一括民間売却方針案が示された(11月11日付)つくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂)約46ヘクタールについて、土地所有者の市土地開発公社と市が現在締結している契約書のままでは、民間に売却できない恐れがあることから、市は30日開会の12月議会に、土地取得目的を変更する議案を提案する。
同用地は2014年3月、市が債務保証し、金融機関から66億円を借り入れて市土地開発公社が都市再生機構(UR)から買い取った。取得の際、市と開発公社は契約書を締結し、用地の取得目的について、市の事業計画に基づいて取得するなどと限定している。現在の契約書のままでは民間に売却できない恐れがある。
契約書の条文を一部書き換える方法として、2014年2月に市議会で可決された用地取得の議案では取得目的に「総合運動公園を整備するため取得し、その後、事業計画に基づき、土地開発公社からつくば市がその土地を取得する」などと書かれていることから、当時の議案に「ただし、つくば市が取得しないものとした場合、土地開発公社は、市以外の第3者に譲渡できる」などのただし書きを加える案を、12月議会に提案する。
最終日の12月22日までに可決されれば、民間に売却できるよう、契約書を変更する。
68億4000万円はすべて返済
一方、総合運動公園用地の取得費約66億円と利子分の債務保証をしていたつくば市は、今年3月補正予算で約53億円を返済し、さらに今年度当初予算で約9億円を返済した。利子を合わせた残り約6億円について今年3月時点では2022年度に約3億円、23年度に約3億円ずつを返済する計画だったが、1年半前倒し、今年9月補正予算で約6億円を返済し、今年10月までに利子を含めた取得費総額の約68億4000万円をすべて返済した。金融機関に対する借入金は無くなり、市の債務保証も無くなっている。
前倒しして市の債務保証を無くし、さらに12月議会の議決を得て契約書を変更すれば、民間売却に向けた法令上の障壁はなくなる。
議会と市民の意見聞く
売却する場合の価格の目安について五十嵐立青市長は11日、取材に対し「市に損失を与えない簿価(取得価格である66億円)をベースに適正価格で売却する」との方針を明らかにしている。
さらに五十嵐市長は「議会や市民の意見をいただいて議論を積み重ねる」などと表明し、売却スケジュールを示していない。市民の意見は、12月15日までパブリックコメントを実施して意見を聞くほか、12月10日と12日に計3回、大穂交流センターと市役所で住民説明会を開く。議会に対しては、12月下旬にパブリックコメントや住民説明会の結果を報告する。(鈴木宏子)