木曜日, 2月 9, 2023
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小中全校に校内フリースクール設置 不登校支援で8施策案 つくば市

民間事業者と保護者の両方に費用補助も 小中学校の不登校児童生徒の支援のあり方について検討するつくば市の「不登校に関する児童生徒支援検討会議」(森田充教育長と教育委員4人で構成)の第9回会合が13日、同市役所で開かれた。今後の支援施策として、校内フリースクールを小中学校全校に設置する、民間の支援事業者と不登校児童生徒の保護者の両方に運営費や利用料を補助するーなど8つの案が示された。 同市の2021年度の不登校児童生徒数は592人で、小学生が243人、中学生が349人。検討会議は、つくば市が昨年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設「むすびつくば」の運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、今年5月に設置された(5月17日付)。 今後の支援施策の一つ、①校内フリースクールは、教室に登校できない児童生徒が、自由な時間に登校し、校内の別室で自由に過ごす居場所。学校の空き教室などを活用し、退職教員など専任職員を配置する。児童生徒は専任職員に悩みを相談したり、勉強を見てもらったりもできる。同市では今年度初めて谷田部中学校に設置した(9月8日付)。23年度は新設校も含め市内の中学校16校に新たにつくり、中学校全校に校内フリースクールを設置する。小学校は23年度は空き教室の活用ができ不登校児童が多い6校に設置し、24年度は全校に設置する案が示された。 学校ではさらに相談体制を充実させる。教育相談の件数が増加傾向にあり予約が取りにくい状況にあることから、②臨床心理士などが従事するスクールカウンセラーを、現在の21人(1人は週1回、1日7時間勤務で計算)体制から、23年度は33人体制に毎年拡充し、25年度までに各校1~3人の56人体制にする。③社会福祉士などが従事し家庭訪問や生活支援などをするスクールソーシャルワーカーも拡充し、現在の8人(週2回、1日6時間勤務)体制から、23年度は17人体制、24年度は新設校を含め18人体制とし、中学校区ごとに1人配置する体制をつくる。④市教育相談センター(同市沼田)の教育相談員も現在の10人から13人に増やし、出張相談なども利用しやすくする。 民間フリースクールへの支援は、⑤民間の運営者に対し、支援体制整備や運営にかかわる経費を、1日当たりの利用人数と開設日などに応じて支援する。さらに⑥民間施設を利用する保護者に対しても利用料などの上限を定めた上で補助する案が示された。民間フリースクールは現在、市内に10カ所程度あるという。経費や利用料を支援する対象施設や対象者の基準や支援割合、上限などの具体的な線引きは、今後さらに検討して決める。

不登校の子どもや保護者と支援者つなげたい 30団体がつくばで初の合同説明会

不登校など学校に悩みを抱える子どもや保護者と、支援者をつなぐイベント「不登校・多様な学び つながる“縁”日」が10月15日、つくば市流星台の桜総合体育館などで開催される。支援団体などでつくる「不登校・多様な学びネットワーク茨城つくばエリア」が主催する。支援団体による合同説明会と講演会などが催され、合同説明会は今回が初の試みとなる。 主催団体の石田佳織さん(43)は「支援につながれていない人が圧倒的に多い。複数の支援団体が協力し、より多くの人に支援を届けたい」と語る。 つくば市や近隣からフリースクールや親の会など約30団体が相談ブースを設置する。不登校の小中学生の居場所「つくし広場」を運営するつくば市教育相談センターもブースを設ける。ほかにフリースクールに通う子どもたちが企画ブースを設け来場者と交流を図る。発達心理学の専門家で恵泉女学園大学学長の大日向雅美さんによる講演会も予定されている。 支援者いると知ってほしい 「誰にも相談できずに苦しむ人は多い」。不登校の子どもの保護者を支援する「竹園学園”教室や学校に行きづらい子ども”の親の会」共同代表の中村規乃さん(47)が、当事者の声を代弁する。同団体は、同ネットワークに参加する団体の一つだ。 中村さん自身、不登校の子を持つ当事者。学校に行けない自身を責める子どもの気持ちを知り「学校に行って欲しいという思いと、学校に行かない子どもを認めたいという思いの間で苦しんだ」と当時を振り返る。

「学校に行かない」に困ったら相談を つくばの支援団体

長い夏休みが明けた9月は「学校に行かない」と言い張る子どもが多くなる。親はパニックになり、どう対処したらいいかと悩む。 そんな悩み相談に乗っているのが民間支援団体「つくば子どもと教育相談センター」(事務局・つくば市梅園)だ。代表で同市在住の穂積妙子さん(73)は「困ったら相談に来てください。きっとお力になれると思います」と呼び掛けている。 同センターは不登校が増え始めた1995年、元教員たちが学校生活の困りごとの相談に乗る組織として設立。以来、子どもの不登校や発達障害などに悩む親の相談を軸に、学校生活に不安を抱える子と親を支援する活動を続けている。 代表の穂積さんも創設メンバーの1人。センター始動後、臨床発達心理士になるためにお茶の水女子大、同大学院で学んだ後、資格を取得。臨床心理の専門家として相談者の悩みに耳を傾ける。 穂積妙子代表

不登校支援のあり方検討スタート つくば市 事業者選定の迷走受け

つくば市が昨年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、今後の市の不登校支援のあり方について検討する「市不登校に関する児童生徒支援検討会議」の第1回会合が17日、市役所で開かれ、検討がスタートした。 市が、2020年10月から22年3月末までNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)と協働で実施した「むすびつくば」の事業について検証するほか、今後の市の全体的な支援方針を策定する。 検討会議のメンバーは、森田充・市教育長と市教育委員4人の計5人。不登校の保護者など当事者は入っていない。来年1月までに計14回程度の会合を開く。今年9月ごろ、新たな予算を必要とする施策を決め、来年1月ごろまでに全体的な支援方針をまとめる。 むすびつくばの検証については、利用者の小中学生と保護者にアンケートをとったり、運営者のリヴォルヴに自己評価を作成してもらうなどする。リヴォルヴによる運営は、来年3月までの1年間延長されただけであることから、23年度以降どうするかについても検討会議で協議する。 今後の市の支援方針については、先進自治体を調査したり、市内の民間フリースクールの利用状況を調査したり、市内の不登校児童生徒と保護者にアンケート調査などを実施した上で、フリースクールのあり方や支援策などについて検討する。 検討を始めるにあたって、現在の課題については▽専門職であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの人数が十分か注視する必要がある▽発達障害の早期発見や診断が遅れると個人の特性に応じた支援や対応が遅れる▽民間フリースクールは有料であるため公設の支援施設の利用者と負担に差が生じている▽不登校の児童生徒数が増えているのに対して公設支援施設の定員は2割程度しかない▽児童生徒数が増加している市南部に公設支援施設がない▽学校での別室登校による支援は専属の教員がいないーなどを挙げている。

「公平な利用基準を」「予算平等か」不登校支援めぐり議論 つくば市議会

つくば市議会予算決算委員会(山本美和委員長)が17日開かれ、市が4月から2カ所で委託事業を実施する不登校の学習支援事業をめぐって改めて議論が行われ、「利用希望者への公平な選定基準を設けてほしい」「不登校児童生徒にだけ予算を使うのは平等か」などの意見が出された。 つくば市がNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)と協働で運営している不登校の学習支援拠点「むすびつくば」の契約が3月末で終わることから、市が新年度からの運営事業者を昨年11月に公募した結果、学習塾のトライが1位となり、リヴォルヴが2位となった。市は3月議会が開会した2月14日、トライへの委託事業費として約2100万円を当初予算として議会に提案した。 一方、公募結果を知ったむすびつくばの保護者会が、リヴォルヴによる事業継続を市長らに陳情し(1月20日付)、五十嵐立青市長は3月3日の本会議で、リヴォルヴによる事業を現在と同じ場所で新年度も継続するための事業費など約2300万円を追加提案した(3月3日付)。 紆余曲折する中、市議会文教福祉委員会(木村清隆委員長)の審議を経て(3月9日付)、17日、市議全員がメンバーの予算決算委員会で改めて不登校支援事業に対する審議が行われた。 川久保皆実市議(つくばチェンジチャレンジ)は、不登校児の保護者から出された「不登校児童生徒への公平な公的支援を求める」要望書を引き合いに、「リヴォルヴとトライが受け入れる人数は合計80人で、市全体の不登校小中学生400人の2割しか公的な支援を受けられない。また家庭状況をポイント化した点数で認可保育園の入所が決まるように、利用希望者への公平な選定基準を設けてほしい」とした。川村直子市議(つくば市民ネット)も「公的な不登校支援施設『つくしの広場』の20人を入れても足りない。多くの支援の場を広げてほしい」と発言した。 文教福祉委員会で審議を重ねてきた市議からは、支援を受けられない児童生徒への支援策の検討を求める声のほか、課題は多いが致し方ないという声も上がった。

新年度も運営事業者継続へ 不登校の学習支援拠点 つくば市が追加提案 

1位のトライは研究学園駅前に移動 つくば市吾妻、不登校の学習支援拠点「むすびつくば」をめぐって、市が新年度からの運営事業者を公募した結果、新規の民間事業者が1位となり、現在、同拠点を運営するNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)が次点となったことから、保護者会が、リヴォルヴによる事業継続を市長らに陳情していた問題(1月20日付)で、五十嵐立青市長は3日開かれた3月議会本会議で、リヴォルヴによる事業を現在と同じ場所で新年度も継続するための事業費など約2300万円を追加提案した。 一方、1位となった事業者はトライグループ(本社・大阪市、平田友里恵社長)であることが分かった。トライは公募型プロポーザル方式による選定結果に基づき、市の委託事業として新たに研究学園駅前で4月から不登校の学習支援事業をスタートさせる予定だ。 2カ所とも3月議会で審議され、最終日の23日に採決が行われる。 3日の追加提案によると、学習支援拠点を別の事業者に委託することで現在の利用者や保護者に不安を与えていることから、リヴォルヴが運営するむすびつくばに利用者が引き続き通えるよう、2022年度もリヴォルヴに事業を委託するとした。 議会からは、むすびつくばとトライに通所することになる子どもは金銭的な負担がないが、他のフリースクールに通所している子どもとの格差はどう対処していくか、などの質問が出た。これに対して吉沼正美教育局長は「他市町村を例に制度設計の研究をしていきたい」と答えた。

学校に悩む子どもたちへ 支援団体が居場所や相談先を一斉発信

新学期控え 22日、SNSでメッセージ 「学校に行きたくない」「死にたいと思うほど辛い」という気持ちを持つ子どもが、新学期を間近に控えるこの時期に増えるといわれている。学校に悩みを抱える子どもやその家族に向け、気持ちに寄り添うメッセージや、学校以外の居場所・相談先の情報をSNSで一斉発信するイベントが22日にオンラインで開催される。不登校の子どもを持つ親の会やフリースクール、支援活動をする個人など、県内を中心に活動する78の団体と、複数の個人が参加する「不登校・多様な学びネットワーク茨城」が企画した。 メッセージはハッシュタグで「#ここにもあります。あなたらしくいられるところ」「#不登校・多様な学びネットワーク茨城」とともに、ツイッターやフェイスブックなどのSNSで発信される。 夏休み後半は危ない時期 「しんどい時は休憩していいんだよ」「今いる環境だけが全てではないよ」

不登校生徒の学習支援 つくば市と協働、NPOが再スタート

【川端舞】認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(つくば市)は、10月から不登校児童生徒の学習支援事業を、つくば市と協働で始めた。「不登校生徒の学習支援は経営が厳しく、市に支援してもらうことは大変助かる」と代表の本山裕子さん(57歳)は語る。自治体が民間団体と協働し、不登校の学習支援をおこなうのは県内でも珍しい。 20年の支援経験生かす 代表の本山裕子さん 同NPOは、2000年11月から今年9月まで、不登校生徒の学習を支援する「ライズ学園」(つくば市谷田部)を運営してきた。不登校の背景には、読み書きに困難があるがタブレット端末を使ったら学習しやすいなど、周囲とは異なる学び方をするLD(学習障害、学び方の違い)などが潜むケースも多い。ライズ学園では一人一人の子どもの特性に合わせた学習指導をおこなったり、絵画造形やスポーツなど体験的な学びの機会を取り入れたりしていた。 子どもたちには月謝を払ってもらっていたが、学習指導をマンツーマンで行っていたため、人件費だけでも費用がかさむ。やればやるほど赤字だったという。もともとは週に4日開いていたが、経営悪化により開催できる日数が次第に少なくなった。昨年4月には、経営を立て直すため一時休園することも考えたが、それまで通園していた子どもたちがいるため、週1日だけ開いていた。

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やさしい国家が人をしあわせにする 《遊民通信》58

【コラム・田口哲郎】前略 1789年のフランス革命のあとに、「人間と市民の権利の宣言」、いわゆるフランス人権宣言が採択されました。この宣言は世界各国に影響を与え、それは当然、日本の民主主義の根幹にかかわるものでもあります。 フランス共和国の人権宣言をごく簡単にまとめるとこうなります。人間は生まれながらにして自由と平等を保証されている。共和国が基本的権利を保証するのであって、ほかの団体などがその権利を侵害してはならない。つまり国家だけが、福沢諭吉が言ったところの「天は人の上に人をつくらず、人の下にも人をつくらずと言へり」を約束できるということです。国民と国家の信頼関係によってすべては成り立っているわけです。 規則と改革 そんなのあたりまえじゃないかと思ってきました。でも、よく考えると、わたしたちは基本的人権によって自由と平等をあるていど享受しているけれども、その自由と平等は完全ではありません。完全な自由と平等の実現はかなり困難でしょう。でも、それでも人権宣言の理念を目指していかなければならない。そのためには、規則よりも人間の真情に寄り添う姿勢が大切です。 そうなると対立するのは、規則と改革です。ある人が困っている。でも規則はその人の望みを解決することはできない。だからその規則を変えるしかない。いや、規則を変えることは国家の根幹を揺るがすので簡単にはできない。しかし、このままでは国家が保証すると約束したその人の自由がないがしろにされてしまう。

知的障害者に一人暮らしの選択肢を 18日、つくばで映画上映会

市民団体「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(=いばけんつ、事務局・水戸市)が18日、筑波大学春日エリア(つくば市春日)で映画『道草』(宍戸大裕監督作品、2018年)の上映会を開催する。重度知的障害者が介助者の支援を受けて、地域のアパートで一人暮らしをする様子を映したドキュメンタリー映画だ。同会共同代表の一人、生井祐介さん(45)は「知的障害者が生活する場は、入所施設やグループホームだけでなく、支援を受けながらの一人暮らしという選択肢もあることを、多くの人に知ってほしい」と話す。 知的障害者の一人暮らし 「重度訪問介護」は、重度障害者が長時間、人によっては24時間の介助を自宅で受けられる福祉サービス。従来、対象は重度の肢体不自由者に限定されていたが、2013年の障害者総合支援法施行で、重度の知的障害者や精神障害者にも広がった。映画には、重度訪問介護を利用し、一人暮らしをする重度知的障害者が登場する。 内閣府の2022年度版障害者白書によると、身体障害者における施設入所者は1.7%なのに対し、知的障害者においては12.1%と、施設入所の割合が高くなっている。昨年9月、日本政府は国連から「障害者の施設収容が継続され、地域で生活する権利が奪われている」と懸念され、「施設収容をなくすために、障害者の入所施設から、地域社会で自立して生活するための支援に予算を振り分けること」が勧告された。 全国各地の障害者団体などが国連の勧告を周知するために講演会を開催し、生井さんも何度か参加した。しかし、「一般参加者には内容が難しいのでは」と感じ、「幅広い人に、もっとわかりやすく伝える方法はないか」と考え、今回の上映会を企画した。「知的障害者も公的な介助サービスを利用し、一人暮らしができることはほとんど知られていない。その様子を映像として実際に見てもらうのが一番わかりやすいだろう」

装着型サイボーグのサイバーダイン 《日本一の湖のほとりにある街の話》8

【コラム・若田部哲】多くの研究所が立地する科学のまち、つくば。今回はその中でも最先端企業のひとつ、CYBERDYNE社(サイバーダイン)についてのご紹介です。同社が開発した世界初の革新的技術・製品について、広報の片見さんにお話を伺いました。 サイバーダインは筑波大学の山海嘉之教授により2004年に設立され、世界初の装着型サイボーグ「HAL」をはじめとする機器により、医療をはじめとして様々な社会課題の解決に取り組んでいます。 HALは、装着するだけで「サイボーグ化」する身体装着型の機器。その仕組みは、体を動かそうとするときに脳から発生するごく微弱な信号をセンサーで検出し、認識した動作に合わせてパワーユニットが作動、装着した人の意思に沿った動きをサポートするというものです。 ここまでは、すごいなあと思いつつ、なんとなくイメージしやすいところですが、さらにここからが驚きです! HALが脳からの信号を読み取りアシストした後、その「動いた」感覚は脳にフィードバックされ、それを繰り返すことにより、身体機能の改善・機能再生が図られるそうです。 つまり、弱って動かなくなってしまった身体機能が、HALのサポートで繰り返し動かすことにより回復し、再度動けるようになるとのこと。日本では、神経筋難病という従来は治療が困難とされていた疾患に対し、機能を維持・改善する効果が認められ、病院で治療できるようになっているそうです。 また海外では、脊髄損傷や脳卒中などの治療にも使われているとのこと。介護などの作業支援用や医療用など、様々なタイプのHALが製品化され、世界20カ国で約2500台が稼働中だそうです。

筑波懐古から始まるおカイコライブ 18日に農研機構冬の一般公開

農研機構(本部・つくば市観音台)の「冬の一般公開2023」は18日、昨秋に続きオンライン開催で行われる。「​光るシルクを生み出す家畜!? おカイコ」がテーマだが、最先端の研究現場をのぞく前に、ちょっと道草して古い縁起からひもとく趣向がある。ウィズコロナ時代のオンラインコミュニケーションに、少しだけ懐古趣味、地元回帰の要素を盛り込んだ。 今回の一般公開を担当するのは、生物機能利用研究部門の絹糸昆虫高度利用研究領域カイコ基盤技術開発グループ。笠嶋めぐみ上級研究員ら4人が進行役を務め、プログラムの冒頭は茨城県に伝わる養蚕伝承「金色姫」の話から始めるという。 同研究部門は、つくばに移転してきた1980年時点では蚕糸(さんし)試験場といい、88年の改組で蚕糸・昆虫機能研究所となり、2001年の独立行政法人化で農業生物資源研究所に改編されるまで「蚕糸研」と呼ばれた。絹を生み出すカイコの交配や生態解明を遺伝子レベルから研究してきた。 この経緯から、筑波山麓の同市神郡にある、養蚕をまつる蚕影(こかげ)神社を訪れる研究者が少なくなかった。所長を務めた木村滋さん(2022年死去)らだ。神社に伝わるのが「金色姫」の縁起で、天竺(インド)での受難劇、UFOを思わせるうつろ舟での漂着などの物語が作家や民俗学者らを引き寄せてきた。同様の伝承は県内の神栖市、日立市の神社にもある。 蚕影神社じたいは無住で荒廃久しいが、筑波山神社が春・秋に例祭を催しており、地域の女性たちが繭や真綿の手工芸品を作って奉納に訪れるなど、根強い信奉が見られる。 農研機構によれば、「養蚕の歴史が奈良時代からある茨城県で、新しいカイコ研究を行っている研究所というイントロダクションを用意した」そうで、御物法隆寺錦(正倉院御物)で聖徳太子の妃である膳妃(かしわでのきさき)の帯と伝わる蜀江錦の織物なども紹介するという。