金曜日, 4月 26, 2024
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洞峰公園の無償譲渡 可決 つくば市議会 費用負担問題くすぶったまま

つくば市議会12月定例会最終日の22日、市が県から無償譲渡を受ける方針の洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)について条例改正案と補正予算案の採決が行われ、いずれも17対8の賛成多数で可決した。県議会でも同日、洞峰公園を県の公園から削除する条例改正案が可決され、来年2月1日を目標に同公園は県から市に移管される。 一方、園内にある体育館やプール、新都市記念館の大規模改修費や長寿命化費用など、移管により市が新たに負担することになる費用がいくらになるのかは示されず、くすぶったままとなった。 採決にあたっては、飯岡宏之市議(自民党政清クラブ)と山中真弓市議(共産)から反対討論があった。飯岡市議は、市の新たな費用負担について「(体育館・プール、新都市記念館などの)施設の更新費が資材費高騰により(県が2016年に健全度調査で算定した来年度以降の更新費である)34億円の1.5倍の50億円かかる」とし、「(築80年まで)80年間使用するため(維持管理費、補修費なども合わせて)あと37年間で、計約120億円の新たな費用負担が市にかかる」などと指摘した。山中市議は「時期尚早」だとし、五十嵐立青市長のこの間の対応について「知事と一度も正式な話し合いをせず、後手後手の対応となった」などと述べた。 一方、浜中勝美市議(公明)と皆川幸枝市議(市民ネット)から賛成討論があり、浜中市議は「(市が移管を受けることは)すばらしい公園環境を守る」とした。皆川市議は「(条例改正案と補正予算案に)反対の議員もグランピングに反対だということは分かったが、グランピングを止めるためには市が管理運営するしかなかった。(市と県は)市長だけでなく担当者間で協議している」などと反論し、採決の結果、賛成多数で可決となった。 五十嵐市長は議会閉会後、記者団の質問に答え「いろいろな場面で知事と話し、担当者同士でかなり時間をかけて県と協議してきた」とし、無償譲渡を受けた後の公園の維持管理方法については「協議会を設置して、いい形になるよう努力していきたい」と繰り返した。費用負担についても「利用料をどうするのか、収入を増やしていくのか、支出を減らしていくかも含めて協議会で議論したい」とした。(鈴木宏子)

つくば市が開発許可 旧総合運動公園用地

つくば市土地開発公社が外資系デベロッパー、グッドマンジャパンつくば特定目的会社(東京都渋谷区)に売却した同市大穂、旧総合運動公園用地約46ヘクタールについて、同市は18日付で同社に、都市計画法に基づく開発行為の許可を出した。 対面で開催されていない住民説明会について市開発指導課は、事業者は近隣にちらしを配布して周知し住民から質問を受け付けるなどしたとし、市開発許可の手引きに定められている「開発区画の周辺おおむね100メートル以内の住民と土地所有者」に対する住民説明会は書面で開催されたとしている。 同用地では今月7日までに地上部分の樹木の伐採が始まった。市から開発許可が出されたことで事業者は、樹木の根っこを抜き取る伐根に着手するとみられる。今回始まった1期工事で伐採される面積は不明だが、北側の高エネ研に隣接する東大通り沿いの物流倉庫建設予定地の伐採を実施しているとみられる。 同用地の開発登録簿によると、工区は10工区に分かれ、東大通り側の3工区に物流倉庫ができる。物流の3工区合わせた面積は全体の約47%の計約21.3ヘクタール、物流倉庫は、5階建て高さ約37.1メートルが1工区に、4階建て高さ30.9メートルが2工区に建設される予定。 西側は4工区にデータセンターが建設予定で、4工区合わせた面積は全体の約39%の計約17.7ヘクタール、施設は3~5階建て、高さは最大で46.5メートルとなっている。 五十嵐立青市長が売却目的の一つとして掲げた防災拠点は南側に建設予定で面積は全体の約10%の約4.6ヘクタール。施設は2階建て、高さは約16メートル。ほかに道路部分が2工区ある。 同用地は、住民投票で総合運動公園計画が白紙撤回となった後、住民投票の勢いに乗って市長になった五十嵐立青氏が、2期目当選直後に民間への売却を表明し、グッドマンジャパンが110億円で購入した。(鈴木宏子) ➡関連記事はこちら(12月8日付)

「脱炭素先行地域」共同提案6者が協定 つくば駅周辺で75億円規模の事業

地産地消の小規模電力網敷設など つくば駅周辺の半径500メートル地域が環境省の脱炭素先行地域に選定され、共同提案者の同市と、市中心市街地に冷暖房を供給するミライデザインパワーなど民間企業5社が12日、相互に連携・協働して脱炭素社会を実現していくための連携協定に調印した。 同地域には、筑波研究学園都市建設時に地下に敷設された電気、水道、冷暖房などのケーブルやパイプラインを収容する共同溝があることから、共同溝を活用して、新たに地産地消の小規模電力網を構築する。化石燃料で発電した電力を使用せずに、太陽光発電やバイオマス発電で電気を供給するなどして、2030年までに地域全体で二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す。国から最大50億円の交付金を得て、地域内に立地する企業やマンション、学校、公共施設などがそれぞれ、来年度から2028年度まで5年間で総額75億円規模の事業を実施する計画だ。 脱炭素先行地域は、国が2050年に達成を目指しているカーボンニュートラル(二酸化炭素排出実質ゼロ)に先立って、地域特性に応じ、道筋を付けるため先行して実施する取り組みで、環境省が30年までに先行地域を募集し全国で100カ所以上を選定するもの。つくば駅周辺は今年8月に実施された4回目の募集で選ばれた。これまでにつくばを含め36道府県95市町村の74の提案が選定されている。県内では初めて。 つくば駅周辺の対象地域は、同駅から半径約500メートルに立地する、民間施設21カ所、公共施設14カ所、マンション3棟(計656戸)の計38施設で、来年度から計13の取り組みを実施する。 具体的には、各施設の照明をLEDに交換したり、空調を省エネ型に変えたり、施設の断熱性を高めるなどして使用電力量を全体で3分の1削減する。 さらに民間や公共施設に各事業者が太陽光発電施設や蓄電池を整備したり、ミライデザインパワーが、市内の健康食品製造工場で廃棄される魚油や、市が市全域で回収している食用油の廃油を燃料に、駅近くの冷暖房供給施設でバイオマス発電を実施したり、再生可能エネルギーで水を電気分解して製造したクリーン水素を混焼して発電する。同社は発電した電力を、計2.6キロにわたって新たに敷設する小規模電力網で地域に供給する。 ほかに市が、市内の各農家が特産品の芝生を刈った葉や、公園や公共施設で剪定(せんてい)した枝葉を乾燥させて固めてバイオマス燃料をつくり、同市水守のごみ焼却施設で焼却し、発電した一部を同地域に供給する。 同地域では現在3800万キロワット時の電力量を消費し、年間約1万6000トンの二酸化炭素を排出していることから、13の取り組みを実施して2030年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す。取り組み実施後の電気料金については通常の電気代と同等に抑えることができる見込みだという。 環境省が脱炭素先行地域を募集していることを知った同市が、公募の上、共同提案した。共同提案の6者はほかに、電気やガスを販売する中部電力ミライズ、同地域に立地する常陽銀行と、現在、同地域に複合施設を建設中の大和ハウス工業茨城支店、EPAやDHAなどの健康食品を生産しバイオマス発電の燃料として魚油を提供するニッスイつくば工場。 12日の協定締結式で五十嵐立青市長は「脱炭素の取り組みは今すぐ取り組まなくてはならない課題、これから共同提案者と一緒に、ここで掲げられた事業を一つ一つ確実に実現していくことで目標を達成していけるように努力していきたい」と話し、ミライデザインパワーの山田高裕社長は「総力を挙げて全国的にも注目されるような先進的な取り組みを実施していきたい」などと話した。(鈴木宏子)

無償譲渡は来年2月1日目標 洞峰公園めぐりつくば市が追加議案

つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)について、五十嵐立青市長は11日、市が譲渡を受ける時期は来年2月1日を目標とし、市に移管後、来年3月までに協議会を設置して公園の管理運営方法や施設の使用料などを改めて検討していくことを明らかにした。新たな方針をいつまでに決めるかについては、現時点で期限を設けていないとしている。 同日開かれた12月議会本会議に、洞峰公園を市の公園にする市都市公園条例の改正案や補正予算案などを追加提案し、説明した。 条例改正案や補正予算案は14日の市議会都市建設委員会、19日の予算決算委員会で審議された後、12月議会最終日の22日、採決が行われる。一方、県議会には同様の議案が6日提案され、つくば市と同じ22日の最終日に採決が行われる。 7日から11日に開かれた市議会一般質問では、無償譲渡を受けた後に市が負担する体育館、プール、新都市記念館など公園施設の大規模改修費や長寿命化対策費などについて質問が出たが、市は、移管を受けた後、施設の健全度調査をするなどと答弁するにとどまった。 市によると、無償譲渡を受ける来年2月からの管理運営については、現在、県の指定管理者となっている「洞峰わくわく創造グループ」の構成企業で、現在、施設などを管理運営している東京アスレチッククラブに23年度と24年度は引き続き業務委託する方針。委託料は2023年度の2カ月間が約5980万円、24年度1年間は約3億7900万円。プールや体育館、テニスコート、多目的広場、会議室、駐車場などの使用料、スポーツ教室の会費などは、協議会で新たな方針が決まるまでは当面、現状のまま。使用料収入は市の収入になる。 協議会の構成は、市、県、公園管理事業者のほか、同公園で花壇づくりや清掃などのボランティア活動を実施している活動団体、公園利用者、地域住民、学識経験者など計20人を選定する予定で、23年度の補正予算案として1回分20万円を提案した。 アンケート回答1338人、74%が無償譲渡に賛成 一方、洞峰公園の無償譲渡をめぐって市が11月10日から30日まで実施したアンケート結果について市は8日、速報を市ホームページで公表した。速報によると、回答者は計1338人で、無償譲渡を受けることに「賛成」「どちらかといえば賛成」は合わせて995人(74%)、「どちらでもない」が139人(10%)、「反対」「どちらかといえば反対」が計173人(13%)だった。記述部分については現在、集計中という。(鈴木宏子)

人工都市つくばの草創期を記録 齋藤さだむさん写真展

1980年代を中心に建設途上だった筑波研究学園都市の草創期を記録した、つくば市在住の写真家、齋藤さだむさん(74)の写真展「人工都市つくば 草創の風景」が8日から、つくば市千現、ギャラリーネオ/センシュウで開かれている。モノクロ写真やカラーのポストカードなど約80点が展示されている。 平らに造成された土の大地の向こうにぽつんと建つ完成したばかりのつくばセンタービル、造成工事で出た残土が堤防のように長く積み上げられた現在のカピオ駐車場周辺、伐採した樹木をその場で生木のまま燃やし白い煙が立ち込める現在の大清水公園―。筑波研究学園都市建設時の生々しい光景が写る。 完成したばかりの国家公務員宿舎群や、夜は真っ暗になる街中で異様な光を放つパチンコ店のネオンで赤茶色に光る雑木林などの作品もある。 齋藤さんは長野県出身。1977年、筑波大学芸術学系に技官として赴任し、つくばに転居。90年まで同大職員を務めた。大学の仕事の傍ら、国家プロジェクトによってつくられた人工都市の草創期を撮影し記録に収めてきた。 「初めて土浦駅に降り立ち、バスに乗って筑波研究学園都市に入った途端、がーん、がーんという杭を地面に打ち込む大きな音が響いた」と当時を振り返る。 85年に開催されたつくば科学万博のきらびやかな建物や、見物を楽しむ人々の様子、その後、次々に解体されるパビリオンの変遷を記録した写真もある。「何もないところに突然、科学万博の建物ができて、隆盛を極め、人々が楽しんだが、1年も経たないうちに壊された。映画を見ているかのようにわずか1年で変わっていく姿を実体験し、街の運命も人の運命と同じように、生まれて、成長して、新しいものに変わっていくということを衝撃をもって感じ、写真とは何かを考える転機になった」と話す。 写真展は、1979年から2000年までつくばの文化発信拠点だったライブハウス「クリエイティブハウス アクアク」の記録を残したいと、12月から来年2月まで、トークイベントや展示会を開催する有志でつくる「アーカイブ アクアク」(12月8日付)が、同イベントの開催に合わせて企画した。 アーカイブ アクアクのメンバーで同ギャラリーを主宰する山中周子さん(39)は「齋藤さだむさんの作品はただの記録ではなく、そこにある光、そこにあった環境をとらえ、芸術性がある。ずっとつくばにいる人も、新しくつくばに来た人も、いろいろな世代に見てほしい」と来場を呼び掛ける。 齋藤さんは「草創期のころのつくばをテーマに、演劇や音楽のパフォーマンスを展開しようとする若いメンバーたちの考えに賛同して写真展を開いた。46年前に土浦駅に降り立ってからのつくばでの時間の往還を、会場でお会いできる方一人一人と感じたい」と話す。(鈴木宏子) ◆齋藤さだむ写真展「人工都市つくば 草創の風景」は8日(金)~24日(日)の金・土・日曜の午後1~5時まで、つくば市千現1-23-4 マイコーポ二の宮101、ギャラリーネオ/センシュウで開催。入場無料。詳しくは同ギャラリー(メールinfo@neotsukuba.com)へ。

樹木の伐採始まる つくば市 旧総合運動公園用地

つくば市土地開発公社が外資系デベロッパー、グッドマンジャパンつくば特定目的会社に売却した同市大穂の約46ヘクタールの森林(旧総合運動公園用地、高エネ研南未利用地)で7日までに樹木の伐採が始まった。 同用地は、住民投票で総合運動公園計画が白紙撤回となった後、住民投票の勢いに乗り、一つの争点に的を絞ったシングルイシューといわれる選挙戦を展開して「(元の持ち主の)URと返還交渉する」ことを最大公約に掲げて初当選した五十嵐立青市長が、2期目当選直後に民間への売却を決めた。グッドマンジャパンが110億円で購入、倉庫やデータセンターの建設が計画されている。 7日午後3時過ぎ、隣接する高エネ研敷地に面する出入口には、重機が出入りするための鉄板が敷かれ、すでに広い面積の樹木が伐採されていた。さらに敷地周囲を囲っていた杭が抜かれ、境界付近の草が刈られていた。 今回の伐採面積や1期工事の内容、工事スケジュール、住民説明会開催の有無などについて事業者のグッドマンジャパンは「現在メディア等の取材対応は行っておりません」などとしている。伐採面積などは不明だが、高エネ研に近い東大通りに接する倉庫区画(7工区E区画、約6.1 ヘクタール)付近で伐採が始まったとみられる。 事業者は現在、つくば市に対し、都市計画法に基づく開発行為の許可申請を出しているとみられるが、8日時点で市はまだ開発許可を出してないとみられる。さらに、市開発許可の手引きでは「開発区域の周辺おおむね100m以内の住民と土地所有者に対し住民説明会を開催する」とあるが、事業者は近隣にちらしを配布し、対面での住民説明会は開かれていない。 伐採や住民説明会などについては8日開かれた同市12月議会一般質問で取り上げられ、飯岡宏之市議の質問に対し、市は「(樹木の地上部分の)伐採は(土地の区画形質の変更ではないため)開発行為に当たらない。(木の根っこを抜き取る)伐根は開発行為の許可を得て実施する」などと答弁した。 住民説明会の開催について市開発指導課は「開発行為にあたって必要な説明会は書面開催の方法で周知し、(住民説明会は)なされたと事業者から報告を受けている」としている。一方、一般質問した飯岡市議は、周辺住民からは住民説明会開催を要望する動きがあるとしている。 事業者が10月に近隣住民に配布した資料によると、全体計画は、東大通り沿いの東側に倉庫3区画、西側にデータセンター4区画を建設する。南側の約4.5ヘクタールには防災多目的利活用広場を建設する予定で、防災拠点の整備は市が掲げた売却目的の一つだが、市と事業者との具体的協議はまだ行われていない。(鈴木宏子)

農業委員の選考会始まる つくば市 前回は紛糾、警察捜査も

つくば市農業委員会委員の任期満了(定数24、任期は来年5月18日まで)に伴って、新しい農業委員の候補者を選考する同市農業委員会委員候補者選考会(会長・飯野哲雄副市長、9人で構成)が4日始まった。 3年前の前回の改選時は、地区別人数割や農地法違反をめぐって紛糾した(21年5月20日付、同28日付)ほか、会長選をめぐって警察の捜査が入り、農業委員の一人が贈賄申し込みの罪で罰金50万円の略式命令を受け辞任するなどの事件に発展した。前回、紛糾の種になった地区別人数割や農地法違反の扱いをどうするかが注目される。 応募は39人 市は来年の改選に向け、10月2日から31日まで公募を実施。4日開かれた選考会では、39人の応募(うち農業委員会業務に利害関係がない中立委員は1人)があったことが報告された。 さらに前回の改選で問題になった地区別人数割や農地法違反について委員の一人から質問が出た。地区別人数割について飯野会長は「(法令では)市内全域が一つの選挙区になっているが、(選考会委員が採点する)選考シートの結果について極端な差があると後の運営に差し障りが出るのではないかということもあるので、一時的な評価の結果を見てみて、結果によってさらなる検討が必要な状況かどうかを判断して、それから会の中でどうしていくか、皆さんで協議をしていきたい」とした。 応募者の農地法違反については委員から「前回、親が違反転用して(本人は)全く知らなかったということがあった。前に親がやったことに対し責任を取るのか」などの質問があり、同事務局から「違反転用を本人以外の親がやった場合、(農業は)基本的に同一世帯の家族経営なので『親がやったから知らない』は好ましくない。(採点は)農地法に反する転用があるとマイナス5点、農地法と他法令に反する転用があり農地への復元も困難だとマイナス10点になる。前回は(違反者の)人数が多かった。今回、本人から聞き取りをしたが、今回はそんなにいない」などと説明した。 今後の日程は、選考会の委員9人がそれぞれ、候補者39人に対し、農地法に違反する転用があるか、委員としての責務を理解し意欲があるかなど、選考シートに基づき17項目(中立委員は11項目)について評価し評点を付けた上で候補者を選考し、五十嵐立青市長に答申する。 前回は地区別人数割のルール変更に反発 農業委員会は、担い手への農地利用の集約化、遊休農地の解消、新規参入の促進など農地利用の最適化を図ることを目的に、農地法に基づく農地の売買や賃借の許可、農地転用案件の意見具申などを行う。委員の任期は3年。つくばエクスプレス(TX)沿線開発などの影響で、同市は農地法に関する許可申請件数が県内で最も多い。 農業委員の選出方法は、2015年の農業委員会法改正により、選挙で選ぶ公選制が廃止され、議会の同意を得て市長が任命する方式に変わった。同市では18年から任命制が始まり、3年前の前回の選考から選考会が設置された。 地区別人数割については同市ではこれまで、地区ごとの農地面積や農家戸数に応じて農業委員が選ばれ、農家が最も多い谷田部地区は他地区と比べて委員数が多かった。3年前の選考会では事務局案として当初「農業委員会の活動は各地区ごとに、農地の所有権移転や農地転用などの許認可を行っているため、各地区の選出人数は各地区での活動に支障をきたさないよう、農地面積及び農家戸数に許可申請件数を加味した人数が望ましい」とする案が示されたが、選考会が、地区別の農業委員の人数を一律で「各地区3人以上」と変更し、農地転用の調査件数が多いのに地区別人数が減った谷田部地区などの農業委員から反発が出て、紛糾などした。(鈴木宏子)

洞峰公園問題で市民アンケート開始 賛否に主眼置かず つくば市

34億円超の補修・更新費認めないまま つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)について、市によるインターネットでの市民アンケート調査が10日から、紙でのアンケートが15日から始まった。設問は11問あり、10番目に無償譲渡の是非について尋ねているが、賛否の数の多寡に主眼を置かないとし、広くさまざまな角度から意見をもらって、無償譲渡を受けた後に市が設置する予定の協議会での協議の参考にするとしている。回答期限はいずれも今月30日。 アンケートは、公園の利用頻度や主な利用目的、筑波研究学園都市建設当時の公園緑地計画の基本方針の是非、洞峰公園に求めるものや将来について理由と共に尋ねている。ほかに維持管理費の削減策として利用料金の値上げの是非などについても尋ねている。氏名、住所は記入が必要。 アンケートの質問項目は2日開かれた市議会全員協議会で示され、議員から「新都市の公園緑地計画の基本方針(設問6)について尋ねているが、(新都市が)洞峰公園の基本方針か何かが分からない」「アンケートに答えるにあたって市民が費用負担について参照できるようにした方がよい」などの指摘があった。市は全協で、アンケートに分かりにくい点があることを認める一方、市ホームページにこれまでの資料を掲載するので、Q&A(「洞峰公園の無償譲渡に関してよくいただくご質問について」)などを確認してから、回答してほしいとしている。市公園・施設課によると設問にある「新都市の公園緑地計画の基本方針」は「つくばの自然誌-Ⅱ洞峰公園」(STEP発行)の中に記述がある二次資料から引用したもので、新都市は洞峰公園ではなく筑波研究学園都市を指す。 一方、洞峰公園内の体育館、新都市記念館など4施設だけで来年度以降、34億円以上の補修・更新費がかかると県が試算していた問題については、市は市ホームページのQ&Aで「施設修繕費の年額としては3500万円程度を想定」しているとの主張を続けている。 年3500万円という市の想定額に対してはNEWSつくばが、市は、県の2016年の健全度調査資料をもとに、県が計算した補修費だけを抜き取って算定し、施設の更新費を計算に加えておらず問題だと指摘している(9月23日付)。県は、9月25日に開かれた県議会調査特別委員会で、長寿命化対策を実施した場合、2016年度の健全度調査で4施設だけでなく公園全体で40億円ほどかかると算定していたと答弁している(9月25日付)。市議の要望で開かれた11月2日の市議会全員協議会では、市議らが、自ら調査した県の証拠資料を議会に開示し、市に対し、きちんと算定して市民に示すよう求めている(11月2日付)。全協では他の市議からも「いくらかかるか分からないまま(市民は)アンケートに答えるのか」などの疑問が出ていた。(鈴木宏子) ◆洞峰公園の市民アンケートに関する市ホームページはこちら。アンケートはこちら。市によるQ&Aはこちら。紙によるアンケートは、市内の各公園管理事務所と各交流センターでアンケート用紙を配布し、同所に回収箱を設置する。

次期県立高校プランにつくばの人口増反映を 市民団体がフォーラム

人口増が続くつくば市に県立高校が少ない問題で、現在、県が策定を進めている2024年度からの県立高校改革プラン実施プランⅡ期(26年度までの3年間)に、児童・生徒数の増加が続くつくば市などの状況を反映させ入学枠の改善などを改めて要望しようと、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が12日、同市役所内で「つくばに県立高校を求める」と題した教育フォーラムを開いた。 小中学生の子供をもつ父母らのほか、市議、県議、国会議員など計約70人が参加した。考える会は、この日のフォーラムで出た報告や意見などをまとめ、近く県に要望書を提出する予定だ。 同改革プランは、県立高校の適正規模・適正配置や学校・学科の在り方などについて方向性を示すもので、県は同実施プランⅠ期(20-23年度)に基づき、つくば工科高校を改編しつくばサイエンス高校を新設などした。つくばエクスプレス(TX)沿線では、改革プラン策定時の2018年時推計を上回って、児童・生徒数が増加している。 基調報告した片岡代表は「改革プランでは県内を12のエリアに分け『エリア区分ごとに募集学級数を調整する』という方針を出しているにも関わらず、県議会などの答弁で県は、周辺エリアを加えエリアを拡大させた答弁をしており、おかしい」などと指摘。つくば市などつくばエリアの全日制県立高校の募集数は2023年度で中学卒業数の50.1%にとどまっていることから「実施プランⅡ期ではエリア区分ごとに募集学級数を調整し、県平均水準(68.4%)までつくばエリアの募集枠を増やしてほしい」などと話した。 フォーラムでは、国光あやの衆院議員や、海外出張中のためビデオメッセージを寄せた五十嵐立青市長から、県が現在、竹園高校の定員増を調査していることなど、新たな動きについて報告があった。 一方、市内に住む小学5年と2年の子供をもつ母親は「5年前につくばに転居し、高校に困ることになることは想像してなかった」と述べ「(つくばは)小学校3年、4年から塾に通っている子がほとんど。学費をねん出するため親はほぼ共働き。子供は夜遅い時間に自転車で塾などから帰宅する。親も子もほぼ家にいない。高校生になると通学に月3万円かかると聞く。通学に時間がかかると子供の時間が失われるのがもったいない。(牛久栄進高校の1学級増など)コトが動いていることも感じるが、(片岡代表が指摘する)ファクトに基づくデータをもっと見える化したい」と話すなど、参加した父母からは切実な声が相次いだ。(鈴木宏子)

平日7分の1、土日祝3分の1減便へ 来年4月から つくバス

運転手の時間外労働 上限規制受け つくば市のコミュニティバス「つくバス」の運行本数が来年4月から、平日13.9%(44便)減便、土日祝日32.8%(104便)減便となる見通しであることが7日開かれた同市の第2回公共交通活性化協議会(会長・岡本直久筑波大教授)に報告された。全317便のうち平日は7分の1が減便、土日祝日は3分の1が減便となる。具体的にどの便が減便になるかなど運行ダイヤについては、来年1月開催予定の第3回協議会で確定する。市民生活への影響が大きいことから、確定後、直ちに市民に周知するとしている。 来年4月から、バス運転手などの時間外労働の上限が規制されること、運転手不足のため規制を補うだけの新たな運転手が確保できないことなどが減便の理由という。 同協議会委員で、つくバスを運行している関東鉄道は「路線バスもかなり厳しい状況で、現在(来年4月からの減便を)検討している。つくば市ばかりでなく、当社が(運行委託を)受けているコミュニティバスには同様の話をさせていただいている」とした。 市総合交通政策課によると、つくバスの運行に関し関東鉄道と締結している現在の契約が2025年度までとなっており、26年4月からは運転手不足によりさらなる減便の可能性があるという。市は24、25年度に運行路線の再検討に取り組むとしている。 筑波地区を運行する支線バス「つくばね号」は、運行時間が午前8時前から午後5時台、乗り合いタクシー「つくタク」は運行時間が午前9時台から午後4時台までとなっていることから、来年4月からの労働時間の上限規制の影響は受けない。 通勤、通学優先し日中と土日祝日を減便 7日の報告によると、運転手の長時間労働を防ぎ、安全を確保するため改正される労働時間の上限規制や休息時間の確保などにより、つくバスは、平日の運転手が7人減り、土日祝日の運転手が18人減る見込み。どの便を減便するかの考え方として市は、通勤や通学のための朝便と夜便を優先し、平日の日中と土日祝日の便を減便することで対応するとしている。(鈴木宏子) 各路線の減便本数の見通しは以下の通り。▽北部シャトル(つくばセンターから天久保、大穂などを通り筑波山口までを往復)は平日の上り下り併せて8便を減便し、土日祝日は上り下り計16便を減便▽小田シャトル(つくばセンターから春風台、大形などを通り筑波交流センターまでを往復)は平日は上り下り計8便減、土日祝日は計14便減。次の便まで平日の日中は最大2時間45分の間隔が空く▽作岡シャトル(研究学園駅から東光台、北部工業団地などを通り寺具までを往復)は平日上り下り計6便減、土日祝日は計12便減▽吉沼シャトル(研究学園駅から学園の森、大穂などを通りとよさと病院までを往復)は平日上り下り計2便減、土日祝日は計6便減▽上郷シャトル(つくばセンターから東光台、豊里の杜などを通りとよさと病院を往復)は平日上り下り計4便減、土日祝日は計6便減▽西部シャトル(みどりの駅から万博記念公園駅、上郷などを通りとよさと病院を往復)は平日上り下り計3便減、土日祝日は計10便減▽南部シャトル(つくばセンターから松代、農林団地などを通り茎崎老人福祉センターまでを往復)は平日上り下り6便減、土日祝日は計20便減▽谷田部シャトル(研究学園駅から島名、みどりの駅などを通り谷田部窓口センターまでを往復)は平日上り下り計3便減、土日祝日は計8便減▽自由ケ丘シャトル(みどりの駅から観音台、森の里団地などを経由し富士見台までを往復)は平日上り下り計2便減、土日祝日計6便減▽茎崎シャトル(富士見台から自由ケ丘、城山団地などを通り牛久駅西口までを往復)は平日上り下り計2便減、土日祝日は計6便減。※つくばエクスプレスやJR常磐線のダイヤ改正によりさらに変更となる場合もある。

34億円超の県試算認めるも平行線 洞峰公園の補修・更新費

つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、市が6月の市議会全員協議会や7月の市民説明会で、体育館やプールなどの施設の更新費を示さなかった問題(9月23日付)で、同市議会全員協議会(全協)が2日開かれた。市は、県が行った健全度調査で来年度以降、体育館プール棟・アリーナ棟、新都市記念館、フィールドハウス、管理棟の主な4施設の補修費や更新費などが計約34億円超かかることが試算されていることを認めた一方、更新費をめぐる市執行部と市議らとのやりとりは平行線に終始した。 市議16人から10月11日、全協開催を求める要望書が出された(10月11日付)ことを受けて開催となった。 市議らからの質問に答えた市建設部の富田剛部長は、施設の目標使用年数を80年とするものの、施設のや設備の交換や取り換えなどの更新は実施せず、補修を実施するのみで、今後市が負担する施設修繕費(補修費)は年平均約3500万円にとどまるなどと繰り返した。一方、県から譲渡を受けた後、市として健全度調査を実施するとし、負担額が変更になる可能性についても言及した。 これに対し飯岡宏之市議からは「2021年に市が策定したスポーツ施設個別施設計画では、長寿命化の基本的考え方を定め、築60年で長寿命化改修(内外装・設備の更新など)をやると言っている。洞峰公園のプールやアリーナと同じ年に出来た谷田部総合体育館は長寿命化計画をやるのに、など洞峰公園の体育館はやらないのか」、山中真弓市議からは「国の基準や県の基準を無視して、施設や設備の更新をやらないということが理解できない。例えば電気設備はメーカーにより更新時期が決まっている。まったく更新しないで80年もつのか」などの質問が出たが、富田部長の答弁とかみ合わなかった。 実施が延期されていた市民アンケートについても案が示された。市は2日の全協開催を受け、11月中旬にも市民アンケートを実施する予定だという。 洞峰公園の体育館プール棟とアリーナ棟、新都市記念館などは1980年に建設され、現在築43年が経過している。(鈴木宏子)

安藤氏が2選 土浦市長選

任期満了に伴う土浦市長選は22日投票が行われ、同日午後7時から同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育会館)で即日開票の結果、現職の安藤真理子氏(62)=無所属、自民・公明推薦=が、新人で家庭教師の小野勉氏(61)=無所属=を破り、2期目の当選が決まった。女性市長が2期目を務めるのは県内で初めて。 当日有権者数は11万7034人、投票率は28.84%で、2006年の市町村合併以降、過去最低だった2015年の28.42%に次いで過去2番目に低い投票率となった。 【土浦市長選】(選管確定)当 29,598 安藤真理子氏  3,610 小野勉氏 安藤真理子 62 市長 無現②【略歴】土浦出身、土浦二高、成城大学短期大学部卒。会社勤めの後、介護福祉会社を経営、市議2期、県議2期、市長1期。大町【公約】①TX土浦駅延伸の早期実現②給食費無償化、産前産後の生活支援体制の充実など子育て支援の充実③土浦スマートインターチェンジ新設の早期実現 「前進させる新しい市政を」知事ら祝辞 同市下高津、安藤氏の選挙事務所には大井川和彦知事、国光あやの、青山大人衆院議員、伊沢勝徳、八島功男県議ら、国会議員、市町村長、県議と、地元市議らが勢ぞろいし、開票を待った。 午後7時36分、1回目の開票速報で当選確実が伝えられると大きな拍手と歓声が起こった。 祝賀会では、国会議員、市長、県議らが次々と壇上に立ち、大井川知事は「1期目は遠慮がちだったと聞いた。2期目は土浦を前進させる新しい市政を遠慮なく進めていただきたい。県からもしっかりバックアップしたい」などと話した。 安藤氏は「大変難しい選挙だった。応援してくれた皆さんの一票の重みを受け止めて、皆さんが誇りに思える土浦のために全力で走っていきたい」などと述べ、花束贈呈などを受けた。 笑顔で支持者らに応じる安藤氏 祝賀会後、記者団の質問に答えて、安藤氏は「大変難しい選挙だった。無投票当選だと思っていた人もおり、政策を訴える前に『選挙に行ってください』とお願いする選挙になった」と振り返った。 県内で、女性初の2期目の市長になることについては「女性初を意識したわけではなく、女性初は後から付いてくることだが、これからの女性のためにも大切なことだと思う」と述べた。今後の政策については「TX県内延伸と常磐道スマートインターチェンジを1日も早く事業化して、皆に喜んでもらって、若い人たちが誇りの持てる土浦にしていきたい」と強調した。(鈴木宏子、柴田大輔)

現職と新人が立候補 土浦市長選告示

任期満了に伴う土浦市長選が15日告示され、現職で2期目を目指す安藤真理子氏(62)=無所属、自民・公明推薦=と、新人で家庭教師の小野勉氏(61)=無所属=の2氏が立候補を届け出た。14日現在の有権者数は11万8644人。投票は22日、市内50カ所で行われ、同日午後7時から同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育会館)で即日開票される。 安藤氏は商工、農業団体など130団体以上の推薦を得る。選挙期間中、片山さつき、進藤金日子参院議員らが街頭演説の応援に駆け付ける予定だ。小野氏は、市内を車で回り、選挙掲示板にポスターを張りながら、人が集まっているところで街頭演説したいとしている。 土浦に誇りがもてるまちをつくる 安藤真理子 62 市長 無現① 【略歴】土浦出身、土浦二高、成城大学短期大学部卒。会社勤めの後、介護福祉会社を経営、市議2期、県議2期。同市大町【公約】①TX土浦駅延伸の早期実現②給食費無償化、産前産後の生活支援体制の充実など子育て支援の充実③土浦スマートインターチェンジ新設の早期実現 【安藤氏出陣式】午前10時から同市大畑の新治ショッピングセンターさん・あぴお駐車場で出陣式。雨が降る中、後援会によると支持者ら約1000人が足を運んだ。冒頭の挨拶に立った島岡宏明市議会議長は「今日は全市議24人が応援に来た」とし、「TX延伸など、土浦は百年に一度のチャンスにある。百年先の土浦のために、党派、会派を超えて土浦が一体となり、圧倒的な勝利をもって安藤氏を土浦市にお迎えしよう」と訴えた。安藤氏は「コロナがあり、命を守り抜くために闘ってきた3年間だった。ピンチをチャンスに変えるため様々なことに着手してきた。土浦に誇りをもち、みなさんに素晴らしいところだと思ってもらえるまちづくりをしていきたい」と述べた。出陣式には市議らのほか、地元選出の国光あやの、青山大人ら国会議員、同市区選出の伊沢勝徳、八島功男県議ら、「満場一致で安藤氏を支持する」とした県市長会から、会長の高橋靖水戸市長ら市長村長約30人ら多数が駆け付けた。 土浦を大改革し自由で楽しいまちを 小野勉 61 家庭教師 無新 【略歴】土浦出身、土浦一高、明治大学政治経済学部政治学科卒。演劇プロダクション所属俳優や会社員などを務めた。同市小岩田。【公約】①一律の給付金支給、減税、水道の基本料金ゼロなど市民の経済的負担軽減②費用対効果を考えた実効性のある施策を実現するための役所改革③市長賞与・退職金の返上 【小野氏第一声】午前10時から、同市大和町、市役所前で第一声。小野氏は「4年に1度の土浦を変えるチャンスが来た。現市長の市政が4年間続いていいのか。今の市長になってから本当に何か良くなったことがあるのか、私にはちっとも伝わってこない」と批判した。さらに「私の公約は、土浦大改革と、自由で楽しいまちをつくる」ことだとし、公約について「困っている人がたくさんいる。給付金、減税、水道基本料金をゼロにし、助けが必要な人に助けを届ける」と述べた。市役所改革については「今の市役所に公平さがあるのか、一部の人ばかりが得している」などと批判。市長の賞与・退職金ゼロについて「市長は公務員特別職、ボーナスもらうとか、退職金もらうとか、おかしい」と話した。その上で「夢を互いに応援しながら、自由で楽しいまちをつくろう」などと訴え支持を求めた。(鈴木宏子、柴田大輔)

全協開き説明を つくば市議16人が議長に要望書 洞峰公園の更新費問題

つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、市が6月の市議会全員協議会や7月の市民説明会で、体育館やプールなどの施設の更新費用を示さなかった問題で(9月23日付け)、市議26人のうち16人が11日、五頭泰誠議長に対し、市民アンケート調査実施前に全員協議会(全協)を開催して、県議会調査特別委員会で示された更新費用(9月25日付)などについて説明するよう求める要望書を出した。 16人は、自民党政清クラブの飯岡宏之、鈴木富士雄、塚本洋二、木村修寿、宮本達也▽つくば・市民ネットの皆川幸枝、小森谷さやか、あさのえくこ、川村直子▽共産党の橋本佳子、山中真弓▽創生クラブの小村政文▽新社会党の金子和雄▽清郷会の木村清隆▽新緑会の中村重雄▽つくばチェンジチャレンジの川久保皆実市議。 要望書は①県議会特別委員会が設置された後のやり取りと経緯②県が行った健全度調査の結果と市が見通している今後の維持管理・更新費用③市民アンケート調査の内容と取り扱いーの3項目について、全協を開いて説明するよう求めている。 要望書を提出した飯岡市議は「当初11人で提出することを予定していたが数が増え過半数を超えた。他の議員も市が説明責任を果たしていないと感じたのだと思う。市長はきちんと誠意を示して、アンケート実施前に市民の代表である我々に説明してほしい」と話し、山中市議は「正確な情報を市民にきちんと伝えることは私たちの役割。アンケート実施前に正確な情報を開示してほしい。『すべての事業で情報を共有しながら進めていく』と市長が言うのであれば、議会に対しても情報を共有してほしい」と話す。 洞峰公園の無償譲渡に関する市民アンケート調査の実施日程については、五十嵐市長が9月議会最終日の6日、13日から11月5日まで実施すると表明している。 同市議会全員協議会運営要綱によると、全協は議長が招集することになっている。 つくば市が洞峰公園の無償譲渡を受けた場合にかかる費用について市は6月の市議会全協と7月の市民説明会で、維持管理費が年約1億5000万円、施設修繕費が年平均3500万円程度かかると説明している。 これに対しNEWSつくばは情報開示請求した資料に基づき、最も金額が大きい更新費用がいくらかかるかを市は明らかにしておらず、市議会や市民説明会で示した数字は維持管理費と補修費のみだと指摘し、県が2016年度実施した健全度調査のライフサイクルコストを元に、2024年度以降、維持管理、補修、更新費用など合わせて34億円以上かかると指摘している(9月23日付け)。 その後、大塚秀二県都市整備課長は9月25日の県議会県有施設・県出資団体調査特別委員会で県議の質問に答え、2016年に健全度調査を行った際は洞峰公園の更新に約40億円かかると算出しており、8割の32億円が建物分だなどと説明している(9月25日付)。 一方、五十嵐立青つくば市長は4日の定例記者会見と同日のツイッター(X)などでNEWSつくばの質問に対し、県は2016年実施の健全度調査で「24年度以降に補修費用約2.1億円、更新費用約31.2億円かかるとされた」など、来年度以降、30億円を超える更新費用がかかるという県の算定を把握していたことを認めた一方、更新費について言及しなかったのは「県が試算した当時の更新費用の前提が県の指針とも市の指針とも違い、意味をなさないから言及しなかった」などとしている。(鈴木宏子) 【13日午後3時50分追加】13日から実施予定だった市民アンケートについて、つくば市は12日、市議会から全員協議会を開いて、洞峰公園の更新費や市民アンケートの内容などについて説明するよう求める要望があったことから、アンケートの実施を延期すると市ホームページで発表した。実施時期は未定という。

「悩んでいる人の力に」高校生ら42人、社会課題解決へ発信 土浦

「悩んでいる人の力になりたい」「『普通じゃない』をなくしたい」ー高校生ら42人が、身の回りの社会課題に向き合い、解決方法を提案する課題解決チャレンジ事業の発表会が9日、土浦市大和町の県県南生涯学習センターで開催された。 課題解決に向け「悩んでいる高校生にスクールカウンセラーを身近に感じてもらう」「LGBTQ(性的少数者)やSOGI(性自認)について理解を深めてもらう」などの提案が出され、解決方法の一つとして啓発ポスターの図案や動画などを披露した。今後、実際にポスターを印刷したり、動画を投稿するなどして社会に働き掛ける計画だ。 同センターが昨年8月から開催してきた「ユースチャレンジプロジェクト」(22年11月2日付)で、土浦三高、石岡商業、取手一高など県南地域8校の高校生38人と、筑波大生4人の計42人が3つのチームに分かれ、課題ごとに話し合ったり、現地調査やアンケートなどを実施してきた。大手広告代理店、博報堂出身の入沢弘子さんがアドバイザーを務め、これまで計21回、40時間以上のワークショップを重ねてきた。 まず身の回りの社会課題を出し合い、63の課題の中から3つに絞って、課題ごとにチームをつくり、それぞれ課題解決方法を模索した。 「悩んでいる人の力になりたい」をテーマにしたチームは、高校のスクールカウンセラーに着目。まず現状を調べるため、メンバーの高校生4人が通う4校でアンケート調査を実施した。864人の回答者のうち、悩みを相談する相手は1位が友人、2位が家族、3位が先生で、カウンセラーに相談する人は5番目の6.8%しかいない実情を把握した。カウンセラーに相談しないのは、カウンセラー側に問題があるのではないかと考え、各校ともカウンセラーを利用できる時間が週に数時間しかないことを調べたり、カウンセラー本人にインタビューするなどした。その上で利用生徒を増やすために、ポスター制作を発案し図案を発表した。ポスターには「一人で悩まず、どんな話でもいいので相談してほしい」などカウンセラーのコメントを掲載してある。今後はポスターを印刷し各高校や駅などに掲示する計画だ。 「『普通じゃない』をなくしたい」をテーマにしたチームは、LGBTQやSOGIについて理解を深めてもらう啓発ポスターの図案を制作し発表した。ポスターに掲載されているQRコードを読み込むと、さまざまな性の在り方についての解説や、学校の男女別の制服をテーマに「普通とは何か」を問い直す短編漫画を読むことができる。 ほかに障害者や高齢者、ベビーカー利用者など移動弱者が優先的にエレベーターに乗れるよう、壁面だけでなくエレベーター前の床面にも優先列を示すステッカーを掲示する提案が出された。さらに「茨城県の魅力度を上げたい」をテーマにしたチームは、土浦市のコミュニティーバスに着目し、土浦の魅力を伝えるバスを使ったプチ旅行を提案する動画を作成した。 発表会には、参加した生徒が通う高校の教員や、生徒らが現地調査した事業者らが参加し、高校生らの発表に聞き入った。発表内容は今後、同センターのホームページに掲載する予定だという。 「『普通じゃない』をなくしたい」というテーマのチームに参加した高校2年生は「(社会課題を出し合う中で)自分が思っていた以上に、他の人たちの悩みが分かった。今後(啓発ポスターの掲示を通して)LGBTQやSOGIについて普通に話せるようにもっていければ」とし、土浦の魅力を伝えるプチバス旅を提案をした高校3年の女子生徒は「学業との両立が大変だったがいい経験になった。今後、動画を広めて、バスに乗ってくれる人が増えてくれれば」と話していた。(鈴木宏子)

つくば市への無償譲渡は妥当 県議会調査特別委が結論 洞峰公園

県議会の第3回県有施設・県出資団体調査特別委員会(田山東湖委員長)が25日開かれ、前回、審査継続となっていた(8月30日付)県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮)を地元のつくば市に無償譲渡する県執行部の方針について審査が行われ、無償譲渡の方針は妥当とする決定が全会一致で出された。 妥当と結論を出した理由については、洞峰公園は①筑波研究学園都市開発に合わせて県が設置管理を行ってきた経緯があるが、公園の本来の位置づけが主として一つの市町村の区域内の利用者を見込んだ総合公園である②無償譲渡は将来の維持管理費の負担を県から市に変えるという性格をもち、経費の前払いとも考えられる③公園移管によるつくば市の財政面の影響についても大きな問題はなく、市からの理解も得られている④すでに市と十分協議の上、調整が進んでおり、市へ影響なども考慮する必要があるーなど8点を挙げた。 その上で田山委員長は、洞峰公園をめぐる一連の経緯について「本来(公園の管理運営方法など)方針を変えるごとに慎重な議論や説明が求められるところ、パークPFI事業のみが先行し、県民や市民、議会への説明が置き去りにされてきた」と指摘し、「二元代表制において議会と知事は車の両輪であることを改めて認識いただき事業を進めていただきたい」などと苦言を呈した。 さらに「今回の案件に関しては方針通りに進めていただきたいが、執行部に対しては現行の仕組みで欠落している部分、例えば譲与に関する条例や取扱基準の見直し、議会への報告の義務付けなど、今後きちんと議会として関与していけるよう早期に具体的な仕組みづくりの検討を進め、随時、委員会への報告に努め、委員会においても検討していきたい」などと指摘した。 公園の更新費40億円、施設は8割の32億円を想定 決定に先立つ審査では、新都市記念館や体育館など公園施設の今後の維持・管理費について江尻加那県議(共産)から質問が出た。つくば市が示した年平均約3500万円の修繕費用について大塚秀二県都市整備課長は「詳しい中身までつくば市から説明を受けた訳ではないが、考え方の基本として、予防的修繕を行うにあたって15~20年のサイクルを考えて(修繕に)かかるお金を年平均に直した場合、3500万円ほどと算出されていると聞いている。施設の更新費はこれからかかってくる。施設の更新費は、耐用年数80年を考えると、20年の外側になってくるので、更新費は入ってないという解釈になる」とした。 「県の公園として長寿命化した場合、いくらかかると県は試算していたのか」との質問に対して大塚課長は「2016年に健全度調査を行い、その際は40億円ほどこれからかかると算定していた。国の基準にのっとって、例えば建物は耐用年数50年程度を目安にしていた。実際に年数を重ねれば更新もあるし、いろいろなお金がかかってくるのは当たり前のこと。それをどれだけ平準化して予防保全を行うことで寿命を延ばしていくかがかぎになる。そういった意味でもうちょっと年平均で縮減していく。40億円のうち8割の32億円が建物分。それくらいの規模でやっているので、これからつくば市に移管した場合は、市の方で見直したり、適宜、市の意向で考えていくのかなと思っている」と話した。 県営公園の今後の在り方についてこの日、県から「社会経済情勢の変化、公園の規模や利用実態、市町村の意向などから、市町村の管理が望ましい公園については、市町村と協議の上、移管を進めていくべきと考えている」との考え方が示されたことについて、星田弘司県議(いばらき自民党)から、筑波研究学園都市の開発時に洞峰公園と一体的に整備された赤塚公園について質問が出た。大塚課長は「(赤塚公園は洞峰公園から)ペデストリアンデッキで歩行者や自転車で気軽に行けるような工夫がなされていて、一体的に使われていることは十分認識している。これから洞峰公園が市に移管されて、赤塚公園がどういう形が望ましいかは、つくば市の方で設置する協議会でいろいろなご意見を賜りながら検討していきたい」と述べるにとどまった。 県議会の決定を受け、今後のスケジュールについて県都市整備課は「現時点で明確にできるスケジュールはない」とし、つくば市公園・施設課は「今後、市民アンケートを実施する。スケジュールについては県と協議していきたい」などとしている。(鈴木宏子)

県内最古の土浦幼稚園 認定こども園として10月開園

県内で最初の公立幼稚園として138年前の1885(明治18)年に創設された市立土浦幼稚園(土浦市文京町)が、幼保連携型の認定こども園に生まれ変わり、「認定こども園土浦幼稚園」(塚本由美子園長)として10月2日に開園する。開園を前に24日、同園で開園式が催され、10月から同園に通う園児らが安藤真理子市長らとテープカットをしたほか、歌を歌ったり、父母らと園内を見学した。幼稚園と保育所の機能をもつ公立の認定こども園は同市で初めて。 土浦幼稚園は、市立東崎保育所(同市東崎町)と統合し認定こども園として再編するため、2022年3月に閉園した。老朽化していた園舎の改修工事が同年10月から実施され、今年8月に完成した。 同園は敷地面積約2300平方メートル、園舎は鉄筋コンクリート造2階建てで、延べ床面積約1100平方メートル。1階は0歳~2歳児の教室のほか、子育て支援センター、一時預かり室、給食室などが配置され、2階は3~5歳児の教室のほか、ホール、共用空間のキッズスペースが配置される。 各階に段差は無く、エレベーターや多目的トイレを設置しバリアフリーに配慮している。園舎は明るく開放的なつくりで、内装は、木の温かみと園児の健康を考慮し、木材や自然素材を使用している。外観は、変化のあるフレームや色で楽しさや明るさを表現している。園庭は土浦幼稚園と同じ天然芝を敷き詰めている。設計・工事費は計約4億5000万円。 定員は0~5歳の110人。10月からは、9月末まで東崎保育所に通う1~5歳児56人が通園する。来年4月以降は0歳児も受け入れる。保護者に所用ができた時などに子どもを一時的に預けることができる一時預かり室や、子育ての相談に乗ったり親子で遊んだり情報交換などができる子育て支援センターを併設する。 開園式には、安藤市長や3~5歳児クラスの園児と保護者が参加した。安藤市長は「県内で最も歴史ある土浦幼稚園を生まれ変わらせることができてうれしい」と述べ、「先生の言うことをよく聞いて、元気いっぱい遊んでください」など園児らに話しかけた。 少子化の進行により、同市の公立幼稚園は土浦幼稚園を含め当初、22年3月までにすべて廃止される予定(2019年10月31日付)だったが、4年前の市長選で初当選した安藤市長が土浦幼稚園の存続支援を公約の一つに掲げた。当選後、市立幼稚園再編計画を見直し、土浦幼稚園を東崎保育所と統合し、認定こども園として残した経緯がある。 塚本園長は「土浦幼稚園の歴史と東崎保育所の伝統を継承し、新しい認定こども園としての役割と市内の子育て支援の拠点としての役割を果たしていきたい。地域の皆さんと共に、子供たちが元気で楽しく過ごしてくれたら」と話し「土浦幼稚園の特徴だった外国人講師を招いた英語教育や体操教師を招いた体操教室のほか、『自転車のまち土浦』として新たに、自転車の乗り方教室なども開きたい」と話す。(鈴木宏子)

施設の補修・更新費34億円超 洞峰公園 つくば市、議会に示さず

長寿命化計画で県試算 つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、園内にある体育館、新都市記念館、フィールドハウス、管理棟の4施設だけで、2024年度以降の維持管理、補修、更新費用などが合わせて34億円以上かかると試算されていることがNEWSつくばの情報開示請求で分かった。県が洞峰公園の各施設の長寿命化計画を策定するにあたって2016年度に調査を実施し、各施設ごとにライフサイクルコストとして算出していた。 情報開示資料によると、各施設のライフサイクルコストは4月に県からつくば市に提供された。さらに6月には補修費用と更新費用の算出根拠となる材料費や単価などが市に示された。 これに対し市は、6月の市議会全員協議会(全協)や7月の市民説明会で、施設の更新費用について見通しを示さなかった。市は議会などに対し、日ごろの維持管理費について年間約1億5100万円かかるとし、施設の修繕費用については80年の目標使用年数を示しながら、「今後、施設全体で想定される施設修繕費の想定額は年間約3500万円程度となる」などと説明していた。今後15~25年間で計約5億8000万円程度の施設修繕費がかかるという試算だが、この数字は、県が算出した公園施設のライフサイクルコストの中の補修費用などを積み上げただけで、最も金額が大きい更新費用は含まれていなかった。 更新費用は、老朽化した施設の建築材料や設備機器を新しいものに取り替える費用。補修費用は、施設の大規模な手入れにかかる費用で、いずれも国の指針により長寿命化計画を策定する際に試算することが求められる。県は洞峰公園について、国の公園施設長寿命化計画策定指針や県県有建築物長寿命化実施基準に基づいて、施設の目標使用年数を80年と設定し、国のマニュアルに基づき施設を調査し、ライフサイクルコストを試算した。調査や試算に基づいて長寿命化計画を立て、国の補助金を活用して施設の改修や更新を実施する。 2016年度に県が実施した洞峰公園の調査では、各施設ごとに、建物の完成から50年や60年先の更新見込み年度までにかかる費用をライフサイクルコストとして算出している。ライフサイクルコストには、毎年かかる維持保全費用、5年に1回実施する健全度調査費用と、補修費用、健全度調査費用の計4項目がそれぞれ試算されており、各施設ごとにそれぞれ毎年いくらかかるかを算出している。 1980年に開園した洞峰公園は、プールとアリーナがある体育館、喫茶店やギャラリースペースがある新都市記念館などの施設が今年、築43年を迎える。県が算出した各施設のライフサイクルコストによると▽体育館のプール棟とアリーナ棟の電気・機械設備の更新見込み年度はいずれも7年後の2030年度で、市が無償譲渡を受けた場合、来年度から更新見込み年度の2030年度までにかかると試算されている維持保全・健全度調査・補修・更新費用の合計は約12億1700万円▽プール棟とアリーナ棟の建物の更新見込み年度は2036年度で、今後かかる費用の合計は約15億3200万円▽新都市記念館の更新見込み年度は2040年で、今後かかる費用の合計は約3億9700万円ーなどとなっている。 実際の修繕工事は、建物の状態や予算などを考えて行うため、長寿命化計画で算出したライフサイクルコストとは一致しない。ただし今後、施設の保全にいくらかかるかを調査し、見通した唯一の資料が県が算出したライフサイクルコストになる。洞峰公園にはほかにトイレ、倉庫、井戸などのほか、テニスコート、遊具、園路舗装、ベンチなどの施設や設備が数多くあり、これらを加えると今後かかる費用はさらに膨らむとみられる。 市が施設の更新費用を議会に示さなかったことについて、これまで市議会一般質問などで大規模修繕費用がいくらかかるかを明らかにするよう求めてきた飯岡宏之市議(自民党政清クラブ)は「(大規模修繕費用について)6月定例会で市は『確認中』と答弁し、最終日の全協でも教えてもらえなかった。この間、市と県とで(資料の)やりとりをしていたのに、なぜ全協で明らかにしなかったのか誠に遺憾。今後は議会に明らかにしてほしい」とし、「県が調査した時点と比べて現在は資材費が高騰しており、現時点で1.5倍以上の費用がかるのではないか」と話す。 これに対し、市公園施設課は「(更新費用については)施設の長寿命化計画を策定の上、国庫補助金を活用しながら施設の長寿命化を図っていきたい」としている。 差額4500万円の内訳は更新費や建物以外の修繕費など 一方県は昨年、パークPFI事業を実施するにあたって、17年度から27年度までで大規模修繕費が年平均8000万円かかるとしていた。市が今年6月、市議会に説明した施設修繕費の年平均の想定額3500万円程度と比べ、4500万円開きがあった。今回情報開示された資料でそれぞれの内訳を確認したところ、県の内訳には、市が試算した建物の補修費などのほかに、市が試算に加えていない建物の更新費と、建物以外のベンチや柵などの更新費などが含まれていた。 つくば市が県から無償譲渡を受けるにあたって、市は市内の建築士に建物の調査をしてもらい、指定管理事業者からの聞き取りと合わせて、修繕が必要な箇所を洗い出した。現在県は、体育館プール棟の雨漏り改修、天井材のボルトの締め直し、プール室内の暖房機器修理、アリーナ棟の空調機器修理、フィールドハウスの外壁レンガの修繕や防水対策などの修繕工事を実施中だ。修繕費用について県は計4000~5000万円になると県議会調査特別委員会で明らかにしているが、引き渡しにあたり現在不具合が生じている箇所の修繕にとどまっており、今回の県の修繕が今後、各施設の補修や更新工事費をいくら減らすことになるかは県も市も調査していない。 洞峰公園は自然林や洞峰沼を生かした筑波研究学園都市最大の都市公園としてつくられ、研究学園都市を南北に結ぶペデストリアンデッキの緑の帯に面する。園内の体育館と新都市記念館はいずれも、著名な建築家の大高正人(1923-2010)が設計した。筑波研究学園都市の名建築の一つで、体育館のプール棟は太陽熱、アリーナ棟は太陽光を利用するなど当時の先進的な技術を取り入れて設計された。新都市記念館は洞峰沼の上に乗り出して建っており、屋根の勾配は圧迫感のない自然な稜線を表現するなど、両施設とも自然と一体となった設計になっている。当時の建設・造成事業費は31億円という。(鈴木宏子)

洞峰公園を現地視察 県議会調査特別委員会

県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)を地元のつくば市に無償譲渡する県執行部の方針を審査している県議会の県有施設・県出資団体調査特別委員会(田山東湖委員長)の委員らが13日、洞峰公園を現地視察し、県都市整備課らの案内で、野球場や体育館のプール棟とアリーナ棟、新都市記念館、フィールドハウス、冒険広場や洞峰沼などを見て回った。 野球場は当初、パークPFI事業者がグランピングやバーベキュー施設を建設する計画を立てていた。現地で県の説明を受けた県議からは「(公園の中の)狭いエリアということが分かった」「皆さんへの説明が足りなかったのではないか」などの意見が出た。 体育館のプール棟とアリーナ棟、飲食店やギャラリースペースがある新都市記念館、トイレや会議室があるフィールドハウスの視察では、市への譲渡に向けて、県が現在、雨漏りやタイルのはがれなど不具合箇所を修繕しているなどの説明が県担当課からあった。 緑豊かな公園環境が維持されてきたことについて県は「4000本の樹木があり、100種類の鳥類が観察されている。公園サポーターが5団体登録されていて、若い人からお年寄りまで、花壇をつくったり清掃活動をして環境が維持されてきた」などとと説明した。 視察の途中、つくば市の飯野哲雄副市長らも参加して意見交換が行われ、県議からは「議会で(パークPFI事業を)議決して1年もたたないうちにこういったことになってしまった。つくば市の心配もあるし、県の貴重な財産を無償であげていいのかという県民感情もある」(森田悦男氏)、「(体育館や新都市記念館などの)建物の機能をきちんと維持していくことが課題。(県が策定した)長寿命化計画では建物の更新に数十億円かかる。市としてやっていけるのか」(江尻加那氏)、「プールは冬も温水で、体育館は暖房。つくば市は移管後、学校のプールに使いたいという話もある。燃料費は(年間維持管理費の)1億5000万円の中に入っているのか」(中山一生氏)などの質問や意見が出た。 田山委員長は「グランピングやバーベキュー予定地は(公園の中の)狭い一部の用地だということが分かった。いい悪いは別にして、県民やつくば市民への説明が欠落していたんだと思う。(公園の維持管理費など)経費だけの問題で云々ではなく、市民感情としてどうなのかということもあったと思う。現在の(県と市との)話の進み具合も意識して、今後に向けて検討したい。現場を見て良かったと思う」など感想を話した。 委員らはこの日、前回の8月30日の委員会で継続審査となった洞峰公園のほか、民間譲渡が計画されている鹿島セントラルホテルの計2カ所を現地視察した。次回の委員会は25日開催される予定。(鈴木宏子)

地震時の断層の滑りを再現 世界最大規模の試験機を開発 防災研

発生のメカニズム解明へ 巨大な岩石同士をすり合わせて地震時の断層の滑りを再現する世界最大規模の試験装置を防災科学技術研究所(つくば市天王台)が開発し、12日、報道関係者を対象に公開実験を実施した。「巨大岩石摩擦試験機」で、地震発生のメカニズムや、地震が連鎖的に起こる仕組みの解明を目指す。 同研究所地震津波防災研究部門の山下太主任研究員らが開発した。今年3月に装置が完成し、8月から実験を開始した。設計・開発・設置費は約4億円。 試験機は幅13.4メートル、奥行4メートル、高さ5.9メートル、総重量200トン。装置の中央に、直方体の岩石を上下に2体並べ、加重をかけ、すり合わせて、石の伸び縮みや揺れなどのデータを測定する。すり合わせる岩石は長さ7.5メートル、幅0.5メートル、高さ0.75メートルと、長さ6メートル、幅0.5メートル、高さ0.75メートルで、2体の岩石がすれ合う断層面積が世界最大規模になる。最大で1200トンの加重をかけ、毎秒0.01ミリから1ミリの速さで、最大1メートル滑らせることができる。 身の回りで実際に起きているマグニチュード・マイナス1.4規模の地震を実際に起こすのと同じ規模の実験になる。地震として観測可能な最少規模の地震より少し大きな地震という。実験に使用する岩石は現在、粒が小さく硬く壊れにくい、はんれい岩を使っている。 地震は、断層が滑る際に揺れ(地震波)が起こり発生する。断層の滑り方は岩石の摩擦の性質に左右されることから、地震のメカニズムの解明を目指し、これまでも岩石同士をすり合わせて摩擦の性質を探る研究が世界中で重ねられてきた。 当初は、手のひらサイズの岩石を使って実験室で摩擦の性質を調べる実験が行われてきたが、近年の研究で、実験に使う岩石の大きさによって摩擦の性質が変わることが分かり、自然に近い大きさの岩石での実験が求められているという。 南海トラフ「半割れ」再現も 今後は、岩石と岩石がすり合う断層面に発生する石の粉などの摩耗物を取り除いて断層面が比較的均質な状態で実験したり、石の粉を残したまま断層面が不均質な状態で実験するなどし、断層面の均質性が地震の前の段階にどのように作用しているかなども実験で確かめたい考えだ。 さらに南海トラフのような広大な断層では、断層の一部が滑って地震が発生した後、時間をおいて残りの断層が滑る「半割れ」と呼ばれる連鎖的な地震が発生してきた。半割れは現在国が、南海トラフで想定しているケースの一つでもある。これまでの試験装置では使用する岩石が小さかったため、断層全体が一度に滑ってしまう地震しか再現できなかった。今回開発された装置を使い、半割れのような複雑な地震の発生を実験で再現することも求められている。 同研究所は2011年から大型岩石摩擦実験に取り組み、これまで長さ1.5メートルの岩石で実験してきた、今回開発した大型試験機はそれに次ぐ規模となる。 12日は同研究所内の大型耐震実験施設内に組み立てられた巨大岩石摩擦試験機を動かし、上段のはんれい岩に上から30トンの荷重をかけて、さらに下段のはんれい岩を横に毎秒0.01ミリの速さで1センチ動かす実験を実施した。山下主任研究員は「地震を再現して地震発生のメカニズムを再現し、地震発生予測につなげたい」と話す。(鈴木宏子)

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