点になる。前回は(違反者の)人数が多かった。今回、本人から聞き取りをしたが、今回はそんなにいない」などと説明した。

今後の日程は、選考会の委員9人がそれぞれ、候補者39人に対し、農地法に違反する転用があるか、委員としての責務を理解し意欲があるかなど、選考シートに基づき17項目(中立委員は11項目)について評価し評点を付けた上で候補者を選考し、五十嵐立青市長に答申する。

前回は地区別人数割のルール変更に反発

農業委員会は、担い手への農地利用の集約化、遊休農地の解消、新規参入の促進など農地利用の最適化を図ることを目的に、農地法に基づく農地の売買や賃借の許可、農地転用案件の意見具申などを行う。委員の任期は3年。つくばエクスプレス(TX)沿線開発などの影響で、同市は農地法に関する許可申請件数が県内で最も多い。

農業委員の選出方法は、2015年の農業委員会法改正により、選挙で選ぶ公選制が廃止され、議会の同意を得て市長が任命する方式に変わった。同市では18年から任命制が始まり、3年前の前回の選考から選考会が設置された。

地区別人数割については同市ではこれまで、地区ごとの農地面積や農家戸数に応じて農業委員が選ばれ、農家が最も多い谷田部地区は他地区と比べて委員数が多かった。3年前の選考会では事務局案として当初「農業委員会の活動は各地区ごとに、農地の所有権移転や農地転用などの許認可を行っているため、各地区の選出人数は各地区での活動に支障をきたさないよう、農地面積及び農家戸数に許可申請件数を加味した人数が望ましい」とする案が示されたが、選考会が、地区別の農業委員の人数を一律で「各地区3人以上」と変更し、農地転用の調査件数が多いのに地区別人数が減った谷田部地区などの農業委員から反発が出て、紛糾などした。(鈴木宏子)

バイデン大統領、中東政策で失点:米大統領選(3)《雑記録》54

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ポインセチア(写真は筆者)

【コラム・瀧田薫】バイデン米大統領は、これまで推進してきた「中東の安全保障構想」をハマス(ガザ地区を実効支配するアラブ武装勢力)のイスラエル奇襲によって根底から覆され、彼の中東外交は苦境に立っている。

バイデン政権は水面下でサウジアラビアとイスラエルとの国交正常化交渉を後押ししてきたのである。ウォール・ストリート・ジャーナル(8月上旬)によれば、サウジは米国に対し、イスラエルとの国交正常化をするための条件として、原発など民生用核開発計画への支援、安全保障関係の強化(対イラン)、パレスチナ政策でイスラエルに譲歩させる―の3点を要求したという。

一方、中東分析の専門家(reuters.com 10月4日付)によれば、パレスチナ自治政府とハマスは、パレスチナをバイパスして動いていく中東情勢に危機感を抱き、アラブの大義(全アラブがパレスチナ独立国家の樹立と反イスラエルで結束する)を取り戻そうとした。そのためにとった強硬手段が今回のテロである。

イスラエルのネタニヤフ首相を挑発し、彼の過剰反応(ガザ侵攻・市民に対するなりふり構わぬ暴力行使)を引き出せば、アラブ諸国はパレスチナ支援と反イスラエルで再結集せざるを得ず、自動的に米国が主導する中東新秩序構想を打ち砕くことができるとの判断である。

ハマスの意図を読んだバイデン氏は、9.11同時多発テロの経験を引いてネタニヤフ氏に自制を求めたが、彼は恐怖心と復讐心に駆られ、暴力への衝動を止めることができなかった。

ロシア→イラン→ハマス

一方、アラブ連盟とイスラム協力機構は、11月11日、サウジの首都リヤドで緊急の首脳会議を開いた。しかし、会議を支配したのは形式的な「口さきだけの介入」を思わせる雰囲気でしかなく、緊張感を見せたのはサウジのムハンマド皇太子とイランのライシ大統領による1対1の会談だけだった。

もともと、サウジやスンニ派のアラブ王制国家はシーア派大国イランによる革命の輸出(王制批判と民主化)を極度に恐れており、最近勢力を増し、核武装もささやかれるイランへの警戒心を募らせてきた。そうした背景のゆえに、サウジ以下のスンニ派諸国と米国そしてイスラエルとがお互いに接近する地経学上の理由があった。

つまりアラブ諸国は、イスラエルの軍事力と技術に期待し、米国の安全保障枠組みに参加すれば、イランに対抗できる。イスラエルは中東における国の安全保障環境を改善できる。米国は中東の安定により、ロシア、中国への対抗に余裕をもって向かうことができる。

しかし、今のパレスチナの状況では、こうした目論(もくろ)みに沿った交渉はしばらく停止するしかないだろう。

サウジとイスラエルが急接近しているとの情報がハマスに伝えられたとき、ハマスはテロ決行を決断したとの見方がある。情報の出先はロシア、そこからイランを経由したと思われる。パレスチナ紛争の背後にロシアの存在が垣間見られる。

情報戦において、イスラエルも米国も完全に出し抜かれた。両国にとって、パレスチナの存在を軽視したことのツケは大きく、アラブ諸国との関係修復はご破算となった。パレスチナの失ったものもあまりに大きい。暴力からは何も生まれないと、後々痛感するのではなかろうか。(茨城キリスト教大学名誉教授)

もっと“ムダ”なことを つくばで障害者の青春を語り合うトークイベント

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シャンティつくば代表の船橋さん(後列右端男性)と利用者、職員たち=つくば市天久保、福祉型専攻科シャンティつくば

9日 障害者週間

知的障害がある若者たちの「青春を楽しみたい、もっと学びたい」という思いを実現させる学びの場「福祉型専攻科シャンティつくば」(つくば市天久保)が、障害者週間(12月3~9日)最終日の9日に、市内でトークイベント「知的障害者の豊かな人生を考える学習会」を開催する。シャンティつくば代表の船橋秀彦さん(68)にイベントへ向けた思いを聞いた。

選択肢が欠如

「普通」の若者のように、仲間とたくさん“ムダ”なことをして青春を楽しみ、夢や希望を見つけてほしいー。そう語るのは、障害のある子を持つ保護者らによって2016年に設立されたシャンティつくば代表の船橋さんだ。

「福祉型専攻科」は主に知的障害や発達障害がある若者が中等教育卒業後、社会生活に欠かせない力を伸ばすための、「就労」「就学」とは異なる「第3の場所」として、近年、全国で拡大している。利用する人は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス「自立訓練(生活訓練)事業」等の制度を活用し、2年から3年間通うことができる。

シャンティつくばでは現在、特別支援学校や高校を卒業した7人が、月曜から金曜の午前9時から午後3時まで、詩作、外国語、パソコン、芸術、性や人権教育の授業を通じて自己表現を学び、地域活動にも参加している。福祉型専攻科の意義を船橋さんは、「社会に出る前の『自分探しの場』」だとし、背景に「障害者の進路選択肢の狭さ」が問題にあると指摘する。

文科省によると2021年、一般高校を卒業した約75%が大学、専門学校等へ進学したのに対し、特別支援学校高等部の卒業生の同進学率は約2%。その中でも知的障害がある人に至っては0.5%と、一般高校卒業生との差は大きく、障害のある若者の90%以上が社会福祉事業所に入所・通所するか一般企業に就職している。障害のある若者には、大学や専門学校で勉強やスポーツに打ち込んだり、仲間と他愛のない時間を過ごす中で将来を選択する時間を得る機会がないのが現状だ。

船橋さんは「(障害のある若者の)進路選択では就職が前提となるため『できる・できない』が重視され、『できない』人だと分けられ傷つく人がいる」とし、「できないことへの劣等感から自信をもてず、自分が何に関心があり、どんな人生を歩みたいか表現するのを怖がる人がいる」と言う。「障害があることで劣等感を持つことなく、『自分は自分でいい』と気づいてほしい」と力を込める。

「できる」ことより「やりたい」思いを

「夢や希望を育てていくことが、豊かな人生を歩む第一歩。友達とワイワイやって、周りがムダだと思うことをたくさんしてほしい。青春期に経験する『ムダ』なことから自分の生き方を見つけられるはず。長い人生を考えると、そんな“ムダ”が人生でぶつかる困難を乗り越える力になる」と船橋さんは話し、「知的障害があっても青年期に楽しく豊かに色々な経験を積むことで自分探しができる。それはアイデンティティの形成に大きな意味を持つ」とし、「自分は自分でいい。そう思ってほしい」と、今回の企画への思いを語る。

9日に開催される「知的障害者の豊かな人生を考える勉強会」では、トークイベントのゲストに、筑波山麓を拠点に知的障害者や精神障害者らが農業やアート活動に取り組む場を作る自然生クラブの柳瀬敬さん、つくば市内で放課後等デーサービスなどを行うにっこりの森の菊池涼代さんらのほか、障害のある子を持つ親たちも登壇する。(柴田大輔)

◆トークイベントの会場はつくば市春日2-36-1、春日交流センター。スタートは午前9時50分から。入場無料、予約不要。問い合わせは福祉型専攻科シャンティつくば(メール、電話029-893-3970)へ。

洞峰公園市営化問題 つくば市の変な調査《吾妻カガミ》172

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アンケート調査用紙と公園市営化説明文

【コラム・坂本栄】つくば市は11月、県営洞峰公園の市営化問題についてアンケート調査を実施しました。問題のキモは県営⇒市営の是非にあるはずですが、市が考える公園の形に関する質問を中ほどに配し、市営化の是非は最後に聞く流れでした。これは市民の判断を「是」に誘導する手法であり、市民の声をきちんと聞く調査とは言えません。

回答者を誘導する質問の流れ

洞峰公園問題は県の公園運営コンセプトに市が異を唱えたことが始まりです。園内に民営のグランピング施設を設け、その収益で公園を管理したい県。そういった施設に反対し、現在の姿形の延長で公園を管理したい市。この対立を収める策として、県が公園を無償で市に譲渡し、市が自らのコンセプトで運営するという基本合意ができました。

ということは、市営化に伴う市の財政負担と市が考える公園の形を市民に説明し、市営化の是非をズバリ問うのが正しい手順です。ところが質問の流れは、①~⑤回答者の属性や公園の利用法、⑥~⑨市が考える公園の形の是非、⑩肝心の公園市営化の是非、⑪自由記述スペース―と、回答者を市案(下欄参考「ケチ・ボロ」計画で解説)賛成に誘導する構成でした。

調査の体を成していない調査

調査の欠陥は質問の順番だけではありません。この種の調査は回答者1000~2000人を無作為抽出(ランダムサンプリング)して聞くのが正しい手法です。ところが、希望者だけに回答用紙を回収箱に入れてもらう+市のホームページ(HP)に書き込んでもらう方式ですから、作為的な動員によって「是」「非」を操作できます。市民の賛否を正確に把握し、市政運営の参考にするのが調査の目的であるのに、これでは調査の体を成していません。

現市長には、シロをクロに塗り替える市政運営で前科があります。運動公園用地売却について市民の意見を聞くパブコメは、寄せられた回答を都合よく分類し、賛成はたった3%だったのに、賛成多数という結論をひねり出しました。前市長の運動公園計画を住民投票で撤回させた現市長は、市民の声を大切にする理念を忘れてしまったようです。

執行部に甘く見られた市議会

この調査の変な点をもう一つ挙げると、市のHPに「…本アンケートは無償譲渡への賛否の多寡を主眼とせず…」と書かれていたことです。これでは、市案を前提にした調査であると宣言しているようなもので、上の方のパラグラフで指摘した「回答者誘導」&「作為的手法」どころか、最初から「結論ありき」の調査になります。

12月議会に上程される洞峰公園市営化条例案、同公園管理予算案の取り扱いに悩んでいる市議さんは、ずいぶん甘く見られたものです。市執行部は条例案と予算案が議会で問題なく承認されことを前提に、行政プロセスを進めているのですから。(経済ジャーナリスト)

<参考>

▽ケチ・ボロ計画:コラム「つくば市の洞峰公園『劣化容認』計画」(11月20日掲載

▽変なアンケート:記事「洞峰公園問題で市民アンケート開始…」(11月15日掲載

▽無作為抽出調査:コラム「洞峰公園の市営化、住民投票が必要?」(3月20日掲載

▽運動公園パブコメ:コラム「…ダメでしょ『…市の行政手順』」(22年9月19日掲載

日越国交50周年 関彰商事とハノイ工科大が記念事業

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スポンサー契約書に調印した(左から)ハノイ工科大学のタン学長と関彰商事の関社長

ジョブフェア、日系企業向け最大のイベントに

日本とベトナムが1973年9月21日の外交関係樹立から今年で50周年を迎えたのを記念し、関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)は3日、ハノイ工科大学のフィン・クェット・タン学長らを招き、同大学へのスポンサー契約更新の調印式と日越外交樹立50周年の記念品贈呈式を行った。

関彰商事は2016年にハノイに駐在員事務所を設立、同年からグループの人材派遣会社セキショウキャリアプラスがハノイ工科大の協力を得て、同大学で合同企業説明会「セキショウ・ジョブ・フェア」をスタートさせた。同フェアは今年で第10回を迎え、日系企業のベトナム高度人材採用およびベトナム人求職者の就労サポートに貢献している。

18年からは同大学との間にスポンサー契約を締結。19年にはサッカー部を日本に招き、鹿島アントラーズFCや筑波大学蹴球部などの協力を得て、交流試合やサッカー教室を開催するなど活動支援を行ってきた。

ハノイ工科大学からの記念品の絵画を手に記念撮影する関係者一同

今回のスポンサー契約更新について、関社長は「16年のベトナム進出以来、同大学には非常にお世話になっている。今年のジョブフェアは2600人の参加者を集め、同国で最大の日系企業向けイベントとなった。今後も人材関連事業のみならず、同大学やベトナムとの関係拡大・深化につながる取り組みを継続発展させ、相互文化理解の促進など両国の架け橋として大きな役目を果たしていきたい」と述べた。

ハノイ工科大のフィン・クェット・タン学長は「関彰商事にベトナムの若者が大勢勤務していることを知ってうれしく思う。社員とも意見交換したが同社とハノイ工科大の間には共通の教育理念があると思う。それは誠実で優秀な人材を輩出し、グローバルに活躍してもらうことだ。学生が日本の企業でより良く働けるよう、日本の文化に詳しくなる機会なども提供していきたい」と語った。

筑波大学とサッカーで交流も

交流試合の中盤、ボールをキープするハノイ工科大学のアン選手。縦縞は関彰商事、青は筑波大の選手

今回の招聘(しょうへい)にはハノイ工科大のサッカー部員3人も同行。記念行事として同日、筑波大学セキショウフィールドで、ハノイ工科大と関彰商事サッカー部の混合チームが、筑波大蹴球部と交流試合を行った。

ハノイ工科大はベトナムでは強豪とされるが、日本の大学サッカー界でトップレベルにある筑波大との対戦を経験し、選手たちは「(筑波大は)技術や体力、チームワークも優れている。貴重な機会をいただけた」「楽しく参加させてもらった。今日学んだことを生かし、もっと頑張りたい」などと語った。

試合を視察した関彰商事スポーツアドバイザーでU-22日本代表監督の大岩剛さんは「サッカーは言葉が伝わらなくても交流を深めることができる。今日の経験が彼らの将来の一助となってくれるといい。ベトナムのサッカーは近年非常にレベルが上がり、アジアでも注目度が高い。今後は日本にとっても強敵になってくると思う」と話した。(池田充雄)

交流試合の記念写真

新NISA開始を前に 水戸財務事務所長が各所で講演

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新NISAについて講演する水戸財務事務所の梅村知巳所長=1日、筑波銀行つくば本部

来年1月から新NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)が始まるのを前に、財務省水戸財務事務所の梅村知巳所長が県内の企業や市役所などの職場に出向いて、社員や職員らを前に新NISA制度の普及と活用促進に向けた講演を実施している。

1日にはつくば市竹園、筑波銀行つくば本部で「ライフプランに基づく資産形成~新NISA制度の活用」と題した講話を実施し、投資信託など預かり資産セールスなどを担当する行員約30人が聴講した。同行から依頼があり出向いた。

新NISAは、資産運用立国を実現し資産所得倍増プランを推進するという岸田政権の方針を受けて、来年1月から開始される。現行のNISAでは2023年までとされていた口座開設期間が恒久化し、年間投資枠が最大360万円まで拡大するほか、非課税で保有できる期間が無期限になるなど、制度が恒久化し抜本的に拡充される。

講話で梅村所長は、国の方針を説明した上で「経営者にとっては、従業員の資産形成に取り組むことで従業員の金銭面でのストレスを減らし、安心・安定した生活を提供することになる」「お金の運用に、遅い早い、多い少ないはない。税金が得なNISAは選択肢の一つ」「せっかく貯蓄や当面使わないお金があるのに運用しないのはもったいない」などと話し、「NISAは無税のため、リスクを低くして同じ運用成績が期待できる」などと話した。

聴講した行員からは「新NISA制度の内容や目的についてよく理解できた」「お客様の長期的な資産形成支援のために新NISAを推進していきたい」などの声が出た。同行では講話を録画し、全行員にウェブ配信するという。

山頂カフェで朗読と星空観察会 茨城DC特別企画 筑波山ロープウエー

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「星座ストリーナイト」でギリシャ神話を朗読する若手声優の(左から)吉牟田荘さん、斎藤克弥さん、肥田歩望楓さん、小谷真矢さん、藤田和奏さん

筑波山山頂から夜景や冬の星空を眺める筑波山ロープウエーの夜間運行に合わせて、同山頂で2日から「筑波山冬のロープウエー&星空ストーリーナイト」と題したイベントが始まった。JRと県、市町村、観光事業者らが一体になって10月1日から12月末まで取り組んでいる茨城デスティネーションキャンペーン(DC)の特別企画の一つ。

標高877メートルの山頂からは、東京まで関東平野の夜景を一望でき、2018年には日本夜景遺産(日本夜景遺産事務局認定)にも認定された。中腹のつつじケ丘から女体山山頂まで標高差302メートルを結ぶロープウエー(全長1296メートル)を運行する筑波観光鉄道(つくば市筑波・枝村 誠社長)は、空気が澄んだ冬場を中心に10月1日から翌年2月25日までの土日祝日、「サンセット&スターダストクルージング」と題し、午後4時40分から8時までロープウエーを夜間運行している。

運行中、ゴンドラ内の照明は消され、東に鹿島臨海工業地帯、西に栃木県、南に東京、埼玉、千葉の夜景の大パノラマを見ることができる。夜間運行開始直後の午後4時40分、つつじケ丘駅発のロープウエーに乗れば、見事な夕焼けが見られ、東京スカイツリー、東京タワーなど都内のビル群や、ライトアップした牛久大仏などが肉眼で確認でき、冬の星空も堪能できる。

筑波山頂からの夜景を見るつくば観光大使(筑波山観光鉄道イベントPR事務局提供)

2日から始まったイベントは、山頂近くの標高約840メートルの女体山駅にあるカフェ「café ciero blu(カフェ シエロ ブルー)」で今月24日まで開催する。若手声優が冬の星座にまつわる物語を朗読する「星座ストリーナイト」、夜景を見ながら語らう「天空のバーカウンター」、こたつに入りながら食事もできる「冬のこたつリザーブ」などが用意される。

イベント開催に先立って30日、筑波観光鉄道の枝村社長、県、つくば市関係者、つくば観光大使の仲条佑佳さん、友部穂乃歌さんらが参加してメディア向け内覧会が同カフェで催され、声優5人が「星座ストーリーナイト」で会話劇を披露。ギリシャ神話を元にした星座の物語をリレー形式で15分間朗読した。イベントにちなみ、カフェでは「星空とゆきだるまのビーフシチュー」という特別メニューが用意された。

「冬のこたつリザーブ」でくつろぐつくば観光大使の2人

県営業戦略部観光物産課DC推進室の菊池克実室長は「筑波山は茨城県の観光の中でもトップコンテンツの一つ。もっとこの素晴らしさを伝えていきたい。まだまだアイディアはたくさんあると思うので、県としても応援していきたい」と話す。(榎田智司)

◆筑波山冬のロープウエーは来年2月25日(日)までの土日祝日の午後4時40分~8時まで20分間隔で運行する。運賃は中学生以上往復1300円(消費税込み)、6歳以上小学生まで同650円(同)。「星空ストーリナイト」は12月24日(日)までの土日祝日の午後5時~7時30分開催。

赤塚公園と土浦港にネーミングライツ導入 1日から

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赤塚富士住建パーク(赤塚公園)

県有施設の赤塚公園(つくば市稲荷前)と土浦港(土浦市川口)に1日から、ネーミングライツ(施設命名権)が導入された。赤塚公園は同日から通称名が「赤塚富士住建パーク」、土浦港の港湾施設は「サンヨーリアルティ 土浦港」になった。

赤塚公園は、市内にショールームがある不動産会社の富士住建(本社埼玉県上尾市)が年間100万円で、土浦港は県南地域で不動産事業を展開するサンヨーリアルティ(本社牛久市)が年間50万円でそれぞれ施設命名権を獲得した。命名期間は2027年3月までの3年4カ月間。

県は歳入を確保するため今年4月から、県内148施設を対象に随時、施設の命名権者を募集している。2施設について10月にそれぞれ1社から応募があり、選定委員会で審査の結果、いずれも施設命名権者に決定した。

今回の決定により、ネーミングライツを導入した県有施設は2施設増えて29施設になり、命名権料は150万円増えて6150万円になるという。

サンヨーリアルティ 土浦港(土浦港の港湾施設)

御朱印の力「ゲニウスロキ」《看取り医者は見た!》8

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私が拝受した御朱印

【コラム・平野国美】前回「神社仏閣の逆襲」(11月14日掲載)では、最近の神主さんの横顔を書きました。前職がIT系の神主さんは、神社のホームページ(HP)をしっかり作っている、と。当然の流れなのか?その後、近隣の神社でもHPを用意し、フェイスブックやインスタグラムにも参入してきました。

そうなると、神社に参拝しなくても、どんな行事が催されるか、意識するようになるものです。当然、お祭りの日も把握できます。そのうち、スマホを介して祈祷(きとう)する時代も来るでしょう。それどころか、デジタル賽銭(さいせん)箱も登場するでしょう。本来なら現地に行き、参拝することが望ましいのでしょうが、高齢化やコロナ禍では、ネットを介した祈祷(きとう)もありうるでしょう。

コロナ前、年数回、神社参拝に行きましたが、ほかの理由でも出かけていました。骨董(こっとう)市や手作り市が境内で行われていたからです。手作り市は、革物、紙物、布物、金属、パン、コーヒーなどを、作り手(作家さんと呼ばれます)から直接購入する場です。東京の雑司が谷鬼子母神や京都の下鴨神社にはよく足を運んでいました。

小説によく出てくる奈良の茶粥(ちゃがゆ)も、一度食べてみたいと思いながら、初めて食したのは、日曜の朝、奈良県橿原市今井町のお寺の前で、無料でふるまわれているのを見て列に並びました。このように、神社仏閣は写経や座禅だけでなく、色々な体験をする開かれた場所になっています。

「これはいいな。うちも考えなくては」

私は最近、この歳になって始めて、神社の御朱印を拝受しました。筆で書かれているのを眺めていたことはあるのですが、欲しいとは思わなかったのです。故郷の龍ケ崎市に戻ったとき、八坂神社で一枚の御朱印を目にしたのです。和紙に筆で書かれたものでなく、透明な薄いプラスチックにカラー印刷されたものでした。

こんな物もあるのかと、社務所で購入を希望すると、祇園祭限定のものだそうで、祭りの日に再訪して拝受しました。すると、別の図案の御朱印が目に入り、それも購入を希望すると、これは8月限定なのだそうで、再訪したのでした。この町にルーツを持つ私が、以前書いたことがある「関係人口」に片足を入れた瞬間でした。

その後、知り合いの住職にこの御朱印をお見せすると、「これはいいな。うちも考えなくてはならないな」と笑っていました。最近、御朱印はメルカリなどに出品されて問題になっていますが、私のような者も現れるし、収集が目的でこの地を訪れる人も増えるでしょう。友人が集めているマンホールカードも、似たようなものでしょうか。(訪問診療医師)

22万球のLED点灯 土浦で水郷桜イルミネーション

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点灯した水郷桜イルミネーション

土浦の師走の風物詩、水郷桜イルミネーション(同推進委員会主催)が1日、霞ケ浦湖畔の同市大岩田、霞ケ浦総合公園オランダ型風車前広場で始まった。青、ピンク、緑、黄色などのLED約22万1000球が点灯し、土浦が誇る花火、桜、霞ケ浦、ハス田などがイルミネーションで浮かび上がった。

高さ25メートル、直径20メートルの巨大な風車の羽根が回転する「風車イルミネーション」は日本最大級になる。「花火イルミネーション」は花火が打ち上がる様子を再現している。今年は新たに、市産業文化事業団職員が約3カ月かけて手作りした「竹まりあかり」が初めて設置された。竹ひごをまりのように編んで組み上げ、中心から温かい光を放つ。

今年初めて設置された手作りの「竹まりあかり」

1日催された点灯式で同推進委員会共同代表の大山直樹さんは「水郷桜イルミネーションは、コロナ禍でも灯し続けた。土浦の希望の光」だなどと話した。安藤真理子市長は「市民と企業、市の協働のまちづくりの代表となる事業となっている」などとあいさつした。

点灯式には大勢の市民らが訪れ、点灯の瞬間を待った。午後5時17分、カウントダウンの合図で点灯すると、会場から「わーっ」という大きな歓声が上がり、写真を撮ったり、光のトンネルの中を散策する家族連れの姿が見られた。

ママ友に誘われ4家族計11人で訪れた市内に住む40代女性は「土浦に住んでいるが、初めて来た。きれい」と話した。阿見町に住む大学1年の女性は「毎年、点灯式を見に来ている。きらきらして、楽しい」などと話していた。

同イルミネーションは今年で12回目。市民と企業有志でつくる同推進委員会が企画、運営し、市の補助金約600万円のほか、企業・団体からの協賛金約350万円の計約950万円で運営している。来年1月14日までの午後5時から9時まで点灯する。

ハスの花のイルミネーション

翌2日夕方には、土浦駅西口広場から亀城モールまでを10万球を超えるイルミネーションで装飾する第31回土浦ウインターフェスティバルが催される。同フェスティバルは1月31日まで。

今こそジェンダーフリーの日本へ《ひょうたんの眼》63

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庭の紅葉

【コラム・高橋恵一】菅直人元首相が次回の衆院選には立候補しないと表明した。1974年、引退するという市川房江さんを「勝手に推薦する市民連」を立ち上げ、参議院に戻した人だ。それまで、労働組合運動や学生運動がイデオロギーに左右されがちだったものが、市民の視点、生活者の視点での政治参加の可能性が見えた瞬間であった。

当時の世界経済において、中北ヨーロッパでは社会民主主義経済の福祉国家づくりが進んでいた。日本では、菅直人氏らの市民社会連合の政党も登場し、英国や西ドイツ、スウェーデンに代表される福祉国家体制を模索したが、米国に追随する保守勢力では懐疑的な反応が主流であった。

スウェーデンについては、福祉サービスが過剰に行き過ぎ、税金が高いので労働意欲が薄く、若者は国外に逃げてしまう、未婚の母親が多く、フリーセックスの国として「世界の歩き方」には、金髪の美人が待っているなどと紹介されていて、好ましくない国の印象が喧伝(けんでん)されていた。

実際のスウェーデン人は、朝早くからよく働き、安心できる社会保障のために、納税は当然というのが常識のようだ。日本と比較すると、税金は高いが医療や教育は無料で、住宅の心配はないから、住宅ローンで苦労する必要も無い。手元に残る可処分所得はほぼ同額と試算されている。

社会福祉の原点といえるノーマライゼーションの考え方も、身障者に不都合な段差は誰にとっても不都合、補装具も個々人にあわせて制作するという思想が、社会的弱者全般に行き渡り、高齢者施策や男女格差解消にも及んでいる。

真の需要に見合った経済社会の構築

現在、北欧5カ国の1人当たりGDP(国内総生産)は、世界ランキングの上位を占め、どの国も10位以内から外れたことはない。日本は30位前後で、先進国で最下位レベルだ。昨年は韓国にも抜かれたようだ。その要因として、女性の社会参加が挙げられる。就業率も給与水準も男性と差が無いのだ。日本の女性は、就業率も給与水準も男性の70%くらいだから、北欧女性のGDP貢献度の49%しかないことになる。

前述のフリーセックスは、セックス・フリー、すなわち現代のジェンダーフリーの翻訳間違い。北欧では、女性の社会進出に合わせて、勤労条件や出産・育児環境をはじめ多くの制度改革を行い、何よりも男性優位社会からの脱却を図ったのだ。

女性や高齢者の非正規雇用、低賃金、人手不足の解消には、公共部門の賃上げが直接効果がある。経済学者ジョセフ・スティグリッツは、米国や日本の新自由主義経済を批判し、真の需要に見合った経済社会を構築すべきとしている。人々は何よりも子どもと親(高齢者)の幸せを望んでいる。経済競争を放任すると、世の中に偏りが出来てしまう。

そこを、是正するために公共(政府)が需要を発動するのが、真の経済の好循環だという。税の基本は、応能負担の必要配分。国民負担に世代間不公平が言われるが、社会保険方式を止めて、全て所得(法人)税で賄う方が、不公平が解消される。負担と受益はシンプルな方が良いのだ。(地歴好きの土浦人)

花粉症と秋のおはなし《ことばのおはなし》64

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つくば山頂(写真は筆者)

【コラム・山口絹記】先日、筑波山に登った。ロープウエーを使い、女体山と男体山の山頂を平行移動しただけなので、搬送された、という方が正しいかもしれない。

目的としては紅葉を撮影することだったのだが、ロープウエーから見下ろす山肌は全体的に茶色い。女体山駅についてみると、紅葉どころか、葉は大方落ちて樹木の半分以上は裸木である。

先日の雨と強風で一度色づいた紅葉も飛ばされてしまったのかもしれない。と思ったが、地面に落ちた葉を観察してみても色づいたものは見当たらない。猛暑の影響か、そもそも色づきが悪かったのかもしれない。

なんとなく、そんな予感はあったのだ。私は月日の感覚に疎い代わりに、四季を感じながら生きているところがある。今回の筑波山も、いつまで経っても秋の気配が感じられないから、なんとか秋を観測するような心持ちで来たのだった。

以前のコラムでも書いたことがあるのだが、私の中で季節とは、匂いだ。春には春の、夏には夏の匂いがある。いつか私が花粉症になったら、私の春はどこにいくのだろうか、というおはなしだった。

枯枝に 烏のとまりけり なんとやら

このコラムを書いてから3年が経ったが、実はここ数年すっかり花粉症と思われる症状に悩まされており、年明けから数カ

しかし、症状が出てからお薬を飲むまでの間に秋が過ぎ去ってしまったのか、それとも今年は秋がなかったのかわからないが、吸い込む空気の香りもすでに秋というより冬のそれに近い。 枯枝に 烏のとまりけり なんとやら といった風情である。

なんとなく意気消沈して、帰りもロープウエーで搬送されながら、今年は夏と冬しかなかったなあと侘(わび)しい気持ちになる。このやるかたない思いで一句、と思ったが、どうやら花粉症は春の季語らしい。花粉症をなめているとしか思えない。花粉は一年中飛んでいるのだぞ。

結局、今が秋なのか冬なのか判然としないまま、そもそも詠めもしない句はあきらめた。来年の春には期待しよう。(言語研究者)

つくば駅前に市民窓口センター 12月1日開所

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12月1日に開所するつくば駅前市民窓口センター

市内7カ所目

つくば駅前の商業施設、BiVi(ビビ)つくば2階に12月1日、市内7カ所目の市民窓口センター「つくば駅前市民窓口センター」が新設される。住民票や印鑑証明書などを交付する市役所の出先機関で、つくばエクスプレス(TX)の駅前に同窓口センターが設置されるのは同市で初めて。近隣住民のほか、つくば駅を利用する通勤者などの利用も想定し、火曜から土曜の午前10時から午後7時まで開庁する。

他の6カ所の市民窓口センターと同様に、転入届など住民異動届の受付、納税証明書など税に関する証明書の交付などを実施する。平日の午後4時30分までは、自動車臨時通行許可(仮ナンバー)の申請受付、母子健康手帳の交付、市税や介護保険料の納付なども受け付ける。

マイナンバーカードを使って住民票などを発行するコピー機を兼ねた証明書発行機も設置されるほか、各自のスマートフォンであらかじめ申請内容を入力し、同センターの窓口にあるタブレットで申請手続きをする「書かない窓口」の一部機能を導入する。

面積は約196平方メートル、カウンターは、いすに座って申請などができるローカウンターが三つと、立ったままで申請するハイカウンターがあり、待合席が12席ある。

開所に向け、今年9月から11月半ばまで改修工事を実施した。改修費は約3750万円。職員は10人が配置される。

BiViつくば2階通路から見たガラス張りのつくば駅前市民窓口センター

当初は、つくばセンタービルのリニューアルに合わせて、同センタービル南側に新設する市民活動拠点内に設置する計画だったが、同拠点には吾妻交流センターや市民活動センターの機能を合わせた施設のほか、市消費生活センター、市国際交流協会が入居し、市民窓口センターの面積を確保することが難しくなったことから、同窓口センターがBiViつくばに新設されることになった。

BiViつくば2階にはもともと、案内所の「つくば総合インフォメーションセンター交流サロン」と「筑波大学サテライトオフィス」が入居し、イベントを開催したり、学生が勉強するスペースとして利用されてきたが、交流サロンは今年3月に閉館、サテライトオフィスは4月から休館、7月に閉館した。

つくばセンタービル内の市民活動拠点のリニューアルオープンは来年2月の予定だが、BiViつくばの市民窓口センターは一足早く開所する。

◆同窓口センターの開庁時間は火曜から土曜の午前10時~午後7時。受付時間は午後6時30分まで。日曜、月曜と祝日などは休み。詳しくは電話029-883-1111(同市市民窓口課)

保育園児が英語で国際交流《令和楽学ラボ》26

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ハワイ大選手と園児の記念写真(筆者提供)

【コラム・川上美智子】筑波大学を訪れていたハワイ大学のバレーボールチームの学生が、私が園長をしている「みらいのもり保育園」の子どもたちと交流しました。保育園では3歳児以上の園児に「英語で遊ぼう」のカリキュラムを組んでおり、ネイティブの講師が週30分ほど英会話を教えています。講師は授業中ほとんど日本語を使わず、英語でコミュニケーションをとってくれていますので、大人が考えるよりずっと上達が早いです。

選手と交流した年長組の子どもたち18名は、今回のハワイ大学生の訪問日を何日も前からとても楽しみにしていて、大歓迎でした。身長2メートル前後の体の大きな選手たちの前でも臆せず、英語で「My name is 〇〇」と自己紹介をして、すぐに仲良くなりました。

パフォーマンスでは、お互い文字を教え合うプログラムを準備し、選手にはひらがなで、子どもたちにはローマ字で自分の名前を書いてもらいました。次に、きれいな千代紙を使って、折り紙をしました。

保育士が考えた「手裏剣」の制作は、子どもたちにも、選手たちにも少し難しく、長い時間をかけて、ようやく折りあげました。子どもたちは出来上がった手裏剣を投げる姿を見せ、使い方を教えました。最後に、園児が英語の手遊び歌「Head, Shoulders, Knees and Toes(頭、肩、膝、つま先)」を披露して、大爆笑のうちに交流会は終わりました。

短い時間の交流でしたが、選手たちが乗ったバスが見えなくなるまで、園児たちは園庭で手を振って別れを惜しみました。

このように、子どものころに豊かな体験を積むことが、健やかな成長につながることから、保育園では地域との交流を大切にしています。新型コロナで保育園に外部の方が入る機会を遮断せざるを得なかったこの3年間、子どもたちから交流や体験の機会が失われました。それが、健やかな育みにどう影響するかはわかりませんが、それらを取り戻せるよう、この1年は地域交流に力を入れています。

ラグビー交流、アート活動、バイオリン演奏…

このほか、筑波大学のラグビー部の選手たちとのラグビー・スポーツを通した交流では、タッチダウンやパス回しを習いました。また、筑波大の芸術学群の研究室とは、名画の鑑賞と造形アート活動による交流を行っています。

昨年度からは、県立明野高等学校の「ジョブシャドウイング」を受け入れ、高校生に職場体験、職場観察をしていただき、子どもとの交流も図っています。また、地域のバイオリニストの方が楽器の話や演奏をしたり、地域の農家の方が絵本『あさごはんのたね』の読み聞かせや、お米やブルーベリー栽培の話をしたりと、毎月、どなたかが訪問してくださっています。

担任の保育士による養育や保育に加え、園児たちはいろいろな大人と触れる機会があり、興味・関心を広げ深められる環境の中で育っています。ここで幼少期を過ごした子どもたちが、将来どのように活躍してくれるのかが楽しみです。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園園長)