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1年遅れで「協議会」設置へ 洞峰公園 つくば市

昨年2月、つくば市が県から無償譲渡を受けた洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)の管理運営方法などを協議する「協議会」=メモ=が3月にも設置される見通しになった。五十嵐立青市長は当初、昨年3月に協議会を設置する方針を示していた。1年遅れてようやく設置される。 市公園・施設課によると、協議会の組織イメージや構成について、昨年12月20日開かれた第3回洞峰公園・運営協議会設立準備会で方向性がまとまった。同準備会はメンバーも会議自体も非公開で進められ、昨年3月、4月、12月に計3回開催された。昨年6月には準備会の提案で、洞峰公園の自然環境や施設などの情報を市民と共有するためのイベントを市が開催した(24年6月5日付)。 1年遅れた理由について同課は、準備会で、洞峰公園について市民の理解が足りてないなどの意見が出て、6月にイベントを開催し、さらにイベントで市民から意見をもらって、意見を反映させるため時間がかかったなどと説明している。 委員会と分科会の2層 協議会で協議する内容は、公園や公園内施設の維持管理や運営、施設の長寿命化、自然環境の保全のほか、教育面での活用などについて協議し、公園管理者である市に提案する。当初の具体的な議題として、体育館やプール、テニスコートなど施設の利用料金、樹木など植栽の管理方法、駐車場の拡張の検討などのほか、子供たちが自由に遊ぶプレイパークなど子育てや教育での活用方法の検討などが想定されるという。 組織は委員会と分科会の2層構造で、委員会のメンバーは公募せず、学識経験者4人程度、市民・住民団体代表が最大8人程度と、施設管理事業者、造園関係団体、無償譲渡前に洞峰公園の管理担当だった県都市整備課長、つくば市議、市の各分野の担当課など計20人程度で構成する。 分科会は①環境➁教育③施設管理・運営の3つに分かれ、委員会メンバーである学識経験者と市民・住民団体代表などがそれぞれリーダー、サブリーダーとなるほか、メンバ―を一般から公募する。公募対象はつくば市内のほか、公園を利用する市外からも広く公募。3分科会それぞれ10数人程度集まると想定しているが、現時点で人数は制限しない方針だ。分科会の協議方法は、それぞれ公募で参加した市民らが各テーブルに分かれて意見を出し合う形になるという。 分科会と委員会、公園管理者である市との関係は、分科会はそれぞれ、参加メンバーの意見を集め、委員会は各分科会から出た意見を調整して市に提案する。市は委員会の提案を受けて管理・運営方針を作成などする。 協議会設置に向けた今後の日程は、1月上旬ごろに市が選定した委員会のメンバー候補者に参加を依頼、続いて1月中旬ごろから3つの分科会のメンバ―を市内外から公募する。2月下旬には委員会、分科会のメンバーをそれぞれ確定し、3月下旬には協議会を設置したいとしている。 協議会の開催日程については各分科会を3カ月に1回程度、3つの分科会のいずれかを毎月1回程度開催するペースになるのではないかとしている。会議は委員会、分科会いずれも公開で実施する予定という。 市が洞峰公園の無償譲渡を受けるに当たってはこれまで、公園の維持管理費のほか、体育館・プール、新都市記念館の長寿命化費用などの負担軽減が市議会や市民説明会などで指摘されてきた。五十嵐市長は今後の公園管理などの在り方について協議会を設置して決めると議会や説明会などで説明し、2024年度当初予算に、協議会を年間10回程度開催する予定で委員20人分の謝礼として200万円を計上していた。協議会で方針が出されるまでの公園の維持管理や運営については現状を維持するとして、2024年度については、これまで県の指定管理者として同公園を維持管理していた事業者に随意契約により年間約3億7900万円で維持管理と運営を委託している。(鈴木宏子) ※メモ【協議会】2017年6月の都市公園法改正で、パークPFI(公募設置管理制度)などと共に新たに設けられた制度。都市公園の利用者の利便の向上に必要な協議を行うために設置することができる組織で、メンバーは、公園管理者、関係行政機関、関係自治体、学識経験者、観光関係団体、商工関係団体と、その他の公園利用者の利便性の向上に資する活動を行う者(住民団体、愛護会、自治会、指定管理者、公園施設の設置・運営者など)などで構成するとされる。各構成員は協議が整った事項について尊重義務がある。

「目標水準に」ドライバー74人応募 公共ライドシェア つくば、土浦など4市

来年1月下旬から運行 つくば、土浦、下妻、牛久の4市が、バスやタクシーなど公共交通の確保が困難な4エリアで、来年1月から運行を目指している公共ライドシェア(10月1日付)について、自家用車を使って有償で乗客を送迎する一般ドライバーを10月から募集したところ、今月19日までの1カ月半で4市全体で74人の応募があり、目標の76人をほぼ達成した。実施を呼び掛けたつくば市総合交通政策課は「まずまずの水準ではないか」としている。 ドライバーが確保できたことを受け、来年1月下旬から運行をスタートさせる。 エリア別の応募者は、①つくば市桜ニュータウンと土浦市天川団地周辺を出発してつくば駅など4カ所に行き、平日朝と夕方などに運行する「つくば・土浦エリア」は目標41人に対し応募39人➁筑波山中腹からふもとまで行き、夕方などに運行する「筑波山エリア」は目標と同じ15人③下妻市の南側で日中などに運行する「下妻エリア」は目標と同じ3人④常磐線沿線などを除く市全域で朝と日中などに運行する「牛久エリア」は目標と同じ17人。現在「つくば・土浦エリア」のみ若干名募集し、他の3エリアは募集を打ち切っている。 ドライバー74人の内訳は男性65人(87.8%)、女性9人(12.2%)。年代別は20代が8人(10.8%)、30代が10人(13.5%)、40代が14人(18.9%)、50代が22人(29.7%)、60代が17人(23.0%)、70歳以上3人(4.1%、タクシーなどが運転できる2種免許所持者)。ドライバーとして当初、通勤・通学のため家族を毎朝送迎している主婦(夫)や定年退職者などの応募を期待していた。実際の応募者は男性が9割近くを占め、50代が最多となった。応募者はオンラインでの面接、講習受講、教育研修などを実施の上、ドライバーバンクに登録される。 一方、利用方法は、1月下旬までに開設するインターネットの特設ページから登録してもらい、スマートフォンやパソコンで予約できるようにする。乗車料金はエリアごとに異なり、「つくば・土浦エリア」は事前予約(前日の正午までに予約)は1回600円、直前予約(前日の正午から当日30分前までに予約)は800円。「筑波山エリア」はいずれも1000円。「下妻エリア」は事前予約700円、直前予約1000円。3エリアいずれも小学生は半額、未就学児は無料。「牛久エリア」は700円、小学生は600円、未就学児は無料など、エリアごとに異なる。支払い方法はスタート時は、当日、降車時に現金またはキャッシュレス決済のペイペイで支払う。3月末までには予約時にクレジット決済もできるようにする。 利用の周知については各エリアごとにそれぞれ実施し、地域住民が利用対象となる「つくば・土浦エリア」の桜ニュータウンでは来年1月と2月に計3回、説明会を開催する。観光客が利用対象の「筑波山エリア」は、観光案内所、ホテル、旅館、ケーブルカーやロープウエイの案内窓口などに市がちらしを持参し説明などするという。(鈴木宏子) 【追加】下妻、牛久市の最終的な運賃の分類はそれぞれ最新情報の確認が必要。 【訂正】ドライバーの当初想定の一部を訂正しました。

香取台中の新設見直し 2校を小規模特認校に つくば市

新学校適正配置計画案の方針まとまる つくば市立小中学校や幼稚園などの規模や配置を今後どうするかについて、2024年度から10年間の指針を示す同市学校適正配置計画案の概要が、このほど開かれた市学校審議会(会長・藤井穂高筑波大教授、委員24人)でまとまった。5年前の計画では「新設を検討する」としていた香取台中学校の新設を新たな計画から削除し見直すほか、児童数が少ない谷田部南小学校と今後減少が見込まれる栗原小の2校を、通学区に関係なく市内どこからでも通学できる小規模特認校にするなどの案が示された。 同計画は5年ごとに見直しを実施している。今回の新たな計画案は来年1~2月にパブリックコメントを実施した上で、3月までに決定する。 香取台中は前回2020年3月策定の同計画で、2029~38年度に「高山中学校から学区の分割を検討し香取台地区中学校の新設を検討新設する」としていた。新設場所は、児童数の増加に伴ってつくばエクスプレス(TX)万博記念公園駅近くに23年4月に開校した香取台小北側の隣接地だった。新しい計画案では、香取台中を新設しないことで、通学区にある高山中が29年度に1教室、35年度に12教室不足すると見込まれるが、高山中隣接の県有地1.5ヘクタールを購入し校舎を増築するので対応可能だなどとしている。 一方、TX沿線開発の土地利用計画で中学校用地とされている香取台小北側の隣接地については、市が用地を購入し、一部を香取台小の拡張用地とするとしている。購入する残りの用地は公益施設用地として利用方針を検討中という。 小規模特認校については、谷田部南小は複式学級化が見込まれること、栗原小は中根・金田台地区に新設が予定されている小学校が2026年に開校すると複式学級化が見込まれるとして、いずれも2026年度から、少人数を生かし特色ある教育を実施する小規模特認校とする。県内には水戸市と阿見町に小規模特認校の小学校、牛久市に同義務教育学校がある。 同審議会では、今後教室不足が想定される学校の対応として ▽要小は2029年度に2教室不足すると見込まれることからリース校舎を増設する ▽谷田部小は29年度に1教室、32年度に6教室不足することからリース校舎で対応する ▽島名小は29年度に2教室、32年度に8教室不足することから、通学区を見直し島名小区の一部を香取台小区に変更し、香取台小北側県有地(中学校予定地)を購入して一部に校舎を増築する ▽手代木中は34年度に1教室、35年度に1教室不足するが既存校舎の教室転用で対応する ▽みどりの南中は、28年度に3教室、32年度に8教室不足し、当初校舎の増築が予定されていたが増築を行わず、既存校舎の教室の転用と、併設されているみどりの南小校舎教室の相互利用で対応する ▽吾妻小は、吾妻2丁目の70街区と90街区の公務員宿舎跡地の売却が決定しており、28年度ごろから新築マンションなどへの入居開始、30年度ごろから教室不足が想定され、同小の増築などの対応を検討しているが、開発計画が未定のため新しい計画には教室不足などは盛り込まないーなどとした。 ほかに、新たに市立幼稚園の配置方針の項目を設け「全15園中8園で定員半数以下となっており適正規模とはいえない」などの文言を盛り込む。 一方審議会では委員から、香取台中の新設見直しについて「区画整理事業の土地利用計画と齟齬(そご)が生じる。大きな計画変更になり、近隣住民にはものすごいインパクトになる。丁寧に説明してほしい」、市立幼稚園については「なぜ園児数が少ないかは、3歳児クラスがないから私立に流れている。私立はバスで送迎もする。(幼稚園と保育所を一元化する)幼保一体をまず進めるべき」などの意見が出された。(鈴木宏子)

道の駅 市内2カ所に整備も検討 つくば市

筑波山麓と洞峰公園近く つくば市の五十嵐立青市長は9日の定例記者会見で、道の駅を①筑波山麓の池田地区と➁洞峰公園近くの上原・松野木地区の市内2カ所で整備することを検討すると発表した。2カ所いずれも整備するか、1カ所のみとするかは今後さらに検討する。五十嵐市長は「二つの可能性もある」としている。 ①池田地区は、市北部の国道125号バイパス沿い付近、➁上原・松野木地区は、研究学園都市の洞峰公園に近い西大通り沿い付近。面積は3ヘクタール以上とし、いずれも民有地を買収する方針。農地の場合は今後、農地転用などの手続きが必要になる。 市観光推進課によると、五十嵐市長2期目(2020-24)のロードマップ(公約事業の工程表)の一つに「道の駅整備の検討推進」とあることから、23年度に市経済部職員内部で、市内に整備する道の駅にどんな機能が求められるかや必要面積などについて検討した。一方、22年度4月策定の第3次市観光基本計画(22-26年度)に、道の駅整備の記載はないという。 23年度の市内部の検討により、3ヘクタール以上の面積が確保できる場所として①池田地区➁上原・松野木地区のほか、③島名地区④菅間地区の計4カ所が候補地案として選定された。 24年にコンサルタント会社に道の駅検討基礎調査を委託し、4カ所についてそれぞれ、立地、商圏、周辺の類似店舗、売上など需要予測、経済波及効果予測の5点を診断した。診断の結果、①池田地区と➁上原・松野木地区の2カ所が高評価だったことから、11月下旬の庁議で2カ所とも検討を進めていくことを決定したとしている。 ①池田地区は、筑波山には年間200万人を超える観光客が来ることから観光面が期待できるとし、➁上原・松野木地区は、研究学園都市の研究所や大学と連携する新たなコンセプトを検討したいとしている。基礎調査の簡易的診断で2カ所とも黒字化するとの診断が出ているという。 一方、選定されなかった③島名地区は車で20分圏に道の駅常総があり競合する、④菅間地区は周辺に類似店舗が多いなど、いずれも周辺への影響が想定された。 ①池田地区と➁上原・松野木地区の2カ所については来年度、有識者や公募市民などによる検討会等を設置して方向性を検討するなど基本構想を策定する。それぞれの道の駅にどのような機能をもたせるかなどは2025年度以降にさらに検討するとしている。一般的に完成までには早くて5~6年かかるという。 道の駅は、24時間無料で利用できる駐車場とトイレがある「休憩機能」、道路情報や地域の観光情報、緊急医療情報などを提供する「情報発信機能」、文化教養施設や観光レクリエーション施設などの地域振興施設がある「地域連携機能」の3つの機能を併せ持つ施設をいう。五十嵐市長は「(道の駅の登録要件として3つの機能以外に)『その他』があるので、新たな機能をどう打ち出すか検討したい」としている。(鈴木宏子)

議長に黒田氏、副議長に小森谷氏 改選後初のつくば市議会開会

常任委の副委員長全員が新人に 改選後初のつくば市議会12月定例会議が5日開会し、議長に最大会派、つくばクラブの黒田健祐氏、副議長に市民ネットの小森谷さやか氏が選任された。 委員会委員の選任も行われ、常設されている総務文教、福祉保健、市民経済、都市建設の4つの常任委員会の正副委員長ポストを、いずれもつくばクラブ、市民ネット、公明などの与党系会派が占めた。改選前は野党系会派である第2会派が委員長職の一つに就いていた。 副委員長は4つの常任委員会いずれも与党系会派の新人が選任された。ベテラン市議の一人は「4つの常任委員会の副委員長ポストすべてを、議員になったばかりの新人が占めるのは聞いたことがない」と話す。 本会議では五十嵐立青市長の所信のあいさつの後、議長選が行われ、黒田氏と山中真弓氏(共産)が立候補した。議員28人全員による投票の結果、27対1で黒田氏が選任された。黒田氏は「諸先輩方がつくってきた議会改革の流れを途切れさせることなく、さらなる推進をしたい。議会基本条例の検証、委員会の事務調査の活性化などを、議員の意見をていねいに伺いながら前に進めたい」などと所信表明した。副議長は小森谷氏以外に立候補はなかった。任期はいずれも慣例により2年間となる。 12月定例会議の会期は26日までの22日間。2日目の6日は五十嵐市長が議案22件、報告4件の計26件を提案する。一般質問は13、16、17日の3日間行われ、28人中24人が質問する予定。 改選後の新たな会派は以下の通り。計10会派のうち6会派は一人会派。◎は代表。敬称略。▷つくばクラブ(8人)=◎小久保貴史、伊藤文弥、小村政文、黒田健祐、神谷大蔵、五頭泰誠、木村清隆、塩田尚▷Nextつくば(7人)=◎飯岡宏之、田代優、市原琢己、樋口裕大、中村重雄、木村修寿、塚本洋二▷つくば・市民ネットワーク(4人)=◎小森谷さやか、川田青星、川村直子、あさのえくこ▷公明党つくば(3人)=◎渡辺峰子、梅沢尊信、篠内幸代▷創生クラブ(1人)=高野文男▷日本共産党つくば(1人)=山中真弓▷つくばチェンジチャレンジ(1人)=川久保皆実▷新・つくば民主主義の会(1人)=酒井泉▷ワニナルつくば(1人)=青木真矢▷縁粋会(1人)=榊原アリーゼ 委員会の構成は以下の通り。◎は委員長、〇は副委員長、敬称略▷総務文教委員会=◎木村清隆(つくばクラブ)、〇渡辺峰子(公明)、樋口裕大、山中真弓、小森谷さやか、飯岡宏之、塩田尚▷福祉保健委員会=◎小村政文(つくばクラブ)、〇伊藤文弥(つくばクラブ)、田代優、篠内幸代、川久保皆実、川村直子、木村修寿▷市民経済委員会=◎あさのえくこ(市民ネット)、〇梅沢尊信(公明)、青木真矢、酒井泉、中村重雄、黒田健祐、神谷大蔵▷都市建設委員会=◎高野文男(創生クラブ)、〇川田青星(市民ネット)、榊原アリーゼ、市原琢己、小久保貴史、五頭泰誠、塚本洋二 ▷議会運営委員会=◎塩田尚(つくばクラブ)、〇神谷大蔵(つくばクラブ)、渡辺峰子、あさのえくこ、小久保貴史、木村修寿、塚本洋二、飯岡宏之▷広報広聴委員会=◎川久保皆実(チェンジチャレンジ)、〇青木真矢(ワニナル)、川田青星、梅沢尊信、小村政文、中村重雄、山中真弓、小森谷さやか▷予算決算委員会=◎木村清隆(つくばクラブ)、〇篠内幸代(公明)、委員は議長を除く全27人 (鈴木宏子)

減収額は土浦市28億円 つくば市52億円 「103万円の壁」引き上げで試算

所得税の支払いが発生する「103万円の壁」を178万円に引き上げた場合の自治体財政への影響について、土浦市の安藤真理子市長は2日開かれた定例記者会見で、市税収入が約28億円減収になるという試算を明らかにした。一方、つくば市によると同市は約52億円の減収になると試算している。 103万円の壁については、国民民主党が基礎控除などを178万円に引き上げると主張し、石破茂首相が11月29日開かれた衆参本会議で「(2025年度の)税制改正の中で議論し引き上げる」と所信表明している。これに対し全国の自治体の首長からは影響が大きいとする意見が出されている。 土浦市(人口約14万人、今年度一般会計当初予算約576億円)の場合、減収の28億円は今年度予算ベースで個人市民税の約30%、市税全体の12%を占める。地方交付税についても約3億5000万円の減収が試算されるとする。 つくば市(約26万人、1118億円)の場合、減収の52億円は、個人市民税の25%、市税全体の10%を占めるという。 103万円の壁の引き上げについて安藤市長は「市政を運営する上で大きな影響が出るので(財政運営を)大幅に見直さなければいけなくなる」とする一方「物価が上がる中、働く人の収入が上がり人手不足解消につながるなど市民にとって良いこともある」とし「国には、地方の財源に配慮しながら進めていただきたい」と話した。(鈴木宏子)

再認定に向け現地調査 筑波山地域ジオパーク

来年1月、日本ジオパーク委員会が審査 筑波山や霞ケ浦、関東平野などを含む「筑波山地域ジオパーク」で、地質遺産など大地の遺産を保全し活用する取り組みが質・量ともに充実しているかなどについて審査する、4年に一度の再認定審査が今年行われている。審査の一環で28日から日本ジオパーク委員会の調査員2人が筑波山地域を訪れ、30日まで現地視察や関係者へのヒヤリングなどを実施している。合格しないとジオパークの認定が取り消される厳しい審査だ。審査結果は来年1月27日に出される。 28日、日本ジオパーク委員会委員で群馬県立自然史博物館学芸員の菅原久誠さんと、島原半島ユネスコ世界ジオパーク専門員の森本拓さんの2人が現地調査に訪れた。2人は同日、筑波山地域ジオパークを運営する同推進協議会(つくばなど6市の行政、市民、民間団体、専門家らで構成)のジオガイドらの案内で、つくば市平沢の奈良・平安時代の役所跡「平沢官衙遺跡」や周辺の古墳などのほか、同ジオパークの中核拠点として旧筑波東中学校校舎に昨年11月オープンした「つくばジオミュージアム」などを視察した。29日は桜川市内を現地視察、30日は書類審査などを実施する予定だ。 平沢官衙遺跡では28日、同遺跡歴史ひろばを管理し団体客を案内したりイベントを開催するなどしているNPO平沢歴史文化財フォーラムの結束芳彦理事長(71)が、日本ジオパーク委員会の調査員らに同官衙遺跡が保存されるに至った経緯を説明した。「県営住宅をつくる計画があり、遺跡が出たので、県営住宅をつくるか、遺跡公園をつくるか論争があった」とし「国指定史跡となり、今は我々地元民が管理している。年間4~5万人が来て、勉強したり、くつろいだり、散歩をしている。我々も(遺跡として残ったことを)誇りに思っている」などと話した。調査員2人からは「修学旅行も来られますか」「自ら管理しようというのは集落の中から沸き起こったのですか」などの質問が出た。 結束さんは「再認定を受けるため(推進協議会の関係者が)頑張っているので、我々も地元民が誇りに思っていることや、学校教育にも資しているということを話した」などと語った。 8つの課題を指摘 筑波山地域ジオパークは2016年にジオパークとして認定された。その後2021年2月に再認定され、今回は2回目の再認定審査となる。審査のポイントは、前回4年前の審査の際に日本ジオパーク委員会から指摘された事項に対応できているかだ。 4年前の指摘事項は①ジオサイトの定義見直しに伴うサイトの見直し➁学校教育との連携③多様なジオツーリズムの在り方の検討④効率的かつ効果的な事務局運営体制の検討⑤適正な予算の検討⑥拠点施設・学習施設の連携⑦相互連携の推進及びパートナーシップの強化⑧看板や展示に関するテクニカルな課題及びアドバイスーの8つだった。 同推進協議会事務局のつくば市ジオパーク室によると、①ジオサイトの見直しについては、これまで「筑波山南麓」「桜川中流」など地域ごとに26のジオサイトを設定していたが、ユネスコ世界ジオパークのガイドラインの再定義に基づいて新たに組み直し、「地質サイト」として筑波山山頂の花こう岩など22カ所、「自然遺産」として筑波山塊のブナ林など8カ所、「有形文化遺産」として平沢官衙遺跡、桜川市の真壁の町並みなど32カ所、「無形文化遺産」としてがまの油売り口上など8カ所、「ビュースポット」として土浦市の朝日峠展望公園展望台など12カ所を今年8月の総会で設定した。伊藤祐二室長によると「これまでのジオサイトはふんわりしたエリアだったが、新たな設定では、どこからどこまでかを区切って設定している。区域を明確にしたので、今後はどう保全していくかについても取り組む」と方向性を話す。「民有地についても、地権者と一緒に保全について考える成功例をつくりたい」と意欲を語る。 8つの課題に対する取り組みとしてほかに➁学校教育との連携では、推進協議会で専門員を雇用し2021年から各学校で出前授業などを実施してきた、⑥拠点施設と学習施設との連携では、昨年、中核拠点施設「つくばジオミュージアム」を整備した。さらに⑦相互連携の推進やパートナーシップの強化では、今年2月、ジオパーク活動で得た知識をもとに、真壁石や稲田石などと呼ばれる筑波山塊の花こう岩を国際地質科学連合のヘリテージストーン(天然石材遺産)に申請し、7月にアジアで初めて認定された。認定を受けて真壁などの石材業者から「バブル以来の盛り上がり」と言われたなど、新たな連携ができたとする。 再認定審査に向けては、現地調査に先駆けて9月15日、筑波山地域の課題に対する進ちょくについて、すでに報告書と自己評価表を提出している。 伊藤室長は「まだできてない部分もあるが、4年間真摯(しんし)に課題に対応してきた。現地調査では、課題について調査員と相談しながら、今後良くなる方向で審査が受けられれば」と話す。(鈴木宏子)

ネット投票の評価は62.7点 つくば市長 退職金1278万円に

投票者は1048人 つくば市の五十嵐立青市長が、自身が受け取る2期目の退職金をインターネット投票による評価の平均点で決めるとしていた件について(8月26日付、10月4日付)、五十嵐市長は12日の定例記者会見で、1日から11日まで実施したネット投票の結果を発表した。1048人が投票し、評価点の平均は100点満点中62.7点で、退職金額は満額の2039万4000円に対し、62.7%の1278万7038円になるとした。 マイナンバーカードの交付を受け、同市のアプリ「つくスマ」をダウンロードしている15歳以上の市民を対象にネット投票を実施した。 投票した1048人は、投票ができる15歳以上の市民21万8721人の0.48%、投票手段として必要なマイナンバーカードの交付を受けている約13万人の0.8%、同市のアプリ「つくスマ」をダウンロードしている約2万3000人の4.5%だった。 1048人の評価点で最も多かったのが①100点で219人、次いで②80点が160人、③70点が133人、④0点が119人、⑤90点が101人だった=メモ1。 62.7点という結果について五十嵐市長は「(10月27日投開票があった)市長選の得票率53%=メモ2=が民意だと思っている。(得票率の)選挙結果から1割以上、上振れしている」と自賛し、投票率が極めて低かったことに対しては「高いハードルがあったが1000人を超える人が投票して良かった」とし、「『マイナンバーカードの(暗証番号の)6桁から(マイナンバーの)12桁を覚えてない』と、かなりの人に言われた。そこのハードルが課題として大きくあった。本人と、投票した得点は結び付かないが、セキュリティについて心配があるとも言われた」などと話した。一方、投票に必要な同市のアプリ「つくスマ」のダウンロード数は通常は毎日10~20件ほどだが、ネット投票期間中の10日までは計644件、1日平均64.4件のダウンロードがあったなどと強調した。 一方、本来の退職金額2039万円からネット投票による評価1278万円を差し引いた差額の760万6962円は、市に返還されるわけではない。県内44市町村で構成し市長など市町村職員の退職金の事務を行っている県市町村総合事務組合(水戸市)は「各市町村からお預かりしている負担金は、積立金ではないので、(同組合の)事務の共同処理としてお預かりさせていただいている」としている。 同市は今年度予算にインターネット模擬投票実施の委託料約2200万円を計上している。今年度中に計3回の模擬投票を実施する計画で、退職金のネット投票はその一つという。(鈴木宏子) ※メモ1【つくば市長2期目退職金ネット投票結果の内訳】評価 票を入れた人数0点 119人10点 52人20点 27人30点 41人40点 24人50点 90人60点 82人70点 133人80点 160人90点 101人100点 219人計 1048人 ※メモ2【得票率】10月27日投開票のつくば市長選の有効投票数11万6184票に対する五十嵐氏の得票数6万1604票の割合

手づくりの祭りで交流 5年ぶり「桜が丘フェスタ」【シルバー団地の挑戦@つくば 桜が丘】1

つくば市茎崎地区の住宅団地、桜が丘で3日、住民手づくりの祭り「2024桜が丘ふれあいフェスタ」(同自治会主催)が5年ぶりに開かれた。午前中は団地内の中央公園に豚汁や焼き芋、焼きそばなどの屋台が並んだ。住民約200人が参加して輪投げやヨーヨー釣りなどのほか、おしゃべりや会食を楽しんだ。午後からは隣接の公民館でハンドベルの演奏を聞いたりカラオケを楽しむなどして交流を深めた。コロナ禍で2020年から中止していた。 焼き芋にしたサツマイモは、団地内の畑で野菜作りをして一人暮らしの高齢者らに届けている「ふれあい友の会」の星野富士子さん(78)ら約20人が栽培した。1~2週間前に200本を収穫し、焼き芋にした。豚汁は自治会役員らが前日から仕込んで準備した。ハンドベルの演奏は日ごろ卓球を楽しんでいるメンバーが1週間ほど前から猛練習を重ねて披露した。豚汁の調理と販売を担当した女性(77)は「すごく和やかで楽しい。ありがたい」と話していた。 2015年まで同団地では、公園にやぐらを組んで盆踊りなどをする夏祭りを2日間にわたって開催してきた。住民が高齢化し準備が大変なことから、16年から文化祭を兼ねた秋祭りに切り替えた。 同団地は首都圏に通勤した団塊世代が多く住む約450戸の一戸建て住宅団地で、1977年から入居が始まった。入居開始から47年経ち住民は一斉に高齢化し、現在65歳以上の高齢化率は52%、空き家が約50戸あるという。 同自治会の落合正水会長(78)は「茎崎地区全体が共通して抱えている問題だが、だんだん高齢化し、催しものの開催が年々難しくなっているほか、自治会役員のなり手がいないのも課題」だとし、5年ぶりのフェスタ開催について「高齢化している中で、ふれあいや親睦の場を通して皆さんと楽しんだりすることは意義深いのではないか」と話す。(鈴木宏子)

つくば駅とバスターミナルに1日導入 点字ブロックのQRコードで視覚障害者を道案内

つくばエクスプレス(TX)つくば駅構内と、隣接するつくばセンターバスターミナルに1日、視覚障害者をスマートフォンの音声で道案内するシステムが導入された。点字ブロックに貼り付けられたQRコードを自分のスマホカメラで読み取り、行き先を選ぶと、目的地までの移動ルートを案内してくれる。 TXを運行する首都圏新都市鉄道とバスターミナルを管理するつくば市、システムを開発した「リンクス」(東京都港区)が昨年5月から6月、視覚障害者が学ぶ筑波技術大学の協力を得て実証実験を実施した(23年5月31日付)。安全性や利便性が確認されたことから今回、本格導入された。 導入にあたって、バスターミナルからつくば駅のホームまで約250メートルにわたって敷設されている点字ブロックの分かれ道や曲がり角など170カ所に計791枚のQRコードが貼り付けられた。利用方法は、自分のスマートフォンのカメラをQRコードにかざし、アプリをダウンロードする。スマホ画面に表示される目的地のリストから、つくば駅のホームやバス停、タクシー乗り場などを選択すると、分かれ道や曲がり角のたびに女性の音声で「直進10メートル」「右3メートル」「その先、前方に下り階段。階段を65段降ります」などと道案内し、目的地まで誘導してくれる。 視覚障害者は頭の中の地図をもとに、白杖や点字ブロックを使いながら1人で移動できるが、知らない場所では外出を支援する誘導者が必要になる。導入された移動支援システムは、初めての場所でも1人で移動できるよう、アプリに入っている点字ブロックの地図データを基に、進む方向と距離を案内する。 市内には視覚障害者が学ぶ筑波技術大が立地するなどから導入に至った。つくば駅では2023年4月時点で月30人の視覚障害者が駅係員のサポートを受けて乗車しているという。 導入されたのは「shikAI(シカイ)」というシステム。費用は、つくば駅構内が設置費用74万円、年間利用料が18万円で首都圏新都市鉄道が負担、バスターミナルは設置費用43万円、年間利用料は11万円でつくば市が負担する。ただしアプリをダウンロードできるのは現時点でiPhone(アイフォン)のみ、アンドロイドのスマホは利用できない。 首都圏新都市鉄道運輸部つくば駅務管理所の船越順也助役は「このシステムを活用することで視覚障害者がつくば駅とバスターミナル間を不安なく移動できる環境になる」とし「導入後もお手伝いが必要なお客様には駅係員が今までと変わらずサポートします」と語り、つくば市総合交通政策課の上田洋輔課長補佐は「視覚障害者がアプリを使って、一人でも気軽につくばセンターやつくば駅に外出してくれれば」と話している。システムを開発したリンクス ソフトウェアエンジニアの藤山悠史さんは「視覚障害者がもっと気軽に一人歩きできる世の中になってほしいと開発を進めてきた。駅からバスターミナルへの乗り換えなど移動や乗り換えの選択肢の幅を広げられれば」と述べる。 同システムは2021年1月に東京メトロで導入され、つくば駅は全国15施設目。導入事業者が鉄道事業者と自治体の2者にまたがるのは全国初。視覚障害者だけでなくつくば駅やバスターミナルで道に迷った時などに誰でも利用できるという。(鈴木宏子)

開催を中止 土浦全国花火競技大会

土浦全国花火競技大会実行委員会(会長・安藤真理子土浦市長)は1日、あす2日開催予定の第93回土浦全国花火競技大会を中止すると発表した。台風21号の影響により大雨が予報されているほか、雲底の高度が低いことが予報され、安全な打ち上げと競技花火としての観覧環境が確保できないとして中止の判断をしたとしている。 予報では雲底は高度300メートル以下となる。10号玉花火は300メートル上空に上がり、直径300メートルの大きさに開くため、花火の上半分が雲に隠れてしまうとみられるという。 一方大会要項では、荒天の場合は延期とし、3日または9日に順延する予定だった。しかし警備会社の労働者不足が想定より深刻な状況で、観客の安全を確保する警備が困難となり雑踏事故の発生などが懸念されることから、関係機関と協議の上、観客の安全を第一に考え、今大会は中止を決定したとしている。 同大会事務局の市商工観光課花火のまち推進室によると、今大会の警備は警備会社2社と契約し、500人弱の警備員を配置する予定だった。延期する場合、少ない人数しか警備員が確保できないという。延期の場合、これまでは警備会社と再調整して警備員が確保できていた。来年以降、延期の場合も想定してあらかじめ警備員確保の費用を負担するかどうか、課題になる。 大会中止は、コロナ禍で中止になった2020年と21年以来。同推進室は「ひじょうに残念。楽しみにしていただいた方に大変申し訳なく思っています」としている。 大会実行委員会会長の安藤土浦市長は「大会関係者間で協議・検討を重ね、安全な大会開催を最優先に考え、苦渋の決断となったが、中止することとした。開催を心待ちにしていた皆様、煙火業者の皆様を始め、大会開催に向けてご協力をいただいた関係者の皆様に心よりお詫び申し上げます」とするコメントを発表した。(鈴木宏子)

五十嵐氏が星田氏破り3選 つくば市長選

任期満了に伴うつくば市長選は27日即日開票され、現職で3期目を目指した五十嵐立青氏(46)=無所属=が、新人で前県議の星田弘司氏(50)=無所属、自民推薦=を破り、3選を果たした。当日有権者数は19万7088人。投票率は60.97%だった。 【つくば市長選】(選管確定)当 61,604 五十嵐立青 46 無現②  54,580 星田 弘司 50 無新  (無効3,976 持ち帰り5) 五十嵐氏は、2期目の公約135項目は86.1%進ちょくしたなど実績を強調、3期目に向け99の公約を掲げた。マニフェストなどを連日、新聞折り込みなどで配布。街頭演説や市内TX各駅でのあいさつを重ね、市議会最大会派などの応援を得て選挙戦を展開した。 星田氏は、がん対策や性暴力根絶条例の策定など県議4期の実績を強調。街頭演説やTX各駅でのあいさつを重ねた。推薦を受ける自民党の応援を得て、片山さつき参院議員、いばらき自民党の県議のほか、大井川和彦知事らが応援に駆け付けて選挙戦を実施した。 「99の公約をしっかり実現」五十嵐氏 同市上横場の選挙事務所には、衆院選茨城6区で勝利した青山大人氏、大部勝規高萩市長、大塚秀喜桜川市長、ヘイズ ジョン県議らが駆け付け、28日未明まで開票を待った。 開票がなかなか進まない中、午前3時前、星田氏が敗戦の弁を述べたことが五十嵐陣営に伝わると、3時15分、雨が降りしきる中、傘をさして祝勝会を開催。五十嵐氏は「大変厳しい選挙戦だったが3期目の当選をすることができた。(後援会の)青風会の皆様お一人おひとりが各地で全力で活動してくださったお陰で、私の思いを市民に伝えることができた。99の公約をしっかり実現していくため全力で仕事をしていきたい。今回、星田さんに投票した市民の気持ちもしっかり受け止めて、誰一人取り残さない市政を前に進めたい」などと話した。 「国政選挙の影響を受けた」星田氏 星田氏は28日午前2時40分、1回目の開票結果を待たずに、集まる100人ほどの支援者に向けて敗戦の弁を述べた。同市西大沼の事務所敷地に設けた選挙報告会場には、小選挙区で敗れ、比例で復活当選した国光文乃衆院議員も応援に駆けつけた。開票会場に詰める関係者からは、星田氏が5万1000票程度、五十嵐氏が6万票程度との見込み情報が入っていたという。 星田氏は「多くの皆様に支援、協力をいただき全力で闘ったが、残念ながら、私の不徳の致すところで敗戦となった」と述べた。「8月19日に出馬表明をして以来、各地区で多くの方に支援・協力をいただいた」とし、「市議会で6年、県議会で20年間にわたる政治活動をしてきた。これからは、いち民間人になるが、これまでの経験をかてに、皆様と共にがんばっていきたい」と深々と頭を下げた。 支援者からは、「結果的には国政選挙の影響を受けて残念な事態になった。市長選にも影響したというのが見方。若いので、これからもがんばってほしい」と激励の声が上がった。 五十嵐 立青(いがらし・たつお)46 市長 無現③【略歴】筑波大学大学院人文社会科学研究科修了。つくば市長。つくば観光コンベンション協会会長。いがらしコーチングオフィス代表。茨城パラスポーツ協会理事。元・NPO法人つくばアグリチャレンジ理事長。つくば市出身。梅園在住【公約】①市役所のデジタル化など徹底した行政改革②全天候型のこどもの遊び場整備など安心の子育て・教育③高齢者の生活支援事業推進など頼れる福祉 (鈴木宏子、柴田大輔、崎山勝功)

茎崎地区、市政満足度 際立って低く 地域格差【アングルつくば市長選’24】下

つくば市政に対する満足度について、市民の意見を把握するため市が2年に一度実施している「市民意識調査」がある。目立つのは、茎崎地区住民の市政に対する満足度が他地区と比べて際立って低いことだ。 調査は市の現状やまちづくりについて42項目を質問している。18歳以上の3000人を対象に、地区や年齢の偏りを無くし無作為抽出で行っている調査で、今後の施策形成と市政運営の基礎資料となる。昨年8月に実施した最新の調査では48.2%が回答した。 つくば市の住み心地を訪ねた設問では「住みやすい」「どちらかといえば住みやすい」と合わせた回答が市全体で83.3%と8割を超えているのに対し、地区別の集計で茎崎地区は63.2%と、市平均より20ポイント低く、地区別では最も低い。住みにくい理由としては、「交通の便が悪い」「日常生活が不便」「公共施設が不足」などが挙げられている。 「つくば市は自分らしく自分のやりたいことができるまちであるか」と設問に対しては、市全体で「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせた回答が56.6%なのに対し、茎崎地区は最も低い42.8%。ほかに豊里、筑波地区も50%を下回っている。つくば駅周辺の研究学園地区が66%、TX沿線開発地区が55.4%であるのと比べると、茎崎地区は12~23%満足度が低い。 「市政に市民の声が生かされているか」の設問に対するしては、市全体で「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせた回答が26.9%。「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」を合わせた回答は市全体で31.2%あり、「わからない」が39%ある。地区別では、こちらも茎崎地区の満足度が最も低く「そう思う」「どちらかといえばそう思う」は17.3%と市全体と比べ9.6ポイント低く、「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」が39.1%と4割を占める。 「つくば市には子供を安心して生み育てられる環境が整っているか」に対する回答も茎崎地区が際立って低いのが目立つなど、市政に対する市民の満足度には、地域格差が歴然とあることが分かる。 茎崎地区は、首都圏に通勤する主に団塊世代のサラリーマン世帯が、1970年代から80年代に一戸建て住宅を購入し、移り住んだベッドタウンで、今、高齢化が進んでいる。今年3月策定の第9期市高齢者福祉計画によると、茎崎地区の高齢化率は38.07%で、筑波地区の38.13%に次いで高い。TX沿線地区への人口増加が進む谷田部地区の高齢化率12.48%と比べ、高齢化率は3倍になる。 市民意識調査で際立つ茎崎地区住民の市政満足度の低さについて、同地区の一戸建て住宅団地、桜が丘に住み、地域の通学路の草刈りやごみ拾い、防犯パトロールなどに取り組むNPO桜が丘おはな会の小原利治さんは「茎崎地区は高齢化が進み、外に出ない人が増えている。交通の便も悪く、陸の孤島にいるように感じている人もいるのではないか。空き家対策に取り組み、企業を誘致し、若い人たちが入ってくるようなまちにしてほしい」と話す。 同地区に約60年前に転居し、住民運動などを通して長年まちづくりに取り組んできたてきた女性(90)は「合併前の茎崎町だったころと比べて、ものを言うリーダーが少なくなったように感じる」と話し「茎崎地区は6号牛久土浦バイパスの工事が進み、常磐線とつくばエクスプレスの両方の駅、常磐道と圏央道の両方のインターチェンジが近く交通の便がいい。まちに企業を誘致し、若い人が住みやすい市営住宅を用意するなど、若い人が希望をもてるまちづくりを構想することが必要」と話す。 茎崎地区について▽市長選に立候補している五十嵐立青氏は、給食レストラン整備、茎崎保健センターの市民利用施設への改修、牛久沼の生態系を生かした活性化などを掲げる▽星田弘司氏は、龍ケ崎、牛久、つくばみらいなどとの連携を強化した牛久沼周辺の活用などを掲げている。(鈴木宏子) 終わり

受験競争さらに激化も県「定員増必要ない」 県立高校不足【アングルつくば市長選’24】中

今つくば市の最大の課題の一つが、県立高校が不足している問題だ。人口が増え、子育て世帯が増加し、義務教育の小中学校などは市内のTX沿線地区に新たに7校が開校したにもかかわらず、市内の全日制県立高校の定員は中学卒業者数の6人に1人の枠しかない。市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)の調査によると、つくばの募集枠は水戸市の3分の1だ。 つくばに県立高校が不足している問題は、市民団体が2021年の市議会9月議会に出した請願をきっかけに顕在化した。以来3年間、市民団体と市選出県議、市などが一丸となって県に対し要望活動を続けてきた。にもかかわらず高校受験を控える中学3年生の受験環境は、3年前よりますます激化している。 これまでの県に対する要望活動の成果として、つくばサイエンス高校の定員が2学級80人増加、牛久栄進高校が1学級40人増加した。一方で、旧制一高に付属中が新設されたことで土浦一高の定員が2学級80人減、水海道一高が1学級40人減、下妻一高が1学級40人減となった。片や県の試算によると、つくば市の中学生は2024年から28年までに254人増え、24年から30年までに380人増える。 前提の算定方法を変更 来年度の県立高校募集定員の発表を前に、県教育庁は今月17日「県立高校の今後の募集学級数・募集定員の見込みを試算」と題する資料を明らかにした。その中で「中学校卒業者数の増加がみられるつくばエリアの状況」という項目を設け、「現時点では定員増が必要との判断には至ってない」とする方針を示した。 同資料によると、つくば市からの主な通学圏は、つくば市内の県立高校のほか、概ね片道1時間未満で通学ができる周辺市の県立高校となっている。このためつくば市の中学校卒業者数増加については、県内を12エリアに分けた「つくばTX沿線エリア」(つくば、つくばみらい、守谷、常総市、牛久市の一部など)とは別に、隣接している土浦市などの「県南北部エリア」の一部、下妻市などの「県西北東部エリア」の一部、牛久市などの「県南南部エリア」の一部を含めた7市17校(筑波、竹園、つくばサイエンス、並木中等、石下紫峰、水海道一、水海道二、伊奈、守谷、土浦一、土浦二、土浦三、土浦工業、牛久、牛久栄進、下妻一、下妻二)の入学状況を踏まえて検討するとした、 さらに、現在の推計では7市の中学校卒業者数が最大7043人となるのは2028年で、24年から180人増加する見込みだが。今年度の筑波高校、つくばサイエンス高校の欠員数の合計は194人で、中学校卒業者数だけで比較すれば現行の募集定員で足りる。魅力づくりにより筑波高とつくばサイエンス高の欠員が解消していくことを前提として28年の対象17校の入学見込みを推計したところ、2024年の募集定員の4120人に収まっている、その後は7市の中学卒業者数は減少が見込まれていることから、現時点では定員増が必要ではないーとの判断だ。背景には県全体で中学生が減少し続けていることがある。 県立高校の適正配置を考える前提として県は、県内を12エリアに分け、エリアごとに検討してきた。今回示された判断は、これまで前提としてきた県内12エリアとは別に、隣接市を含めた7市という新たなエリアを設けており、前提条件を変えるものだ。 これについて県教育庁高校教育改革推進室は「(今回示した判断は)12エリアを原則としベースとするが、エリアの実情を踏まえたもの」だとする。 校舎増築費負担提案に「費用の問題ではない」 つくば市が毎年行っている県に対する来年度予算編成要望が今年は9月5日に行われた。つくば市長は自身のSNSで、9月の予算要望の際「つくば市が既存の県立高校の校舎増築分の費用を市で負担することを提案した。例えば竹園高校を1学年2学級80名分増やすと、3学年で6学級分の建設費をつくば市で持つ」などと発信した。 市の新たな提案に対して県は「提案はあったが、そもそも費用の問題ではなく、現時点で実質的に定員増は必要ないという判断」だと、市の提案を一蹴する。 「事態は深刻に」 市民団体の片岡代表は「(県立高校が不足していることから)つくばでは県立中学を受験するために小学3、4年から塾に行くという状況になっており、その状況が今、土浦市などにも広がっている。事態は深刻になっている」と数字を示して指摘する。「この状況は社会的につくられたもの。個人の努力の問題ではない。社会が、県が、対応しなくてはならない」と話す。 県立高校が不足している問題をどうすべきなのか。▽市長選に立候補している五十嵐立青氏は「既存校の定員増を県に要望し、増設分の校舎の建設費は市で負担する提案をした。県立・私立高の誘致と県立高の定員増に向けた働き掛けをしていく」とする。▽星田弘司氏は「短期的には県立高校の募集定員増を県と交渉し、公立高校の誘致、県立高校の新設、市立高校の設置検討などあらゆる可能性を排除せずしっかり取り組む」とする。(鈴木宏子) 県立高校不足問題をめぐる最近の動き2021年4月 県立土浦一高に付属中併設、定員減2021年10月 市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」が市議会に出した県立高校新設や既存校の定員増などを求める意見書採択を求める請願が全会一致で採択2022年4月 水海道一高、下妻一高に付属中新設、定員減2022年12月 大井川和彦知事が県総合教育会議で「つくば市立高校をつくってはどうか」と発言2022年12月 つくば市などへの県立高校の新設や既存校の定員増などを求める県議会請願が継続審査に2023年4月 つくばサイエンス高を2学級増2024年4月 牛久栄進高を1学級増、筑波高校に進学対応コースを1学級新設2024年4月 つくば市が高校生に通学費補助など開始2025年4月 つくばサイエンス高に普通科を3学級新設

市税収入 毎年平均10億円ずつ増加【アングルつくば市長選’24】上

つくば市長選が20日告示され27日投開票が行われる。市政の課題について3回にわたって連載する。1回目は市の財政を考える。 人口規模1.35倍に つくば市の人口は2022年6月に25万人を突破、現在25万9000人超と増え続けている。県やUR都市機構などが地元地権者らの協力を得て2000年度から開始したつくばエクスプレス(TX)沿線の区画整理事業が進み、近年は国の低金利政策や住宅取得支援政策などに支えられた。TXが開業した05年の同市の人口が約19万1000人だったのと比べると約6万8000人増え、1.35倍増の人口規模になった。人口の伸びは国立社会保障・人口問題研究所の推計を上回るほどだ。 市内のTX沿線開発地区で最も早い2018年度に区画整理事業が完了し宅地などの販売が進んだ葛城地区(研究学園駅周辺)の人口は現在約2万人。計画人口2万5000人対し80%が居住する。同じ18年度に完了した萱丸地区(みどりの駅周辺)も計画人口2万1000人に対し77%の約1万6000人が居住。21年度に事業が完了した中根・金田台地区は8000人の計画に対し47%の約3770人が居住する。島名・福田坪地区(万博記念公園駅周辺)と上河原崎・中西地区は今年度、工事が終わり換地が実施される予定だ。市は20年改定の市未来構想で、あと24年間人口は増え続け2048年に約29万人にするという目標を掲げている。 7年連続不交付団体に 人口増と開発に伴って市民税と固定資産税など市税収入は年々増え、市の財政は今、かつてなく潤沢だ。2018年度から7年連続で、自分の税収だけで財政をまかなっていけるとされる不交付団体となっている。 2023年度決算によると市税収入は、市民税収入が約242億円、固定資産税収入が約226億円など計約511億9000万円。TX開業時の05年度の市税収入が計約338億2000万円だったのと比べると18年間で年間の約173億6700万円増と1.5倍に増えた。TX開業以降、毎年平均で約10億円ずつ、市の税収が増え続けてきた計算になる。 市税収入の増加に伴って市の財政規模も年々拡大、歳出決算額はTX開業時の05年度が587億だったのに対し、23年度は1125億9000万円と1.9倍に拡大した。23年度決算では、歳入から、歳出と翌年度への繰越を差し引いた剰余金である実質収支が40億8500万円あった。 市の2034年度までの中長期財政見通しによると、今後も2028年度まで毎年、市税収入が10億円ほど増え続け、その後も毎年数億円ずつの市税収増を見込んでいる。 補助費等2倍超に では毎年10億円近く増え続けてきた市税収入をつくば市は近年、何に使ってきたのだろうか。「充当一般財源」という財政用語がある。使い道が特定されず自治体の裁量で使える市税収入などの一般財源を、自治体がどこに使ってきたのかを性質別に表した数値だ。 23年度決算で充当一般財源の性質別歳出を見ると、総額約642億円のうち最も多いのが市職員などの「人件費」で約183億円、次いで委託料や備品購入費などの「物件費」が約140億円、3番目は児童や高齢者、生活困窮者などの福祉や医療に必要な「扶助費」で76億円となる。 前市長時代の2015年度と23年度の決算を比べると、充当一般財源の歳出は全体で1.3倍に増加。性質別で金額の割合が最も増えたのは助成金や負担金、報償費などの「補助費等」(23年度は約63億円)で、2.07倍となった。補助費等の主な内訳は、県後期高齢者広域連合医療費負担金、つくバス運行負担金、保育士への処遇改善助成金など。今年度から新たに実施された高校生の通学定期代支援金・自転車通学支援金なども補助費となる。次いで増えているのが、道路や街路、教育施設、公園施設などの「維持補修費」(23年度は約8億6000万円)で2.03倍となっている。これに対し減っているのは特別会計や基金などへの「操出金」で0.68と3割超減少しているなどが特徴だ。 毎年増え続ける市民の税収を、どの政策に優先順位を付けては使うべきなのか。▽市長選に立候補している五十嵐立青氏は主な公約として①市役所のデジタル化など徹底した行政改革②全天候型のこどもの遊び場整備など安心の子育て・教育③高齢者の生活支援事業推進など頼れる福祉ーなどを掲げている。▽星田弘司氏は①地域産業支援とつくばブランドの発掘・確立・セールス②市民の命と生活、雇用を守り抜く③教育日本一の実現と徹底した子育て・女性支援ーなどを掲げている。(鈴木宏子)

棄却も「市政の信頼大きく損ねた」 つくば市監査委員 生活保護行政の不適正事務

生活保護行政をめぐって、つくば市で不適正な事務処理が相次いでいる問題で、元市議の塚本武志さんが市監査委員(高橋博之委員ら)に出した住民監査請求(9月7日付)の結果がこのほど出された。生活保護費の過払いや過支給は「違法・不当な公金の支出に当たる」と認定しながら、「市の損害が確定していない」などとして請求を棄却とした。一方で「市民の市政に対する信頼を大きく損ねた」とし、「不適正な事務を一掃するという覚悟を持って今後の業務に取り組む」よう求める意見を付けた。 監査請求は7月に出された。生活保護費の過払いや過支給によって市に生じる計約3842万円の損害額について、市長や歴代管理職が同額を市に返還するよう求めていた。9月には、昨年まで生活保護業務を担当していた現役の市男性職員が請求者代理人として異例の陳述を行い「不適正事務の原因は、市が発表しているような管理職の認識不足などではなく、ずさんな債権管理と、誤った支給が発覚するのを恐れた管理職の故意、重過失が原因だ」などと告発していた。 監査結果は9月27日付で出された。各誤支給に対しては、市が現在、生活保護受給者に対し返還を進めており、市の損害額はまだ確定しておらず「対象職員に対する損害賠償請求権は成立していない」などとした。さらに、市の損害が生じた場合、市は対象職員の損害賠償も検討すると主張しているので、市の損害が確定した後、職員の損害賠償責任を判断すべきだとした。 その上で再発防止策の検討として、統一的な手順で正確な業務遂行ができるよう事務処理マニュアルを整備し、制度の理解を深めるため、職員を外部機関への研修に積極的に参加させるなどを求めた。 監査結果に対し請求人の塚本さんは「残念な結果。損害額が確定してないと言っているが、確定している額もある。でたらめな福祉行政だったことを示しており、きちんとやってほしい」と話し、今後、住民訴訟の訴えを起こすか否かについては「関係者と協議したい」とした。請求代理人として陳述した市職員は「(結果については)残念。時効確定分の4分の1は市の損害額として確定しているので、もう少し踏み込んで議論していただきたかった」とする一方、監査委員が付けた意見について「あまり例を見ないものでしょうし、職員の責任について言及した点については一定の評価をしている」とした。 一方、五十嵐立青市長は11日の市長定例会見で「真摯(しんし)に受け止めたいと思っている、調査を進めながら速やかに改善を進めたい」とする一方、今後の調査のスケジュールについては明らかにしなかった。(鈴木宏子)

2人世帯23%、4人世帯22%引き上げへ 水道料金値上げ条例可決 来年4月から

つくば市議会閉会 つくば市議会9月定例会議最終日の4日、本会議が開かれ、水道料金を来年4月から平均15%引き上げる市水道給水条例改正(7月30日付、9月3日付)のほか、市長退職金の金額をネット投票で決める市長給与特例条例など議案19件、認定7件などを可決して閉会した。 水道給水条例が改正されるのを受けて、水道料金の引き上げは来年4月から実施される。値上げは2018年以来。モデルケース別の試算では、一人暮らし世帯は15%、2人暮らしは23%、4人暮らしは22%の引き上げになるとされている。 水道料金の引き上げに対しては反対意見として小森谷さやか市議(市民ネット)から「今回の値上げ案の算出ベースとなっている企業債残高対給水収益比率350%と、資金残高30億円という数字を見直すべき。(350%は)世代間負担平準化のバランスのかじ取りの見極めが不十分だし、(30億円は)災害時の事業継続に必要な経費として確たる根拠はなく不十分。平均15%の値上げを10%に抑えることは十分可能。値上げ幅を抑えるため再考が必要」などの意見が出た。 山中真弓市議(共産)からは「水道事業会計は純利益が8億円、現金預金も22億円まで増えており、老朽管や電気設備の更新など施設改良費を自己資金でまかなえるほど豊か。公共設備は計画的に企業債を取り入れながら工事を行い整備すべきで、自己資金は料金値上げを抑えるために使用すべき。水道未普及地域の管路整備は福祉向上のため一般財源も繰り入れながら整備すべき。物価高で市民生活はひっ迫し、値上げは物価高で苦しむ市民生活をさらに圧迫することになり、中止すべき」などの反対意見が出た。 裁決の結果、賛成15、反対9の賛成多数で可決された。 下水道料金の改定も審議 市は現在さらに下水道料金の改定についても審議している。水道料金は5年ごとに見直しを検討するとしている。(鈴木宏子)

可否同数、議長裁決で可決 市長退職金額のネット投票 つくば市議会

つくば市議会9月定例会議に五十嵐立青市長が提案していた、市長2期目の退職金約2000万円の金額をマイナンバーカードを使ったインターネット投票で決める条例案について(8月26日付)、同市議会最終日の4日、採決が行われ、賛成12、反対12の可否同数となり、五頭泰誠議長の裁決により可決された。 科学の街の務め 本会議では、賛成意見として「筑波研究学園都市は科学技術を世界に波及する先進地として建設された。退職金のネット投票は、選挙のインターネット投票の実証実験の意味も含んでいる。課題を抽出し新しい取り組みをより良いものにするのは科学の街つくばの務め」(木村清隆市議)、「つくばはスーパーシティとして全国に先駆けて先進事例にチャレンジする責務を負っている」(小村政文市議)などの意見が出た。 不公平、市長個人のため疑問 これに対し反対意見として「市長個人のために市民の税金をネット投票に使うのは疑問だし、市職員の仕事を増やしてしまう。マイナンバーカードは任意なのに、マイナンバーカードとスマホアプリを使っている市民しか投票できないのは公平性が無い」(橋本佳子市議)、「市長は8年前『1期ごとに2000万円、3期で6000万円の市長特権の退職金廃止』を公約に掲げて当選した。その後いつの間にか公約を変えてしまった。金額を市民に聞いて決めることと退職金廃止はまったく別もの。まず公約を改めると言うべき。マイナンバーカードとスマホアプリを使っている市民は1万9000人しかおらず不公平。(ワゴン車に投票箱を積んで自宅前まで行く)オンデマンド型移動期日前投票を実施したい(すでに実施見送りが決定=9月2日付)と言った時は『だれ一人取り残さない』とさんざん言っていた。市民の意見を正しく取り入れるなら3000人抽出すればいいし、どうしてもやりたいのなら、投票で決まった金額にネット投票の投票率を掛けて決めるべきだ」(飯岡宏之市議)との意見が出た。 採決の結果は、欠席議員を除く25人のうち、賛成が、最大与党の「つくば自民党・創生クラブ」の6人、「公明党つくば」の2人、1人会派の4人の12人。反対は「自民党政清クラブ」の5人、「つくば・市民ネットワーク」の4人、「日本共産党つくば市議団」の2人と1人会派の1人の12人となり、議長裁決となった。 窓口センターでも準備 一方、投票できる市民が1万9000人に限られている問題について賛成議員からも「市民窓口で対応できるよう工夫してほしい」などの意見が出た。五十嵐市長は「電子署名機能が付いたマイナンバーカードを持っている人は13万人おり、期日を決めて、スマホをもってないとか、持っていても操作が分からない人は、窓口センターで職員がサポートしながら投票できる仕組みを準備している」とした。退職金額のネット投票は11月1日~11日に実施される予定。 審議会審議や市民への説明ない 同条例をめぐっては、9月定例会議開会前に市民団体「新しいつくばを創る市民の会」から「ネット投票に参加できない市民が出て公平性に欠ける、2000万円の費用がかかる、審議会の審議や市民への説明もされていない、市長の評価は退職金のネット投票で決まるものではない」などから慎重審議を求める請願が出ていた。 本会議に先立って9月17日に開かれた総務文教委員会(木村修二委員長)では審議の結果、3対3の同数となり、委員長裁決で条例は否決となっていた。 一方、市民団体の請願についても審議が行われ、委員会は3対3と同数となり委員長裁決で採択、本会議は12対12となり、議長裁決で不採択となった。(鈴木宏子) ◆本会議の採決結果は以下の通り(敬称略、議長除く)。 賛成(12人)▷つくば自民党・創生クラブ=小村政文、高野文男、長塚俊宏、黒田健祐、神谷大蔵、小久保貴史▷公明党つくば=浜中勝美、小野泰宏▷新社会党つくば=金子和雄▽山中八策の会=塩田尚▷清郷会=木村清隆▽つくばチェンジチャレンジ=川久保皆実 反対(12人)▷自民党政清クラブ=宮本達也、木村修寿、塚本洋二、飯岡宏之、鈴木富士雄▷つくば・市民ネットワーク=川村直子、あさのえくこ、小森谷さやか、皆川幸枝▷日本共産党つくば市議団=山中真弓、橋本佳子▽新緑会=中村重雄

画業50周年の集大成 つくば美術館で斎藤茂男展

つくば市在住の洋画家、斎藤茂男さん(73)の画業50周年を記念した「画業五十周年記念―齋藤茂男展」(斎画舎主催)が同市吾妻、県つくば美術館で開かれている。油絵を描き始めた高校、大学時代から、渡欧しウイーンに拠点を置いた時代の作品、帰国後、安井賞展、白日会展、茨城県展芸術祭などに出展した作品など、画業50年の集大成となる油絵115点を一堂に展示している。 斎藤さんは同市安食生まれ。下妻一高、東京造形大学を卒業後、写実を標ぼうする公募・研究団体「白日会」に参加した。第2次世界大戦直後のオーストリア・ウイーンで興った幻想的レアリスム派と呼ばれる「ウイーン幻想派」をさらに学びたいと、1979年に渡欧し、ウイーンで制作活動をした。1982年に帰国後は、画壇の芥川賞ともいわれ新人洋画家の登竜門である「安井賞」に入選した。現在まで計27回、ヨーロッパ各国を取材旅行し、作品イメージの着想を得ながら、精力的に制作活動を続けている2020年から3年間は文科省の海外派遣で台湾に滞在しながら制作した。 作品は、ウイーン幻想派の影響を受け、細密な描写と鮮烈な色彩によって幻想的な世界を具象的なイメージで描いているのが特徴で、作品の背景に描かれた廃墟に、旧約聖書の創世記に登場するバベルの塔や、古代ギリシャやローマ建築の大理石の柱がモチーフとして登場する。 同展では、安井賞入選作品の「アポロンの丘」、1993年発行の単行本「ノストラダムス・メッセージⅡ」(角川書店)の表紙になった「久遠の預言者」など大型の作品を中心に展示している。ほかに、ワーグナーのオペラ「二―ベンリングの指環」から着想を得て、26年かけて制作した4部作や、地元の筑波山の山頂からふもとの景色を見て描いた6点の「古代賛歌Ⅰ」なども展示されている。 28日は会場で作者自身が作品について解説する「ギャラリートーク」が催され、斎藤さんは「取材旅行しながらイメージの着想を得ている。色を付け加えたり、色で遊ぶことによって、自分で考えていた以上の形ができる」などと話した。廃墟の中にモチーフの大理石が描かれ、中心に赤いザクロやリンゴが置かれている作品については「絵に緊張感を与えるもの。自分の位置であり、自分がなぜ存在しているのか、なぜ絵を描いているのかの問いかけでもある」などと語った。 斎藤さんは制作活動について「結局は自分の存在はどうなのかということになる。私は絵描きなので、絵を通して表現している。描き方としては、旅行をしながら、常に動いたり感じたりすることによって、それをイメージしながら作品をつくり上げていく。連想ゲームのような形で仕上げていくと自分を超える作品になる」などと話す。 市内から訪れた70代男性は「よくぞこれだけの作品を展示できたと、作品群に圧倒された」などと感想を話している。(鈴木宏子) ◆齋藤茂男展は10月6日(日)まで。開館時間は午前9時30分~午後5時。入場は午後4時30分まで。最終日は午後3時閉館。入場無料。月曜休館。

市職員の請願、継続審査に つくば市議会特別委 生活保護行政の不適正事務問題

現役のつくば市職員(39)が、市議会9月会議に提出した「生活保護業務の適正化を求める請願」(9月3日付)について審議する市議会請願審査特別委員会(長塚俊宏委員長)が13日開かれた。生活保護行政をめぐる不適正な事務処理問題について現在、市役所内と市公平委員会で、調査が進められているなどとして、請願を継続審査とすることを決めた。 次の特別委の開催日程は未定。市議会は10月27日に改選が行われ、現市議は11月29日に任期満了となる。継続審査となった請願は、任期満了により審議未了で事実上、廃案となる。長塚委員長は「現段階で(公益通報などの)調査がされており、推移を見ないと、委員会で意見は出てこない。(市執行部や公平委員会が)しっかりした調査を進めていただくことがあるべき姿だと思う。(改選後に)再度、請願として上がってくるということもあると思う」としている。 13日の特別委ではまず、請願を出した市職員が今年2月と3月に計4回、市公平委員会に公益通報し、不適正事務の是正を求めたことについて、請願の中で「市として最終的な自浄作用を期待して公益通報もしたが、受理までに3カ月以上もかかり、その後も一向に不適正事案は是正されていない」などと指摘していることについて市議から質問が出て、公益通報の受け付け窓口である市人事課は「受理までに一定の時間を要し5月30日に受理した。何も動いてないことは一切なく、慎重かつ綿密に調査して一定の時間がかかっている」などと主張した。 市議からは「請願の趣旨は(生活保護行政の)適正化だが、事実認定の方法として双方の主張を聞き取って、意見が分かれる場合は証拠に基づいて判断しなければならない。どう進めていくか(市議同士の)共通理解が得られないと進められない」「つくば市として事実認定をしっかりやらなければ判断できない。委員会はそれから判断していくべき」などの意見が出て、請願の中身の審査には入らなかった。その上で長塚委員長が「(請願で指摘されている不適正事務について)一つ一つ(委員会が)事実認定していくのは難しく、(市や公平委員会の調査の)経緯を見ながらでないと難しい」とする見解を示し、全会一致で継続審査となった。 継続審査となったことについて、請願を出した市職員は取材に対し「(市議会には)県の特別監査の要請や、第三者委員会による検証を採択することなども期待していたが、時期的に継続審査も致し方ないことかなと理解した。(市議会には)何より問題の大きさを受け止めていただけたことに感謝している。請願は異例なことかとは思うが、12月議会までの各調査の進ちょくも踏まえて、再度請願させていただきたいと考えている」とし、「(市の公益通報の対応に関する)市長のX(旧ツイッター)投稿も、兵庫県にようにブラックボックスになってしまいがちな公益通報について、その流れを明確にしていただけて感謝している。(市の公益通報が)調査の前の受理に3カ月以上かかっていたことも含め、より誤解されにくい発表がされていくことを今後も期待しています」としている。(鈴木宏子) ➡市職員の請願はこちら

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