火曜日, 4月 7, 2026

自家用車で乗客を有償運送 つくば市が2地区で実証実験 来年1月から

一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「自家用有償旅客運送」の実証実験を、つくば市が来年1月から市内2地区で計画している。スマートフォンのアプリでドライバーと乗客をマッチングさせ、公共交通の運行がない時間帯に限定して実施する。 6月6日開会の市議会6月定例会議に提案する。実証実験は3年間で、運行は2026年度まで。つくば市が、土浦、牛久、下妻市に呼び掛け、4市共同で取り組む。日本版ライドシェアはタクシー会社が運営主体となるのに対し、今回の実証実験は4市がそれぞれ運営主体となる。ドライバーの健康管理や車両点検などは地元のタクシー会社やバス会社に委託する方針だ。 つくば市が取り組む2地区は、同市下広岡の住宅団地 桜ニュータウンと筑波山地域。桜ニュータウンは昨年1月末、つくば駅に向かう路線バスが廃止された。代替公共交通である乗り合いタクシー「つくタク」が運行していない時間帯の朝夕に、地域住民などを対象に、桜ニュータウンとつくば駅の区間などで実施する。 筑波山地域は、中腹のつつじケ丘や筑波山神社を運行する関東鉄道 筑波山シャトルの最終便が夕方5時ごろであることから、バスの運行が無くなる5時以降、観光客などを対象に、中腹からふもとの筑波山口までの区間で実施する。筑波山口からは公共交通などを利用してもらう。 市総合交通政策課によると、運転手不足の中、公共交通の課題がある地区で実施する。24年度の事業費は4市合わせて約3億3500万円。実証実験ではまず、一般ドライバーが登録するためのドライバーバンクアプリと、ドライバーと乗客をマッチングさせる配車アプリを4市で協議しながら共同開発する。一般ドライバーの募集は10月以降開始し、審査と研修などを実施する予定だ。4市で計76人の登録を目標にしている。 運行エリアや実施時間帯をどう設定するか、乗車運賃や支払い方法をどうするか、ドライバーが待機する時間帯の賃金などをいくらにするか、乗客によるドライバーの評価を点数化するかなど詳細は、4市での協議のほか、行政、交通事業者、地域住民などで構成する市公共交通活性化協議会で協議して決める。国は運賃についてタクシー運賃の8割などを目安としている。(鈴木宏子)

大切にしたい茨城の陶芸文化《令和楽学ラボ》29

【コラム・川上美智子】陶芸を楽しむ人が増えてきている。コロナの3年間には陶芸に関する催し物も中断され、教室に通う人も減り、茨城の陶芸の火が消えてしまうのではないかと心配していたが、今年は完全に復活した。4月29日~5月5日の大型連休に、笠間芸術の森公園イベント広場で開催された第43回陶炎祭の人出は8万6000人と2年連続で増え、来場者の多くが駐車場探しが大変だったと口にしていた。 出店数も250を超え、若い陶芸作家たちの参加が目立った。県内からのお客さまだけでなく、近県からも訪れる人が大勢いて、笠間の陶炎祭の集客力は目を見張るものだった。 高校生に自作を値引き販売 昨春、初個展を開いた筆者も、陶芸を学び合う仲間3人で初出店した。暑さ、雨天、強風など7日間の開催期間中のテント下での販売はとても過酷だった。陶器の販売だけにしておけばよかったのに、欲張って茨城ロボッツの選手に補食として提供しているインドカレーとチャイの提供もしたので、それは大変だった。 食材の仕入れ・保管と、毎日100食分のカレーの調理、現場への運搬など、祭りを楽しむどころか、ヘトヘトに消耗し、今も尾を引いている。 筆者にとっては初めての作品販売だったが、展示した花器、抹茶椀(わん)、ぐい飲み、ペンダントの半分程を購入いただいた。販売という行為自体苦手であるが、初日に千葉からお母さんと一緒に来られた男子高校生とのやりとりは印象に残った。緑色系の氷裂釉薬(ひょうれつゆうやく)をかけた抹茶椀を気に入られて、何度も何度も足を運ばれ、閉店間際にやはりこれが欲しいと来られた。 聞けば、最近、高校で茶道を始めたばかり、どうしてもこのお茶碗で飲みたいと言う。お母さんから小遣いで買うよう言われていて値段が折り合わないようだった。茶碗との出会いも一期一会、彼の茶道への思いを応援したくなり、大事に使ってねとお小遣い価格に値下げしてお渡しした。 このようなやり取りも陶器市ならではのこと、うれしそうに持ち帰る姿を見て、私の茶碗を気に入ってくれたことへ心から感謝した。陶磁器に興味関心を持つ人、購入したい人がたくさんいることを確認した7日間であった。 魯山人の漆器、日本画、篆刻… 5月28日(火)~6月7日(金)には、第55回水戸芸術祭美術展覧会が芸術館で開かれる。本展覧会には15年前から委嘱出品しており、今年も出来上がったばかりの新作の壺(つぼ)を出品した。展覧会用の手捻(びね)りの大きな作品は、時間もエネルギーも要し年に2~3個しか作れないが、今後も自己の感性を大事にして丁寧な作品作りをしていきたいと思う。 また、茨城県陶芸美術館では7月7日(日)まで「魯山人(ろさんじん) クロッシング」の企画展が開催されている。県内に所蔵される魯山人の陶磁器、漆器、日本画、篆刻(てんこく)、書、約70点が出展され、魯山人特有の赤絵付けされた食器など、筆者が勤務する関彰商事が所蔵する器40数点も初披露されている。 陶土を産する笠間を拠点とする器の芸術、誰でも簡単に触れ、体験でき、学べる環境は本当に貴重である。筆者も近くにその環境があったから、60歳を過ぎてその道を歩み始めた。太古からつないできた人間の手による土の芸術文化、茨城の地で大切に継承していってほしいと願っている。(茨城キリスト教大学名誉教授、関彰商事アドバイザー)

次は竹園高の学級増を つくばの市民団体が要望 県立高校不足問題

つくば市などつくばエクスプレス(TX)沿線で児童生徒数が増加し県立高校の入学枠が不足している問題で、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は28日、柳橋常喜県教育長宛てに、竹園高校を2学級増やし10学級とする、つくばエリアの全日制高校の定員を県平均水準まで引き上げるーなど3項目を要望した。 同会は2021年から県教育長に要望活動をしており、今回が6回目。今回初めてつくば市選出の県議5人全員を含め県議6人と、つくば市議会議長ら市議3人が同席した。 片岡代表はまず、サイエンス高の普通科設置(5月24日付)に対し「開校2年で見直したなど、柔軟な訂正力に注目したい」と普通科設置を評価した。その上で、竹園高について、中高一貫校への移行により土浦一の定員が減り、水海道一、下妻一も25年度からさらに削減されることなどから「中学生の苦労は深刻になる」と話し、「TX沿線は県立高校の不足が地域発展のボトルネックになっている面がある」などと指摘した。 さらに片岡代表は「(県立高校が不足しているため)つくばではクラスの半分以上が中学受験をする小学校もあり、小学3年生ごろから塾に通う。塾の費用は夏期講習、冬季講習などを含めると年100万円くらいかかり、教育格差が広がる」など保護者らの切実な声を紹介した。 要望書を受け取った庄司一裕県学校教育部長は「TX沿線の人口増により(高校問題を)解決しなければならないことは十分認識している。(今年4月から)牛久栄進高の学級増、筑波高の(進学コース設置など)魅力化に取り組み、来年度からはつくばサイエンス高に普通科を設置する。普通科も科学技術科もますます魅力化を図っていきたい」と述べた。竹園高の学級増要望に対しては、県高校教育課の深澤美紀代課長が「ご要望として伺いたい」などと答えるにとどまった。 懇談では県議から、定員割れを解消する方法として「大学の指定校となり推薦枠を確保してはどうか」などの提案が出た。サイエンス高に新設される普通科について、考える会から「科学技術科と普通科とで行き来(転科)できるのか」「普通科は文系も理系も大学進学を選択できるのか」などの質問が出て、県は「科学技術科は1年次に工業科目を履修するので転科はハードルが高い」「普通科は文系、理系どちらも対応できる」などと答えていた。(鈴木宏子)

大きな裁ちばさみ《続・平熱日記》158

【コラム・斉藤裕之】大きな裁ちばさみで、シャキ、シャキと新聞の記事を切り取ることがある。とても気持ちよく切れる。古道具屋で買った、柄が黒く塗ってある大きな裁ちばさみ。それからあとは、洗って乾燥させた牛乳パックを半分に切るときに使う。 半分に切った牛乳パックには2通りの使い方がある。ひとつは、まな板の上に置いて肉や魚を切るのに使う。もうひとつの使い方は、絵を描くときのパレット。朝のコーヒーは牛乳を多めにして2杯飲むから、だいたい1週間でひとパックのペース。 確かなことは覚えていないが、多分小さな絵を描き始めてから自然と、牛乳パックを使い始めたのだと思う。今まで相当な数の牛乳パックをパレットに使ってきたが、試しに今年の初めから捨てずにいた。というのも、使い終わったパレットは案外美しくもあり、抽象画のようでもあるから。 笠間の日動美術館には有名な画家のパレットのコレクションが展示してある。当たり前だが、パレットは一つの道具なので、その人の目的に合った道具としてのカタチをしている。そのパレットから作品を想像するのも面白いし、逆に作品からパレットを見るとなるほどと思う。そういう意味でいえば、私の絵は牛乳パックのパレットで充分だ。 5月の終わりから丸亀市で個展 新聞の記事を切り抜くことは本当にたまにしかない。1年間に数枚ほど。例えば、絵を描いている人の言葉が気になることはあまりないのだが、面白いことに数学者や物理学者、詩人たちの言葉にはドキッとすることがある。 偶然目にした彼らの言葉を、私は大きな裁ちばさみで切り取って日記兼雑記帳のノートにスクラップする。でも多くの場合、その切り取った記事を読み返すことはない。内容を覚えていることもほとんどないが、頭の隅に切り取った記憶だけはあって、数年を経て「そういえば…」と、探して見返すことがある。 5月の終わりから、香川県の丸亀市にある「あーとらんどギャラリー」で個展が始まる。ゴールデンウィークの前に、ほぼ作品を描き終えて梱包(こんぽう)した。ふと気になって、使い終わって積み重なっていた牛乳パックのパレットを数えてみたら、20数枚あった。1カ月に約6枚を使っている計算だ。 今年前半は個展やグループ展が続いたから、ちょっと頑張り過ぎたかもしれない。しかし、どのパレットにも数色の同じ色が大体同じ所に出してあって、つまりそれは私の身の回りのものごとの色彩を表しているのでもあって、何とも地味な色合いである。 ある朝新聞を開くと、ある詩人の言葉が目に留まった。大きな裁ちばさみでシャキ、シャキと記事を切り取った。その日は、牛乳を買い忘れてストレートのコーヒーを飲んだ。それから、牛乳パックに同じ色の絵の具を同じ場所に出して絵を描いた。(画家)

6月1日から利用再開 さくら民家園 法令適合を確認

建築基準法上の違反建築物状態にあるとして昨年11月1日から建物の利用ができなくなっていたつくば市吾妻、中央公園内の古民家、さくら民家園(23年10月30日付)について、つくば市は24日、移築当時の法令に適合していたことが確認できたなどとして、6月1日から建物の利用を再開すると発表した。 さくら民家園は江戸時代後期ごろ建てられた古民家で、つくば科学万博が開催された1985年、合併前の旧桜村の委託を受けて住宅・都市整備公団(現在のUR都市機構)が旧桜村上大角豆から中央公園内に移築した。現在、市が所有、管理している。 昨年、市が、かやぶき屋根の改修に向けた手続きを進める中で、移築当時に必要だった建築確認申請書と検査済証が見当たらず、当時、建築確認申請の手続きをしないまま移築した可能性があることも考えられるなど、手続きの不備が判明したとして、市は昨年10月30日、違反状態を改善するため建物の利用を当面の間、停止すると発表していた。 市生涯学習推進課によると、その後の昨年11月、移築当時の建築確認申請や完了検査に関する交付年月日と交付番号を記録してある市建築指導課保管の計画通知台帳に、さくら民家園移築時に出された計画通知番号と検査済番号があることが分かり、移築当時の法令に適合していたことが確認できたとしている。一方、当時、市に提出されていたはずの建築確認申請と検査済証自体は現時点で見つかっていない。 市はさらに、さくら民家園が立地する地区は現在、火災の発生を防止するため建築基準法でかやぶき屋根の設置や改修ができない区域に指定されていることから、屋根の改修に向けて指定を解除する手続きを実施し、現在の法令に適合しながら屋根の改修をするための手続きがこのほど完了したことを受けて、利用を再開するとしている。 かやぶき屋根はこれから改修するが、時期は現時点で未定。改修工事中も建物の利用は概ねできるという。市は「市民の憩いの場、交流の場として、さらに利用しやすい施設となるよう見直し、老朽化が進んだ部分については改修を行いながら運営していく」としている。 さくら民家園の建物内は座敷、茶室、土間、かまどなどがあり、だれでも無料で見学できる。これまで、お茶会、お話し会、展示会などのイベントが開催されてきた。開園時間は午前9時30分~午後4時30分。休園日は毎週水曜など。

原発の本質はただ二つ 樋口元裁判長が講演《邑から日本を見る》160

【コラム・先﨑千尋】「原発の本質はただ二つ。人が管理し続けないといけない。人が管理できなくなった時の被害は想像を絶するほど大きい」。2014年に福井地裁が関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた際に裁判長を務めた樋口英明さんの講演会が、5月12日、水戸市民会館で行われ、約400人が耳を傾けた。 この講演会は同氏講演会実行委員会(村上達也・海野徹共同代表)が主催し、樋口さんと宮嶋謙かすみがうら市長との対談も行われた。 樋口さんは冒頭、能登半島地震に触れた。震源に近い石川県珠洲市高屋地区に原発の建設計画があった(1975年)が、地元の反対運動で白紙撤回され、事故を起こさずに済んだ。樋口さんは、もし珠洲原発が稼働していたら大変な事故になったはず、国は反対運動をしてきた人に感謝しなければならない、と話した。 能登半島の中部にある志賀原発は運転停止中だったが、今回の地震で外部電源が喪失するなど、耐震性が低いことが証明されている。 大飯原発訴訟の際、住民側は原発周辺で強い地震が起きた際の不安を訴えたが、関西電力側は「大飯原発の敷地内に限っては強い地震は起きない」と主張した。 樋口さんが大飯原発を止めた理由は「原発の過酷事故は極めて甚大な被害をもたらす。それゆえに、原発には高度の安全性と耐震性が求められる。しかし、わが国の原発の耐震性は極めて低い。よって、原発の運転は許されない」というもの。原発の敷地内に限って強い地震は起きないなどということはあり得ない、というのが樋口さんの考えだ。 樋口さんによれば、一般に国民も裁判官も「原発問題は難しい」という先入観がある。原発訴訟は高度の専門技術訴訟であり、裁判所は原発の安全性を直接判断するのではなく、規制基準の合理性を判断すればいいというのが多くの裁判官の判断基準だ。しかし、裁判官も国家公務員であり、極端な権威主義と頑迷な先例主義、科学妄信によって正当な判断ができなくなっている、と樋口さんは話す。 また、全国各地で原発が稼働しているが、これは、政権や電力会社の考えだけでなく、国民が、原発問題は難しい、専門家である原子力規制委員会の審査を経たのだから安全なんだろうという先入観があるからだ、とも述べていた。 かすみがうら市は「非核脱原発平和都市宣言」を決議 宮嶋さんが市長を務めるかすみがうら市は、東京電力福島第1原発の事故から2年後に「非核脱原発平和都市宣言」を決議している。宮嶋さんは市長就任直後の議会で東海第2原発の再稼働に反対することを明言し、「脱原発をめざす首長会議」のメンバーになった。同市は、東海第2原発が事故を起こした際にはひたちなか市から約7600人を受け入れることになっているが、宮嶋さんは「それは無理。バスも調達できないし、パニックになる。避難計画を策定するような危ない原発は止めるべき」ときっぱり言う。 対談の中で樋口さんは最後に「科学は万能ではない。現在の地震学では、地震がいつどこで起きるか予知できない。東海第2原発に関して、日本原電は1009ガル以上の地震は起きないと言っているが、誰がそのことを保証できるのか。99%無理」と結んだ。(元瓜連町長)

筑波大の理系男子2人 焼き芋を移動販売

オフシーズンの新商品に「焼き芋ボール」 焼き芋の移動販売を昨年12月から始めた筑波大大学院1年の金龍泰さん(24)と同大4年の田邉渓太さん(23)が、焼き芋を使った新商品を販売している。金さんは工学システム、田邉さんは物理学を専攻する理系学生だ。 25、26日につくばセンタービル1階の貸オフィスco-en(コーエン)=同市吾妻=で開催されている同市上郷地区の物産展「EAT and kamiGO(イートアンドカミゴー)」で販売中。 「焼き芋を焼く温度は高すぎても低すぎてもダメ。ちょうどいい焦げ感を出すのも難しい」と、金さんが焼き芋作りの奥深さを語る。 金さんは昨年12月に田邉さんと、同市上郷でブルーベリーの観光農園やカフェを運営する「アオニサイファーム」(青木真矢代表)の事業の一環として「阿吽(あうん)の焼き芋屋」を始めた。市内を中心に県内外のイベントなどで、改良した軽バンを使った焼き芋の移動販売を手掛ける。 今回の物産展では、焼き芋のオフシーズンに向けた新商品として、すりつぶした焼き芋に片栗粉を練り込み、一口サイズに丸めて油で揚げた「焼き芋ボール」を考案した。焼き芋の風味を生かしつつ「外はカリッと、中はもっちり。サクッと食べられる」ように意識した。 「使用するのは上郷の農家さんが作る芋。美味しいものを作ることで、私たちの食を支える農家さんの魅力を伝えていきたい」と2人は思いを語る。 焼き芋販売は「アオニサイファーム」の事業だが、金さんと田邉さんが収支計画を立て、売り上げの中で経費を賄っている。「青木さんには好きにやっていいと言ってもらっている。困った時に相談に乗ってくれる」 「選挙割」「つくばクエスト」を企画 金さんと田邉さんは、若年層の投票率向上を目的に活動する学生団体「ドットジェイピーつくば支部」(現在は同水戸支部に統合)のメンバーとして、投票すると提携する店舗で割引を受けることができる「選挙割」や、街歩きイベント「つくばクエスト」などの企画に携わってきた。 その後も、地元の農家や飲食店に協力して食品開発をするなど、地域と関わる活動に力を注いできた。その中で出会ったのが、情報誌の作成などを通じて農業の魅力を発信している「アオニサイファーム」の青木代表だった。地元の上郷や周辺地域で作られるサツマイモを使った焼き芋販売は、青木さんから誘われスタートさせた。 焼き方のパターンを実験 「普通の焼き芋じゃダメ、こだわりたいと思った」と話す金さんは「夜通し焼いて、美味しい焼き方を研究した」と販売に向けた努力を振り返る。田邉さんは「あえて意識はしていないが、いろいろな焼き方のパターンを実験しているのは理系的かもしれない。自分たちにとって焼き芋作りは初めての世界。知らない分野だからこその面白さがある」と話す。 改良した軽バンで各地のイベントに出店すると、「おいしい、あまい。焼き芋の質がいい」という声を掛けられた。田邉さんは「その声は僕らにとってもうれしいし、農家さんに伝えると喜んでくれる。僕らの焼き方がよかったというよりも、農家さんの力だと思っている。農家さんが買い手から意見を聞くことは難しいかもしれない。わたしたちが伝えられるといい」と、生産者と消費者の媒介者としての役目があると話す。「行った先で売れるかわからない難しさがあるし、コンビニやスーパーで売っている安い焼き芋との値段の差をお客さんにどう納得してもらえるか。見せ方を含めて考えていかなければ」と今後の課題も浮かんできた。 地域の魅力発信したい 金さんは「これまでに(選挙割など)イベントを企画はしてきたが、作るのは生産者の方に頼ってきた。焼き芋は初めて自分が作る側に立つ機会。ものづくりの奥深さにも気付かされた。農家のことを伝えるという意味での焼き芋。そのためにも一番美味しいものを作っていきたい」と今後について思いを語る。 田邉さんは「僕は宮崎出身。つくばに来て地域に関わる中で、自分たちなりに面白いと感じる地域の魅力がある。魅力的な方たちとの出会いもあった。大学にいると、つくばは学生の街、研究の街というイメージが先行していたが、一歩外に出ると田園があり、素朴な風景が広がっている。そのコントラストに魅力を感じる。活動を通じて多くの方と出会い、それぞれの価値観や、地域のことを知る機会になった。地域の魅力の発信と、実際にお客さんが来るためにはどうするかを考えていきたい」と話す。 2人に声を掛けた青木さんは「2人は地域を盛り上げようと意欲的。自分たちで考える姿を見守りながら、焼き芋をきっかけにさらに活動を展開していけたら。つくばの中心地域と農村部を繋いでいきたい。いろいろな人が関わることで、地域がさらに盛り上がっていくと思う」と話す。(柴田大輔) ◆「阿吽の焼き芋屋」の出店予定は公式インスタグラム「阿吽の焼き芋屋」へ。

つくばの地酒を普及へ おさけ推進協が発足

つくば市内の酒生産事業者が一体となり、同市の地酒乾杯条例を推進しようと24日、「つくばのおさけ推進協議会」が発足し、市役所で設立総会が催された。 協議会は、日本酒を生産する稲葉酒造、浦里酒造店の2社、ワインをつくるビーズニーズヴィンヤーズ、つくばヴィンヤード、カドヤカンパニー、ル・ボア・ダジュールの4社、地ビールのツインピークスマウンテンブルーイング、ペブルスの2社の計8社で構成する。多様なお酒があることから「おさけ」をひらがな表記にした。 協議会会長にペブルスの延時崇幸代表、副会長にビーズニーズヴィンヤーズの今村ことよ代表、監事に稲葉酒造の稲葉芳貴代表とつくばヴィンヤードの高橋学代表が選出された。事務局はつくば観光コンベンション協会が受け持つ。市産業振興課課、市商工会、同コンベンション協会が支援機関となる。 同市は2020年1月、地酒での乾杯により地酒の普及促進を図ろうと、乾杯条例を施行した。その直後コロナ禍になり、4年を経て協議会が発足した。 延時会長(42)は「つくばにはいろいろなお酒があるが、まだまだ市民に知られていない。まずは手にとってもらうことから始めたい」と述べた。つくばの地酒の普及促進のため、広報活動やイベント活動を実施することになるという。 総会は、同コンベンション協会会長の五十嵐立青市長と同副会長の神谷大蔵市議があいさつし、規約、役員選任、2024年度の事業計画などを議決した。 同市は2017年ワイン特区に認定され、20年乾杯条例が施行、ここ5年の間に6事業所が開業した。博士号をもつ事業主が3人おり、ほかの地区にない特徴がある。 総会では、今後ツアーを計画するなどアイデアを出しながら活性化につなげていきたいという意見が会員から上がった。つくば駅にビール、ワイン、日本酒など地酒バーを設置する、市役所のロビーに展示ブースを設ける、つくバスを使ったバスツアーを実施するなどの提案も出た。 9月28日には「つくばおさけPRキャンペーン」をつくば駅前のつくばセンタービルやBiVつくばなどで開催する予定。まつりつくばや筑波山梅まつりにも出店が予定されている。(榎田智司)

「田んぼの学校」にようこそ《宍塚の里山》113

【コラム・嶺田拓也】「田んぼ」とは、私たちが食べるお米を収穫することを目的に、イネが栽培できるように整えられた場所です。 イネの先祖は、もともとはアジアやオセアニアの比較的暖かい地域に生育していた多年生の湿地生植物でした。日本には、縄文後期から晩期(約4000~2300年前)ごろ、イネとその栽培法が伝わってきたとされていますが、かんがい(川などから水を引くこと)技術が未発達だったため、水を溜めやすい場所が良い田んぼの条件でした。 湧水が多く、また周辺の里山に降った雨が大池に溜まりやすい宍塚の谷津地形は「田んぼ」に適していました。しかし近代以降、効率よく生産性を上げるために「田んぼ」は、機械化に対応し大区画に、すぐ乾くように排水機能の強化が進みました。 宍塚の田んぼは、小区画で大型の機械には対応できず、また地下水位の調節が難しいため、天候などに大きく左右されがちで、現代の米作りには不利となってしまいました。 では、宍塚の田んぼを続ける意義はどこにあるのでしょうか。今でも野外でのイネの栽培は、天候や病虫害、土壌の理化学性の変化など、多くの影響を受けており、現在の技術を持ってしても、これらのすべての影響因子を人為的にコントロールすることは実現していません。そもそもお米は「つくる」ものではなく、「とれる」ものなのです。 人事を尽くして、また、さまざな生きものたちの営みの助けもかりながら、獲れたお米に感謝できるような「田んぼ」を作り続けていくこと。これが、かつての良田だった宍塚の田んぼ作りで目指すべきものではないでしょうか。 宍塚の田んぼで獲れるものは、決してお米だけではありません。畦(くろ)に植えられた大豆、大池から水を引くための水路で獲れるマシジミやドジョウ、さらには大池に水を供給する周辺の里山からたくさんの幸をいただくことができます。まだその役割がよく知られていない「ただの虫」をはじめ、たくさんの生きものたちすべても「田んぼのめぐみ」とすれば、もっと田んぼ作りが楽しくなるでしょう。 田んぼ作りでは、水路の整備、田植え、草取り、稲刈りなど、たくさんの人の手が必要です。そして、かっては農事暦にあわせて、お互いに作業の労をねぎらう親睦の場としてのさまざまな「祭り」も催されていました。宍塚での田んぼ作りでも、田んぼに関わるさまざまな人の環をしっかりと産み出してくれます。 田んぼの学校では、「生きものいっぱい お米もざくざく みんなで楽しく 田んぼ作り」を合い言葉に、谷津田に集う生きものや人(文化)を伝承していければと思っています。(宍塚の自然と歴史の会 田んぼの学校校長)

来年度から半分の3学級を普通科に つくばサイエンス高

2年連続の定員割れ踏まえ 2023年度に科学技術の専科高に改編されたつくばサイエンス高校(つくば市谷田部)が、開校から2年連続で定員割れとなったのを踏まえ、県教育庁高校教育課は24日開かれた定例教育委員会(柳橋常喜教育長)で、25年度から同校に普通科を3学級(定員120人)新設すると報告した。現在6学級240人の科学技術科は、来年度から半分の3学級120人に減らす。学校全体の定数は6学級240人のまま。 新設する普通科は、文系、理系どちらも選択できる文理融合型の選択科目や、総合的な探求の時間に自分の興味を探求できる「サイエンス探求」などを用意する。同校には、電子顕微鏡や分析機器など大学レベルの機材や設備が備えられていることから、普通科でも機器や設備を生かしたサイエンス探求ができるという。一方、科学技術科は、従来のまま2年次からロボット、情報、建築、化学生物の4領域の中から選択できる。 サイエンス高はつくば工科高校を改編し、2023年度開校した。つくばエリアの中学生が増加していることを受けて、定員を2学級80人増やして240人にした。一方、初年度の入学者は、一次募集の志願者が72人(倍率0.3倍)、二次募集を含めた入学者数は88人だった。2年目の今年度はさらに減り、一次募集の志願者は68人(同0.28倍)、二次募集を含めた入学者数は77人にとどまった。初年度の23年度は152人、24年度は163人の欠員が出ていた。 2年連続の定員割れについて県教育庁高校教育課は、開校後の進学実績がまだ見えない中で中学生が志望先に同校を選びにくい、中学3年の段階で理系の進路を選ぶのは難しいとして、普通科を設置する方針を決めた。 普通科設置は10月下旬の定例教育委員会での議決を経て正式決定となる。県は昨年7月、牛久栄進高校の1学級増や筑波高校の進学アドバンスコース新設などを発表しており、今回の募集定員の変更は昨年より2カ月早い公表となる。 ミスマッチに厳しい意見 24日の教育委員会では教育委員から厳しい意見が相次いだ。教育委員の一人、市原健一元つくば市長は「前々から何度も指摘させていただいているが、つくば市はよその市町村と比べ中学生がはるかに多いのに、なぜサイエンス高校の志願者が少ないのか、片方で高校をつくってほしいという要望があり、片方でつくば工科高校をサイエンス高校にして受け皿にしようとしたがミスマッチが起こった。根本的にどこが問題なのか、ニーズをしっかり把握していなかったことになるので重く受け止めてほしい」などと指摘した。 県高校教育課の深澤美紀代課長は「(ミスマッチの)原因の一つとして、中学3年時点で理系進学を決めるのはかなり難しいという意見を中学校から聞いている。高校の特色について地域の方への広報が足りなかった部分も感じている。それぞれの高校の特色をどう伝えたらいいのか、広報のツールについてもしっかり検証していきたい」と答えた。 サイエンス高校の定員割れ問題については、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が28日、県教育長宛てに要望書を提出する予定で、同校に普通科を設置するなど3項目を要望する方針だ。片岡代表は「28日に要望書を出す前に要望の一部が実現しうれしく思う。一歩ずつでも前進したことは良かった。実現してくれた関係者に感謝したい」とし、さらに「竹園高校を2学級定員増やし10学級とすること、つくばエリアの県立高校募集枠を県水準に引き上げることも、実現に向け要望したい」などと話した。(鈴木宏子)

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