日曜日, 12月 4, 2022
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「3つの公園」問題と流れ者 《映画探偵団》56

【コラム・冠木新市】今、つくば市に「3つの公園」問題が起きている。1つめは「洞峰公園」のリニューアル問題をめぐる、大井川県知事と五十嵐市長の対立。 市民団体が結成され、県に協議会設置を求める署名用紙が区会を通じ私の所に送られて来た。明確に反対を主張していないので、パスした。

2つめは「高エネ研跡地をめぐる運動公園」問題。7年前に反対署名してから推移を見守ってきたが、市は迷走を続け、大多数の市民が一括売却反対なのに、市議会は賛否を問うことなく、民間企業に売却を進めようとしている。

3つめはセンタービル内の施設「co-en」問題。比較は不幸の始まりとは知りながらも、「誰でも通れる通路」を歩くと、旧アイアイモールの広くて頑丈な作りを思い返してしまう。通路は大学の廊下みたいな印象で、「会議室」や「コワーキングスペース」が教室に見える。

また、「カフェ」は大学食堂の趣で、若い人や若者気分の大人たちには心地よい空間だろう。通路両脇に波打つ「小上り」だが、以前のベンチのように気楽には座れない。人を会場内に寄せつけない仕掛けなのかもしれない。

大問題なのは、ビル内から広場への出入口が閉じられ、特別会員やイベント関係者しか利用できなくなってしまったことだ。普通の市民の出入口はカフェ側にあるが、お客の間を通るので気兼ねする。 昨年、「つくばセンター研究会」でデータを取ったが、ここが一番人の動きの多い出入口であった。「誰でも通れる出入口」に戻すべきである。

通路からホテルへは一直線につながり、ロビーにモンローチェア2脚が飾られ、説明文と手を触れないでくださいとのプレートが置かれていた。

『つくばセンタービル謎解きツアー』で「そのうち座れなくなりますよ」と予言したが、ようやく文化財として認知されたようだ。五十嵐市長の「意匠を大事に」との口癖の効果が表れた。すごい実績である。できれば、子どもたちの遊び場で、長い間放ったらかしになっている水景の、外れた石段を直してもらいたいものだ。

渡哲也主演の『東京流れ者』

そんなこんなで通路を通るうちに、ここは映画スタジオのセットではないかと思えてきた。

1960年代に、よく分からない映画を作ると言われた鈴木清順監督が日活からクビになった。今では世界的に評価を受けているが、当時はセット美術の木村威夫とコンビを組み、次々に奇妙な野心作を作り、大学生に熱狂的に支持された。私は清順作品の中でも『東京流れ者』(1966)が好きで、繰り返し見た。

やくざから堅気になった倉田が所有する倉田ビルを奪おうと、大塚組が謀略をめぐらし、倉田組の不死鳥の哲(渡哲也)を痛めつけ、反応をうかがう。

義理人情を重んじる不死鳥の哲は倉田を信じ我慢するが、大塚組の罠(わな)にハマった倉田は「哲を殺れ」と指示を出す。裏切られた哲が倉田の運営するクラブ「アルル」に乗り込み、白い壁際沿いの狭い通路やってくる。哲は、寝返った倉田に「それが親分という者の正体だったのか、サカヅキは返すぜ!」と絶縁宣言する。

こう書くと、ただのやくざ映画にしか思えないだろうが、奇妙なカット割り演出と赤や黄色の照明で安っぽいセットを面白く見せ、ポップな仕上がりなのである。

中でも、クラブの壁際沿いの通路が「co-en」の感じと似ている。『東京流れ者』に夢中になった当時の大学生は、現在80代だ。「co-en」をどう見るだろうか。いや、東京からつくばに流れて来た新住民は、「3つの公園」問題に何を感じるのか。

今、つくば市民は「3つの公園」問題に巻き込まれている。問題の根は深く、「筑波研究学園都市」が誕生して以来、つくば市は史上最大の岐路に立っている。不死鳥の哲が、つくばに流れて来る日も近い。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

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