月曜日, 11月 10, 2025
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オッチャンは、芸術家だ 《写真だいすき》2

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【コラム・オダギ秀】そこらへんをただ歩き回っていると、「隣のオッチャン、ハイカイが始まったぜ」なんて言われる。だけど、カメラを持っていると、徘徊(はいかい)でなく、「おっ、おじさん、芸術づいてきたなあ」なんて言われる。

写真を撮るということは、思い出を記録するとか、何かの証明にするとか、その効用を言うことは多い。だけど、写真というかカメラのいいことっていうのは、そんなことだけでなく、もっともっとある。

感性が磨かれ、若くなる

たとえば。少しでもいい写真が撮れないかと、ちょっとしたブラブラ歩きでも、辺りを見回し、おっ、こんな季節になったか、きれいな花が咲いとるなあ、とか、今日の天気は今の季節らしくない、などと、季節感が鋭くなり、それまでは通り過ぎていたものにも眼が向くようになり、感性や気持ちが豊かになる。

たとえば。歩いていると、ほほ~この建物も古くなったな、とか、あれ?ここはこんなに変わってしまったよ、あんな人がいたっけなあ、どうしているかなあ、などと、時の流れや歴史などに興味を深められる。

たとえば。現役を離れたりしていると、どうしても世界が広がり難くなるが、写真を撮る新たな仲間と知り合ったり、興味を持ったり持たれたりすることが多くなり、自然に世界が広がっていく。

たとえば。通りがかりの家の庭にきれいな花が咲いていたり、小さな子が遊んでいたりに出会ってカメラを向けて褒めたりすると、若いママと親しく話せるようになったりする。

たとえば。撮った、できのいい写真をプレゼントしたりすると、すごく喜ばれ、思いがけず、いいことした気分に即なれる。年配になると、気分のいいことしたと思えることなんて、そうザラにはないのに。

たとえば。カメラを持って、いい被写体がないかとウロウロ歩くことで、感性が磨かれ若くなり、体が鍛えられ、心が生き生き元気になる。

たとえば。気に入った写真が一枚撮れるごとに貼っていくアルバムなんか作っていると、そのアルバムに写真が増えるのが楽しみになり、大げさに言うと、目標のある人生の生きがいになる。やがて写真展でも開こうかなんて気持ちが湧いたら、もうワクワクしてたまらないのだ。

「うわぁ、大きなカメラ」

このように、写真を撮る効用は、たくさんある。あなたも、カメラを持って、出かけてみませんか。もっとも、時代は変わっているという経験を先日した。

公園を散歩していたら向こうから5歳くらいの元気な子が来る。で、いつも腰のポーチに入れている小さなコンパクトデジカメを向けた。アマゾンで3,500円で買った中古の小さなカメラだ。それを見たその子がいきなり言った。「うわぁ、大きなカメラ」。そんな時代だ。(写真家、土浦写真家協会会長)

環境省の「自然共生区域」に期待 《宍塚の里山》83

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宍塚大池(左)と竹の粉砕作業

【コラム・佐々木哲美】認定NPO法人「宍塚の自然と歴史の会」は、1989年の設立以来、緑豊かな宍塚の里山を次の世代に引き継ぎたいと活動してきました。私も30年間携わっていますが、振り返ってみると、保全活動が続けられたのは次の3点に集約されます。

1つは、宍塚里山それ自体の魅力です。ここに来ると、何かホッとする空間があります。2つ目は、多くの仲間に恵まれていることです。老若男女、様々な経験と知識がある素晴らしい人たちが活動しています。3つ目は、社会正義です。この素晴らしい場所を短期的な視野で開発させてはいけない、という使命感です。

宍塚里山保全の最大の課題は、その大部分が個人所有地だということです。数百人の土地所有者は、収入を生まない土地を抱え税金を払っています。この場所は幾多の開発計画が持ち上がり、頓挫(とんざ)してきた歴史があります。最近でも、太陽光発電所の建設が始まり、事業者の誘いに心が動く所有者の気持ちもわからないではありません。

我々、保全活動団体の最大の欠点はお金がないことです。そのために、里山の価値を多くの方に理解していただくために、地道なボランティア活動をしています。

太陽光発電所や残土処分場は困る

将来的には、法律で公有地化を図り、土地所有者の利益も守る。維持管理は、公社設立や指定管理者制度を採用、雇用の場を提供する。利用方法は、学識経験者にも関わってもらい、学校教育、市民団体、一般市民の活動の場としてもらうーと、私は勝手に妄想しています。

しかし、現在は保全に関わる法律はなく、所有者の意向で利用方法が決まります。そのため、太陽光発電、集合住宅、残土処分場―などに利用される脅威にさらされています。

そんな中で、少し希望が持てる話が持ち上がりました。2021年6月のサミット(主要7カ国首脳会議)で、生物多様性維持のため、2030年までに国土の陸域と海域の30%を保全・保護することで一致しました。これを受け、環境省は同年までに国土の30%以上を国が指定する自然保護区などとする方針「30by30」を示しました。

そのため、環境省は、従来の制度による区域を拡大するとともに、来年度から民間の土地などを生物多様性保全に貢献する場所として認定する「OECM(Other Effective area-based Conservation Measures、自然共生区域)」制度を試行的に導入するとしています。その対象は、寺や神社、企業が所有する山林・里山だけでなく、棚田のような農地も認定対象になり得るとしています。(宍塚の自然と歴史の会 副理事長)

民間売却可能に契約書変更へ つくば市旧総合運動公園用地 12月議会に提案

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旧総合運動公園用地=つくば市大穂

一括民間売却方針案が示された(11月11日付)つくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂)約46ヘクタールについて、土地所有者の市土地開発公社と市が現在締結している契約書のままでは、民間に売却できない恐れがあることから、市は30日開会の12月議会に、土地取得目的を変更する議案を提案する。

同用地は2014年3月、市が債務保証し、金融機関から66億円を借り入れて市土地開発公社が都市再生機構(UR)から買い取った。取得の際、市と開発公社は契約書を締結し、用地の取得目的について、市の事業計画に基づいて取得するなどと限定している。現在の契約書のままでは民間に売却できない恐れがある。

契約書の条文を一部書き換える方法として、2014年2月に市議会で可決された用地取得の議案では取得目的に「総合運動公園を整備するため取得し、その後、事業計画に基づき、土地開発公社からつくば市がその土地を取得する」などと書かれていることから、当時の議案に「ただし、つくば市が取得しないものとした場合、土地開発公社は、市以外の第3者に譲渡できる」などのただし書きを加える案を、12月議会に提案する。

最終日の12月22日までに可決されれば、民間に売却できるよう、契約書を変更する。

68億4000万円はすべて返済

一方、総合運動公園用地の取得費約66億円と利子分の債務保証をしていたつくば市は、今年3月補正予算で約53億円を返済し、さらに今年度当初予算で約9億円を返済した。利子を合わせた残り約6億円について今年3月時点では2022年度に約3億円、23年度に約3億円ずつを返済する計画だったが、1年半前倒し、今年9月補正予算で約6億円を返済し、今年10月までに利子を含めた取得費総額の約68億4000万円をすべて返済した。金融機関に対する借入金は無くなり、市の債務保証も無くなっている。

前倒しして市の債務保証を無くし、さらに12月議会の議決を得て契約書を変更すれば、民間売却に向けた法令上の障壁はなくなる。

議会と市民の意見聞く

売却する場合の価格の目安について五十嵐立青市長は11日、取材に対し「市に損失を与えない簿価(取得価格である66億円)をベースに適正価格で売却する」との方針を明らかにしている。

さらに五十嵐市長は「議会や市民の意見をいただいて議論を積み重ねる」などと表明し、売却スケジュールを示していない。市民の意見は、12月15日までパブリックコメントを実施して意見を聞くほか、12月10日と12日に計3回、大穂交流センターと市役所で住民説明会を開く。議会に対しては、12月下旬にパブリックコメントや住民説明会の結果を報告する。(鈴木宏子)

太陽フレアの情報② 《食う寝る宇宙》98

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【コラム・玉置晋】10月29日0時35分に発生した太陽フレアは、「Xクラス」と呼ばれる大規模なものでした。発生後、日本の宇宙天気研究の中核である情報通信研究機構(NICT)から臨時メールが届き、僕はこの大規模太陽フレアの発生を知ったわけです。

すぐさま、人工衛星から得られた太陽の紫外線画像から、爆発の発生場所をチェック。地球から見て、正面よりやや南側の活動領域で発生したことがわかりました。その位置から、地球周辺に影響を及ぼす可能性があるため、情報収集を開始。朝イチで、僕が働く人工衛星運用現場に伝えられるように準備をしました。世界中の研究者がSNS上で情報発信をしていますので、それを参考にしながら。

この時点で、情報発信しているのは研究者など専門家の方々のみです。太陽フレアに伴い、コロナ質量放出(CME)と呼ばれるガスの塊が地球に接近していることは、一般の人は知るよしもありません。最初に報道が出たのは、発生から12時間後のお昼時でした。大手新聞社のウェブニュースに「太陽フレアの発生」と、一般的な影響が掲載されました。この記事がSNS上でシェアされて、ざわつき始めました。

14時15分、NICTからプレスリリースが出て、報道各社が太陽フレア発生を認識。記事が配信され始めました。そして、夕方の各局のニュースでは、「太陽フレア」の発生や電波障害といった影響、翌日に予想されるオーロラの発生などについて解説されました。多く人が太陽フレアの発生を知ったのは発生から約17時間後でした。

CMEは地球南方の宇宙空間を通過

大規模太陽フレアに伴い発生したCMEが地球周辺に到達したのは、10月31日夜でした。ところがこのCMEは、各国の宇宙天気関連機関が出したCME進路予想に反し、地球の南方の宇宙空間を通過していきました。そのため、地球周辺での影響はほとんどみられず、肩透かしでした。

しかし、これで終わりではありませんでした。11月1日、前回より小さい規模でしたが、新たに2発の太陽フレアが発生。それぞれから地球方向にCMEが放たれたのです。(宇宙天気防災研究者)

わらづと納豆作りに挑戦 《県南の食生活》31

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【コラム・古家晴美】前回取り上げた「こも豆腐」に引き続き、今回も藁(わら)を使った食品を作ろうと思う。そこで「納豆」に挑戦した。他県の人から見た「茨城」のイメージとして、納豆は切っても切れないものかもしれない。

蒸し大豆を藁苞(わらづと)に詰め、納豆菌を繁殖させた「糸引き納豆」は日本独自のものだ。それまでは、中国から伝来した「塩辛納豆(浜納豆)」が寺院を中心に作られていた。糸ひき納豆の由来譚(ゆらいだん)は、八幡太郎義家をはじめ諸説あり、その出生は明らかではない。

しかし、江戸中期の『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』を見ると、たたいて豆腐と蕪(かぶ)青菜の汁に加え、芥子(けし)を放って食べるとおいしい、と記されている。そして、江戸末期になると、納豆売りの行商が盛んになり、醤油をかけて食べる方法も普及した。

茨城の小粒の納豆が注目されるようになったのは、明治22年(1889年)に水戸線が開通して以降のことだ。販売のための流通手段を獲得した水戸の「天狗納豆」は、現在に至る水戸名物としての地位を確立していく。

なんと納豆の糸が引いているではないか!

総務省の家計調査からも、2016~2020年の都道府県別納豆消費量は、「東高西低」傾向が依然見て取れる。2020年消費量は、東北諸県が上位に食い込み、茨城県は惜しくも5位になった。が、現在でも、納豆好きの県民が多いのではなかろうか。

納豆作りは県内全域で行われてきたが、煮た大豆を藁苞に詰め、発酵する時の寝かせ方は様々なようだ。藁苞を俵に詰めむしろを掛ける、藁苞をもみ殻の中に寝かせる、庭に穴を掘って火を焚いて土を温めてからむしろに包んだ藁苞を入れて土を掛ける―などの工夫が凝らされた。

マンション住まいの筆者には、俵ももみ殻も納屋もなく、先日こたつを処分した後だけに、ハードルの高い作業だった。結局、ひざ下にコの字型に立て掛ける学習用暖房パネルと電子レンジの発酵機能で挑戦した。前者は温度調節に毛布を掛けたり外したりを繰り返したが、結局、安全装置が働き、途中で電源が自動的に切れてしまった。後者は24時間継続して発酵機能を稼働させた。

出来上がった納豆は、匂いと舌で感じる酸味は紛れもなく納豆のものだったが、糸を引くには至らなかったので、成功とはいえない。最後に、藁苞だけでは不安だったので、粉末の納豆菌の力を借りたことを告白せねばならない。1回だけの挑戦だったが、現代人としての己の無力を痛感した。しかし、再度挑戦したい。

と、原稿を書き終わって帰宅したら、なんと納豆の糸が引いているではないか。昼間、暖かかったから、室内に放置したのが功を奏したようだ。やったー。(筑波学院大学教授)

いまどきの遊歩 これからの遊歩《遊民通信》29

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【コラム・田口哲郎】

前略

江戸川乱歩がペンネームの元にしたエドガー・アラン・ポーというアメリカの作家がいます。「黒猫」や「モルグ街の殺人」などの推理小説で知られています。ポーは推理小説以外にも小説を書いています。私がバイブルのように思っている作品があります。「群集の人」です。

ロンドンのとあるカフェにいる語り手は、窓の外にある老人を見つけます。なんとも言えない奇妙な魅力を放つ老人を、語り手は追いかける。老人は当てもなく大都会を歩き回ります。さまよいは延々と続くので、語り手は追跡を諦めるというあらすじです。

何が面白いのかと思われるかもしれませんが、これは街を無目的に歩き回る遊歩者像と人間観察家である遊歩者像をズバリ書いた作品ということで、遊歩愛好家の間では隠れた名作となっています。

題名にもある「群集」は大都市だからこそあるもので、群集では個人が大勢の人に紛れます。田舎では個人は目立って紛れることはない。田園風景に人混みはないし、人が一人一人はっきりと分かりますからね。だから、推理小説は大都市ならではの作品だと言われます。犯人が群集に紛れて逃げることができるからです。

それはさておき、遊歩者を自称する私は群集の一人である老人や語り手を見習って、人間観察や街歩きに励まねばなりません。遊歩者というものは、大都市といういわば一冊の書物のさまざまな物語が繰り広げられる舞台を読み解く者なのですから。

ライブカメラとバーチャル 進化する遊歩

しかし、コロナ禍の昨今、そうそう不要不急なのに、街をうろつくわけにもいきません。そこで、便利な文明の利器が登場します。YouTubeです。

YouTubeには各地のライブカメラチャンネルがあり、それを見れば、世界中の今が映し出されます。我が国が誇る首都、大東京には複数のライブカメラがあります。私がよく見ているのは、渋谷のスクランブル交差点と新宿歌舞伎町のライブカメラです。

渋谷の交差点の角のビル2階にスターバックスカフェがあり、交差点を見下ろしながらコーヒーを飲める絶好の場所があります。でも、茨城から毎日通って、ひねもす群集を眺めるというわけにもいきません。コロナ前は遠い場所だった交差点が、今は自室のテレビに映ります。コーヒーを飲みながら、人波を眺めるのは至福のひとときです。

歌舞伎町は夜が面白い。コロナ禍で「焼け野原」になった歓楽街も、徐々に活気を取り戻しています。紅茶を飲みながら、世知辛い不夜城を行き交う人たちの生き様を垣間見る楽しさはなんともいえません。コロナ禍が大都市を変えようとしています。

Facebookが「メタバース」という巨大な仮想現実空間を構築すると発表しました。将来、大都市はバーチャルに入り込むでしょう。そこを遊歩者が歩き回る日も近いかもしれません。そうすれば遊歩者はリアルとバーチャルを渡り歩くのですね。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

冬の足音 冬支度《続・平熱日記》98

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【コラム・斉藤裕之】春にはタケノコが出なくて、なかなか口に入らなかった。しばらくして、20年間ほとんど花をつけたことがなかった庭のプルーンの木に、小さな白い花が満開となった。夏は道端にアザミが群れをなして咲いていたかと思うと、クズの花をほとんど見かけないまま夏が終わった。秋になって、金木犀(キンモクセイ)は2度もかぐわしい匂いを放ち開花した。

なんとなく草木の異変を気にしつつ、やがて駅前で年末恒例のイルミネーションを設置する季節となった。

いまさらながら、「アマビエ」のオブジェを作るという。どうせなら、牛久なのでカッパの遺伝子を組み込んでみたらどうかという意見が出た。どちらも水の中で暮らしているので相性がいいのか、なかなかキュートな「カッパアマビエちゃん」になった。作ったばかりで気の毒ではあるが、来年はお役御免になっていて欲しいとの願いを込めて、勝手に「トドメちゃん」と呼ぶことにした。

さて、作業を終えて軽トラで帰宅。家の近くの角を曲がると、フェンスいっぱいに薄水色と赤紫の朝顔が上を向いて元気に咲いているのに驚く。もう11月も半ばを過ぎているのに。それから日暮れが早くなったので、足早にハクちゃんの散歩に出かける。すると、今度は足元におびただしい数のドングリが落ちている。

温かいものでも食べよう

「春は訪れ」「夏空は広がり」「秋の気配」、そして「冬の足音」。季節の到来を日本語は実に豊かに表現する。「冬支度」という言葉もいい。

昔の人はこのころの季節になると、漬物をつけたり、柿を干したりして、冬に備えた。英語では「プリペア」という他にないのだろうが、用意や準備とはちょっと違ったニュアンスがある。旅行は準備、旅は支度。外出は準備、お出かけは支度。どうやら支度はひらがなと相性がよさそうだが、今と違って、冬は支度をしなければならない季節だったということだ。

それにしても、「ころころ」ではなく「ゴロゴロ」と落ちているドングリ。恐らく、この辺りだけでなく、あちらこちらのドングリもパラパラと音を立てて落ちているようだ。その上を避けようもなくゴリゴリと踏んで歩く。人も車もドングリをつぶしていく。「全くおかしな年だ!」と言って済ませていいのか。それとも、すでに始まっている天変地異に気づいていながら、知らぬ顔をするのをやめるべき時か。「お池にはまってさあタイヘン…」

見上げると、枯れ葉が舞い木々も冬支度を始めている。ロマンチックにも見えるが、実は新しい芽が役目を終えた葉を追い落としているのだと思うと、わが身と重なり感慨深げになる。日が落ちるとグッと冷えてくる。温かいものでも食べよう。さて夕餉(ゆうげ)の支度をするか。(画家)

TX茨城空港延伸へ調査着手を 7市議会期成同盟会が再要望

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つくばエクスプレス=研究学園駅

つくば、土浦市など7市議会で組織する「TX(つくばエクスプレス)茨城空港延伸議会期成同盟会」(会長・笹目雄一小美玉市議会議長)はこのほど、水戸市の県庁を訪れ、大井川和彦知事と常井洋治県議会議長に「TX茨城空港延伸に関する要望書」を提出し、実現を強く訴えた。

期成同盟会はつくば、土浦市議会のほか、小美玉、石岡、かすみがうら、行方、鉾田市議会で構成する。設立されたのは2018年5月で、以来、総会開催に併せ、要望活動を展開している。

設立直後の18年11月に策定された県総合計画「新しい茨城への挑戦」では2050年頃の将来像が描かれ、構想図ではTXの延伸ルートの一つに「茨城空港ルート」が含まれている。

同盟会要望運動の根拠もこの一点にあり、「ー終息が見えないコロナ禍による地域経済の低迷を回復させるには(TX延伸は)必要不可欠」と強調。大井川知事と常井議長に▽県総合計画に基づくTXの延伸について、茨城空港への延伸を強く要望する▽県が主体となって、国、関係機関連携による基本調査・研究の早期着手をーと訴えた。

TX延伸問題は県議会でも議論を呼んでいるものの、大井川知事は財源ねん出が難しいと釈明しており、前に進む策を見出せないのが実情だ。(山崎実)

いばらき未来会議が1周年集会 《邑から日本を見る》100

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未来会議のパネルディスカッション

【コラム・先﨑千尋】このコラムを書きつづって、今回がちょうど100回になる。いつでも、伝えたいことや書かなければならないことがいくつも頭の中にあり、その中からテーマを選んで、私の思いを読者の皆さんにぶつけてきた。取り上げる課題が何もない時が来ればいいなと思う時もあるが、実際はそうはいかないでいる。今回は、私も関係している「いばらき未来会議」が設立して1年経ち、その集まりで私が話したことなどを伝えたい。

同会議は昨年、県議会で「東海第二原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例案」が否決されたのがきっかけで、県内各地の市民団体のネットワークを作ろうと結成された。情報の共有や連携などが目的。

同会議の1周年記念講演会は「農業と原発問題を考える」というテーマで、11月6日に水戸市で開かれた。私の講演のあと、笠間市で「あした有機農園」を主宰する涌井義郎さんも交えたパネルディスカッションがあった。

2011年の東京電力福島第1原発の事故で、多くの福島の人たちは避難生活を余儀なくされ、現在でも原発周辺の人たちはふるさとに戻れないでいる。飯舘村は福島第1原発から30キロ離れており、村民たちは当初、放射能で汚染されていることを知らされずにいた。避難指示が出たのは4月22日。他の人たちが避難を終えたあとだったから、飯舘村の住民たちは条件のよいところを見つけられず、その後の苦しい生活が始まった。

東北は原発の「植民地」

私は講演の最初に「東北地方は、大和朝廷にとっては異民族(エミシ)の住む野蛮なところ。そのために、1000年以上も「征夷大将軍」という官職が置かれ、戊辰戦争では奥羽越列藩同盟を結び、明治政府に抵抗した。戦後は福島や新潟に原発が設置され、電力の『植民地』とされた」と話した。

そして「日本一美しい村」と言われた飯舘村の原発事故後の状況や村の人々の対応に触れ、国が進める「強い農業、もうかる農業、スマート農業」ではなく、原発事故後の地域を守っていくには、阿武隈山系の人たちが営んでいる「農地を守り、老若男女合わせて生きがいを求める小規模農業」こそがふさわしい暮らし方だ、と結んだ。

パネルディスカッションで、涌井さんは、水戸市にある鯉渕学園で有機農業を教えてきた後、笠間市で有機農業を志す人のために「あした有機農園」を開き、これまでに30代から50歳までの15組が独立し、県内で充実した生活をしているという報告をした。涌井さんは、そうした人たちが生産した農産物や加工品を販売するため、一昨年秋に「町の駅笠間宿」内にオーガニックの直売所も開いている。

その後の意見交換では、東海村前村長の村上達也さんが、1999年のJCO事故後、村の総合計画を策定した時、農業を衰退させてはならないと考え、福祉、環境、教育と並んで農業も村の柱の一つに入れたと話し、それを受けて涌井さんは「放射能汚染は最大、最悪の環境破壊だ。地球上のすべての生き物が影響を受ける」と語った。(元瓜連町長)

2年ぶり、森の里団地で文化祭 作品通し交流再び つくば

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森の里団地で2年ぶりに開催されている「森の里文化祭」の会場の様子=21日、つくば市森の里、森の里自治会公会堂

つくば市茎崎地区の住宅団地、森の里団地で21日「森の里文化祭」が開幕した。昨年は開催を中止し2年ぶりとなる。緊急事態宣言が9月末に解除され、新型コロナの感染者がその後も減少していることから、森の里自治会(倉本茂樹会長)が1カ月前に開催を決めた。

写真、絵画、手芸、習字、絵手紙など住民の作品約530点が団地内の自治会公会堂に展示されている。例年より少し多い作品が集まった。一方、例年は会場に喫茶スペースを設け、豚汁やコーヒーなどをふるまってきたが、今年は喫茶スペースを設置せず、会場が混雑した場合は入場を制限する。

コロナ禍、つくば市は市民文化祭を中止、各自治会も2年連続で文化祭を中止した地区がほとんどの中、感染防止対策を徹底して開催にこぎつけた。

展示作品は、団地に隣接する谷田川の土手をヒナを連れて歩くコハクチョウや、市内に営巣するオオタカが木の枝から飛び立つ写真、岡山県倉敷の街並みや長野県安曇野の集落の風景を鉛筆だけで描いた鉛筆画、花びらや果物などを押し花にして絵にした押し花絵画、ひもを編んで手作りしたバッグ、紙粘土人形、ネックレスなど。

自治会文化部長の吉田敏さん(74)は「自宅でこつこつ作ってきた人たちが作品を出していると思う。直接、顔を合わせなくても、作品を通して『あの人が作品を出しているね』と思っていただければ」と話している。

森の里団地は約1300世帯のうち半数を65歳以上の高齢者が占め、新型コロナが感染拡大した昨年から、外出を控え自宅に閉じこもりがちの高齢者も多いという。緊急事態宣言時などは文化サークルも活動を休止したため、各自が自宅で仕上げた作品が多いという。

同自治会は毎年、バス旅行や演奏会、映画鑑賞会などさまざまなイベントを1~2カ月に一度開いてきたが、コロナ禍ですべてのイベントを中止しており、この2年間で開催できたのは文化祭が唯一という。

◆森の里文化祭は27日まで1週間、つくば市森の里、森の里自治会公会堂で開催中。時間は午前10時から午後3時。入場無料。

子どものころ 土浦の遊び ② 《夢実行人》2

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霞ヶ浦大橋の先に沈む夕日

【コラム・秋元昭臣】秋になれば、稲刈りやダダダーというエンジン音に誘われて脱穀作業を見たり、道に伸びた枝から柿を失敬したり。松林では、ハツタケ、アミタケ、たまにはマツタケも見つかり、キノコ取りに夢中になりました。

台風など大風の後には、松林に落ち葉、折れた枝を集めに行くことも子どもの仕事でした。学校に石炭ストーブが導入されると、「ストーブ当番」は火付け用に枝を持って行きました。家庭では、石油コンロが普及するまで、火付け材集めや風呂たきは子どもの仕事でした。

そのほかにも、犬、ニワトリ、ウサギのエサやりがありました。悲しいことに、ニワトリは卵を産まなくなると食卓に上がり、ウサギはウサギ屋に引き取られました。アンゴラウサギは毛を刈って加工してもらい、セーターにしたようです。今と違い、夜は犬を放してしまい、朝方に戻ってきました。

秋には模型飛行機大会があり、「A-1ライトプレーン」を飛ばし、みんなで滞空時間を競い合い、先生の作った大型のグライダーに夢をはせました。

運動会では、登校すると、校門の柱が杉の小枝で囲われ、きれいな緑色になっているのに感激しました。一番の呼び物は、小中高青年団が参加する「部落対抗リレー」で、部落総出の応援に盛り上がりました。なんといっても楽しかったのは、家族で食べる昼の弁当でした。

年の暮れには、父親の実家に親戚が集まり、餅をつき、いとこ同士の交流が楽しかったものです。正月用の桐のげたを履いて走り回り、割ってしまったことは悲しい思い出です。

土浦劇場の「ノンちゃん雲に乗る」

冬は、陽当たりのよい傾斜地に洞窟を掘り、大きな木の上に隠れ家を作り、秘密の基地にしました。

子どもの楽しみは「紙芝居」でした。2本の棒でこねると白くなるアメを買って見るのでしたが、毎回とはいかず、「タダ見」させてもらいました。でも、紙芝居のおじさんはニコニコしながら、何も言いませんでした。

「爆弾」も回ってきました。米やトウモロコシを持って行くと、加熱加圧してふたを開くとき、バーンと大きな音がするものでした。

学校では、教室をぶち抜いて暗幕を張り、映画会を開いてくれました。45分ぐらい歩いて市内の土浦劇場に行き、「ノンちゃん雲に乗る」を見たことはよく覚えています。

テレビ出始めのころは、自転車に乗せられて土浦駅まで行き、街頭テレビでプロレスや相撲を見たものでした。ラジオのドラマに耳を傾けた時期でもありました。

冬になると、朝方、土浦港の船が一斉にエンジンを掛け、その「ポポ・ポン・ポン」という音は子供心に夢を抱かせてくれました。凍った田んぼで、竹を割って先を折り曲げた「竹スケート」を作りもしました。小学生のころ、低い竹馬も作りながら、背丈より高い竹馬に乗っている中学生に憧れました。

今、その場に立って見ると、掌(てのひら)に乗るような広さでしかありませんが、子どもの時は無限の広さを感じた世界でした。決して豊かな生活ではありませんでしたが、子どもなりに好奇心旺盛で、仲間と仲良く、社会格差のない、心豊かな時代だったと思います。(ラクスマリーナ前専務)

最初の一歩か 最後の一歩か 《続・気軽にSOS》97

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【コラム・浅井和幸】先日、多様な専門家や地方公共団体の福祉部署の方が集まるネット会合で、講演する機会をいただきました。NPO法人「アストリンク」の代表として、不登校・ひきこもり・ニート問題への対応をお伝えしました。

会合では、悩んで部屋にこもっている方との話を始めるきっかけについて話しました。それは、ケースによって、単純に家を訪問するということもあるし、何年も訪問した後にちょっとした声掛けがきっかけになることもあります。

言葉にすると当たり前なのですが、誰にでも、どのような関係でも、パッと話ができる万能のきっかけづくりはありません。どのようなことでもきっかけになり得るし、必要なのはきっかけとなり得る要素がそろうことです。

そうはいっても、ノウハウが知りたいですよね。私はそれを「ノウハウ」ではなく、「小手先のテクニック」「やり方の具体例」「カタログ」―と表現します。例えば、手紙を書く、飲み物をメモと一緒に置く、ドア越しに話をする、ノックの仕方や声の大きさを変える―など。これらの方法は、小手先のテクニックと軽視できません。

そのうえで、言葉などがどのように届いたか、反応をよく見て、対応することが大切です。つまり、コミュニケーションを大切にすることで、近づきやすくなると考えています。

小刻みに一歩を進む

話ができない人と話せるきっかけというけれど、それは、山登りでいえば、頂上に着く最後の一歩を教えてほしいという意味と同じで、最後の一歩の話よりも、そこにたどり着くまでの一歩一歩が必要であると伝えました。

私の講演の後、グループに分かれ、普段の活動や私の話の振り返りが行われました。そして、各グループから、どのような話が出たか発表がありました。その一つに、「きっかけ」とか「話をする」ということは最初の一歩だと思っていたけれど、山登りの最後の一歩だということに驚いたという意見がありました。

この感想に、私も衝撃を受けましたし、勉強になりました。なかなかできない「きっかけ」づくりが、はじめの一歩と捉えられやすいのです。はじめの一歩が大きすぎるなぁと私は感じます。「スモールステップ」は福祉や医療でよく使われる言葉で、参加者が皆知っている言葉だと思います。目標を小さく分け、達成しやすい一歩ずつを達成していくという考え方です。

話をすることが難しいのならば、やっぱり大きすぎる一歩です。小刻みに一歩を進む必要があるでしょう。そして、話せるようになるという山を登ることができたのであれば、さらに別の山、高い山に、小さな最初の一歩を刻むことの繰り返しが必要でしょう。(精神保健福祉士)

3カ所目の小中学校新設は見送り つくば市みどりの 人口推計を下方修正

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みどりの学園義務教育学校東側のサブグラウンドと教職員駐車場の拡張用地=つくば市みどりの中央、鹿島アントラーズつくばアカデミーセンター隣り

児童・生徒数が急増しているつくば市のTXみどりの駅周辺の学校新設について、市教育局は19日、人口推計を見直した結果、みどりの学園義務教育学校は、みどりの南小中学校(仮称、2024年4月開校)を分離した後、増築した教室で対応できるとして、現段階では、みどりの地区に3カ所目となる新たな学校を新設しないとする方針を示した。市学区審議会は今年3月出した答申で、南小中学校のほかに、新たな学校の設置を検討するよう意見を付けていた。

一方、みどりの義務教育学校の児童・生徒数は今年4月時点で1595人と、国が解消を促している1200人程度以上の過大規模校になっている。南小中学校を分離した後もさらに増え続けるが、市教育局は2030年度をピークに減少に転ずるとして、大規模で推移する期間について「学校で子どもたちが健やかに成長できるよう対応していく」とした。

具体的には、みどりの義務教育学校は現在、テニスコートなどだった敷地に開校後2度目となる校舎を増設中であることから、東側に新たに県有地9900平方メートルを取得し、テニスコートを含めたサブグラウンドと教職員駐車場を整備するという。

19日開かれた市議会全員協議会で明らかにした。サブグラウンドなどの購入価格は約4億2500万円で、11月30日開会の12月議会に補正予算を提案する。可決されれば来年3月に取得し、教職員駐車場を22年度に整備する。グラウンドの設計や整備時期は未定。拡幅用地はもともと公共公益用地として土地利用計画されていた。

19年の推計より900人減少

今年3月の市学区審議会では、みどりの義務教育学校は、南小中学校分離後も大規模校で推移することから「新たな学校用地の確保など適正規模に向けた対策を検討する」よう意見が付けられた。

市教育局によると、答申を受け対策を検討する中で、みどりの義務教育学校の2022年度以降の児童・生徒数推計を見直した結果、2019年策定の児童・生徒数の推計と、現時点で見込まれる推計に乖離(かいり)があることが分かった。女性が産む子供の数や平均世帯人数などの推計を実態に合わせて見直した結果、19年はピーク時の2030年度の児童・生徒数は3158人と推計されていたが、宅地開発が早く進んだ場合でも、当初より900人少ない2276人と見込まれることが分かったとしている。今年4月時点でも実際の児童・生徒数は推計値より約40人少なかった。

みどりの義務教育学校は2018年4月開校。翌年の19年度に普通教室を16教室増築し、さらに現在も2度目の増築工事を実施中でさらに19教室増築する。来年4月には特別支援教室も合わせ計83教室となる。ピークとなる2030年度には78教室が必要になると見込まれ、83教室で対応できるとした。

一方、今後も人口増加の状況や児童生徒数の推移を注視し、継続的に精査していくとしている。(鈴木宏子)

100点ゲームで茗渓10連覇 日立一を圧倒 花園へ 高校ラグビー

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前半16分、相手陣を突破する高橋主将=水戸市立サッカー・ラグビー場(いずれも撮影/高橋浩一)

第101回全国高校ラグビー県代表決定戦が19日、水戸市河和田町の市立サッカー・ラグビー場で開かれた。昨年と同じ顔合わせとなった茗渓学園-日立一の対戦は102-0と茗渓が圧勝。10大会連続27回目の優勝を飾り、12月27日から東大阪市花園ラグビー場で開かれる全国大会への出場権を獲得した。

茗渓は持ち前のパスラグビーを展開。ウイング森尾大悟の4本を筆頭に前半9本、後半8本のトライを挙げた。敵陣での守備で相手を押し下げ、素早く攻撃につなげる得意のスタイルが機能した。「密集で時間をかけず、セットスピードを意識。表と裏の2本のラインをしっかりと作り、ハーフバックの状況判断でボールをさばく」とスクラムハーフの高橋佑太朗主将は説明する。

高橋健監督は「ボールをつなぐ回数が増えるほど、パスミスやキャッチエラーの機会も増えるので、今はパスを減らしてフォワード勝負に徹するチームが多い。だがうちはグラウンドを広く使い、パスを回していくチーム。パスワークを楽しめるだけのスキルを身に付けている」と胸を張る。

序盤はミスも目立った。キックオフで日立一が蹴る縦回転のボールを受け損なう場面やパスの呼吸が乱れる場面など。それらも試合が進むにつれて修正されていった。

「ミスは仕方のない部分があるが同じミスはせず、個々に修正し続けていかないと。全国では1つミスをするとしばらくボールが戻ってこない。できることをしっかり確実にやりきり、自分たちがボールをキープする時間を長くする」と高橋監督。

後半15分、鈴木大智が突進しトライを決める

今季のチームの特色として1年の活躍が挙げられる。この試合でも5人が先発で出場。166センチと小柄だががっしりした体格でフッカーを務める川村航平、ナンバーエイトでスクラムを支える小川和真、183センチ・100キロの体格でチーム1の突破力を誇るロックの小杉太郎、パスでも自力での仕掛けでも自由自在のセンター田村優太郎、そして50メートル6.2秒の俊足としなやかなステップが武器の森尾だ。

いずれも昨年、中学での全国優勝が期待されたがコロナ禍のため大会が開かれず、くやしい思いをした世代。気持ちを切り替えて新チームで力を付けてきた。「今季はチームプレーが強み。個々に頼らず、みんなの力で点を取る。後輩も公式戦で自信を付け、学年の差を感じさせずアグレッシブにやってくれた」と高橋主将。「プレーが止まったとき前の選手へ声を掛けるが、自分たちの意見もしっかり聞いてくれる」と田村。フォワードとバックス、また先輩後輩の息もぴったりだ。

全国出場を決め、喜びの茗渓フィフティーン

高橋主将は花園では上位進出を目指すとともに、観客を魅了するラグビーを見せたいと話す。「うちの強みはフォワードもバックスもパスができること。ナンバーワンのパスチームとして、見ごたえのあるプレーでお客さんを湧かせたい」(池田充雄)

私の隣にいるのは介助者です 《電動車いすから見た景色》24

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【コラム・川端舞】先日、インフルエンザの予防接種を受けに病院に行った時、同行していた介助者を見て、受付の人が「ご家族の方ですか?」と聞いてきた。いつものことだったため、特に気にせず、「いいえ。介助者です」と答えたが。

介助者(ヘルパー)と一緒に外出する障害者なら、似たような経験をしている人も多いだろう。介助者と一緒に来ているのに、なぜか家族だと思われてしまう。同行している介助者が私と同年代なのに、「お母さんですか」と言われてしまい、あとで介助者が「私、そんな年齢に見えるのかな」とつぶやいた時は、おかしいような、気まずいような気持ちになる。

なぜ、障害者の外出に同行している人は家族だと思われてしまうのだろう。確かに、介助者と一緒に外出する障害者よりも、家族と外出する障害者の方が多いのは事実かもしれない。しかし、障害者の介助は家族がするのが当たり前だという考え方を多くの人が持っていて、本当は介助者と外出している障害者を見かけても、「きっとそばにいるのは家族なんだろう」と思われてしまうこともあるように感じる。

「介助者と外出するのが当たり前」の社会

障害のない人であれば、たいてい大人になったら、実家を離れて、1人暮らしをしたり、パートナーと一緒に暮らすだろう。親も子育てから卒業し、仕事や趣味に時間を使う。しかし障害者となると、大人になっても親が介助するのが当たり前だと思われてしまう。本来なら、障害者の親になっても、子育てが終わったら、子離れして、親自身の人生を楽しむ権利があるはずなのに。

もちろん、障害者の介助をずっと家族に任せてしまう背景には、介助者という職業の人手不足という問題もあるだろう。しかし、障害のある家族と外出するたびに「ご家族の方ですか?」と言われてしまうと、「やっぱり障害者は家族が介助しないといけないんだ」と思ってしまい、介助を家族以外の人に交代してもらうという選択肢を思いつかなくなってしまうこともあるかもしれない。

私のような障害者が介助者と一緒にどんどん外出し、「ご家族の方ですか?」と言われるたびに「介助者です」と答えることで、家族ではなく介助者と一緒に外出する障害者もいることを多くの人に知ってもらい、「介助が必要な障害者は介助者と外出するのが当たり前」と思ってもらえるような社会をつくっていきたい。(障害当事者)

被災地に駆けつけPCR検査 筑波大、災害医療の水素燃料バス開発

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筑波大学付属病院内で公開された災害医療用の水素燃料電池大型バス=つくば市天久保

被災地に駆けつけ、自前の電源で1日2000人以上のPCR検査ができる災害医療用の水素燃料電池バスを、筑波大学医学医療系感染症内科学の鈴木広道教授とシステム情報系の鈴木健嗣教授らが開発した。全国で初めて。

トヨタの水素燃料電池大型バス「SORA(ソラ)」の車内を改装し、大手検査センターと同等の高性能なPCR自動検査機器を搭載した。検体を受け付けてから約40分で結果が判明し、通信機能を備えたバスからメールで検査結果を通知する。新型コロナウイルスのほか、ノロウイルスやインフルエンザなど、感染症を引き起こす様々なウイルスの検査ができる。

PCR検査機器が搭載されたバス車内

感染症の流行を防ぐため避難所でPCR検査をしたり、被災地に入る災害ボランティアのPCR検査をするなどを想定している。医療機関や検査センターが停電に見舞われた際に駆け付けたり、ドクターカーとして診療したり、マイナス30度まで冷却できる冷凍庫でワクチンを運び、被災地で接種することなどもできる。

バスの発電機能を生かして避難所に応急の電源を供給したり、平常時には、静かで振動が少ない特性を生かし、睡眠障害の検査をする車として活用するなども想定している。

まずは性能検証の実証実験

鈴木広道教授は「(水素燃料電池バスは)静かで、振動が少ないからこそ検査ができる」と話す。被災地ではピペットなどの検査器具が手に入らなかったり、検査技師が確保できないことも想定されることから、使い捨てのスポイトなど、だれでも使える検査器具のみを使い、簡単に検査ができるようにした。

内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラムの一つとして実施されている。2021年度の事業費は6億7000万円。水素燃料電池バスは1台約1億2000万円、搭載するPCR検査機器は約2000万円という。

来年3月まで、水素ステーションから半径25キロ圏内などに出向き実証実験を展開する。土浦保健所でPCR検査の想定試験をしたり、県外で開催される1000人規模のイベント会場でPCR検査の実証実験をしたり、県の防災訓練に参加するなどして性能などを検証する。

ほかに、狭い場所でも行き来できるマクロバスのPCR検査車も開発する予定で、大型バスとマイクロバスを併用した実証実験なども予定している。

筑波大・柔道金の永瀬選手たたえ 郵便局前にゴールドポスト

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筑波大学内郵便局前に設置されたゴールドポストの前でポーズをとる永瀬貴規選手

東京五輪柔道男子81キロ級で金メダルを獲得した筑波大学出身の永瀬貴規選手(28)の栄誉をたたえて、金色のゴールドポストが18日、つくば市天王台の大学会館、筑波大学内郵便局前に設置された。

もともと設置されていた赤いポストが金色に塗り替えられた。投函口の下には「永瀬貴規選手 柔道男子81㎏級 ゴールドメダリスト」などと日本語と英語、点字で書かれたプレートが貼られている。

選手の功績をたたえ、選手を輩出した地域を盛り上げようと、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局と日本郵便が協力して設置した。県内初、全国では12番目の設置となる。

永瀬選手は長崎市出身。2012年に筑波大学体育専門学群に入学し、4年の時、世界選手権で優勝した。卒業後は旭化成に所属し、宮崎県を拠点に活動している。

学生時代、稽古に励んだ筑波大学に設置してほしいという永瀬選手の希望で、ゴールドポストを大学に設置することになった。

18日、ゴールドポストの除幕式が催され、永瀬選手のほか、永田恭介筑波大学長、駒崎真史筑波学園郵便局長らが出席した。永瀬選手は東京五輪日本選手団の公式ジャケットを着用して参加し「ゴールドポストの除幕式を開催していただきまして誠にありがとうございます」などと感謝の気持ちを述べた。

筑波山の「つつじヶ丘レストハウス」 《ご飯は世界を救う》41

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】久しぶりに、筑波山のつつじヶ丘から女体山に登りました。10月半ば過ぎのよいお天気の日。ロープウエーはコロナ禍だというのに満員電車並み。ちょっとだけですが、山頂まで山登り。山頂も混雑していて、押し合いへし合い状態。ですが、山頂も、中腹からの展望も、ロープウエー行き帰りの風景も、素晴らしいものでした。

ちょうどお昼だったので、ロープウエーの乗り場横の「レストハウス」でランチ。お昼より少し早かったので、お店はあまりお客さんがいません。おいしいかしら?私の好きなメニュー「親子丼」。外食で親子丼を食べたことがないので、チャレンジ。それが!おいしかった~。

11月半ば。今度は男体山の紅葉を見ようと出かけたら、筑波山の入口のかなり手前から車の大渋滞。諦めてUターン。そのあと、市内の「松見公園」「かつらぎ公園」「松代公園」と、紅葉真っ盛りの公園巡り。すべて池があり、紅葉が映り込む姿がステキです。

見晴らしのよい男体山の上で、親子丼を食べる夢はおあずけでしたが、3つの公園の紅葉観賞というプレゼントをもらえました。(イラストレーター)

NPBオリックスと仮契約 茨城アストロプラネッツ・山中尭之

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宮田GM補佐と固い握手を交わす山中尭之選手=ホテルアルファ・ザ・土浦

今年度の(日本プロ野球)ドラフト会議で、オリックス・バファローズから育成1巡目で指名を受けた、茨城アストロプラネッツの山中尭之選手の仮契約が17日、土浦市港町のホテルアルファ・ザ・土浦で行われた。契約後の記者会見で山中選手は「プロ野球(NPBの)選手になるという小さいころからの夢が、そこで活躍するという目標に替わった。1日でも早く支配下に上がり、1軍で活躍できるようになりたい」と語った。

契約書にサインをしたときの心境は「これからNPBの第一歩が始まるという特別な思いに少し緊張し、硬いサインになってしまったが、責任感が芽生えた瞬間でもあった」。オリックスについては「今季リーグ優勝から日本シリーズへと躍進中で、来年も上位が期待できるチーム。楽しみでしかない」との印象を抱いているという。

山中選手は結城市出身。つくば秀英高校と共栄大学(春日部市)を卒業後、NPBを目指して今季、地元の独立リーグチームである茨城アストロプラネッツに入団。1年目で夢をつかんだ。つくば秀英からは8人目、共栄大からは初のNPB選手。茨城からはドラフト指名では2人目、途中入団も含めると4人目となる。

二冠王を目標に、NPB選手の第1歩を歩み出す

12月中旬の入団発表を経て、来年1月の新人合同自主トレに参加し、シーズンインを迎える予定。「全てにおいてレベルアップを図り、特に土台である体を一番に仕上げていきたい。技術やメンタルは後から付いてくると思う」という考えだ。目標はオリックスの4番打者で、今季パ・リーグ本塁打王を獲得した杉本裕太郎選手。「チームの勝敗にかかわる場面、得点圏でランナーを返せる選手を頭に置いている。目指すのは打点王とホームラン王の2冠。特に、打球の飛距離を見てほしい」と意気込む。(池田充雄)

茨城アストロプラネッツ 山根将大球団代表の話 山中のポテンシャルを評価していただいて感謝している。地域のプロチームとして活動している以上、茨城の選手がわれわれのチームを希望し、成長し、次のステージへ行くのは非常にうれしい。今後、彼のような例がどんどん増えていくといい。

オリックス 宮田隆GM補佐の話 引っ張るだけでなく右にも強い打球が打てる。単にパワーだけではない。状況に応じたバッティングをしていた。肩が強く、バックホームの送球安定性がいいなど守備面も評価している。

つくば市に県立高校新設を 市民団体、初の県教育庁交渉に臨む

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初の県教育庁交渉に臨んだ「つくば市の小中学校の高校進学を考える会」のメンバー。左から2人目が片岡英明代表=県庁

つくば市に県立高校を新設することなどを求めている市民団体「つくば市の小中学校の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が17日、水戸市笠原町の県庁で、県教育庁と初の交渉に臨んだ。県高校教育課高校教育改革推進室に、知事や県教育長宛ての要望書を手渡し、県立高校の新設や市内外の既存校の学級増などを求めた。

回答は消極姿勢に終始

要望書は「つくば市は児童・生徒数が急増しているのに県立高校が少ないため、多くの生徒が市外の県立高校や私立高校に通っており、生徒の通学や保護者の費用・送迎などが重い負担となっている」などとして、①市内のTX沿線に全日制の県立高校を新設すること②竹園、つくば工科、茎崎、伊奈、牛久栄進など市内外の既存校の入学枠を増やすこと③土浦一高の付属中設置に伴う高校の学級数削減を行わないこと④特別支援学級の生徒に高校入試や入学後の資料を整えることーなどを求めた。

これに対し県教育庁の回答は、①県立高校の新設は財政や用地を考えると現時点では困難②既存校の学級増は、県全体の県立高校で1962人の欠員があるので慎重に判断していく③付属中設置に伴う土浦一高の高校の学級削減を止めることは困難④特別支援学級の生徒に対しては担当課と連携して対応を考えたいーだった。

片岡代表は「つくば市の中学3年生の進学状況や児童・生徒数の推移見通しなどの資料を提出し、実情を理解してもらえば、県立高校を必ずつくるしかないことを理解してもらえると思って説明したが、県の回答は、『県全体では定員割れの高校がある』ということに終始した。つくば市の子どもたちのことは県の視点から外れていると思わざるを得なかった」と話した。今後も粘り強く、県やつくば市との交渉を続けるとしている。

考える会の片岡代表は、つくば市の中学生の高校受験の実情を独自に調査し、市内には中間の県立高校がないため、2020年度は中学生の6人に5人が市外の高校や私立高校に通っており、生徒や保護者の重い負担となっていることを明らかにした。その上で、市議会9月定例会に、全日制の県立高校を市内に早急に新設し、進学環境の充実を求める請願を出し、全会一致で採択された。採択を受けて市議会は10月、知事と県教育長に県立高校新設などを求める意見書を提出したばかり。