火曜日, 4月 7, 2026

平和の象徴「アンネのバラ」 《令和楽学ラボ》18

【コラム・川上美智子】ロシアによるウクライナ侵攻から3カ月。戦闘が長期化し、終わりが見えない深刻な状況になっています。21世紀。平和が当たり前のようになっている日本では、戦場の悲惨さは写真やテレビを通じてしかわかりません。 昨年、国際ロータリー第2820地区(茨城県)では、高校生や大学生を対象とする研修で、平和の大切さを考えてもらうため、戦場カメラマンの渡部陽一さんにZoomで講演してもらいました。写真の中の紛争地域の子どもたちの悲しい目や、被害を受けた女性や子どもの悲惨な姿に思いをはせ、ロータリーが目指す恒久的平和と人道支援の大切さを学ぶ機会となりました。 我々、第2次大戦直後に生まれ、戦争の無い恵まれた時代に人生を送れた世代は幸せです。子どもたち、孫たち、そして子々孫々が、日本を決して戦場にしないよう願ってやみません。 私が勤務していた茨城キリスト教大学(日立市)にも、命の尊さと平和を象徴するアンネ・フランクのバラがあります。5月に満開となり、赤、黄、ピンクと開花とともに色を変えていきます。アンネの父親オットー・フランクが、野バラが好きだったアンネの形見として、友人から譲り受けたこのバラに、「Souvenir d'Anne Frank(アンネの形見)」と名付けました。 先日、久しぶりに大学を訪れ、教会のキアラ館の前に咲くアンネのバラに出会いました。茨城キリスト教学園では、平和を願い、このバラの花を広く知ってもらうため、接ぎ木をして育て、毎年、県内の養護施設、保育園、幼稚園、小中学校に贈っています。その先は400施設に上ります。 園児たちに平和の大切さを語り継ぐ つくば市鬼ヶ窪の「みらいのもり保育園」でも、2年前に苗木をもらい育てましたが、残念ながら枯らしてしまいました。今年、このバラを育てていた、つくば市議の方とご縁があって、苗木を分けてもらい育て始めました。園児たちに平和の大切さを語り継げられるよう、今度こそ大切に育てます。また、我が家の庭でも育てたいと思っています。 さて、ウクライナのことでは、避難民支援について茨城県国際交流協会から声がかかり、茨城キリスト教大文学部現代英語学科でウクライナ出身のジャブコ・ユリア先生が教鞭(きょうべん)を執っていることもあり、県と大学が連携するお手伝いをしました。 また、茨城キリスト教大は、ウクライナのイワン・フランコ記念リヴィウ国立大学と留学提携を結んでいます。今月、ヨーロッパを経由してようやく留学生が1名、日本に到着しました。彼女は平和な日本で勉学を進められる幸せを感じていることでしょう。今後は日本とウクライナ復興の架け橋になってもらえればと願っています。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園長)

昼夜兼行の100キロウオーク つくばりんりんロードで3年ぶり

3年ぶり開催の「つくばりんりんロード100キロウオーク」が28日始まった。同日正午、発着点となるつくば市沼田の筑波休憩所(旧筑波鉄道筑波駅)をスタートし、桜川市と土浦市にまたがる全長100キロのコースを24時間以内で完歩をめざす大会。約270人が参加した。 同大会は4月半ばから、しおや(栃木)、ぐんま(群馬)と連続して行われる「北関東300キロウオーク」のトリを務める大会。昼夜兼行の100キロウオークを3大会連続でこなす猛者(もさ)も少なくない。 つくばは同ウオーク大会実行委員会(今井修二委員長)主催で2016年から開かれているが、コロナ禍のため20、21年と中止。今回は、事前に「体温測定・体調管理」記録を取るなど、感染予防対策を徹底して開催に漕ぎつけた。参加者の年齢構成が比較的高めなこともあって、19年大会の約300人規模から減じたが、エントリーは北海道から福岡県まで広く集まった。 新型コロナ対策から開会式もなく、参加者は正午からフリースタートで三々五々歩き出すスタイル。「100キロウオークは自分との戦い、完歩を目指すもので順位を争う大会ではない」と実行委員長の今井修二さん(73)=筑西市在住。「エイド」と呼ばれる休憩所兼チェックポイントが3カ所に設けられ、実行委員やボランティアが水分や栄養補給の支援に当たった。 前日の雨から一転、好天に恵まれて、筑波山は青空の下、深緑が鮮やかさを増した。おかげで気温も一気に上昇。木陰の多いりんりんロードとはいえ、多数繰り出したサイクリストにあおられる形で、歩くピッチも早まり、「走らないでください」の注意が飛んだりする。 午後3時すぎ、つくば市小田を折り返し筑波休憩所までの第1ステージをトップで戻ってきたのは草加市(埼玉)の阿部倶久さん(69)、しおや大会に続く参戦で、「このコースは平坦で歩きやすい」と感想。「もう24時間歩き詰めは無理なので15、6時間歩いてあす未明にはゴールしたい。ひとまず第1ステージを先頭で通過の目標は達成できた」と汗をぬぐった。 29日午前4時ごろには最初の完歩者がゴールしそうだが、順位による表彰はない。同日午後1時までにゴールすると「完歩賞」が出るが、3大会完歩の表彰式も行われないそうだ。 今井委員長によれば、つくばウオークは「北関東300キロウオーク」のなかで最後発だけに、一層の盛り上げを図りたいという。このため「大会本部に旧筑波東中を使いたいと申し出たが市教育委員会から色よい返事をもらえなかった。実行委員の中につくば市民が1人もいないなど、さびしいところもある。さらにアピールしていきたい」と新たな一歩を踏み出そうとしている。(相澤冬樹) 【追記】大会は29日午後、スムーズに終了した。事務局まとめでスタートの参加者270人、ゴール190人、完歩率は70.37%だった。北関東三大100キロウオーク大会完歩者は72人いた。

聖地・土浦にパトレイバーのデザインマンホール 来年2月完成

アニメ「機動警察パトレイバー」の聖地、土浦市が、市内15カ所のマンホールのふたをパトレイバーのデザインマンホールに変える。15カ所すべて異なるデザインとなり、アニメのキャラクターやロボットがカラーで登場する。 完成は来年2月末の予定。設置場所は、JR土浦駅から亀城公園周辺約1.1キロ間の歩道などを検討している。市中心市街地の名所や観光地近くに設置するなど、訪れた人が市内を歩き回れるよう回遊性を高めて設置する。 パトレイバーは歩行式の作業ロボット「レイバー」が普及する近未来の東京を舞台に、警視庁レイバー部隊の活躍を描くアニメ。土浦はレイバー部隊の敵役で、驚異的な性能をもつメカ「グリフォン」が製造された土浦研究所があるとされ、ファンの間で聖地となっている。 ファンの来訪を期待 同市は今年1月14日から2月13日まで「機動警察パトレイバー30周年突破記念 in土浦『TV-劇パト2+』展」(1月13日付)を開催した。北海道や九州など全国から約3100人のファンが訪れるなど盛況で、グッズなど売り上げは約700万円だった。 デザインマンホールの企画を担当する市政策企画課の奥山成俊さんは「パトレイバーは作品発表から30年たっても根強い人気がある。企画を一過性で終わらせず、コロナ禍で弱まった観光を、国の地方創生臨時交付金で活性化したいと考えた」と話す。 アニメキャラクターなどのデザインマンホールを製作し観光客が増えている自治体があることを知り、パトレイバーの版元やマンホール製作会社と話し合い、製作をすることになった。市ではデザインマンホールの設置で、土浦を訪れるファンやマンホールマニアが増えることを期待している。 デザインマンホールは、樹脂で作ったプレートを既存のマンホールのふたにはめ込んで固定する。従来の鋳物タイプのマンホールに比べて、写真のようにリアルで鮮やかになるのが特徴だ。 15種のデザインは、これから版元と話し合って決めるという。パトレイバーのアニメやオリジナルビデオ、劇場版などから、ロボットやキャラクターを作成する予定だ。背景には土浦ならではの風景を入れるなどを検討しており、アニメの世界観を壊さないように配慮する。 グッズ、スタンプラリー、カードも検討 マンホール完成に先駆けて、グッズの再販も検討している。グッズは、土浦市庁舎1階きらら館や、土浦市観光協会・土浦まちかど蔵「大徳」(同市中央)で販売する。マンホール完成後は、マンホールを巡るデジタルスタンプラリーも実施する。 マンホールカードの製作も順次行っていく。奥山さんは「マンホール完成時にも何かイベントできたらと考えている。完成後も何度も土浦を訪れてもらえたら」と語る。(伊藤悦子)

みんなで楽しく田んぼづくり 《宍塚の里山》89

【コラム・阿部きよ子】私たち「宍塚の自然と歴史の会」では、1995年から里山の中の休耕地となった谷津田で稲作りを開始し、1999年以降、子どもから大人までを対象とした「田んぼ塾」を開いてきました。そして、2015年からは、新たな稲作方法を研究開発する「自然農田んぼ塾」と子ども中心の「田んぼの学校」に分かれて、谷津田の稲作に取り組んできました。 田んぼの学校は、年度ごとに家族単位で「生徒」を募集し、①稲作と稲作に伴う伝統文化を学ぶ食農教育、②里山の自然や田んぼの環境について学ぶ環境教育―をしています。 今年度は、定員越えで数家族お断りしましたが、33家族で発足しました。豊かな生態系を持つ宍塚の里山の入り口の休耕田を地主さんからお借りし、機械化以前の方法で、肥料は米ぬかだけ、完全無農薬で稲を育てています。伝統行事の「ならせもち」用に、白、赤それぞれ1種類の餅米の品種と藁(わら)細工用の品種を栽培しています。 子どもが田植えや稲刈りに参加する「田んぼの学校」は各地にありますが、私たちの学校には、以下のような特色があります。 a.子どもも大人も主体的に取り組む、b.種まきから食べるところまで継続して稲と関わる、c.里山の四季の変化の中で感性や知性を駆使し、自然環境を体験しながら学ぶ、d.毎回、作業の意味や稲作の変化について学習し、日誌もつけ、ときには「宿題」もする、e.経験も知識も出身地も異なる老若男女、大人子どもが交流し学び合う―。 子どもは泥んこを楽しむように 参加者が増え、出席率も高いので、種まき、しろかき、田植え、草取り、稲刈り、脱穀(足踏み脱穀機使用)と選別(唐箕=とうみ=)などの作業は、5~6回に分けて実施しています。かかし作りの竹の準備、かかしとお別れする「かかし送り」、正月の伝統行事「ならせもち」(昨年度は餅の代わりに紅白団子を枝につけました)などは、担当係の家族を中心に、準備から片付けまで皆で取り組んでいます。 子どもも大人も、よく働き、よく学びます。最初は泥に入るのが怖くて泣いた子も、他の子の様子を見ながら勇気を出せるようになり、泥んこを楽しむようになっていきます。泥だらけの服を自分で井戸水で洗って着替える子もいます。 子どもたち同士が刺激し合いながら、頼もしい働き手になっていく姿から、親たちもスタッフもエネルギーをもらっています。昨年度は「トム・ソーヤスクール企画コンテスト」に応募し、努力賞をいただきました。 コロナ禍で、皆が一同に集まる機会が減ったこともあり、HP担当の親御さんたちが、作業や行事の様子がわかるHPと、子どもたちの日誌や絵のHPを開いています。皆さまも、私たちの会の田んぼの学校のページを開いてみてください。大人のスタッフはすべて無償ボランティアですが、随時募集中です。(宍塚の自然と歴史の会 会員)

「体育はマスク不要」通知に つくばの学校現場は半々

学校現場でのマスク着用について、文部科学省は24日、体育の授業はマスク不要との通知を出した。学校現場はどう受け止めているのか。文科省の通知が出された直後、屋外で運動会の練習に取り組むつくば市内の小学校を訪ねると、マスクを着用する子と外す子は半々だった。 新型コロナウイルス対策をめぐる24日の文科省通知は、体育の授業は屋外に限らずプールや屋内の体育館でもマスク着用の必要はない、運動部の活動も体育の授業に準じる、熱中症リスクが高い夏場の登下校時はマスクを外すーなど。ただし実際の運用に当たっては地域の実情に応じたものとし、マスク着用を希望する児童生徒に対しても適切な配慮が必要だとしている。 文科省や県の通知を受けてつくば市教育局は翌25日、市内の各小中学校などに対し、体育の授業はマスクの着用は必要ないなどの連絡をした。 強制はできない つくば市松代の市立手代木南小学校(澤邉芳幸校長、児童数354人)は来月4日にコロナ禍3年目の運動会を予定している。取材に赴いた26日、6年生が運動場で運動会の練習をしていたが、マスクを着けた子と外した子は半々だった。 これまでも感染対策の学校衛生管理マニュアルで、体育の授業ではマスクの着用は必要ないと示されている。今回、より具体的に強調された格好だが、澤邉校長は「コロナが収束していないし、保護者の考え方もあって強制はできない。体育の時間はマスクを外してもいいよ」と指導することにしている。また「マスクを外したくない子もいるようだ」と話す。 熱中症と感染対策の両方 運動会本番では熱中症対策と新型コロナウイルス感染対策の両方を講じる予定だ。熱中症対策のため、校庭に16張りのテントを設営して全児童が日差しを避けられるようにする。競技中はマスクを外すが、テント下でマスクを着けて応援する際は大きな声を出さずに拍手でエールを送るよう指導している。 また児童たちの間隔を十分に確保するために入場と退場の位置を分けたり、保護者席を2カ所設けて密を避けるなどの対策を講じる。 コロナ禍での熱中症対策として広がっているのが「半日運動会」だという。同校でも開催規模を短縮して気温が上がらない午前中に開催する。弁当はない。競技者の距離が近い綱引きなどの団体競技やPTA種目、児童によるダンス種目は姿を消し、同校の伝統、6年生による南中ソーラン踊りが披露されるという。 10代以下の割合高く心配 保護者の受け止めはどうか。小学6年生の娘を持つ同市茎崎地区在住の40代の母親は、県内の新型コロナ感染者は10代以下の割合が依然高いことを心配し、「言い聞かせても子どもたちの身体的距離は近くなりがち」とした上で、脱マスクの流れに不安を見せた。 素顔恥ずかしい 子供たちには、マスクを外したくない別の心理も働いているようだ。2年以上に及ぶ長期のマスク着用でマスクをしていることが常態化し、素顔を見せることを恥ずかしがる子どももいる。市内の小6の女子児童は「マスクをしていると安心できる。ないと外に出られない」と話す。 今春高校生になった市内の女子生徒は「高校に入学したときからずっとマスクを着けているので、友達に素顔を見せるのは恥ずかしいし、素顔を見たことのないクラスメートも多い。マスクは外したくない」と言う。 外したくないのは思春期を迎えた男子も同様だ。市内の中学2年の男子は「週に何度かひげをそらないとまずいが、マスクで隠れるから楽」と話している。(橋立多美)

幻の「筑後氏」から脱し、正しい「小田氏」に 《ひょうたんの眼》49

【コラム・高橋恵一】土浦市立博物館の特別展「八田知家と名門常陸小田氏」(3月19日~5月8日)では、小田氏の初代・八田知家(はった・ともいえ)が「八田氏」から「筑後(ちくご)氏」に名乗りを変え、「小田氏」を名乗るのは、4代目の時知(ときとも、1250年ごろ)からと説明されていました。 私は、八田氏の名乗り(今でいえば苗字)を「筑後」に変えたとする説明は誤りと思うから、訂正すべきだと、特別展前に博物館宛てに出した文書、それから本コラム47(4月20日掲載)で指摘しました。しかし、博物館の本サイトへの「お応え」寄稿(4月27日掲載)では誤りでないとの論拠が示されず、特別展のシンポジウム(5月1日)でも、参加者から質問があったのに、「筑後の件は置いておく」と、取り上げられませんでした。 博物館などが「八田知家」が「筑後」に名乗り(苗字)を変えたとする根拠は、歴史書「吾妻鏡(あずまかがみ)」の中の記述で、知家の子供たちが「筑後太郎」「筑後六郎」などと名乗ったとしていることです。 吾妻鏡の人名表記は、名(苗)字に太郎とか七郎などの生まれ順ないし家における順序が示され、さらに実名からなるのが基本とされ、八田右衛門尉(うえもんのじょう)知家、北条小四郎義時(ほうじょう・こしろうよしとき)、結城七郎朝光(ゆうき・しちろうともみつ)などとされています。さらに、本人が五位以上の(朝廷が任ずる)官職に就くと、官職名だけとなり、相模守(さがみのかみ=北条義時)、筑後守(八田知家)などと表記されています。 その子息たちは、親の官職名の後に、名字を省略して、自分の官職や通称と実名が表記されています。北条泰時(やすとき、義時の嫡男)は相模(さがみ)太郎、八田知重(ともしげ、知家の嫡男)は筑後左衛門尉(さえもんのじょう)知重、結城朝廣(ゆうき・ともひろ、上野介朝光=こうずけのすけ・ともみつ=の嫡男)は上野七郎左衛門尉朝廣などと表記されています。 いずれも、吾妻鏡の編者が、多くの御家人の人名を記述するにあたって、家系や官位などを整理・判読できるように、ルールに従って記述したと考えられます。つまり、筑後左衛門尉知重、の「筑後」は「筑後守の子息の…」という意味であり、名字を表記しているわけではありません。「相模」太郎も「上野」七郎左衛門尉朝廣も同じ表記ルールです。 「筑後氏」の採用は各種の歴史にも影響 さらに、吾妻鏡の成立は、源氏3代の将軍記が1270年代前半、それ以降の将軍記は1300年ごろとされており、八田氏が名字を変えたとされる時期から70年後にならないと、「筑後知重」という表記は見ることができないのです。名乗りを変えたとする知家は、「筑後」を子息の名乗りの前に表記されることを、いつ認識できたのでしょうか? 今回の特別展やその際に出された図録では、発掘調査の結果、小田城あるいは居館が八田知家の時代に小田に存在したことを否定できない、と報告されました。知家が建立したとされる極楽寺も同様です。小田を名乗ったのは4代目時知からとされる根拠の宝治合戦(ほうじがっせん、1247年)での3代・泰知(やすとも)失脚説も、誤りの可能性が大きいとされました。 近年のつくば・土浦地方の市町村史や歴史展示では、「筑後氏」説の採用を受けて、小田城と八田・小田氏の登場を、従来の通説より70年ほど遅れた年として説明しています。これは鎌倉時代の約半分の年数になり、考古学や交通史、文化史、宗教史などにも影響を与えます。幻の「筑後氏」から脱し、出版物や展示などが訂正される必要があります。(地図と歴史が好きな土浦人)

来季に意欲 茨城ロボッツがつくば市長を表敬訪問

水戸、つくば市を中心に茨城県をホームタウンとする、プロバスケットボールBリーグ1部(B1)、茨城ロボッツの西村大介社長と福澤晃平副主将が26日、五十嵐立青つくば市長を表敬訪問し、初のB1リーグ挑戦となった今季の成績を報告した。 ロボッツの今季最終成績は16勝38敗で東地区11チーム中10位。コロナ禍により6試合が中止になった。今季は降格が行われないため、来季もB1で戦うことが決まっている。ロボッツは、つくばをチーム発祥の地=マザータウンと位置付けており、市内の小中学校体育館などでスクールを開講。こうした特別な絆を基に、つくばのバスケットボールの活動を下支えしている。 五十嵐市長は、3月26日につくばカピオアリーナで開催されたサンロッカーズ渋谷戦を観戦した。感想として「シーズン当初は苦しかったが強くなり、成長した姿を見せてもらった」と語った。これに対し福澤選手は「最初は体の当たりなど(B1は)フィジカルが全く違うと思ったが、練習からレベルが上がり、しっかり戦えるようになった」と答えた。 西村社長は「ウイニングカルチャーが育ってきた。最後まで諦めない気持ちはBリーグでも1、2を争うと評価されている。バスケは攻撃する側が圧倒的に有利。最大18点差が1分少々でひっくり返ることもあり、最後までどうなるか分からない」と話し、サッカー経験者でもある五十嵐市長は「メンタルの影響はサッカー以上に大きそう。見ている方はハラハラする、面白いスポーツだ」と応じた。 また西村社長は「来季は降格制度が復活するため、負けるわけにはいかない。戦力の補強に加え、既存の選手のレベルアップも必要。さらに新B1=メモ=への参入に向けた審査も来季から始まる。それにはまずB1で優勝争いを演じるくらいでないと」と、来季に向けて意欲を燃やした。(池田充雄) 【メモ】2026-27シーズンから導入が予定されている新B1リーグは、順位による昇降格ではなく、入場者数、年間売上高、アリーナ基準の3要件を満たしたチームだけが参入できる。特に厳しいとされているのが、平均入場者数4000人をクリアすることだ。現在、ロボッツのホームゲームにはアダストリアみとアリーナ(水戸市緑町、収容人数5000人)のほか、かみす防災アリーナ(神栖市木崎、5000人)、池の川さくらアリーナ(日立市東成沢町、2632人)、つくばカピオアリーナ(つくば市竹園、2728人)の3カ所が使われている。

自動配送ロボット、スーパーの商品を配達 つくば駅周辺で28日から

無人運転の自動配送ロボットが、つくば駅周辺のペデストリアンデッキ(遊歩道)など公道を自動運転で走行し、食品スーパーの商品を自宅前まで配達するサービスが28日からつくば駅周辺で始まる。 楽天グループ、パナソニック・ホールディングス(HD)、西友の3社とつくば市が、7月30日までの毎週土曜日、計10日間実施する。同市竹園の商業施設デイズ・タウン内の西友つくば竹園店の商品を配送する。 自動配送ロボットが公道を走行して配達するのは、楽天など3社が今年3月と4月に神奈川県横須賀市で実施したのに次いで全国2カ所目という。 つくば市では、西友つくば竹園店から約850メートル範囲内の、ペデストリアンデッキに面した吾妻1~4丁目と竹園1~3丁目のマンションや一戸建て住民など約1000世帯が対象となる。 生鮮食品、冷蔵・冷凍商品、弁当、惣菜、日用品など約2000点の中から注文することができる。配達時間を指定できるほか、注文から最短30分で届けることもできる。配達手数料は1回110円(消費税込み)。商品の受け取りは、自宅前の公道に出てロボットから取り出すことが必要になる。 道交法改正見据え 楽天が、自動配送ロボットやドローンによる配送サービスを行うために開発したスマートホン向けの専用注文サイトから注文する。支払いは楽天ペイのみ。 少子高齢化により配達員が不足する一方、配送ニーズは増え、配送コストが上昇すると予測されること、現在開会中の国会で道路交通法の改正が審議され、来年から自動配送ロボットなど遠隔操作型小型車の運行が現在の許可制から届け出制になるなど、自動配送ロボットの公道走行が加速するとみられることなどを見据えた。 将来は、街のレストランの食事を配達したり、楽天が運営するインターネットショップの商品を配送することなども想定しているという。 さらにつくば市が「スーパーシティ」特区に指定され、荷物搬送ロボットによる配達が事業の一つになっていること、つくば駅周辺に安全性が高いペデストリアンデッキが整備されていることなどから、今回、つくば市でサービスを実施する。 自動配送ロボットはパナソニックHDが開発した「クロスエリア ロボ(X-Area Robo)」で、高さ115センチ、長さ117センチ、幅65センチ。車体の色は赤で、商品を入れる容量は114リットル。 あらかじめつくば駅周辺を走行して作った地図データをもとに、センサーやカメラで安全を確認しながら、歩く速さとほぼ同じ時速4キロで自動走行する。同時に、つくば市から約60キロ離れた東京都中央区にある遠隔管制システムで、遠隔監視や操作をして安全を確保する。 車両は原付バイクと同じ扱いで、運行のため道交法上の道路使用許可を取り、遠隔操作による道路運送車両法の保安基準緩和の認定を受けた。万が一事故が発生した場合は遠隔操作者が責任を負うことになるが、これまで公道での事故はゼロという。 時速4キロでペデを走行 26日、楽天グループ・コマースカンパニーの向井秀明ジェネラルマネージャーと、パナソニックHD・モビリティソリューション部の東島勝義部長らが記者会見し発表したほか、同市竹園のデイズ・タウン前から吾妻のマンション前まで、自動配送ロボットが実際にペデストリアンデッキを走行するデモンストレーションを実施した。 デイズ・タウン前のペデストリアンデッキでは、商品を積み込んだ自動配送ロボットが「通ります」などの音声を発しながら出発、保安監視員として、つくばまちなかデザインのスタッフがロボットの後を付いて歩いた。つくば市での配送では毎回、保安監視員が後を付いて歩くという。 途中、人が前に現れると停止したり、「お先にどうぞ」と音声を出しながら、約15分間走行し、吾妻のマンション前で停止した。注文者には、現在ロボットがどの場所を走行しているか通知されるほか、到着時間直前にも通知される。吾妻のマンション前で商品を受け取ったパート、藤沢直子さん(44)は「自宅で仕事をしており、仕事や子育ての合い間の時間に商品を取りに受け行くだけでいいので便利」などと話していた。 つくばでのサービスでは、走行の安全性や利便性のほか、配送手数料はいくらが適正かなども検証するという。 ◆つくばでの配送は1台の自動配送ロボットが行う。配送日時は5月28日(土)から7月30日(土)までの毎週土曜日、1日8便まで。

絵になる散歩、鎌倉の養老先生、洞峰公園の市民《遊民通信》41

【コラム・田口哲郎】 前略 先日、最近話題の洞峰公園(つくば市二の宮)を散歩しました。遊歩道が、洞峰沼、野球場、サッカー場、テニスコート、子ども広場、温水プール、体育館の周りを巡っています。広々とした良い公園です。先日このコラムでも、都市の中のこの公園にも「自然」があるのだと書きました(3月24日付)。さて、今回はつくば市での「散歩」について考えたいと思います。 2020年から1年近くNHK・BSで放映された「まいにち養老先生 ときどき まる」は『バカの壁』で有名な解剖学者養老孟司さんと18歳の愛猫のまるののんびりとした暮らしを紹介するドキュメンタリーです。 養老先生は鎌倉に住んでいます。まるは老猫なので、先生の家の庭から外に出ませんが、養老先生は毎日散歩します。谷が多い鎌倉は起伏が多く、高齢の先生が歩くのは大変そうですが、風情のある坂をゆっくり登ります。先生の行く先は建長寺や覚円寺などの古いお寺です。 年季の入った木造のお堂で宗教観を語ったり、苔(こけ)に覆われた古い墓場をめぐって死生観を語ったりします。時には、奥さまと二人、近所のおしゃれなモダン中華のレストランで優雅にディナーというような、地位も名誉もある先生らしいハイソな生活も出てきますが、大体は「散歩してる」の印象です。 寺院巡りの次に先生は、北鎌倉駅近くのカフェでタバコをくゆらせながらコーヒーを飲み、プリンを食べる。その映像を見ながら、鎌倉は散歩も絵になるなと思いました。 「使う」から「愛でる」街へ 散歩くらい私もします。その間に哲学的なことを考えたりもします。カフェだって、一昔前までは東京都心にしかなかったけど、もう茨城県南でもおなじみになったスター・バックスでカフェ・モカとスコーンを頼みます(タバコは吸いませんが)。やっていること自体は先生と変わりません。もちろん、養老先生の足元にも及ばないというか、比べるのも申し訳ない私なのですが。 もし養老先生がつくば市に住んでいて、洞峰公園を散歩して、近くのカフェでコーヒーを飲む光景を放映するとしたら、それはそれで素敵だと思うのです。でも、養老先生がそれを鎌倉ですると、1足す1が2になる以上のなにかが付け加えられるような気がします。 1000年近く歴史がある鎌倉と、都市化したのがまだ40年くらいの学園都市を比べてもね―と言われるのはごもっとも。でも、隣りの芝生は青く見えるではないですが、鎌倉に対するあこがれは、逆に街の文化をつくる原動力になるのではないでしょうか。 養老先生が巡っている鎌倉は寺社仏閣が立ち並んでいます。それは人々が「利用」もする場所ですが、心から「尊ぶ」場所でもあります。土地をどう使うかも大切ですが、その土地がどうしたら尊くなるのか。市民の想いを大切にする街になれば、学園都市はいずれ古都になるでしょう。鎌倉も源頼朝が幕府を開いたときは新しい街だったのですから。ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)

つくばセンタービルの改修について 藤岡洋保 東工大名誉教授

【寄稿・藤岡洋保】私は近代建築史の研究者で、長年にわたり近現代の歴史的建造物の保存を支援しつつ、その意義を考えてきた。 つくば市が計画した、「つくばセンタービル」(1983年竣工)の広場へのエスカレーター設置に対して、一部の市民が反対運動を組織し、人流のデータなどをもとに設置の必要がないことを指摘しつつ、それが実施されれば世界的建築家・磯崎新の作品の価値を損なうことになることをシンポジウムなどで訴え、市がそれを撤回したというニュースを最近耳にした。 この運動の前と後で、広場には何も変化が起きなかったことになるので一見ささやかなできごとだが、心ある市民の行動によってオリジナルの価値が守られたことは記憶されるべきだと思う。そして、この運動が、フェアなやり方で速やかに進められたことも注目される。建築の専門家ではない人たちが、広場をも含めた同ビルのデザインの価値を認識し、それを守ったことにも敬意を表したいし、その活動には研究学園都市ならではの民度の高さを感じる。 太平洋戦争後の名建築の保存・活用は、1990年代からはじまったといってよい。文化庁もそこに文化財的価値を認め、竣工後50年以上経った建物の有形文化財登録や重要文化財指定を進めている。かつて古社寺中心だった文化財指定の対象が広がったということであり、近現代の建物を生かしたユニークな環境形成が進められているということでもある。その近現代の建物の多くは、古建築よりも大規模で不特定多数の人が出入りするので、耐震性の確保や設備の更新、バリアフリーなどに対応しつつ、活用を図ることが求められる。 それに関連して、今回の計画で不思議なのは、そもそもなぜエスカレーターの設置が必要とされたのか、誰がそれを提唱したのかが、公表された資料を見てもわからないことである。バリアフリー対応については、広場のすぐそばにあるエレベーターが使えるので、設置費や維持費をかけてまで、エスカレーターを新設する理由が見えてこない。 ちなみに、この「センタービル」の建築的価値は、1970年代後半から80年代にかけての「ポストモダニズム」の、日本における代表例であることに認められる。より具体的には、「独創性」に価値を見る近代特有の思想を、過去の名建築の形を引用することで批判しつつ、「建築の新しさ」が「形の発明」にではなく、「既存の形やモチーフの新しい解釈や組み合わせ」にあることを示した点や、本体から独立したキュービックな階段室に錯視を導入して「非日常性」を演出した点に、ポストモダニズムらしさが認められるということである。 それはまた、ゾーニングや、人車分離とセットになった幅広の直線道路で整然と区画された街が、人の心や活動を刺激する場になり得るのかという磯崎の問いをも含んでいたともいえよう。彼は、つくばの都市計画を支えた近代合理主義に代えて、「非日常」をここに導入して街の活性化を訴えようとしたと考えられるのである。 この点からも、ミケランジェロ設計のローマのカンピドリオ広場(1588年頃)を変形しながら引用した、「非日常の場」である「センタービル」の広場に、エスカレーターという、日常的な装置を設置すると、その設計趣旨を台無しにしかねないことが了解できる。つくば市が計画を撤回したのは賢明だったといえる。 なお、この建物の改修に際してプロポーザル・コンペが行われたが、その時の予条件や審査経過の情報があまり開示されていないらしい。公金が使われる事業では情報開示が求められるはずだし、審査員の氏名やその一人ひとりの採点表まで公表する自治体があることを知れば、「センタービル改修」に対するつくば市の情報公開の仕方には不透明さが感じられる。 また私には、このコンペに応募した建築関係者の気持ちが理解できない。磯崎の傑作の価値を損なう可能性が高いコンペに参加するのはためらわれるはずだから、あえてそれに挑むのは、彼のデザインに対する敬意が希薄で、それを超えられるという自信(?)に満ちた建築家だけになり、「センタービル」の価値を損なう提案が通る可能性が高いことになる。 今後のこの建物内部のリニューアルが、磯崎の設計趣旨への敬意を払いながら進められることを望みたい。(東京工業大学名誉教授・工学博士/近代建築史)

Most Read