火曜日, 10月 6, 2026
ホームつくば教員確保できず 募集条件緩和を検討 つくば市【不登校生徒の居場所 校内フリースクール】上

教員確保できず 募集条件緩和を検討 つくば市【不登校生徒の居場所 校内フリースクール】上

つくば市は、不登校の小中学生が学校内で自由に過ごす居場所「校内フリースクール」の整備を始めたが、配置する支援員が足りない状況にある。今年度は新たにスタートした22校のうち3校で専任の支援員が確保できていない。来年度は市内全校に校内フリースクールを設置する計画だが、教員不足がいわれる中、支援員を確保できるかが課題になっている。

同市は、2021年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、22年度に不登校支援のあり方について検討した。学校内の支援策の一つとして、全小中学校に校内フリースクールを整備し、不登校や教室に入れない児童生徒が安心して過ごせる居場所をつくる方針を決めた。

22年度に中学校1校に校内フリースクールを開設。今年度は、中学校16校につくり、全ての中学校17校に校内フリースクールを整備した。小学校は今年度、空き教室の活用ができ不登校児童が比較的多い6校に設置した。来年度は新設される1校を含め全32校に整備する目標を掲げている。

校内フリースクールには児童生徒の相談や学習支援を行う専任の支援員1人が常駐することになっている。ところが、小中学校合わせて22校の校内フリースクールのうち、支援員を配置できたのは19校で、小中3校は今も支援員が不在のままだ。

「数えきれない教員に応募呼び掛けた」

支援員はどのように募集が行われ、支援員のいない校内フリースクールはどう運営されているのか。市教育局学び推進課によると、支援員の公募は市のホームページ(HP)で2月に始まった。主な勤務条件は▽任期は24年3月31日までの1年間▽公立小・中学校に週4日または5日勤務▽時給1281円、通勤費支給▽教員免許保持者―。市教育相談センター所長で校内フリースクール担当の久松和則参事は「数え切れないほど多くの現役教員やOB教員に電話をかけて応援と応募を呼び掛けた」と話した。

HPで募集を開始すると、同課に問い合わせの電話が多くかかってきたが、募集22人に対し、実際の応募者数は20数人だった。書類審査及び面接で19人に絞られ、小中3校が未配置になった。着任した支援員は20代から60代で、結婚や子育てで教職から長期間離れていた女性が全体の4分の3を占める。

応募者が少なかったことについて同課は、民間フリースクールが知られるようになっているのに対し、県内では昨年4月、同市の中学校に設置した校内フリースクールを皮切りに導入の動きがあるものの認知度は低く、支援員の仕事について理解を得られなかったことが原因と考えられるとしている。

支援員のいない小中3校では、利用している児童生徒の担任教員が手の空いた時間に支援に入る。手が空かない時間は校長、教頭、学年主任らが入れ替わり支援に入り、学校全体で運営しているという。久松所長は「支援員不在での運営が、その学校に勤務する教員の負担になっているという話はない」とした。また、学校によっては不登校の対策会議を開くなど全教員が校内フリースクールへの理解を深め、協力態勢が整ってきていると言及した。

支援員を配置する意義については「校内フリースクールは不登校児童生徒たちの居場所づくりだが、場所をつくったら終わりではない。大事なのは常駐の支援員がいること。いつでも温かく迎えてくれる支援員がいることで安心できる居場所になって、学校に行きやすくなる」と久松さんは力を込めた。

任用期間で応募断念

同課は、支援員不足の状況を好転させたいと、次年度の公募要項の再検討に取りかかっている。「校内フリースクールを継続し、推進することが前提」とした上で、募集条件を緩和して人材の確保につなげたい考えだ。時給は条例で決まっていて、条例改正に時間を要することから変更はないとする。今年度と同じように不登校児童生徒を理解し、1人ひとりに寄り添って支援できる人を採用する。検討結果が出る時期は未定だが、来年1月中には市HPで広く応募を呼びかけるという。また、年度末もしくは次年度に不登校児童生徒や支援員に聞き取り調査を行い、校内フリースクールの1年間の成果と課題を検証するとしている。

子育てで教職から離れている40代の女性教員は「復帰して不登校の子どもたちをサポートしたいが、任用期間が1年間で毎年審査と面接を受けることになり、子どもたちに長く伴走するのは難しい」と応募を断念したそうだ。また、時給について「非常勤だから仕方ない」という声がある一方で「経験を積んだ教員に対して良識ある時給とは思えない」という別の教員OBの意見もある。

同市の校内フリースクールの総称はハートフル「Sルーム」と名付けられている。SはSafe(セーフ)、Select(セレクト)、Special(スペシャル)、Support(サポート)、Space(スペース)の頭文字から付けられた。特徴は▽教室復帰ではなく社会的自立を目指す▽時間割はなく自主的な過ごし方と学びができる▽Sルームに登校すればその日は出席扱いとなるなど。

同市の不登校児童生徒数は21年度末で592人。現在、校内フリースクールに通っているのは、不登校や登校しても教室に入れず校門でUターンしたり保健室で過ごしていた児童生徒のほか、発達障害をもっていたり、外国籍で日本語によるコミュニケーションが苦手な児童生徒など。学校規模によって利用する児童生徒数は違うが、夏休みなど長期の休み明けは不登校や登校を渋る子どもたちが増え、利用者が増えることが予想されるという。(橋立多美)

続く

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