月曜日, 4月 29, 2024
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つくばセンタービル -検索結果

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筑波大生の指導受け 子どもたちがアート体験

筑波大学で芸術を学ぶ大学生に教わりながら、子どもたちがさまざまなアート体験をする夏休みの恒例イベント「夏のキッズアート体験」が5日、つくば市吾妻、つくばセンタービル内のコワーキングスペースco-en(コーエン)で催され、子どもたちが、オリジナルうちわ作りや粘土のストラップ作りなどに挑戦した。 関彰商事と筑波大学芸術系が主催し、2016年から毎年夏と冬に開催している。子どもたちが会場に集まり、その場で作品を完成させるスタイルだが、2020年夏から22年夏まではコロナ禍により対面での開催を控え、大学生が小学生向けの自由研究作品を展示したりオンラインで紹介するなどしていた。昨年冬から対面での開催に戻った。 5日は午前と午後の入れ替え制で各20人ずつ計40人の小学生が参加し、大学生10人が直接子どもたちに作品の作り方を指導した。和紙に絵の具をたらして仕上げるオリジナルうちわ作り、粘土に好きな色の絵の具を混ぜて型抜きをするストラップ作り、金網と歯ブラシを使ったはがきのぼかし染め、鳥獣戯画の動物たちの色塗りーの4つのテーブルが用意され、子どもたちは20~30分で作品を仕上げていった。 つくばみらい市から参加した小学生の母親は「子どもたちはとても楽しんでおり、大変良い企画だと思う。専門的なことを学ぶ大学生から直接教えてもらって、美術に興味を持てるようになれば」と話していた。 関彰商事は茨城県の文化芸術振興を共に推進していく県近代美術館のパートナー企業となっている。会場には同美術館企業パートナー制度事務局の田口克弥次長が視察に訪れ、「つくば美術館での開催も提案している。関彰商事とうまく連携をとり、美術館が手伝うことがあれば今後も喜んでやっていきたい」と述べた。 9日は「夏休み宿題応援」と題し、筑波大学で書と芸術を学ぶ大学生が習字、絵画のアドバイスをする特別企画がつくば市二の宮のギャラリースタジオ‘Sで催される。予約受付は終了している。(榎田智司)

五十嵐市長はなぜ市民との責任ある議論を避けるのか【投稿・酒井泉】

議会の議決を経ずに高エネ研南用地を売却 五十嵐立青つくば市長は、2022年9月27日、高エネ研南用地(旧総合運動公園用地)46ヘクタールを外資系のグッドマンジャパンに一括売却しました。売却に先立って、パブリックコメントや市民説明会が行なわれ、市民からは様々な土地利用計画が提案されました。2021年6月に市議会特別委員会が出した提言書も一括売却には否定的であり、市民のための公共利用を優先する方針を提示していました。 また大穂地区の市民説明会では、五十嵐市長1期目の選挙公約の目玉「UR都市機構(国)への返還交渉」の具体的内容について問われましたが、それには答えず、「議会がOKすればそれが民主主義」と開き直っていました。 それにもかかわらず、2022年1月9日の市議会全員協議会で、市長は「(高エネ研南用地は)市土地開発公社の所有であり、市の所有ではないから、市議会の議決は不要」と言って、市議会の議論を経ることなく一括売却を強行したのです。これによってつくば市民が被る損失は以下の3点です。 陸上競技場?豊かな緑地?学園都市の未来? ▼市長も必要性を認めている陸上競技場は、誰もがその最適地と思っている高エネ研南用地ではなく、市の西端の上郷高校跡地に追いやられてしまったのです。 ▼市長が市民に約束した「公共利用」「緑豊かな街づくり」は、高エネ研南用地全体の1割程度の面積に防災倉庫を建設して、その屋上を緑化することで市民を欺こうとしています。市報に公表されている俯瞰(ふかん)図は、広角レンズの遠近強調効果により、まるで用地の半分が緑地であるかのように見えます。平面図は掲載されていません。 ▼これが一番重要な問題ですが、グッドマンへの一括売却によって、筑波研究学園都市の未来が閉ざされてしまいます。もう、新たな研究施設をつくる用地は研究学園都市の内部には無くなってしまいますから、研究学園都市の未来はありません。 市民説明会は時間切れで打ち切られましたが、市議会で十分な議論が行われていれば、これらの問題について、市長は市民が納得する説明を求められたはずです。市長が市議会での議論を避けたことは、市民説明会での「議会がOKすれば、それが民主主義」との発言にも矛盾します。市長の「公約無視」「市民無視」「議会無視」をつくば市民は容認してもよいのでしょうか? 議会裁決拒否の理屈は認められるのか? 五十嵐市長の市議会議決不要の理屈は「高エネ研南用地は、市の土地開発公社が買収した土地で、市の所有ではないのだから、売却について市議会で議論する必要はない」ということです。そして、2022年1月の市議会全員協議会で、一部良識派議員の強い異議申し立てがあったにもかかわらず、市長与党の多数派議員はこれを認めてしまったのです。 市土地開発公社は、公共用地の先行取得を目的につくられた組織であり、理事長は飯野副市長で、市長や部長が役員に連なり、その職員も市職員が兼務しており、給与も支払われていません。実質的に市と一体の組織ですから、この市長の理屈は明らかにおかしい。これが認められたら、市長や市職員が市民の税金を勝手に使うことが可能になります。しかも、議会の与党多数派がこれを認めてしまうのでは、市民は唖然(あぜん)とするばかりです。 地裁却下→高裁控訴、最高裁まで闘う この不条理を正すため、我々は2022年3月29日、住民監査請求を行ったものの、市の監査委員は市長の言い分を認め、我々の請求を却下しました。監査委員は市長が選任するので、これは予想されたことです。そこで我々は取り得る最後の手段として、司法の判断を求め、2022年5月20日、水戸地裁に住民訴訟を提訴しました。これは却下されましたが(2023年6月20日)、即、東京高裁に控訴しました。我々は高裁の判決によっては最高裁で闘うつもりです。 ▼住民訴訟の主旨:①市土地開発公社は、その実態がつくば市の行為であることが明白であるにもかかわらず、②形式的に土地所有者が公社であり、売主が公社であるとして、法の網の目をかい潜り、③地方公共団体の財務会計行為を、民主的なコントロールからすり抜けさせることで市民の目を欺き、市民に不利益な行為を行っている、④従って、グッドマンジャパンへの一括売却契約は無効である。 ▼水戸地裁の判決:公社は実質的にはつくば市であると見ることは相当ではない、として却下。 ▼高裁控訴の理由:①公社の行為実態が、まさにつくば市の行為であることが明白であるにもかかわらず、②非常に形式的に、実質的にはつくば市であると見ることは相当ではない、という理由で地裁は却下した、③地方公共団体の財務会計行為を、民主的コントロールからすり抜けさせることに手を貸すことは、法の番人たる司法府がその責務を放棄することである。 司法で問えるのは不条理の一部 我々は民主主義における司法の役割について諦めてはいません。五十嵐市長の不条理を正すため、司法の場での議論は今後も続けます。しかし、司法の場で問えるのは、市側の「市の土地開発公社は市とは別組織である」という形式論に対し、我々の「市の開発公社は市と事実上一体である」という現実論に限られます。 水戸地裁の判決は形式論を優先して、「(高エネ研南用地は)市の土地開発公社の土地だから、売却にあたって市長が市民(市議会)と議論しないことは合法である」としましたが、市長が市民・市議会と議論しても違法ではありません。違法どころか、市民・市議会と責任ある議論をすることで、問題のより良い解決策が望めるし、市長と市職員に対する市民の信頼度も上がる好循環が期待できるはずです。それにもかかわらず、なぜ違法性のリスクを冒してまで、市長は市民との責任ある議論を避けるのでしょうか? 司法の世界では形式論が優先される場合があったとしても、市民社会や政治の世界は現実論で動いています。市長が市民との議論を避ける不条理と、これがもたらす市民社会の損失については、市民の力(政治の力)の現実論で対抗することが重要です。 センタービル再開発でも議論回避 高エネ研南用地と同様のことは、つくばセンタービル再開発問題についても言えます。再開発に10億円を超える事業費を使うのに、市長はなぜ自分で決めた第三者委員会でその是非を議論しないのでしょうか? その理屈は「街づくり会社への市の6000万円の出資金は事業費とは別だから、(この分をマイナスすると)この事業は10億円を超えない」という形式論を用いた詭弁(きべん)です。 この詭弁に対しては、現実論では違法ではないか?という疑義が生じます。我々はこの点についても、住民監査請求を経て住民訴訟を行いました。しかし、高エネ研南用地判決と同じ日に出された地裁判決は、またしても形式論に堕した「街づくり会社への出資金はセンター地区の再開発の事業費とは別であり、第三者委の審議は不要」というものでした。 「第三者委の審議は不要」が合法であっても、第三者委で議論することは違法ではありません。第三者委での議論があれば、五十嵐市長と関係が深いと言われている人物らが街づくり会社に共同出資することで、センタービルの半分の面積を占有することの是非も議論され、市民が納得できる説明が求められたはずです。(元高エネルギー加速器研究機構准教授、元福井大学教授、つくば市在住)

23年度売上1.6倍増目指す まちづくり会社が決算報告 つくば市議会

つくば市議会つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会(塩田尚委員長)が20日開かれた。市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)が、2022年度3月期(22年4月-23年3月)決算と23年度の目標などについて報告した。23年度については、つくば駅周辺のロボット配送の運営などコンサルタント受託事業費が増えるなどから、22年度売上実績約8790万円の1.6倍の1億4000万円の売り上げを目指すとした。 設立2年目の22年度決算は、約8790万円の売り上げに対し約9775万円の経費(販売費及び一般管理費)がかかり約985万円の赤字(営業損失)となった。支払利息などの営業外損失を加えると当期損失は約2163万円(税引前)となり、これにより22年度末の負債残高は、社債などを含め約3億3226万円になった。 同社は第3セクターとして21年4月に設立された。市と民間企業3社による出資金1億2100万円のほか、社債を発行してファンド(投資信託)から3億1600万円の資金を調達して始動した。市が区分所有するつくばセンタービル1階を改修し、22年5月から「働く人を支援する場」として、貸しオフィスやコワーキングスペース(共同オフィス)、カフェなどがあるco-en(コーエン)を運営する。今年4月からは新たに市の指定管理者としてつくばセンター広場を管理、運営する。調達資金の元本の返済は24年度から始まる。 22年度決算は、co-en全体の売り上げが目標5637万円に対し81%の約4571万円で、経費などを差し引いた営業損益は、開業に伴う初期費用などから約1694万円の赤字となった。売り上げの内訳は、貸しオフィスが昨年8月に満床になり売り上げ目標3027万円に対し95%の約2900万円。23年度は2700万円の売り上げを目指す。コワーキングスペースは3月末の会員数が個人・法人合わせて39者(目標43者)で、売り上げ実績は目標2490万円に対し47%の約1171万円にとどまった。23年度は3000万円を目指す。カフェ(ビア&カフェエンギとシェアキッチン)からの収入は120万円の目標に対し4倍超の500万円、23年度の目標は120万円。23年度はco-en全体で前年度の1.27倍の5820万円の売り上げを目指す。 co-en以外の事業として、地下駐車場の売り上げが約1213万円、利益が約438万円、つくばエキスポセンター内のカフェからの収入が約80万円、ロボット配送などのコンサル受託費が2000万円超など計約4219万円の売り上げがあったとした。 23年度の売り上げ目標は、地下駐車場が1300万円強、エキスポセンターのカフェからの収入が200万円、ロボット配送の運営受託費などコンサル受託事業が5400万円のほか、つくばセンター広場の管理運営収入が市からの指定管理費と利用料金収入合わせて1000万円など、co-en以外の売り上げを22年度実績の1.9倍の8180万円にするとした。 議会特別委では、23年度の売上目標の内訳や、当初co-en内に計画されていた「子連れで働ける場」がいまだに開設されてない問題、つくばエキスポセンター内の「ほしまるカフェ」撤退後、今年4月オープンしたサンドイッチ専門店の業者選定の経緯、つくばセンタービル4階の吾妻交流センターをオフィスに改修する計画などについて議員から質問が出た。 吾妻交流センターについては、現在、市が改修工事を進めている市民活動拠点がつくばセンタービル南側に完成し吾妻交流センターが移転した後の来年6月以降に工事に着手する計画で、内山社長は、工事費用の約5000万円は、現在、手元にある現金及び預金3295万円と消費税の還付金約2500円でまかなえるとした。昨年6月の決算報告では改修費用をまかなうため増資を検討するとしていた(22年6月9日付)。 子連れで働ける場について内山社長は「(まちなかデザインの)持ち出しが出続ける事業は経営的に難しい。家賃は取れなくても自走していただける経営者を検討している」とし、吾妻交流センター跡の第2期工事の中で子育て支援拠点なども含め幅広く検討していくとした。吾妻交流センター跡は当初、貸しオフィスの増床が計画されていた。(鈴木宏子)

連休中にNEWSつくばの総会を開催 《吾妻カガミ》157

【コラム・坂本栄】本サイトの会員総会を5月7日に開き、昨年度の運営実績と今年度の計画を報告しました。要点は、①アクセス数(ページビュー)は2017年秋のスタート以来毎年順調に伸びている、②しかし記事の配信本数は当初目標の1日平均3本に達していない―です。そこで、今年度は何とか1日3本台に乗せ、読者の地域情報ニーズに応えていくことを再確認しました。 記者18人、コラムニスト25人 実質初年度の2018年度に比べると、2022年度のアクセス数は4倍、ユーザー数は6倍に増えました。この間の配信数は1日平均2.4~2.7本ですから、地域の行政やイベントなどの記事1本1本、幅広い分野のコラム1本1本へのアクセス数が増えたことになります。 5年半前、本サイト設立の記者会見の際、1日何本ぐらいの記事・コラムをアップするのかと質問され、私は「朝昼晩各1本、1日3本を目標にしたい」と答えました。選挙で言えば公約ですが、まだ2本台で推移している理由は2つあります。1つは、コロナ禍でイベント類が軒並み中止され、取材対象が激減したこと。もう1つは、本サイトは商業ベースでなく非営利(NPO)ベースで運営されていることもあり、記者活動がどうしても自主的になることです。 現在登録されている記者は18人、コラムニストは25人です。今年度は記者1人1人の活動範囲を広げるとともに、引き続き記者を募る方針です。地域のネットメディアに関心がある方は声をかけてください。 地域文化に必要な過去の記録 先月、本サイトの「週間ランキング」(直近1週間のアクセス数ベスト5表示コーナー)を見ていて驚きました。数日~1週前の記事やコラムでなく、「土浦一高副校長で着任インド出身のプラニクさん」(2022年4月19日掲載)がベスト5入りしていたからです。「320人に入学許可 プラニク新校長の土浦一高・付属中」(4月7日掲載)に触発され、1年前の記事へのアクセスが増えたようです。 このように、サーバーに格納されている記事をすぐ引き出せるのはネットメディアの強みです。「記事データベースで過去記事を見る」あるいは「月別アーカイブ」コーナーを使い、過去記事にアクセスしてみてください。 アーカイブと言えば、「若手社会学者 清水亮さんが紐解く 阿見・土浦『軍都』とその時代」(3月22日掲載)で紹介された「『軍都』を生きる 霞ヶ浦の生活史 1919-1968」(岩波書店)を読んで驚きました。この本を書くに当たり、清水さんは本サイトの前身「常陽新聞」の記事を読み込んでいたからです。土浦市立図書館に保存されている常陽の記事を丹念にチェック、「軍都」のイメージを膨らませたようです。 私たちはNPOの事業目的として、「ウェブサイトでの地域ニュース発信」「イベントやプロジェクトの展開」「地域放送局などとの連携」のほか、「『常陽新聞』記事のデータベース化」も掲げています。紙の記事をデジタル化するには相当の資金が必要ですが、常陽と本サイトの連続性を実現するために、そろそろアーカイブ事業も視野に入れたいと思います。 イベントやプロジェクトも展開 「イベントやプロジェクトの展開」と言えば、私たちは昨年度末、つくばセンタービルを設計した著名建築家、磯崎新氏の追悼討論会を実行委員会の中核となって開催しました。その様子は「磯崎新さんの思考をめぐる…追悼シンポジウム」(3月20日掲載)をご覧ください。今年度は土浦市に関係するイベント(講演会?)を検討しており、準備が整いましたら告知します。(NEWSつくば理事長、経済ジャーナリスト)

連休中にNEWSつくばの総会を開催 《吾妻カガミ》157

【コラム・坂本栄】本サイトの会員総会を5月7日に開き、昨年度の運営実績と今年度の計画を報告しました。要点は、①アクセス数(ページビュー)は2017年秋のスタート以来毎年順調に伸びている、②しかし記事の配信本数は当初目標の1日平均3本に達していない―です。そこで、今年度は何とか1日3本台に乗せ、読者の地域情報ニーズに応えていくことを再確認しました。 記者18人、コラムニスト25人 実質初年度の2018年度に比べると、2022年度のアクセス数は4倍、ユーザー数は6倍に増えました。この間の配信数は1日平均2.4~2.7本ですから、地域の行政やイベントなどの記事1本1本、幅広い分野のコラム1本1本へのアクセス数が増えたことになります。 5年半前、本サイト設立の記者会見の際、1日何本ぐらいの記事・コラムをアップするのかと質問され、私は「朝昼晩各1本、1日3本を目標にしたい」と答えました。選挙で言えば公約ですが、まだ2本台で推移している理由は2つあります。1つは、コロナ禍でイベント類が軒並み中止され、取材対象が激減したこと。もう1つは、本サイトは商業ベースでなく非営利(NPO)ベースで運営されていることもあり、記者活動がどうしても自主的になることです。 現在登録されている記者は18人、コラムニストは25人です。今年度は記者1人1人の活動範囲を広げるとともに、引き続き記者を募る方針です。地域のネットメディアに関心がある方は声をかけてください。 地域文化に必要な過去の記録 先月、本サイトの「週間ランキング」(直近1週間のアクセス数ベスト5表示コーナー)を見ていて驚きました。数日~1週前の記事やコラムでなく、「土浦一高副校長で着任インド出身のプラニクさん」(2022年4月19日掲載)がベスト5入りしていたからです。「320人に入学許可 プラニク新校長の土浦一高・付属中」(4月7日掲載)に触発され、1年前の記事へのアクセスが増えたようです。 このように、サーバーに格納されている記事をすぐ引き出せるのはネットメディアの強みです。「記事データベースで過去記事を見る」あるいは「月別アーカイブ」コーナーを使い、過去記事にアクセスしてみてください。 アーカイブと言えば、「若手社会学者 清水亮さんが紐解く 阿見・土浦『軍都』とその時代」(3月22日掲載)で紹介された「『軍都』を生きる 霞ヶ浦の生活史 1919-1968」(岩波書店)を読んで驚きました。この本を書くに当たり、清水さんは本サイトの前身「常陽新聞」の記事を読み込んでいたからです。土浦市立図書館に保存されている常陽の記事を丹念にチェック、「軍都」のイメージを膨らませたようです。 私たちはNPOの事業目的として、「ウェブサイトでの地域ニュース発信」「イベントやプロジェクトの展開」「地域放送局などとの連携」のほか、「『常陽新聞』記事のデータベース化」も掲げています。紙の記事をデジタル化するには相当の資金が必要ですが、常陽と本サイトの連続性を実現するために、そろそろアーカイブ事業も視野に入れたいと思います。 イベントやプロジェクトも展開 「イベントやプロジェクトの展開」と言えば、私たちは昨年度末、つくばセンタービルを設計した著名建築家、磯崎新氏の追悼討論会を実行委員会の中核となって開催しました。その様子は「磯崎新さんの思考をめぐる…追悼シンポジウム」(3月20日掲載)をご覧ください。今年度は土浦市に関係するイベント(講演会?)を検討しており、準備が整いましたら告知します。(NEWSつくば理事長、経済ジャーナリスト)

世界のつくばで子守唄の旅 《映画探偵団》63

【コラム・冠木新市】『木枯し紋次郎』は、マカロニウェスタンに刺激を受けた作家、笹沢左保が1971年に股旅(またたび)小説として発表。翌1972年、アメリカのニューシネマ調の股旅時代劇を構想中だった映画監督、市川崑によって映像化され、フジレビで放映が始まった。  峠道を三度笠(さんどがさ)姿の旅人が、画面奥から黙々とこちらに向かって歩いてくる。フォ一ク調の主題歌「だれかが風の中で」が流れ、旅暮らしの日々が短く挿入されるタイトルバック。それまでの股旅時代劇を一変する演出に、多くの視聴者がくぎ付けになった。 つくばセンタービルは間もなく40周年を迎える。ラテン語で新星を意味するノバホ一ルと、水の広場との関係が新生児(赤ちゃん)を象徴していると考え、『世界のつくばで子守唄/海のシルクロード・ツアー 2023』というコンサートを企画した。 ①インド②スリランカ③バングラディシュ④ミャンマー⑤タイ⑥マレーシア⑦シンガポール⑧ベトナム⑨中国⑩香港⑪台湾⑫日本(沖縄)⑬筑波(つくば筑波山麓)には、インドの金色姫が継母の迫害にあい、うつろ舟に乗り筑波に流れついて、養蚕を伝えた伝説が残されている。 金色姫の航海ルート、海のシルクロード地域の子守唄を現地の言葉で歌ったら、世界とつくばを結ぶのにふさわしい企画かと思えた。 外国人と一般市民との交流の場がない 140カ国、約1万人の外国人がつくばで暮らしている。多角的に活動している実行委員が集まれば、歌い手はすぐ見つかるだろうと思ったが、それが間違いだと気付かされた。世界のつくばだから、外国人と交流しているグループがあると思ったが、これもはずれだった。 結局、歌い手探しの旅が始まる。ツテをたどって実行委員と1人ずつ当たるしか方法はなかつた。 つくばの森にあるインターナショナルスクールの先生。下妻市の外国人支援組織の代表。日本に帰化したタイ人が経営するお店。筑波大学出身者を中心にしたスリランカ人が集うお正月まつり。野口雨情の歌を愛する中国人のカフェマスターなどなど。 そうした人たちとの出会いを重ねるうちに、つくば市には外国人と一般市民との交流の場がほとんどないことを知った。つくばに住んで30年。私はもっと交流があるものだと勝手に思いこんでいた。実行委員の1人は、外国人の「いっぱい知っているから紹介してあげるよ」との言葉から、何度もカレーを食べに行ったが、結果にはつながらなかった。 外国人に会いに出かけるときには、『木枯し紋次郎』の主題歌が思い起こされた。「どこかで だれかが きっと 待って いて くれる」「きっと おまえは 風の中で 待って いる」 初めは、紋次郎になった気分でいたが、今では、つくばに暮らす外国人が、金色姫であり、紋次郎だと思えるようになった。私は歌い手よりも、金色姫と紋次郎を探していたのかもしれない。歌い手はあと一地域残すのみとなった。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

世界のつくばで子守唄の旅 《映画探偵団》63

【コラム・冠木新市】『木枯し紋次郎』は、マカロニウェスタンに刺激を受けた作家、笹沢左保が1971年に股旅(またたび)小説として発表。翌1972年、アメリカのニューシネマ調の股旅時代劇を構想中だった映画監督、市川崑によって映像化され、フジレビで放映が始まった。 峠道を三度笠(さんどがさ)姿の旅人が、画面奥から黙々とこちらに向かって歩いてくる。フォ一ク調の主題歌「だれかが風の中で」が流れ、旅暮らしの日々が短く挿入されるタイトルバック。それまでの股旅時代劇を一変する演出に、多くの視聴者がくぎ付けになった。 つくばセンタービルは間もなく40周年を迎える。ラテン語で新星を意味するノバホ一ルと、水の広場との関係が新生児(赤ちゃん)を象徴していると考え、『世界のつくばで子守唄/海のシルクロード・ツアー 2023』というコンサートを企画した。 ①インド②スリランカ③バングラディシュ④ミャンマー⑤タイ⑥マレーシア⑦シンガポール⑧ベトナム⑨中国⑩香港⑪台湾⑫日本(沖縄)⑬筑波(つくば筑波山麓)には、インドの金色姫が継母の迫害にあい、うつろ舟に乗り筑波に流れついて、養蚕を伝えた伝説が残されている。 金色姫の航海ルート、海のシルクロード地域の子守唄を現地の言葉で歌ったら、世界とつくばを結ぶのにふさわしい企画かと思えた。 外国人と一般市民との交流の場がない 140カ国、約1万人の外国人がつくばで暮らしている。多角的に活動している実行委員が集まれば、歌い手はすぐ見つかるだろうと思ったが、それが間違いだと気付かされた。世界のつくばだから、外国人と交流しているグループがあると思ったが、これもはずれだった。 結局、歌い手探しの旅が始まる。ツテをたどって実行委員と1人ずつ当たるしか方法はなかつた。 つくばの森にあるインターナショナルスクールの先生。下妻市の外国人支援組織の代表。日本に帰化したタイ人が経営するお店。筑波大学出身者を中心にしたスリランカ人が集うお正月まつり。野口雨情の歌を愛する中国人のカフェマスターなどなど。 そうした人たちとの出会いを重ねるうちに、つくば市には外国人と一般市民との交流の場がほとんどないことを知った。つくばに住んで30年。私はもっと交流があるものだと勝手に思いこんでいた。実行委員の1人は、外国人の「いっぱい知っているから紹介してあげるよ」との言葉から、何度もカレーを食べに行ったが、結果にはつながらなかった。 外国人に会いに出かけるときには、『木枯し紋次郎』の主題歌が思い起こされた。「どこかで だれかが きっと 待って いて くれる」「きっと おまえは 風の中で 待って いる」 初めは、紋次郎になった気分でいたが、今では、つくばに暮らす外国人が、金色姫であり、紋次郎だと思えるようになった。私は歌い手よりも、金色姫と紋次郎を探していたのかもしれない。歌い手はあと一地域残すのみとなった。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

職員数55人増え2060人に つくば市人事異動’23

つくば市は17日、4月1日付人事異動と組織改編を発表した。異動総数は全体の17.5%の238人、3月末の定年退職者は54人、再任用を除く普通退職者は36人、新規採用は88人、再任用職員は148人で、職員総数は前年度より55人増えて2060人になる。市人事課によると人口増に伴う市役所業務の拡大により新規採用を増やしているためとしている。 女性管理職の割合は消防本部を除き、前年度より0.6%増えて25.9%。国や県との人事交流は、引き続き文科省出身者を政策イノベーション部長に配置し、国や県に6人の実務研修生を派遣する。 地区相談センター廃止し交流センターに拡充 組織改編は、市民部で、地域交流支援と地区相談業務を一体的に行うため地区相談課と文化芸術課地域交流支援係を統合し地域支援課を新設。旧町村ごとに地区相談業務を担当していた計6カ所の地区相談センターを3月末で廃止し、17カ所ある地域交流センター内に地区相談機能を置き拡充する、さらに市民活動課の名称を市民協働課とするほか、現在改修工事中のつくばセンタービル内に(仮称)市民センター開設に向けて市民協働課に市民センター準備室を新設する。ほかに、みどりの学校プールの建設と陸上競技場の設計が本格化することから、スポーツ施設整備室をスポーツ施設課に変更する。 市長公室は企画立案や総合調整のため事業推進相談監を置く。総務部は契約検査課に適正な工事の検査体制を確保するため工事検査室を新設する。政策イノベーション部はスーパーサイエンスシティの実現に向けた取り組みを一体的に進めるため科学技術振興課とスマートシティ戦略課を統合し科学技術戦略課とする。 保健部は、新型コロナの感染症法上の位置づけが5月8日から5類に移行する予定であることから、感染症対策室と新型コロナウイルスワクチン接種対策室を統合し新型コロナウイルス対策室とする。議会事務局は名称を議会局に改めるなど。 ◆4月1日付人事異動は以下の通り。カッコ内は現職。敬称略。 【部長級】▽市長公室長(財務部次長)斎藤健一▽総務部長(こども部長)塚本浩行▽財務部長(政策イノベーション部次長)大越勝之▽福祉部長(福祉部次長)根本祥代▽保健部長(総務部次長)杉山晃▽こども部長(福祉部長)安曽貞夫▽経済部長(市長公室長)片野博司▽生活環境部長(生活環境部次長)伊藤智治▽上下水道局長(上下水道局次長)中泉繁美▽消防長(消防本部消防次長)青木 孝徳 【次長級】▽市長公室事業推進相談監・広報戦略課参事(市長公室広報戦略課参事)酒井謙介▽総務部次長(総務部契約検査課長)山田正美▽政策イノベーション部次長(市民部次長)稲葉清隆▽財務部次長(会計管理者)飯島正志▽市民部次長・市民窓口課長(市民部市民窓口課長)中川 伸一▽市民部次長・統括地域支援監(市民部地区担当監・地区相談課長)大木茂樹▽福祉部次長(福祉部社会福祉課長・非課税世帯等給付金室長)相澤幸男▽経済部観光推進監(都市計画部市街地振興監)貝塚厚▽生活環境部次長(上下水道局水道工務課長)植木亨▽上下水道局次長(上下水道局下水道工務課長)渡辺高則▽会計管理者(会計事務局長)会田文則▽教育局次長(建設部次長)坂田博之▽選挙管理委員会事務局長・総務部主任参事(都市計画部総合交通政策課長)伊藤和浩▽農業委員会事務局長(都市計画部公有地利活用推進課長)鳴海秀秋▽消防本部消防次長(消防本部主任参事・中央消防署長)小島幸司▽消防本部消防次長(南消防署長)松岡幹夫▽消防本部主任参事・中央消防署長(消防本部消防総務課長)廣瀬好▽消防本部主任参事・北消防署長(北消防署長)太田義春▽消防本部主任参事・南消防署長(消防本部消防救助課長)鈴木浩 【課長級】▽総務部契約検査課長(総務部契約検査課長補佐)石田健一▽総務部契約検査課工事検査室長(建設部公共施設整備課長)鈴木彰嘉▽政策イノベーション部科学技術戦略課スマートシティ戦略監(政策イノベーション部スマートシティ戦略課長)中山秀之▽政策イノベーション部科学技術戦略課長(政策イノベーション部科学技術振興課長)前島吉亮▽財務部公共施設マネジメント推進室長(建設部営繕住宅課長)田中聖史▽市民部市民協働課長(保健部健康増進課感染症対策室長)美濃本玲子▽市民部市民センター準備室長・吾妻交流センター所長(市民部市民活動課長)荒澤浩俊▽市民部谷田部窓口センター所長(教育局健康教育課長補佐)株木文男▽市民部茎崎窓口センター所長(市民部谷田部交流センター所長・市民ホールやたべ館長)中山努▽市民部スポーツ振興課長(都市計画部都市計画課長)大久保正巳▽市民部スポーツ施設課長(市民部スポーツ振興課スポーツ施設整備室長)武笠健一▽市民部地域支援課長(教育局教育施設課長補佐)大口勝也▽市民部筑波交流センター地域支援監・所長・市民ホールつくばね館長(市民部副地区担当監・筑波地区担当・筑波相談センター駐在)御田寺義郎▽市民部大穂交流センター地域支援監・所長(市民部副地区担当監・桜地区担当・桜相談センター駐在)佐藤宏明▽市民部吉沼交流センター地域支援監・所長・吉沼出張所長(市民部副地区担当監・大穂地区担当・大穂相談センター駐在)木澤伸治▽市民部豊里交流センター地域支援監・所長・市民ホールとよさと館長(市民部副地区担当監・筑波地区担当・筑波相談センター駐在)安田正幸▽市民部豊里交流センター地域支援監・市民ホールとよさと事務取扱(都市計画部開発指導課長)川又通生▽市民部谷田部交流センター地域支援監・所長・市民ホールやたべ館長(市民部副地区担当監・茎崎地区担当・茎崎相談センター駐在)間中和美▽市民部桜交流センター地域支援監・所長・栄出張所長(市民部副地区担当監・豊里地区担当・豊里相談センター駐在)小神野真▽市民部茎崎交流センター地域支援監・所長・市民ホールくきざき館長(市民部副地区担当監・茎崎地区担当・茎崎相談センター駐在)木村宏▽福祉部社会福祉課長(福祉部社会福祉課長補佐・企画監)宇津野功▽福祉部地域包括支援課長(福祉部高齢福祉課長補佐)相澤幸子▽保健部健康増進課新型コロナウイルス対策室長(保健部健康増進課新型コロナウイルスワクチン接種対策室長)松浦智恵子▽保健部健康増進施設いきいきプラザ館長(福祉部地域包括支援課長)会田延男▽経済部土地改良課長(経済部土地改良課長補佐)森田幸一▽都市計画部都市計画課長(都市計画部公有地利活用推進課長補佐)中山正人▽都市計画部公有地利活用推進課長(市民部スポーツ推進課長)岡野渡▽都市計画部建築指導課長(都市計画課長補佐・企画監)中島隆志▽都市計画部開発指導課長(都市計画部開発指導課長補佐)川原智彦▽都市計画部総合交通政策課長(都市計画部総合交通政策課長補佐)細谷智英▽建設部道路計画課長(建設部道路計画課長補佐)大塚勝之▽建設部道路管理課長(建設部道路計画課長)入江一成▽建設部公共施設整備課長(建設部公共施設整備課長補佐)糸賀健二▽建設部公共施設整備課施設建築指導監(都市計画部建築指導課長)中泉弘行▽建設部住宅政策課長(財務部管財課公共施設マネジメント推進室長)吉田和行▽生活環境部つくばメモリアルホール斎場長(生活環境部環境保全課長補佐)冨田徹▽上下水道局上下水道業務課長(上下水道局上下水道業務課長補佐・係長)岡野正基▽上下水道局水道工務課長(上下水道局水道工務課長補佐)酒井一成▽上下水道局下水道工務課長(上下水道局下水道工務課長補佐)冨田英二▽会計事務局長(経済部土地改良課長)小川英男▽教育局教育総務課長(教育局教育総務課長補佐・企画監)山岡めぐみ▽教育局筑波学校給食センター所長(選挙管理委員会事務局副局長)渡辺寛明▽教育局茎崎学校給食センター所長(上下水道局水道工務課長補佐)直江正和▽選挙管理委員会事務局副局長(教育局教育総務課長)笹本昌伸▽オンブズマン事務局長(建設部道路管理課長)石塚一弘▽消防本部消防総務課長(消防本部消防総務課長補佐・企画監)品川豊▽消防本部消防救助課長(消防本部消防救助課長補佐)北沢直弘▽消防本部消防指令課長(消防本部消防救助課長補佐・特殊災害対策係長)久保田正美▽中央消防署参事・副署長(北消防署参事・筑波分署長)青木節 【退職】3月31日付▽総務部長 篠塚英司▽財務部長 中島弘志▽保健部長 小室伸一▽経済部長 野澤政章▽生活環境部長 谷内俊昭▽上下水道局長 坂入善晴▽消防長 木村勝平▽市民部地区担当監・茎崎相談センター所長 西村誠▽市民部地区担当監・豊里相談センター所長 野原浩司▽市民部地区担当監・桜相談センター所長 嶋崎道徳▽市民部地区担当監・筑波相談センター所長 吉原衛▽教育局次長 飯泉法男▽教育局学校教育審議監 根本智▽選挙管理委員会事務局長 窪庭隆▽農業委員会事務局長 吉原利夫▽防本部消防次長 五月女謙次▽消防本部主任参事・消防指令課長 山田和美▽市民部副地区担当監・谷田部地区担当 色川英雄▽市民部副地区担当監・大穂地区担当 栗山正行▽市民部谷田部窓口センター所長 垣内伸之▽市民部茎崎窓口センター所長 宮本孝雄▽上下水道局上下水道業務課長 本山雅之▽教育局筑波学校給食センター所長 杉山一彦▽教育局茎崎学校給食センター所長 石塚英樹▽中央消防署参事・副署長 細田義美

洞峰公園と「他人の顔」《映画探偵団》62

【コラム・冠木新市】白い包帯で顔をぐるぐる巻いた姿は、まるで透明人間のようだった。仕事中の事故で顔にやけどを負った主人公が、医師によって作られたプラスチック状の仮面を装着する。包帯の時と仮面を付けた時との主人公の心境変化と周囲の反応の違いを前衛的な手法で表現していく。 安部公房原作・勅使河原宏監督の「他人の顔」(1966)は、ゴシック(神秘的で幻想的な)ホラーとも近未来ものとも見える、何とも形容しがたい作品だった。 人間の体の模型やフラスコなどが飾られた、美術館や舞台セットを思わせる病室。顔を失い屈折した主人公を演じる仲代達矢。冗舌に解説する医師の平幹二郎。何か企んでいる風な瞳輝く看護婦の岸田今日子。3人の演技を見ていると、映画とも舞台ともTVともつかぬ、異空間に迷い込んだ錯覚にとらわれる。 そうそう、この作品の美術を担当したのは、後につくばセンタービルを設計する若き日の磯崎新である。 気になるグランピング反対派の沈黙 2月14日の「つくば市議会全員協議会」は記念すべき日になった。それまで、洞峰公園をめぐるやり取りは、大井川知事も五十嵐市長も議員もNHKも新聞も、「無償移管」の表現を用いていた。しかし、この日を境に「無償譲渡」となったからだ。「移管」は公園を県が所有し運営は市。「譲渡」は所有も運営も市となる。 私も含めて、このことを理解していた人はほとんどいなかったと言ってよい。洞峰公園にグランピング施設は必要ないと考えるシン・旧住民の私は、県から市への「無償譲渡亅はよかったと考える1人だ。 知事はグランピングに未練を残し「無償譲渡」を渋々決めた様子だった。しかし、つくば市区の県議は賛成なのか反対なのかはっきりしない。一方、市長は昨年からグランピング反対の狼煙(のろし)をあげ、主張を貫いた姿勢は評価できる。しかし、市議は賛成なのか反対なのかはっきりしない。 さらに気になるのは、グランピングに反対する署名活動をしたグループの沈黙である。当初の主張が実現したのはよいが、今後の公園運営にお金がかかるので、これでよかったのかどうか迷いが生じているのだろうか。 また、洞峰公園問題を他人事として見ていた周辺地域の人たちが、運営費用がかかるため「無償譲渡」に反対だと言い出しているというのだが、本当にそうかどうかは疑わしい。反対ならば、何らかの行動を起こすはずだからだ。 何はともあれ、洞峰公園問題を語る際には、ぐるぐる巻きの包帯と仮面をはずし、「他人の顔」から素顔をさらして意見表明すべきだろう。などなど、洞峰公園の野球場の青いべンチで考えた。サイコドン ハ トコヤン サノセ。(脚本家)

洞峰公園と「他人の顔」《映画探偵団》62

【コラム・冠木新市】白い包帯で顔をぐるぐる巻いた姿は、まるで透明人間のようだった。仕事中の事故で顔にやけどを負った主人公が、医師によって作られたプラスチック状の仮面を装着する。包帯の時と仮面を付けた時との主人公の心境変化と周囲の反応の違いを前衛的な手法で表現していく。 安部公房原作・勅使河原宏監督の「他人の顔」(1966)は、ゴシック(神秘的で幻想的な)ホラーとも近未来ものとも見える、何とも形容しがたい作品だった。 人間の体の模型やフラスコなどが飾られた、美術館や舞台セットを思わせる病室。顔を失い屈折した主人公を演じる仲代達矢。冗舌に解説する医師の平幹二郎。何か企んでいる風な瞳輝く看護婦の岸田今日子。3人の演技を見ていると、映画とも舞台ともTVともつかぬ、異空間に迷い込んだ錯覚にとらわれる。 そうそう、この作品の美術を担当したのは、後につくばセンタービルを設計する若き日の磯崎新である。 気になるグランピング反対派の沈黙 2月14日の「つくば市議会全員協議会」は記念すべき日になった。それまで、洞峰公園をめぐるやり取りは、大井川知事も五十嵐市長も議員もNHKも新聞も、「無償移管」の表現を用いていた。しかし、この日を境に「無償譲渡」となったからだ。「移管」は公園を県が所有し運営は市。「譲渡」は所有も運営も市となる。 私も含めて、このことを理解していた人はほとんどいなかったと言ってよい。洞峰公園にグランピング施設は必要ないと考えるシン・旧住民の私は、県から市への「無償譲渡亅はよかったと考える1人だ。 知事はグランピングに未練を残し「無償譲渡」を渋々決めた様子だった。しかし、つくば市区の県議は賛成なのか反対なのかはっきりしない。一方、市長は昨年からグランピング反対の狼煙(のろし)をあげ、主張を貫いた姿勢は評価できる。しかし、市議は賛成なのか反対なのかはっきりしない。 さらに気になるのは、グランピングに反対する署名活動をしたグループの沈黙である。当初の主張が実現したのはよいが、今後の公園運営にお金がかかるので、これでよかったのかどうか迷いが生じているのだろうか。 また、洞峰公園問題を他人事として見ていた周辺地域の人たちが、運営費用がかかるため「無償譲渡」に反対だと言い出しているというのだが、本当にそうかどうかは疑わしい。反対ならば、何らかの行動を起こすはずだからだ。 何はともあれ、洞峰公園問題を語る際には、ぐるぐる巻きの包帯と仮面をはずし、「他人の顔」から素顔をさらして意見表明すべきだろう。などなど、洞峰公園の野球場の青いべンチで考えた。サイコドン ハ トコヤン サノセ。(脚本家)

5年連続で過去最大を更新 つくば市23年度当初予算案

中根・金田台で小学校建設に着手 五十嵐立青つくば市長は3日、新年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比6.9%増の約1085億1000万円、特別会計などを含めた総額は同比5.1%増の約1705億1000万円で、5年連続で過去最大を更新する。14日開会予定の3月議会に提案され審議される。 児童生徒数の増加に伴い学校施設の建設が続いているのが増加の主な要因。▽新たに、住宅開発が進む中根・金田台地区で小学校建設に着手し2026年4月開校を目指して用地取得と設計などを実施する(約14億8000万円)。前年度からの継続事業としては、▽TXみどりの地区に24年4月開校予定のみどりの南小中学校建設費に約51億2000万円▽主にTX沿線の小中学校などが利用する24年度オープン予定のみどりの学校プール建設費に約17億円▽25年4月稼働開始予定の新桜学校給食センター(供給能力7000食)建設に約19億円を計上する。 高齢者に電動自転車や芸術鑑賞チケットを補助 高齢者を対象にした新規事業として、▽免許返納などによる代替移動手段の確保や介護予防、社会参加の促進のため、70歳以上の高齢者が電動アシスト自転車を購入する場合、2輪自転車は最大5万円、3輪や4輪自転車は最大12万円を新たに補助したり(予算総額約3700万円)、▽70歳以上の高齢者が市と市文化振興財団が共同主催する演劇や音楽などの文化芸術公演を鑑賞する場合、1回当たり1000円を助成したり(約200万円)、▽高齢者や障害者を自家用車で移送する福祉有償運送サービスを実施しているボランティア団体を支援するため、運転者に必要な講習会を市が新規に実施(66万円)などする。 交流センターを地域コミュニティ拠点に 市民に最も身近な施設である地域交流センターの機能拡充として、17館ある交流センターを地域コミュニティの拠点とすることを目指し、全交流センターに無料Wi-Fiを整備するほか、ソファやテーブルを置いて用事がなくても居場所としてだれでも利用できるようにしたり、全館で相談業務を行えるようにする(約2750円)。 ほかに、つくばセンタービル南側を改修し、市民活動拠点(約9760万円)や国際交流拠点(約5100万円)を整備したり、つくば駅前の商業施設BiViつくば2階のつくば総合インフォメーションセンター交流サロンを改修し今年12月の開設を目指して、住民票などの交付を受けることができる市民窓口を新たに開設などする(約2700万円)。 五十嵐市長は「新型コロナの影響でこれまで内向きになっていたが、新年度は市民の活動や地域の交流を後押しし、静から動への転換を図りたい」などと話した。 市税収入6.8%増 一方、歳入は、全体のほぼ半分を占める市税収入が、前年度当初と比べ6.8%増えると見込む。内訳は人口増により納税者がさらに増え、個人市民税が同比7.9%増、立地企業の収益の伸びが続き法人市民税が同28.2%増、新築の戸建て住宅や分譲マンションの建設が続き固定資産税が同2.9%増えると見込む。 当初予算により、市の借金である市債残高は総額で22年度末と比べ約71億円増え、23年度末は約1176億3000万円になるとみられている。市の貯金である基金残高は、全体で約4億6000万円積み立てる一方、約41億6000万円取り崩し、22年度末の約224億4000万円から23年度末は約187億4000万円に減る見込み。(鈴木宏子)

障害者との対話から社会変革へ つくばの理系女子、障害平等研修を開催

総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科(つくば市大穂)の修了生で、現在つくば市内の企業に勤める青木優美さん(29)が主催する「障害者と考える“障害”ー障害平等研修@つくば」が、来月1日、つくば駅前のつくばセンタービル(つくば市吾妻)で開催される。障害者が進行役(ファシリテーター)となり、参加者と対話しながら、共生社会をつくるためにどう行動するかを考える。 青木さんは、視覚言語である手話を使って、科学をイメージとして理解しやすくする実験教室など、障害のある学生が科学を学ぶハードルを低くする取り組みを計画している。まずは、どうすれば障害のある人とない人が共に暮らしやすい街になるのかを、障害当事者や地域住民と一緒に考えたいと、今回の研修を企画した。 健常者を前提にした社会を変えたい 3年前、青木さんは、つくばで研究する大学生・大学院生の交流を目的とした「つくば院生ネットワーク」のメンバーだった。聴覚障害の学生は学会発表をするために手話通訳を自分で手配する必要があるなど、他の学生なら必要のない苦労をしなければならないと知った。 そこで、2020年3月、最初から手話通訳や文字通訳がついている「みんなの学会」を企画した。その後も、聴覚や視覚に障害のある学生と関わり、「みんなが等しく学べる環境をつくりたい」と思っていたところ、障害平等研修=メモ=の存在を知った。「地域の人たちと一緒に、研修を受け、今後の活動につなげたい」と、今年1月「つくばインクルーシブプロジェクト」を立ち上げ、最初の企画として、障害平等研修を開催する。 寝たきりの障害者も病室から参加 同研修当日、会場で中心となって研修を進めるのは、自身も車椅子ユーザーである都内に住む石川明代さん(56)。障害平等研修を通して社会変革を目指し、国内外で多くの研修を実施している。その功績が認められ、昨年には、国連が掲げるSDGsの17の分野で著しい貢献をした個人や団体などを顕彰する「岩佐教育文化財団」(東京都豊島区)の第1回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞を個人で受賞。その賞金をもとに、現在、各地を回り、障害平等研修を実施している。 研修では、NPO法人「障害平等研修フォーラム」(東京都大田区)のファシリテーター養成講座を修了した寝たきりの障害者も、全国各地の病室などから分身ロボット「オリヒメ」(オリィ研究所開発)を通して参加する。「今後、寝たきりの障害者もファシリテーターとして活躍できるようにしたい」と石川さんは話す。 研修を主催する青木さんは「障害のない自分が普段、不便を感じずに生活できているのは、この社会が障害のない人を前提につくられているから。このことに気づかないと、誰かを傷つけてしまう可能性もある。障害のある人もない人も住みやすい社会に変えるために、お互いを知るきっかけになれば」と話す。(川端舞) ◆「障害者と考える“障害”―障害平等研@つくば」は2月1日(水)午前9時~正午、つくばセンタービル1階co-en(コーエン)で開催。参加費は一般1000円、学生500円。申し込みは当日まで可能。申し込みはhttps://tsukuba-det.peatix.com/から。 ※メモ【障害平等研修】障害者自身がファシリテーターとなり、障害者を排除しない組織づくりを考える研修。英国で障害者差別禁止法を推進するための研修として実施され、現在、世界39カ国で実施されている。日本では、障害平等研修フォーラムがファシリテーターを養成し、ユニバーサルデザインの社会づくりに向け、企業や自治体などで展開されている。オリンピック・パラリンピック東京2020大会ではボランティアの事前研修に取り入れられた。

世界の笑いものになっていた? つくば市政《吾妻カガミ》149

【コラム・坂本栄】つくばセンタービルを設計した建築家・磯崎新氏が昨年末に亡くなりました。センター地区のホテル+音楽会堂+その間のビル+広場をセットで設計した著名人です。追悼文が全国紙に掲載され、代表作としてセンタービルが挙げられていました。もし、市が広場に2基のエスカレーターを設置、磯崎作品に「2筋の大傷」を付けていたら、つくば市は「世界から笑われるまち」になっていたでしょう。 磯崎建築の意匠を損ねる改修 磯崎氏設計の3建築と広場で構成されるセンタービルを改修する計画は、▽1階広場を覆う屋根を取り付ける、▽1階広場と2階広場を結ぶエスカレーターを2基設置する、▽センタービル内部を改装する―などがありました。 これに対し、磯崎氏のポストモダン建築の代表作であるセンタービルの中央広場をいじり、デザイン(意匠)を損ねるのはおかしいと、市の計画に反対する市民団体が組織され、市や議会に撤回を求める運動を起こしました。また、本サイトのコラムニスト・冠木新市さんも、映画の蘊蓄(うんちく)を傾け、市の計画を批判しました。 市民運動やつくば市・議会の対応を、本サイトが逐一報道。私も本コラムで、改修は名建築を傷付けるだけでなく、エスカレーターは機能面からも「いらない」と指摘。他メディアも強い関心を示したこともあり、市はエスカレーター設置を取り止めました(屋根は計画段階で取り下げ)。その経緯や市民運動の記事と関連コラムは、下記にリンクを張っておきました。 全国紙が本サイト報道を紹介 磯崎建築の価値については、同氏と親交があった批評家・浅田彰氏が朝日新聞(2023年1月5日朝刊)文化欄で、「この建築家=芸術家は83年には世界的にポストモダン建築のパラダイムとされるつくばセンタービルを生み出すことになる。その後の世界を股にかけての活躍は誰もが知る通りだ」と書いています。 また、NEWSつくばのセンタービル問題報道については、毎日新聞の青島顕記者が同紙(2022年12月26日朝刊)オピニオン・メディア欄で、「つくば市中心部の広場へのエスカレーター設置計画に対して、市民から『デザインの価値を損ねる』などと異議が出たことを報じ続けて、市に計画を撤回させるなど…」と紹介、本サイトの行政監視姿勢を取り上げてくれました。 もし、本サイトの記事とコラムがなかったならば、建築史に残るセンター広場には屋根(デザインを隠す構造物)が架けられ、エスカレーター(デザインを壊す構造物)が設置されていたでしょう。そして、名建築を毀損(きそん)したことで、つくば市の文化レベルが世界に知られ、市民は恥ずかしい思いをしたでしょう。(経済ジャーナリスト) <参考> ▽センタービル問題の経緯がわかる主な記事 「…センタービル改修計画 屋根は取り止め」(2020年12月4日掲載) 「エスカレーター設置をめぐり論戦…市議会」(2021年4月27日掲載) 「エスカレーター取り止め…計画大幅見直し」(2021年12月17日掲載) ▽改修に反対する市民運動を扱った主な記事 「エスカレーター設置見直しを…市民らが要望」(2021年6月1日掲載) 「『…広場の形状維持を』 市民団体が再要望」(2021年9月3日掲載) 「…保存すべき価値示す 市民団体が報告書…」(2021年10月1日掲載) ▽冠木さんの主なセンタービル関連コラム 「…センタービルで『ダイ・ハード』」(2021年7月9日掲載) 「『たたり』と『科学都市』」(2021年8月12日掲載) ▽本欄筆者の主なセンタービル関連コラム 「つくば市議の施設観と文化センス」(2021年7月5日掲載)

世界の笑いものになっていた? つくば市政《吾妻カガミ》149

【コラム・坂本栄】つくばセンタービルを設計した建築家・磯崎新氏が昨年末に亡くなりました。センター地区のホテル+音楽会堂+その間のビル+広場をセットで設計した著名人です。追悼文が全国紙に掲載され、代表作としてセンタービルが挙げられていました。もし、市が広場に2基のエスカレーターを設置、磯崎作品に「2筋の大傷」を付けていたら、つくば市は「世界から笑われるまち」になっていたでしょう。 磯崎建築の意匠を損ねる改修 磯崎氏設計の3建築と広場で構成されるセンタービルを改修する計画は、▽1階広場を覆う屋根を取り付ける、▽1階広場と2階広場を結ぶエスカレーターを2基設置する、▽センタービル内部を改装する―などがありました。 これに対し、磯崎氏のポストモダン建築の代表作であるセンタービルの中央広場をいじり、デザイン(意匠)を損ねるのはおかしいと、市の計画に反対する市民団体が組織され、市や議会に撤回を求める運動を起こしました。また、本サイトのコラムニスト・冠木新市さんも、映画の蘊蓄(うんちく)を傾け、市の計画を批判しました。 市民運動やつくば市・議会の対応を、本サイトが逐一報道。私も本コラムで、改修は名建築を傷付けるだけでなく、エスカレーターは機能面からも「いらない」と指摘。他メディアも強い関心を示したこともあり、市はエスカレーター設置を取り止めました(屋根は計画段階で取り下げ)。その経緯や市民運動の記事と関連コラムは、下記にリンクを張っておきました。 全国紙が本サイト報道を紹介 磯崎建築の価値については、同氏と親交があった批評家・浅田彰氏が朝日新聞(2023年1月5日朝刊)文化欄で、「この建築家=芸術家は83年には世界的にポストモダン建築のパラダイムとされるつくばセンタービルを生み出すことになる。その後の世界を股にかけての活躍は誰もが知る通りだ」と書いています。 また、NEWSつくばのセンタービル問題報道については、毎日新聞の青島顕記者が同紙(2022年12月26日朝刊)オピニオン・メディア欄で、「つくば市中心部の広場へのエスカレーター設置計画に対して、市民から『デザインの価値を損ねる』などと異議が出たことを報じ続けて、市に計画を撤回させるなど…」と紹介、本サイトの行政監視姿勢を取り上げてくれました。 もし、本サイトの記事とコラムがなかったならば、建築史に残るセンター広場には屋根(デザインを隠す構造物)が架けられ、エスカレーター(デザインを壊す構造物)が設置されていたでしょう。そして、名建築を毀損(きそん)したことで、つくば市の文化レベルが世界に知られ、市民は恥ずかしい思いをしたでしょう。(経済ジャーナリスト) <参考> ▽センタービル問題の経緯がわかる主な記事 「…センタービル改修計画 屋根は取り止め」(2020年12月4日掲載) 「エスカレーター設置をめぐり論戦…市議会」(2021年4月27日掲載) 「エスカレーター取り止め…計画大幅見直し」(2021年12月17日掲載) ▽改修に反対する市民運動を扱った主な記事 「エスカレーター設置見直しを…市民らが要望」(2021年6月1日掲載) 「『…広場の形状維持を』 市民団体が再要望」(2021年9月3日掲載) 「…保存すべき価値示す 市民団体が報告書…」(2021年10月1日掲載) ▽冠木さんの主なセンタービル関連コラム 「…センタービルで『ダイ・ハード』」(2021年7月9日掲載) 「『たたり』と『科学都市』」(2021年8月12日掲載) ▽本欄筆者の主なセンタービル関連コラム 「つくば市議の施設観と文化センス」(2021年7月5日掲載)

自動配送ロボットが毎日走行 全国初、19日からつくば駅周辺

無人運転の自動配送ロボット2台が19日から、TXつくば駅周辺のペデストリアンデッキ(歩行者専用道路)を毎日走行し、小売店や飲食店の商品を配達する。同駅周辺で今年5~7月に計10日間、配送サービスを実施した(5月26日付)楽天グループが取り組む。楽天によると、期間を限定せず定常的に配送サービスを実施するのはつくば市が全国で初めて。 楽天グループ、コマースカンパニーの牛嶋裕之シニアマネジャーによると、つくば駅周辺は人口が集中し今後も増えると見込まれること、安全に通行できる歩行者専用のペデストリアンデッキが整備されているこ、自動配送サービスを受け入れる住民意識があること、などを実施の理由にあげる。「5~7月に実施した際『スーパーシティーにふさわしい』『ぜひつくばでやってほしい』などの声をいただいた。新しいサービスを受け入れる環境はつくばがピカイチではないか」 宅配サービスの担い手が不足する中、来年4月から道路交通法が改正され、無人運転ロボットによる配送サービスが全国で加速すると見込まれるのを見据えた運行になる。採算性をにらんだ本格営業は来年4月以降になるという。5~7月実施の利用件数や事業費などは非公表としている。 受け取り場所増やし夜間や雨天時も 19日からの今回は、5~7月と比べ、利用者、配送区域、時間帯を拡大し、夜間や雨天時も配送できるようにする。配送料は5~7月と同じ1回110円。 今回は区域住民でなくても、スマートフォンの楽天専用サイトから注文すれば、区域内のオフィスや広場、公園などでだれでも商品を受け取ることができるようにする。 配送区域も広げ、駅周辺の吾妻と竹園の約1000世帯から約2500世帯に広げる。マンションや一戸建て住宅前での受け取りだけでなく、オフィスや広場、公園でも受け取れるようにするため、受け取り場所は33カ所から63カ所に増える。1回当たりの最長走行距離も1キロから1.4キロに拡大する。 店舗数も増やす。5月は西友つくば竹園店の商品だけだったが、新たにスターバックスコーヒーのトナリエキュートつくば店でコーヒーやフードが注文できる。今後は駅周辺のほかの小売店や飲食店に参加を呼び掛け、配送できる商品を増やしたいとする。 配達時間は西友が午前11時~午後9時、スターバックスは午前9時~午後7時、いずれも1日11便配送する。西友は注文後40~60分、スターバックスは30~45分で指定の場所に届ける。西友は当日配送のほか6日後まで配達時間の指定ができる。スターバックスは当日のみ。 運行する機体は、米国で自動配送の実績があるカートケン社が開発し、三菱電機が調整した赤色の機体2台を使用する。高さ93センチ、積載容量114リットルの機体は西友の商品、高さ59センチ、容量24リットルの機体はスターバックスの商品を配送する。歩く速さより少し早い時速5~6キロで走行する。 つくば駅周辺の地図データをもとにカメラやセンサーで安全を確認しながら走行し、さらに遠隔操作で安全を確保する。今回も保安監視員として、つくばまちなかデザインのスタッフが同行し、安全を確認する。 改正道交法が施行される来年4月以降は保安監視員は同行せず、自動運転と遠隔操作のみとする計画だ。安全対策として自動配送サービスを手掛ける業界26社でつくるロボットデリバリー協会が現在、安全基準とガイドラインを策定中で、安全基準の認証を受けた機体が運行することになるという。 スタバコーヒーも 19日からの運行開始に先立って18日、つくば駅周辺でデモンストレーションが実施された。 機体は歩く速さより少し早い速さでペデストリアンデッキを軽快に走行。途中、人影が前を横切ると停止するなどした。 トナリエキュートのスターバックスコーヒーからコーヒーを注文し、つくばセンタービル2階ペデストリアンデッキのつくば献血ルーム前で商品を受け取ったつくば市の会社員、茂田あゆみさん(36)は「1階のコワーキングスペースで仕事をしていて、コーヒーを注文した。買いに行かなくてもすぐに届けてもらえるので便利」と話し、西友で生鮮食品と冷蔵品、日用品を注文し自宅マンション前で受け取ったパートの藤沢直子さん(45)は「前回(5~7月)5回利用した。買い忘れたものを思い出した時に注文でき、仕事と仕事の合い間、自宅に戻ってきた時に受け取れるので便利」などと話していた。

つくば市長に「NO」を突きつける 元研究者の酒井さん【キーパーソン】

五十嵐つくば市長の施策や行状はおかしいと、水戸地裁に3件の住民訴訟を起こしている酒井泉さん。この市長では研究学園都市がダメになると、今度は市長解任(リコール)の署名活動に踏み切った。「理系の頭脳」で物事を整理して考える酒井さんに、五十嵐市長のどこが問題なのか話してもらった。 市にはもうまとまった土地がない 3つの住民訴訟は、①つくばセンタービル改修は10億円超の大型事業であるのに必要な行政手続きを怠った(2021年8月) ②市長1期目の「22円退職金」は市の財政に624万円の損失を与えた(2022年1月) ③運動公園用地の民間売却は議会の議決を得ておらず違法である(2022年5月)―といった内容。①と③は市の施策の問題、②は市長の行状の問題といえる。 これら住民訴訟は「月1回ぐらい(裁判官と原告・被告弁護士の間で)書面によるやり取りをしている。判決が出るまで通常は2年ぐらいかかる。したがって(五十嵐市長2期目の任期が切れる)2024年秋までには、各裁判の勝ち敗けがわかる」。五十嵐市政2期目の後半は、これら「時限爆弾」が破裂するか、それとも不発に終わるか、目を凝らす必要がありそうだ。 リコール署名活動(7月11日~8月10日)開始前に配られたチラシでは、市長解任の理由を列挙しているが、住民訴訟③の運動公園用地売却に対する「怒り」に多くのスペースが割かれている。これは研究学園都市への「想い」の裏返しか。 「運動公園用地を売ってしまうと、もう、つくば市にはまとまった土地はない。新たなプロジェクトを企画することは不可能になる」「それは学園都市の発展の可能性がなくなることを意味する」「運動公園用地は公共用でなくなり市民が使えなくなる」「何よりも学術系区域が物流基地になり学園都市の品格が失われる」 情報統制、政治宣伝、大衆迎合 酒井さんは、五十嵐市政の施策や市長の行状だけでなく、その手法も問題だという。現市政を念頭に「民主主義を壊すのは、インフォメーション・コントロール(情報統制)、プロパガンダ(政治宣伝)、ポピュリズム(大衆迎合)の3つだ」と述べ、情報統制の例として、元市議が発行した市政チェック紙を名誉毀損で訴えたことを挙げた。そして「これは市政批判に対する計算された弾圧だ」と。 プロパガンダの例については「『広報つくば』や『かわら版』には、市に都合の悪いことは書かず、施策について一方的に宣伝を行い、言い訳と自己正当化を繰り広げている」と指摘。ポピュリズムの例としては「市長選で市民の受けを狙った」退職金辞退(結果は22円)を挙げた。 面白いのは、今夏に五十嵐市長を解任に追い込み、秋口の市長選に持ち込むことで、「市長と市議の同時選挙」を分離したいと主張している点。「つくば市では市長と市議の同時選挙という変則的な市政選挙が続いている。これだと市長と市議の一体化が進み、市長の力が強化される。また、市民には選挙で市政に参加する機会が4年に1度しかない。この際、この欠陥を直したい」。ついでに選挙改革もやりたいようだ。 【さかい・いずみ】土浦一高、東北大工学部各卒。日立電線(現日立金属)研究員、高エネルギー加速器研究機構准教授を経て、2003~13年福井大教授(加速器工学)。工学博士(東北大)。2020年秋の市長選に出馬するも落選。現在「桜中部まちづくり協議会」副会長。1948年桜村(現つくば市)生まれ。実家に在住。 【インタビュー後記】実は運動公園用地が110億円で売却されたことがQ&Aの中心に。私も学園都市の土地バブルに注目していたのでこの議論は有益だった。最低売却価格68.5億円の用地が+40億円で売れたことは土地バブルの証左。インフレはこれから本番だから110億円の土地はもっと値上がりしそう。得するのは外資系倉庫会社、損するのは土地を手放したつくば市?(経済ジャーナリスト・坂本栄)

「3つの公園」問題と流れ者 《映画探偵団》56

【コラム・冠木新市】今、つくば市に「3つの公園」問題が起きている。1つめは「洞峰公園」のリニューアル問題をめぐる、大井川県知事と五十嵐市長の対立。 市民団体が結成され、県に協議会設置を求める署名用紙が区会を通じ私の所に送られて来た。明確に反対を主張していないので、パスした。 2つめは「高エネ研跡地をめぐる運動公園」問題。7年前に反対署名してから推移を見守ってきたが、市は迷走を続け、大多数の市民が一括売却反対なのに、市議会は賛否を問うことなく、民間企業に売却を進めようとしている。 3つめはセンタービル内の施設「co-en」問題。比較は不幸の始まりとは知りながらも、「誰でも通れる通路」を歩くと、旧アイアイモールの広くて頑丈な作りを思い返してしまう。通路は大学の廊下みたいな印象で、「会議室」や「コワーキングスペース」が教室に見える。 また、「カフェ」は大学食堂の趣で、若い人や若者気分の大人たちには心地よい空間だろう。通路両脇に波打つ「小上り」だが、以前のベンチのように気楽には座れない。人を会場内に寄せつけない仕掛けなのかもしれない。 大問題なのは、ビル内から広場への出入口が閉じられ、特別会員やイベント関係者しか利用できなくなってしまったことだ。普通の市民の出入口はカフェ側にあるが、お客の間を通るので気兼ねする。 昨年、「つくばセンター研究会」でデータを取ったが、ここが一番人の動きの多い出入口であった。「誰でも通れる出入口」に戻すべきである。 通路からホテルへは一直線につながり、ロビーにモンローチェア2脚が飾られ、説明文と手を触れないでくださいとのプレートが置かれていた。 『つくばセンタービル謎解きツアー』で「そのうち座れなくなりますよ」と予言したが、ようやく文化財として認知されたようだ。五十嵐市長の「意匠を大事に」との口癖の効果が表れた。すごい実績である。できれば、子どもたちの遊び場で、長い間放ったらかしになっている水景の、外れた石段を直してもらいたいものだ。 渡哲也主演の『東京流れ者』 そんなこんなで通路を通るうちに、ここは映画スタジオのセットではないかと思えてきた。 1960年代に、よく分からない映画を作ると言われた鈴木清順監督が日活からクビになった。今では世界的に評価を受けているが、当時はセット美術の木村威夫とコンビを組み、次々に奇妙な野心作を作り、大学生に熱狂的に支持された。私は清順作品の中でも『東京流れ者』(1966)が好きで、繰り返し見た。 やくざから堅気になった倉田が所有する倉田ビルを奪おうと、大塚組が謀略をめぐらし、倉田組の不死鳥の哲(渡哲也)を痛めつけ、反応をうかがう。 義理人情を重んじる不死鳥の哲は倉田を信じ我慢するが、大塚組の罠(わな)にハマった倉田は「哲を殺れ」と指示を出す。裏切られた哲が倉田の運営するクラブ「アルル」に乗り込み、白い壁際沿いの狭い通路やってくる。哲は、寝返った倉田に「それが親分という者の正体だったのか、サカヅキは返すぜ!」と絶縁宣言する。 こう書くと、ただのやくざ映画にしか思えないだろうが、奇妙なカット割り演出と赤や黄色の照明で安っぽいセットを面白く見せ、ポップな仕上がりなのである。 中でも、クラブの壁際沿いの通路が「co-en」の感じと似ている。『東京流れ者』に夢中になった当時の大学生は、現在80代だ。「co-en」をどう見るだろうか。いや、東京からつくばに流れて来た新住民は、「3つの公園」問題に何を感じるのか。 今、つくば市民は「3つの公園」問題に巻き込まれている。問題の根は深く、「筑波研究学園都市」が誕生して以来、つくば市は史上最大の岐路に立っている。不死鳥の哲が、つくばに流れて来る日も近い。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

「3つの公園」問題と流れ者 《映画探偵団》56

【コラム・冠木新市】今、つくば市に「3つの公園」問題が起きている。1つめは「洞峰公園」のリニューアル問題をめぐる、大井川県知事と五十嵐市長の対立。 市民団体が結成され、県に協議会設置を求める署名用紙が区会を通じ私の所に送られて来た。明確に反対を主張していないので、パスした。 2つめは「高エネ研跡地をめぐる運動公園」問題。7年前に反対署名してから推移を見守ってきたが、市は迷走を続け、大多数の市民が一括売却反対なのに、市議会は賛否を問うことなく、民間企業に売却を進めようとしている。 3つめはセンタービル内の施設「co-en」問題。比較は不幸の始まりとは知りながらも、「誰でも通れる通路」を歩くと、旧アイアイモールの広くて頑丈な作りを思い返してしまう。通路は大学の廊下みたいな印象で、「会議室」や「コワーキングスペース」が教室に見える。 また、「カフェ」は大学食堂の趣で、若い人や若者気分の大人たちには心地よい空間だろう。通路両脇に波打つ「小上り」だが、以前のベンチのように気楽には座れない。人を会場内に寄せつけない仕掛けなのかもしれない。 大問題なのは、ビル内から広場への出入口が閉じられ、特別会員やイベント関係者しか利用できなくなってしまったことだ。普通の市民の出入口はカフェ側にあるが、お客の間を通るので気兼ねする。 昨年、「つくばセンター研究会」でデータを取ったが、ここが一番人の動きの多い出入口であった。「誰でも通れる出入口」に戻すべきである。 通路からホテルへは一直線につながり、ロビーにモンローチェア2脚が飾られ、説明文と手を触れないでくださいとのプレートが置かれていた。 『つくばセンタービル謎解きツアー』で「そのうち座れなくなりますよ」と予言したが、ようやく文化財として認知されたようだ。五十嵐市長の「意匠を大事に」との口癖の効果が表れた。すごい実績である。できれば、子どもたちの遊び場で、長い間放ったらかしになっている水景の、外れた石段を直してもらいたいものだ。 渡哲也主演の『東京流れ者』 そんなこんなで通路を通るうちに、ここは映画スタジオのセットではないかと思えてきた。 1960年代に、よく分からない映画を作ると言われた鈴木清順監督が日活からクビになった。今では世界的に評価を受けているが、当時はセット美術の木村威夫とコンビを組み、次々に奇妙な野心作を作り、大学生に熱狂的に支持された。私は清順作品の中でも『東京流れ者』(1966)が好きで、繰り返し見た。 やくざから堅気になった倉田が所有する倉田ビルを奪おうと、大塚組が謀略をめぐらし、倉田組の不死鳥の哲(渡哲也)を痛めつけ、反応をうかがう。 義理人情を重んじる不死鳥の哲は倉田を信じ我慢するが、大塚組の罠(わな)にハマった倉田は「哲を殺れ」と指示を出す。裏切られた哲が倉田の運営するクラブ「アルル」に乗り込み、白い壁際沿いの狭い通路やってくる。哲は、寝返った倉田に「それが親分という者の正体だったのか、サカヅキは返すぜ!」と絶縁宣言する。 こう書くと、ただのやくざ映画にしか思えないだろうが、奇妙なカット割り演出と赤や黄色の照明で安っぽいセットを面白く見せ、ポップな仕上がりなのである。 中でも、クラブの壁際沿いの通路が「co-en」の感じと似ている。『東京流れ者』に夢中になった当時の大学生は、現在80代だ。「co-en」をどう見るだろうか。いや、東京からつくばに流れて来た新住民は、「3つの公園」問題に何を感じるのか。 今、つくば市民は「3つの公園」問題に巻き込まれている。問題の根は深く、「筑波研究学園都市」が誕生して以来、つくば市は史上最大の岐路に立っている。不死鳥の哲が、つくばに流れて来る日も近い。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

工事費増額、増資を検討 つくばまちなかデザイン

市議会に決算報告 つくば市議会中心市街地まちづくり調査特別委員会(ヘイズ・ジョン委員長)が6月議会開会日の9日開かれた。市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」の内山博文社長が、2022年3月期(21年4月-22年3月)決算と今後の見通しについて報告した。 つくばセンタービル1階東側と4階吾妻交流センターを改修して貸しオフィスなどにする改修事業費について、昨年12月時点では約4億7700万円としていたが、1階の改修の際、想定していない構造体等があったこと、設備改修に想定より費用を要したことなどから、家具や備品費などを圧縮しても事業費が約3000万円増え、約5億700万円になるとする見通しを示した。 今後さらに、4階の吾妻交流センターをオフィスにする改修工事などを予定していることなどから、増資を検討するとした。 「順調」 4月にオープンした貸しオフィス7区画については、現在3社が4区画に入居することが決まっているとした。残り3区画は3社と契約手続き中で、そのうち1社は6月中に入居、2社は7月をめどに入居する予定で満室になるとした。昨年12月の事業収支見通しでは空室率15%(稼働率85%)を想定していたが、100%稼働するという。 5月にオープンしたコワーキングスペース(共同仕事場)は、利用料を無料とした5月は129人302件の利用があったとした。有料利用がスタートする6月は、3日時点で月額個人会員28人、月額法人会員4社、ビジター会員6件から申し込みがあり、個人会員15人、法人会員1社と契約したという。当初想定目標は個人会員30人、法人13社であったことから、内山社長は「順調に申し込みが入っている」と強調した。 一方、設立1年目の2022年3月期決算は、つくばセンタービル1階東側の貸しオフィスなど「co-en(コーエン)」が開業前であったことから、売り上げ収益約1100万円に対し、人件費や家賃、水道光熱費などの経費(販売費及び一般管理費)が約4100万円かかり、営業損失約3000万円と赤字になった。 設立2年目の2023年3月期(22年4月-23年3月)のco-enは、約5300万円の売り上げを目指すとした。(鈴木宏子) ◆9日の調査特別委員会での主なやり取りは以下の通り。 山中真弓市議(共産) 今年(22年4月-23年3月)の売り上げ目標が5300万円ということだが、内訳を教えてほしい。 内山社長 5300万円は売り上げであり、利益ではない。(5300万円の内訳は)シェアオフィス(貸しオフィス)が3000万円強、コワーキングスペースが2500万円弱。地下駐車場事業の売り上げは入ってない。カフェ&バーの収入は家賃が月14万円、プラス、歩合として売り上げの8%を見込める。月500万円の売り上げとするとプラス40万円が入り、予想をかなり上回る。 山中市議 昨年12月(に議会に出された資料)の「働く人を支援する場」の事業収支の資料では2022年3月期は営業利益が134万円の赤字となっている。今回の決算は3000万円の赤字となっている。どうして差が発生するのか。 内山社長 昨年12月の事業収支はセグメント(区分)ごとの収支。働く人を支援する場の事業収支を切り取って示した数字で、一般管理費は(事業収支に)落としてない。(一般管理費は)開業後(2022年4月以降の事業収支)に織り込んでいる。決算と性質が違う。 山中市議 四半期ごとに決算を議会に報告してほしい。 内山社長 半期に1回ぐらいは報告できる。収益改善には第2期(吾妻交流センターをオフィスにする改修工事)が行われないとプラスに転じない。ここ(1階)の部分だけでは厳しい。 川久保皆実市議(つくばチェンジチャレンジ) co-enが5月にオープンしたが子連れワーキングスペースができてなかった。今後の方針はどうか。 内山社長 協働実施を予定していたNPO法人と1、2月の、直前まで協議していた。NPO法人に経営上の問題が発生したので、NPO法人と協議し、いったん中断した。3月の判断なので代替の事業者の検討が進んでいない。これまでいろいろな事業者とコミュニケーションをとる中で委託費が払われないと実施できないということだったこともあり、代替の事業者が見つかってない。具体的な話ができない。 川久保市議 スケジュールはどうか。 内山社長 できるだけ早く、秋口ぐらいまでにはめどを立てたいと思っているが(子連れワーキングスペースのみの)事業収支はプラスマイナスゼロを見込んでいる。収支を大きく左右する部分ではないので、内容にこだわって検討したい。 川久保市議 コワーキングスペースの個室(ウェブ会議等をする部屋)だが、音が外に聞こえていた。防音の必要があるのではないか。 内山社長 音が反響するという意見をいただいており、吸音対策の方が急務かと思っている。 川久保市議 ウェブ会議での秘匿性の高い内容が外に漏れてしまうのではないか。 内山社長 具体的なご意見をいただきならが検討したい。 川久保市議 秘匿性がある会議はミーティング室を利用すればよいか。 内山社長 そちらの方もある。 川久保市議 授乳室のところに2段の段差がある。ベビーカーをどこに置けばいいのか。 内山社長 左手にベビーカー置き場がある。 ヘイズ委員長 (つくばまちなかデザインから出されている)報告に関する質問にだけにしてほしい。 川久保市議 情報発信だが、(つくばまちなかデザインが発信する)「つくまちノート」は2件しか更新がない。 内山社長 3月まではハードの整備にスタッフの労力を注力した。マンパワーに限りがある。 山中市議 コロナ禍で工事費が増え(1階の改修工事に)3億2000万円かかったということだが、決算書の有形固定資産は2億6000万円しか計上されてないのはどうしてか。 内山社長 工事完了は5月なので、すべてを有形固定資産として計上するのは今期(2023年3月期決算)になる。部分的に支払ったものが3月までに計上されている。シェアオフィスは安定収益につながる。増設することで3期目から8000万円を超える売り上げになる。増資を図ることで資金確保を図り安定経営につなげたい。 山中市議 出資者を新たに募るということか。 内山社長 (現在の)株主に事業報告が必要になるが。 鈴木富士雄市議(自民党政清クラブ) 決算書の「販売費及び一般管理費」だが、売り上げ収益1100万円に対し、役員報酬1170万円となっている。役員は非常勤が3人、常勤が2人。従業員給与は457万1000円となっている。スタート時は厳しい面があるが、年間売り上げ収益と役員報酬が同じということに疑義を感じる。 内山社長 株主やつくば市から、出向という形で、各社に人件費を負担いただいている。役員報酬は2人分、従業員報酬は実質的に1人。かなり抑えながら進めている。 飯岡宏之市議(自民党政清クラブ) 今回は(設立から)1期目なので、2期目に注目したい。去年12月ごろ(100万円しか出資してない株主の)LIGHTz(ライツ)のいい報告ができると聞いていたが。 内山社長 中長期の中で(増資の)話をすることを再開したい。 飯岡市議 連携事業者の(市内でコワーキングスペースを運営する)シビックパワーはどうか。 内山社長 限定的な委託先として考えており、コワーキングスペース全体(の運営)ではない。(コワーキングスペースの)ユーザーを引き継いでいただくなど協力いただいた。月1回程度のイベントを実施していただくことで150万円程度の委託を行いながら運営に協力していただく。 橋本佳子市議(共産) 次の段階(吾妻交流センターをオフィスにする改修計画)に進めることにゴーサインを出せるか慎重になってしまう。シェアオフィス(貸しオフィス)の需要が高いという根拠をもう少し説明してほしい。 内山社長 この段階で(貸しオフィスの)契約すべてが完了していることが何よりの実績。シェアオフィスは当初想定より値上げし、家賃を坪1万5000円に設定している。近辺より高い設定だがすべて埋まった。現場ではかなりの問い合わせがあり、第2期工事を実施することが会社にとって急務だと考える。 塩田尚市議(山中八策の会)増資を図るということだが、LIGHTzに増資してもらうということか。 内山社長 LIGHTzも一つ。もともと立ち上げの際、7~8社の出資を目指していた。様々な株主の開拓を含めて検討したい。 塩田市議 3セクなので(増資すると)つくば市が持っている議決権割合が下がるのではないか。 内山社長 その辺りは(つくば市と)協議を重ねた結果、増資も一つの手段だとご理解を得ていると思っている。人材等、様々な立場で協力いただける会社を募っていきたい。

「誰でも通れる通路」現る 《映画探偵団》54

【コラム・冠木新市】3月下旬、つくばセンタービル内でA4チラシを手にし、これはすごいと思わずうなった。下半分に「2022.4 OPEN! つくば駅徒歩3分 つくばセンタービル内オフィス入居者募集  問合せ・つくばまちなかデザイン株式会社」とあった。 上半分には、ビル内の図面が載っていて、AからFまでの入居スペースが全体の3分の1強。残りが「会議室亅「コワーキング兼イベントスペース」「カフェシェアキッチン」「子連れワーキングスペース」「つくばまちなかデザイン(株)オフィス」。 感心したのは、それらをつなぐ通路を「誰でも通れる通路」「誰でも通れる出入口」と書いてあったからだ。「アイアイモール」と呼ばれた通路は元々誰でも通れる通路で、出入口だった。それをあえて「誰でも通れる…」と記述したのがすごい。こう表現すると、普通の通路が特別なものに見えてくる。 これこそ、現代アートの世界と言ってよい。ネー厶プレイトを付ければ、アートの名所として話題になるに違いない。 4月1日、早速出かけて見たが、まだ半分しか完成していなかった。通路の左右に灰色のカーブしたベンチみたいなものがあり、対面に人が座れば車イス1台分通れる幅。改修前より随分と狭くなっていた。 それよりも、広場にあったアイアイモールのサインと飾りが取りはずされていたのが、シン・旧住民にはショックだった。今度は「co/en」と呼ばれることが決まっている。公園でBBQやテントをやる世代には受けそうだ。しかし、20代の若者たちに「昭和レトロブー厶」が起きている現在、通路の愛称を市民募集したほうがよかったのではないだろうか。 S・キューブリック監督『シャイニング』 それはともかく、旧アイアイモールはスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』(1980)を思い出させてくれる。 コロラド山中の「展望ホテル」。雪に閉ざされた休業期間中に、管理人となったジャック(ジャック・ニコルスン)が妻子を連れやって来る。時が流れ、ジャックは誰もいない廊下を歩き、ゴールドルー厶という大広間に入る。するとパーティーが開かれていて、客でにぎわっている。 バーカウンターに座ったジャックはバーテンと会話を交わす。幻想にしてはあまりにリアルな表現のため、観客はきっと戸惑うことだろう。 この作品は、その後常軌を逸したジャックが斧で妻子を襲うというホラー映画なのだが、怖いわけではない。それよりも、先住民の墓の上に建ったホテルには、米国の歴史が詰まっているようなのだ。ジャックが妻を襲うシーンなど、騎兵隊がインディアンを襲う感じである。 ラストシーンは、ホテルの壁に飾られた写真へズームアップ。大勢の客のど真ん中にタキシードを着たジャックと瓜二つの男が映り、1921年独立記念日の文字で終わる。ジャックはこの男の生まれ変わりなのだ。『シャイニング』は、5人の研究家が分析したドキュメンタリー映画『ROOM237』(2012)が作られたくらい、謎に満ちた作品である。 まだオープンになっていないため、よく分からないのだが、どうやら広場につながる出入口は「施設利用者のみ通れる出入口亅になっていて、誰でも通れなくなるみたいだ。われわれが通れる出入口は、カフェを通らなければならないのだ。 そしてふと思い至った。本当はもともと「施設利用者のみ通れる通路」だったのを「誰でも通れる通路」に変更したのではないのかと。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

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