日曜日, 4月 2, 2023
ホーム コラム オダギ秀 自分の顔 ウソの顔《写真だいすき》17

自分の顔 ウソの顔《写真だいすき》17

【コラム・オダギ秀】分かっている人にはくだらない話なのだが、多くの人は当然と思っているから、チョットはショックなことを話す。自分では鏡を見て、うん私はこんな顔がいいかななんて思っていると、世間の人々は、まったく違う顔を見ているという話だ。自分はいいと思っていても、世間はなかなかそうは見ていないという話だ。

よく「私は右(左)から見た顔がいいのよ」などと言い、鏡を見ながら、丁寧にそちらの向きの顔の手入れをしている人などがいる。それはそれで、間違いではない。だが、世間の人々は、自分が見ている鏡に写ったその顔を、まず、見ていないのだ。自分が、鏡の顔をいいと思っても、世間の人々は、その顔を見ているわけではないのだ。

なぜなら。たとえば、髪を右分けしている人は、鏡の顔は、向かって右に髪分けしている。だが、鏡を通してではなく、本人を直接見る人は、向かって左に髪分けしているのだ。これを左右反転とかミラー反転と言うが、パソコンやスマホなどで自撮りしている場合も、多くの場合、鏡のように写っているはずと思っている。

だから、こんな顔がいいとして写真に撮ってもらう。すると、それこそ世間の人が見ているような顔に出来上がった写真を見ることになる。だから、「ええっ、自分の顔はこんな顔と違う。写真、下手ねえ」などと言い出すのだ。どのようなことを言っているか、意味がわかるだろうか。

あなたが、見ている鏡に写った自分の顔を見て、それが正しい自分の顔だと思っているのは、それなりに正しい。だが、大切なことは、世間の人々は、鏡に写ったその顔を見ていないということなのだ。

なんか違う 免許証の写真

特にそのことを感じるのは、免許証の写真ではないだろうか。正々堂々と撮ったのに、なんかヤダなあ、なんか違うなあ、と思ったりする。もちろん、写真の出来映えは様々な要因がある結果なので、免許証の写真を単純に例に挙げるのは申し訳ないのだが、自分の顔を正面から見ることは鏡くらいしかないし、世間の眼が正面から注がれることも少ないから、それぞれの顔の落差に驚いたりするのだ。

免許証の写真。うわ、こんなに写っちゃったヤダあ、と感じながら見たことはなかったか。鏡でいつも見ている自分の顔と違う、と感じていないか、下手ねえ、と。だが、正々堂々と撮ったその顔が、大抵の場合、ガッカリだが、世間の人が見ているあなたの顔なのだ。鏡にではなく、ストレートに世間の眼で見た顔は、写真に写された顔なのだ。

スナップ写真などは正面ではなく動いている瞬間などを捉えたものなので、微妙な違いには気が付かず、鏡に写った顔と同じものが写っていると思ってしまう。自然な本当の顔だと思わされる。写真はウソをつかないから、と思っているのだ。だけど、写真よりも、鏡ってヤツは、もっとウソつきみたいに、あなたを誤解させているんだよ。(写真家、日本写真家協会会員、土浦写真家協会会長)

guest
名誉棄損、業務妨害、差別助長等の恐れがあると判断したコメントは削除します。
NEWSつくばは、つくば、土浦市の読者を対象に新たに、認定コメンテーター制度を設けます。登録受け付け中です。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

開幕戦、男女共に勝利 つくばFC

つくば市を本拠地とするサッカークラブ、つくばFCの男女各トップチームが1日、ホームグラウンドのセキショウチャレンジスタジアム(つくば市山木)で今季開幕戦を迎えた。プレナスなでしこリーグ2部開幕戦の女子は1-0、関東リーグの男子は3-1でともに勝利を挙げ、幸先の良いスタートを切ることができた。 新加入の2人が決勝点 女子 2023プレナスなでしこリーグ2部第1節(4月1日、セキショウチャレンジスタジアム)つくばFCレディース 1―0 ノルディーア北海道前半0-0後半1-0 つくばFCレディースは、昨季2戦2分と拮抗した勝負を繰り広げたノルディーア北海道(札幌市)に対し、前後半合わせて19本のシュートの雨を降らせ、被シュートはわずか2本に抑えるという圧倒的な試合を見せた。 「選手が走り続け、走りきるサッカーができた。開幕戦でみんな緊張しているので、トレーニングでやってきたことをやりきろうと声をかけた。一人一人のキャラクターを生かし、毎回違うヒロインが出てくるようなサッカーがしたい」と、白馬聡監督のコメント。

3年半ぶり完全開催 筑波山神社で御座替祭

筑波山神社(つくば市筑波、上野貞茂宮司)で1日、山頂の本殿と中腹の拝殿で神座が入れ替わるとされる春の御座替祭(おざがわりさい)が催され、祭りのメーンとなる、みこしをかついで中腹の集落を巡る神幸祭(じんこうさい)が3年半ぶりに行われた。新型コロナの影響で神幸祭は2020年の春から6回連続中止となっていた。 男体山と女体山山頂の本殿にある神衣(かんみそ)を新しい衣に取り替える「神衣祭」(かんみそさい)、中腹の拝殿で舞いを捧げる「奉幣祭(ほうべいさい)」と併せて、三つの祭りが2019年秋の御座替祭以来、3年半ぶりに完全開催された。 中腹の筑波山神社周辺ではソメイヨシノと山桜がほぼ同時に満開になり、花びらが春風に舞う様子が見られた。コロナ5類移行が間近に迫る中、マスクを外して見物する人の姿もあった。 神幸祭では黄色や赤、白など色とりどりの装束をまとった約150人の行列が、中腹の筑波山六丁目から筑波山神社拝殿まで、急な坂道や階段をみやびやかに登った。今回は稚児行列も最後に加わった。 御座替祭は毎年4月1日と11月1日の春と秋に催されており、観光資源としての役割も担っている。御座替祭の日に限り、3代将軍徳川家光が江戸時代初期に建造し県指定文化財になっている、神社境内入り口の神橋(しんきょう)を渡ることができる。この日は午前9時30分から午後4時まで特別開門が行われ、たくさんの観光客が橋を渡ったり、記念写真などを撮っていた。 神橋を渡るみこし

「強くしなやかに成長する4年間に」 筑波学院大で入学式

筑波学院大学(つくば市吾妻)で1日、2023年度の入学式が行われ、スーツに身を包んだ新入生たちが新生活のスタートを切った。教職員や理事、保護者らも参列し門出を祝った。中国やウクライナなど5カ国からの留学生7人を含む新入生51人が入学し、新入生代表の田井真央(たいまひろ)さんが「大学生活をよりよいものにし、不安定な社会で貢献できる人材になりたい」と宣誓した。 望月義人学長は式辞で「漫然と過ごす4年と、竹のように節目を付けながら強くしなやかに成長する4年との差は極めて大きい。教職員は皆さんを心から支え応援する」と述べた。また2学期制のカリキュラムを今年度から春、夏、秋の3学期制に、1コマ90分だった授業を105分にしてアクティブラーニング(能動的学習)の時間を増やし、論理的思考力、応用力を養っていくと話した。 式辞を述べる望月義人学長=同 橋本綱夫理事長は「4年間どういったことをやりたいか、探究、模索して見つけていってほしい」と激励し、同大のルーツとなる東京家政学院大学の創設者で家政学の先駆者だった大江スミの建学の精神を同大が現在も受け継いでいることを話した。 今年、同大は東京家政学院大学の創立から数えて100周年を迎える。また4月からは同校の運営法人名が日本国際学園大学に変更された。来年度より大学の名称も日本国際学園大学に変わる。

少子化対策は女性の過剰負担になる 《ひょうたんの眼》56

【コラム・高橋恵一】少子高齢化を「国難」と言った元首相がいたが、昨年の出生数が80万人を割り込んだ結果を受けて、少子化が大きな国政の課題とされている。 少子化が進めば、若い世代が減少し、高齢者を支える社会保障制度が維持できない。さらに、いずれ人口が減り、経済規模が縮小し国力も低下するとされ、少子化問題を説明するために、若者が数人で高齢者を持ち上げて支えているイラストを示し、将来、少子化で支える若者が減る一方で高齢者が増え、若者が支えきれないとして、世代間の確執をあおり、「高齢者の集団自決の薦め」まで登場している。 その論点を整理する必要がある。人口の年齢区分を、国連(WHO世界保健機構)は、年少人口(0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)、老年人口(65歳以上)に3区分している。前述イラストの若者が生産年齢人口、高齢者が老年人口である。また、国連は、年少人口と老年人口を足して、生産年齢に対して従属人口という区分も設定している。つまり、働き手人口全体で、子どもも老齢人口も支えているのだということである。 国連は、高齢化を7.0%からとし、日本の場合1970年に達し、その後も高齢化が急速に進行した。一方、日本の年少人口は、1970ごろまで40%弱あり、従属人口は、50%を下回っていた。このように生産年齢人口比率が高い時代を「人口のボーナス期」というが、大戦終結後の欧米や日本にほぼ同時期に現れ、世界的な高度成長期となった。イラストで言えば、支える若者数が、子どもと老齢者を上回っている時代である。 スウェーデンなどのヨーロッパ諸国は、この余力を、高齢社会に備えて堅実に生かし、1人当たりのGDPは、世界のトップ水準を維持している。日本は、この「余力」を生かすべき時代を、「ジャパンアズナンバーワン」などと浮かれ、社会保障費や医療、教育費などを軽視して、ヨーロッパ社会に後れを取った。 男性優位社会を根底から直せ

記事データベースで過去の記事を見る