金曜日, 10月 30, 2026
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そろばん界にDXを つくばの中学生が練習用ウェブサービスを開発

英語読み上げ算

プログラミングの知識を活かし、そろばん界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現しようする中学生がいる。つくば市立竹園東中学2年の杉本直継さん(14)だ。開発したのは、そろばんの「英語読み上げ算」を練習したい人や、読み上げの質を高めたい先生に向けて、正しい発音ができているかどうかを確認するウェブサービス「YOMIRU(ヨミル)」で、音声認識機能を用いて作られている。現在無料版が公開されており、今後機能を追加した有料版も公開予定だ。

ばらつきを改善したい

そろばんには「願いましては」「~円也」など独特の掛け声を使って読み上げられた数字を計算する「読み上げ算」という競技がある。この読み上げ算を英語で行うのが英語読み上げ算で、「願いましては」は「Start with」になる。英語の読み上げは高速で行われるため、高度なリスニング能力と計算力を同時に養うことができるという。

杉本さんは小学1年のころからそろばんを習い始め、小学4年の時に英語読み上げ算に取り組み始めた。練習するうちに、先生によって英語の読み上げの質にばらつきがあることに気付き、改善できるツールを作れないかと考えてYOMIRUを企画した。

現在公開している無料版はプログラミング言語「JavaScript(ジャバスクリプト)」を使用して作ったもので、英語を読み上げて入力すると文字が出力され、正しい発音ができているかどうかを確認することができる。今後公開予定の有料版では、AIの音声認識システムを用いることにより、さらに精度の高い認識が可能という。また、全国の先生たちによる様々な読み上げを聞くことができるサービスも提供予定だ。

プログラミングの知識生かす

図形やイラストでプログラミングする「ビジュアルプログラミング」を小学2年から始め、小学6年から「テキストプログラミング」を始めた。つくば市内のプログラミングサークル「CoderDojoTsukuba(コーダー道場つくば)」に所属するほか、中学1年の時には、情報セキュリティ人材の発掘、育成事業「セキュリティ・キャンプ」(情報処理推進機構主催)のジュニア開発ゼミを修了するなどして、プログラミングの基礎を学んだ。プログラミング言語「Python(パイソン)」や「JavaScript(ジャバスクリプト)」の書き方、ソフトウェア開発のプラットフォーム「GitHub(ギットハブ)」の使い方などを勉強し、その知識をYOMIRUの開発に活かしているという。

有料版の公開に向けて、自宅で開発を進める杉本さん

昨年12月に埼玉で開催された国内最大規模のそろばん競技大会「全国珠算競技大会 そろばんクリスマスカップ2023」(日本珠算協会主催)では、英語読み上げ算中学生の部で15位入賞という成績を収めた。同大会では競技に出場するだけでなく、YOMIRUのチラシを作り、企業ブースと並んでブース出展。全国のそろばん教室に向けてPRした。ブースにはそろばんの先生だけでなく、競技に出場した生徒の保護者らも訪れ、興味を持っていたという。

「自分で一から作ることができるのがプログラミングの魅力。自分で作るからこそ、作る人の苦しいところ、大変なところも分かるようになる」と語る杉本さん。プログラミングを勉強することで「ものを作る人はこういうことを考えて作っている」と知ることができ、論理的な思考も身に付いたという。今後の目標は「YOMIRUで成果を上げること、YOMIRUの更新を続けていくこと」と話す。有料版を3月末に公開できればと、開発にいそしんでいる。(田中めぐみ)

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免震装置、40年の変化を検証 奥村組がつくばで実験

10年ごとに実験 日本初の実用免震ビル 40年前に建てられたビルを人工的に揺らし、免振装置の経年変化を調べる自由振動実験が28日、つくば市大砂の奥村組技術研究所で実施された。ビルは鉄筋コンクリート造4階建ての技術研究所管理棟で、日本初の実用免震ビルとして1986年に建てられた。竣工以来、約10年ごとに実験を続けており、今回が5回目。過去の測定結果と比較し、免震装置の性能が設計時予測範囲内の変化にとどまっていることを確認した。 実験では、建物を支える直径50センチの天然ゴム系積層ゴム25基の性能を検証した。エネルギーを吸収するための鋼棒製ダンパー12基を取り外し、総重量約2500トンの建物を積層ゴムだけで支える状態にした上で、油圧ジャッキ2基、200トンの圧力を使って建物を水平方向に10センチ押し込んだ。ジャッキの力を解放して建物を自由振動させ、揺れの周期や振幅などを測定、分析した。力が解放された瞬間、「ドン」という大きな音と共に足元から強い衝撃が伝わったが、それ以降、急速に揺れが小さくなった。 実用免震建物の歴史は約40年と比較的浅く、長期間使用した装置の性能変化を実際の建物で検証したデータは限られている。同社技術研究所の上寛樹所長は、「積層ゴムの性能が、経年によって40年以上にわたりどう変化するかは、実際の建物ではまだ十分に実証されていない。40年分のデータの傾向を分析することで、設計時の予測値が正しいかどうかを検証できる」と話す。 免震構造は、地面と建物の間に積層ゴムなどの装置を設け、地震の揺れが建物に伝わるのを抑える仕組みだ。積層ゴムは、薄いゴムと鋼板を交互に何十層も重ねたもので、建物の重さを支えながら、地震の際にはゴムが水平方向に変形することで、地面の揺れが建物に伝わりにくくする。ただし、石製ゴムだけでは揺れがなかなか収まらないため、エネルギーを吸収するダンパーを併用する。同管理棟では、鋼の棒が変形することで揺れを吸収する鋼棒ダンパーを使っている。 同社によると、過去の実験では、積層ゴムの硬さは設置から20年で約10%、30年で約11%増加。今回の40年目の実験では約12%となり、設計時の予測範囲内で推移していることを確認した。設計上は、120年後に最大30%硬くなっても安全性を確保できるようにしているという。 奥村社長は「30年目までの結果から大体の方向性は予想できていたが、40年目の実験で改めて確認できた。免震技術に対する社会の信頼性も高められたのではないか」と話した。今後も50年目、60年目と実験を続け、得られたデータを学会発表などを通じて業界全体で共有し、免震技術の信頼性向上に役立てるとともに、地震の多い日本で免震建物の普及を目指す考えだ。(柴田大輔)

筑波山の風景画家 御手洗さんしのび 回顧展と金色姫舞踏劇

11月1日~3日 自然生クラブが開催 筑波山を愛し、筑波山麓で筑波山の絵を描き続け、今年7月に亡くなった画家、御手洗(みたらい)竹松さんの回顧展「山に恋して~筑波山の風景画家」が11月1日から3日まで、筑波山麓の田井ミュージアムで開催される。併せて11月1日には同所で、御手洗さんが制作した「金色姫(こんじきひめ)」の紙芝居をベースにした舞踏劇「金色姫伝説 幻想」などが上演される。 知的障害者たちと共同生活をしながら筑波山麓で有機農業や表現活動に取り組むNPO法人「自然生(じねんじょ)クラブ」(柳瀬敬代表)が、長年交流のあった御手洗さんの功績を改めて多くの人に見てもらおうと、「筑波山麓秋祭り2026」の開催に合わせて企画した。 御手洗さんは1943年山口県生まれ。神奈川や東京暮らしを経て、79年につくば市片田に移住し画廊を開設した。88年には筑波山麓の神郡に移住、養鶏を営みながら筑波山の四季を描き続けた。2003年には日本郵便の年賀はがきに御手洗さんが描いた筑波山の絵が採用された。 回顧展で展示する作品は油絵33点。ほとんどが筑波山を描いたものだ。森や草原の中に小川が流れオレンジ色に染まった雲の下にそびえ立つ筑波山、里山の満開の桜の向こうにそびえる筑波山など、大きいものでは縦約90センチ、横約1.3メートルなど、大小さまざまな作品が並べられる。 御手洗さんの紙芝居のテーマとなった「金色姫」は、地元の蚕影(こかげ)山神社に伝わる伝説で、天竺(インド)の王女である金色姫が、継母の迫害を逃れて、桑の木で作られたうつぼ舟(丸木舟)で常陸国(茨城県)の豊浦に流れ着き、漁師に助けられたが亡くなり、なきがらがカイコとなって日本の養蚕が始まったという物語。 竹松さんは、筑波山麓の景色を次の世代に残していきたいという思いから連作の紙芝居をつくったという。自然生クラブでは2006年に上演。今回、アレンジを加えて、物語の朗読や笛や太鼓の演奏と共に再演する。自然クラブ代表の柳瀬敬さん(68)は「御手洗さんとは40年くらい前、学園地区に住んでいたころからの知り合いで、ほぼ同時期に筑波山麓に移り住んだ。山麓で農業を始めたのも、御手洗さんの影響があった」と振り返る。「御手洗さんの描く筑波山は、写実的に描くのではなく、心の風景を描いたもので、自分が見たいと思ったものを描いている。今回は御手洗さんの素晴らしい筑波山の絵を多くの人に見てもらいたいと企画した」と話す。 御手洗さんの長男の太郎さん(46)は「こんなに短い期間に企画をまとめていただいて、大変ありがたい。父は筑波山が好きで、筑波山が近くに見える場所にアトリエを構えた。生活のために養鶏業を営んだが、ここでたくさんの絵を描いてきた」と思いを語る。(榎田智司) ◆自然生クラブ 秋の芸術祭2026 御手洗竹松の回顧展「山に恋して~筑波山の風景画家」は11月1日~3日、 つくば市神郡54、田井ミュージアム(アトリエ)で開催。開館時間は午前10時~午後3時。入場無料。▽追悼公演「金色姫伝説 幻想」は1日午後1時30分開演。入場料1000円、学生や障害者など500円。定員40人、予約者優先。詳しくは自然生クラブのホームページ、または電話029-866-2192(同)へ。