土曜日, 7月 27, 2024
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34億円超の県試算認めるも平行線 洞峰公園の補修・更新費

つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、市が6月の市議会全員協議会や7月の市民説明会で、体育館やプールなどの施設の更新費を示さなかった問題(9月23日付)で、同市議会全員協議会(全協)が2日開かれた。市は、県が行った健全度調査で来年度以降、体育館プール棟・アリーナ棟、新都市記念館、フィールドハウス、管理棟の主な4施設の補修費や更新費などが計約34億円超かかることが試算されていることを認めた一方、更新費をめぐる市執行部と市議らとのやりとりは平行線に終始した。 市議16人から10月11日、全協開催を求める要望書が出された(10月11日付)ことを受けて開催となった。 市議らからの質問に答えた市建設部の富田剛部長は、施設の目標使用年数を80年とするものの、施設のや設備の交換や取り換えなどの更新は実施せず、補修を実施するのみで、今後市が負担する施設修繕費(補修費)は年平均約3500万円にとどまるなどと繰り返した。一方、県から譲渡を受けた後、市として健全度調査を実施するとし、負担額が変更になる可能性についても言及した。 これに対し飯岡宏之市議からは「2021年に市が策定したスポーツ施設個別施設計画では、長寿命化の基本的考え方を定め、築60年で長寿命化改修(内外装・設備の更新など)をやると言っている。洞峰公園のプールやアリーナと同じ年に出来た谷田部総合体育館は長寿命化計画をやるのに、など洞峰公園の体育館はやらないのか」、山中真弓市議からは「国の基準や県の基準を無視して、施設や設備の更新をやらないということが理解できない。例えば電気設備はメーカーにより更新時期が決まっている。まったく更新しないで80年もつのか」などの質問が出たが、富田部長の答弁とかみ合わなかった。 実施が延期されていた市民アンケートについても案が示された。市は2日の全協開催を受け、11月中旬にも市民アンケートを実施する予定だという。 洞峰公園の体育館プール棟とアリーナ棟、新都市記念館などは1980年に建設され、現在築43年が経過している。(鈴木宏子)

安藤氏が2選 土浦市長選

任期満了に伴う土浦市長選は22日投票が行われ、同日午後7時から同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育会館)で即日開票の結果、現職の安藤真理子氏(62)=無所属、自民・公明推薦=が、新人で家庭教師の小野勉氏(61)=無所属=を破り、2期目の当選が決まった。女性市長が2期目を務めるのは県内で初めて。 当日有権者数は11万7034人、投票率は28.84%で、2006年の市町村合併以降、過去最低だった2015年の28.42%に次いで過去2番目に低い投票率となった。 【土浦市長選】(選管確定)当 29,598 安藤真理子氏  3,610 小野勉氏 安藤真理子 62 市長 無現②【略歴】土浦出身、土浦二高、成城大学短期大学部卒。会社勤めの後、介護福祉会社を経営、市議2期、県議2期、市長1期。大町【公約】①TX土浦駅延伸の早期実現②給食費無償化、産前産後の生活支援体制の充実など子育て支援の充実③土浦スマートインターチェンジ新設の早期実現 「前進させる新しい市政を」知事ら祝辞 同市下高津、安藤氏の選挙事務所には大井川和彦知事、国光あやの、青山大人衆院議員、伊沢勝徳、八島功男県議ら、国会議員、市町村長、県議と、地元市議らが勢ぞろいし、開票を待った。 午後7時36分、1回目の開票速報で当選確実が伝えられると大きな拍手と歓声が起こった。 祝賀会では、国会議員、市長、県議らが次々と壇上に立ち、大井川知事は「1期目は遠慮がちだったと聞いた。2期目は土浦を前進させる新しい市政を遠慮なく進めていただきたい。県からもしっかりバックアップしたい」などと話した。 安藤氏は「大変難しい選挙だった。応援してくれた皆さんの一票の重みを受け止めて、皆さんが誇りに思える土浦のために全力で走っていきたい」などと述べ、花束贈呈などを受けた。 笑顔で支持者らに応じる安藤氏 祝賀会後、記者団の質問に答えて、安藤氏は「大変難しい選挙だった。無投票当選だと思っていた人もおり、政策を訴える前に『選挙に行ってください』とお願いする選挙になった」と振り返った。 県内で、女性初の2期目の市長になることについては「女性初を意識したわけではなく、女性初は後から付いてくることだが、これからの女性のためにも大切なことだと思う」と述べた。今後の政策については「TX県内延伸と常磐道スマートインターチェンジを1日も早く事業化して、皆に喜んでもらって、若い人たちが誇りの持てる土浦にしていきたい」と強調した。(鈴木宏子、柴田大輔)

現職と新人が立候補 土浦市長選告示

任期満了に伴う土浦市長選が15日告示され、現職で2期目を目指す安藤真理子氏(62)=無所属、自民・公明推薦=と、新人で家庭教師の小野勉氏(61)=無所属=の2氏が立候補を届け出た。14日現在の有権者数は11万8644人。投票は22日、市内50カ所で行われ、同日午後7時から同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育会館)で即日開票される。 安藤氏は商工、農業団体など130団体以上の推薦を得る。選挙期間中、片山さつき、進藤金日子参院議員らが街頭演説の応援に駆け付ける予定だ。小野氏は、市内を車で回り、選挙掲示板にポスターを張りながら、人が集まっているところで街頭演説したいとしている。 土浦に誇りがもてるまちをつくる 安藤真理子 62 市長 無現① 【略歴】土浦出身、土浦二高、成城大学短期大学部卒。会社勤めの後、介護福祉会社を経営、市議2期、県議2期。同市大町【公約】①TX土浦駅延伸の早期実現②給食費無償化、産前産後の生活支援体制の充実など子育て支援の充実③土浦スマートインターチェンジ新設の早期実現 【安藤氏出陣式】午前10時から同市大畑の新治ショッピングセンターさん・あぴお駐車場で出陣式。雨が降る中、後援会によると支持者ら約1000人が足を運んだ。冒頭の挨拶に立った島岡宏明市議会議長は「今日は全市議24人が応援に来た」とし、「TX延伸など、土浦は百年に一度のチャンスにある。百年先の土浦のために、党派、会派を超えて土浦が一体となり、圧倒的な勝利をもって安藤氏を土浦市にお迎えしよう」と訴えた。安藤氏は「コロナがあり、命を守り抜くために闘ってきた3年間だった。ピンチをチャンスに変えるため様々なことに着手してきた。土浦に誇りをもち、みなさんに素晴らしいところだと思ってもらえるまちづくりをしていきたい」と述べた。出陣式には市議らのほか、地元選出の国光あやの、青山大人ら国会議員、同市区選出の伊沢勝徳、八島功男県議ら、「満場一致で安藤氏を支持する」とした県市長会から、会長の高橋靖水戸市長ら市長村長約30人ら多数が駆け付けた。 土浦を大改革し自由で楽しいまちを 小野勉 61 家庭教師 無新 【略歴】土浦出身、土浦一高、明治大学政治経済学部政治学科卒。演劇プロダクション所属俳優や会社員などを務めた。同市小岩田。【公約】①一律の給付金支給、減税、水道の基本料金ゼロなど市民の経済的負担軽減②費用対効果を考えた実効性のある施策を実現するための役所改革③市長賞与・退職金の返上 【小野氏第一声】午前10時から、同市大和町、市役所前で第一声。小野氏は「4年に1度の土浦を変えるチャンスが来た。現市長の市政が4年間続いていいのか。今の市長になってから本当に何か良くなったことがあるのか、私にはちっとも伝わってこない」と批判した。さらに「私の公約は、土浦大改革と、自由で楽しいまちをつくる」ことだとし、公約について「困っている人がたくさんいる。給付金、減税、水道基本料金をゼロにし、助けが必要な人に助けを届ける」と述べた。市役所改革については「今の市役所に公平さがあるのか、一部の人ばかりが得している」などと批判。市長の賞与・退職金ゼロについて「市長は公務員特別職、ボーナスもらうとか、退職金もらうとか、おかしい」と話した。その上で「夢を互いに応援しながら、自由で楽しいまちをつくろう」などと訴え支持を求めた。(鈴木宏子、柴田大輔)

全協開き説明を つくば市議16人が議長に要望書 洞峰公園の更新費問題

つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、市が6月の市議会全員協議会や7月の市民説明会で、体育館やプールなどの施設の更新費用を示さなかった問題で(9月23日付け)、市議26人のうち16人が11日、五頭泰誠議長に対し、市民アンケート調査実施前に全員協議会(全協)を開催して、県議会調査特別委員会で示された更新費用(9月25日付)などについて説明するよう求める要望書を出した。 16人は、自民党政清クラブの飯岡宏之、鈴木富士雄、塚本洋二、木村修寿、宮本達也▽つくば・市民ネットの皆川幸枝、小森谷さやか、あさのえくこ、川村直子▽共産党の橋本佳子、山中真弓▽創生クラブの小村政文▽新社会党の金子和雄▽清郷会の木村清隆▽新緑会の中村重雄▽つくばチェンジチャレンジの川久保皆実市議。 要望書は①県議会特別委員会が設置された後のやり取りと経緯②県が行った健全度調査の結果と市が見通している今後の維持管理・更新費用③市民アンケート調査の内容と取り扱いーの3項目について、全協を開いて説明するよう求めている。 要望書を提出した飯岡市議は「当初11人で提出することを予定していたが数が増え過半数を超えた。他の議員も市が説明責任を果たしていないと感じたのだと思う。市長はきちんと誠意を示して、アンケート実施前に市民の代表である我々に説明してほしい」と話し、山中市議は「正確な情報を市民にきちんと伝えることは私たちの役割。アンケート実施前に正確な情報を開示してほしい。『すべての事業で情報を共有しながら進めていく』と市長が言うのであれば、議会に対しても情報を共有してほしい」と話す。 洞峰公園の無償譲渡に関する市民アンケート調査の実施日程については、五十嵐市長が9月議会最終日の6日、13日から11月5日まで実施すると表明している。 同市議会全員協議会運営要綱によると、全協は議長が招集することになっている。 つくば市が洞峰公園の無償譲渡を受けた場合にかかる費用について市は6月の市議会全協と7月の市民説明会で、維持管理費が年約1億5000万円、施設修繕費が年平均3500万円程度かかると説明している。 これに対しNEWSつくばは情報開示請求した資料に基づき、最も金額が大きい更新費用がいくらかかるかを市は明らかにしておらず、市議会や市民説明会で示した数字は維持管理費と補修費のみだと指摘し、県が2016年度実施した健全度調査のライフサイクルコストを元に、2024年度以降、維持管理、補修、更新費用など合わせて34億円以上かかると指摘している(9月23日付け)。 その後、大塚秀二県都市整備課長は9月25日の県議会県有施設・県出資団体調査特別委員会で県議の質問に答え、2016年に健全度調査を行った際は洞峰公園の更新に約40億円かかると算出しており、8割の32億円が建物分だなどと説明している(9月25日付)。 一方、五十嵐立青つくば市長は4日の定例記者会見と同日のツイッター(X)などでNEWSつくばの質問に対し、県は2016年実施の健全度調査で「24年度以降に補修費用約2.1億円、更新費用約31.2億円かかるとされた」など、来年度以降、30億円を超える更新費用がかかるという県の算定を把握していたことを認めた一方、更新費について言及しなかったのは「県が試算した当時の更新費用の前提が県の指針とも市の指針とも違い、意味をなさないから言及しなかった」などとしている。(鈴木宏子) 【13日午後3時50分追加】13日から実施予定だった市民アンケートについて、つくば市は12日、市議会から全員協議会を開いて、洞峰公園の更新費や市民アンケートの内容などについて説明するよう求める要望があったことから、アンケートの実施を延期すると市ホームページで発表した。実施時期は未定という。

「悩んでいる人の力に」高校生ら42人、社会課題解決へ発信 土浦

「悩んでいる人の力になりたい」「『普通じゃない』をなくしたい」ー高校生ら42人が、身の回りの社会課題に向き合い、解決方法を提案する課題解決チャレンジ事業の発表会が9日、土浦市大和町の県県南生涯学習センターで開催された。 課題解決に向け「悩んでいる高校生にスクールカウンセラーを身近に感じてもらう」「LGBTQ(性的少数者)やSOGI(性自認)について理解を深めてもらう」などの提案が出され、解決方法の一つとして啓発ポスターの図案や動画などを披露した。今後、実際にポスターを印刷したり、動画を投稿するなどして社会に働き掛ける計画だ。 同センターが昨年8月から開催してきた「ユースチャレンジプロジェクト」(22年11月2日付)で、土浦三高、石岡商業、取手一高など県南地域8校の高校生38人と、筑波大生4人の計42人が3つのチームに分かれ、課題ごとに話し合ったり、現地調査やアンケートなどを実施してきた。大手広告代理店、博報堂出身の入沢弘子さんがアドバイザーを務め、これまで計21回、40時間以上のワークショップを重ねてきた。 まず身の回りの社会課題を出し合い、63の課題の中から3つに絞って、課題ごとにチームをつくり、それぞれ課題解決方法を模索した。 「悩んでいる人の力になりたい」をテーマにしたチームは、高校のスクールカウンセラーに着目。まず現状を調べるため、メンバーの高校生4人が通う4校でアンケート調査を実施した。864人の回答者のうち、悩みを相談する相手は1位が友人、2位が家族、3位が先生で、カウンセラーに相談する人は5番目の6.8%しかいない実情を把握した。カウンセラーに相談しないのは、カウンセラー側に問題があるのではないかと考え、各校ともカウンセラーを利用できる時間が週に数時間しかないことを調べたり、カウンセラー本人にインタビューするなどした。その上で利用生徒を増やすために、ポスター制作を発案し図案を発表した。ポスターには「一人で悩まず、どんな話でもいいので相談してほしい」などカウンセラーのコメントを掲載してある。今後はポスターを印刷し各高校や駅などに掲示する計画だ。 「『普通じゃない』をなくしたい」をテーマにしたチームは、LGBTQやSOGIについて理解を深めてもらう啓発ポスターの図案を制作し発表した。ポスターに掲載されているQRコードを読み込むと、さまざまな性の在り方についての解説や、学校の男女別の制服をテーマに「普通とは何か」を問い直す短編漫画を読むことができる。 ほかに障害者や高齢者、ベビーカー利用者など移動弱者が優先的にエレベーターに乗れるよう、壁面だけでなくエレベーター前の床面にも優先列を示すステッカーを掲示する提案が出された。さらに「茨城県の魅力度を上げたい」をテーマにしたチームは、土浦市のコミュニティーバスに着目し、土浦の魅力を伝えるバスを使ったプチ旅行を提案する動画を作成した。 発表会には、参加した生徒が通う高校の教員や、生徒らが現地調査した事業者らが参加し、高校生らの発表に聞き入った。発表内容は今後、同センターのホームページに掲載する予定だという。 「『普通じゃない』をなくしたい」というテーマのチームに参加した高校2年生は「(社会課題を出し合う中で)自分が思っていた以上に、他の人たちの悩みが分かった。今後(啓発ポスターの掲示を通して)LGBTQやSOGIについて普通に話せるようにもっていければ」とし、土浦の魅力を伝えるプチバス旅を提案をした高校3年の女子生徒は「学業との両立が大変だったがいい経験になった。今後、動画を広めて、バスに乗ってくれる人が増えてくれれば」と話していた。(鈴木宏子)

つくば市への無償譲渡は妥当 県議会調査特別委が結論 洞峰公園

県議会の第3回県有施設・県出資団体調査特別委員会(田山東湖委員長)が25日開かれ、前回、審査継続となっていた(8月30日付)県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮)を地元のつくば市に無償譲渡する県執行部の方針について審査が行われ、無償譲渡の方針は妥当とする決定が全会一致で出された。 妥当と結論を出した理由については、洞峰公園は①筑波研究学園都市開発に合わせて県が設置管理を行ってきた経緯があるが、公園の本来の位置づけが主として一つの市町村の区域内の利用者を見込んだ総合公園である②無償譲渡は将来の維持管理費の負担を県から市に変えるという性格をもち、経費の前払いとも考えられる③公園移管によるつくば市の財政面の影響についても大きな問題はなく、市からの理解も得られている④すでに市と十分協議の上、調整が進んでおり、市へ影響なども考慮する必要があるーなど8点を挙げた。 その上で田山委員長は、洞峰公園をめぐる一連の経緯について「本来(公園の管理運営方法など)方針を変えるごとに慎重な議論や説明が求められるところ、パークPFI事業のみが先行し、県民や市民、議会への説明が置き去りにされてきた」と指摘し、「二元代表制において議会と知事は車の両輪であることを改めて認識いただき事業を進めていただきたい」などと苦言を呈した。 さらに「今回の案件に関しては方針通りに進めていただきたいが、執行部に対しては現行の仕組みで欠落している部分、例えば譲与に関する条例や取扱基準の見直し、議会への報告の義務付けなど、今後きちんと議会として関与していけるよう早期に具体的な仕組みづくりの検討を進め、随時、委員会への報告に努め、委員会においても検討していきたい」などと指摘した。 公園の更新費40億円、施設は8割の32億円を想定 決定に先立つ審査では、新都市記念館や体育館など公園施設の今後の維持・管理費について江尻加那県議(共産)から質問が出た。つくば市が示した年平均約3500万円の修繕費用について大塚秀二県都市整備課長は「詳しい中身までつくば市から説明を受けた訳ではないが、考え方の基本として、予防的修繕を行うにあたって15~20年のサイクルを考えて(修繕に)かかるお金を年平均に直した場合、3500万円ほどと算出されていると聞いている。施設の更新費はこれからかかってくる。施設の更新費は、耐用年数80年を考えると、20年の外側になってくるので、更新費は入ってないという解釈になる」とした。 「県の公園として長寿命化した場合、いくらかかると県は試算していたのか」との質問に対して大塚課長は「2016年に健全度調査を行い、その際は40億円ほどこれからかかると算定していた。国の基準にのっとって、例えば建物は耐用年数50年程度を目安にしていた。実際に年数を重ねれば更新もあるし、いろいろなお金がかかってくるのは当たり前のこと。それをどれだけ平準化して予防保全を行うことで寿命を延ばしていくかがかぎになる。そういった意味でもうちょっと年平均で縮減していく。40億円のうち8割の32億円が建物分。それくらいの規模でやっているので、これからつくば市に移管した場合は、市の方で見直したり、適宜、市の意向で考えていくのかなと思っている」と話した。 県営公園の今後の在り方についてこの日、県から「社会経済情勢の変化、公園の規模や利用実態、市町村の意向などから、市町村の管理が望ましい公園については、市町村と協議の上、移管を進めていくべきと考えている」との考え方が示されたことについて、星田弘司県議(いばらき自民党)から、筑波研究学園都市の開発時に洞峰公園と一体的に整備された赤塚公園について質問が出た。大塚課長は「(赤塚公園は洞峰公園から)ペデストリアンデッキで歩行者や自転車で気軽に行けるような工夫がなされていて、一体的に使われていることは十分認識している。これから洞峰公園が市に移管されて、赤塚公園がどういう形が望ましいかは、つくば市の方で設置する協議会でいろいろなご意見を賜りながら検討していきたい」と述べるにとどまった。 県議会の決定を受け、今後のスケジュールについて県都市整備課は「現時点で明確にできるスケジュールはない」とし、つくば市公園・施設課は「今後、市民アンケートを実施する。スケジュールについては県と協議していきたい」などとしている。(鈴木宏子)

県内最古の土浦幼稚園 認定こども園として10月開園

県内で最初の公立幼稚園として138年前の1885(明治18)年に創設された市立土浦幼稚園(土浦市文京町)が、幼保連携型の認定こども園に生まれ変わり、「認定こども園土浦幼稚園」(塚本由美子園長)として10月2日に開園する。開園を前に24日、同園で開園式が催され、10月から同園に通う園児らが安藤真理子市長らとテープカットをしたほか、歌を歌ったり、父母らと園内を見学した。幼稚園と保育所の機能をもつ公立の認定こども園は同市で初めて。 土浦幼稚園は、市立東崎保育所(同市東崎町)と統合し認定こども園として再編するため、2022年3月に閉園した。老朽化していた園舎の改修工事が同年10月から実施され、今年8月に完成した。 同園は敷地面積約2300平方メートル、園舎は鉄筋コンクリート造2階建てで、延べ床面積約1100平方メートル。1階は0歳~2歳児の教室のほか、子育て支援センター、一時預かり室、給食室などが配置され、2階は3~5歳児の教室のほか、ホール、共用空間のキッズスペースが配置される。 各階に段差は無く、エレベーターや多目的トイレを設置しバリアフリーに配慮している。園舎は明るく開放的なつくりで、内装は、木の温かみと園児の健康を考慮し、木材や自然素材を使用している。外観は、変化のあるフレームや色で楽しさや明るさを表現している。園庭は土浦幼稚園と同じ天然芝を敷き詰めている。設計・工事費は計約4億5000万円。 定員は0~5歳の110人。10月からは、9月末まで東崎保育所に通う1~5歳児56人が通園する。来年4月以降は0歳児も受け入れる。保護者に所用ができた時などに子どもを一時的に預けることができる一時預かり室や、子育ての相談に乗ったり親子で遊んだり情報交換などができる子育て支援センターを併設する。 開園式には、安藤市長や3~5歳児クラスの園児と保護者が参加した。安藤市長は「県内で最も歴史ある土浦幼稚園を生まれ変わらせることができてうれしい」と述べ、「先生の言うことをよく聞いて、元気いっぱい遊んでください」など園児らに話しかけた。 少子化の進行により、同市の公立幼稚園は土浦幼稚園を含め当初、22年3月までにすべて廃止される予定(2019年10月31日付)だったが、4年前の市長選で初当選した安藤市長が土浦幼稚園の存続支援を公約の一つに掲げた。当選後、市立幼稚園再編計画を見直し、土浦幼稚園を東崎保育所と統合し、認定こども園として残した経緯がある。 塚本園長は「土浦幼稚園の歴史と東崎保育所の伝統を継承し、新しい認定こども園としての役割と市内の子育て支援の拠点としての役割を果たしていきたい。地域の皆さんと共に、子供たちが元気で楽しく過ごしてくれたら」と話し「土浦幼稚園の特徴だった外国人講師を招いた英語教育や体操教師を招いた体操教室のほか、『自転車のまち土浦』として新たに、自転車の乗り方教室なども開きたい」と話す。(鈴木宏子)

施設の補修・更新費34億円超 洞峰公園 つくば市、議会に示さず

長寿命化計画で県試算 つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、園内にある体育館、新都市記念館、フィールドハウス、管理棟の4施設だけで、2024年度以降の維持管理、補修、更新費用などが合わせて34億円以上かかると試算されていることがNEWSつくばの情報開示請求で分かった。県が洞峰公園の各施設の長寿命化計画を策定するにあたって2016年度に調査を実施し、各施設ごとにライフサイクルコストとして算出していた。 情報開示資料によると、各施設のライフサイクルコストは4月に県からつくば市に提供された。さらに6月には補修費用と更新費用の算出根拠となる材料費や単価などが市に示された。 これに対し市は、6月の市議会全員協議会(全協)や7月の市民説明会で、施設の更新費用について見通しを示さなかった。市は議会などに対し、日ごろの維持管理費について年間約1億5100万円かかるとし、施設の修繕費用については80年の目標使用年数を示しながら、「今後、施設全体で想定される施設修繕費の想定額は年間約3500万円程度となる」などと説明していた。今後15~25年間で計約5億8000万円程度の施設修繕費がかかるという試算だが、この数字は、県が算出した公園施設のライフサイクルコストの中の補修費用などを積み上げただけで、最も金額が大きい更新費用は含まれていなかった。 更新費用は、老朽化した施設の建築材料や設備機器を新しいものに取り替える費用。補修費用は、施設の大規模な手入れにかかる費用で、いずれも国の指針により長寿命化計画を策定する際に試算することが求められる。県は洞峰公園について、国の公園施設長寿命化計画策定指針や県県有建築物長寿命化実施基準に基づいて、施設の目標使用年数を80年と設定し、国のマニュアルに基づき施設を調査し、ライフサイクルコストを試算した。調査や試算に基づいて長寿命化計画を立て、国の補助金を活用して施設の改修や更新を実施する。 2016年度に県が実施した洞峰公園の調査では、各施設ごとに、建物の完成から50年や60年先の更新見込み年度までにかかる費用をライフサイクルコストとして算出している。ライフサイクルコストには、毎年かかる維持保全費用、5年に1回実施する健全度調査費用と、補修費用、健全度調査費用の計4項目がそれぞれ試算されており、各施設ごとにそれぞれ毎年いくらかかるかを算出している。 1980年に開園した洞峰公園は、プールとアリーナがある体育館、喫茶店やギャラリースペースがある新都市記念館などの施設が今年、築43年を迎える。県が算出した各施設のライフサイクルコストによると▽体育館のプール棟とアリーナ棟の電気・機械設備の更新見込み年度はいずれも7年後の2030年度で、市が無償譲渡を受けた場合、来年度から更新見込み年度の2030年度までにかかると試算されている維持保全・健全度調査・補修・更新費用の合計は約12億1700万円▽プール棟とアリーナ棟の建物の更新見込み年度は2036年度で、今後かかる費用の合計は約15億3200万円▽新都市記念館の更新見込み年度は2040年で、今後かかる費用の合計は約3億9700万円ーなどとなっている。 実際の修繕工事は、建物の状態や予算などを考えて行うため、長寿命化計画で算出したライフサイクルコストとは一致しない。ただし今後、施設の保全にいくらかかるかを調査し、見通した唯一の資料が県が算出したライフサイクルコストになる。洞峰公園にはほかにトイレ、倉庫、井戸などのほか、テニスコート、遊具、園路舗装、ベンチなどの施設や設備が数多くあり、これらを加えると今後かかる費用はさらに膨らむとみられる。 市が施設の更新費用を議会に示さなかったことについて、これまで市議会一般質問などで大規模修繕費用がいくらかかるかを明らかにするよう求めてきた飯岡宏之市議(自民党政清クラブ)は「(大規模修繕費用について)6月定例会で市は『確認中』と答弁し、最終日の全協でも教えてもらえなかった。この間、市と県とで(資料の)やりとりをしていたのに、なぜ全協で明らかにしなかったのか誠に遺憾。今後は議会に明らかにしてほしい」とし、「県が調査した時点と比べて現在は資材費が高騰しており、現時点で1.5倍以上の費用がかるのではないか」と話す。 これに対し、市公園施設課は「(更新費用については)施設の長寿命化計画を策定の上、国庫補助金を活用しながら施設の長寿命化を図っていきたい」としている。 差額4500万円の内訳は更新費や建物以外の修繕費など 一方県は昨年、パークPFI事業を実施するにあたって、17年度から27年度までで大規模修繕費が年平均8000万円かかるとしていた。市が今年6月、市議会に説明した施設修繕費の年平均の想定額3500万円程度と比べ、4500万円開きがあった。今回情報開示された資料でそれぞれの内訳を確認したところ、県の内訳には、市が試算した建物の補修費などのほかに、市が試算に加えていない建物の更新費と、建物以外のベンチや柵などの更新費などが含まれていた。 つくば市が県から無償譲渡を受けるにあたって、市は市内の建築士に建物の調査をしてもらい、指定管理事業者からの聞き取りと合わせて、修繕が必要な箇所を洗い出した。現在県は、体育館プール棟の雨漏り改修、天井材のボルトの締め直し、プール室内の暖房機器修理、アリーナ棟の空調機器修理、フィールドハウスの外壁レンガの修繕や防水対策などの修繕工事を実施中だ。修繕費用について県は計4000~5000万円になると県議会調査特別委員会で明らかにしているが、引き渡しにあたり現在不具合が生じている箇所の修繕にとどまっており、今回の県の修繕が今後、各施設の補修や更新工事費をいくら減らすことになるかは県も市も調査していない。 洞峰公園は自然林や洞峰沼を生かした筑波研究学園都市最大の都市公園としてつくられ、研究学園都市を南北に結ぶペデストリアンデッキの緑の帯に面する。園内の体育館と新都市記念館はいずれも、著名な建築家の大高正人(1923-2010)が設計した。筑波研究学園都市の名建築の一つで、体育館のプール棟は太陽熱、アリーナ棟は太陽光を利用するなど当時の先進的な技術を取り入れて設計された。新都市記念館は洞峰沼の上に乗り出して建っており、屋根の勾配は圧迫感のない自然な稜線を表現するなど、両施設とも自然と一体となった設計になっている。当時の建設・造成事業費は31億円という。(鈴木宏子)

洞峰公園を現地視察 県議会調査特別委員会

県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)を地元のつくば市に無償譲渡する県執行部の方針を審査している県議会の県有施設・県出資団体調査特別委員会(田山東湖委員長)の委員らが13日、洞峰公園を現地視察し、県都市整備課らの案内で、野球場や体育館のプール棟とアリーナ棟、新都市記念館、フィールドハウス、冒険広場や洞峰沼などを見て回った。 野球場は当初、パークPFI事業者がグランピングやバーベキュー施設を建設する計画を立てていた。現地で県の説明を受けた県議からは「(公園の中の)狭いエリアということが分かった」「皆さんへの説明が足りなかったのではないか」などの意見が出た。 体育館のプール棟とアリーナ棟、飲食店やギャラリースペースがある新都市記念館、トイレや会議室があるフィールドハウスの視察では、市への譲渡に向けて、県が現在、雨漏りやタイルのはがれなど不具合箇所を修繕しているなどの説明が県担当課からあった。 緑豊かな公園環境が維持されてきたことについて県は「4000本の樹木があり、100種類の鳥類が観察されている。公園サポーターが5団体登録されていて、若い人からお年寄りまで、花壇をつくったり清掃活動をして環境が維持されてきた」などとと説明した。 視察の途中、つくば市の飯野哲雄副市長らも参加して意見交換が行われ、県議からは「議会で(パークPFI事業を)議決して1年もたたないうちにこういったことになってしまった。つくば市の心配もあるし、県の貴重な財産を無償であげていいのかという県民感情もある」(森田悦男氏)、「(体育館や新都市記念館などの)建物の機能をきちんと維持していくことが課題。(県が策定した)長寿命化計画では建物の更新に数十億円かかる。市としてやっていけるのか」(江尻加那氏)、「プールは冬も温水で、体育館は暖房。つくば市は移管後、学校のプールに使いたいという話もある。燃料費は(年間維持管理費の)1億5000万円の中に入っているのか」(中山一生氏)などの質問や意見が出た。 田山委員長は「グランピングやバーベキュー予定地は(公園の中の)狭い一部の用地だということが分かった。いい悪いは別にして、県民やつくば市民への説明が欠落していたんだと思う。(公園の維持管理費など)経費だけの問題で云々ではなく、市民感情としてどうなのかということもあったと思う。現在の(県と市との)話の進み具合も意識して、今後に向けて検討したい。現場を見て良かったと思う」など感想を話した。 委員らはこの日、前回の8月30日の委員会で継続審査となった洞峰公園のほか、民間譲渡が計画されている鹿島セントラルホテルの計2カ所を現地視察した。次回の委員会は25日開催される予定。(鈴木宏子)

地震時の断層の滑りを再現 世界最大規模の試験機を開発 防災研

発生のメカニズム解明へ 巨大な岩石同士をすり合わせて地震時の断層の滑りを再現する世界最大規模の試験装置を防災科学技術研究所(つくば市天王台)が開発し、12日、報道関係者を対象に公開実験を実施した。「巨大岩石摩擦試験機」で、地震発生のメカニズムや、地震が連鎖的に起こる仕組みの解明を目指す。 同研究所地震津波防災研究部門の山下太主任研究員らが開発した。今年3月に装置が完成し、8月から実験を開始した。設計・開発・設置費は約4億円。 試験機は幅13.4メートル、奥行4メートル、高さ5.9メートル、総重量200トン。装置の中央に、直方体の岩石を上下に2体並べ、加重をかけ、すり合わせて、石の伸び縮みや揺れなどのデータを測定する。すり合わせる岩石は長さ7.5メートル、幅0.5メートル、高さ0.75メートルと、長さ6メートル、幅0.5メートル、高さ0.75メートルで、2体の岩石がすれ合う断層面積が世界最大規模になる。最大で1200トンの加重をかけ、毎秒0.01ミリから1ミリの速さで、最大1メートル滑らせることができる。 身の回りで実際に起きているマグニチュード・マイナス1.4規模の地震を実際に起こすのと同じ規模の実験になる。地震として観測可能な最少規模の地震より少し大きな地震という。実験に使用する岩石は現在、粒が小さく硬く壊れにくい、はんれい岩を使っている。 地震は、断層が滑る際に揺れ(地震波)が起こり発生する。断層の滑り方は岩石の摩擦の性質に左右されることから、地震のメカニズムの解明を目指し、これまでも岩石同士をすり合わせて摩擦の性質を探る研究が世界中で重ねられてきた。 当初は、手のひらサイズの岩石を使って実験室で摩擦の性質を調べる実験が行われてきたが、近年の研究で、実験に使う岩石の大きさによって摩擦の性質が変わることが分かり、自然に近い大きさの岩石での実験が求められているという。 南海トラフ「半割れ」再現も 今後は、岩石と岩石がすり合う断層面に発生する石の粉などの摩耗物を取り除いて断層面が比較的均質な状態で実験したり、石の粉を残したまま断層面が不均質な状態で実験するなどし、断層面の均質性が地震の前の段階にどのように作用しているかなども実験で確かめたい考えだ。 さらに南海トラフのような広大な断層では、断層の一部が滑って地震が発生した後、時間をおいて残りの断層が滑る「半割れ」と呼ばれる連鎖的な地震が発生してきた。半割れは現在国が、南海トラフで想定しているケースの一つでもある。これまでの試験装置では使用する岩石が小さかったため、断層全体が一度に滑ってしまう地震しか再現できなかった。今回開発された装置を使い、半割れのような複雑な地震の発生を実験で再現することも求められている。 同研究所は2011年から大型岩石摩擦実験に取り組み、これまで長さ1.5メートルの岩石で実験してきた、今回開発した大型試験機はそれに次ぐ規模となる。 12日は同研究所内の大型耐震実験施設内に組み立てられた巨大岩石摩擦試験機を動かし、上段のはんれい岩に上から30トンの荷重をかけて、さらに下段のはんれい岩を横に毎秒0.01ミリの速さで1センチ動かす実験を実施した。山下主任研究員は「地震を再現して地震発生のメカニズムを再現し、地震発生予測につなげたい」と話す。(鈴木宏子)

小中学校の給食費を無償化へ 土浦市 10月から

土浦市の安藤真理子市長は4日の定例記者会見で、小中学校の給食費を無償化するための補正予算案を5日開会の市議会9月定例会に提案すると発表した。可決されれば10月分から無償化を実施する。給食費の無償化に取り組む市町村は県内で14番目になるという。 子育て環境のさらなる充実と物価高騰による子育て世帯の負担軽減が目的。安藤市長は「将来を担っていく子供たちの健やかな育ちを支えていきたい」と話す。 無償化の対象は、公立の小学校15校、中学校7校、義務教育学校1校の計23校に通う小学生約6200人と中学生約3200人の計約9400人。同市の現在の給食費は小学生が月額4200円、中学生が4700円で、今年度は10月から半年間で約2億4500万円、23年度以降は年間で約4億5000万円かかる見込み。財源は、今年度の半年分は22年度決算で確定した剰余金の一部を充てる。 給食費の無償化に取り組む市町村は今年になって全国で増えている。同市によると現在、無償化を実施している県内13市町は、大子町など6市町が小中学校の給食費無償化を実施。水戸市が今年4月から中学校のみ無償化を実施。神栖市など6市町が期間限定で小中学校の無償化を実施している。 一方、国のこども未来戦略会議は今年6月に示した「こども未来戦略方針」案で、学校給食について「無償化の実現に向け、まず無償化を実施する自治体の取り組み実態や成果・課題の調査、全国ベースでの実態調査を速やかに行う」などとしているが、無償化の時期は明確になっていない。安藤市長は「早急に無償化を実施することが、現在の物価高で負担が増大している子育て世帯の支援につながると考えた。本来は国がやるべきものと思っている。早急に始めたいと思っていた中、財源の確保ができたので10月からやろうと決めた。国の無償化が決まるまでのつなぎだと思っている」とした。(鈴木宏子) ▽今年度、学校給食費の無償化を実施している13市町村と実施時期は以下の通り(土浦市調べ)【小中学校の給食費を無償化】・大子町 2017年4月から・城里町 18年4月~・河内町 20年9月~・潮来市 22年4月~・日立市 23年4月~・北茨城市 23年4月~【中学校のみ無償化】・水戸市 23年4月~【期間を限定し小中学校を無償化】・神栖市 23年4月ー24年3月・境町  23年4月ー24年3月・稲敷市 23年4月ー24年3月・鉾田市 23年9月ー24年3月・石岡市 23年9月ー24年3月・かすみがうら市 23年9ー11月

いじめをなぜ止められなかったのか 保護者が再調査求める 土浦の中学校

中学生だった2019年4月から22年3月までの3年間、土浦市内の公立中学校でいじめを受けていた男子生徒(現在は高校2年)の保護者が、市に対し、いじめ防止対策推進法や市いじめ防止基本方針に基づく再調査を求めている。 保護者は昨年5月に要望を出し、市長は同6月「再調査を行う予定はない」などと回答した。保護者はさらに市教育委員会の担当者から同7月「(22年)7月に弁護士と教育委員会の間で、男子生徒に関する問題はすべて終結し、今後、保護者とは対応しないとの確認があった」などと言われ、対応してもらえない状況だという。 障害を揶揄 男子生徒は身体に障害があり、学校では補装具を付けて歩いたり、車いすで移動している。排せつの感覚がないため4時間ごとにトイレに行き、自分で排せつを行う必要がある。5時間以上トイレに行かないと体に悪影響が出る。 保護者によると、小学校の時からいじめがあり、中学入学直後、同じ小学校出身の同級生からいじめが始まり、広まった。「死ね」と書かれた手紙を渡されたり、筆記用具が無くなったり、クラスのグループLINEに写真を掲載され悪口を書かれたりした。休み時間に個室のトイレに入っていた時、ドアを激しくたたかれたり蹴られたりしたことが繰り返しあった。怖くてトイレに行けなくなり、体調が悪くなって薬を服用したこともあった。 車いすを揶揄(やゆ)する悪口や陰口を言われたり、補装具を付けて歩く姿を真似され笑われた。中1の体育祭では「応援合戦に出るな。それがクラス全体の意見だ」と言われ、見学した。男子生徒はクラスに居場所がないと感じ、その後、中1の3学期が終わるまで特別支援学級や市の適応指導教室などで個別学習をするようになった。 学校は、男子生徒から相談を受けたり、保護者から連絡を受けるなどして、その都度いじめに対応。加害生徒も男子生徒に謝罪するなどした。学校はさらにいじめに関しクラスアンケートを取ったり、道徳の時間にいじめについて話し合ったり、加害生徒の家庭訪問を行うなどした。中1の2月に実施されたアンケートではクラスの生徒から延べ30件のいじめの報告があった。 学校と教育委員会はさらに、いじめ重大事態として中1の2月から、第三者を加えたいじめ対策委員会をつくり調査を開始、中2の21年3月までに調査報告書をまとめた。報告書の中で、学校が認定したいじめは9件で、加害生徒は14人になった。報告書にはいじめ防止対策や男子生徒への支援策などが記された。 対策中もいじめ止まず 一方、いじめ対策委員会の調査中もいじめは止まず、中2、中3になってからもいじめは続いた。男子生徒は中2の秋、所属していた部活動でビデオを撮影した際「足手まとい。(男子生徒を)入れずに撮影しよう」と言われ、休部し、別の部活動に移った。同じ時期、クラスの複数の生徒から、近くを通りかかった際、腕や背中、腰を殴られることが継続的にあった。男子生徒は脊椎が損傷しており手術を受けている。背中や腰を殴られれば麻痺(まひ)が広がる恐れもあった。 ところが中2の3月にまとめられた調査報告書には、中2で受けたいじめの調査報告が無かった。中3の3学期にも一部の生徒から廊下や階段で「ざこ」「かす」などと繰り返し言われた。県立高校入試の際は、自分をいじめている生徒が同じ高校を受験することが分かり、受験校を変更した。 中途半端な謝罪で幕引き 中2の1月、いじめ対策委員会が調査を終えることを知った男子生徒の保護者は、学校に対し「(加害生徒の)表面的、形式的な謝罪で幕引きを図っている。(学校は)事態を矮小化し、クラス全体に十分な指導を行わなかったために、いじめはその後も続くことになってしまった。(加害生徒の)中途半端な謝罪を認めることが適切であったか検証すべき」「(息子と)加害生徒との食い違いは解消されておらず、報告書に取り上げられてないいじめが多数あり、事実関係は明らかになっていない。いじめは続いており、学校・教育委員会の取り組みはいじめの再発防止につながっていない」などとして調査継続を求めたが聞き入れられなかった。 この問題は中2だった21年3月の教育委員会定例会に報告され、中3になった翌年度6月、補足訂正の報告が行われた。教育委員の1人から「(いじめが)続いているとしたらこれは相当大変な事案。この年齢になると周りの大概の子供は(障害を抱えている子供に対する)そうした良識を身に付ける。それこそ、いじめをやっている子供たちこそがカウンセリングが必要」などの意見が出た。 調査が不十分 いじめ防止法と市の基本方針は、十分な調査が尽くされてない場合、市長の再調査についても定めている。保護者は「トイレをたたいたり蹴ったりした事案は繰り返し行われ、男子生徒は『ごめんなさい、ごめんなさい』と泣き叫ぶほどだったのに、調査報告には『恐怖と不安を感じた』とだけ記すなど調査が不十分。中1の2月に実施したクラスアンケートでは延べ30件のいじめの報告があったのに、調査されたいじめは9件にとどまっている。中2のときに受けたいじめが調査報告から抜けている。中2の秋に、数人の生徒に背中や腰、腕を殴られた事案は(障害がある男子生徒にとって)まひが広がる恐れがある重大事態だったにもかかわらず調査報告書に記載がない」など、調査が不十分だと指摘する。 話し合い再開してほしい 男子生徒の父親(49)は「教育委員会も学校も『相手にしない』という姿勢で話を受け付けない。教育委員会担当者とは中3の2月以降、学校とは卒業後の4月以降、話ができていない。重大事態調査終結後も、学校、保護者、教育委員会の3者が連携して子供を守る約束だった。なぜ一方的に約束を反故にしたのか。話し合いを再開してほしい」と話す。 市教育委員会指導課は、男子生徒に対するいじめや、いじめ防止の対応などに関するNEWSつくばの取材に対し「関係する生徒等の個人情報やプライバシーに関わることであり、回答を差し控えさせていただく」とし、「本いじめ問題の解決に向けては、本人や関係生徒、関係する保護者等に対して、調査、指導、回答、報告等を丁寧に行い、教育的な配慮に基づいて、粘り強く事実の確認や再発防止のための策を講じてきた」などとしている。(鈴木宏子)

被災状況記した地図など公開 国土地理院が企画展【関東大震災100年】

国土地理院(つくば市北郷)内の地図と測量の科学館で「関東大震災100年ー地図に残る地殻変動と被災状況」と題した企画展が開かれ、同院の前身の参謀本部陸地測量部の調査隊員が震災直後に被災地を調査し、被災状況を書き込んだ地図や、地殻変動を測量した記録などが展示されている。 隊員94人が現地調査 被災状況が書き込まれた地図は「震災地応急測図原図」で、1万分の1から20万分の1までの複製地図56点が一堂に展示され、手に取って見ることができる。震災直後の9月6日から15日まで、当時の調査隊員94人が東京、千葉、神奈川などの被災地を歩いて調査し、地図上に、家屋の倒壊や焼失の状況、鉄道や道路、橋などの損壊状況など被災状況を書き込んだ。赤色の字で「家屋ことごとく倒壊し現存してあるもの郡役所のほか数戸に過ぎず」などの記載がある。実物も7点ほどが開催期間中、代わる代わる展示されている。 一方、軍関係施設などが立地する区域の地図は当時、外に持ち出したり公開するのを禁じられ、被災調査で使用することができなかった。調査隊員は、持ち出し禁止区域の海岸線や河川、鉄道、主要道路、集落や地名を和紙に写し取り、「写図」を作って現地調査で使用した。会場では被災状況が書き込まれた「写図」も展示されている。 延長460キロを測量 地殻変動を測量した記録は、余震が沈静化してきた9月26日から房総半島と三浦半島を、10月下旬から東京付近の水準点を測量した。水準点231点、延長460キロを測量し、水準点の沈下や隆起の概要をまとめた1924年3月の報告書「関東地方激震後における震災地一等水準路線の変動について」が初めて公開されている。東京湾の入り口、神奈川県三浦市の油壷験潮場は震災で約1.4メートル隆起し、機器が破損したため潮位を測定できなかった。企画展では油壷験潮場の当時の潮位の変化がパネルで初公開され、機器が損傷し、記録が空白となっていることが分かる。さらに三角点808点の当時の測量記録をもとに、震災前と後で地形がどのように変化したかを現代の地図上に記した三角点の水平位置移動図も初公開されている。 ほかに、被災直後の東京の街の様子などを撮影した絵はがき約50点や、災害に対する現在の取り組みなども紹介されている。絵はがきは、当時の人々が、震災の様子を遠くの親戚などに送って知らせたものだと言う。 同館で関東大震災をテーマに企画展が開かれるのは震災85年の2008年に次いで2回目。 同院広報広聴室の塩見和弘室長は「企画展では、当時の水準測量と三角測量の実際の記録を元にして、関東大震災でどんな地殻変動が起こったのかを見ることができる。潮位の観測も初公開され、当時どのように潮位が変化したかが分かる。当時の測量の成果や我々の先輩が後輩に残した記録を現代の地図上に落とし込んで、どのような地殻変動が起こったかということも見ることができる。当時の実際の地図のレプリカから、災害の状況を手に取って見ることもできるので、防災意識の醸成や防災に役立てていただければ」と話す。(鈴木宏子) ◆同展は10月1日(日)まで。入場無料。開館時間は午前9時30分~午後4時30分。月曜休館。地図と測量の科学館は、つくば市北郷1、国土地理院構内。詳しくは電話029-864-1872。

意見相次ぎ審査継続へ 洞峰公園問題で県議会特別委

「68億円の財産、無償譲渡は理解しがたい」 県議会の第2回県有施設・県出資団体調査特別委員会(田山東湖委員長)が30日開かれた。県立の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮)を地元のつくば市に無償譲渡する県執行部の方針に対し、いばらき自民党のベテラン県議3氏から「68億円の財産(洞峰公園の資産価値)を不交付団体のつくば市に無償で譲渡するのは疑問だ」などの意見が相次ぎ、県の方針を了承するには至らず、次回も審査を継続することになった。 この日審査を実施した、民間譲渡などが検討されている県や県出資団体の施設7カ所のうち、審査継続となったのは洞峰公園と鹿島セントラルホテル(神栖市)の2カ所のみ。5施設については県の方針を了解した。 洞峰公園の無償譲渡についてベテラン県議からは「突然、無償譲渡の話になって唐突感がある。県県有財産の交換・譲与・無償貸付けに関する条例の取り扱い基準では、公園の譲渡は特例扱いなのだから、それだけ慎重にやってほしかった。これまで県有財産を無償で市町村に譲渡した例もあり有償の例もあり、分かりにくい。ルール作りをしなくてはいけないし、今後我々も提案していきたい。今回足りないのは、県と市との話し合い、県民への説明、議会への説明が足りない。不交付団体のつくば市にただでいいということに対する疑問の声もある。無償貸し付けなどいろいろ可能性はある」(森田悦男県議)などの意見が出た。 ほかに「県の財政は厳しいのに、68億円の県の財産を無償で譲渡するのはもったいないという県民感情があるということを頭に置いてほしい。つくば市は、グットマンジャパンが市開発公社の土地を110億円で購入するなど、そういう地域。そういうところに無償で提供するのはいかがなものかと県民の1人として感じる。県民の財産ということをもっと真剣に考えてほしい」(飯塚秋男県議) 委員以外からも「雑で荒っぽい進め方をしてきた。(知事は)最初はグランピングを言い、無償譲渡を言い出した。なぜ相矛盾することを言ったのか、いまだに分からない。思い付きと受け取らざるを得ない。地方自治法では条例や議会の議決に依らない限り、公有財産は正当な対価で渡すことになっている。つくば市は不交付団体。なぜ無償で渡すのか理解しがたい。一旦白紙にして、じっくり取り組むべき」(常井洋治県議)などの意見が出された。 ほかに江尻加那県議(共産)と星田弘司県議(自民)から、無償譲渡に伴うパークPFI事業者との契約解除問題や体育館・プールなどの大規模修繕問題について質問が出て、県都市整備課は「パークPFI事業者とは協定を結んでおり、つくば市に移管されれば協定を解除する。今までの検討に要した経費は(県が事業者に)支払い清算するが、損害賠償とか(契約期間10年間で実施する予定だった事業の)機会の損失の話はしてない」とした。つくば市に引き渡す前に県が実施する施設や設備の不具合箇所の修繕については「県、つくば市、指定管理者と合同点検をして、さらに専門業者を入れて調査の精度を高め、これから壊れる不安がないよう4000~5000万円の間で(県が)修理をする。当面、大きな修繕が必要になるものは今後出てこないと思っている」などと話した。 次回の調査特別委は9月25日開かれ、洞峰公園の無償譲渡と鹿島セントラルホテルの民間譲渡問題について引き続き審議が行われる。(鈴木宏子)

命令され その通り実行するのが役目だった【語り継ぐ 戦後78年】3

土浦市 相原輝雄さん 土浦市に住む相原輝雄さん(97)は18歳になった1944年、予科練(海軍飛行予科練習生)甲第14期生として海軍に入隊した。父親は東京・品川でクリーニング店を営んでいた。「当時、若い人は軍隊に行くのが華だったし、戦争に行ってアメリカをやっつけるのは当たり前という雰囲気だった」。 最初は奈良県丹波市町(現在の天理市)にあった三重海軍航空隊奈良分遣隊(ぶんけんたい)で基礎訓練を受けた。天理教の信者詰所を接収して発足させた分遣隊で、同期の甲14期生は1000人くらいいたと記憶している。海軍の寝床は吊り床(ハンモック)だと聞いていたが、天理教の詰所だったことから寝具はわら布団だった。 入隊直後は古参の兵長が相原さんら40~50人の指導に当たった。下着から文具まですべて用意してくれ、親切に世話をしてくれたので、最初は優しい人なんだと思っていた。ある朝、布団をもってうろうろする予科練生がいた。兵長に見つかり、こぶしであごを殴られ、ひっくり返った。見ていた全員に一気に緊張が走り、「軍隊とはどういうところか、初めて分かった」瞬間だったと振り返る。 予科練生の1日は、朝5時45分にマイクで「総員起こし15分前」放送が流れ、6時に起床ラッパが鳴る。整列して皇居がある東に向かってお辞儀をし、天皇が詠んだ和歌、御製(ぎょせい)を歌って、海軍体操をする。続いて「甲板掃除」と「駆け足」の2グループに分かれ、甲板掃除班は兵舎の掃除をし、駆け足班は隊列を組んで街中を駆け足で行進してから朝食をとる。 課業(授業)は午前9時から午後4時までほぼ1時間刻みで行われた。無線の授業が特に重視された。操縦する戦闘機の位置を母艦に知らせるために重要だからだ。精神講話もあり、日本は神の国であり天皇陛下のために命を捧げることはいいことだと教えられた。成績が悪い者にはあごをこぶしで殴る「あご」、太い棒で尻を叩く「バッター」などの制裁があり、風呂に入ると皆の尻にバッターの跡があるのが分かった。 年が変わって間もなく、班の教員が代わり、ミッドウェー海戦の生き残りだという一等機関兵曹が着任した。富田といい、体重が80キロほどもあった。 富田教員がやってきて間もなく、相原さんの班の通信の成績が最下位になった。富田教員は烈火のごとく怒り、班の14~15人を廊下に整列させ、拳であごを殴り、全員がその場でひっくり返った。 相原さんが殴られる番が来た。足を踏ん張り、口を閉じた。殴られ、目の前に火の玉が浮かんだような気がしてよろけたが、倒れなかった。 数日後、富田教員から教員室に呼ばれ「甲板練習生をやれ」と命じられた。甲板練習生とは、分隊の軍紀や風紀を取り締まる係で、同期生であっても制裁を加える権限があった。特別扱いされ、一目置かれる存在だ。殴られてもただ1人倒れなかった相原さんを富田教員が気に入り推薦した。 「それからは楽だった」と相原さん。訓練の際も号令を掛ける立場になったため、教員から制裁を受けることもなくなった。「軍隊は悪いことばかりではなかったということ」、一方で「ただ1人、ひっくり返らなかったというだけで、そういうことが通用するのが軍隊だった」。 1945年5月初め、阿見町の土浦海軍航空隊に異動命令が出て、奈良分遣隊の甲14期生全員が特別列車で移動した。 寝具はハンモックだった。ハンモックをたたんだり、下ろしたりする訓練は大変だったが、甲板練習生になった相原さんは号令をかける立場だった。 しばらくして第14期生全員が練兵場に招集され、特攻隊の指名が行われた。名前を呼ばれた者は特攻隊員として魚雷艇に搭乗する。魚雷艇はモーターボートの船首部分に爆弾を詰めて、隊員が操縦して敵艦に体当たりする特攻兵器だ。戦闘機による特攻よりも死ぬ確率が高いことを誰もが分かっていた。 その日、相原さんの名前は呼ばれなかったが、夜になると、あちこちですすり泣く声が聞こえた。後で分かったことだが、名前を呼ばれたのは次男、三男、四男ばかり。相原さんは長男だった。 6月10日、土浦海軍航空隊と周辺地域が米軍のB29に爆撃される阿見大空襲があった。この日は日曜日で、土浦に来て初めて外出できる日だった。面会に来た家族もあり、民間人も含めて教員、予科練生ら374人が犠牲になった。甲板練習生だった相原さんは兵舎を駆け足で点呼し、兵舎を守るためその場に残った。 翌日は特攻基地建設のため千葉県に連れて行かれ、土木工事に従事した。7月下旬にも岩間(現在は笠間市)に行き、特攻基地建設に当たった。 8月15日は上官の分隊士から「本日、昼休み時間に重要な放送がある」という話があった。当時宿泊していた農家の庭に集まってラジオで玉音放送を聞いたが聞き取りにくく、分隊士から「日本は無条件降伏した」と聞かされた。皆、次第に興奮し「筑波山に立てこもって最後まで戦おう」と話し合った。 しかし翌日、帰隊命令が出され、分隊士の説得もあって、皆で隊に戻った。復員が決まり、コメや缶詰などの食料と、服や靴、毛布などの身の回り品を、自分で背負える分だけ持ち帰ってよいことになった。背負える分だけでなく持てるだけ持ち帰ろうと、それぞれ4~5人のグループで農家から牛車を借りて土浦駅まで運んだ。隊を出ようとしたところ、門のところで「退職金が出るので持ち帰ってください」と衛兵に呼び止められ、1000円を超える退職金をもらった。当時、二等兵の月給は45円。2年分の給料に相当する額だった。 東京は空襲で焼け野原になっていたが、自宅がある一角は焼けずに残っていた。コメを3斗(45キロ)持ち帰り、家族に大変喜ばれた。戦後は、通産省工業技術院(現在は産業技術総合研究所)地質調査所に勤務し、全国各地を歩いて石炭や鉄などの地下資源の調査をした。 「戦争とは何かなど、当時は考える暇もなかったし、考えもしなかった。とにかく敵をやっつけるために特攻があって、それに乗せられた。我々自身が考えるということは一切なく、上から命令され、その通りに実行するのが役目だった。今は何でも言えるけれど、当時は一切言えず、上から言われる通りにやらないといけなかった」と話す。(鈴木宏子) 続く

焼夷弾落とされ言問橋が真っ赤に【語り継ぐ 戦後78年】2

つくば市 高橋遵子さん 1944年11月から45年8月まで東京の市街地を60回以上無差別爆撃し、民間人約10万5400人の命を奪った東京大空襲ー。最も被害が大きかったのが45年3月10日の下町大空襲だ。下町のほとんどが焼き尽くされ、約27万戸が罹災、約100万人が被害を受け、約9万5000人が死亡したとされる。 つくば市の高橋遵子さん(85)は当時5歳。母親と二つ上の兄と3人で下町の東京都墨田区向島に暮らしていた。 両親は料理屋を営んでいたが、終戦の1年ほど前に赤紙(召集令状)が来て、父親は店をたたみ、伊豆大島に出征した。きょうだいは姉3人と兄と遵子さんの5人。姉3人のうち小学6年の長女と小学4年の次女は学徒勤労動員で千葉県内の工場に行き、たまに帰ってきては「白いご飯が食べたい」と泣いていた。しかし当時、白いご飯は無かった。 小学3年の3番目の姉は千葉県のお寺に疎開した。7歳の兄は埼玉の親戚の家に一旦疎開したがなじめず、ある日埼玉から歩いて戻ってきた。兄が帰ってきたとき、母親は「二度とそんな思いをさせない」と言って兄を抱きしめたのを覚えている。 1945年3月10日、遵子さんが住む向島の上空に米軍のB29が次々に飛来し焼夷弾を投下した。「逃げろ」という声が聞こえ、母親と兄とで近くの小梅小学校に逃げた。B29は低空を飛行しパイロットの顔が遵子さんにも分かるほどで、逃げ惑う民間人を狙って爆弾を落としているように見えた。 自宅近くの隅田川に架かる言問橋(ことといばし)は、浅草方面から対岸の向島に逃げてくる人と、向島方面から対岸の浅草に逃げようとする人であふれていた。荷物をいっぱいに積んだ荷車を引いて逃げる人もたくさんいた。そこにB29から焼夷弾が落とされた。 近くの小梅小学校に避難していた遵子さんのところにも「言問橋が燃えている」という話が伝わってきた。「石と鉄で出来ている橋が燃えるわけはない」「じゃあ見てみろ」と騒ぎになり、遵子さんも母親らと言問橋を見に行った。 行くと橋は真っ赤に燃えていた。人々の叫び声、荷車が燃える音、強風の音が聞こえ、橋の欄干から冷たい川に飛び込む人影も多数あった。 翌日昼頃、自宅に帰ろうと母親におんぶされて小学校を出ると、途中、街角にあった防火用水の桶(おけ)に、赤ん坊をおぶったまま水に浸かっている母親がいた。「何してるの」と母親に尋ねたところ、母親は「死んじゃってる」と答えた。昨晩、空襲から逃れようと防火用水の桶に入り、2人共、熱風で息を引き取ったと見られた。 遵子さんの自宅は、夜中に風向きが変わったため焼けずに残った。しかし周囲は焼け野原になっていた。近くの公園の広場には墨田川に飛び込んだ人の遺体が山のように重ねてあり、言問橋ではブルドーザーにような大きな車が黒く焼けた遺体を片付け、自宅裏の常泉寺に運んでいた。 遺体は当時、公園や寺の境内に穴を掘って仮埋葬された。夜になると人魂が燃えているように思えて、とても怖かった。遺体が掘り返されて火葬されたのは戦後になってから。名前が分かり、引き取られた遺骨は約8000体で、8万体以上の遺骨が現在も墨田区の東京都慰霊堂に安置されている。 言問橋の欄干の端に立つ石製の親柱には黒い焼け跡が付き、戦後も黒い跡が取れずに残った。戦後、遵子さんは言問橋を渡って高校に通ったが、親柱の黒い焼け跡を見るたび3月10日の恐怖を思い出した。 終戦になっても父親はすぐに帰ってこなかった。その間、母親は1人で5人の子どもを養った。戦後間もなく、母親といなかに行って着物などと交換しコメを手に入いれた時、自宅近くの業平橋駅(現在はとうきょうスカイツリー駅)で闇米の一斉取り締まりがあった。闇米を持っていることが分かると警察に連れていかれる。母親はとっさに、高台にあった業平橋駅のホームから、コメを道路わきに落として駅を出た。すぐに落とした場所に拾いに行ったが、すでに誰かに盗まれた後だった。帰り道、母親は遵子さんの手を引いて一言もしゃべらず家路を急いた。母親がかわいそうで、悲しくて涙があふれた。 終戦から1年ほど経って父親は大島から帰ってきたが、歯が折れてほとんど無くなっていた。大島の海で隊員らの弁当箱を洗っていた時、1つが海に流された。その日、父親は上官から「弁当箱一つでも天皇陛下から預かっている」んだと叱責され、ひどぐ殴られて歯が折れたのだと知った。 遵子さんは「戦争ほど残酷で、惨めなものはない。弱い立場の人ほど苦しむ。二度と戦争をやってはいけない。生き残った者として、伝えていきたい」と語る。(鈴木宏子) 続く

38度線へ 母に手を引かれ逃避行【語り継ぐ 戦後78年】1

間もなく戦後78年の終戦の日を迎える。戦争体験者が少なくなる中、戦争とは何だったのかを次世代に語り継ぐことが年々難しくなっている。戦争体験者4人に話を聞いた。 つくば市 花房順子さん つくば市の花房順子さん(83)は、1910年から45年まで日本が植民地支配していた朝鮮半島で生まれた。広島県出身の父親は警察官。中国国境に近い朝鮮北部には当時、日本の駐在所があちこちにあり、父親は国境の駐在所で警備に当たった。終戦の時は6歳。「終戦の日まで怖い目に遭ったことはなかった」と振り返る。 1945年8月15日、日本が無条件降伏し日本軍が撤退すると、入れ替わって北にソ連軍、南に米軍が進駐し、38度線でにらみ合った。 順子さんの暮らしは終戦の日を境に一変する。日本が降伏した途端、日本人に対する周囲の朝鮮人の反感を幼心に感じた。両親はばたばたと荷物をまとめ、父親は家族を引き連れて駅に向かった。しかしすぐにソ連兵が入ってきて、駅に集まっていた多くの日本人が逃げ惑った。父親は駅まで行かず、途中で、懇意にしていた朝鮮人に家族をかくまってもらった。 8月23日、スターリンが、日本軍捕虜をソ連の収容所に移送し強制労働させるというシベリア抑留の命令を出すと、朝鮮北部にいた日本人男性は全員集められた。 順子さんの父親も街の広場に集められた。最初、順子さんら家族は父親にくっついて広場で過ごした。明日、連れていかれることが決まり、母親はお酒が好きな父親のため、別れに酒を持たせようとしたが、手に入れることができず、代わりにハチミツを水に溶かした飲み物を順子さんの水筒に入れて父親に持たせた。それが父親との最後の別れになった。 順子さんは3人きょうだいの長女で、4歳の妹と2歳の弟がいた。母親は3人の幼子を連れて、しばらく朝鮮人の家を転々とした。そのうちかくまってもらうこともできなくなり、夜は近くの山に入って野宿した。街中では、日本人女性がソ連兵に強姦されたり、殺されたという話を聞いた。 当時、米軍が進駐した朝鮮半島南部にいた日本人は、米軍が出した船で次々に日本に送り返された。一方、ソ連が進駐した北部にいた日本人はそのまま留め置かれた。 しばらくして順子さんらは、中国との国境に近い、日本兵が駐屯していた兵舎に集められ収容された。収容所は女性と子どもばかりだった。国境近くは冬には氷点下30度にも40度にもなったが、暖をとる薪(まき)を買うお金もなかった。どうやって過ごしたか、よく覚えてないが、1日1回くらいコーリャン(キビ)を炊いたおかゆが配られた。やがて収容所で、はしかが流行し、2歳の弟が息を引き取った。 これ以上ここにいては全員死ぬしかないと、リーダー格の日本人が、収容所を出て日本に帰る計画を立てた。母親も計画に加わり、雪が解け始めた頃、母親は順子さんと妹を連れて収容所を出発した。何かあったら兵隊に渡して見逃してもらえるよう、金目のものも集めた。 200人くらいがグループに分かれて38度線を目指した。街の通りはソ連兵が警備しているため、見つからないよう、昼間は山中に身を潜め、夜になると山の中を歩いた。早く歩ける者はどんどん進んだため、列はばらばらになり、幼い子供を連れた女性はだんだん取り残された。 6歳の順子さんは、4歳の妹をおぶった母親に手を引かれて歩いた。赤ん坊を連れた女性も多かったが、ソ連兵に見つからないよう、赤ん坊の口をふさいだ母親もいたと聞いた。 幾晩も幾晩も山の中を歩いて、38度線に近づいた頃は、グループは5~6人だけになっていた。夜が明けたころ、米軍が進駐する南の駅のそばまでたどり着いた。すでに明るくなっていたが、「すぐそこだから歩こう」と、歩き出した時、ソ連兵に見つかり、銃を持った兵隊がやってきた。順子さんは「殺される、これでおしまいになる」と覚悟したことを覚えている。 しかしソ連兵は行かせてくれ、順子さんは無事、38度線を超えることができた。後で知ったことだが、その時ソ連兵は「女を1人残せ」と言ったのだという。グループには大人の女性が3人いて、順子さんの母親ともう1人は子連れだった。途中から付いてきてグループに加わった子どものいない女性が「私が残ります」と言ってくれたのだと聞いた。 南に入ると、米兵が汽車に乗せてくれ、釜山に向かった。釜山ではたくさんの日本人が船を待っていた。翌年の1946年5月の終わり、釜山から船に乗ることができ、長崎県佐世保に上陸。佐世保から広島県呉まで汽車に乗り、それからバスに乗って、さらに長い道を歩いて、広島県のいなかの父親の実家に身を寄せ、父の帰りを待った。 父から何の連絡も無いまま、1年か2年が過ぎたころ、父親と同じ収容所で収容されていたという男性が父親の実家を訪ねてきた。男性は父親と郷里が同じで、収容所を脱走し、翌年、日本に帰ってきたのだという。 男性によると、父親と男性は1945年8月の終わり、シベリアに行く途中で中国・東北部の延吉にあった収容所に集められた。収容所では発疹チフスが蔓延し、父親も感染して、1946年2月4日、チフスで亡くなったのだと話した。男性は、父親が亡くなったのを見届けて収容所を脱走し、途中、中国共産党と国民党の戦闘にも加わったが、そこも脱走したのだと話した。 男性は、父親の形見だと言って、ハチミツを入れて渡した順子さんの水筒を持ってきた。高さ17センチの小さな水筒はふたがつぶれたり、底の一部が欠けたりしていたが、順子さんにとってたった一つの父親の形見となった。 父親が亡くなったという報告を聞き、母親は順子さんらを連れて、同じ広島県内の母親の実家に帰った。 成人した順子さんは京都の私立大学の事務職員として勤務し、研究者の夫の転勤を機に1979年、つくばに転居した。 「戦時中、日本では、空襲でひどい目に遭ったり、疎開で子どもたちがひもじい思いをしたが、朝鮮では、怖い目に遭ったことは一度も無く、むしろ日本人は威張っていた。しかし終戦になった途端、しっぺ返しを受け、朝鮮の人からもいじめられたが、ソ連兵はとりわけひどかった」と順子さん。「満州から逃げてきた日本人もたくさん北朝鮮に入ってきたが、ソ連兵に殺され、たくさんの人が亡くなった」とも言う。 次の世代に伝えたいこととして「何がなくても戦争を起こしてはいけない」と強調する。「『抑止力をもたなくてはいけない』と言う今の政府のやり方は本当に怖い。抑止力はきりがない。それよりも仲良くする方法をなぜ考えないのか、対立するのではなく、話し合う機会をつくるべき」と語る。(鈴木宏子) 続く

洞峰公園も調査対象に 県議会が調査特別委設置

県施設の処分や売却などの方針が次々に打ち出される中、県議会に31日、「県有施設・県出資団体等調査特別委員会」(田山東湖委員長)が設置され、つくば市に無償譲渡が予定されている洞峰公園(同市二の宮)も重点的な調査の対象施設の一つになることが分かった。 田山委員長によると「議会として議決してつくった施設を、売るのに知事の裁量だよというのはおかしいという議論があり」、設置に至った。 重点的に調査を行う施設は、10月にもつくば市に無償譲渡が予定されている洞峰公園のほか、県出資の第3セクターが運営し、県が民間に売却する方針を打ち出した鹿島セントラルホテル(神栖市)、民間譲渡が予定されている白浜少年自然の家(行方市)、里美野外活動センター(常陸太田市)と、県立青少年会館(水戸市)の5施設。 1年ほどかけて調査し県議会としての調査結果をまとめる予定だが、9月議会に条例改正案の提案が予定されている洞峰公園については、委員会として早めに考え方をまとめたいとしている。 洞峰公園について田山委員長は「県の都合で、採算性という点から、地元に相談なく(県は)パークPFIやグランピングを提案した。地元の反対があり、最終的にはつくば市に移譲するというが、そうなると本当の(パークPFIや無償譲渡の)理由は何なのか、グランピングをやろうとしたなら無償譲渡の条件にグランピングを付けないのか、などを審査したい」などと話した。 同調査特別委は、人口減少社会における県有施設の今後の方向性や売却等の処分などの妥当性、県出資団体の事業の在り方、経営改善方策などについて重点的に調査するのが目的。 県有施設については、設置目的や利用状況を再確認の上、売却や譲渡などの処分の妥当性や影響、それへの対応のほか、管理の在り方や今後の対応などについて調査する。 同調査特別委の副委員長は星田弘司氏(いばらき自民党)、メンバ―は15人。第1回委員会は8月2日開催予定。(鈴木宏子)

負担軽減へ 小中7校、洞峰公園のプール利用を検討 つくば市が3カ所で説明会

つくば市二の宮の県営の都市公園、洞峰公園(20ヘクタール)を、つくば市が県から無償譲渡を受ける方針をめぐる市民説明会が22日、市内3カ所で実施された。五十嵐立青市長は、谷田部東中地区と並木中地区の小中学校7校の児童生徒に洞峰公園のプールを使ってもらうことを検討していることを明らかにした。 老朽化により来年度、大規模改修を実施する計画だった並木中プールの改修費用を試算したところ、5000万円から1億円かかることが分かったとして、7校のプールの維持管理費(大規模改修を含む)が年間2300万円から3700万円かかっており、児童生徒が各校から洞峰公園に行くとするとバス代が1300万円であることから、バス代を差し引いても洞峰公園プールを利用してもらう方が年間1000万円から2400万円プラスになり、その分が、市が新たに負担することになる洞峰公園の年間維持管理費約1億5000万円の低減につながるなどとした。 無償譲渡を受ける今後のスケジュールについては、8月にアンケートを実施し、すべてがスムーズに行けば、9月議会に県から無償譲渡を受ける条例改正案を市議会に提案、10月に市に移管になるとした。大井川和彦知事も7月6日の定例記者会見で、移管の時期を「順調に行けば10月になる」との見通しを示している。8月に市が実施するアンケートの設問や方法などはまだ決めてないとした。 今後の洞峰公園の管理方法については協議会を設置し検討するとし、協議会の構成は自治会、愛好者団体、商工団体、学識経験者などを挙げた。 22日の説明会は市北部の大穂交流センター、洞峰公園体育館、市南部のふれあいプラザで実施され、大穂には26人、洞峰公園50人、ふれあいプラザには16人が参加した。 午前中実施された大穂交流センターでは「(年間維持管理費の)1億5000万円をかけて市が引き取ってやる意味が全然分からない」など無償譲渡を受けることに反対する意見と、「洞峰公園の美しい自然と静かな環境を子供や孫に伝えていくべき」など賛成意見の両方が出された。「協議会に分科会を設置しいろいろな方面の意見を聞いてはどうか」などの提案や、「今のように庭園として管理するのではなく自然公園として管理すれば維持管理費がかなり安くなる」などの提案もあった。 午後からの洞峰公園体育館では、無償譲渡を受けることに賛成する意見や市長への感謝の声が多く出された。夜開催のふれあいプラザでは、説明会開催を告知する市の広報が少なく、地元茎崎地区の参加者が少なかったことについて「市は本当に(茎崎の住民に)参加してもらいたかったのかと(疑問に)思う。1億5000万円使ってもしょうがないねと思ってもらえるよう、洞峰公園に興味がない人に知ってもらう努力をすべきではないか」などの苦言も出た。 最終回となる4回目の説明会は28日午後6時30分から、洞峰公園筑波新都市記念館で実施される。(鈴木宏子) 次ページは大穂交流センターでの第1回説明会のやり取りの概要 【28日午後追加掲載】説明会には県都市整備課の大塚秀二課長らも出席した。22日、大穂交流センターで開かれた1回目の参加者と五十嵐立青市長及び県都市整備課長との質疑の概要は以下の通り。 参加者1 いろいろご説明いただいたが、要約すると結局、茨城県のパークPFIが嫌だからそれを阻止するために引き取って、つくば市が1億5000万円負担しますという話ではないか。1億5000万円かけて何が変わるかと言うと、いろいろ取り組みますという話はあったが基本的に今まで通りという話だった。それって何のメリットがあるのか、非常に疑問。なぜパークPFIをつぶさなきゃいけなかったのか、よく分からない。グランピングをやるから問題なのかというと、例えばゆかりの森でバーベキューをやっていて、あそこで問題が起きているのか、騒音が起きているのか、悪臭があるのか、治安が悪くなったのか、そんなことはない。(市が無償譲渡を受けるという説明について)何のためにやるのか全然分からない。修繕費も大丈夫だという説明があった。総合運動公園の時も前の市長が同じような説明をされていた。要はお金をかける価値があるかどうかだ。年1億5000万円かけて県から引き取ってパークPFIをつぶす意味が全然分からない。つくば市の仕事は、県により良いパークPFIにしていただいて、不安に思っている方に理解してもらうとか、心配している点を解消するよう県に変えてもらう方向にもっていくのが本来の姿ではないか。なぜパークPFIをつぶして引き取らなきゃいけないのか教えていただきたい。 市長 費用の話とパークPFIの話があった。費用に限ってみれば、学校プールで地域で利用できるようにする。長期的な学校プールの大規模修繕費を考えると、周辺の学校を全体でならして計算すると年間2000万円から3000万円くらいになる。子供たちが通うバス代はいくらかというと千数百万円。それだけで見ても1億5000万円は十数年あれば十分回収できる金額。金額だけでそういうメリットがある。パークPFIに反対しているのではない。パークPFIにするにせよ、民間が入るにせよ、入るべき場所に適切に入るのは私は歓迎する立場。洞峰公園のパークPFIの中身がどうかというと、住宅街の中で、文教地区になっていて、ビール工房とかグランピングとかが入ってきて、これまで積み上げられてきた様々な環境が影響を受け、樹木もかなりの数、伐採する計画があったので、伐採してしまえば生態系は元に戻らない。グランピング、駐車場拡張、樹木伐採のような形ではないものに、ということは(県に)いろいろ話をしてきた。オブザーバーの形で県に心配点は伝えてある。そもそもグランピングは作れない場所なので、できませんよとお伝えしてきた。ただ当時の県の説明ではグランピングがないと収益として成り立たたないから、絶対やらなくちゃだめなんだという話があった。別のパークPFIならよかったのかもしれないが、このプランに関しては交渉の余地がなかったということが今に至る流れ。費用面では学校プールの足し算、引き算で十分黒字になる可能性がある。パークPFIはいいものであれば私も賛成。よりよいものになるよう相談したが県はできないという結論だったので、市が引き取ることによってこの環境を守りながらよりよい形に生かしていこうと考えた。 参加者2 洞峰公園ができた頃は経済環境も国力も全然違っていた。官じゃないとできないことだけをやる観点でお考えいただきたい。ほとんどの市町村は人口オーナス期(人口構成が経済の重荷になる時期)の状況になっている。つくば市は人口が1割ぐらい増えている。税収を含む歳入の伸びはプラスに切っている。そもそも洞峰公園をいる、いらないの議論が最初になきゃいけない。最後は民意しかない。十分に議論を尽くして、公益性、公共性の価値がある公園であるのか、民主主義の原点に立ち返る判断をしていきたい。今回なさる市のアンケートについては、アンケートはいかようにも解釈できるので、選択肢とか解釈は十分考えてほしい。 市長 洞峰公園を残す必要があると政治家として判断している。だからといって1人で決められるものではない。皆さんと対話する機会をいただいたり、民意の究極の表出は市議会での議決になるので、議員の皆さんにもご理解いただけるようにしたい。大枠としてはご理解をいただいているのではないかと考えている。2点目の、行政がやらなくちゃいけないことは何かということは難しいテーマ。民間の力をもっと使いたいと基本的には考えている。例えばまちづくり会社をセンター地区でつくった。プロフィット(利益)を生み出せる事業をしていこうと思っている。これについても市がやるべきだという声もあったりし、正解はない話だと思っている。民間で収益性が出せないけれども、守らなきゃいけない部分はコストをかけても守るというのが私の考え方。いろんな方から話を伺いながら進めていきたい。 参加者3 最初の方の質問の回答の中で、学校プールの修繕費が年2000万円から3000万円ある、1億5000万円は回収できるという話があった。学校プールとの足し算、引き算の話が理解できなかったので、詳しく説明していただきたい。 市長 洞峰公園の近くには谷田部東中学校区があり、小野川小、二の宮小、東小がある。並木中学校区には並木小、桜南小がある。プールの大規模修繕は20年程度で必要になる。小規模修繕もそうだが、20年、30年経っているところは大規模修繕が必要になる。並木中でいうと(大規模修繕を)5000万円ぐらいでできればいいと思っているが、高い金額だと1億円くらいいってしまう。これに加えて日々の修繕費がかかってくる。それを20年でみたときに大規模修繕費、年間維持管理費を足し算すると、並木中のプール改修費は設計委託で180万円かかっている。来年度やる予定なのは5000万円から1億円になる。プールの修繕サイクルを20年から30年とすると、年間で1校当たり300万円から500万円かかる。7校分のライフサイクルコストでいくと年割にすると2100万円から3500万円くらいかかる。施設維持費を含めて割っていくと2300万円から3700万円くらいになる。子どもたちが学校プールを使うのを止めて洞峰公園のプールで実施することになったら、バス代が最大限1300万円くらい、ライフサイクルコストの一番低い金額だとしても年2300万円なので年1000万円の黒字になる。3700万円の数字にすると年間で2400万円の黒字。7年で回収できる計算になる。 参加者3 やっぱり分からない。学校プールの毎年の修繕費と洞峰公園の維持管理費がどういう関係にあるのか。1億5000万円回収できるとか、学校プールの足し算、引き算という意味がわからない。 市長 それによって年間の赤字額が縮減される。プラスの効果を生んでいくということを説明している。 参加者3 洞峰公園(の管理運営)を市がやったからと言って、学校プールの修理費がいらなくなるわけではないですよね。 市長 今申し上げたプールは、いらなくする、使わなくするということだ。 参加者3 洞峰公園のプールを使うから、学校プールを廃止して、その分、足し算、引き算だということか。 市長 はい。みどりの地区に新しく造るプールがその方式だが、いま造っている学校も、今年4月にオープンした学校も、学校の中にプールをつくってない。みどりの地区に今、学校市民プールを作っている。学校の(プールの)授業はバスで子どもたちが行く。子どもたちが使わない時間は市民、地域の人が自由に使えるようにする。新しいプールを各学校につくるよりもコストがかからない。それと同じ考え方をここでもしている。 参加者3 その意味は、1億5000万円の洞峰公園の維持費を出す代わりに、それに相当する額の学校プールを廃止する、その足し算、引き算ということか。 市長 1億5000万円すべてではない。縮減効果をそれぐらいみているということ。ただただ赤字が増えていくということではない。 参加者3 資金ということを考えた場合、逆に毎年1億5000万円の資金があった場合、いくらの一時金を調達できるのかを考えると、今金利が低い時代なので正確には複利年金現価で計算しなければならないが、つくば市はだいたい20年で減価償却、残金償還している。単純にゼロ金利だとすると30億円の一時金が調達できる。言い換えれば30億円で洞峰公園で買うのと同じことだ。先ほどの学校プールだが、毎年2000万円ずつ修理費がかかるとなると、いくらの一時金が調達できるかを計算して、新しいプールをつくるのとどっちが得かなと計算するのが必要だと思う。そこまでお金をかけてパークPFIを嫌う理由がどこにあるのかという説明が必要だ。 市長 総合的に、コスト面、洞峰公園がもっている価値、市民からのさまざまな声を反映して、今回このような計画をご用意しただけ。市民がそれに反対して、議会が否決されるのであれば、民主主義ですからそういう結果になっていく。ただ今までの1000を超える方のアンケートを読むと、どれだけ公園に価値を置き、市民に必要な場所になっているかということを含めれば、私はこれを進めていくべきと考える。コストを最小化する努力は一生懸命する。 次ページに続く 参加者4 そもそも何ために洞峰公園を守るかを皆で共有したい。洞峰公園の魅力は美しい緑と静かな環境だと思う。つくば市の持続可能都市ビジョンがあるが、洞峰公園はその方向性に沿った公園だと思う。それからつくば市SDGs未来都市計画がある。この中で「公園の中に街があるような緑豊かなゆとりある街並み」という表現がある。まさにつくばの魅力ではないか。赤塚から松見までペデストリアンデッキがあって、西大通り、東大通り、408号の並木道、これは世界に誇る美しい環境だ。洞峰公園はその中核にある象徴的な公園だと思う。洞峰公園を大事にすることは私たちの願い、ビジョンに基づくものだと思う。そこで、公園を守るということのつくば市のビジョン、SDGsとの五十嵐市長の思いを語っていただきたい。洞峰公園は(都市公園法上の)総合公園だ(という位置づけ)、周辺住民だけじゃない、つくば市全体のものである、という意味はとても参考になった。今の県の公園でも、つくば市だけじゃなくて、県全体の人と共有したい美しい公園だと思う。パークPFIをやらないことのメリットを考えると、PFIをやってしまったらグランピングをやって、にぎわいをやって、多くの人を呼び込んで、駐車場を拡張して、一説によると数百本の木を切ってしまうという計画があった。収益を上げるために自然を壊してしまうことがどんなにデメリットなのか、自然を守ることは金銭に換算できない大きなメリットがあると思う。 市長 総合公園について、都市公園法上はつくば市全域が対象という位置づけになる。持続可能都市宣言に書いたことで大事にしていることは、我々は先人から引き継いで今の環境を預かっている。その時の思い付き、はやっていることだけでやってしまうとしんどいことになる、次の世代に責任をもって伝えることができなくなることは大きな問題になる。つくばの市長として、先人たち、積み上げによって守られてきたものを、経営が厳しいから全部民間にということは、生態系や皆さんが積み上げてきたものが崩れてしまうと思う。ただコスト度外視ということはいかない。1億5000万円ではなくて毎年何十億だよと言われたら現実的には無理。今の市の財政状況を考えて、例えば学校のプールとして使うことで少しでも縮減させていくことができたら、総合的に考えた上で、さらに協議会をつくって少しでも収入を増やすことをやっていいと思っている。洞峰公園の設計思想に合う事業なら積極的にやるべきだと思っている。当面は市が管理することが考えられるが、いろんな方からいろんなお知恵をいただいて、どういうものが設計思想を生かしながら収入面でもプラスになるか、地域の皆さん、市内全域の皆さんも納得感のある事業を考えていきたい。1億5000万円はそういうことをしないで今のままやったマックスの数字。今回多くの方が「ボランティアで(公園の手入れ)やるよ」「寄付するよ」と言ってくださった。ある議員さんは「絶対反対」だと言っていた。しばらくしてお会いしたら「考えを変えました」と。「洞峰公園に行ってきました」ということだった。いろんな森の中でいろんな活動をしているのを見て、真逆になって、「これはわれわれが議員として守らなくちゃだめだ」となった。 参加者5 最初の方の質問のような指摘があると思って、行政とは違う地域住民としてコメントということで発言させてください。あの公園は有料で使っている人が年間27万人いる。散歩をしたり、通学路で使ったり、公園に園児を連れてくる保育園や幼稚園もいっぱいある。目の不自由な方が伴走者と安心してトレーニングで走ったり、多様な使われ方をしている。朝5時からお年寄りや体の不自由な人が集まってラジオ体操している。ある日突然(パークPFIの)ポスターが張られて、説明会といって「公園に空き地があるから儲けろと県に言われました」と言って、事業者がグランピング建てて、ビール工房でビール売って、昼間から飲めるようにします、という説明会が去年の5月にあった。それで皆びっくりした。洞峰公園は年間50万人から100万人使っている。大きく変わるということで地域がびっくりした。それをきっかけに去年の4月からボランティア団体を始めて、けさも20人くらいで掃除してきた。絶滅危惧種の植物も生えているので自主管理させてもらったり、調査活動を学校の先生とやったり、木の観察会を子供たちとやったりしている。お金の話になると本当に申し訳ないと思っている。ただ、どの地域にも心に残る風景や場所がある。そこに突然知らないものがやってきて、とにかく子供たちが嫌だと言っている、つくばに移住していた若いお母さんたちが、こんなはずじゃなかったっていう声がいっぱい集まってきてしまった。県に何回もお願いに行ったが、知事の定例記者会見をご覧のように基本的には「やります」「やります」とそこを変えていただけなかったので、こういう結果になったんだと思う。これがまた白紙に戻ったら地域としては県にアプローチをしていかなくちゃいけないので頭が痛いところはある。今回いろんなタウンミーティングに行って、各地域にいろんな問題があることを知った。道路がまだないとか、水道がきてないとか、本当に勉強になって、そういうところに足を運んで、できることをしたいという気持ちだけはある。そういう気持ちが私たちの周りにはできている。大穂の皆さんや北条の皆さんも一緒に考えてほしい。つくば市のど真ん中にある緑の木を切っちゃう、沼のアシ原を切っちゃうって聞いたら、ただの汚い池になっちゃう。今もかなりアオコが出始めている。そうなった時、だれがどうするのか、皆で考えるきっかけにしていただきたい。地域住民のエゴととらえられるのが苦しいのでそこだけは理解いただけたら。 参加者6 洞峰公園の周辺に住んでいる。感情論しか言えない、金額は議会、市長にお任せするしかないが、つくばは本当にいいところだと日ごろ思っている。息子がゼロ歳の時からほぼつくばで子育てをした。洞峰公園は、本当に子どもが安心して過ごせるいい公園。ゼロ歳から、妊婦から、年齢、年齢で過ごし方があって、過ごす時間帯がある。パークPFIの話を去年聞いて、公園でお酒、公園でどんちゃん騒ぎできちゃうのって、素朴な母目線で、嫌だなというので、周りのお母さんたちと話して、誰一人、洞峰公園周辺じゃなくても、「それはちょっと」という声がいっぱいあった。このままであってほしいという思いを去年はお伝えさせていただいた。今のままの洞峰公園であるためには大井川知事が提示した無償譲渡、市への移管を五十嵐市長が受け入れようとしていることに本当にありがたいと思っている。生きずらさを感じている子供たちいっぱいいる。そういう子たちが一人でも安心してのびのび過ごせる場所があちこちにあればいいなというのが子育て世代の願い。その一つに洞峰公園はなり得る公園。プールの話、なるほどと思った。コロナ前は洞峰公園を活用している学校がもっといっぱいあった。フィールドワークのできる公園として利用してほしい。自由に過ごせる場、安心して過ごせる場としてこのままであってほしい。質問だが、万が一つくば市議会で否決されることがあった場合、県の管理のままでパークPFIが再開するという認識でいいのか。 県都市整備課長 今のご質問に対して案は持ち合わせていないが、今までの議論の経過や、パークPFIをこれからどのようにやるかを含めてもう一度考え直すことになると思う。今一旦止めているので、立ち止まってもう一度考えるタイミングにはなると思う。ただ今は、移管を前提にいろんなことを進めているので、そういう段階にはないということで、答えになっているかどうか、申し訳ないんですけど、グランピングをやるかどうかは、もう1回、市と協議させいただいて、どういう形がふさわしいかということを当然協議するということになると思うのでご理解いただきたい。 市長 何ともわからないところだが、全体的な県の流れは、いろんなものを民間に売却する方針になっている。これまでのプロセスではゼロか百かの議論でずっと進んでいた。グランピングを含めたパークPFIは一度も揺らいだことは無いので、普通に考えるとその流れなのかなという気はする。 参加者7 市民説明会の周知について、洞峰公園の説明会が3カ所で4回行われるが、場所と回数がかなり少ない。このような回数と場所で市民の意見を聞いたことになるのか。7月7日にネットで知らされ、ほんの数週間で説明会、わずか4回。私たちの住む地域ではほとんどの住民が説明会の開催を知らない状況にある。特に7月22日、23日は地域の祭り等の行事が多く、住民は夏祭りに参加して、説明会に来たくても来られない住民が多くいる。なぜこのような大きな問題となっている洞峰公園の説明会をわずか4回、しかも地域の夏祭りが集中する日に設定したのか、伺いたい。 市長 説明会は通常は何かやるときは、その施設のエリアと市役所の2カ所というのが多い。洞峰公園は総合公園で市全域に関わる話なので通常より拡大して南と北でやる、真ん中でも時間帯を変えてやるということをした。周知は各公園施設などでご案内した。通常よりもより広い形で市民の意見を伺ったと思っている。市には大きな事業だが説明会をやらないケースもある。皆さんの関心がひじょうに高いのでアンケートをこの後、実施する。設問の作り方によって、いくらでも誘導できるので、どういう形で市が取り組むかということをきちんとお伝えして、正しく事実を伝えながらバイアスがかからない設問を用意したい。(説明会の日程は)場所が空いている時間、スケジュールを見ながら今日になった。 次ページに続く 参加者8 洞峰公園にビール工房ができるとか、グランピングの場所になる、樹木が伐採されるという話を聞いた。五十嵐市長が大方この話に乗って進めようとしているのか、もしそうならとんでもないと思って出席した。説明いただいて五十嵐さんがそう考えているわけではなくて、県が考えて提案してきたことに対して、今この段階にきているという話を伺い安心した。協議会を設置して、これからいろんな角度から議論をしてよりよい答えを見出していきたいということだった。いろんな方面から意見を聞いていただきたい。(協議会は)規模として大きなものになるが、分科会的なもので議論して、ある時は全体が集まって意見を出し合う、こんな形の協議会にしていくようにしたらどうか。 市長 協議会の形はまだ検討している段階。(資料を示し)部会から1人出すだけでも10人超えるので結構な規模になる。どこまで全体で議論するのか、部会的に議論するのか、他の自治体でも協議会をつくっているところがあるので、先行事例を学びながら、今ご提案いただいたことも含めて考えていきたい。 参加者9 9月議会に関連予算や公園設置条例の改正を提案する噂が広がっている。現段階ではとても説明不足、情報提供不足はいなめない。市長は常々、対話を積み重ねていくとしている。今回、あまりにも簡単に進めていると思う。大変、将来負担が大きい事業なので慎重に進めていただきたい。ネットで知らせるだけじゃなくて、市報やかわら版を通じて情報提供していただきたい。県がバーベキュー施設、有料施設をつくって維持管理費を生みだそうと苦労している公園だ。鹿島セントラルホテル同様に頭を悩ませている公園だと思う。そういうものをあえて引き受けるのならなおさら、多くの市民に説明したり議論したり意見を聞いたりする機会をもっともっと増やしていただきたい。特に短期間の維持管理計画ではなくて、施設が老朽化してくるので、10年先、20年先を見据えた管理運営計画をつくって説明すべき。長寿命化計画もつくると聞いているので、きちんと情報公開していただきたい。 市長 これまでも様々な形でプロセスをすべていろいろな形で共有してきたと思っている。中長期的な修繕費は年額約3500万円という数字を出した上で説明した。どれだけ説明しても届かないケースもある。一番広く意見を伺えるのはアンケートだ。ぜひアンケートにご意見をいただいて最終的には議会に諮りたい。 参加者10 最初の方の危惧が気になった。県は、今年の方(担当者)は先ほど柔軟なことをおっしゃっていたが、去年の方は何も聞こうとしなかった。もう(パークPFIの指定管理者と)契約しちゃったんだからこれしかない、多少計画が変わったのは(指定管理者代表法人の)長大の方が引いていったんだと思う。県はまったく百、ゼロで、余地がないと思った。県は洞峰公園の実態を知らなかった。野球場がどのくらい使われているのか、中でキャッチボールしていても使ったことにしてない。業者の方も、もし儲からなかったらどうするんですかと聞いた人がいて、また聞きですけど、(業者は)いろんなことやります。どんなことに代えてもいいから儲けますと言ったそう。何をやるか分からない、県が止めなかったら何をやられてもしょうがない、これだとどうしようもないと感じた。そういう中で、知事がじゃあだめだったら無償譲渡だよと言って、市が受けてくださったのはまず良かったと思っていた。お金のことだが、1億5000万円という維持管理費はそんなにかからないのは間違いない。県は、県の事業でこれまで4000万円儲かっていたのを知ってたのに、それを考慮しないで、それでもパークPFIと言っていた。不思議なのは人件費がかなり積み上がっていること。積み過ぎだ。笠松運動公園の人件費は20人で5000万円いってない。洞峰公園の人件費は25人で8000万くらい。今度増やして1億円近く、9000万円とかになっている。どうやったら節約できるか、笠松の例をよく聞いていただきたい。とにかく地球温暖化をストップしなきゃいけないので、洞峰公園をそういう場にしてほしい。環境を守るということで洞峰公園を手に入れたと思っているので、環境のための洞峰だと言うことが分かるような形にしてほしい。 市長 (維持管理費は)一番固く見て、一番収入が少なくて一番支出が多い形で計算しているので、圧縮の可能性がある。通常こういう計画は、甘く見て、後で増える。(筑波研究学園都市は)一つの思想に合った部分、思い付きとかではなくて、ペデを中心に緑を生かしながらしっかりとした都市軸をつくってきた。その都市軸が、今回のパークPFIの当初計画では木が多く切られてしまい、合致しないものになってしまう。子どもたちに何であの時止められなかったのか、ということになってしまうので頑張っていきたい。 参加者11 今回、説明会を開いた理由は、洞峰公園で主にグランピングに対する反対があったからだと思う。これに対して市長と知事との間でどんなやり取りがあってここに至ったのかは説明いただいたが、今後も当事者間の意思疎通を密にして、市の公園であれば市の公園として、県の公園であれば県の公園として、ボタンの掛け違いが起こらないようにやっていただきたい。 市長 こうして県と連携を密にしながらやっている。鈴木県議が間に入って、調整していただいた。 参加者12 協議会をつくることは賛成だ。協議会の中で無償譲渡も含めて議論した方がいい。もっと話し合って考えればもっといい方法がある。先ほど女性2人が危機感をもって、子供たちのために環境を残したいと言ったのはもっともなこと。アンケートで、値上げしてもいいから環境守ってくれと言う意見が強かったことに五十嵐さんが感動していたが、それくらい強い思い入れがあることを大事にしないといけない。一方で、県の言い分をもう1回ちゃんと聞いてみると、総合公園、外部に向けた利用ということで五十嵐さんと県は考え方が同じだ。維持管理費だが現在、年間1億5000万円かかっている。半分が建物で、半分が緑地。緑地管理に7500万円かかっている。それを業務委託で6000万円浮かしたい。年9000万円は県がこれからも出していく。つくば市の費用負担はゼロですよということだ。先ほど、議会で否決されたら真っ暗になってしまうというご心配があったが、決して真っ暗にはならないと思う。むしろそこから考えた方がいい。まずは今の洞峰公園があのままでいいのか、年間7500万円の緑地の管理費はちょっとクレージー。水戸の偕楽園とか金沢の兼六園のような庭園公園の管理をいているからこんなにお金がかかる。庭園公園が本当に生態系を大事にしてるのかと言ったらそうではない。私は洞峰公園の昔の状態は知らないが、乙戸沼の状態は知っている。モウセンゴケがあって本当に自然豊かだった。今の乙戸沼公園はとても自然豊かな状態は思えない。洞峰公園も似たような状態だと思う。自然公園の管理をすると実はお金がかからない。たぶん3分の1か4分の1になる。自然公園の管理をしたらどうだろうねと、造園業者に聞いてみた。自然公園と庭園公園はどこがどう違うかと言うと、まず木の選定はやらない、木は間伐でいくが、伐採した枝や刈った草を外に持ち出さない。持ち出す管理費はべらぼうに高いので、そうすると本当に自然公園の管理をすると、管理費は3分の1か4分の1で済むことになる。ということになると、もっと今よりも自然公園として良くなる、お金もかからない、県の財政負担も減る、という解決策もある。それをぜひじっくり考えてもらいたい。今とにかく無償譲渡なんだ、地域エゴだ、そんなに金かかけるのはおかしい等の議論になって、お互い同士でいがみあうと不幸な結果になるので、ここはもう1回、むしろ議会で否決があれば、先が明るくなる気がする。ここでこのままいくと、財政負担の問題で、1億5000万円は決して小さくない。もう1回考え直して、何かいい解決法を探してはどうですかと申し上げたい。 市長 常に県と話をしている。私も知事と話をしている。今のところはこの形態で話を進めていく。ご提案があったように管理の仕方はいろいろな工夫の余地がある。それについては協議会をつくって、皆さんと管理運営で結果として市民の主体的な参加につながるものにしていきたい。 第1回説明会 終わり

宇宙飛行士候補者の諏訪さん、米田さん つくば市長を表敬訪問

つくば市千現の宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターで基礎訓練を開始した宇宙飛行士候補者の諏訪理さん(46)と米田あゆさん(28)が18日、地元のつくば市役所を訪れ、五十嵐立青市長を表敬訪問した。 世界銀行の上級防災専門官だった諏訪さんは7月から、日本赤十字社医療センターの外科医だった米田さんは4月からそれぞれJAXAに入り、筑波宇宙センターで訓練を開始した。約2年間、訓練を続け、正式な宇宙飛行士を目指す。米国が主導する有人月探査「アルテミス計画」で、日本人として初めて月面に立つことが期待されている。 諏訪さんは「今までの宇宙飛行士とはちょっと違った(自身の)バックグラウンドが、有人宇宙開発の中でどういうふうに生きていくのかを考えながら訓練にあたっていきたい」と意気込みを述べ、「つくば市出身なので、高校卒業以来30年弱ぶりぐらいにつくばにお世話になることになり、わくわくしている。今朝は以前住んでいた並木地区を走ってきた。本当にふるさとに戻ってきたんだなと、気持ちを新たにしている」と話し、「茨城県に育てられたという思いを強く持っている。どこかでつくば、茨城に恩返しができたら」と話した。 米田さんは「つくばという地で新しいことをたくさん学んで、新しい知識を得た上で宇宙に行ければと考えている。ここが宇宙飛行士としての始まりの場になる。街中で見かけたときは声を掛けていただいて、茨城の皆さんと一緒になって宇宙に行ければ」と語った。筑波宇宙センターでは4月から、語学や体力訓練のほか、宇宙ステーションのシステムについて勉強しているという。 五十嵐市長は「宇宙飛行士がこれだけ身近にいるまちもなかなか無いと思う。今回お二人は厳しい選抜試験を乗り越えた。これからお二人が様々な活躍をするのを市としても全力で応援したい」と述べた。 諏訪さんは東京生まれ。2、3歳のころつくばに転居し、高校卒業までつくばで育った。東京大学理学部地学科卒。プリンストン大学大学院地球科学研究科修了後、青年海外協力隊員としてアフリカのルワンダに派遣。2014年に世界銀行に入り、今年6月までアフリカの防災や気候変動に取り組んだ。史上最年長の宇宙飛行士候補者に選ばれた。 米田さんは東京出身。東京大学医学部医学科卒。日本赤十字社医療センターの外科医として3月まで虎ノ門病院に勤務した。 つくばについて諏訪さんは「昔からあるつくばと、70年代、80年代の研究学園都市ができた時のつくば、TXができてから開発されたつくばの三つがよくなじんで新しい形の街になってきているなと感じている」と話した。米田さんは、つくば駅前の中央公園にある、ノーベル賞受賞者の業績やメッセージに触れながら来園者自身が銅像の脇に立つことができる「未来の台座」について「子どもたちや来てくれた人たちの気持ちを奮い立たせるいい作品だなと思った」と話し、「自然の中で、まち全体が新しいことにどんどんチャレンジしていくのは素敵だなと思いながら毎日訓練に励んでいる」と語った。 2人は共に、11月26日に開催されるつくばマラソンに出場する予定だという。(鈴木宏子)

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