個性あふれる99点 武蔵美校友会茨城支部展 つくば美術館
武蔵野美術大学(東京都小平市)を卒業した県在住者及び出身者で構成する同大校友会第21回茨城支部展が2日から7日まで、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれ、会員が制作した油彩、日本画、水彩、工芸など99点の個性あふれる作品が展示されている。
支部展は毎年開催されている。同大の県在住者及び出身者は約1000人が該当し、そのうち約30人が同支部会員となっている。通信教育課程の卒業生が多いのも特徴で会員の3分の1を占める。
同大を卒業後、県南の小中学校で美術担当教諭を長く務め、つくばみらい市立伊奈東中学校校長を最後に退職した沼尻正芳さんは、油絵「間宮林蔵の肖像」を出展した。「地域出身の偉人ということで描いた。林蔵の写真は残されていないのだが、自分の想像で描いた。宗谷岬から樺太に渡る前の立ち姿を描いている」と説明した。
NEWSつくばコラムニストでもある川浪せつ子さんは、「水と」「おいしい時間」「ふわり」などの水彩画を出展。「母が亡くなった年齢を超えてからは好きなことをやろうという思いがあり、自分の描きたいものばかりを描いている。今回は小さな作品をたくさん展示した」と述べる。
中村のりこさんの「那珂湊張り子」は2022年度と23年度のいばらきデザインコレクションに選ばれた作品だ。江戸時代からの地域伝統工芸を守り、現代のニーズに合わせて、手のりサイズに小型化した。県産品の西ノ内和紙や、古来の顔料、膠(にかわ)など質の高い材料を吟味することで伝統工芸品の価値を高め、地域のイメージアップになっているという。
支部長の冨澤和男さん(67)は「産業技術総合研究所に勤めている時に美術の基礎を学ぶために通信で大学に入った。当時は忙しかったので作品を仕上げるのに時間がかかった。植物などの自然物を描く時は観察から始め、下絵、デッサンなどにも時間がかかり、根気のいる作業だ」と、自作「白日の薔薇」を参考に説明してくれた。
冨澤さんはさらに「開催期間は梅雨時期なので足元に気をつけてきてほしい。たくさんの人に見てもらえばうれしい」と述べた。(榎田智司)
左は中村雄二さん作「生けるものたち‘23ミクストメディア」、右は野本恵美子さんの「噴火の知らせ」
◆武蔵野美術大学校友会第21回茨城支部展は2日(火)~ 7日(日)、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時、最終日は午後3時まで。入場無料。▽6日(土)午後1時~2時と2時30分~3時30分の2回、「お絵描きワークショップ~直径58mmの円に絵を描いて缶バッジを作ろう!」が開かれる。定員は各回10人、小学生以下は保護者同伴。参加費500円、1人3個まで作成できる。申し込みは090-2669-9206(坂本さん)へ。
世界は悲しみに満ちているか?《続・気軽にSOS》151
【コラム・浅井和幸】この世界は理不尽なことばかり起こると感じている人は多いでしょう。理不尽とは首尾一貫していないということ。ですが、道理にかなってないとまで考えて使うことは少なく、普段は自分や自分が好きな人にとって嫌なことが起こるという意味で使うことが多いでしょう。
私は物思いにふけり、生活にあまり役に立たないような些細(ささい)なことを考える習慣があるのですが、最近考えた課題があります。それは「どうして視野が狭いと、考えや話し言葉の主語が大きくなるのか」。
Aさんは言いました。この世界は悲しみに満ちていると。世界は悲しみしかないということを真剣に伝えてきます。あるとき、Aさんは言います。この世は素晴らしい喜びに包まれていると。
「悲しみに満ちている世界」と「喜びに包まれている世界」の時間的な間隔は数カ月のときもあれば、数時間のときもあります。「悲しみ…」と「喜び…」の間で世界の常識や状態が大きく変わったとは思えません。
変わったのは、Aさんの周りのちょっとした出来事です(Aさんにとっては些細なことではなく大問題なわけですが)。恋人に振られた、仕事で成功して上司にほめられた、大切にしていたものが壊れた、大好きなライブに行ったなど。
人はそれぞれの世界観を持ちます。この世界と感覚器官(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)でつながり、感じて、思考して、世界とはこういうものだと決定しています。
自分の決定した世界が、自分のフィルターを通した世界であって、決して全てではないのだと、ほとんどの人は知っています。自分が感じて考えている世界<本当の世界ですが、余裕がないときは、自分が感じて考えている世界は、それが全てだと考えてしまいやすいのです。自分が感じて考えている世界=本当の世界と。
深呼吸をしてもう一度考える
余裕がないときというのは、不安にあおられ、緊急に決断しなければいけないという状況に陥っていると、私たちの頭は考えている状況です。ですが、主語が大きくなってしまう人、自分にとって大きな危険が迫っているのかどうか、深呼吸をしてもう一度考える癖を付けてみるとよいと思います。
批判は相手をあまり知らないときにしやすく、批判をすることでトラブルに巻き込まれるものです(SNSですぐにケンカをしてしまう人など)。最近起こった2~3回ぐらいの出来事でそれが全てだと信じてしまう人(最近は若者の凶悪犯罪が増えたなどと決めつけがちな人)。
自分のこれらの言動に気づけると、より事実に即した思考と行動に結びつきやすくなります。「この人は全てを変えることができる人だからみんなで応援しましょう」は、視野が狭い人のセリフ、もしくは聞き手の視野を狭くして誘導している言葉かもしれません。信じる者は救われるという言葉がありますが、過信をして運に任せてしまわず、自分で決断をしていくことをお勧めします。(精神保健福祉士)
基準値超のレジオネラ菌検出 つくば市桜老人福祉センター 1日から利用停止
つくば市は2日、同市栗原、市立桜老人福祉センター内の浴室で、基準値を上回るレジオネラ菌が検出されたと発表した。2日時点で利用者から健康被害の報告はないという。市は1日から浴室の利用を停止した。
市高齢福祉課によると、6月18日に定期的な水質検査を実施し、7月1日、検査を実施した県薬剤師会から基準値(100ミリリットル当たり10CFU未満=CFUはコロニー形成単位=)を上回る10CFUが検出されたと報告を受けた。原因は不明という。
同浴室は毎日60~70人が利用している。お湯は循環式で、毎日入れ替えている。定期水質検査は年3回実施している。
検査結果を受け、市は利用者に連絡の上、体調などを聞き取った。症状がある人には医療機関を受診するよう促す。
1日は定休日だった。つくば保健所が2日、立ち入り検査を実施した。今後は保健所の立ち入り検査結果を踏まえ、保健所の指導を仰いで対応するとしている。
明治の古レール、橋脚の務め終え鉄道遺物に 土浦市立博物館の夏季展示
2日から始まった土浦市立博物館(土浦市中央、糸賀茂男館長)の夏季展示で、明治時代の古レールを転用した橋脚部材が鉄道遺物として紹介された。2025年の土浦駅開業130周年を前に、同館では初めての古レールの保存と展示になったという。
古レール転用の部材は、同市土浦市富士崎2丁目と小松ケ丘町とを結ぶ人道こ線橋、通称「二番橋」の架け替え工事に伴い発生した。NEWSつくばの取材(22年9月24日付)をきっかけに博物館が調査に入った。
二番橋は市道で、土浦駅寄りの一番橋の撤去とセットになった工事が行われ、23年12月に開通(23年12月7日付)した。着工時点では古レールについて記録調査を行う考えはなかった。通常レールの腹部には刻印が押されている。レールの種類、製造年月、製造者名などが分かる。
国鉄常磐線の前身である日本鉄道土浦線が開業した明治28(1895)~29(1895)年に建設された可能性があるとNEWSつくばが照会し、博物館は市道路建設課に調査協力を要請、解体資材の置き場で、適宜な長さに切り出された古レールから製造年などの刻印を調べた。
その結果、大小37本の古レールに刻印が見つかり、製造年が分かるのが11点あった。内訳は明治18年(1885)1点、同19年(1986)3点、同26年(1893)1点、同27年(1894)6点。発注者として日本鉄道を示す「N.T.K.」、官営鉄道を示す「I.R.J.」が確認できた。
日本鉄道発注と見られるレールには「UNION D 1886 N.T.K.」と刻印があった。ドイツのウニオン社が製造元で、製造年は1886年とわかる。明治期のものと判明したことから、博物館では鉄道遺物として保存するため2本のレールにさび止めなどの処理を行い、今回の展示に加えた。
古レールは「軍艦型」と呼ばれた旧土浦駅舎にも構造体として多数使われていたが1980年代の建て替えでは保存されず、今回が初めての資料化という。
ただ、これらの古レールがいつから二番橋に用いられたかは明らかでない。博物館の野田礼子学芸員は「常磐線の土浦-荒川沖間が複線化されたのが大正11年(1922)で、小松丘陵の切り通しもこのとき拡張され、二番橋も架け替えられた可能性があり、古レールもこの時持ち込まれたのたのではないか」という見方をしている。(相澤冬樹)
■土浦市立博物館(土浦市中央1丁目、電話:029-824-2928)夏季展示は9月29日まで。「霞ケ浦に育まれた人々のくらし」を総合テーマに、通年展開する企画の第2シーズンで、古代から近代にいたる各種資料が展示される。八幡脇遺跡(同市おおつ野)で出土した灰釉(かいゆう)陶器の短頸壺(10世紀)や土浦藩士で地理学者の山村才助の著した「西洋雑記」(19世紀)などの展示物をみることができる。入館料:一般200円(税込み)、高校生以下無料
「ロシア凍結資産」の行方《雑記録》61
【コラム・瀧田薫】戦争と経済とは切っても切れない関係にある。戦争当事国の経済力は、ほぼその国の戦争遂行能力と一致する。ウクライナとロシアの経済力を比較すれば、両国の軍事力の差が把握できる。実際に、GDP、軍事費、そして軍事費の対GDP比―この3項目を取り上げて比較してみる。
具体的な方法としては、ロシアによるクリミア半島侵攻の年(2014年)以前の2013年度と、ロシアがウクライナ侵攻を開始した2022年度におけるそれぞれの数字を比較する。つまり、両国の平時と戦時で数字がどう変化するかを見る。(単位は100万US$。出典はGDPはIMF、軍事費は世界銀行。なお「グローバルノート」を参照)
数字は残酷なほどロシアとウクライナの経済力の差を示している。参考までに、ウクライナの軍事費と対GDP比について、侵攻前(2021年)と侵攻後(2022年)の数字を欄外に並べてみた。すると、侵攻が始まった年のウクライナの戦費は平時の約10倍に暴騰していた。米欧の軍事専門家の当時の心境は「てのうちはみつ 叶うべしとも思えず」ということではなかったろうか。
欧米の各国政府、特に米国はウクライナの窮状を救うために一つの原則を定めた。ロシアを追い詰めれば、プーチンは核の使用をためらわず、それが第3次世界大戦につながりかねない。したがって、NATO軍がロシア軍と直接干戈(かんか)を交えることは絶対に避けねばならない。その代わりに、ウクライナに対し武器、弾薬その他の物資を大量に供与し、さらに、ロシアを経済面から攻撃することにした。
制裁は「情報とネットワーク」重視
2022年2月以降、欧米各国は、ロシアに対する経済制裁を矢継ぎ早に打ち出した。「国際的な決済ネットワーク・SWIFTからロシアを排除」「ハイテク製品のロシアへの輸出禁止」「原油や鉄鋼製品などの輸入禁止」「ロシアの資産+オリガルヒの資産凍結」などである。
制裁の中味について注目すべきは、特に米政府において「モノや製品」よりも「情報、データそしてデジタルネットワーク」が重視されたことだ。最近、「武器化した経済」といった言葉をよく耳にするが、そこにも「情報とネットワーク」重視の感覚がある。
有り体に言えば、米政府はクライナ戦争を「武器化した経済」の実験場としている。開発の最終目標は、米中間の覇権争いの舞台にハイスペックな衣装をまとった「武器化した経済」を登場させることである。6月11日、ブリュッセルの主要7カ国(G7)が取り決めた「ロシア凍結資産の活用策」は「武器化した経済」のニューモードを予感させる。(茨城キリスト教大学名誉教授)
パレスチナと青森 刺しゅう通じつくばから連帯
刺しゅうを通じてパレスチナに連帯しようと、市内在住でパレスチナ刺しゅうに取り組む松﨑直美さん(54)と、青森の伝統技法「こぎん刺し」を学んだ林ひとみさん(38)、青森県出身で市内の障害当事者団体「つくば自立生活センターほにゃら」の事務局長、斉藤新吾さん(49)が3月から、一つのバッグに2種類の刺しゅうで絵柄を縫い込むオリジナルのバッグを制作している。
斉藤さんが2人に声を掛けて始まった。「パレスチナにも変わらない営みがあることを、刺しゅうを通じて作品にできればと思った」と斉藤さん。出来上がった作品は、駐日パレスチナ常駐総代表部に寄付したいと話す。刺しゅうは毎回、つくば市天久保のブックカフェ「サッフォー」で行っている。
刺しゅうしながらできるコミュニティ
パレスチナ刺しゅうをする松﨑さんは、3月に市内で開催されたパレスチナ連帯企画「パレスチナデー」(2月27日付)をパレスチナにルーツを持つ知人と主催した。イベント内で開いたパレスチナ刺しゅうのワークショップで、来場した斉藤さんと知り合った。林さんは、斉藤さんが活動する団体でボランティアをしながら、市内の福祉事業所でこぎん刺しを学んでいた。斉藤さんが林さんと松﨑さんに声を掛けたのが今回の企画の始まりだった。
技術的には異なるパレスチナと青森の刺しゅうだが、背景につながる文化があると斉藤さんは話す。「女性を中心に刺しゅうをする人が集まり作業する。そこで家庭の愚痴などをこぼす中で、地域に暮らす人同士がもつ共通の課題が見えてくる。問題を共有することでコミュニティができる。刺しゅうにはそんな役目もある」。
さらに両者に通じるのが、刺しゅうに盛り込まれた人を思いやる気持ちだという。「パレスチナの刺しゅうは農作業着が傷まないよう補強する目的がある。こぎん刺しもそう。青森で農民は麻の着物しか着れなかった。青森はすごく寒いしすぐにボロボロになる。補強や防寒の意味で綿を麻に織り込んだ」。さらに豊作を願う草花や月など、作り手の思いが形になった絵柄が地域ごとの特色になっていると松﨑さんは言う。「絵柄に教科書はなく、祖父母から伝わったもの。だから地域による違いが現れた。パレスチナでは、柄によってその人の出身地がわかった」。
斉藤さんは、青森とパレスチナを刺しゅうで繋ごうとした意味を「共通点を感じると、遠い世界に思える土地にも互いに変わらない人の営みを実感できる。そんな思いを作品できればと思った」と話す。
こぎん刺しを担当する林さんは「パレスチナについて特別な知識のない自分が関わっていいか戸惑いもあった」と当初の思いを振り返る。しかし、刺しゅうしながら思いを伝えると互いの思いを理解し合えたという。「全く関係のない市民が巻き込まれてしまう戦争には私も反対。ただ自分はデモに参加できないし、声を上げることはできないと思っていた。刺しゅうという形なら、自分の気持ちを表せると思った」と話す。
連帯の意思をスイカに込める
今回の企画では、既製の麻製バックに二つの刺しゅう技法で大きく「PEACE(平和)」の文字とスイカの断面を描く。赤、黒、白、緑の4色からなるスイカは、同じ4色で成り立つパレスチナの旗を表するものとして、パレスチナへの連帯の象徴として掲げられてきた歴史がある。
「作業中はパレスチナのことだけを話しているわけじゃない。ただべちゃくちゃ近況をしゃべるだけの日もある。作業を通じてわかったのが、異なる背景を持つ人同士が刺しゅうを通じて出会い、つながりが生まれること。パレスチナでも、青森の農家でも、こうした営みがあったはず。戦争のない世界の本来の姿だと思った。作品が完成するまでに停戦が実現してほしいと思っている」と話すと斉藤さんは、「作業はまだ続きます。ここでも新しいコミュニティが生まれたら」と語った。
◆次回の刺しゅうは7月14日(日)午後3時半から、つくば市天久保のブックカフェ「サッフォー」で。参加費無料。問い合わせは斉藤さんのフェイスブックページへ。
つくば市総合運動公園問題 市民軽視の連鎖《吾妻カガミ》186
【コラム・坂本栄】つくば市の総合運動公園用地問題に新たな展開がありました。市がUR都市機構から購入した広大な用地(46ヘクタール)を民間倉庫会社に売却したことに反対する市民グループの住民訴訟について、一連の裁判が終了したからです。
軽く扱われた市議会の議員
この訴訟は、市が実質所有する土地を議会の議決を経ずに処分するのは地方自治法と市の条例に反するから返却してもらえ、というものでした。これに対し市は、土地は市のものではなく土地開発公社(市の土地取得ペーパーカンパニー)のものだから議決は必要ないと、売却手法を正当化する理屈を展開しました。
この土地は前市長時代に66億円で購入したものです。議会はその資金手当てのために、公社が銀行から借りた購入費の返済を市に保証させる議決をし、市の一般会計から公社に返済資金を回してやる議案を何度も議決しました。このプロセスを見れば、売るときには議会の議決が要らないというのは変な理屈です。市民から選ばれた市議さんは軽く扱われたものです。
市民グループは、市の財産である土地を議会の了解を得ず勝手に処分するのは違法だと、住民訴訟を起こしました(2022年5月20日)。しかし、水戸地裁はこの訴えを却下(23年6月)⇒東京高裁は控訴を棄却(24年1月)⇒最高裁も上告を棄却(24年6月)、有志市民の説得力ある申し立ては退けられました。
最高裁が上告を受理しなかったことについて、市民側は「公社が抱える民主的コントロールの不全という問題に対して、目をつぶる決定を行った」(坂本博之弁護士)、「上告は決着したが、用地問題は決着していない。今後は政治の場で決着を目指す」(原告の酒井泉代表)とコメントしています。
司法は市側の理屈を容認したわけですが、法律的に問題ない=行政として正しい、とは言えません。たとえ議決が必要なくても、議会の議決を得るのが行政の正しい作法でしょう。市民グループの行動は市の無作法を可視化してくれました。
無視された市民のパブコメ
市はどうして議決回避(抜け道)に走ったのでしょうか? 市民の売却反対の声を汲(く)んだ議員の多くが土地売却に反対すると読んだのでしょう。ちなみに、当時の運動公園用地処分をめぐる市民の声は以下のようなものでした。
市はこの用地を民間に売り払う前、市民の意見を聞き取るパブリックコメントを実施しています。その意見分布は、意見を寄せた77人のうち売却賛成は2人だけで、残り75人は反対/対案提示/分類不可でした。賛成か否かに括(くく)れば、賛成した市民はたった3%だったということです。
パブコメで市民から示された対案は、陸上競技場、公園・緑地、キャンプ場、道の駅、カフェ・レストラン、テーマパーク、商業施設、学校、再エネルギー施設、研究所、防災施設などでした。用地の広さを考えると、これらを組み合わせて整備することも十分可能でした。ところが市は、倉庫業者に全用地を売り払い、市民の建設的な提案を無視しました。
コントロールされた有権者
運動公園用地問題の起こりは五十嵐市長の選挙公約です。最初の選挙で市長は運動公園用地返還を目玉公約に掲げましたが、用地売買契約書の中にURは土地の買い戻しを拒否できるとの条項があることが分かり、市長就任早々の返還交渉は失敗に終わりました。
現市長は前市長時代に結ばれた契約内容をよく調べず、1期目の目玉公約をセットしたわけです。この公約の実現可能性はほぼゼロですから、いわばフェイク(虚偽)公約でした。それを信じた有権者は自分の投票行動をコントロールされたことになります。地域の民主政治にとっては深刻な話です。
有権者操作⇒市民意見無視⇒市議会軽視。裁判が終わった時点で運動公園用地問題を整理してみて、つくば市政における市民軽視の連鎖が確認できました。五十嵐市長は失政の痕跡(運動公園用地の存在)をあの手この手で消し去りたかったようです。(経済ジャーナリスト)
<参考>運動公園問題の過去コラム:青字部をクリックしてください。
・152「まだまだ終わらない…」(23年3月6日掲載)
・145「…おかしな行政手順」(22年11月21日掲載)
・137「つくば市長の宿痾…」(22年7月18日掲載)
・135「…つくば市政の不思議」(22年6月20日掲載)
・129「…『逃げ』のつくば市長」(22年3月21日掲載)
・125「…つくば市の牽強付会」(22年1月31日掲載)
・122「…つくば市政の重荷」(21年12月20日掲載)
下肢まひ障害者の自立歩行探る つくばで生活支援ロボットコンテスト
障害があり車いすで生活している人たちの「自立歩行」を実現する機器の開発・普及を目的に、生活支援ロボットコンテストが29、30日の両日、つくば市の廃校跡の特設会場で開かれた。グローバル・イノベーション・チャレンジ(GIC)実行委員会(東京都港区、上村龍文実行委員長)による、同市では2回目の開催で、国内外から2チームが参加して、「食事」や「トイレ」「洗濯」など5課題に挑んだ。
会場となるGICつくばイノベーションセンターは、旧菅間小(同市中菅間)体育館に設置された平屋建ての仮設住宅。キッチンとリビングルーム、たたみ敷のベッドルームに水回りなどの間取りで構成され、壁がガラス張りで透視できる形になっている。
今回は藤田医科大学(愛知県豊明市)を中心にしたチームWPAL(ウーパル)、台湾に拠点を置く企業の子会社の日・台の2拠点からの参加となるチーム FREE Bionics(フリーバイオニクス)が参加。それぞれ股継手やロボット支柱、モーターを両下肢内側に配置し、高い立位安定性を実現(WPAL)、股関節と膝関節にモーターがあり、立つ、座る、歩くことを可能にした(FREE Walk)ロボットを持ち込んだ。
課題「トイレ」は、ベッドから起き上がり、ロボットを装着。トイレに移動し、ズボンを足首まで下ろして便座に座り、用をたした後、便座から立ち上がり、ズボンを上げ、水を流す。洗面所に移動して手を洗い、タオルで手を拭きベッドに戻るまでを制限時間8分でこなす内容だ。
下肢まひの障害を持つ当事者がパイロット役を務め、車いすからロボット装着に乗り換える形で住居内を移動する。住宅の天井から装身具が吊るされ、パイロットの転倒事故を防ぐ配慮が講じられるが、各チームの人力による補助は得られない。両チームとも事前に、同センターで練習を重ねながら、日常の生活動作をこなす一連の課題に取り組み、コンテストに臨んだ。
同コンテストは2021年からリモート競技により始まり、昨年から同会場での「リアル開催」になった。課題ごとに達成賞金が贈られ、7つの課題をすべてクリアした場合の賞金総額は100万ドル(約1億6000万円)、「トイレ」課題1つの達成でも5万ドル(約800万円)が授与される。今回は難易度の高い「掃除」(掃除機で住宅内を掃除しごみ袋を外に出す)、「入浴」(入浴して着替える)の2課題への挑戦は見送られたが、5課題に2チーム合わせ9回のチャレンジが行われた。
昨年は1課題のクリアにとどまったが、今回は各課題で制限時間内に作業を完了させるチームが続いた。ロボットとリハビリテーションの専門家による現地審査が行われ、オンライン審査と合わせた結果から課題クリアの認定が行われる。上村実行委員長によれば「審査には1週間程度かかるが昨年を上回る成績が出そうだ」との見通し。
FREE Bionicsチームリーダーの江郁軒(コウユウケン)さんは「時間制限がきつくパイロットに頑張ってもらうことになった。機能を付け足しながら安全性にも取り組んできたがまだ改良すべき点がある。機会を与えてもらえれば来年もチャレンジしたい」という。
上村実行委員長は「7課題については10年ぐらいかけてクリアできればと考えている。次のステップでは街に出たいと考えており、最後には自立歩行で筑波山に登りたい」構想でいる。(相澤冬樹)
夏に向けチーム状態上向き アストロプラネッツ、福島に勝利
プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは29日、つくば市流星台のさくら運動公園野球場で福島レッドホープスと対戦、4-1で勝利した。茨城の通算成績は10勝19敗で7チーム中5位。6月はここまで3勝3敗で中止が3試合だった。30日は古河市駒ケ崎のヨシダスタジアムで福島と再戦する。
【ルートインBCリーグ2024公式戦】茨城アストロプラネッツ-福島レッドホープス福島 010000000 1茨城 20010010X 4(6月29日、さくら運動公園野球場)
茨城は先発の福田拓也が6イニングを好投。2回に単打と二塁打で1点を失い、3回に1四球を与えた以外は、すべて三者凡退で退けた。「真っ直ぐのキレが良く、変化球ではフォークをコーナーに投げ分けられた」と本人の評。ポップ成分が多く伸びがあるストレートが武器で、ボールの下を叩かせて多くの打者をフライアウトに打ち取った。「相手打線は中軸に良い打者を揃えているので、甘い球を投げないことを意識し、腕を振って強い球を投げた」とも話した。
打線は初回に2点を先制。まず1死一塁から牽制悪送球で走者の北原翔が三塁へ進み、3番の原海聖が左翼線へ二塁打を放ち1点目。「相手投手はカーブにキレがあったが、直球に自信を持っている様子だったのでそれを待ち、高めの球を外野へ運ぶことを意識した。ちょっと詰まったかと思ったが、振り抜いて強いライナーを打つことができた」と原の振り返り。
これで相手投手はリズムを崩したか、3者連続四死球となり押し出しの1点を加えた。
4回には先頭の8番マーティンが四球を選び、9番ジョ・ミンヨンが中越えの二塁打。これを中堅手がファンブルする間にマーティンが本塁へ還り、ジョは三塁へ到達した。「2ストライクまではバントを狙っていたが、最後にストレートが来て良い打球が打てた。自分は打球の飛距離と打球速度が売り。最近はタイミングが合ってきているので、このままあせらずやっていけば、ずっと良い打球が打てると思う」と活躍をもくろむ。
7回には代打の眞城敬朋が右翼線へ二塁打、原の内野ゴロで1死三塁となり、4番・大友宗が右翼への犠牲フライで1点を追加した。「打ったのはカーブ。芯に当たらず詰まったが外野まで飛んでくれた」と大友。帝京大学から日本通運を経て今季茨城へ。ホームランは現在8本でリーグ首位へあと1本と迫る。「開幕直後に肉離れで3週間休んだが、徐々に調子を戻してきた。打席で自分のスイングができれば、パワーはあるので飛ばすことができる。引っ張りすぎないようセンターを意識し、右方向へのホームランも増やしていきたい」との考えだ。
リリーフ陣は富樫晃毅、浅野森羅、根岸涼が1イニングずつ務め、根岸にセーブポイントが付いた。「試合間隔が空いて3人とも万全の状態で、危なげなく力を発揮してくれた。いい雰囲気が続いているのでそれを崩さないよう、勝つための投手リレーをした」と巽真吾監督。
上向きのチーム状態に加え、開幕前からのトレーニングが実を結び、暑さに強いチームづくりができている。このまま夏バテせずに伸びていけば、7・8月でさらに勝ち星を重ねられると巽監督は見ている。「そのためには若い選手たちの突き上げも必要。長いシーズンに慣れていないと、その日の結果で一喜一憂してしまいがちだが、明日にはまた次のチャンスが来る。試合に出てたくさんバットを振り、時には辛抱して塁に出るのも仕事の一つ。そして甘い球が来たときには1球で仕留めてほしい」と期待をかける。(池田充雄)
あの痛みは突然やってくる…尿路結石症《メディカル知恵袋》5
【コラム・小峯学】尿路結石症、中でも尿管結石症は七転八倒して嘔吐(おうと)・発汗などの自律神経症状も伴い、救急車で来院される方も珍しくありません。「あんな思いはもうしたくない」「死ぬかと思った」と多くの方がおっしゃいます。今回は上部尿路結石症(腎および尿管)の診断と治療、原因と予防法について説明します。
尿路結石症の症状と診断
腎結石・尿管結石の症状としては、突然に片側のわき腹や背中が痛くなることが多く、時に血尿を伴います。このときの激痛は『疝痛発作(せんつうほっさ)』と呼ばれ、嘔吐・発汗などを伴い、胃腸の病気と間違われることもあります。結石が膀胱(ぼうこう)近くまで、あるいは膀胱内に移動すると、トイレが近いあるいは残尿感といった膀胱炎症状が出現することもあります。
一方、無症状で、他の疾患の検査や人間ドックなどで偶然発見されることもあります。症状がない場合でも、結石が尿の流れを止めてしまって、腎臓が腫れる『水腎症』とよばれる状態になると、腎臓機能低下を引き起こすため治療が必要となります。
医療機関での検査は、主に尿検査や超音波検査・レントゲン検査が行われます。CTスキャンが必要になることもあります。
上部尿路結石症の治療
結石が薬物治療によって溶解することは特殊な場合に限られ、非現実的です。おおむね8ミリ程度までは尿と一緒に自然に体外に排出されることが期待できるため、水分摂取を心掛け、痛みを伴う場合には鎮痛剤を服用することになります。自然排石しない場合や10ミリ超の結石の場合には手術的治療が推奨されます。
38度以上の発熱を伴う場合には、重篤な細菌感染症(閉塞性腎盂じんう腎炎→敗血症)を併発している危険性があり、この場合には緊急処置や集中治療が必要になります。手術的治療としては、開腹手術・腹腔(ふくくう)鏡下手術はほとんど適応とならず、以下にご紹介するESWL・TUL・PNL(併用含む)が診療ガイドライン上、推奨されています。
ESWL(体外衝撃波結石破砕術)
体外から衝撃波を結石に当て結石を破砕する治療です。鎮痛剤投与による治療が可能で1~2日の短期入院治療で行えるメリットがあります。1センチ程度の腎および上部尿管の結石が適応となりますが、2~3回の治療を要することもあります。当院にはESWL機器はなく、ご希望される方には対応可能な施設へご紹介しております。
TUL(経尿道的腎尿管砕石術)
細径の内視鏡を尿管内に入れ、結石に直接ホルミウムレーザーなどを当て細かく砕石、可能な限り砕石片も回収する治療です。麻酔および数日の入院が必要となりますが、確実性の高い治療となります。治療後には尿管ステントという細いカテーテルを留置して、1~2週後に外来で抜去となります。治療機器および高度の技術が必要で、数年前までは他の施設へ紹介しておりましたが、現在では当院でもTULが可能となり、多くの施設よりご紹介いただいております。
PNL(経皮的腎砕石術)
背中から腎臓に内視鏡のルートを作成して、直接腎臓の結石を砕石して回収する方法です。他の治療法では時間および期間を要する大きな結石も短時間で治療可能ですが、出血などのリスクがあります。腎臓へ直達できる特殊な内視鏡機器が必要であり、整備され次第、速やかに導入したいと考えております(時期は未定)。
上部尿路結石症の疫学と予防
誰しも結石の痛みは経験したくないものですが、上部尿路結石症の患者さんは急増しています。いわゆる生活習慣病の増加と比例しています。肥満の方に多い傾向であることもわかっています。40年前の3倍となっており、男性は7人に1人、女性は15人に1人の割合で、生涯に一度は尿路結石症に罹患するといわれています。
また、再発率の高い疾患でもあります。尿のミネラル濃度が濃くなると結石ができやすくなるので、水分摂取を心掛けて十分な尿量を確保するとよいでしょう。しかし、ビールなどのアルコール類、糖分入りのソフトドリンクは結石のもとになる成分が多めに含まれており、逆効果になってしまいます。
最も多い尿路結石はシュウ酸カルシウム結石であり、尿中のシュウ酸排せつを少なくすることが結石予防において重要です。シュウ酸はカルシウムと結合しやすいため、不足しがちなカルシウムを意識して摂取し、腸管からのシュウ酸吸収を抑制すること、また脂肪摂取を少なくすることもシュウ酸吸収の抑制につながり、結石の予防となります。
次に多い結石が尿酸結石であり、尿酸値が高い「痛風(高尿酸血症)」の方にできやすい結石です。プリン体を多く含む食品を過剰に摂取すると尿酸値が高くなり、尿中の尿酸濃度も濃くなるため結石ができやすくなります。これらの食品摂取を控えることが高尿酸血症の予防、ひいては尿酸結石の予防につながりますので心がけてみてください。(筑波メディカルセンター病院 泌尿器科 診療科長)
