金曜日, 2月 27, 2026
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仏系コンサルティングの日本法人 つくば駅前の複合ビルに入居

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トナリエクレオビル=つくば市吾妻

フランスの大手コンサルティング会社キャップジェミニの日本法人、キャップジェミニ(本社・東京都港区虎ノ門、殿村真一代表取締役会長)が3月から、TXつくば駅前にあるトナリエクレオ(つくば市吾妻)の5階に入居する。茨城県が同社の情報サービス事業部門の一部と管理部門(本社業務)の一部を誘致したもので、数百人が勤務する。

トナリエクレオは西武百貨店筑波店が入っていた建物。1~3階に物販などの商業施設が入り、4~6階がオフィス用のフロアーになっている。同ビルを所有している日本エスコン(本社・東京都港区虎ノ門)によると、キャップジェミニが使う区画は5階の一部。

キャップジェミニは県の行政効率化についても助言をしており、県と仕事上のつながりがある。つくばへの進出に際しては、県内に工場進出や本社移転した企業への補助金支給制度の対象になる。その額については「3月中旬、県議会に伝えるまでは明らかにできない」(県立地推進課)としている。

トナリエクレオ2階入口の案内板

知事「質の高い雇用を創出する」

県によると、キャップジェミニはグローバル展開しており、従業員は約35万人。売上高は約180億ユーロ(約2兆5700億円)。金融、製造、公共事業、エネルギー、自動車、消費財販売、通信・メディアなどを対象に、幅広い分野でコンサルティング業務を展開している。

大井川和彦知事は、同社のつくば進出を「グローバル大手コンサルティング会社を誘致できたことは、若者が望む質の高い雇用の創出に向けた大きな成果であり、大変うれしく思う。本県出身の若者が、就職先としてつくばを選ぶ可能性を高めるなど、大きな変化をもたらすきっかけになる」と歓迎した。

同社の殿村会長は「茨城県は東京への近接性のほか、事業環境が非常に優れており、最適な協労機会を備えている。筑波大や茨城大をはじめとした情報・工学系の教育機関も充実しており、産学連携や将来を担う若手人材の採用ができる。さらに、家族向けの教育施設も充実しており、従業員の生活環境も魅力的な地域だ」と述べている。(岩田大志)

金柑と干し柿 《続・平熱日記》128

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【コラム・斉藤裕之】古い友人が訪ねてきた。奥さんは小さなビンをくれた。中には金柑(キンカン)のシロップ漬けが入っていた。子供の頃、金柑は人の庭からもいで食べるものだった。だから、買ってまで食べるものではないと思っていた。事実、毎週のように出かける近くのカフェの窓からは金柑の木が見え、ちゃんと断って何度か口に入れてみたが、甘くておいしかったのだけれども、持ち帰ろうという気にはならないでいた。

ただでさえ果物をあまり食べない私。冷蔵庫を開けるたびに目に入る金柑のビン。なかなかふたを開ける勇気がなかったのだが、冬は案外喉が渇くので、ある日サイダーの中に金柑を入れてみた。

コップの底に残った金柑を口に入れた瞬間、あの独特の風味が甘さとともに広がった。それから、毎日、金柑入りのサイダーを飲むのが楽しみになった。ついでに、レシピを聞いて自分でも作ってみようと思った。けれども今年に限って、くだんのカフェの金柑は不出来で、どうやらシロップ漬けにはできない。初めて金柑を買って作ってみたら、なんとなく同じようなものはできた。まあ、金柑の実を砂糖と蜂蜜で煮るだけだから。

それからしばらくして、またその夫婦がやって来た。どうやらメールで送った画像を見て、私の作ったものがいまいちの出来だと思ったらしく、金柑と蜂蜜とレモンまでそろえて持ってきてくれた。

次の日、久しぶりに次女が東京から帰って来た。駅から降りてきた彼女は金髪だった。美容師という職業柄かどうかは知らないが、毎度変わる髪の色にはもう驚かなくなった。美容師という仕事は、かなりブラックに近い肉体労働だということは想像できる。多分疲れているだろうから、その日はどこにも出かけずに、食べたいと言っていたサツマイモ入りの豚汁を作った。

それから、「これ食べていいの?」と、彼女はシロップ漬けになるはずの金柑を見つけて言った。「どうぞ」。彼女はムシャムシャと金柑をほおばった。

憧れのロッキングチェアーに遭遇

翌日は小春日和の快晴。長女の安産祈願をしに、雨引観音に詣でた。次女と2人で出かけるのは久方ぶりだ。車中、仕事場の話や友人の結婚などの話題とともに、政治家のLGBTに対する発言について彼女は熱く語った。七三に分けたおじさん方よりも、この金髪の姉ちゃんの方がよほど筋が通っていると思った。

岩瀬の中華料理店でニンニク油とどっさりニラの入ったレバー炒めを食べた後、益子を回って帰ることにした。途中立ち寄った古道具店で、憧れのロッキングチェアーに遭遇。ただ今入荷したばかりだという店主の言葉に、勝手に運命を感じる。形、値段ともに納得の上、車に乗せて帰宅。

帰りは助手席でぐっすり寝ていた次女。自分を含めて弟や周りの友人も、彼女の歳には先の分からないなりに希望に満ちた日々を過ごしていたことを想い返した。

数日後、長野の知り合いの方から、まことに立派な干し柿が送られてきた。実は干し柿に目のない次女。金柑のシロップ漬けを送る代わりに、益子で買ったお皿といっしょに干し柿を宅配便で送ることにした。(画家)

「むすびつくば」4月から民間施設に 不登校支援でつくば市

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「むすびつくば」がある市産業振興センター=つくば市吾妻

不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐる迷走から、つくば市が認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(小野村哲理事長)と協働で運営してきた不登校学習支援施設「むすびつくば」が4月の新年度から、民間フリースクールの一つとして運営されることが分かった。

23年度は現在地のまま

小野村理事長は(63)は同施設ついて、4月から「むすびつくばライズ学園」として仕切り直すと話した。同市谷田部地域で20年間続けていたライズ学園の名称を入れた形だ。開所日時はこれまでと同じ週4日(月、火、木、金)午前10時~午後3時。現在は週2日のコースで各20人、計40人程度を受け入れているが、市が他の民間フリースクールを運営する事業者と利用者の補助を23年度から開始するなど、市全体のサポート体制が充実することから、登録定員を30人程度とし、希望があれば相談の上で週4日の通所を受け付ける。

同市は4月から、事業者のリヴォルヴに対し運営費の一部を補助する。利用者に対しては月2万円を上限に利用料の一部を補助する。場所は、23年度は激変緩和のため現在の市産業振興センター(同市吾妻)で継続するが、24年度以降は新たな場所に移るという。

同市の不登校支援をめぐっては、2021年12月に市が実施した「むすびつくば」の運営事業者の選定で、20年10月から同施設を運営していたリヴォルヴが2位となり、新規のトライグループが1位となった。選定結果に対し、むすびつくばの保護者会がリヴォルヴによる運営継続を五十嵐立青市長らに陳情。五十嵐市長は「現在の利用者や保護者に多大な不安を与えてしまった」などと謝罪し、22年度は約2300万円を追加計上して、「むすびつくば」のリヴォルヴによる運営を産業振興センターで継続した。トライは場所を移して、同市研究学園のトライ研究学園駅前校で新たに支援事業を開始するという異例の決着を図っていた。

一方、むすびつくばの一部の保護者などから、市内の不登校児童生徒すべてを公平に支援するよう求める要望が出ていたことなどから、市は昨年5月、今後の市の不登校支援のあり方について検討する「市不登校に関する児童生徒支援検討会議」を設置した。今後の支援策として昨年10月、校内フリースクールを小中学校全校に設置する、民間の支援事業者と不登校児童生徒の保護者の両方に運営費や利用料を補助するーなどの案を示し、14日開会した3月議会に民間フリースクール事業者と利用者への補助事業として約7300万円などを提案していた。

利用には月謝制と補助制度併用

これまでは無料で利用できたが新年度からは月謝制になる。市は、不登校児童生徒の保護者の経済的負担の軽減などを目的に新たな補助制度を設ける施策を明らかにしており、週4日通所の場合、補助金額の上限2万円を超えた月謝は利用者負担となる。

民間フリースクール運営者への補助額は経費の2分の1となる見込みで、24年度以降の場所について小野村理事長は「利便性の高い場所は望めないだろう」とした上で、「考えていた以上に幅広い支援策が検討されていることは進展だと思う」と公表された施策を評価する。一方「(市と民間による)公民協働で不登校の支援にあたる事業の事業者に採択され、教育分野における協働事業の草分けとなれればとの思いで臨んだものの、教育局と十分な協議と調整を図ることができず、協働に関する認識の違いを感じた」とも振り返る。

小野村理事長は「雨降って地固まる。これからはもっと多くの時間を子どもたちと向き合う時間に当てたいと思う」と述べ、「不登校の心に寄り添い、育ち・学びを支えるという姿勢に変わりはない。これからも子どもたちのサポートに取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

むすびつくばの保護者会代表だった庄司里奈さんは「市が示した民間施設運営者と保護者への支援は全国に類を見ない先進的な策で、ぜひ実現してほしい」とする一方、「不登校児童生徒と保護者の現実は厳しく、当事者が声を上げていかないと変わらないと感じている」とし、保護者の塩見直子さんは「多くの市民が身近な問題として快く署名に応じてくれたことが支援策につながったと思う。賛同してくださった皆さんにお礼を言いたい」と話す。(橋立多美)

「ただいま」「おかえり」 《短いおはなし》12

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挿し絵は筆者

【ノベル・伊東葎花】
妻と別れて、アパートで独り暮らしをしている。
年金暮らしの老人だ。
わびしい暮らしの中にも、楽しみはある。
隣から聞こえる、ほほ笑ましい会話だ。

隣の部屋は母と娘のふたり暮らしだ。
娘は、まだあどけなさが残る中学生だ。
母親は8時に家を出て4時半に帰ってくる。
娘は部活を終えて5時半に帰る。

「ただいま」
「おかえり」
「おなか空いた。ごはん何?」
「今からカレーを作るところ」
「じゃあ私、ジャガイモむくね」

こんな会話が聞こえてくる。何とも幸せだ。
私の家も母だけだった。
もっとも母は夜遅くまで働いていたから、「おかえり」を言うのは私の方だった。
おかずは少なくて、水みたいに薄い味噌汁だったが、今となっては懐かしい。

「部活でレギュラーになれそう」とか、「新しい先生がカッコいい」とか、娘ははしゃぎながら話す。
母親は、どんなに疲れていてもきちんと応える。
ときどき他愛のないことでケンカもするが、夕方にはやはり「ただいま」と「おかえり」が明るい声で聞こえてくる。
ステキな親子だ。

しかしある日、隣の会話が聞こえなくなった。
耳を澄ましても、物音ひとつしない。
どうしたのだろう。旅行でも行ったのだろうか。
気になったが、隣に住んでいるだけで親しいわけではない。
訪ねてみるわけにはいかない。

1週間が過ぎた。カーテンは閉じたままだ。
まさか入院。いや、きっと実家の両親に何かあったのだ。
色々大変だろうが、娘の学校もあるし、週明けには帰るだろう。
早く明るい声が聞きたいものだ。

しかし10日たっても隣の母娘は帰ってこなかった。
私は、たまりかねて管理人に尋ねた。

「205号室の方を見かけないのですが、何かご存知ですか?」
「ああ、引っ越しましたよ」
「えっ、引っ越した?」
「ここだけの話ですけどね、部屋に盗聴器が仕掛けられていたんですよ」
「盗聴器?」
「前のダンナが仕掛けたのかもしれないって、怖がってね。あの親子、ちょっと訳ありだったから。それで、夜中にこっそり引っ越したんですよ。まるで夜逃げみたいにね」

ああ、そういうことか。
寂しいな。
あの明るい「ただいま」「おかえり」を聞くことが、唯一の楽しみだったのに。
盗聴器が仕掛けられていたなんて…。

どうしてバレたんだ?
(作家)

最短で7月、市と県で条例改正必要 洞峰公園無償譲渡で知事

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洞峰公園野球場=つくば市二の宮

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、つくば市が16日付で「無償譲渡に向け正式に協議を開始したい」と県に文書で依頼したのを受けて、大井川和彦知事は21日の定例記者会見で「つくば市からの今回の申し出に、しっかりと意向を尊重する形で話を進めたい」と話した。今後のスケジュールについては「条例改正が必要なので最短でも7月かなと感じている」との見通しを示した。

1月31日までに市から文書による正式な回答が無かったことから進めるとしていた、グランピング施設を公園内の野球場に建設するための事前協議手続きについては「(事業者に)とりあえずストップしていただく」とした。

会見で大井川知事は「(つくば市が無償譲渡を受けることを)決めていただいたからには、スピーディーに、いつまでに譲渡を行うのか、その辺についてもしっかり詰めて、なるべく早くつくば市の意向を実現するよう努力していきたい」とした。

議会での無償譲渡の手続きについて大井川知事は「条例の改正を、お互い、市と県とそれぞれでやらなければならない」とした。その上で「所有権の移転は7月のタイミングになるのかなと思っている。それまでに細かい様々な手続き、あるいはスケジュール感なども調整していく必要がある」と説明した。

県都市整備課によると、新年度の洞峰公園の維持管理については前年度と同じ約9000万円の指定管理料を計上するという。

洞峰公園の無償譲渡をめぐっては、大井川知事が昨年12月の記者会見で「つくば市が自ら公園を管理するのであれば、県としては洞峰公園を無償で市に移したい」「今後のつくば市側の出方を注視したい」などと述べ、大きく動き出した。五十嵐立青つくば市長は同8日の記者会見で、県から無償で公園の譲渡を受け市が管理することも選択肢の一つだと応じ、今月14日、市議会に説明し、16日、県に正式な文書を出した。

一方、市が無償譲渡を受ける場合、新たに市が負担する費用として、維持管理費が年間約1億5000万円、体育館や温水プールなどの大規模修繕費が2027年度までに年平均7800万円、年間で合計約2億2800万円かかることが想定されるほか、28年度以降の大規模修繕にいくらかかるかは不明であることから、市は議会や市民にさらなる説明が求められる。(鈴木宏子)

JAつくば市のアグリコ桜楽農園 《菜園の輪》11

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JAつくば市本店前で清水さん(左)と塚田さん

【コラム・古家晴美】今回は、「アグリコ桜楽農園」を運営しているJAつくば市(本店・つくば市東岡)営農部営農企画課の清水祐記課長(49)と農園担当の塚田晴樹さん(23)にお話を伺った。同農園はつくば市内の貸農園としては古株で、約30年の歴史を持つ。市民農園整備促進法の施行(1990年)を受け、合併してできた現JAの前の旧桜農協が設立した。

1区画20平方メートルの耕地を馬蹄(ばてい)型に配置し、境界にレンガを埋めるというおしゃれな空間を演出している。空いた土地には、当初はオーナー制の果樹を植え、そば打ちや餅つき、イチジクのジャム作り、ラベンダースティック作りなどのイベントを、毎月、参加費無料で開催していた。

調理台が付いた談話室、農具の貸し出し、トイレ設備などがそろった共用棟、たい肥・水・マルチの無料提供もあり、施設の充実度は高い。

利用者は農業初心者がほとんどで、学園都市以外にも、土浦や都内からも集まって来た。東京都文京区から毎週リュックを背負って通っていた年配の女性は、開設当時からつい最近まで利用していたという。書面上の契約者は男女比7:3だが、夫婦で来る家庭、契約者は夫だが妻が中心に農作業をする家庭、夫が出勤前に水やりに来る家庭と多様で、実質的な男女比は5:5とのこと。外国籍の方も1割いる。40~50代が多いという。

研究学園都市というやや特殊な環境で、全国から集まって来た見ず知らずの様々な人々が、ここで土を介して交流している。

現在はキャンセル待ち16人

この30年間、農園の運営は順風満帆というわけではなかった。開設して15年くらいは、充足率10割をキープしていたが、10年前には6割程度に減少してしまった。開設当初の利用者が高齢化して脱退したこと、市の補助金が止まり、無料のイベントが開催できなくなったことなど、いくつかの要因が重なった。

そこで、利用料金値下げという一大改革に乗り出した。その甲斐(かい)あって、現在ではキャンセル待ち16人という盛況ぶりだ。特に、コロナ禍以降は、外で体を動かしたいという希望者がおり、増加傾向にあるという。

このような地道な努力のもと、JAは自らの存在のPRも怠らない。直売所もライスセンターも協同病院も、みなJA経営であることを初めて知る利用者もいる。JAの活動を地元の方々に理解してもらう場にもなっている。(筑波学院大学教授)

肉厚と繊細-表現のおもしろさ感じて つくばで書の2人展

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2人で合作した作品「積羽」と佐藤さん=つくば市二の宮スタジオ‘S

筑波大学の同期2人が書の作品を展示する「積羽展(せきうてん)」が21日、つくば市二の宮のスタジオ‘S(関彰商事つくば本社1階)で始まった。会期は3月5日まで。さまざまな種類の表現に触れておもしろさを感じてほしいと、漢字や仮名の作品17点を軸装や額装、折帖(おりちょう)で展示している。

筑波大同期が連絡取り合い合作も

作品を出展した佐藤汰一さんと小林佑太郎さんは筑波大の書コースで共に学んだ同期で、佐藤さんは現在、大学院博士前期2年生。卒業後は地元広島に戻り芸術の教員になるという。小林さんは大学卒業後、出身地の栃木で就職し、働きながら作品を書いている。佐藤さんと小林さんは書コースに男子学生が少なかったことから意気投合。一緒に展覧会を開きたいと企画し、実現した。

佐藤さんは「子規の句」や「戦国策」の一節など8点を肉厚な線で表現。小林さんは「万葉集」の東歌(あずまうた)や音楽ユニットYOASOBIの曲「群青」の歌詞など8点を繊細なタッチでつづった。展覧会のタイトルとなった「積羽」の2文字を書いた作品1点は2人で雰囲気を合わせ、合作した。同展は2月11日から19日にも栃木県足利市のカフェ「プラザハマダ」で開催され、個性の異なる作品を鑑賞した来場者からは「2人の人柄が見える」と反響があったという。

「積羽展」が始まったスタジオ‘S

佐藤さんは主に大学で、小林さんは自宅で作品を書き、写真を送って意見を聞き合いながら仕上げた。字の形や構成のまとめ方などを話し合い、印を押す位置を決めるのに3時間かかったこともあったという。表装にもこだわった。佐藤さんは「どういう書が好きか、お互いはっきりと好みが分かれている。それぞれの作品の良い所悪い所を話し合いながらも、互いの表現したいところは尊重しつつ改善して作り上げた。小林のような表現は自分にはできず、刺激を受けている」と話す。

展覧会のタイトルの「積羽」は、「戦国策」出典の故事成語。軽い羽根であっても積もれば舟を沈める、転じて小さなことでも集まれば大きな力につながるという「積羽沈舟(せきうちんしゅう)」に由来する。作品作りを積み重ねていくことで書の力をつけ、書を楽しんでいきたいという2人の思いをこめた。

佐藤さんは「パソコンで出てくる明朝体やゴシック体のフォントをきれいな字として捉える風潮があるが、手書きに表れる書き手の持ち味に魅力がある。厳正な字だけではなくいろんな書き方があることを感じてほしい」と話した。(田中めぐみ)

◆スタジオ’S のホームページはこちら

小津映画が教えてくれるしあわせな日常《遊民通信》59

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【コラム・田口哲郎】
前略

今さらながら、小津安二郎監督の名作をアマゾンビデオで鑑賞しました。紀子三部作と言われる『晩春』(1949年)、『麦秋』(1951年)、『東京物語』(1953年)と『お茶漬けの味』(1952年)です。

小津映画については蓮實重彦氏の著名な評論があり、さまざまな論者がさまざまな切り口で論じています。ですから小生がなにを言ったところで、誰かがどこかで言っているかもしれないのですが、それにしても、小津映画を見たら余韻にひたるだけではなく、誰かに感想を言いたくなるものだなと思いました。

こんなに語りたくなる映画は、そうはない気がします。小生のような者にも語らせるのですから、小津映画の内容の厚さはそうとうなものでしょうし、だからこそ小津映画の評論は絶えず出つづけているのでしょう。

さて、映画素人の小生が感じたことは、セリフのなかの「あいさつ」の多さです。たとえば、『麦秋』で原節子演じる紀子は丸の内でタイピストをしているわけですが、北鎌倉の自宅から通っています。すると、紀子が帰宅すると「ただいま」となるし、出勤するときは「いってまいります」となる。家族団欒(だんらん)のあと、就寝の時間になると演者たちはめいめい「おやすみ」「おやすみなさい」と言います。

冒頭のシーンは家族の朝ごはんのシーンですから、「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」「いってまいります」です。逆にあいさつがこれだけ出てくるシーンの連続なのに、飽きないのです。

「あいさつ」であふれる生活のありがたさ

小津映画は庶民の生活を描いたと言われますが、われわれの日常生活の会話、そのほとんどは「あいさつ」なのではないかと気づかされました。

『晩春』『麦秋』は紀子の結婚が中心テーマなので、人生の一大事です。一大事を決めるときに、家族は話し合い、たまに深い話をします。けれどもそれは「あいさつ」が交わされる長い日常にはさまれて、ときどき顔を出すのです。平凡な日々はなんとなく何度も、何度も「あいさつ」をすることでつつがなく流れてゆく。そこに駆け引きや企(たくら)みなどはあまりない。気をゆるせる相手がいるから成り立つ生活です。

こういう生活がしあわせなのだろうと画面が教えてくれました。ご近所さんとはお天気の話をしなさいと言われます。差しさわりのないおしゃべりをしていれば間違いがないということです。政治、野球の話をすると口論になりやすいから、やめておけとも言われます。

人が熱くなるということは面白く刺激的な話題です。お天気話は刺激がない分、危険もない。これは消極的なリスク管理なのですが、裏返せばこの程度の気遣いで平和な生活を送れること自体がありがたいことなのだということになります。小津映画にはもしかしたら、あたりまえで平凡だけれども、実は理想的で夢のような世界があるのかもしれません。

小津映画の人々のように生きたいものです。ごきげんよう。

草々
(散歩好きの文明批評家)

つくば洞峰公園バトル、勝者は県? 市? 《吾妻カガミ》151

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茨城県庁(左)とつくば市役所

【コラム・坂本栄】県営洞峰公園(つくば市二の宮)の運営をめぐる茨城県とつくば市のバトルが収拾に向けて動き出しました。県が提示した「県営⇒市営」無償譲渡案を市が受け入れる意向を表明したからです。公園運営の考え方では県が譲歩、運営費用の面では市が譲歩するという、双方が納得できる形で決着しそうです。

県の「大人の対応」で決着へ

私は、本コラム134「…洞峰公園問題…市が買い取ったら?」(2022年6月6日掲載)で、公園の「県営⇒市営」を提案、「(この問題で)市と県のバトルが続くことは好ましくありません。それは市と県の関係の泥沼化を意味するからです」と書いたこともあり、親(県)子(市)ゲンカの収束にひと安心です。

県の公園改修計画と市がそれに反対する理由は以下のようなことでした。民活方式で洞峰公園にアウトドア施設を設け、公園を魅力的なものにするとともに、その収益を公園運営費に回して県の歳出を抑える―が県の考え方。これに対し、アウトドア施設は自然公園になじまない、県の計画に反対する―が公園利用者の意を汲(く)んだ市の考え方。

こういった対立を背景に、大井川知事は、▽公園利用者は反対のための理屈を並べている▽市が県に示した運営費補填案(施設利用料値上げ)はバランスが悪い―と市を批判。五十嵐市長は、▽公園は現在の形をいじらない方がよい▽大型テント(一種の住宅)設置は市の権限で阻止する―と反発。それはそれで面白いバトルでしたが、結局、知事が提案した収拾案(無償譲渡という大人の対応)に市長が乗る形になりました。

今度は「市街戦」が勃発か?

「県営⇒市営」で決着すれば、県の計画は無くなりますから、市がこだわった自然公園の形は維持できることになります。しかし、市営になると、これまで県が出してきた公園管理費・施設修繕費は市の負担になります。県は「名(改修計画)を捨て実(費用転嫁)を取る」、市は「実を捨て(費用を負担し)名(現状維持)を取る」ことになります。どちらが勝ったのか? その判定は「名」を見るか「実」を見るかで異なるでしょう。

市は14日、洞峰公園管理費と園内施設修繕費を試算した数字を議会に出しました。それによると、譲り受けに伴う年間支出は、1億5085万円(公園管理費)+7800万円(施設修繕費)=2億2885万円になるそうです。

今年度の全公園(356カ所)管理費は8億9978万円(施設修繕費は別会計)ですから、1億5085万円(今年度比14%増)が大きいか小さいか、意見が分かれるでしょう。市の計算に議会がどう反応したかは、記事「費用負担 年2.3億円 無償譲渡受ける方針を議会に説明…」(2月14日掲載)をご覧ください。

市議の意見や記事に寄せられたコメントを読むと、市民の評価は割れています。赤(止め)派=洞峰公園を使っておらず支出増は認められない。青(行け)派=公園の現状が維持されるのだから負担は仕方ない。黄(待て)派=アウトドア施設を受け入れ県営のままがよい。県とのバトルは収束しそうですが、今度は「市街戦」が勃発(ぼっぱつ)しそうな気配です。(経済ジャーナリスト)

打ち上げ花火、下から見る? 上から見る? 《見上げてごらん!》11

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花火とドローン

【コラム・小泉裕司】今回は花火とドローンのお話。各紙は2月8日付で、「第91回土浦全国花火競技大会での無許可ドローン飛行を書類送検」を報じた。土浦署は、日没後に違法にドローンを飛ばしたとして、航空法違反の疑いで、撮影した男性を書類送致した。

その男性は「きれいな花火を空から撮影したかった」と容疑を認めているという。実際、目視されたドローンは3機。以来、土浦署は捜査を継続していたようで、今回、うち1機の摘発に至った。花火愛好家の1人として、頼もしい限りで、今後の抑止効果を期待したい。

記事を読みながら脳裏に浮かんだのは、ドローンが今ほど普及していない2014年、職場の後輩が喜々として、世界で2番目に見られているという米国の花火ショーで撮影したYouTube動画を教えてくれたこと。

打ち上げ花火の中にドローンを突入させて撮影。今にも燃える星が飛び出してきそうな空撮映像は、まるでSF映画に出てくる、星々の間を高速で飛行する宇宙船のよう。

当時、この衝撃映像に対する評価は分かれており、斬新性が評価される一方、多くの人の上を飛行する危険性が指摘されていた。

こうした中、昨今のドローン技術は日進月歩で、産業や公共現場での活躍は周知のとおり。相まって、操縦資格を取得するためのスクールが増加し、ドローン本体も家電量販店で容易に入手可能な環境にある。

筆者が操縦を初体験したときは、子どもの頃初めてリモコンを手にしたワクワク感を思い出すと同時に、モニターの映像は、さも「空を飛ぶ夢」の実現がかなったようだった。

閑話休題。こうして花火会場の上空に一度飛び立ったドローンを中止させるのは、落下による観客の安全を考えると、至難の業となる。実際、昨年訪れた花火大会で何度かドローン飛行を目撃し、花火鑑賞に集中できない不快な思いを経験したが、大会主催者は、さぞ対応に苦慮していたに違いない。

ちなみに、日本花火鑑賞士会が、大会前、土浦の実行委員会事務局に対策を確認したところ、事前の禁止告知以外の具体策は難しいとのことであった。

ドローン技術は表裏一体

一方、大会主催者が国の飛行許可を得て、例えば、昨年2月、霞ヶ浦湖畔で開催した「大曲 土浦夢の競演!!」や「茅ヶ崎サザン芸術花火2018」のように、上空から、会場や観客、花火の俯瞰(ふかん)映像などを撮影し、記録として後日公表する事例もある。

昨年6月の「東北未来芸術花火2022」では、あいにく濃いかすみで地上からは花火の全容を見ることはできなかったが、その後公開されたドローン映像では、雲上で虹色の輝きを放つ花火が確認された。初めて見る幻想的な光景に興奮した。

まして、このたびのトルコ・シリア大地震の被害調査や震源調査へのドローン活用、ウクライナ戦争で明らかになった不条理な軍事使用を思うとき、ドローン技術は表裏一体、まるで「火薬の歴史」のようだ。

ともあれ、打ち上げ花火は、下から見上げることを前提に、「生け花」のごとく、上空、中空、低空を絶妙に組み合わせた夜空を彩る光の芸術。花火師さんが精魂込めて打ち上げる花火作品に集中したいものだ。

本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

サンガイア フルセットで力尽きる 

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第3セット、相手ブロックの上を打ち抜くつくばサンガイアの鎌田(撮影/高橋浩一)

本拠地つくばで今季初試合

バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイア(SunGAIA、本拠地つくば市)は18日、つくば市竹園のつくばカピオアリーナでヴィアティン三重(本拠地桑名市)と対戦し、セットカウント2-3で敗れた。シーズン後半戦に突入し本拠地つくばで今季初試合となったが、地元ファンに勝利を届けることはできなかった、これでつくばは9勝7敗で10チーム中6位。19日は同会場で首位のヴォレアス北海道と対戦する。

2022-23 Vリーグ2部男子(2月18日、つくばカピオアリーナ)
つくば 2-3 三重
27-29
25-27
25-17
25-23
15-17

今節は4位と5位の直接対決。セット率で三重が上回るものの共に9勝6敗同士で、順位を上げるチャンスだった。「前回対戦ではストレート負けを喫した相手。ホームゲームなので絶対に勝つという気持ちで対策してきた」と、つくばの新垣東麻主将。

ゲームプランとしては、相手エースの三好佳介らミドルブロッカーに仕事をさせず、サイド勝負に持ち込むこと。サーブで攻めて陣形を崩し、相手に良い状態で打たせず、切り返しからのコンビネーションで得点するという形だった。

第1セット、相手のスパイクに食らいつく濱田英寿(同)

試合は序盤から僅差で追い掛ける展開が続き、第1、第2セットともデュースまで相手を追い詰めたが、最後のポイントを取り切れず、2セットとも相手に渡す結果となった。「サーブが走ったところは勝てたが、サーブで崩せずブロックを絞れなかったところは負けた。相手は決めるべきところをちゃんと決めたが、自分たちはチャンスボールを決めきれず、その差が結果に表れた」と新垣主将。

2セットを失い後がなくなったつくばだが、ここから奮起し2セットを連取。第3セットは9連続得点などで相手を圧倒、第4セットは序盤の競り合いから3度の3連続得点などで突き放した。要因の一つはポジションの変更。「アウトの選手を入れ替えたことが功を奏し、相手のブロックが引っ張られた」と浜崎勇矢監督。もう一つは選手のメンタルの部分。第1、第2セットは守りに入ってしまったが、第3セット以降は落ち着きを取り戻したという。「劣勢のときに冷静さを保てなくなるのがうちの悪いくせ。今後も試合を通じて成長しなくては」とのこと。

第2セット、松田康河がミドルからスパイクを決める(同)

勝負の第5セット、つくばはエース鎌田敏弥にトスを集めるが、徐々に相手に追い上げられ、またもデュースに突入して力尽きた。2時間16分にわたる長い試合で、鎌田には71本ものアタックを打ち込んだ疲れがのしかかった。マッチポイントで相手にブロックされたスパイクについても「ストレートに打てばよかった、自分はストレートがストロングポイント」と、最後まで強い気持ちで打ち続けられなかったことを悔やんだ。(池田充雄)

開館1時間遅延し4団体が影響 つくば市二の宮交流センター

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つくば市役所

つくば市は18日、同市二の宮、二の宮交流センターが同日、本来の開館時間である午前9時に開館できず約1時間遅延し、予約していた4団体が予定通り利用できないなど影響を受けたと発表した。

市文化芸術課によると、午前9時30分から利用予約をとっていた団体のメンバーが開館していないことに気付き、他の交流センターに連絡した。その後、所管する文化芸術課長と二の宮交流センター所長に連絡が行き、同午前10時1分、二の宮交流センター職員がかぎを開けた。

この日は午前9時30分から2団体、10時から2団体が予約しており、4団体は10時過ぎから利用を開始した。

同市の交流センターは17カ所いずれも、土日祝日と平日午後5時以降は、市の委託を受けた民間事業者が管理している。年1回入札を実施し、1事業者あたり4~5カ所をまとめて管理しているという。

二の宮交流センターは18日、本来、委託先の民間事業者職員が午前8時45分に出勤する予定だった。出勤後、勤務先の事業者に出勤した旨を報告するが、この日は報告が無かったにもかかわらず、事業者が確認を怠ったという。

同課は、今後は交流センター職員が委託業者と共に予約や出勤状況の確認をより一層徹底して行い、再発防止に努めたいとしている。

筑波山梅まつり開幕 4年ぶり通常に

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着物姿で出迎えるつくば観光大使の(左から)宮崎絵美さん、吉沢綺音さん、井上魅空さんの3人

第50回筑波山梅まつり(同実行委員会主催)が18日、筑波山中腹にある筑波山梅林(つくば市沼田)で開幕した。コロナ禍で2020年は会期途中で中断、21年は2週間遅らせて開幕、22年は中止となっており、通常通り開催するのは4年ぶり。

3月19日までの期間中、つくば観光大使の出迎えや、筑波山名物ガマの油売り口上の実演、観光ボランティアによる園内ガイド、梅を使用したメニューの提供などさまざまなイベントが展開される。

現在の開花状況は、1月は気温が低かったが2月から比較的暖かい日が続いたことからほぼ例年並みで、白梅は3分咲き、紅梅は終わりを迎えている。白梅の見頃は2月下旬から3月初旬と見込まれている。

この日、関係者約60人が参加して開園式が催され、つくば観光大使の宮崎絵美さん(39)、井上魅空さん(35)、吉沢綺音さん(22)の3人があでやかな着物姿で来園者を出迎えた。

同実行委員会の神谷大蔵委員長は「4年ぶりに開催できることは大変喜ばしい。筑波山観光振興のため、おもてなしをさらに充実させていきたい」と話し、五十嵐立青つくば市長、五頭泰誠市議会議長、国光あやの衆院議員らは「このイベントが日常を取り戻すさきがけになればよい」などとあいさつした。

今年は50回という節目の開催であるということから、皆で祝い、地酒で乾杯する「乾杯つくば」イベントが催される。3月4日に筑波山水系の酒蔵の地酒を新酒で楽しむ「新酒de筑波山地酒フェス」、同11日につくばワイン・フルーツ特区の認定を受けて醸造されたワインを味わう「つくばワインフェス」を、いずれも梅林内のおもてなし館前広場で開催する。

まだ3分咲きの白梅

この日、梅林を訪れた近くに住む斎藤靖夫さん(80)は「地元だけれど3年ぶりに梅まつりに来た。筑波山は自然だけでなく、素晴らしい文化や歴史があることも知ってほしい。そのためにはもっと多くの人に筑波山に来てほしい」と話した。

筑波山梅林は標高約250メートル付近に位置し、中腹の斜面に広がる4.5ヘクタールの園内には約1000本の白梅や紅梅が植えられている。筑波石と呼ばれる斑れい岩の巨石が園内のあちこちにあり、筑波山地域ジオパークの見どころの一つともなっている。(榎田智司)

つまずきと達成のはざま《続・気軽にSOS》127

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【コラム・浅井和幸】例えば大学受験に合格したいという相談が入ったとします。まず必要なのは、目的地である合格ライン、必要な学力です。そして、現在地である、今の学力を知る必要があります。

今の学力は、教科の合計点数を知る必要もありますが、各教科の点数を知る必要があるでしょう。場合によっては、大学受験の勉強をするよりも、高校1年の勉強から始めた方が近道である教科もあるかもしれません。

さらには特殊事情で、受験をする場所までの交通費を工面できないとか、身体的な障害があるために受験会場にたどりつけないとか、親が受験を認めてくれないなどの事情があるかもしれません。

これらすべてをひっくるめて、日本の受験というものがおかしいから大学に行けないんだと捉えた場合は、文部科学省に申し入れをするのか、政治家になって法律を変えていくのかとなるのでしょうか。

人によって物事の捉え方が違いますので、大きく日本が悪いと思うか、苦手な教科のある場所で自分の学力が止まっていると思うかは自由です。しかし、目的を達成するには、そのつまずきの部分に対応する必要がありますし、現状では対応が難しい場合は誰かの協力が必要になります。

どこでつまずいているか具体的に探る

話は変わって、別の困難を抱えた方や支援者の意見。ある人は言いました。もっとお金があれば部屋をもっと簡単に借りられた、生活困窮をしているから割高の部屋を苦労して借りなければいけないと。

ある人は言いました。日本の政策がおかしいから、自分は仕事に就くことが出来ないと。ある人は言いました。日本の社会は気持ちをストレートに表現しないから、忖度(そんたく)して生きなければいけないので苦しい、アメリカならばもっと楽に生きられるのにと。

この言葉をそのまま受け取れば、アドバイスは、お金を得る手段を考えていきましょう、議員に立候補しましょう、アメリカに住む方法を考えましょう、となります。

しかし、話を進めていき、状況を詳細に聞いて私がアドバイスしたのは、もう少し約束を守るようにしましょう、とりあえずはハローワークに行きましょう、ごめんなさいとありがとうを伝えてみましょう―でした。

物事がうまく回っているときは、細かいことは考えずにどんどん進める方がよいと思います。しかし悪循環をしている場合は、大ざっぱに物事をとらえずに、一つ一つどこでつまずいているかを具体的に探ることが大切です。

支援者からの相談の引き継ぎで、ケースの詳細をお聞きすることもあります。そのときに私が重視するのが、当人の目的とこのつまずきの部分です。

ちなみに、つまずきとは、どこまで達成しているかと同義と捉えても間違いではありません。10キロ先の目的地に行きたい。今3キロのところで身動きできずにいる。3キロのところでつまずいているとは、3キロまで進んで来られたということですから。(精神保健福祉士)

桜土浦IC周辺に産業系用地誘導 土浦市23年度当初予算案

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記者会見し2023年度当初予算案を発表する安藤真理子土浦市長=同市役所

場所難航の上大津統合小 用地購入へ

安藤真理子土浦市長は17日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比5%増の552億8000万円、特別会計などを合わせた総額は同比3%増の969億3000万円となる。予算規模が前年度当初を上回るのは2年連続。厳しい財政状況が続く中、創意工夫を凝らしたとしている。

主な事業は、常磐道・桜土浦インターチェンジ(IC)周辺に企業誘致を図る産業系土地利用に向け、事業採算性を検討したり地権者組織を設置するなど同IC周辺地区土地利用促進事業に8900万円を計上するほか、市内の常磐道にスマートインターチェンジ(IC)を設置することを目指し調査したり国や県と協議するスマートIC整備事業に700万円を計上する。

教育では、場所の選定が難航し建設候補地を見直す上大津地区統合小学校の用地購入や新校舎の基本・実施設計など同小整備事業に1億200万円を計上し、28年度の開校を目指す。

公共交通は、公共交通不便地域である中村南・西根南地区と右籾地区にコミュニティ交通を導入したのに加え、新年度は新たな地区でコミュニティ交通を導入したり、高齢者など交通弱者に三輪自転車の購入費を補助する地域公共交通確保維持改善事業に9200万円を計上する。

子育て支援は、公約により公立の認定こども園として存続させ、今年10月の開園を目指している「認定こども園土浦幼稚園」に、3億9900万円を計上して園舎の改修工事を実施する。ほかに産前・産後家事ヘルパーを派遣して妊産婦に家事援助サービスを提供したり(83万円)、妊娠・出産時の伴奏型相談支援や経済的支援(9300万円)などきめ細かな支援をする。

福祉は、市聴覚障害者協会から出された請願をきっかけに、手話が言語であるという認識の下、手話への理解を促進する手話言語条例を今年3月に制定する予定であることから、260万円を計上し、手話ハンドブックを小学3~6年生に配布したり、手話奉仕員を養成したり、市長会見の動画に手話通訳を加えたり、手話ができることを示すバッチを作成し手話奉仕員に配布などする。

土浦方面が有力視されているつくばエクスプレス(TX)県内延伸については、決定すれば沿線を中心に土地開発が活発化すると見込まれるなどから、330万円を計上し、効果を最大限に発揮させるため様々な波及効果を検討し調査する。

ほかに、つくば霞ケ浦りんりんロードの自転車利用促進では約3100万円を計上し、新たに台湾にウェブ広告を配信したり、都内の駅でプロモーション活動をするなどインバウンドや国内観光客に向けた知名度向上を図る。

防災では、浸水想定区域の洪水ハザードマップがすでに作成されている霞ケ浦と桜川に加え、県が今年度中に新たに乙戸川、花室川、備前川、上備前川、新川、境川、天ノ川の市内の中小7河川を新たに浸水想定区域に指定する予定であることから、200万円を計上し、市内の中小7河川を加えた洪水ハザードマップを更新し、全戸に配布などする。

安藤市長は「就任以来の公約であるスマートIC設置やIC周辺への企業誘致は税収を確保すると共に市民の雇用創出にもつながる。交通不便地域のコミュニティ交通導入は順次、実証実験として進めているが、1年に2地区ぐらいずつ増やしたい。子育て支援は、安心して土浦で子育てができるよう取り組みたい」などと話し、「土浦は人口が少しずつ増えている。コロナ禍で注目されているサイクリング環境を整備し、土浦に来る人を増やし土浦を元気にしたい」などと述べた。

一方、歳入は、個人市民税が同比1.7%減となる一方、コロナによる経済活動の回復に伴い、法人市民税が4.4%増加し、市税全体では同比1.3%増を見込む。一方、財源不足を補うため財政調整基金から15億円を繰り入れる。市の借金である市債は、児童福祉施設や社会教育施設の整備費が増え、同比13.2%増となる。23年度末の市債残高は22年度末より4.3%減り、854億3000万円になる見込み。

高校時代の友人が気づかせてくれたこと 《電動車いすから見た景色》39

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高校時代の同級生と一緒に。中央が筆者

【コラム・川端舞】今月初め、生まれ故郷の群馬で、障害者権利条約の勉強会があり、2年ぶりに帰省した。会場で高校の同級生2人と再会し、写真を撮った。

国連が障害者権利条約を解説した「一般的意見」には、「(障害のある子とない子が同じ教室で学ぶ)インクルーシブ教育は、すべての生徒の基本的人権」と書いてある。5年ほど前、初めて読んだとき、その意味を理解するのに苦労した。「インクルーシブ教育は、障害のない生徒のためにもなるのか」と。

その考えが変わり始めたのは、数年前、ふとしたきっかけで、同級生たちと連絡を取るようになってからだ。高校当時、私は自分の障害への劣等感や、大学受験のプレッシャーで、息の詰まる学校生活を送った記憶しかなかった。しかし、友人と話しているうちに、当時の楽しかった記憶も思い出した。

周囲の同級生が障害のある自分をどう見ていたのかも聞くことができ、少し客観的に過去を振り返ることができた。「こんなに悩んでいるのは自分だけだ」と思っていたが、実は障害のない生徒も深い悩みを抱えていることがあり、悩みの原因の多くは、社会や学校が多様性に寛容でないためであると気付くこともできた。

一方、卒業後10年以上たってから、当時の自分の悩みを友人に聞いてもらうこともでき、「高校時代、川端がふさぎ込んでしまったのも無理ないよ」と言われ、気持ちが楽になった。

しんどいのは障害児だけではない

「しんどさを抱えながら、学校に通っているのは障害児だけではない。だから、どんな子でも過ごしやすい普通学校に変える必要があるのだ」。友人と話しながら、こんなことを思った。

勉強や運動が他の子どもと同じようにできなくても、違いを受け入れ、どのように環境を変えれば、障害児でも過ごしやすくなるのかを考えられる学校は、障害のない子どもにとっても過ごしやすい学校になるのかもしれない。それが、「インクルーシブ教育は、すべての生徒の基本的人権」ということなのだろう。

いろんな同級生と一緒に高校時代を過ごした記憶と、大人になってから果たせた同級生との再会が、私に「インクルーシブ教育とは何か」を改めて考え直させてくれるのだ。(障害当事者)

「ゲノムドック」を民間と共用へ 筑波大

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計画について説明する筑波大学附属病院の西山博之副病院長(左)

血液から全ゲノム(遺伝情報)を解析し個人が病気になるリスクなどの情報を提供している筑波大学附属病院つくば予防医学研究センター(つくば市天久保、鈴木英雄センター部長)は16日、解析したゲノムを民間機関と共用し、より多くの被験者にゲノムの解析結果を届ける計画を発表した。

これにより、より多くの人に病気になるリスクを伝えるとともに、集めた遺伝情報を蓄積し、国内医療の発展に寄与したい構えだ。産学連携を進める同大の取り組みの一環。同センターでは2021年から、個人のゲノム情報を用いて現在の健康状態や、将来かかる病気のリスクを知るための「ゲノムドック」を始めている。

同センターが、筑波大発ベンチャーのアイラック(iLAC)=つくば市春日、佐藤孝明代表=、医療法人みなとみらい(横浜市、田中俊一理事長)と、3者で取り組む。みなとみらいが運営する銀座クリニックの会員が対象となる。

内容は、同クリニックで希望者から血液を採取し、アイラックが血液からゲノム情報を解析する。その際、遺伝性の病気やがんなどの発症リスク、病気に対する効果的な薬を同社で分析し、同センターが解析結果に意味付けをしてレポートを作成。専門家の判断の下、クリニックで被験者に結果を報告する。

被験者がどの遺伝情報を知らされるかは、専門家との事前のやり取りの上で決められる。解析されたゲノム情報は、被験者の同意を得た場合に限り、同大附属病院が管理するデータベースに登録される。

同附属病院の西山博之副病院長は、16日の会見で「2021年から2年間(ゲノムドックという)最先端の医療を開発してきた。まずこれを全国の人にも届けたい」とし、民間医療機関との提携は、そのための体制づくりだと説明する。

銀座クリニックの会員を対象とした今回の計画では「5年間で1000件」を目標に全ゲノム解析を進めたいとし、将来的にはこのノウハウを他の関連機関に提供することも考えているとした。またこの研究を通じて「日本人特有のゲノムとは何か、筑波大でそれが分かるかもしれない」と今後に期待を込めた。

対象者は20歳以上の希望者で、がんや心臓疾患のリスクなど約200の遺伝子解析結果と、それに基づく生活習慣の見直しや具体的な検診の提案を受けることができる。費用は非公表。

筑波大附属病院によるゲノムドックは従来通り、同センターにて受け付けている。費用は57万2000円。(柴田大輔)

自分の顔 ウソの顔《写真だいすき》17

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カカシの顔(筆者撮影)。自分では、鏡に写った顔がいい顔だと思っていても、他人が見ている顔は違っているというのが顔というものだ

【コラム・オダギ秀】分かっている人にはくだらない話なのだが、多くの人は当然と思っているから、チョットはショックなことを話す。自分では鏡を見て、うん私はこんな顔がいいかななんて思っていると、世間の人々は、まったく違う顔を見ているという話だ。自分はいいと思っていても、世間はなかなかそうは見ていないという話だ。

よく「私は右(左)から見た顔がいいのよ」などと言い、鏡を見ながら、丁寧にそちらの向きの顔の手入れをしている人などがいる。それはそれで、間違いではない。だが、世間の人々は、自分が見ている鏡に写ったその顔を、まず、見ていないのだ。自分が、鏡の顔をいいと思っても、世間の人々は、その顔を見ているわけではないのだ。

なぜなら。たとえば、髪を右分けしている人は、鏡の顔は、向かって右に髪分けしている。だが、鏡を通してではなく、本人を直接見る人は、向かって左に髪分けしているのだ。これを左右反転とかミラー反転と言うが、パソコンやスマホなどで自撮りしている場合も、多くの場合、鏡のように写っているはずと思っている。

だから、こんな顔がいいとして写真に撮ってもらう。すると、それこそ世間の人が見ているような顔に出来上がった写真を見ることになる。だから、「ええっ、自分の顔はこんな顔と違う。写真、下手ねえ」などと言い出すのだ。どのようなことを言っているか、意味がわかるだろうか。

あなたが、見ている鏡に写った自分の顔を見て、それが正しい自分の顔だと思っているのは、それなりに正しい。だが、大切なことは、世間の人々は、鏡に写ったその顔を見ていないということなのだ。

なんか違う 免許証の写真

特にそのことを感じるのは、免許証の写真ではないだろうか。正々堂々と撮ったのに、なんかヤダなあ、なんか違うなあ、と思ったりする。もちろん、写真の出来映えは様々な要因がある結果なので、免許証の写真を単純に例に挙げるのは申し訳ないのだが、自分の顔を正面から見ることは鏡くらいしかないし、世間の眼が正面から注がれることも少ないから、それぞれの顔の落差に驚いたりするのだ。

免許証の写真。うわ、こんなに写っちゃったヤダあ、と感じながら見たことはなかったか。鏡でいつも見ている自分の顔と違う、と感じていないか、下手ねえ、と。だが、正々堂々と撮ったその顔が、大抵の場合、ガッカリだが、世間の人が見ているあなたの顔なのだ。鏡にではなく、ストレートに世間の眼で見た顔は、写真に写された顔なのだ。

スナップ写真などは正面ではなく動いている瞬間などを捉えたものなので、微妙な違いには気が付かず、鏡に写った顔と同じものが写っていると思ってしまう。自然な本当の顔だと思わされる。写真はウソをつかないから、と思っているのだ。だけど、写真よりも、鏡ってヤツは、もっとウソつきみたいに、あなたを誤解させているんだよ。(写真家、日本写真家協会会員、土浦写真家協会会長)

給食に異物混入 つくば市内の中学校

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給食に混入していた異物(つくば市教育局健康教育課提供)

つくば市は15日、同日昼に市内の中学校に提供された学校給食に、金属片の異物が混入していたと発表した。児童や生徒などの健康被害は報告されてないという。

市教育局健康教育課によると、同日午後0時20分ごろ、市内の中学校で、校長が給食の安全性を検査する「検食」のため、メニューの一つのポテトグラタンを食べたところ、口の中で違和感を感じた。確認したところ、長さ約6ミリ、直径1ミリ未満のホッチキスの針のような金属片が混入していることが確認された。

給食センター職員が異物を確認し、この日グラタンが提供された市立幼稚園3園、小学校4校、中学校3校にグラタンを食べないよう連絡した。

中学校2校は食べる前だったことからグラタンをすべて回収できたが、幼稚園3園と小学校4校、中学校1校はすでに食べてしまっていた。

ポテトグラタンは長さ7センチほどの楕円形の容器に入っていた。給食センターで調理したものではなく、納入業者から納入されたポテトカップグラタンというメニューだという。このグラタンは同日、計約2549食提供された。

異物混入を受け、給食センター所長は同日、納入業者に異物の混入経路を解明するよう指示した。今後は、保健所の立ち入り後、異物の調査分析を実施するとしている。

「国民安全保障・国家論」考《雑記録》44

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自宅の花(筆者撮影)

【コラム・瀧田薫】昨年12月16日、政府は「国家安全保障戦略」(以下「戦略」)の改定を閣議決定したが、これに先立つ11月22日、「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が、会議の主催者である首相に対し「報告書」(以下「報告」)を提出している。

「報告」と「戦略」を付き合わせてみると、両文書は高いレベルで「整合性」を示しているが、「戦略」が防衛力を重視しているのに対して、「報告」は「防衛力だけでなく、外交力、経済力、技術力、情報力を「総合的国力」として取り上げている点、「戦略」よりも包括的な国家戦略論となっている。

「報告」が提出されてから1カ月も経たない時点で「戦略」が閣議決定されていることから推して、両文書とも有識者会議における議論に出自を同じくしていると思われるし、さらに一歩進めて、「報告」をいわば総論、「戦略」を各論という位置付けをしても違和感はない。

ところで、今回、新聞やテレビの報道が、おしなべて、各論である「戦略」を中心テーマとして扱っていて、総論としての「報告」については地味な扱いしかしていない。しかし、総論としての「報告」こそ、この国と国民の安全保障に関する議論の肝心要の部分なのである。

報告の要点は、「我が国を取り巻く厳しい安全環境を乗り切るには、防衛力だけではなく、技術力や産業基盤を強化し、有事にあっても、我が国の信用や国民生活が損なわれないようファンダメンタルズを涵養(かんよう)する。同時に、国の外交力と情報力の強化が不可欠だ」ということだ。つまり、狙いは、「総合的国力の涵養」にある。

「総合的国力の涵養」

なぜ「総合的国力の涵養」が必要なのか。それはこの国に、戦前・戦後を通じて、総合的国力を国家と社会に実装する構想、そのための方法を模索する意識、つまり「安全保障リテラシー」が欠落していたからである。例えば、「戦前の日本軍は戦闘重視で、後方軽視、情報軽視、民間軽視であった。それは国民を軽視した戦争だった」(兼原信克『安全保障戦略』日経BP、2021年、72ページ)との指摘がある。

そして戦後、米軍占領下にあった時期、さらに日米安全保障条約締結以後、この国と社会は、安全保障面は言うに及ばず、経済面でも対米依存することで、めざましい戦後復興を遂げていく。

そうした成長過程で、敗戦の原因を追及し、戦前に欠けていた総合的国力とそれを涵養するための「安全保障リテラシー」を求める意識が薄れていった。しかし、そのツケがやがて回ってくる。福島原発事故、コロナ禍による医療崩壊は、戦後日本の国家と社会に国民を守るための「安全保障リテラシー」が欠落している事実を突きつけた。

「報告」は、米中の狭間(はざま)にあって、この国にまず求められるのは自前の「国民安全保障・国家論」の構築であると指摘している。(茨城キリスト教大学名誉教授)