魅力的なアイルランド音楽 つくばソトカフェにて《遊民通信》42
【コラム・田口哲郎】
前略
5月15日、つくば駅そばの「トナリエ」に用事があり、帰りにセンター広場のソトカフェでコーヒーを飲んでいたら、心地よい音楽が聞こえてきました。「音の宝箱つくば2022春」という音楽イベントが行われていたのです。音楽家が野外で美しい音を奏でるというもの。センター広場は広いペデストリアンデッキより低いところがあり、そこで演奏されるので、音が広場全体によく響いていました。
どの曲も素晴らしい演奏でしたが、印象に残った曲がひとつありました。アニー・ローリーのようなアメイジング・グレイスのようなダニー・ボーイのような懐かしいメロディで、どこかで聞いたことがあるような、でも初めて聞いたな、この曲!という感じで、曲名が思い浮かびません。
スマホに聞かせて判別すればよいと気づいたときは、次の曲になってしまっていました。そこでグーグルに「アニー・ローリー アメイジング・グレイス ダニー・ボーイ 似た曲」と思い浮かんだまま入力して検索をかけますが、いまいちピンとくるものがヒットしませんでした。
あれはなんだろう、あのバイオリンの旋律の郷愁をかき立てるなんとも言えない、ゆったりとした良い音楽は! 知りたい欲はつのります。スマホとしばらく格闘していて、ふと気づきました。広場に通じる階段の上に、看板とチラシが置いてあることに。
チラシにバッチリと曲名が書いてありました。「ピムキーン」というアイルランド・ミュージックだそうです。「ピムキーン」とはアイルランド語でカボチャという意味と知りました。アイルランドか! そういう曲相だったなあ。
タイトルがアイルランド語なんてエンヤみたいだなあと思い、アマゾン・ミュージックにあるのだろうかと、また検索をしましたが出てきません。どこかのCDに収録されているかもと検索しますが、見つかりません。わたしの探し方がまずいのかもしれませんが、この曲はまだ音源化されていないのではないでしょうか。
YouTubeで、演奏者と思しき方々が「ピムキーン」を奏でる動画が掲載されていました。ソトカフェで聞いたままです。とても素晴らしい。
ケルト音楽はどこかなつかしい
ところでアイルランドの曲は魅力的なものが多いですね。さきほど名前をあげたエンヤの曲は世界中でヒットし、日本でも人気です。情緒豊かで心に響くメロディがアイルランドの曲には多いです。
アイルランドにはケルト文化が残っていて、これはキリスト教以前の古いものです。アニミズムみたいに木に精霊が宿ると考えたり、海の向こうに極楽のような場所があると考えたりする文化ですので、日本の古来の文化と相通じるところがあるのかもしれませんね。だからどこかなつかしい。
新しい都市つくばの真ん中で、思いがけず「エモい」曲を聞けたことに感謝です。「ピムキーン」。音源化されていないのでしたら、ぜひしていただきたいと思います。ごきげんよう。
草々(散歩好きの文明批評家)
放置自転車問題の解決目指す新店舗 21日、筑波大近くにオープン
筑波大学の放置自転車問題の解決を目指す新業態の自転車店「CYCLE CHIC Tsukuba(サイクルシックつくば)」(矢部玲奈店長)が21日、大学近くのつくば市桜にオープンする。
大学構内の放置自転車のほか、卒業生が使っていた自転車や、一般家庭の自宅に眠っている自転車などを引き取って、部品を交換するなど修理し、新入生などに4年間貸し出す。卒業時に返却してもらい、放置自転車にならないようにする。
ほかに同大の校章「五三の桐」や、開学の理念「IMAGINE THE FUTURE(イマジン・ザ・フューチャー)」などの文字がアルミフレームにデザインされた筑波大学公認自転車のほか、各種メーカーの新品の自転車も販売する。タイヤのパンク修理なども行う。都内のスポーツ用品メーカーの協賛を得て開業にこぎつけた。
同大事業開発推進室によると、大学では毎年800台から1000台の放置自転車がある。10年以上前から、市シルバー人材センターの協力で、そのうち毎年100台程度を修理し新入生に安く販売してきた。
まだまだ放置自転車の解消につながってないことから、今年から同店が加わり、シルバー人材センターと共に放置自転車のリサイクルに取り組む。同店は年間約300台を目標に修理し、学生などに貸し出す予定だ。
貸し出す金額は、自転車の種類に応じて月額1000円から2000円程度で年単位で貸し出すことを想定している。一般に放置自転車のうち再利用できるのは3割程度といわれている。修理にどれくらいのコストが掛かるのかも含めて、店長の矢部さん(27)は「これから実証していきたい」とする。当初3年間は利益が出ないと見込んでいるが、4年目からは利益を出すことを目指す。
大学職員辞め店長に
矢部さんは今年3月まで同大東京キャンパスの職員だった。実家は東京都世田谷区の自転車店で、サイクリングが趣味。同大事業開発推進室に勤務し、筑波キャンパスの放置自転車を目の当たりにした中、昨年暮れ、大学を退職し、実家の自転車店の支店をつくばに出店して、放置自転車問題の解決に挑戦することを決意した。
矢部さんは「まさか自分が組織を離れることになるとは思わなかったが、やるしかないと思った」と振り返り、「たくさんの人の協力があったので、大学にいた者として、大学に貢献し恩返しができれば」と意気込みを話す。
交流の場に
新店舗は平屋建てで面積約60平方メートル、敷地面積は約340平方メートル。店内はカフェのような雰囲気で、中央にテーブルといすが置かれ、両側の白い壁沿いに国内外の新品の自転車が並ぶ。カウンターの奥はメンテナンス室で、たくさんの工具が置かれ、来店客が自分で修理することもできる。
「学生や地域の人に気軽に立ち寄ってもらい、学生同士や、学生と地域の人との交流の場にできれば」と矢部さん。今後は、筑波山など周辺を自転車でめぐるポタリング(自転車散歩)を企画したり、自転車の修理が自分でできるようになるメンテナンス講習会を開催するなど、イベントの開催も計画している。
3月まで矢部さんの上司だった同大事業開発推進室の畑山進・特定ミッションプロジェクトマネージャーは「放置自転車を修理しサブスクリプション(定額利用)で貸し出す取り組みを3、4年続ければ、大学の放置自転車が目に見えて減るのではないかと期待している。将来的には近隣のサイクルショップの協力も得て、この取り組みが徐々に広がれば」と期待を話す。(鈴木宏子)
◆CYCLE CHIC Tsukubaはつくば市桜2丁目15-5。営業時間は午前11時から午後6時。水曜定休。中古自転車の引き取りやリサイクル自転車の貸し出しは筑波大学の学生だけでなく、だれでも利用できる。問い合わせは、メールslowglide017@icloud.comまたは電話029-886-8682(21日以降)。
8050問題と労働者協同組合法 《ハチドリ暮らし》14
【コラム・山口京子】仲間内の勉強会で話をすることになりました。テーマは自由に決めてよいということでしたので、「8050問題と労働者協同組合法」という題にしたいとお伝えしました。
「8050問題」の呼び方は「はちまるごーまるもんだい」です。80代の親が50代の引きこもりの子を抱えている家庭、そこから派生する問題を指します。80代の親の介護や認知症、生活困窮などにより、親子の共倒れや孤立化が社会問題になっています。
数年前、引きこもりの子を持つ家族の会から「これからのライフプラン」で話をしてほしいと言われ、調べ始めました。
「引きこもりの評価・支援に関するガイドライン」によると、「引きこもり」の定義は、「様々な要因の結果として、社会的参加(就学、就労、家庭外での交友など)を回避し、原則的には、6カ月以上にわたって、おおむね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と関わらない形での外出をしていてもよい)」となっています。
引きこもるきっかけとしては、学校でのいじめ、親の教育虐待、就職の失敗や病気、働いていたものの様々な事情で退職し、その後働こうとしても再就職口が見つからない―などが挙げられます。
引きこもる期間は長期化していて、7年以上が5割近くになっています。30年以上も約6パーセントいると推定されています。内閣府の調査では、100万人以上の引きこもりがいるとされていますが、200万人を超えるという指摘もあります。
社会的引きこもりには居場所づくりが必要
引きこもりは、精神疾患、発達障害、社会的引きこもり―に大別されます。精神疾患であれば医療ケア、発達障害なら教育的・福祉的ケア、社会的引きこもりには安心できる人間関係や居場所づくりの支援が必要です。
私としては、就職関連の挫折から社会的引きこもりになった人を対象に、安心できる居場所づくりと、自分のペースで働ける場が生まれたらいいな、それには労働者協同組合法が使えるのではないか、という思いがありました。
市民が主体者として、協同・連帯して働く「労働者協同組合」(ワーカーズ・コープ)に法人格を与える「労働者協同組合法」が、2020年12月、参院本会議で成立。今年10月から施行されます。
この組合の基本は、組合員が出資し、意見を反映させ、そして働くことです。「多様な就労の機会」を創り出すとともに、「地域における多様な需要に応じた事業」が行われ、「持続可能で活力ある地域社会の実現」に資することが目的です。注目してほしいと思います。(消費生活アドバイザー)
「音楽のある風景つくりたい」ギタリスト木村大さん 土浦駅ビルに教室開校
国内外から注目を集めるクラシックギターのトッププレーヤーで土浦出身の木村大さん(40)が、音楽教室「木村大Music Lab.(ミュージック・ラボ、通称キムラボ)」を土浦駅ビル「プレイアトレ」(土浦市有明町)3階に10日開校する。
木村さんの父親でギタリストの義輝さん主宰の木村ギター音楽院(美浦村)の分院となる。クラシックギターのほかアコースティックギター、ウクレレ、ボーカル、作詞作曲などを6人のプロ講師が教える。木村さんは子どもたちの指導をする。
木村さんは父親からギターを学び、14歳の時、東京国際ギターコンクールで優勝、17歳でCDデビューした。2002年英国王立音楽院に留学。テレビ番組にも多数出演し、これまで10枚のアルバムを発表するなど実力派だ。
考える時間たくさん取れた
開校のきっかけは、昨年開かれた市立図書館(同市大和町)での無料の演奏イベントだった。100人の定員がわずか2日で満席になり、「生まれ育った土浦に、自分が何かできることはないか」と考え始めた。
コロナ禍、新たなライブ活動はできず、その分アルバム作りや「自分が土浦にできること」について考える時間をたくさん取ることができたこともある。
コロナ前から漠然と持っていた「土浦駅にギターケースを持って歩く人を増やしたい、音楽のある風景をつくれたら」という思いが明確になった。「自分ができるのは、音楽を土浦の人たちのライフスタイルに提供することだ」と開校を決意したという。
木村さんは「気軽に立ち寄ってもらい、教室をきっかけに音楽に触れる人を増やしたい」と話し、「子どもたちの安全基地として、大人のたまり場としての役割を担っていけたらうれしい」と話す。
合唱すらできない
県内の中学の音楽授業にも、教室を役立てたい思いがある。木村さんは茨城県から依頼を受け、3年前からつくば市や大洗町などでギターの指導を行っている。中学校に赴いた際、コロナ感染予防のため合唱すらできない子どもたちを目の当たりにした。
木村さんは「子どもたちの成長を音楽を通じてサポートしたい。10年後、15年後、自信を持って学校や社会に出る手伝いができたら」と話す。
中学ではクラシックギターが授業の課題にあるものの、教えられる人材が少ない。中学生にギターを教えられる人材を教室から輩出できたらとも考えている。
4歳から100歳まで
教室のコンセプトは「4歳から100歳まで」。あらゆる年齢層に音楽を楽しんでもらいたいという思いだ。ギターやウクレレなど木でできた楽器は、使えば使うほど成長し続けて音に深みが出てくると木村さん。「楽器と一緒に成長してもらえたら」という。
オープンを前に5月からスタートした無料体験教室には、2歳から80代が訪れた。弟の祐さんに30分間指導を受けた龍ケ崎市の三ツ木正一さん(77)は「生まれて初めてギターを弾いた。楽しかった。達成感を得ながら楽しんでいきたい」と笑顔で語った。(伊藤悦子)
◆木村大Music Lab.の問い合わせはTEL 029-821-0544 または携帯090-5373-8553(野田さん)
ウクライナ戦争の行方 《雑記録》36
【コラム・瀧田薫】「金言耳に逆らう」ということわざがある。他人からの忠告や諫言(かんげん)というもの、たとえ正しいとは思っても、なぜか反発してしまうという意味だが、古くは、中国戦国時代の韓非の書「韓非子」に出てくる。戦国時代は治国用兵の術を説く諸子百家が活躍した時代であり、韓非もその1人であった。
日本においては「矛盾」や「逆鱗」という言葉を用いたことで知られる。彼は君側にあって諫言や忠告を口にする際、主の逆鱗にだけは触れぬようにしていたが、それでも、秦王(後の始皇帝)によって投獄され、獄中で自殺したそうだ。
ところで、ウクライナ戦争が始まってもう3カ月になる。「戦争は始めるより終えることの方がはるかに難しい」と言われるが、その通りの展開だ。ウクライナ側もロシア側も戦争のこう着化を望んではおらず、この戦争を自軍有利な形で停戦あるいは休戦に持ち込みたいとの思いは両軍に共通したものだろう。
ただ、国益を損ねる安易な妥協はできないから、交渉条件を徹底的に吟味・検討するだろう。ロシア側の検討プロセスは独裁者プーチンの決断が全てで、彼に助言する者はいても、諫言できる幕僚が存在するとは思えない。
これに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領の場合は、国益だけでなく、ウクライナを支援してくれる米欧諸国の意向への配慮も欠かせない。たとえば、5月26日に閉幕したダボス会議における元米国務長官・キッシンジャー氏の発言など、不愉快ではあっても無視はできない。
キッシンジャーの提案
キッシンジャー発言の要点は2つある。ウクライナ政府に対しては、クリミア半島とロシア軍が実効支配しているウクライナ東部をロシアの領土と認めて停戦交渉を妥結にもっていく、いわゆる「ウクライナ領土分割論」を提案した。他方、西側諸国に対しては、ウクライナ戦争を長引かせれば、NATOとロシアの新たな戦争の引き金を引くことになると警告した。
ゼレンスキー大統領は領土分割論を、第2次世界大戦の惨禍を招いた英仏の対独融和政策を引き合いに出して激しく非難したが、自国の国益を損なう提言であることを直感したのだろう。
一方、キッシンジャー氏が停戦にこだわり、NATOのウクライナ戦争への深入りに反対する理由だが、ロシアを徹底的に追い詰めることはせず、戦後もロシアが大国としての存在感を一定程度維持できるよう配慮することが米欧側の利益につながると見ている節がある。
つまり、ロシアを痛めつけて中国の側に追いやる愚策は避けたいのだ。冷戦時代、彼は対ソ連戦略の鍵として中国を利用するアイデアを当時のニクソン大統領に進言した。今回はロシアを対中国戦略の手駒として利用したいと考えても不思議はない。
さて、ゼレンスキー大統領はこれからどうするだろうか。地元テレビのインタビューで、ロシア軍を2月24日侵攻開始より前の位置まで押し返せば、ウクライナの勝利だとの認識を示し、クリミア半島や東部2州の領土回復は交渉を通じて実現したいと述べたという。(茨城キリスト教大学名誉教授)
梅の土産品ピンチ 筑波山梅林、収量大幅ダウン
観梅の名所、筑波山梅林(つくば市沼田)で収穫された実は例年、梅酒や梅干しに加工され、土産物として販売されているが、今季は大幅な収量ダウンが必至の様相だ。コロナ禍による「筑波山梅まつり」の開催中止に続くダブルパンチに見舞われている。
関東甲信地方の梅雨入りが伝えられた6日に予定されていた梅の実落としは雨のため中止、7日以降に順延となった。
6次産業にも影響
筑波山梅林は筑波山の男体山西側、標高約250メートル付近の斜面地に広がる。涸(か)れ沢沿いの約4.5ヘクタールに筑波石とよばれる班れい岩の巨石が散在し、約1000本の白梅・紅梅が咲き競う。
6月に入り、梅林ではアジサイの花が咲き出したものの、客足はほぼ途絶えている。散策しても梅の木に実はほとんど無く、落ちて転がる実も見られない。このまま梅の実落としをしても、「成果」は期待薄の状況だ。
梅林管理のつくば観光コンベンション協会によれば、例年協会スタッフの5~6人が出て、梅の実落としを行ってきた。低い枝からは手でもぎ、高い場所の実は棒で払って落とした。1日の作業で200~300キロの収量があったという。
収穫した梅は、同市が推進する6次産業化プロジェクトで梅酒や梅シロップなどに加工され、梅林内のショップ「おもてなし館」で販売されるなどしてきた。今年は収量の大幅ダウンが避けられず、加工用にどれだけ回せるか見通しが立たない作況だ。
県内どこも芳しくない
県農業総合センター園芸研究所によれば「県内から集まってくる情報だと(梅の実は)どこも芳しくない状況だ」(果樹研究室)という。昨年豊作だっただけに今年は「裏作」の傾向となるのは否めず、農作物として育てているわけではない観賞用の梅では、多少の落ち込みは避けられないのが相場だそう。
病害虫の発生は認められておらず、天候の影響が大きい。「開花は少し遅れ気味だったが、開花後に雪が降るなど極度の低温に見舞われた。結果、花粉を運ぶミツバチの活動が鈍るなどして着果が進まなかったのではないか」(同)という見方をしている。
例年、梅雨入り前後に行われる県内の梅の実落とし。水戸・偕楽園では9日と10日の2日間行われる。梅の実は 11 日に偕楽園公園センター(水戸市見川)で、1人1袋(1キロ)200 円(税込み)で先着500人に販売する予定だった。同センターでは、昨年より収穫量が少ない見込みとしている。(相澤冬樹)
県営の洞峰公園、つくば市が買い取ったら?《吾妻カガミ》134
【コラム・坂本栄】茨城県が改修しようとしている県営・洞峰公園(つくば市二の宮)。つくば市は了解したのだと思い、改修を進めようとしたら、市民から計画の目玉と進め方に疑問の声が。当然、市は市民の側に立ち、県と市はバトル状態に。いっそ、市が公園を県から買い取り、市民に現状のまま利用してもらったら?
県と市のバトルに市民運動が参入
県の改修計画のあらましは「…4社グループに決定…洞峰公園の整備事業…」(2021年11月30日掲載)に出ています。学園都市にふさわしい、レクリエーションも楽しめる、にぎわいを創り出すエリアにする―という考え方で、野球場をつぶし民営のグランピング(宿泊用具が備わった豪華テント)や、バーベキュー施設を設けるのが目玉です。
県の内外からたくさんの人に来てもらい、おカネを落としてもらうだけでなく、公園運営に民間会社も加わってもらい、その上がりを公園管理費の足しにしようという、大井川知事らしいアイデアです。県の魅力度アップ作戦の一環でしょう。
この計画に対し、そんなものは要らないとの声が市民の間から上がりました。自然公園の形が壊され、宿泊者の騒音・酒・たばこ、バーベキューの煙・臭いは迷惑だ、と。市側の懸念は「26項目で(市と県が)やりとり」(5月4日掲載)に詳しく出ています。市民運動も起き、2000人を超える署名を集め、県の計画策定作業に参加したいと言っています。そのいきさつは「県に協議の場設置を要望…」(5月13日掲載)をご覧ください。
県営公園は合併前の谷田部に開園
県にとって、洞峰公園改修は、水戸偕楽園改修(現在策定中)、大洗水族館改修(知事はジンベエザメに執心)、石岡フラワーパーク改修(昨春完了)と同じ、観光振興策です(小粒ではありますが)。市の懸念に配慮し、「騒音、酒、タバコ、煙、臭い」に極力対処することはあっても、改修そのものにはこだわるでしょう。
そこで提案。公園管理費を減らしたい県の立場を考え(魅力度アップの方は勘弁してもらい)、同時に市民の疑問や反対に応えるためにも、洞峰公園を買い取って市営にするのも一案です。
洞峰公園が1980年に開園したとき、つくば市はありませんでした。谷田部町、豊里町、大穂町、桜村が合併して生まれたのは1987年ですから、場所は谷田部町でした。事情通によると、学園都市にふさわしい公園が必要と考えた県が、町の財政力では無理と考え、代わりに造ったそうです。それから42年。市が管理するのは自然ではないでしょうか。
洞峰公園は20ヘクタール、総合運動公園用地が45ヘクタール。運動公園は66億円ですから、土地単価が仮に同じとすると、洞峰公園は29億円になります。これをどれだけ下げてもらうかは、市の交渉力にかかってきます。市と県のバトルが続くことは好ましくありません。それは市と県の関係の泥沼化を意味するからです。(経済ジャーナリスト)
350人が苗木1000本を植樹 筑波山神社林で2年半ぶり
世界環境デーの5日、筑波山神社(つくば市筑波、上野貞茂宮司)では、NPO法人地球の緑を育てる会(事務局・つくばみらい市、石村章子理事長)による第16回筑波山水源の森づくりが約350人の参加で行われた。インドネシアなどからの留学生も参加、安全祈願の神事に頭を垂れた後、山中の神社林に向かいスダジイやタブノキ、コナラなど落葉・常緑の広葉樹10種、約1000本の苗木を植えた。
2006年に始まった植林活動で、毎年定期的に行われてきたが、コロナ禍で中断し、19年10月以来約2年半ぶりの開催となった。協賛企業や明るい社会づくり筑浦協議会、土浦ライオンズクラブなどの関係団体、市民ら約350人が参加。神社随神門前で開会式を行った後、女体山に向かう登山道脇の神社林に入り、約1時間ほど作業した。
筑波山神社は 375 ヘクタールもの広大な神社林を有するが、戦後植えられたスギ、ヒノキ、マツの針葉樹林が多くを占め、間伐などの管理不全のまま荒廃している部分が目立っていた。土壌を豊かにし、保水力のある「水源の森」にするには広葉樹が最適という。
苗木の広葉樹は、育てる会の石村理事長らが自前の圃場でドングリなどから育ててきたもの。中断の間に大きく育ち過ぎてしまい、搬入が難しくなるなどして処分した苗木もあったが、この日は高さ50ー70センチほどにそろえたポット苗1000鉢が持ち込まれた。
世界環境デーに国際色豊か
今回植林する約500平方メートルの山の斜面は事前に間伐が施され、日光が差し込むようになった。間伐材で足場となる土止めを組むなど、事務局による準備が整えられた。石村理事長によれば「準備期間中、本当に開催できるか不安でしょうがなかった。そしたら5日が世界環境デーだと昨日(4日)知った。これも巡り合わせ。ぐずつき気味だったお天気もよくなって、神様の山だけありますね」と感慨深げ。
「1人3本の木を植えてもらいます。森になります」などとの指導で、筑波大学のインドネシア留学生グループを中心にトルコやイラン、中国などの若者たちも31人が参加、植林の列に加わった。
東京農工大学連携大学院のある茨城大学農学部(阿見町)で学ぶイグデ・カルタ・サトリアウィバウさんは、来日3年で筑波山には4回も登っている大の山好き。「何が感動したって、こんなに多くの人が木を植えるために山に登ってくる。インドネシアに持ち帰って是非やってみたいと思った」
レザ・アリエスカさんは筑波大学農林学系で学ぶ。国では森林学を専攻していた。「赤道直下のインドネシアだけど気温は年中25℃で一定しているから、30℃以上になる日本の夏は暑いと思う。だからここのフォレスト(森)はいい。今日は最高のコンデション、気持ちよかった」。参加を呼び掛けたトルコやイランからの留学生仲間にも喜ばれていた。(相澤冬樹)
優れた卒業作品など一堂に 筑波大芸術系 3年ぶりCONNECT展
筑波大学で芸術を学んだ学生らの2021年度卒業・修了研究の中から特に優れた作品と論文を展示する「CONNECT(コネクト)展Ⅵ」が5日、つくば市二の宮のスタジオ’Sで開幕した。2016年から毎年開催していたが一昨年と去年はコロナ禍で中止しており、3年ぶり6回目の開催となる。
同大は芸術専門学群の卒業研究と、大学院博士前期課程芸術専攻および芸術学学位プログラムの修了研究の中から、特に優れた作品と論文に筑波大学芸術賞を授与している。また同窓会「茗渓会」が茗渓会賞を授与している。会場では受賞作品と論文を展示しているほか、優秀な研究を紹介している。
版画や立体造形、印影など6人の6作品を展示し、30人の卒業・修了論文をタペストリー展示で紹介している。
展示されている6作品は、芸術賞を受賞した有賀睦さんの「眼差しa」「眼差しb」、影山亜美さんの「八百万の神」、茗渓会賞を授賞した最上健さんの「進化と朽滅」など。いずれも同大のアート・コレクションに新しく収蔵されるという。
ほかに、茗渓会賞を受賞した大森春歌さんの「子ども向け造形ワークショップの運営と今後の展望―8つの事例を比較・分析して」など3つの論文が、製本された状態で手に取って読めるよう展示されている。
スタジオ’S担当コーディネーターの浅野恵さんは「3年ぶりの開催。2月から3月に県つくば美術館で開催された卒業・修了制作展の内容を凝縮した展示となっている。学生さんたちの研究の成果、学生生活の集大成を多くの人に見てほしい」と話す。
展覧会は関彰商事と筑波大学芸術系が主催する。両者は2016年から連携し「CONNECT- 関(かかわる)・ 繋(つながる)・ 波(はきゅうする)」というコンセプトを掲げ、芸術活動を支援する協働プロジェクトを企画運営している。 (田中めぐみ)
◆会期は5日(日)~16日(木)。開館時間は午前10時から午後5時。入場無料。
夫への依存心を解き整体院開業 つくば市 石井みちよさん【ウーマン】2
日常会話がなく気持ちを共有できない夫と離婚を考えた石井みちよさん(53)=つくば市大角豆=は、経済的理由から踏み切れずに苦しみ、呼吸困難で救急搬送されたりもした。その後、思いのたけをブログにつづることで凍った心が解け始め、経済的自立に向けて昨年10月、「もむらく整体院」を開業した。
夫は研究者。31歳で結婚し、横浜市と同市並木の公務員宿舎で暮らしてきた。結婚から3年、一人娘が誕生したころから傷つくことが多くなった。
夫は娘には関心を示したが、みちよさんとは必要最低限の会話だけで食事中はテレビに釘付け。ある日、夕食後に自室にこもって研究のためにパソコンを打つ夫の背に声をかけると、邪魔だと言わんばかりに「シッ、シッ」と手で追い払われた。
無視されることが辛くて心が休まらず、いつも頭の中は「離婚」でいっぱいだった。離婚後の生活を支えるために時給の高い訪問ヘルパーの職を選んで働き始めたが、計画通りに収入を得るのは難しかった。
夫の仕打ちはなぜなのか、自分に原因があるのかと本で調べたことがある。話し合いが苦手、家族との時間より仕事に没頭する、みちよさんの気持ちが理解できないなど、夫の症状は発達障害の一つ、アスペルガー症候群の傾向がある状態だと分かった。が、夫を受け入れる気にはなれなかった。
5年前、並木の公務員宿舎にほど近い大角豆地区の集落に建つ店舗付き中古住宅を購入した。「庭が広く、店舗部分で何か楽しいことができそう」と想像がふくらんだ。夫の反対はなかった。
新居購入当時も夫と顔を合わせる休日は気分が落ち込むなど、不穏な毎日で不眠に悩んでいた。そこに新居のリフォームと中学2年の娘の登校行き渋りのストレスが重なった。息ができなくなって救急病院に搬送され、その後は心療内科で処方された精神安定剤を飲むようになった。ホームヘルパーの仕事は辞めた。
落ち着きを取り戻すとブログを開設し、3日に1度の頻度で夫との葛藤をつづった。書くことでいやされ、客観的に自分を見ることができるようになった。「初めは主人への雑言でしたが、次第に都合の悪いことは隠そうとする身勝手さに気づき、(私に)苦手なことを要求された夫も被害者だったと思うようになりました」
そして「お金の苦労を知らず、結婚すれば楽に暮らせると思っていたのは間違いだった。夫に依存せず、経済的に自立しよう」と心が定まった。
新居の店舗部分に整体院を開業する青写真を描き、東京・世田谷の整体学校で基本的な施術を学んだ。さらに東洋医学のエビデンス(治療法の根拠)に基づき施術する、東京・神楽坂のアラウンドセラピーのスタジオに通って「ボディケアセラピスト」の資格を取得した。
準備が整い、昨年10月「もむらく整体院」を開業した。リフォームを施した広さ約70平方メートルの空間の和室が整体院で、洋室はレンタルスペース「スペース田楽」として貸し出している。もむらく整体院の施術対象は女性のみで、全身フルコースは1日1人限定。
発達障害などで共感性に乏しいパートナーにストレスをため、体調を崩したり、精神疾患にかかる状態を「カサンドラ症候群」という。みちよさんは、自分と同じように夫との関係に悩む人に寄り添い、前向きになるための「カサンドラ自助会つくば~エトワール」を主宰。毎月会員がスペース田楽に集っている。
中学で登校をしぶった愛娘は今春県外の大学に入学して1人暮らしを始めた。みちよさんは「主人と2人だけなら振り出しに戻ったかも。今はスペース田楽に来てくださる人や仲間がいて、穏やかな毎日を送っています」とした上で、「整体院の収益を上げていきたい」と明るく前を向く。(橋立多美)
◆もむらく整体院(つくば市大角豆1340)やスペース田楽のブログはこちら、利用はこちらから。
