木曜日, 4月 25, 2024
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団体客から個人客にシフト 「亀の井ホテル 筑波山」オープン

筑波山中腹のつくば市筑波に「亀の井ホテル 筑波山」が23日、リブランドオープンした。昨年9月末、「筑波山温泉 つくばグランドホテル」が米国の投資ファンドに譲渡され(23年8月10日付)、同ファンド子会社でホテル運営会社のマイステイズ・ホテル・マネジメント(東京都港区)が客室やレストランなどの改修を実施していた。つくばグランドホテルは団体客の利用が多かったが、新たなホテルは家族連れやペットとの旅行、サイクリングなど多彩なスタイルで旅行する個人客を主なターゲットとする。訪日外国人の誘客も目指す。 客室は、小さな子供を持つファミリー向けのキッズルームや、3世代で宿泊できるファミリールーム、愛犬と宿泊できるペットルームなど新たな客室が新設された。 食事は、団体客向けの宴会場を無くし、2階にビュッフェ形式のレストランを新設。常陸牛の焼きしゃぶ、県産キノコを使ったきのこ鍋、県産食材でアレンジする山海丼のほか、朝食は納豆の食べ比べができるなど、県産の食材を使った豪華な食事を自由に取り分けて食べられるようにした。ビュッフェ形式は筑波山にある五つの観光ホテルで初めてという。 7階の露天風呂は、今まであった柵を取り払い、関東平野や富士山、日光連山などの大パノラマが望める絶景の露天風呂に改装した。 ロビーラウンジがある3階は、家族や友人とリラックスしたり交流できる空間としてゲームやトランプなどができるゲームエリアを新設した。 今後さらに、自転車を客室に持ち込めるサイクルルーム、部屋の中から関東平野の景観を楽しめるハリウッドパノラマビュールームなどを新設し、7月6日にグランドオープンする予定。 24日は関係者を集めて内覧会が催され、新装施設が案内された。ロビーラウンジがある3階南側には広いデッキが広がり、関東平野が見渡せる。ラウンジはファミリーなどを意識したものに改装され、元カラオケルームは大画面でゲームを楽しめるゲームルームになった。家族や友人と、トランプや人生ゲームなどのボードゲームを楽しめるテーブルも設置された。7階キッズルームはかわいいキノコのキャラクターが登場する楽しいデザインが施されている。2階のビュッフェレストランは青森のねぶた師が手掛けた「つくばねぶた」が置かれている。朝食、夕食とも好きなものが食べられ、外国人も想定した多様なニーズに応える。 同ホテルの天満龍裕支配人(45)は「茨城のおいしい食材を提供するなど食事に力を入れており、豊富なメニューをそろえている。レストラン、ビュー、新しいお部屋はもちろんだが、まずはお客様を温かく迎えられるホテル、人に会いに来ていただけるホテルづくりを今後ともしていきたい」と話す。 同ホテルは客室61室(定員325人)、宿泊料金は1人当たり一般客室1万3000円~、ファミリールーム1万8000円~(消費税、サービス料込み)。初年度は年間約3万2000人の宿泊客を目指す。 亀の井ホテルは、マイステイズ・ホテル・マネジメントが2022年4月、日本郵政から「かんぽの宿」30施設を譲り受け運営を開始したホテルと、亀の井ホテル別府(旧別府亀の井ホテル)など計32施設により22年7月に誕生した。筑波山は39施設目。県内では、かんぽの宿だった大洗、潮来に次いで3施設目。 日帰りから滞在型へ 筑波山観光の新たな戦略とは? 筑波山は首都圏から日帰りできる距離にあり、現在、日帰り観光が主流になっている。どうやって滞在型に変えていくのか、天満龍裕支配人と、本社の増井香織マーケティングアドバタイジング パブリックリレーションズチーム チームマネージャーに新たなホテルの運営戦略などについて聞いた。 ー亀の井ホテル筑波山の魅力、売りは何か。 天満支配人 今回は食事を一番変えさせていただいた。茨城県の魅力がたっぷり詰まったビュッフェになっている。ビュッフェはファミリー層が大好きかと思う。食事は県産のきのこ鍋、納豆カツなど。朝食では納豆3種食べ比べをしたり、夜朝共に茨城の食材をふんだんに準備している。あと、亀の井ホテルグループの共通メニューもあって、どこの亀の井ホテルに行ってもおいしく食べていただけるメニューもあるので自信をもってご提供させていただく。(首都圏から)近くにこんないいところがあるんだよということを知っていただきたい。 それから弊館の売りは関東平野のビュー。7階のインフィニティ露天風呂があってそこからの景色はひじょうにすばらしい。宿泊のお客様だけが利用できるので、食事や温泉の魅力を十分に発信していきたい。 今サイクリストが多く、筑波山にも自転車で来られる方がたくさんいらっしゃる。そういった方々が筑波山に上がってこられて一休みできるようなサイクルルームもつくる。いろんなニーズに応えられるように、ファミリー向けのキッズルームや3世代向けの絆ルームをつくったり、多種多様なお部屋を準備するので、今まで日帰りで帰ってしまったお客様が一休みできる空間をつくっていきたい。 ―宿泊客をどこから呼び込むのか。 天満 亀の井ホテルグループには、旧かんぽの宿で会員になっていた方々を中心にKMC会員(カメノイ・ホテル・メンバーズ)が66万人おり、亀の井ホテルのいろいろな温泉地を巡っていただこうと取り組んでいる。関東圏のお客様が多いが、遠方からお越しいただいている方もいらっしゃる。会員様を増やしていこうとキャンペーンを組み込んだりしており、さらに会員数を増やしていきたい。 ―筑波山のホテルは、客室で食事をとる個室食が中心だが、亀の井筑波山では個室食は提供しないということか。 天満 以前は団体のお客様がメーンで、宴会場も大中小3カ所あったが、ビュッフェや客室に改装した。今回、個室食のメニューから一新してビュッフェに変えた。お客様のお声をお聞きすると「個室食なんだよね」というお声が結構あった。個室食が好きなお客様もいらっしゃるが、筑波山には個室食のお宿(ホテル・旅館)がたくさんある。ビュッフェのレストランをもっているお宿はあまりない。こういった差別化を図りながら、地元の古くから営業されているお宿との共存を目指して、より多くのお客様が筑波山に来ていただけるコンセプトを考えたい。 ―地元のつくば市では職場の忘年会や宴会で筑波山のホテルを利用するというイメージがある。亀の井筑波山では宴会は受けないということか。 天満 宴会をされたい方はほかのお宿があるのですみ分けをしたい。 ―訪日外国人客(インバウンド)はどれくらいを想定しているのか。 天満 今現在のインバウンドは15%ぐらい。私の中ではまず15%から30%に増やしていきたい。インバウンドをとっていきたいというのはビュッフェにした理由の一つでもある。海外からのお客様でメニューが口に合わないものがあったり、食べられないものがあったりということがある。ビュッフェスタイルであれば好きなものが食べられる。地元の食材をふんだんに使った茨城県のおいしい料理を知っていただきたいと料理を準備させていただいた。温泉もあり、東京からのアクセスがいい。筑波山は標高877メートルと百名山の中でも低いが、コースによってはすごくきつかったり、なだらかな魅力あふれるコースがある。そういったことを身近に楽しめる場所として最適な場所だと思う。海外の方も、地元の方も大切しながら、共存できるホテルづくりをしていきたい。 ー県内には大洗、潮来、筑波山と3件の亀の井ホテルがある。どのように連携していくのか。 天満 例えば亀の井筑波山に問い合わせがきたお客様に「うちはいっぱいですけど、こちらはいかがですか」とご紹介ができたり、あと食器とか「こういういいものがあるから使ってみたら」と情報交換がすごくしやすかったりする。 ―米国の外資系ホテルが初めて筑波山に進出してきたということで、地元としては期待やさまざまな受け止めがある。 増井 本社チームマネージャー つくばグランドホテルの時代は地域との共存はすごくあったと思う。私たちが運営を引き継いで、どういうホテルになるんだろうという期待を皆さんにもっていただいている。私たちの会社は外資といってもマイステイズ自体は日本の会社。投資ファンドから運営を委託されていて、ホテル自体に外国資本は入っているが、外資だからというより、目の前の今のトレンドとかお客様のニーズを見ましょうということを大事にする運営会社。なので、うちだけ独り勝ちしようなど全然思っていない。ホテルも運営会社も、近隣の皆さんと一緒に筑波山という地域、茨城という地域を盛り上げたい、観光に貢献したい、寄与したいというスタンスでいる。(榎田智司、鈴木宏子)

通年議会始まる つくば市議会

つくば市議会で今年度から通年議会が始まり、19日定例会が開会した。会期を約1年とし、市長が招集しなくても、議会の判断で必要に応じて会議を開くことができる制度。ただし今定例会の会期は市議の任期と同じ11月29日まで。同議会事務局によると、通年議会の導入は常総、坂東、守谷市に次いで県内4市目になる。 これまでは市長が議会を招集し、3月、6月、9月、12月に年4回、定例会を開いてきたほか臨時会を開いてきた。通年議会の場合、同市では4月に開会し、これまでの定例会と同様の日程で年4回定例会議を開く。議案の提案や審議、一般質問や会派代表質問など実質的な日程はこれまでとほぼ変わらない見通しだ。本会議が開かれない期間は休会となる。 同市議会は、大規模災害の発生など緊急時に議会の判断で速やかに会議を開くことができるとしている。併せて常任委員会などで継続して調査や審査を行っているなど、市政への監視機能が強化され、議会がより一層市民の負託に応えていくための体制を整えるものだとしている。 五頭泰誠議長は「議会改革を継続的に議論してきた中で、東日本大震災や北条の竜巻災害などの経験から(大規模災害時などに議会の機能を継続するための)市議会業務継続計画(議会BCP)に対応しない議会はいかがなものかというのが発端になった。その中で、一番リアルに対応するには通年議会だという議論が深まった」とし「機動力ある議会にし、災害時に議会を継続して行政のチェック機能を果たすために導入したというのが経緯。1年間の会期の間は常に議会は開会している状態なので、専決処分や日程的に動かせない場合などに議員がより議論できる状態になる」と話す。 通年の会期は、既存の定例会制度の中で運用が始まり、2012年9月の地方自治法改正により創設された。全国の地方議会では、市長ではなく議長権限で本会議を招集できる、十分な審議時間が確保される、緊急案件に迅速に対応できるーなどのメリットが指摘される一方、議会が求める本会議を市長が拒否した例はない、執行部のスケジュールを縛る、実益は少ないーなどのデメリットが言われるなど、さまざまな議論がある。(鈴木宏子)

地域性配慮の地区別人数割に戻る 次期つくば市農業委員

つくば市農業委員会委員の任期満了(定数24、任期は5月18日までの3年間)に伴って、新しい農業委員を任命する議案が同市議会3月議会最終日の22日、本会議に提案された。同候補者選考会(会長・飯野哲雄副市長)の答申に基づいて五十嵐立青市長が提案した24人を次期農業委員に任命することについて、議会は全会一致で同意した。 注目された地区別人数割は、谷田部地区6人(候補者は11人)、筑波5人(同10人)、桜4人(同6人)、大穂4人(同4人)、豊里3人(同6人)、茎崎2人(同2人)となり、3年前の前回の改選時に、同候補者選考会に事務局案として最初に示された農地面積や農家戸数などを考慮した地区別人数割の考え方(谷田部6~7人、筑波4~6人、桜3~4人、大穂3人、豊里3人、茎崎2人)にほぼ収まる人数割となった。24人は現職15人、新人9人。男女別は男性22人、女性2人。 前回21年5月の改選時の地区別委員は、農地面積や農家戸数が市内で最も多く、農地転用や所有権移転などの農地法許可申請件数が最も多い谷田部地区が4人だったが、24年5月からは2人増え、18年5月時点と同じ6人に戻る。 市議の一人は「(地域制を考慮した)配置の考え方(前回の事務局案)を満たしているので今回、了承した」と話す。現職の農業委員の一人は新たな地区別人数について「本来の姿になったと思う」と話している。 前回3年前の改選時は、谷田部地区の委員が少なくなったなど地区別の人数割や農地法違反などをめぐって紛糾し(21年5月20日付、同28日付)、会長選をめぐって警察の捜査が入り、農業委員の一人が贈賄申し込みの罪で罰金50万円の略式命令を受け辞任するなどの事件に発展した。 今回の選考では、前回、紛糾の種になった地区別人数割について、どうなるかが注目されていた。 選考にあたっては、昨年10月に公募を実施。39人の応募があり、同12月4日に次の農業委員の候補者を選考する同候補者選考会(会長・飯野哲雄副市長)をスタートさせた。地区別人数割の扱いについては「(法令では)市内全域が一つの選挙区になっているが、極端な差があると後の運営に差し障りが出るのではないかということもあるので、どうしていくか協議していく」(飯野会長)としていた(23年12月5日付)。 選考会では、選考委員9人がそれぞれ、候補者39人に対し、農業委員としての責務を理解し意欲があるか、農地法に違反する転用があるかなど、選考シートに基づいて17項目について評価し評点を付けた。市農業委員会事務局によると、評点を付けた結果「地区バランスがとれており、支障をきたすものではなく妥当」だとして、評点に基づいて24人を選考し、五十嵐市長に答申したという。 新しい農業委員は5月19日以降開かれる総会で辞令が交付され、新しい会長などが選任される。(鈴木宏子)

賛成多数、4月から30%引き上げ決まる つくば市議報酬

つくば市議の報酬を今年4月から約30%引き上げる条例改正案(2月13日付)について、同市議会3月議会最終日の22日、採決が行われ、22対2の賛成多数で引き上げが決まった。 賛成した会派はつくば自民党・創生クラブ(黒田健祐代表)、自民党政清クラブ(飯岡宏之代表)、つくば・市民ネットワーク(皆川幸枝代表)、公明党つくば(小野泰宏代表)、新社会党つくば(金子和雄代表)、清郷会(木村清隆代表)、新緑会(中村重雄代表)、つくばチェンジチャレンジ(川久保皆実代表)の22人。 反対した会派は共産党市議団(橋本佳子代表)の2人だけだった。山中八策の会の塩田尚市議は退席した。 採決に当たって市民ネットの4人が、引き上げ率を約18%に圧縮し、引き上げ時期を改選後とする修正案を提案し、皆川市議が「ある程度の引き上げは必要だが、一方で市民からの批判の声もある」などと提案理由を述べた。 これに対し「(引き上げの答申を出した)市特別職報酬審議会で慎重な審議を重ねた」(神谷大蔵市議=創生クラブ=)などの反対意見が出て、修正案は賛成少数で否決となった。 続いて4月から約30%引き上げる市長提案の条例改正案について採決が行われた。「十分な(報酬の)見直しが長期間行われなかったため仕事の重さに対し報酬が低かった」(小野泰宏市議)などの賛成意見が出された一方、反対意見として「今般の物価高で市民生活はひっ迫している。年200万円以上の報酬引き上げは市民感覚からかけ離れており、市民の理解が得られるとは思えない」(橋本佳子市議)などが出されたが、採決の結果、22対2で市長提案通り引き上げが決まった。 可決により、議長の報酬は現在の月額54万7000円から27.6%増の69万8000円、副議長は48万円から30.4%増の62万6000円、議員は44万7000円から30.6%増の58万4000円になる。 期末手当などを含む年間支給額は、議長が1102万4910円、副議長が988万7670円、議員が922万4280円になり、県内の市で水戸市に次いで2番目に高い額となる。つくば市議の報酬の引き上げは1994年以来30年ぶり。(鈴木宏子)

つくばでハンセン病記録の上映会を開く元教員、村井さとみさん【ひと】

「命が大事にされる社会に」 筑波大学学生の村井さとみさん(58)が15日、つくば市内で、ハンセン病患者と家族の記録映像 上映会を開催する。大阪府泉佐野市で小学校教員を務めていたが早期退職し、昨年4月つくば市に転居してきた。現在、科目履修生として同大情報学群 知識情報図書館学類で図書館の経営や情報について学ぶ。 現場に行き、自分で考えたいと、教職の傍ら、ライフワークとして国内や海外の図書館と、原発、ハンセン病療養所を巡ってきた。小学校教員3年目に自身の身に起こったうつ病と2020年のコロナ禍の経験から、ハンセン病の問題に関心を持ち、患者たちの気持ちを自分ごととして考えるようになった。 上映するのは、東日本大震災直後、いちはやく福島県に入り福島原発事故の放射能汚染地図を作成した放射線衛生学者の木村真三さんが、ハンセン病患者だった親族の存在を偶然知り、記録を探し、過去を掘り起こしていくドキュメンタリーだ。 村井さんは「衝撃を受け、多くの人に伝え一緒に考えたいと思った。ハンセン病への差別や偏見は私たち一人一人の心の中にあり、いろいろな社会問題の根っこにつながり、命を軽視することにつながっていると思う。すべての命が大事にされる社会への一歩として上映会を開きたい」と話す。 うつ病、コロナ禍経験し、孤独や孤立を考えた 村井さんは徳島県出身。愛媛大学を卒業後、中学と高校で理科教員を務めた。結婚をきっかけに退職し専業主婦に。子育てが一段落して大阪の小学校教員に復職した。 学生時代にチェルノブイリ原発事故が起こり、原発に関するさまざまな本を読んだ。子育て中は絵本や児童書に興味をもち、司書の資格を取得した。 小学校教員に戻って3年目。学級崩壊と保護者からのクレームに加え、離婚など家族の問題が重なり、うつ病を発症した。1年近く休職した中、独りぼっちだと感じ、孤独について考え、ボランティアでハンセン病の療養施設に通う友人のことを思い出すなどした。 復職後、東日本大震災が発生。「それまでは本を読むだけで自分の生活を優先していたが、もっと考えないといけない」と、旅先で各地の原発を巡るようになった。 2020年、新型コロナが流行、大型客船で患者が集団発生したニュースが連日伝えられる中、村井さんにも、息苦しさやだるさなどの症状が現れた。学校を休み、検査を受けたいと保健所や病院に電話をしたが、熱が出なかったため断られ、しばらく自宅待機。自分が感染しているのか、いないのか分からない中、迷惑をかけて申し訳ないという気持ちと同時に、孤独と孤立を味わい、かつて本で読んだハンセン病患者の気持ちが分かった気がした。その後は旅先で、各地のハンセン病療養所を訪ねるようになった。 コロナ禍を経験し「人生、何が起こるか分からない」と、教員を早期退職。昨年4月、図書館学の分野で憧れだった筑波大学で学び始めた。つくばに転居後の昨年7月、群馬県草津町のハンセン病の療養所栗生楽泉園があった重監房資料館を訪ねた際、同館で見た学芸員制作のドキュメンタリーに衝撃を受けた。同館からDVDを借りて15日、つくばで上映会を開く。 村井さんは「ハンセン病の歴史を経験してもなお、コロナ禍で差別や偏見があった。立ち止まり、一緒に考える機会になれば」と話し、「上映会を第一歩として、その人がその人らしく、ありのままに生きていける、つながることができる場をつくりたい。大学では、北欧を例に、市民活動の拠点になっている図書館を研究テーマにしており、重なる部分がある」とも語る。(鈴木宏子) ◆上映会「仙太郎おじさん!貴方は確かにそこにいた 蘇るハンセン病患者とその遺族」は15日(金)午後1時~3時、つくば市天久保のBARKスタジオで開催。参加費500円。主催はPlace for lifeー命を守る」。詳しくはこちら。

原発震災「若い人たちに伝えなくては」 つくば駅前で市民集会

震災13年 東日本大震災から13年経った11日、「さよなら原発!守ろう憲法!」と題した市民集会がつくば駅前のつくばセンター広場で催された。東海第2原発の運転差止めを求め住民訴訟を起こしている原告団共同代表の大石光伸さんが登壇し「若い人たちに原発震災の実態を伝えていかなければならない」などと話した。 市民団体「9条改憲NO!市民アクションつくば連絡会」(山本千秋代表)と「『東海第2原発いらない首都圏ネットワーク』つくば」(阿部真庭代表)が主催した。原発と憲法をテーマにした市民集会は震災翌年の2012年3月11日から毎年、つくば駅前で開催されている。市民約60人が「福島を忘れない」「憲法9条は日本の宝」などのプラカードを手に参加した。 大石さんは、岸田文雄首相が原発推進政策に転換したことについて「22年6月の最高裁判決で国の責任を認めない判決が出され、一気に原発にかじを切った流れがある。これに対し私たちがどう闘っていくかが問われている」と話し、「13年前、私たちは日本の原発をなくしていこう、世界の核兵器をなくしていこうと決意したが、若い子は『さよなら原発』でなく『こんにちは原発』と茶化して言う子もいるなど、国の宣伝が強くなっている。今、原発の在り方が根底から覆されようとしており、若い人たちに伝えていかなくてはならない」などと述べた。 さらに「13年前、つくばでも放射能汚染を経験し、当時、3月15日朝、東海村の研究所では高濃度の放射能プルームが通過したことが分かって、国や県に通報したが、国も県も何もしなかった。こういう状態の中で再び原発事故が起きた時、自治体に対応できるだろうか」と問い掛けた。その上で「1月1日の能登半島地震は、再び原発を動かすことに対する自然の警告だと受け止めざるを得ない。原発震災の中では避難などできないことを改めて訴えていきたい」などと語った。 市民集会ではほかに、東海第2原発再稼働の是非を問う県民投票の2回目の直接請求を呼び掛ける「いばらき原発県民投票の会地域支部つくば原発投票の会」共同代表の小林納深子さん、「憲法9条の会つくば」共同代表の石上俊雄さんなど10の市民団体や政党関係者がそれぞれ震災から13年を迎えた思いや課題などを話し、「実質改憲や東海第2原発再稼働の動きに反対する。まともな政治を取り戻すために力を合わせて活動する」などの集会アピールを採択した。 続いて「地震津波国の日本に原発はいらない」「古くて危険な東海第2原発は再稼働するな」などのスローガンを訴えながら、同駅周辺約2キロをパレードした。 初めて参加したつくば市に住む村井さとみさん(58)は「昨年4月、大阪からつくばに引っ越してきた。大阪でもデモに参加していたが、大阪に比べると人数が少なく、楽しく、仲良くやっているなと思った。原発や憲法など、いろんな団体が一緒になってやっているところがいいと思う。憲法を守ろうというのは大事なメッセージになると思う」と話していた。(鈴木宏子)

民間2園、4月の新規入園受付を断念 保育士確保できず つくば市

待機児童を無くそうと毎年、民間保育園などの施設数と定員数を増やしているつくば市で、保育士が確保できず、4月からの新規入園申し込みを受け付けなかった民間保育園が2園あることが分かった。新年度の新規入園受付を実施しない保育園があったのは、同市で初めてという。 同市では今年4月、民間保育園が4園、小規模保育事業所が1施設増える。民営化により3月末で閉園する市立上境保育所の定員数を差し引いても、利用定員は前年4月より312人増える計画だった。既存の民間保育園2園が4月の新規受付を実施しなかったことで、市の計画定員数が確保できなかったことになる。 新規入園受付を実施しなかったのは、同じ社会福祉法人が運営する青い丘保育園つくば(同市小野崎、定員120人)と、青い丘保育園二の宮(同市二の宮、同60人)の2カ所。現在在籍している園児は受け入れを続ける。 市は24年度の入園に向けて、昨年11月から1次募集、その後2月中旬まで2次募集の受付を実施した。青い丘つくばと同二の宮の2園は1次募集、2次募集いずれも実施しなかった。新規受付を実施なかったことにより青い丘つくばは利用定員数で40人、同二の宮は20人、計60人分の入園枠が減ることになる。 青い丘つくばが2月1日付で保護者に示した資料などによると、同園では3月末に常勤保育士9人のうち6人と、非常勤保育士5人、職員2人が退職する。同園の金秀司園長は取材に対し、保育士らの退職理由について「一身上の都合や、家庭の事情、結婚する人、給料の問題もある、新しい保育園ができて移る人もおり、一つの理由ではない」と説明する。新たな保育士が確保できていないことについては「いろいろな媒体を使ったり、ハローワークで保育士を募集してきた。現在も募集している。引き続き募集を続ける」と話す。新規の入園受付を実施しなかったことに対しては「子供を一人でも多く預かって運営すべきだと思うし、努力している。4月からの運営に関しては保護者説明会も開いた。これからも頑張っていきたい」としている。 保育士の給与 園により2.2倍の開き 退職理由の一つとされる保育士の給料については、県が2021年度分から市町村別に各園ごとの常勤保育士の年間給与をホームページで公表している。保育士の待遇は早急に改善されるべき課題であること、保育士の人件費の大部分は公費であり透明性の確保が重要であることなどが公表の理由だ。 21年度分の公表資料によると、つくば市内の公表対象57園のうち、最も高かった保育園の常勤保育士一人当たりの年間給与は527万円(平均勤続年数15.2年)だったのに対し、最も低い保育園は238万円(同5.29年)で、どの園に勤務するかにより2.2倍の開きがあった。保育士が確保できていない青い丘つくばは市内ワースト2位。市内57園の平均は326万円(同9.19年)だった。 保育士確保は各園の務め 一方、市幼児保育課によると、青い丘保育園からは昨年秋ごろ「退職する保育士がいて、保育士の確保が難しい」などの相談があった。市は同園に対し、さまざまな募集手段や方法を紹介するなどして保育士の確保に努めるよう要請したとし、「市として保育士に月3万円の処遇改善助成金を交付するなどしており、各保育所での保育士の確保は各施設の務めになる」という立場だ。 今回、新規入園受付を実施しない保育園があったことについては「市としては、保育需要が高まっている中で毎年のように保育所を増やしており、利用定員数を預かってほしいとお願いしている。保育士の確保に努めていただき、必要としている保護者さんたちに対応してほしかった」とし、青い丘つくばに対して「保育士確保に向けて話を聞きたい」とする。一方で「4月に新規開所する保育施設はすでに保育士を確保できている」とし、市全体で保育士を確保できない事態が生じているわけではないという認識だ。 子供の数が増えている同市では毎年、民間保育園の数を増やしている。18年4月に56園だった民間保育所は、23年4月は71園と1.2倍に増えている。認定こども園、小規模保育事業所を加えると認可保育施設の数は18年4月が68カ所だったのに対し、23年4月は1.5倍の104カ所になっている。認可保育施設の0~3歳の利用定員は18年4月が6657人、23年4月は1.3倍の8851人になっている。 保育士確保や離職防止のため市は、17年度から民間保育所に勤務する常勤の保育士に1人当たり月額3万円の助成金を交付し、24年度は984人に計3億5424万円の助成金を交付する見通しだ。ほかに24年度の新規事業として、国の1歳児の配置基準より手厚く保育士を配置した民間施設に新たに補助金を交付する計画で、保育園42園、認定こども園6園、小規模保育事業所19施設に計8486万円の予算を計上している。(鈴木宏子)

現職の五十嵐氏、3期目へ立候補を表明 つくば市長選

任期満了に伴って今年秋に実施されるつくば市長選について、現職の五十嵐立青市長(45)は27日開かれた市議会3月定例会本会議で、3期目に向け立候補することを表明した。五十嵐氏は「変化の動きを止めることなく世界のあしたが見えるまちへさらに前進するために、3期目も引き続きつくば市長として市政運営を担っていくべく強い決意を持っている」と述べた。27日開かれた黒田健祐市議(つくば自民党・創生クラブ)の会派代表質問に答えた。 同市では秋に市長選・市議選の同日選挙が予定されており、3月1日開かれる市選挙管理員会で選挙日程が決まる見通し。市長選については現時点で、現職の五十嵐氏以外に表立った動きはみられない。4年前の市長選は3人が立候補し、現職の五十嵐氏が再選を果たした。 27日の議会で五十嵐氏は、スーパーシティ特区の指定、脱炭素先行地域の選定、転入超過数が一般市で全国1位、常住人口25万人突破、人口増加率全国1位など、ここ数年の市の動きを挙げ「つくば市が選ばれるまちとなっていることが数字にも表れている。さまざまな取り組みが評価され、私自身、昨年、経済協力開発機構によるチャンピオンメイヤーに選出された。世界の先進都市からもつくばの取り組みが評価され、役割の重要性が増していることを実感している」などと強調した。 3期目に向けた課題などについては記者団の質問に答え「いろいろなことに取り組んで種をまいて形になっているものもあれば、まだこれからということもある。今つくば市で進めているそれぞれの分野をしっかりと前進させていくことが必要だと思う」とし「いろいろな事業に取り組んできて対外的に評価をいただき、多くの皆さんがつくばに注目している。人口増加という客観的な数字として、つくばを選んでいただいている。一方で、継続した課題はたくさんあるので、そういった取り組みを前進させるためには私がもう一度やるということがひじょうに重要だと思う」などと話した。 五十嵐氏は土浦一高、筑波大卒、同大学院修了。つくば市議2期を経て、2016年、2度目の挑戦で市長に初当選し現在2期目。(鈴木宏子)

災害時の迅速な初動対応へドローン購入 土浦市新年度予算案

土浦市の安藤真理子市長は15日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比2.6%増の567億3000万円、特別会計などを含めた総額は同2.1%増の989億4000万円となる。主な新規事業は、水害や土砂災害発生時などに素早く初動対応ができるよう、俯瞰(ふかん)的な視点で情報を収集するため、消防本部がドローン1基を購入するほか操縦者の育成などを進める(2145万円)。 一般会計は過去4番目、総額は過去3番目に大きい額となる。3月5日開会の同市議会3月定例会に提案する。 モール505 歩行空間を再構築へ 中心市街地では、つくば科学万博が開催された1985年に高架道と併せて整備され、現在は空き店舗が目立つ土浦駅西口近くの川口ショッピングモール505について、街路空間を、人々が集い多様な活動を繰り広げる場にしていく「ウォーカブルシティ」の取り組みを国交省などが推進していることなどから、650万円を計上し、安全で魅力ある歩行空間の再構築に向け構想案を策定する。 つくばエクスプレス(TX)県内延伸構想の具体化に向け県が検討を始めたTX土浦駅延伸に向けては、昨年9月、国交省の準備段階調査箇所に採択された常磐道・土浦スマートインターチェンジ(IC)整備と併せ、交通ネットワークの形成を見据えて、約850万円を計上して沿線開発候補地となる可能性調査などを実施する。 常磐道・桜IC周辺の開発については、産業発展を促す拠点整備に向けて、23年度に地権者組織の発起人会が立ち上がったことから、24年度は6394万円を計上し、組合の前身となる準備委員会の設立に向けて地権者の合意形成を図るほか、詳細な事業化検討調査を実施する。 コミュニティバスの実証運行については8368万円を計上し、21年10月に運行を開始した中村南・西根南地区と22年10月運行開始の右籾地区に加えて、24年度は新たに乙戸南地区と並木・板谷地区で実証運行を開始する。 ヤングケアラーにヘルパー派遣 子育て支援は、病気や障害のある親などに代わって子供が家事やきょうだいの世話をしているヤングケアラーや支援が必要な子育て中の家庭に、食事の準備や掃除、洗濯などの家事援助をするヘルパーを派遣する子育て世帯訪問支援事業(約70万5000円)を実施する。 不登校児童生徒の支援は2700万円を計上、23年度に6つの中学校に設置した校内フリースクールを24年度はさらに2校増やし、市内8つの中学校すべてに校内フリースクールを設置する。 児童数が減少し学級数が適正規模に満たない小学校がある上大津地区については1億940万円を計上し、上大津地区統合小学校の28年4月の開校を目指し、新年度は基本・実施設計などを実施する。 昨年10月にスタートした小中学校の給食費無償化は新年度も継続する(約4億4500万円)。 道路交通法改正により昨年4月から着用が努力義務となった自転車利用者のヘルメットについて、小学生以下の着用率が73%、中学生は89%なのに対し、高校生は8%、65歳以上の高齢者は8.4%にとどまっていることから、高校生相当と65歳以上を対象にヘルメット購入費の2分の1を補助する(約80万円)。 文化財の保存と活用については、21年12月に土地・建物の寄贈を受けた登録有形文化財「一色家住宅主屋」について729万円を計上し、23年度に策定した市文化財保存活用地域計画に基づき保存活用に向け、耐震調査や利活用の市場調査などを実施する。 図書館、花火100年 ほかに、市立図書館は1924(大正13)年6月1日に開館してから今年で100周年を迎えることから、これまでの歩みを振り返り次の100年に向けて新たな一歩となるイベントを開催する(450万円)。 1925(大正14)に始まった土浦全国花火競技大会が来年の第94回大会で100年、7年後に第100回大会の節目を迎えることから、花火のまち土浦を発信していくため機構改革を実施し商工観光課の花火対策室を花火のまち推進室に改編する。 一方歳入は、経済の改善などにより個人と法人の住民税が増加し、市税全体で前年度比3.0%増加すると見込む。歳出の増加に伴って財源不足が生じることから、財政調整基金から23年度と同額の15億円を繰り入れる。これにより24年度末の基金残高は135億円になる見込み。 安藤市長は「厳しい財政状況だが『夢のある、元気のある土浦』に向けて、給食費の無償化を継続し、認定こども園での英語教室など特色ある保育を実施するなど子育て支援をさらに充実させる。常磐道スマートインターチェンジの1日も早い整備や、TXの土浦延伸に向け県と連携するなど、選択と集中を図る予算を編成した」などとしている。(鈴木宏子)

市議報酬30%引き上げへ 4月から つくば市

つくば市議会議員の報酬が4月から約30%引き上げられそうだ。13日開会の同市議会3月定例会に五十嵐立青市長が引き上げの条例改正案を提案した。可決されれば、議長は現在の月額54万7000円から27.6%増の69万8000円、副議長は48万円から30.4%増の62万6000円、議員は44万7000円から30.6%増の58万4000円になる。 期末手当などを含む年間支給額は、議長が1102万4910円、副議長が988万7670円、議員が922万4280円になる。 県内市の中で、つくば市の議長報酬は現在、水戸、日立、土浦市に次いで4番目、副議長と議員は水戸、日立、ひたちなか、土浦市に次いで5番目に高い。引き上げ後は、議長、副議長、議員いずれも水戸市に次いで2番目となる。 つくば市の議員報酬の引き上げは1994年以来、30年ぶり。昨年12月、市特別職報酬審議会(会長・前田聡流通経済大学教授)から出された答申に基づいて引き上げる。五十嵐市長は議員報酬引き上げを2年前にも同審議会に諮問したが、当時はコロナ禍だったため「現在の社会経済・雇用情勢、市民感情を総合的に勘案し、現時点では据え置くことが適当」だとする答申が出ていた。 今回の答申は、つくば市の人口、予算規模は増加しているのに、議会費は変化しておらず、市議の報酬は県内他市や全国の特例市、財政規模が同程度の他市と比較しても低くなっているなどとし、「適格者を引き付けるために他市と比較した報酬水準を考慮する必要がある」とした。金額については「年間支給額で県内の人口上位3自治体(水戸、つくば、日立市)の均衡を考慮した額に増額することが適当」だとした。 報酬の在り方として委員からは「兼業が可能とは言え、会社員として勤めながらは難しい。議員活動に専念でき、議員自身も生活できる額であるべき」との意見が出た。審議会に提出された資料によると、2020年1月から12月まで1年間に、本会議や委員会など議会活動のみに要した時間は、行政視察や議員勉強会などを除いて137時間50分だった、 一方「市民の平均給与が大きく上昇していない中で、報酬額を上げることは市民の反感を生む可能性がある」との意見も委員から出された。全国の民間給与の平均は30年前の1994年が年間455万5000円なのに対し2021年は443万3000円だった。 審議会では「定期的な見直しが行われていなかったことが今回の大幅改定につながっている」「30%増というのは結構大きな増額。市民から見たときに変動の幅を見るとちょっと大丈夫かなと心配なところはある」などの意見が出て、今後について「いきなり上げるのではなく、この審議会を2年後や定期開催とし、その時に再検討するのがよい」との意見も答申に盛り込まれた。(鈴木宏子)

つくば、土浦で雪やみぞれ 登校は2時間繰り下げ

5日から6日にかけて南岸低気圧が本州の南を通過した影響で、つくば、土浦でも雪やみぞれが降り、両市の小中学校、義務教育学校は6日朝、登校時間を2時間繰り下げた。 気象観測地点のつくば市館野と土浦市ではいずれも積雪は記録されなかった。 つくば市消防本部によると同市内では6日午前11時までに、雪の影響により転倒したなどの救急搬送が2件あった。土浦市内では雪の影響による救急搬送は無かった。 つくば市南部、TXみどりの駅近くのみどりの中央公園では6日午前9時過ぎ、芝生に5センチほど雪が積もり、登校前に子供たちがそりで斜面を滑り降りるなどして遊ぶ姿が見られた。近所の家族と一緒に子供たちを連れて遊びに来た、近くに住む会社員男性(38)は「自宅にそりがあってなかなか使う機会が無かったが、雪が積もったので遊びに来た。子供が喜んでいてうれしい」と話し、小学1年の女子児童は「楽しい」と話していた。 つくば市北部の筑波山は6日朝7時30分ごろ、5合目より上が白く雪化粧した姿が見られた。この冬の筑波山の積雪は1月14日以来、2回目。一方、山麓の臼井地域では5日夜の雪はみぞれから雨に変わり、積雪はなかった。(鈴木宏子、榎田智司) 【7日追加】雪が止み、快晴となった7日朝は放射冷却で冷え、青空をバックに美しい筑波山が姿を見せた。

牛久沼望む泊崎大師堂に投句ポスト つくばの俳句講師ら設置

句詠み投函して 牛久沼を一望するつくば市南端の同市泊崎(はっさき)、泊崎大師堂に昨年12月、俳句や短歌、川柳などを詠んで、その場で誰でも投函できる投句ポストが設置された。県俳句協会会員で同市茎崎地区で長年、俳句講座の講師を務めてきた同市高見原、印南美都さん(89)と、教え子、知人らでつくる「結の会」(片野晃一代表)が設置した。 境内に設置された投句ポストには、俳句、短歌、川柳などを書く用紙が置かれ、季語の一部が紹介されている。高さ80センチほどの筆記台と筆記用具があり、作った句をその場でメールボックスに投函できるようになっている。投函された句は結の会が毎月回収し、印南さんらメンバーが年4回添削し講評するなどして本人に返却する。送料などは結の会が負担する。 印南さんは龍ケ崎市出身。60年ほど前、教員の夫と旧茎崎町(つくば市)に転居し、1994年から2020年まで茎崎地区の句会「茎立(くぐたち)句会」の講師を務めた。つくばや龍ケ崎市の小学校に出向いて授業で俳句を教えたこともある。俳句をたしなむ傍ら、33年間、民生委員を務めた。 季語の情景がある 投句ポストの設置は20年以上前、印南さんが山形県米沢市内の神社を訪れた際、投句ポストが設置されており投句したのがきっかけ。俳句サークルが活発に活動する茎崎に投句ポストをつくりたいという思いはその後、心の中にしまったままだったが、1年ほど前、教え子の一人が泊崎大師堂をテーマにした俳句を作ったことがきっかけで「(俳句ポストを設置したいという)埋火(うずめび)が噴き出してきた」と話す。 さっそく大師堂の清掃や草刈りなどの管理をしている地元の大師堂保存会代表で県川柳協会会長の片野晃一さん(76)に設置を打診。了承を得て、投句ポストを運営する「結の会」を結成し、設置した。 泊崎大師堂は、空海(弘法大師)が806~810年ごろ、この地を訪れ護摩の修行を修めたと言い伝えがある場所に建てられたとされる。大師堂から一望できる牛久沼は、画家の小川芋銭、俳人の高浜虚子、水原秋桜子らが俳句を詠み、牛久沼の眺めは茨城百景の一つになっている。 印南さんは「牛久沼は今も豊かな自然が残り、季語の情景があり、春夏秋冬どんな日でも句材がある隠れた名所。言い伝えや伝説も数多く残る」と魅力を語り、投句を呼び掛ける。さらに「子供たちが牛久沼の景色を見て、俳句を考えて、表現することを通して、子供たちの情緒を育てる役に立てれば」という。(鈴木宏子) 牛久沼を詠んだ句 五月雨や月夜に似たる沼明り  小川芋銭牛久沼浮田の田植えせずにあり 高浜虚子牛久沼あふれてせはし晩稲刈  水原秋桜子 (俳人協会発行の「茨城吟行案内」より引用) ◆投函した句が本人に返却されるためには氏名、住所を用紙に記載することが必要。

高校生に通学支援など つくば市新年度予算案 過去最大を6年連続更新

つくば市の五十嵐立青市長は1日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比3.0%増の1118億400万円、特別会計などを合わせた総額は同3.4%増の1763億8600万円で、いずれも6年連続で過去最大を更新した。主な新規事業として、人口増が続く同市に県立高校が少なく市外に通う生徒の通学費負担が大きいと指摘がある中、遠距離の高校に通う生徒に通学費の一部を支援する。 一般会計が3%(32億9400万円)増となり過去最大を更新した主な要因は、人事院勧告に伴って昨年12月議会で市職員らの給料や手当てなどを引き上げたことから人件費が同比7.7%(15億1900万円)増の212億円になったほか、民間保育園の増設や国の児童手当拡充により扶助費が8.1%(20億8200万円)増の278億6500万円となったことなどのため。 6000人に交付 主な事業の高校生の通学支援金は、公立、私立高を問わず、鉄道、バス、スクールバスなどで通学している高校生のうち、年間の定期代が計10万円以上の生徒に年3万円を交付し、6~10キロ以上離れた高校に自転車や原付バイクで通学する生徒に年1万円を交付する。新年度の予算額は約1億6100万円を計上し、約5000人に3万円、約1000人に1万円交付を想定している。つくば市在住の高校生は現在6000人程度で、市教育総務課によると平均通学距離は10キロほどという。県内では石岡、笠間、常陸太田市などが通学費補助を実施している。 児童生徒数の増加に伴う小中学校建設は、みどりの南小中学校が今年4月開校し学校建設のピークは超える。一方、24年度は新たに中根・金田台地区で小学校建設に着手する。建設費は24、25年度2カ年で計68億1600万円。みどりの駅北側の陣場地区などの人口増に対しては同地区3カ所目の学校の新設は実施せず、谷田部小学校に11教室などを増築するための設計費5200万円を計上する。増築校舎の完成は27年4月の予定。 不登校対策としては、小中学校の校内フリースクール設置校を現在の22校から全50校に増やし、3億500万円を計上して各校に専任職員と補助職員を配置などする。 スーパーシティの看板、ネット投票は実施せず ほかに、スーパーシティの看板事業に掲げたインターネット投票は今年秋の市長選・市議選では実施せず、1300万円を計上して、投票箱を積んだワゴン車が障害者や高齢者の自宅前まで出向くオンデマンド型移動期日前投票を実施する。 昨年、環境省に選定された県内初の脱炭素先行地域づくり事業として、初年度となる24年に1億4000万円を計上し、大和ハウス工業が20街区プロジェクトに太陽光発電設備を設置するなど計5件の事業に着手する。 コミュニティバス「つくバス」は、運転手不足による2月からの減便に伴い、運行費などが23年度の3億7500万円から24年度は3億3500万円に約4000万円減額する。 旧上郷高校跡地に建設予定の陸上競技場は28年度下期完成を目指し、24年度に設計費5080万円を計上する。 中央図書館をリノベーション 中央図書館はリノベーション事業に着手、24年度は外壁改修工事費約610万円を計上し、中庭に面する外壁の改修と中庭の枯れたアカマツの伐採などをする。25年度は中庭に面するガラスを一部取り外して中庭への出入口を設け、中庭にウッドデッキを設けるなどする。 解体、撤去する計画だった茎崎老人福祉センターは、市民のたまり場・居場所づくりの一つとして、入浴施設を改修する。2026年度のリニューアルオープンを目指して、24年度は300万円で改修のための設計を実施する。 不交付団体に 一方、歳入は、自主財源の市税合計が1.7%増の526億6400万円となり、不交付団体となる見込み。市税の内訳は、人口増により個人市民税が3.2%増の208億4600万円、家屋の新築などにより固定資産税は1.8%増の231億2700万円を見込むのに対し、法人市民税は大口の立地企業による業績の下方修正があったなど23年度の実績を踏まえて、6.6%減の42億8300万円を見込む。 借金である24年度末の一般会計の市債残高は、前年度末より43億3200万円増え、721億7400万円になる見込み。水道事業など公営企業会計を加えた市債残高の合計は、同69億1900万円増え、1259億8700万円になる見込み。 新年度予算案は13日開会の市議会3月定例会に提案し審議される。(鈴木宏子)

実家損壊など被災学生に経済支援 能登半島地震で 筑波大

一時金や生活支援など 能登半島地震で実家が損壊し仕送りが滞っている学生や大学院生などを対象に、筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は、20万円の一時金や月5万円の生活費支援、学生宿舎料や授業料免除など独自の経済支援を実施することを明らかにした。 同大によると、福井、石川、富山、新潟の被災4県の出身学生は大学生、大学院生併せて639人おり、26日時点で実家が損壊したなどの報告が学生6人から寄せられている。現在、学生の被災状況を調査しており、支援する学生が何人になるか、現時点で不明。甚大な被害が報告されている石川県七尾市と志賀町出身者については該当者14人に個別に安否確認を実施したとしている。 独自の支援内容は、実家の家計が急変し仕送りがもらえなくなるなど学業を続けることが困難となっている学生に一時金として緊急支援奨学金20万円を給付する。ほかに地震によって実家が全壊、半壊、一部損壊した上、実家からの仕送りがもらえなくなっている学生に1月分から、月5万円の生活費支援と学生宿舎料の免除を実施する。4月からは生活費支援、学生宿舎料免除に加えて、授業料や入学金の全額または半額免除を実施する。 永田学長は25日の定例会見で「被災4県の学生が600人おり、安否確認、安全確認はできたが、実家に大きな問題を抱えている学生がいる。現在個別に調査中だが、被災学生の支援のため寄付を募り始めた。長引いた場合、最長1年半の生活費支援を検討している」などと話した。(鈴木宏子)

障害者の工賃アップ目指し不要パソコンを回収 つくばの就労支援施設

「さくら学園」 障害者の工賃をアップさせたいと、つくば市島名の障害者就労支援施設「さくら学園」(NPO明豊会運営、飯島喜代志代表)が、不要になったパソコンの回収と希少金属などのリサイクルに取り組んでいる。 パソコンの情報漏えい対策として、企業や学校などに出向き、記憶媒体装置のHDD(ハードディスクドライブ)を依頼者の目の前でパソコンから抜き取り、工具で傷付けて物理的に破壊してから回収するのが特徴だ。昨年夏、県内の障害者施設として初めてスタートした。 22、23日の2日間、市内の県立つくば特別支援学校に、障害者とスタッフ延べ7人が出張し、廃棄予定の150台のパソコンからHDDを取り出した。ゴーグルと手袋を着用した障害者が、100本の精密ドライバーセットの中から、ねじの太さや形に合ったドライバーを選んで、パソコンのねじをはずしながら解体していく。HDDを取り出すと、作業を見守る同校教員の目の前で、工具で傷付け情報を物理的に破壊する。 HDDを破壊した後はさくら学園に持ち帰り、パソコンを鉄、アルミ、基板、プラスチックなど40種類ほどの部品に分解して分別する。1台のパソコンを解体するのに20種類ほどのドライバーを使いこなし、早い人で1台当たり30分、平均1時間程度で解体することができるという。現在、同学園を利用する35人の障害者のうち、7人がパソコンの解体作業に従事している。 介護福祉士で同学園サービス管理責任者の戸村雅一さん(68)によると「これまで従事した全員がパソコン解体作業を継続することができており、仕事として達成感があると思う」と話す。23日、同特別支援学校でHDDの取り出し作業をした同園を利用する砂長祐季さん(20)は「ねじが固いので大変」と話し、沖山大稀さん(19)は「ねじ回しが楽しい」と話していた。 平均工賃を2倍に 分別した部品は、資源として販売する。特に半導体が載った基板は金や銀など希少金属を含むことから高く販売でき、障害者の工賃アップにつながる。一方プラスチックなど同学園が費用を支払って処分する部品もあるが、95%は再資源化できるという。 同園では現在、障害者に対し、全国平均とほぼ同額の月平均1万6000円ほどの工賃を支払っているが、パソコン回収・解体作業により、従事した本人だけでなく、全体の工賃を2年後に現在の2倍の月平均3万円に上げることを目標にしている。 パソコンの処分を依頼したつくば特別支援学校の上野俊輔教諭(41)は「去年の夏に話があり、HDDの情報漏えい対策をどうするか検討していたところ、年末にさくら学園の方が来校し、処分を依頼することを決めた。さくら学園は卒業生が利用しており、卒業生の仕事が増え、工賃アップにつながれば」と話す。 全国の事業所とネットワーク きっかけは1年半ほど前、障害者施設の仕事量を増やす取り組みをしている茨城県共同受発注センター(水戸市)の担当者から、工賃をアップできる仕事として紹介を受けたこと。すでにパソコン回収作業に取り組んでいた神奈川県平塚市の障害者施設に戸村さんらが見学に行き勉強、さらに全国の障害者施設とネットワークを組んでパソコンの回収と再資源化に取り組んでいる「日本基板ネットワーク」(新潟市)の指導を受けた。 同ネットワークの取り組みは昨年3月、首相が本部長を務めるSDGs推進本部主催の「第6回ジャパンSDGsアワード」で、廃棄物を減らして環境負荷を低減し障害者の賃金向上と自立に寄与しているとして、特別賞を受賞した。現在も3カ月に1度、同ネットワークの指導を受けながら作業のさらなる安全性向上と効率アップに取り組む。 回収するのはパソコンのほか、携帯電話やゲーム機など。企業や団体のほか、個人からも回収し、寄付を受ける形で有価物として無料で引き取る。解体、分別後は、鉄、アルミ、銅は廃棄物回収業者に販売し、希少金属を含む基板などは新潟市の日本基板ネットワークに送り、兵庫県内の溶鉱炉で溶かし、金や銀を取り出す。 戸村さんは「利用者の平均工賃を上げるのが一番の目標」とし「利用者が他の事業所を訪れて作業する機会はあまりないので、出張解体を通して地域の人とつながることもできる」と意義を強調する。さらに「レアメタルは都市鉱山とも言われるが、限られた資源をリサイクルするということもやっていかなくてはらないことだと思う」とし、「県内に一緒にやれる事業所の仲間を増やしたい」と呼び掛ける。現在、パソコン回収に取り組んでいる福祉事業所はさくら学園を含めまだ2カ所のみという。(鈴木宏子) ◆回収するのは、パソコンと、ルーターやケーブルなどの周辺機器、携帯電話、ゲーム機など。コピー機、プリンター、故障した液晶モニターは不可。つくば市内の場合、10台以上は引き取りに行き、土浦市など周辺市町村は20台以上は引き取りに行く。個人の場合、さくら学園に直接持ち込むか、宅配便などで送付すれば引き取り可能。持ち込みや宅配便などの場合、破壊したHDDを写真撮影し解体証明書などと共に後日メールで送付する。さくら学園はつくば市島名2304。詳しくは電話029-875-3517またはメールinfo@sakura-gakuen.orgへ。

初の運賃値上げを検討 つくタク ネット予約導入と併せ来年4月から

つくば市が運行する乗合タクシー「つくタク」の運賃について、市が値上げを検討していることが分かった。旧町村区域などの地区内利用で現在1回300円(高齢者や障害者などは半額の150円)の運賃を3.3倍の1000円(同500円)に値上げする案が最有力だ。実施するのは2025年4月からで、インターネット予約の導入と合わせて値上げする方針。値上げされれば、つくタクの運行が始まった2011年以降、初めてとなる。 18日開かれた市公共交通活性化協議会で担当の市総合交通政策課が明らかにした。合併前の旧町村区域などを超えた地区外の駅、病院、大型商業施設、市役所など(共通ポイント)を利用する場合は、1回1300円(同650円)の運賃を1.5倍の2000円(同1000円)にする案が最有力という。 2022年度の実績で、市のコミュニティバス「つくバス」は利用者1人1回当たり357円の公費を投入して運行しているのに対し、つくタクは同3189円の公費を投入しているなどから、持続可能な地域公共交通サービスを継続するため値上げを検討する。 利用状況は22年度の実績で、地区内の利用が96%を占め、1回当たりの平均乗車距離は5.5キロ、運賃が半額になる高齢者の利用が9割を超えることから平均運賃は177円で、同じ距離をタクシーで移動した場合、2100円以上かかるとしている。 県南、県西の周辺11市との比較では、周辺市の運賃は1人1回当たり250~800円なのに対し、つくば市は実質177円で、乗合タクシーの運行経費に対する運賃収入は、土浦市が31.8%、牛久市が11.1%なのに対し、つくば市は5.5%と11市で最も低いとしている。 さらに23年度の一般市民アンケートでは、運賃の許容金額として500円が42.8%、300円が36.5%だったとしている。 その上で、最有力案で値上げした場合、年間運賃収入は現行の860万円から2600万円に増え、収支率は5.5%から16.6%に上がり、市の負担額は現在の1億4900万円から約1700万円減って1億3200万円になるとしている。 18日の同協議会では、値上げに対する異論は出なかった。 ネット予約、3分の1にとどまる 一方、現在、電話のみで受け付けている乗合タクシーの乗車予約については、予約が集中して電話がつながらない状況をなくすため、来年4月から全車両にネット予約を導入し、電話とネットの両方で予約できるようにする。AI(人工知能)で運行を最適化するAIオンデマンドシステムの機能を導入する方針で、導入にあたっては、事業者からプロポーザルでシステムの提案を受け、今年秋ごろ事業者を選定する予定だ。 導入に先立って昨年12月1日から今年2月末までの3カ月間、高齢化率が高い茎崎地区で実証実験が実施されている(23年12月28日付)が、昨年12月1カ月間の実績はネット予約の利用者が延べ73人で、電話予約と比べ3分の1にとどまっていることが18日の同協議会に報告された。 実証実験のために同地区では、運行している乗合タクシー3台のうち1台をネット予約専用、2台を電話予約専用に当てている。1台をネット予約専用にしたことで、電話予約専用の2台の利用が実証実験前と比べ17~19%増えたなど、最初の1カ月間についてはネット予約が浸透していないことが浮き彫りになった。 市は実証実験の開催にあたり、同地区に回覧でちらしを全戸配布したり、スマホアプリの使い方説明会を4カ所で開催したり、スマホ相談会4回開催したなど周知に努めてきた。 ネット予約の利用者が少ないことについて市総合交通政策課は「説明会では、スマートフォンに専用アプリをダウンロードすること自体、難しいという高齢者がいたが、24時間365日予約できるネット予約の方が、電話予約よりも早くて便利だということが浸透すれば利用は増えると思う」としている。(鈴木宏子)

つくバス減便を決定 4月から 土日祝日、最大で半減も

今年4月から運行本数が大きく削減されるつくば市のコミュニティバス「つくバス」について(23年11月8日付)、第3回市公共交通活性化協議会(会長・岡本直久筑波大教授)が18日開かれ、減便する便や時刻表の改正などを決定した。 減便の考え方としては、通勤や通学で利用されている平日の朝便と夜便を維持することを優先し、平日の昼間と土日祝日を減便するとしている。 現在は、平日と土日祝日いずれも共通の時刻表により10路線で317便を運行しているのに対し、4月からは時刻表を平日と土日祝日に分け、平日は全体で13.6%(43便)減便、土日祝日は32.8%(104便)減便とする。 4月から、バス運転手などの時間外労働の上限が規制されること、バス運転手不足の深刻化により規制を補う新たな運転手が確保できないことが減便の理由。 路線別では、平日で最も減便割合が大きいのは小田シャトルで26.7%減、最も小さいのは吉沼シャトルと茎崎シャトルでいずれも9.1%減となる。土日祝日ダイヤは最も減便割合が多いのは西部シャトルで50%減、最も減便の割合が少ないのは谷田部シャトルで26.7%減便となる。 始発便と最終便は、平日の始発便はほぼ維持されるが、最終便が繰り上がる便もあり、最大で小田シャトルと自由ケ丘シャトルは55分繰り上がる。土日祝日の始発便もほぼ維持されるが、最大で始発は西部シャトルが1時間30分遅くなり、最終便は最大で西部シャトルが3時間25分繰り上がる。 減便の実施により、つくバスの運転手は現在の1日53人体制から、4月以降は平日46人体制、土日祝日は34人体制になる。 今年度のつくバスの運行費用は年間約5億5000万円、運賃収入は約1億7500万円を見込んでいるが、減便により4月以降の運行費用は減額となる見込みという。 今後については、運行を委託している関東鉄道との運行契約が2026年3月末までとなっており、運転手不足が解消されなければ26年4月以降、さらなる減便を余儀なくされる見通しであることから、24、25年度2カ年かけて、関東鉄道と協議し、つくバスと路線バスが重複している路線の見直しなどを実施したいとしている。 常総、下妻と接続 ほかに、1日当たり平均利用者数が0.5人に満たないバス停留所が20カ所ある西部シャトルについて今年10月から、路線をみどりの駅発と万博記念公園発の二つに分割し、それぞれ道の駅常総とやすらぎの里しもつまに接続するほか、吉沼シャトルはやすらぎの里しもつまに接続することを検討していることが明らかにされた。 これに対し委員から「西部シャトルは利用者が極端に少ない。考えられる要因は何か。常総市と下妻市の道の駅などに接続するということだが、行った先の足を考えると常総線の駅を行き先にした方がいいのではないか」などの質問が出た。市は「西部シャトルは市の西側がバス空白地域だったことから2019年のダイヤ改編で走らせた。周辺の自治体からはつくば市内の病院に通院する人がいるという話もあり、周辺自治体との広域連携で新たな需要が確保できると思う。常総線の駅に接続する方がいいという話もあるが、ルートが伸びるので便数が減ってしまう」と答えていた。 筑波地域を運行する支線バス「つくばね号」については今年4月から、神郡東と館の停留所の1区間をフリー乗降区間とし、バス停以外でも乗降できるようにする。(鈴木宏子) ◆つくバスの4月からの新たな時刻表はつくば市ホームページへ。

「人口増加率 全国一」口々に つくばで4年ぶり賀詞交歓会

つくば市新春賀詞交歓会(同実行委員会主催)が10日、4年ぶりに市内のホテルで開催された。壇上であいさつに立った市長や国会議員などからは、元日に起こった能登半島地震の被災者に対するお見舞いや募金の呼び掛けに続いて、つくば市が昨年、人口増加率全国1位になった(23年7月26日付)ことを強調するあいさつが相次いだ。 市、市商工会、研究機関などでつくる筑波研究学園都市交流協議会、筑波大、市工業団地企業連絡協議会、JA、市金融団の7団体が実行委員会をつくり主催した。国会議員、県議、市議、商工関係者など約430人が参加した。コロナ禍により2020年以来、4年ぶりの開催となった。 同実行委員長を務める五十嵐立青市長は「総じて昨年1年間、つくばは前向きなニュースが多かった」とし、人口増加率が日本で1位、転入超過2年連続で1位になったことについて「具体的な数字としてつくば市が今、選ばれていることを示している」などと強調した。 続いて、年末に病院での当直明けに自転車に衝突され、おでこにばんそうこうを貼ってあいさつに立った国光あやの衆院議員は「つくば市は全国で一番人口が増えた、これはすばらしいこと。つくばからワンチームで、茨城、日本を変えるんだという意気込みで国政の立場からサポートしたい」と述べ、青山大人衆院議員は「たくさんの方がつくば市の魅力にひかれて移り住んでいる。つくば市の姿が本来、日本のあるべき姿ではないか」などと応じた。 市商工会の桜井姚会長は「つくば市で起業した人がコロナ禍でも1000人増えた。人材が豊富で、蓄積した研究成果への期待が大きいからだと思う。つくば市はますます発展しなきゃいけない」などと話し、乾杯の発声をして、歓談に移った。 この日、会場に用意された料理は、フードロスをなくすため前回に引き続き提供量を減らし、満足度の高まる内容にしたという。(鈴木宏子)

学級増「志願状況みて個別対応」 つくばの県立高校不足問題 

市民団体要望に県教育庁 9校でシミュレーションも 人口増が続くつくば市に県立高校が少ない問題で、県教育庁高校教育改革推進室の増子靖啓室長は27日、2025年度以降のつくばエリア(つくば、つくばみらい、守谷、常総、牛久市の一部)の県立高校の学級数をどうするかについては、現在県が策定を進めている県立高校改革プラン実施プランⅡ期(24~26年度までの3年間)に反映させ位置付けるのではなく、「直近の志願状況などを見極めた上で(学級増を検討するなど)個別に対応したい」と述べるにとどまった。 一方、県は今年度、つくばエリアにある全日制県立高校9校(牛久栄進、筑波、竹園、つくばサイエンス、石下紫峰、水海道一、水海道二、守谷、伊奈高校)を対象に、①学級増をするとしたら現状で教室が足りるのか②教室がない場合、敷地内に増築するスペースはあるのか➂増築するとしたら概算でいくらかかるのかなどのシミュレーションを実施したことを明らかにした。結果については内部調査であることから公表する予定はないとしている。 つくばエリアや周辺では2023年度につくばサイエンス高の定員が2学級(80人)増、24年度は牛久栄進高が1学級(40人)増、筑波高に進学対応コースが新設されるなど、対応が始まっている。一方で土浦一高や水海道一高に中高一貫クラスが導入されたことから、つくば市の市立中学卒業者の県立高校受験は事実上、より厳しくなっている。 エリア間の入試格差解消を 市民団体「つくば市の小中学校の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が同日、森作宜民県教育長宛てに要望書を提出したのに対し、増子室長が回答した。要望書は、11月に同会が開いた教育フォーラム(11月12日付)で協議された意見などをもとに提出された。 要望書は、現在県が策定を進めている県立高校改革プラン実施プランⅡ期につくばエリアの実情を反映させ、つくばエリアの募集枠に対する全日制県立高校の定員(現在は47.5%)を県平均レベル(69.3%)まで引き上げることなど、県内エリア間の高校入試の募集枠の格差解消を求めた。具体的には県平均と同レベルにするには現状で15学級、7年後の2030年にはさらに10学級増が必要だと指摘し、竹園高校を2学級増やす、牛久栄進、土浦一、土浦二高の10学級化を目指す、つくばサイエンスに普通科を設置する、土浦一や水海道一など伝統校の県立中学の設置に伴う高校定員削減を止めることなどを要望した。 ほかに、学科を新設する場合は生徒や保護者にアンケートをとること、遠距離通学者への補助やスクールバス費用の軽減などを要望した。 要望書を受け取った県教育庁の増子室長は、県立高校改革プラン実施プランⅡ期について「つくば地域以外は中学校卒業者の数がどんどん減っており、実施プランⅡ期のメーンは(県北地域などの)小規模校への対応の検討になる」などと答えた。 同考える会の県要望は5回目、今年度は3回目の要望活動になる。(鈴木宏子)

建設工事費1.5倍の41億円 つくば市が陸上競技場基本計画案を策定

つくば市は22日、同市上郷、旧上郷高校跡地(約7ヘクタール)に計画している陸上競技場整備事業の基本計画を発表した。概算の建設工事費は校舎解体費も含め計約41億4100万円で、2021年4月策定の基本構想の工事費27億3600万円と比べ1.5倍にふくらむ。年間維持管理費は基本構想が8000万円だったのに対し1.1倍の8850万円。市議会12月定例会閉会後に開かれた全員協議会で報告した。 わずか2年半で工事費が1.5倍になる理由について市スポーツ施設課は、資材費の高騰のほか、バックスタンドに屋根を付けるためなどとしている。基本構想については、市大規模事業評価委員会が事業費も含めて検証し、22年3月に「概ね妥当」との答申を出している。 今後のスケジュールは、パブリックコメントと説明会を実施して23年度末までに基本計画を策定し、24年度に基本設計と実施設計に着手、25年度に現在の校舎や体育館などをすべて解体し、26、27年度に建設工事を実施、27年度末に完成予定という。 メーンスタンドを縮小 21年策定の基本構想と比べ基本計画は、メーンスタンドの規模を縮小し観客席を1500席から600席にする。一方、バックスタンドに300席の屋根付き観客席を新たに設置する。芝生スタンドなどを含めた施設全体の観客席は、基本構想は4000席だったが、基本計画は2900席に減らす。市は、利用を想定している小中学校などから意見を聞き、経費を抑えたと説明する。 ほかに基本構想では付帯施設として、会議室や研修室などがあるセミナーハウスを建設し、地域交流や物販、避難所や備蓄倉庫などとして利用する計画だったが、セミナーハウスは建設せず、代わりにメーンスタンド脇に分棟として地域の交流拠点や多目的集会所を新設する。さらに付帯の多目的広場には屋根付きの80メートル雨天走路を5レーン設置する。 上郷高校の新体育館は、基本構想では解体せず残して活用する計画だったが、高校の施設はすべて解体し、併設の体育館はなくなる。 一方、競技場内は基本構想と同じで、トラックは400メートル8レーン、サッカーなどの利用を想定している内側のインフィールドは天然芝で、日本陸上競技連盟の施設基準で第3種公認相当規模の整備をし、4種公認とする。 年間利用者数は4万5000人程度とした。想定される利用者を積み上げて算出したものではなく、3種公認の龍ケ崎市陸上競技場と同程度と想定したという。 議会からは「小中学校の陸上競技大会は各学校にゆだねられており、先生方の働き方改革で縮小されている、現在、各学校で行われている大会を陸上競技場で行うことが決まっているところはあるのか」などの質問があり、市は「具体的に(利用が)決まっている学校はないが広めていきたい。小中学生が利用すれば年間利用者は4万人より多い」などと答えた。(鈴木宏子) ◆同基本計画案の説明会は①24日(日)午後1時~茎崎交流センター②同午後4時~豊里交流センター➂26日(火)午後2時~大穂交流センター④同午後5時~つくば市役所で開催される。パブリックコメントは18日から来年1月19日まで実施中。 ➡陸上競技場の過去記事はこちら

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