水曜日, 11月 12, 2025
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新型コロナに判断揺れる つくば・土浦のイベント関係者 

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研究会の中止や延期を告げる農研機構のホームページ

【橋立多美】国内で新型コロナウイルスの感染が相次ぎ、感染者数は日々更新されている。22日現在、県別の感染者に茨城県はないが、都内への通勤や国際交流の機会が多いつくばでは、モヤモヤした不安を抱える人が少なくない。感染の拡大を受け、不特定多数の人が集まるスポーツイベントや会議、集会を中止する動きが広がっている。

ノーベル賞受賞者も来日回避?

農研機構は18日、一般公開施設「食と農の科学館」(つくば市観音台)を当分の間休館すると発表した。19日つくば開催の4つの研究会やサイエンスカフェに加え、21日につくば国際会議場(同市竹園)で予定していた気象環境研究会「近年の猛暑によるイネ高温不稔の顕在化とその対策」を中止とした。

同会議場では3月12日に予定されていた日本学術振興会主催の「第12回HOPEミーティング―ノーベル賞受賞者との5日間」も中止となった。ノーベル賞受賞者3人と著名研究者によるパネルディスカッションが一般に公開される予定だった。パネリストとして招へいの海外のノーベル賞受賞者の1人が直前になって出席を辞退、主催者も「コロナウイルスの影響を考慮」して中止を決めた。

敢行にも中止にも決断力

国が不要不急の集まりを控えるよう呼びかけつつも具体策が示されないなかで、多くの人が集まる会合を開催した例も。つくば市社会福祉協議会は20日、コロナウイルス予防策を練って「地域の絆フォーラム2020」をホテルグランド東雲(同市小野崎)で開催した。230人が参加した。

会場入り口にアルコール消毒液を置き、開演前にマスクを着けていない人にマスクを用意していることをアナウンスして飛沫感染を防ぎ、休憩時間に扉を開けて換気を行った。花粉症の時期と重なってマスクが入手できない現状だが、食事サービスや災害支援向けにストックしているマスクを運び込んだ。

同フォーラムは互いに支えあい、安心して暮らせる地域づくりを目指して8年前から開催。「(開催を)楽しみにしている人がいる」と中止の検討はされなかった。フォーラムを運営した担当者は「できるだけのことをした」と話す。

一方、元開業医の室生勝さんが主宰する、高齢者の居場所づくりを目指す「サロンゆうゆう」(毎週月曜)は、今月初めから活動を中止している。

政府が水際作戦をとったが、室生さんは1月下旬にはすでに国内に無症状患者がいると考えた。周囲からは「そこまでしなくても」という声があったが、医療に携わった者として対策を徹底させた。感染すると重症化する可能性が高い後期高齢者が多いことも背中を押しての決断という。

どうなる?かすみがうらマラソン

土浦市は21日、市が主催するイベント開催の方針を示し、方針に基づいて実施の判断と対応を行うと発表した。

実施するのは出席者や来場者が限定的で特定することができ、イベント会場でのアルコール消毒や手洗い、咳エチケット、換気など、一般的な感染症対策をすることが可能なもの。他方、参加者が不特定多数で感染拡大のリスクが大きく、出席者への感染により、市民の安全確保や行政、企業経営上、多大な影響が予測されるイベントは原則中止とする。

同日、霞ケ浦の湖畔をめぐるウオーキング大会(29日と3月29日)の中止が告げられた。今後は4月19日開催の「かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン」の催行に注目が集まる。エントリー者数2万4000人をこえる。

近隣ではつくばみらい市の「みらいマラソン」(3月1日)の中止が決まった。実行委員会では、大会スタッフ用のマスクや消毒液が確保できないことを中止の要因に挙げている。

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都市計画決定を変更へ 国道6号牛久土浦バイパス第3期

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航空写真を張り出し国交省常総国道事務所が素案を説明=つくば市茎崎交流センター

【相澤冬樹】国道6号牛久土浦バイパスの都市計画決定変更に向けた地元説明会が21日、つくば市小茎の茎崎交流センターで開かれた。2018年度に事業化となった牛久市城中からつくば市高崎までの5.5キロ区間について、最新の道路構造令に基づき設計を変更するための手続き。道路両側の盛土や切土など法面(のりめん)部分を含めて幅員とする考え方で都市計画を設計し直すなどの素案を伝えた。基本的なルートに変更はなく、今後のタイムスケジュールなどは示されなかった。

時期的な見通しは示されず

同バイパスは牛久市遠山町から土浦市中まで延長15.3キロで1994年計画決定された。2011年までに、つくば市西大井地区と土浦市中村西根地区との区間3.9キロが開通(暫定2車線供用)しており、圏央道つくば牛久インターチェンジをはさみ国道408号と学園東大通りとを結んでいる。

牛久土浦バイパスの事業区間=常総国道事務所の資料から作成

今回説明会が行われたのは、同バイパス第3期の事業区間。牛久市側は1月に開催しており、つくば市側2.5キロについて国交省常総国道事務所による説明が2日間にわたって開かれた。県や市の担当課も立ち合い、初日の21日は沿線の住民ら約30人が集まり、質疑応答した。

同事務所による説明では、路肩の自転車道・歩道を広く確保したり、道路本線以外の法面部分も含めた道路設計に変更するのに伴い、都市計画決定エリアを両側に広げる措置が必要になった。牛久市区間は高架橋りょうが連続するが、つくば市区間では盛土と切土が交互に現れる。

さらに道路構造令に基づき、市道と交わるみのり幼稚園付近の交差方式を立体から平面交差に変更するなど素案の説明があった。5.5キロ区間は特に景観重点整備区間と位置づけ、牛久沼や稲荷川など自然環境と調和させる設計で臨むという。

質問では、平面交差に改まる箇所での緊急車両の進入動線、住宅市街地に工事車両が往来することへの環境対策などが質された。

素案は今後、県の都市計画公聴会、広告・縦覧、意見聴取、県都市計画審議会などを経て、改めて都市計画決定される。詳細設計や用地買収などはその先の着手となる。事業化されたとはいえ、建設スケジュールは都市計画の手続きに一旦戻る格好だ。これらの手順の時期的な見通しはついていない。現在進行中の第2期区間についても、起点の牛久市城山地内1.3キロ区間が22年春に供用開始の予定となっていること以外、つくば市1.9キロ、土浦市2.7キロ区間の建設時期も示されなかった。

【土浦市新年度予算】公約実現へ コミュニティーバス運行に調査費

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初の予算編成となる新年度当初予算案を発表する安藤真理子市長=21日、土浦市役所

【鈴木宏子】土浦市の安藤真理子市長は21日、2020年度当初予算案を発表した。昨年11月に初当選し初の予算編成となる。公約に掲げたコミュニティーバス運行に向け調査費約680万円を計上するほか、新治運動公園多目的グラウンドに人工芝を張る調査費約350万円を盛り込むなど公約実現を図る。3月3日開会の3月議会に提案する。

財調基金取り崩し行わず

予算規模は、一般会計が前年度比4.4%減の約506億8000万円、特別会計を含めた総額は同比0.7%増の約924億7100万円。一般会計は過去10年間で3番目に低い規模となる。市民会館の耐震化や学校給食センターの再整備など大規模事業のピークが過ぎたことによる事業費の減額が要因。

さらに昨年の市長戦で基金の枯渇による財政危機の解消を訴えたことから、経費や事業の見直しを徹底して行い、財政調整基金の取り崩しを行わなかった。加えて老朽化している学校や公共施設の改修に向け新たに3億円の基金を積み立てるなど、長期財政見通しで推計されていた財源不足を回避した。

公約実現に向けてはほかに、企業誘致による財源確保のため、流通拠点である常磐道土浦北インターチェンジ(IC)周辺に企業誘致を図るための土地利用状況調査と企業ニーズ調査費490万円を計上する。県が昨年11月に発表した未来産業基盤強化プロジェクトを活用して農地転用などの手続きを迅速化し、ICから半径3キロ圏内に新たに産業用地開発区域の設定を目指す。スマートインターチェンジを新設する公約についても、場所の検討などの調査費580万円を盛り込む。

11月に市制施行80周年

新規事業は、保育料無償化の対象外となっている0~2歳児について利用者の負担額を一部軽減する(6200万円)。通学路や避難路に面する危険なブロック塀の撤去を促進するため、所有者が解体工事を行う場合、費用の一部を補助する制度を開始する(1件当たり上限10万円、総額70万円)。老朽化している小中学校のトイレについては和式を洋式にするなど改修するための設計費約790万円を計上し、神立小、乙戸小、都和南小と都和中の4校で翌年に改修する。

ほかに、11月3日に市制施行80周年を迎えることから記念事業として、NHK公開番組や自転車の祭典などイベント開催を含め約1560万円を盛り込む。つくば霞ケ浦りんりんロードなどサイクリング環境のPRとして、自転車のまちづくりを推進する全国市区町村長の会による全国シクロサミットを今年秋にも市内で開催する(120万円)。高齢者の介護予防については、市内1カ所をモデル地区とし、県リハビリテーション専門職協会の協力を受けて、体力測定を踏まえた集団・個別指導をする介護予防健診を開催する(約60万円)。

土浦港周辺のにぎわいづくりは、ラクスマリーナを含めた3.9ヘクタールの旧京成ホテル跡地について、民間企業を誘致するための用地測量費など980万円を計上する。

一方、歳入については、個人市民税、法人市民税、新築家屋増による固定資産税などの増加するとして、市税3.3%増を見込む。

安全な大会へ花火対策室を新設

4月からの行政機構の見直しについても発表があった。2年連続で事故が発生した土浦全国花火競技大会を安全に実施するため、観光商工課に花火対策室をつくる。交通不便地域を解消するためのコミュニティーバスの運行など公共交通に関する総合的な取り組みを推進するため都市計画課に交通政策室を新たに設置などする。

街なかに流れる児童の歌声 土浦のひなまつり

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土浦小学校の児童の歌声を流す前野呉服店=土浦市中央

【伊藤悦子】第16回土浦の雛(ひな)まつりが始まっている土浦市の街なかに、「うれしいひなまつり」の歌声が流れている。歌ったり演奏したりしているのは、市立土浦小学校(同市大手町、小島勝則校長、620人)の児童たちだ。

この企画を考えたのは前野呉服店(同市中央)の代表取締役、前野有里さん。「ひなまつりを音楽で盛り上げられないか」と思い立ったのがきっかけだ。「ただ音楽を流すだけではなく、地元の子供の歌声がいいのでは」と考え、土浦小の児童たちに歌ってもらえないかと同校の教員に相談したという.

小島校長はこの提案を快諾。「前野さんからは、上手に歌うというより微笑ましい感じの歌声が欲しいと聞いた。そこで低学年の1年生と2年生の各3クラスの児童たちに歌ってもらうことにした」と話す。

土浦小校門と円内は小島勝則校長

日課プログラムである「朝の会」を利用して、児童たちは1月から2週間程度練習を行った。また同小のクラブ活動である環(たまき)合唱団も歌い、金管バンドクラブに演奏も依頼した。前野さんが同小を訪れてCDに録音した。歌う前に児童たちがクラス名を言っているので、聞いた本人や家族がわかるようになっている。

小島校長は「自分たちの歌声を聴きながら、下校する児童がたくさんいる。またひなまつりに連れていってほしいと保護者と出かけている児童もいる。地元の行事に自分たちが参加しているという意識が出て、将来の地元活性化の核にもなるのでは」と話す。

前野さんも土浦小の出身。小さい頃の楽しい思い出がたくさんあるという。「土浦のひなまつりで歌ったことが、子供たちの思い出になってほしい。街を訪れる皆さんにも子供たちの歌声をぜひ聞いていただきたい」と話す。

児童の歌声や演奏は、3月3日までのひなまつり期間中、土浦駅西口ペデストリアンデッキ、土浦駅プレイアトレ土浦2階「ナナイロ」のキッズスペース周辺、まちなか交流ステーションほっとone(土浦市川口)などで聞くことができる。問い合わせは前野呉服店(電話:029-821-0452)

通行料を払ってドローンを飛ばす つくばの住宅地で配送実験

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注文された商品を積んで住宅地内の公園に降りるドローン=つくば市研究学園

【鈴木宏子】ドローン(小型無人機)を使った配送実験が20日、つくば市研究学園の住宅地で行われた。住宅地上空をドローンが飛行できるよう「空の道」をつくるビジネスを展開するベンチャー企業「トルビズオン」(本社・福岡市、増本衛社長)が、つくば市などと取り組んだ。同社によると大規模住宅地での実験は全国初という。

都市部での利活用見据え

航空法の規制で、住宅地など人口集中地区の上空でドローンを飛ばすには国交省の許可がいる。このため、飛行ルートにある住宅地の地権者に通行料を支払って「空域」を確保しようとした。物流や警備、インフラ点検、災害時の救助支援など、2020年代以降、国交省が都市部でのドローンの利活用を本格化させる「空の産業革命」を見据えた実証実験だ。

配送実験は、五十嵐立青市長がスマートフォンのアプリ機能を使って、商業施設イーアスつくば内のカスミに、おにぎりやリンゴ、バナナなどを注文。カスミが店舗近くの公園に設けられた発着場に商品を運び、トルビズオンがドローンに積み込んだ。さらに損保ジャパン日本興亜の関連会社がドローンを運行し、民間の空き地や住宅地の道路上空約50メートルを時速10~15キロで10分程度飛行して、700メートルほど離れた住宅地内の公園で待つ五十嵐市長に無事、商品を届けた。

ドローン宅配の実験概要を説明するトルビズオンの増本衛社長

都市部でのドローンの利活用を視野に、上空で携帯電話の電波を活用し、だれの土地の上空を飛行したかがリアルタイムで分かる位置情報を取得する実験も同時に行われた。送料として1回500円程度を想定し、80%の400円をドローンの運行料、14%を地権者に支払う通行料、6%を損害保険料や利益として見込んでいるという。

五十嵐市長は「物流業界の人手不足や買い物難民などの課題がある中、ドローン配送は大きなインパクトを与える。(ドローンが飛行する住宅地の)地元同意を得て進めており、これからもていねいに住民合意をとって進めていきたい」などと述べた。トルビズオンの増本社長は「住宅地の真ん中に荷物を届けることができた。大規模住宅地でのドローンの実証実験が、空の道の課金システムのために欠かせない」などと話した。

ツンデレの白馬がやってきた 筑波大馬術部に元競走馬

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芦毛で大きな馬体の桐杏=筑波大学馬場厩舎

【山口和紀】筑波大学体育会馬術部の厩舎(きゅうしゃ)=つくば市天王台=に2月はじめ、元競走馬の白馬がやってきた。サラブレッドの牡(おす)、15歳。現役時代の名前はバロンビスティー、JRA(日本中央競馬会)美浦トレセン所属で、2008年から11年に国内22戦4勝の成績を残した。白く美しい芦毛の馬体で、引退後は東京競馬場の誘導馬として活躍し、ファンも多かったそうだ。

筑波大に移籍し「桐杏(とうあん)」と命名された。由来は、大きな身体で、杏(あんず)の花のような白さと美しさから連想したという。日本産の牡サラブレッドには、「桐(とう)」という文字に一文字足して命名する同部の慣習にならって命名した。

桐杏は2005年2月生まれの15歳=同

部長の松田森樹さん(生物資源学類3年)によると「桐杏は少し気難しいところがある。かまって欲しそうにしているが、近づき過ぎると怒る。あえて言うなら“ツンデレ”みたい」だそうだ。

馬術部には「桐杏」を含めて11頭が在籍し、馬術部の部員は14人。全員が大学に入ってから馬術を始めた。松田さんは「生き物への関心が元々あって、入学後の体験で馬に乗ったときに『この部に入ろう』と思った。馬術部の面白さというのは、生き物を相手にすることにあると思う」と話す。

馬術競技には大きく「馬場」「障害」「総合」の3種目がある。同大は特に総合馬術に力を入れているという。他の馬場馬術や障害馬術は、それを得意とする馬種が多く在籍する私立大学が一般的に強い。筑波大馬術部は引退した競走馬、つまりサラブレッドが多く在籍するため、その特性を活かすためには総合馬術が最も適しているそうだ。

筑波大学馬術部の活動の様子=同部提供

「馬との距離の近さ」が大学馬術の特徴だ。部員それぞれが1頭の馬の世話を担当している。持ち回りで担当するが、365日、毎日4回の餌やりも欠かすことはできない。「プレーヤーとマネージャー、そしてトレーニング。これら全てを自分で担当することで得られる奥深さは魅力的。毎日毎日、馬も人間の調子も違うため、新しい発見がある」と内窪夏希さん(教育学類2年)は話す。他競技であれば言葉で話すことで通じ合えるが、馬術は違う。「チームメートは馬。言葉は通じない。『ちゃんとやって』と言ったとしても伝わらない。その難しさと面白さが馬術にはある」そうだ。

馬術部では同大の学生と教員向けに体験乗馬を随時行っている。連絡先は馬術部ツイッター(https://twitter.com/tsukuuma)へ。部活への入部はいつでも歓迎。学外者への一般開放は現在のところ行っていない。

 

つくば、土浦では利用できず 県立図書館の遠隔地貸し出しサービス

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県立図書館(背景)とつくば市立中央図書館㊧、土浦市立図書館

【相澤冬樹】インターネット予約により、茨城県立図書館(水戸市三の丸)の本を県内市町村の図書館で借りられるサービスが2月スタートしたものの、つくば、土浦の両市立図書館では今年度、利用できないことが分かった。NEWSつくばの取材に、両図書館とも参加の意向を示したが、つくばでは「早ければ4月にも」、土浦は「開始時期の見通しは立たない」と答えている。

県立図書館が始めたのは、遠隔地利用者貸し出しサービス「ぶっくびん」。同館の利用カードを持ち、連絡先のメールアドレスを登録すれば、同館ホームページで貸し出し予約ができる。申し込みの際に受け取り館を指定することで、メールで受け取り日が通知される。

同館では、県内の図書館などで本を融通し合う相互貸借を実施。17年度で約2000人が7500冊(返却数)を借りていた。これまでは予約時と受け取り時の2回、市町村の図書館に足を運ぶ必要があったため、自宅や職場のインターネットで資料検索した際などに「直接申し込みたい」という要望が寄せられていた。

同館のシステム改修が2月更新となることから、これに合わせ同サービスの導入が進められてきた。市町村の図書館と調整の結果、スタート時点で37市町村計50館が参加。つくば市、土浦市、稲敷市、下妻市など計6市町が参加を見送った。現在、県内44市町村全部に公立図書館があるが、県立図書館によれば水戸市は「遠隔地ではない」ため、当初から対象になっていないという。

これまでの経緯で、つくば市立図書館では負担金の扱いが問題となった。市から県へ約6万円の支出が生じるが、予算措置を講じられなかった。「県立図書館の利用カードを持っていれば、つくば市に在住・在学・在勤する者以外の貸し出しにも応えなければならないというのは即断しかねるところがあった」という。新年度予算の可決を待って、早ければ4月にも参加の段取りになっている。

土浦市立図書館では、貸し出しを同市の在住・在学・在勤者に限っておらず、たとえば土浦駅の通勤客が立ち寄って利用することも可能なため、来館者数が増大、利用形態もさらに複雑になっている。「窓口業務に委託業者が入っていることもあって、考えられる色々なケースへの対応を詰め切れなかった」という。参加の前提だが、サービス開始時期の見通しは立っていない。

「ぶっくびん」の詳細はこちら、一度に借りられるのは20冊(一般図書・雑誌は10冊)までで、予約から7-10日程度で受け取れる。取り置き期間は1週間。受け取り館か県立図書館の窓口に返却する。現時点では県立図書館にも両図書館にも、利用者からの直接的な問い合わせはないという。

千差万別のソウルフード 「すみつかれサミット」 つくばで

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集まった「すみつかれ」を地図上にマッピングした古山菜摘さん=つくば市大角豆

【相澤冬樹】北関東の一部の地方に伝わる郷土料理「すみつかれ」の多様なバリエーションを、食べ比べで楽しもうという「サミット」が16日、つくば市大角豆のコミュニティーマーケット「まめいち」で行われた。あいにくの雨もようとなったテント屋根の下、参加者らが味比べをして感想を述べあった。

「すみつかれ」は初午(はつうま)の日に、お稲荷様や氏神様に供えて食するソウルフード。栃木県では「しもつかれ」という名で浸透し、スーパーにも並ぶほどポピュラーだが、茨城の県西部から石岡、土浦の県南部にも分布するなかで「すみつかれ」とも呼ばれることが多くなる。

鬼おろしと呼ばれる調理器具で大根をおろし、節分の残りの炒り大豆を加えるまでは同じでも、サケを入れたり入れなかったり、酒粕を加えたりお酢を加えたり、煮込んだり加熱しなかったり、と組み合わせで味も見かけも千差万別になる。

この「すみつかれ」と「しもつかれ」の2つは別物だとして、収集や調理を通じて調査研究を始めたのが、つくば市の小池英治さん・容子さん夫妻で、すみつかれ楽会(がっかい)を立ち上げた。夫妻が運営する月例のコミュニティーマーケットで、「すみつかれサミット」は2月の定番行事となった。

6回目の今回は、初午(2月9日)から1週間後の開催。容子さんの自作と参加者の持ち寄りで合わせて10点が集まった。茨城県内各地と宇都宮市から収集されており、毎年出入りはあるものの、前回を2品上回った。参加者は口々に「そんなにおいしいものではないけれど」と言いながら次の皿に向かう。「くせになる」味のようだ。

楽会メンバーの古山菜摘さんが地図上にマッピングし、会場に張り出した。食材と調理法の組み合わせから、分布の特徴を探しているが、明確な違いは見出せていない。嫁入りによって実家の味が持ち出され、持ち込まれた先で家庭の味になる食文化で、郷土料理としては混在と消長を来している。

つくば市の浅野裕美さんは、実家の土浦市板谷に住む母親に作ってもらった品を持ち込んだ。「真壁(桜川市)の母の実家で作られていたものらしい。サケもニンジンも入って甘いのが特徴、おやつ代わりに食べた記憶がある」そうだ。

 

「コスモ星丸」35年ぶり再起動 つくばミニメイカーフェアで人気

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再起動した「コスモ星丸」を子供たちが運転。マイクを持つのがLIGHTz社、乙部社長=つくばカピオ

【相澤冬樹】つくばでは初開催となる「ものづくりの祭典」、つくばミニメイカーフェア(TMMF)が15、16の両日、つくばカピオ・アリーナ(つくば市竹園)で開かれた。ビジネスシーンや趣味の世界で活躍する数々の成果が披露されたなか、主役になったのは各種のロボットたち。なかでもつくば生まれのレトロなロボットが、子供から大人まで来場者の幅広い関心を集めた。

科学万博のマスコットロボット

フェアは、「つくる場=つくば」がキャッチフレーズ。企業や研究機関、大学から町の科学者、技術者まで全国から151組も集まり、実演展示やセミナー・シンポジウムなどで丹精込めた日ごろの成果を披露した。五十嵐立青つくば市長も姿を見せ、バスケットボールのシュートロボットを脳波で動かす実演に取り組んだ。つくばの産総研の開発した技術だ。

そんななか、子供たちには「かわいい」、大人たちには「懐かしい」と注目を集めたのは、1985年に開催された科学万博のマスコットロボット「コスモ星丸」。つくば市のAI企業、LIGHTz(ライツ、乙部信吾社長)が目を付けて、TMMFへの参加企画として「復活プロジェクト」を立ち上げた。

乙部社長は85年当時小学生、岩手から万博見物に来て、今も鮮やかな思い出になっているという。「温故知新」の姿勢で、新しい技術との融合を図る同社の企業戦略にも合致するプロジェクトとして、保管先のつくばエキスポセンターから借り受けた。

科学万博から35年、まったく動かず、1週間前まで同センターの展示ブースに飾られていた。当時の最先端と思いきや、足もとの底部はベニアの板張りだったそうで、補強して、動力部などをチューンアップ。動作の電源は蓄電池からモバイルバッテリーに変え、コントローラーもスマホ仕様に変えたという。

科学万博で見られたじゃんけんをしたり、おじぎをしたりの動作はまだ不安定なため、電子音を立てて前進や後退、回転をするのにとどまった。それでもご愛敬なのは健在で、来場者の人気を集めた。同社が会場で呼び掛けた100万円のクラウドファンディングにも早速の応募が集まっていた。

今回ひとまず動く形になってステージに登場した星丸だが、やっと再起動を果たした状態。これから1年をかけ、新しい要素も加えてバージョンアップを目指すそうだ。

例年より開花進む 筑波山梅まつり開幕

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縁結びのご神木「福来梅の木」を眺める観光客=15日、筑波山梅林

【田中めぐみ】第47回筑波山梅まつりが15日、筑波山中腹にある梅林(つくば市沼田)で始まった。暖冬の影響で例年より開花が進み、現在、紅梅は八分から九分咲き、白梅は二分から三分咲きの開花状況だという。

15日は開園式が催された。式典には五十嵐立青つくば市長のほか、振袖姿の第14代つくば観光大使らが参加した。五十嵐市長は「梅はもちろんすばらしいが渋滞の問題がある。今、県と一緒になって、一方通行にするのかパークアンドバスライドにするのか、協議会を立ち上げて取り組んでいる。(隣接の)フォレストアドベンチャーのコースも新しく追加された。これから筑波山をさまざまな体験ができるような場所にしていく。受け身の観光だけでは限界がある。いいものがあるので、エリアを面としてとらえ全体像を描いた上で、本当の意味で喜ばれる、愛される観光地にしていく」などとあいさつした。

開園式会場で記念撮影に応じる振り袖姿のつくば観光大使=同

毎年2月から3月にかけて約1000本の梅が花を咲かせる。こけむした筑波石の合い間に植えられた梅は筑波山地域ジオパークの見どころの一つとなっている。

市観光ボランティアガイド298の吉原一行会長は、今年は全体的に開花が早く、梅まつりの終わりの3月下旬まで花が持たない可能性もあると話し「ぜひ早めに見に来ていただきたい」と早めの来園を呼び掛けている。

龍ケ崎市から訪れた75歳の男性は「梅まつりには毎年来ている。今年は暖かいので咲くのが早い。開花状況を推測して来る人もいるので、これから来園者がもっと増えるのでは」と話した。千葉県から姉妹4人で訪れた72歳の女性は「毎年姉たちと来ている。梅というと水戸の偕楽園と思う人が多いが、私は筑波山が気に入っている。ここの梅は高低差があって、筑波山の自然の懐に抱かれているようなところがいい」と魅力を語った。

◆梅まつりは3月22日(日)まで。会期中は毎日、梅緑茶の無料サービスがあるほか、土・日曜はつくば大使の出迎えがある。主催は筑波山梅まつり実行委員会とつくば市など。問い合わせは電話029-869-8333(つくば観光コンベンション協会)

梅林の上空を滑空する五十嵐市長

フォレストアドベンチャーがリニューアル

筑波山梅まつりの開幕に合わせて、梅林隣りのアスレチック施設「フォレストアドベンチャー・つくば」がコースを新しくしてリニューアルオープンした。昨年12月からリニューアル工事のため閉園していた。今回のリニューアルでは、子ども向けの「キャノピーコース」が2コースから4コースに増えたほか、大人向けに難易度の高い「エキサイトコース」1コースが増えた。

リニューアル初日、五十嵐市長が新コースを体験。小学生から「市長がんばってー、落ちないでー」という声援を受け、「ありがとう」と答えながら揺れるつり橋を渡り、梅林の上を100メートル滑空するジップスライドにも挑戦した。

梅林の上を滑空するジップスライドは、筑波山梅まつり期間中のキャンペーンとして3月22日まで体験できる。事前予約が優先。詳しくは電話090-4755-7800(フォレストアドベンチャー・つくば

【まちの顔】1 宅配便セールスドライバー 加登谷文之さん

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笑顔を絶やさない加登谷文之さん=つくば市東平塚の平塚支店

【橋立多美】私たちの日常は誰かの働きで支えられている。つくる、運ぶ、売るなど、さまざまな場面の向こうにたくさんの人の仕事がある。どんな人がどんなふうに働いているか、シリーズで紹介する。

初回は、人々の生活に身近な宅配サービスを提供し続ける、宅急便クロネコヤマトのセールスドライバー加登谷文之(かどや・ふみゆき)さん(37)。

ヤマト運輸(本社東京)つくば平塚支店のつくば研究学園センターに所属。市中部の東光台とその周辺地区の配達と集荷を担当している。入社して7年になる。土浦市在住。

「気は優しくて力持ち」を地でいく。会った瞬間、自然な笑顔とあいさつで相手の緊張を解きほぐす特技の持ち主。初めはこわもてだった人とも数回配達するうちに会話を交わすようになるという。「笑顔はうつると思う」

荷物1個当たりの重さの上限は30キロだが「30キロは重いうちに入らない」と言い切る。2011年の東日本大震災を機に重い飲料水の配達が一気に増えた。

配達先がエレベーターのない集合住宅の上階で、たどり着いたら不在で運んだ荷物を1階まで降ろすこともある。「今年から筋力をつけようとスポーツジムに通い始めた。階段で息が上がらなくなった」と話す。

毎日150個以上の荷物を配り、集荷は100個前後、不在で再配達するケースは多い日で30件ある。早く届けてあげようと無意識に小走りになる一方で、勤務時間内にその日の配達と集荷を成し遂げると達成感を覚えるそうだ。

全国安全大会で優勝

忘れられない日がある。ヤマト運輸は全社の安全意識や運転技術の向上を目的に、10年から毎年「全国安全大会」を開催している。県大会と関東大会を制した勝者が全国大会に出場する。加登谷さんは12年の関東大会で2位になり、全国大会出場を逃した。

翌年のリベンジを誓い、休日は家にこもって全国大会競技種目の学科試験に向けて知識を蓄えた。迎えた第6回全国安全大会は鈴鹿サーキットで開かれた。学科と日常点検整備、運転実技を競い、マニュアル車部門の優勝ドライバーに輝いた。16年10月17日のことだった。「自分の名前が読み上げられて号泣した」と振り返る。

全国優勝ドライバーの名に恥じぬよう働く加登谷さんに、妻は「セールスドライバーはあなたの天職だね」と声をかけた。妻からの最高の誉め言葉だったと照れながら笑顔で語った。

担当エリア内の道路は路地裏まで入社後1カ月で覚えたという。交通弱者にやさしい運転を心がけ、通学路など子どもがいる道路は徐行を怠らない。

黒ネコのマークを見つけた児童たちが笑顔で手を振ってくれたり、幼児が近づいてくることもある。「我が家の子どもは大きくなったから小さい子がかわいくて。ありがとうの思いを込めて運転席の窓から子どもたちに手を振る」そうだ。

ヤマトファンをもっと増やしたいという加登谷さん。荷物と一緒にまちに笑顔を運ぶ。

配送車に荷物を積み込む加登谷さん。積み込みスタッフの手が回らない時は自ら動く=同

モノ好きたちのメイカーフェア 15、16日 つくばカピオで開催

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(右上から時計回りに)放電管の一種ニキシー管、遠隔操作ロボット、全自動ルービックキューブ、コスモ星丸、食卓を七色に染める計算器製造=TMMF実行委員会提供

【相澤冬樹】モノ好きなメイカー(Maker)たちがつくばに集結―好奇心を刺激するサイエンス系のフェア(Faire)が15、16の両日、つくばカピオ・アリーナ(つくば市竹園)で開かれる。Maker Faireは全世界200カ所以上で開かれてきた「ものづくりの祭典」。これまで日本では東京、京都などで開催されており、つくばでは「つくる場=つくば」をキャッチフレーズにして初開催となる。全国各地から集まった総勢151組のメイカーが、ロボット、AI、教育、未来のモビリティーなど、様々なオリジナルの作品を展示して来場者と交流する。

つくばをはじめ全国で活動する研究者や経営者、エンジニアたちがつくばミニメイカーフェア(TMMF)実行委員会(江渡浩一郎委員長)を編成して主催する。「つくる」文化の確立や新たな学術・研究の創出、スタートアップ推進などを目的に掲げており、つくば市などが共催する。

これまでに全プログラムが決まり、総勢151組のメイカーの参加が決まった。子供から大人まで体験できるものづくりコーナーを置く出展者も22組ある。

15日のオープニングでは、江戸時代に活躍したつくばの発明家、飯塚伊賀七が約200年前に作ったからくり和時計の複製を用い特別に実演(15日正午から)する。科学万博つくば85のシンボルロボット「コスモ星丸」を最新の技術を用いてよみがえらせるダンスショー(両日午後1時から)も予定されている。

トークセッションは全8組予定されている。民間企業として初めて宇宙へ到達するロケットの打上げを行ったインターステラテクノロジズ社の稲川貴大社長を招いて、民間・個人による宇宙開発の可能性を語る「宇宙ロケット、作ってみた」は15日午後3時から、つくばを拠点に活躍している古生物の芝原暁彦さん(地球科学可視化技術研究所)、気象の荒木健太郎さん(気象研究所)、動物解剖学の郡司芽久さん(国立科学博物館)による「つくればわかる、かたちの科学」は16日午後3時から開催する。

筑波大学宇宙技術プロジェクト「学生だけで作る超音速ロケットと小型探査機」など研究者や企業によるプレゼンテーションも両日午後にプログラムが組まれている。

事前申込は不要、入場無料。問い合わせはTMMF実行委員会

バレンタインデー目前 その名は「いばらきチョコレート」

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カスミ大穂店のバレンタインコーナーに並ぶ「いばらきチョコレート」

【池田充雄】バレンタインデーを目前に、チョコレート商戦の目玉となりそうな個性的な商品が登場した。その名は「いばらきチョコレート」。インドネシアのカカオとつくば市などの農産物を使い、国際協力と農業振興の一端を担う。現在、スーパー「カスミ」(本社つくば市)の県南地区6店舗で販売中だ。

オールつくばの生産体制

いばらきチョコレート誕生の発端は、業務用チョコレート大手の東京フード(つくば市上大島)とつくば市が一昨年、国際協力機構(JICA)との共同事業でインドネシアのカカオ栽培支援に乗り出したこと。焼畑農業からの転換を進め、森林保全と農家の生計改善につなげる目的だ。現地で生産されたカカオマスを買い取り、つくばの農産物と組み合わせたチョコレート商品を開発することで、事業の周知と理解を図りながら、支援の輪を広げようとしている。

田野島万由子さん

商品化に取り組んだのは、野菜ソムリエやフードコーディネーターとして地域で活動する田野島万由子さん(つくば市横町、オリジネス取締役)。かねてから地場農産物の消費拡大のため、ドライフルーツの開発も進めていた。

昨年1月、カスミ地域商品開発部の協力を得て試作品が完成。市内3店(大穂店、学園店、イーアスつくばスタイル店)で販売し、800個を完売した。その後は商品のブラッシュアップを進めるとともに、共同事業者に社会福祉法人ゆっこらフレッシュグリーン(つくば市谷田部)とニュートラルデザイン(つくば市桜)を迎え、オールつくばの生産体制を敷いた。

地場産フルーツの個性際立つ

インドネシアのカカオは、アフリカ産のような酸味やクセは感じられず、日本人の口に合う食べやすさが特徴という。それを東京フードが、カカオならではの苦みや濃厚なコクを生かしたセミスイートチョコに仕立てた。

トッピングのうちブルーベリー、キウイ、温州みかん、福来みかんは市内産。旭村イチゴ(鉾田市)や奥久慈リンゴ(大子町)も使用、ほうじ茶と緑茶は猿島茶(坂東市)だ。果物はドライフルーツ、お茶は粉末にすることで自然の風味が凝縮され、それぞれの個性が強く感じられる。

商品のうち一番人気は「ほうじ茶&福来ミカン」。口にすると福来ミカンの爽やかな香りが立ち、後からほうじ茶の香ばしさやほろ苦さが広がる。福来ミカンは皮の砂糖漬けに果汁も絞り入れることで、いっそう香り高く味も濃厚になったという。

いばらきチョコレート:ほうじ茶&福来みかん、緑茶&福来みかん、いちご&ブルーベリー、温州みかん、キウイ&林檎の5種。1枚300円、3枚入1,050円、5枚入1,650円(いずれも本体価格)

季節品からつくばを代表する商品へ

今年度の生産は5種類で計3000個を予定。昨年末にプルシェつくばキュート店で先行販売を開始した。同店は駅に隣接するため地域商品の需要が高く、帰省シーズンと重なって好調な出足だったという。

1月下旬からは大穂店、学園店、イーアスつくばスタイル店、守谷テラス店、千代田店を加え6店舗で展開中。「昨年販売した店ではお客様が覚えていてくださり、今年もバレンタイン前から問い合わせが相次ぎ、リピーターやまとめ買いの方もおられた」と、カスミ地域商品開発部の神林都さん。

「これをきっかけにバレンタインだけに終わらせず、手みやげやプレゼントなどにも利用していただき、茨城やつくばをアピールできる商品として長期的に育てていきたい」と、田野島さんは展望する。

8人分の保育所入所申請書類を紛失 つくば市

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つくば市役所

つくば市は10日、今年4月に保育所に入所したい旨の申請をした8人分の申請書類を紛失してしまったと発表した。

市幼児保育課によると紛失した申請書類は、昨年11月15日に提出があった6世帯8人分の保育施設利用申込書などと添付書類で、保育所に入所したい子供の氏名、住所、生年月日、家族全員の名前、保護者と入所する子供の個人番号、保護者の勤務先や給与などが記されていた。

書類提出を受け付けた11月15日、8人のうち1人について、職員が書類の一部を変更する作業をし、変更した書類を元の書類に添付して保管場所に戻した。

今年1月27日午後、事務作業をするため臨時職員が保管場所に行ったところ、並んで保管してあった8人分の書類が無いことに気付いた。

翌28日から2月7日まで、同課職員らが保管場所や執務スペースなどを徹底的に調査したが発見できなかったという。

同課は7日午後、書類を紛失した世帯に電話し謝罪、8日に各家を訪問し改めて謝罪した。

今後の対応について同課は、個人番号が含まれた書類を保管場所から取り出す際は、確認簿を作成し、だれの書類を何のために使用するかを記載する、返却する際は作業者本人と別の職員が確認簿で確認し、再発を防止するとしている。

つくばの市民劇団 伊賀七座 16日、集大成の組曲お披露目

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本番に向けて稽古に励む伊賀七役の中村壮志さん(左)と女房役の竹田京子さん=つくば市谷田部

【橋立多美】江戸時代にからくり時計を作った、つくば市谷田部出身の発明家、飯塚伊賀七を題材にした舞台を手掛ける地元の劇団伊賀七座の5回目の公演「組曲伊賀七」が16日、同市谷田部の「よりあいや伊賀七庵」(旧呉服店アラキヤ)で開かれる。

同劇団などの活動は昨年7月、市が実施している周辺市街地を元気にする「つくばR8地域活性化コンペティション」で最終審査に残り、最高額の200万円を獲得した。16日の公演は今年度の集大成になる。

伊賀七座の初演は昨年6月で座長は地元在住の劇作家で舞台演出を兼ねる70歳の沼尻渡さん(ペンネームは北野茨)。以来、伊賀七の発明を基にした演劇を披露してきた。今回は、測量器具「十間輪」をモチーフに人情味に満ちた物語に仕上がっている。

当初7人だった劇団員は15人に。初演から舞台に立ち、今公演で伊賀七を演じる中村壮志さん(22)は「芝居は奥が深い。悩みは尽きないがやめるつもりはない」。伊賀七の女房役の竹田京子さん(51)は「着物に慣れないので、テレビに和服姿の女性が登場すると食い入るように見てしまう」と話した。

朗読の練習をする劇団員たち=同

劇団の母体は、シャッター通りと化した谷田部地区に活気を取り戻そうと、昨春立ち上がった「わわわやたべや町民会議」(長塚俊宏代表)。伊賀七をシンボルに町おこしが動き始め、劇団と地域住民の交流拠点「よりあいや伊賀七庵」が発足した。

つくばR8地域活性化コンペで最高額を獲得したことについて沼尻さんは「コンペで認められたことが地域の励みになり『勇気づけられた』『まちが元気になりそう』という声がある。参加する住民も増えてきた。約500個の和提灯を町内に飾り付けた11月のイベントには、子どもやボランティア約300人が集まった」という。

また「コンペの支援金でのぼりを購入できたが約半分は会場の家賃に充てる。『よりあいや』は日常的に利用できる場にしたいが、それには常駐者が必要で人件費がいる。これからも寄付を募っていく」と話す。その一方で「3年間はまちの発展のために全速力で走る」とも。

「組曲伊賀七」は同町民会議の今年度の集大成で、公演には迫力ある太鼓演奏が加わるほか、伊賀七座のテーマソングが発表される。

◆公演は16日(日)午後1時からと同3時からの2回。3時からの部は終演後、参加者たちで谷田部の地域づくりを語り合うパネルディスカッションが開かれる。チケットは大人1000円(3時の部は1500円)、中高生500円、小学生300円。当日チケットあり。問い合わせは電話090-3341-7351(沼尻さん)。

◆「つくばR8地域活性化コンペティション」の成果報告会は、11日(火)午後1時30分から、つくば市役所コミュニティ棟1階で開催する。

➡つくば市周辺市街地活性化の過去記事はこちら

親子で体験、パラスポーツに白熱 つくばで「2020」

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目隠しをしてブラインドサッカーに挑戦する子供たち=9日、つくば市桜総合体育館

【田中めぐみ】オリンピックイヤーに合わせて、市民がパラリンピックスポーツを体験するイベント「つくパラ2020」(カスミ主催)が9日、つくば市流星台、桜総合体育館で開かれ、親子連れなど多くの来場者でにぎわった。

皆が一緒にいきいき暮らせる共生社会を目指そうと、東京ガス、関彰商事が共催した。

会場には、白い目標球にカラーボールを投げ、どのくらい近づいたかを競うボッチャ、針のついていないピンを的に当てるハンドアーチェリーなど、5つの障害者スポーツの体験ブースが並び、親子連れなどが列を作った。

サッカー元日本代表で鹿島アントラーズの中田浩二さんが登場し、大勢の親子連れらが見守る中、車いすバスケットやブラインドサッカーなどに自ら挑戦。ゴールを決めると大きな拍手が起こった。

市内から参加した強瀬(こわせ)菜乃葉さん(11)と阿川凛央さん(11)は「学校でイベントのチラシをもらって参加したいと思い、誘い合って来た。卓球バレーが結構白熱した」と話した。同じく市内から親子で参加した伊藤朱莉(あかり)さん(10)は、別府花音(かのん)さん(10)と共に「ボッチャを体験してみたい」と挑戦し、体験後は「楽しかった」と顔をほころばせた。

以前からやりたかったというボッチャを体験する伊藤さんら=同

主催者の小浜裕正カスミ会長は「つくば市はSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを推進している。パラリンピックスポーツを体験する機会は少ないので、市民にもっと知ってもらおうと開催した。一企業としてこういう場をもっとつくって毎年毎年より大きな活動にしていきたい。つくば大会、茨城県大会などをつくっていけたら」などとあいさつした。五十嵐立青市長は「障害者スポーツの可能性は大きい。継続して地域に根付いて初めて意義のあるイベントになる」などと話し、盲導犬と歩行体験するデモンストレーションを見せた。

https://www.youtube.com/watch?v=wWIk4jptUfE&feature=youtu.be

まちづくり振興会の運営で5月オープンへ つくば小田小の跡地利用

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改装後には玄関ラウンジとなる学校昇降口に立つ鈴木真人振興会会長=つくば市小田小跡

【相澤冬樹】つくば市は8日、廃校となった同市立小田小の跡地利活用に関する地元説明会を開催、施設の一部を交流拠点として利活用するプランを提示した。運営は地元の小田地域まちづくり振興会(鈴木真人会長)に委ねることとし、3月中に貸し付け契約を結び、5月中にも本格オープンさせたい意向だ。

同小旧校舎で開かれた説明会には約30人が参加。市はこれまでの検討結果を示した上で、利活用の方針を説明した。それによれば、増築校舎と呼ばれる鉄筋コンクリート造3階建て1、2階の教室部分と運動場が、当面の利活用の範囲となる。校舎は1986年の建築で、新耐震性能を満たしており、現在改修工事中。これまでにエアコンの取り付けを終え、児童用だったトイレを大人も使える形に作り替えている。

地元説明会はつくば市都市計画部により開かれた=同

同小は2018年3月末で廃校になった。宝篋山の麓にある小田の市街地と、サイクリングロードが通る小田城跡歴史ひろばの中間部に位置する。これらの施設を、①地域内外の交流の場の提供②地域の文化・資源を体験できる名物・プログラムの提供③地域の情報発信④地域に貢献する団体等への場の提供-に役立てていくという。

教室・校庭を登録団体・個人に貸し出すことで、運営資金に充てる一方、登山客やサイクリストが立ち寄れる補給所・休憩所として開放する。おみやげ販売の朝市・マルシェの開催、校庭を使っての電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」の試乗体験などのイベントが想定されている。

登録料は個人500円・団体1000円、利用料金は小田地域内の個人・団体は1教室1時間で1000円、小田地域外は同2000円などとする案が示されたが確定していない。予約は利用の3カ月前からを受け付ける形で検討されている。地域のボランティア団体や運営協力団体は無料ということだが、有料・無料の線引きはなお検討課題。利用料金を含め、引き続き調整の上、運営を小田地域まちづくり振興会に委ねることになる。

同振興会は、小田地区でどんど焼きなどに取り組んでいた個人活動を束ねる組織として昨年5月に結成された。会員は28人(準会員10人含む)で、同小の卒業生らが中心。昨年は古本市や子ども映像教室などの活動や、運営主体となるための勉強会などを行ってきた。3月21日、22日には内装の壁塗りを参加者に呼び掛けて行うプレオープニングを予定している。

市が施設を同振興会に貸し付ける契約、協定の締結は3月末となる予定。校舎や校庭の貸し出しが始まるのは5月に入ってからとみられる。鈴木会長は「まだまだ調整しなくてはならない課題があるが、小田のまちにとっていいものにしていきたい」と地域の協力を呼びかけた。

空き店舗や廃校活用提案など 筑波大生による「土浦まちづくりプラン」発表会

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安藤市長を囲み、教員、ティーチングアシスタントらと表彰式後の記念撮影=土浦市中央、亀城プラザ

【相澤冬樹】筑波大学社会工学類(川島宏一学類長)による地域イノベーションシンポジウム「若い世代による土浦まちづくりプラン」が7日、土浦市亀城プラザで開かれた。学生約50人が8つのグループに分かれ、1年にわたる同市での実地調査から作成した計画を発表する機会。人口減や公共交通、土地利用などの課題に対し、学生らしい大胆な切り口で挑む提案も飛び出した。

同学類の都市計画主専攻の3年生には、講座「都市計画マスタープラン実習」がほぼ必修となっている。同プランは市町村が策定する都市計画の基本方針となるもので、この形式に基づく実習を土浦市を舞台に、同学類の発足以来約40年続けてきた。現地調査し、課題を明らかにし、解決のための処方をグループ内で討議、検討をし、計画の作成に至る実践型の講座だ。

箱根駅伝を走った猿橋拓己君率いるグループも「攻める土浦、守る土浦」で参戦。タスキをつないだ=同

発表会は、課題発表と計画発表の2部形式で行われた。計画発表では8グループがそれぞれにマスタープランの全体像を提示したうえ、計画に盛った個別プランを順次紹介していく。このため駆け足のプレゼンながらも、全体では4時間を超す長丁場となった。それでも、安藤真理子市長はじめ聴講の市民らを釘付けにした。

なかでも、空き店舗の目立つモール505(川口1丁目)は学生の関心を引いた様子で、起業スタートアップのためのオフィス展開を図る、半分に縮めてモール252.5(ニコニコ)に変更する、駅前の図書館、既存の古書店と連携し古書店街の形成を促す-などの提案が飛び出した。

単にアイデア出しのプランニングではなく、投資の規模を示し、財源の裏付けや回収見通しなど費用対効果を明示するのが実習の特徴。廃校が決まっている上大津西小(手野町)について、老朽化した湖畔荘に代わる高齢者福祉施設の提案があった。デイサービスセンターと特別養護老人ホームの併設で、改修費は2億2000万円かかるが、年間の収支で約5000万円の黒字となり、4-5年での回収が見込めるという試算が示された。

第1位は「ツ_ナ_グ」に

そんななか、来場者らの投票で1位になったのは、「ツ_ナ_グ」で発表をまとめた代表者、安藤慎悟君(20)ら6人のグループ。MaaS(マス)と呼ばれる、自家用車以外のモビリティー(移動)を1つのサービスとして「つなぐ」公共交通のスタイルとして、アプリを媒介にしたIKIMaaS(行きマス)、KIMaaS(来マス)を提案するなどした。

表彰を受ける安藤慎悟君ら「ツ_ナ_グ」のグループ=同

安藤君は「愛知出身で、筑波大学に入っても土浦のことは関心がなかったが、実習で来てみて霞ケ浦の自然など資源の豊かさにびっくりした。提案がすぐ形になるとは思わないが、卒業まであと1年、土浦とはしっかり付き合いたいと思う」と喜びを語った。

講評で、安藤市長は「大胆な発想に驚いている。持ち帰ってぜひ検討したい提案もあった。皆さんには市の職員になってもらったり、いずれ土浦にきたとき、『あれ、私のプランだ』という結果になったら素晴らしいと思う」と述べた。

旧消防本部庁舎で銅線ケーブルなど盗難 つくば市

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つくば市春日の旧消防本部庁舎

つくば市は7日、同市春日1丁目の旧消防本部庁舎と隣接の旧中央消防署庁舎に何者かが侵入し、ケーブルなどが盗まれたと発表した。

両庁舎は2015年3月、消防本部が市役所隣りに移転後、使用されていない。市は5日、被害に気付き、同日、つくば中央警察署に通報、翌6日、建造物侵入と盗難被害で同署に被害届を提出した。

市消防本部によると、侵入があったのは昨年12月26日午後4時ごろから今年2月5日午後3時ごろまでの間で、旧消防本部棟西側の変電設備のかぎが壊され、自家発電設備などから各階に引き込まれている銅線のケーブルが切断され盗まれていた。さらに3階床の金属部分も盗まれていた。1~3階の壁や天井が損壊しており、ケーブルを盗む際に壊されたとみられるという。被害総額は不明。

両庁舎は使用されなくなって以降、施錠されガラス窓などは板で覆われ、敷地は立ち入りができないよう杭を打って針金で囲っていたが、警備システムなどは取り付けておらず、不定期で巡回するだけだったという。

今後は、定期的な巡回を実施するなど盗難防止策を講じるとしている。

同庁舎は解体して、さら地し、筑波大学付属病院が医療複合施設の建設を検討している。

カラオケ店でテンポよく 22日に筑波大医学生、心肺蘇生選手権

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訓練用の人形を使って心肺蘇生をする森さん

【山口和紀】筑波大学医学群医学類4年の森陽愛子(ひめこ)さんが、大学近くのカラオケ店で22日、心肺蘇生選手権を開催する。一般の市民や大学生が対象だ。カラオケ店で開催するのは心肺蘇生のテンポに近い曲を実際に歌ってみたり、大人数で合唱したりしながらテンポを学んでもらうため。森さんが選んだ若い人に人気の曲を使う。「心肺蘇生のやり方に触れてもらい、テンポを学んでもらえたら」と森さんは参加を呼び掛ける。

「TSUKUBA心肺蘇生選手権」で、昨年11月に引き続き2回目の開催となる。心肺蘇生を全くやったことがないという人でも参加できる。

心肺蘇生の技能を得点化する装置のついた訓練用の人形を使って、心肺蘇生の上手さを競う大会だ。医療関係者ではない一般の人に参加してもらうためカラオケ店の一角を使い行う。

主催する森さんは以前から、地域の子どもたちや高齢者に心肺蘇生やたばこの悪影響などを啓発するサークルに所属していた。今回は、大学生や社会人にも心肺蘇生のやり方を知ってほしいと、楽しみながら参加できる選手権形式で開催する。

参加者には30秒間、訓練用の人形で心肺蘇生をしてもらう。1分間に100~120回のテンポで、5~6センチの深さまで胸を圧迫する。選手権では押し込む深さやそのテンポなどを採点する。最も高い得点を獲得した人には景品も用意されている。前回大会の景品は大きなシロクマのぬいぐるみだった。景品のぬいぐるみを使って心肺蘇生の練習をしてもらえたらという思いからだ。

会場のカラオケ店は森さんがもともと頻繁に通っていた店だという。「フレンドリーな店長で、以前から親しくしていた。大会の計画を話すと『うちでやりなよ』と言ってくれた」と語る。

あいみょんやFoorinの曲で

森さんによれば、カラオケで開催する利点は幅広い層に届くことだと言う。前回大会ではカラオケをしに来たお客さんを誘って参加してもらった。その結果「大学生や社会人はもちろん、留学生にも参加してもらえた。『初めて心肺蘇生をやった。楽しかった』と言ってくれた人もいた」という。

さらに「(胸骨圧迫のテンポに近い曲を)実際に歌ってみたり、大人数で合唱したりしながら心肺蘇生のテンポを学んでもらえる」と森さん。従来の講習などでは一昔前の古い曲を使って伝えている場合が多く、若い人には届きづらいと感じていた。「気になって調べてみると、あいみょんの『マリーゴールド』とかFoorinの『パプリカ』とか、最近の人気曲にもちょうどいいテンポの曲がある。それらを使って伝えたい」と語る。

森さんは今後も継続的に「心肺蘇生選手権」を続けるつもりだ。「大会をさせてくれるお店だったり、イベントに企画として呼んでもらえたり、そういうことがあればうれしい。気軽に連絡を取ってもらえたら」と話す。

◆第2回TSUKUBA 心肺蘇生選手権 22日(土)、カラオケボイス天久保店(つくば市天久保1-7-1)で開催。午後7時から12時までの間、好きな時間に参加することが可能。所要時間は5分程度、申し込み不要。参加は無料だが、カラオケ代は別途支払いが必要(大会参加者にはポップコーンのサービスあり)。詳しくはhttps://twitter.com/tsukuba_sosei(ツイッターアカウント)。