火曜日, 4月 7, 2026

言葉の壁を越え患者と医師の信頼関係築く つくばの医療通訳士 松永悠さん【ひと】

つくば市で暮らす外国人は、2022年度の統計で137カ国9457人。医療機関を受診する外国人患者も増えているが、病名や器官の名称などの専門用語が飛び交う診察で、患者が内容を理解するのは難しい。タブレット端末による通訳サービスを導入する病院もあるが、個別の質問や細かいニュアンスの伝達に対応するのは依然として困難だという。市内の病院を中心に、中国語の医療通訳士として働いている松永悠さん(48)は、30代後半から医療通訳の世界に飛び込み、やりがいを見出している。 一人の女性患者との出会い 松永さんは1974年生まれ、中国北京市の出身。松永さんが医療通訳のボランティアを始めた38歳の時、最初に担当したのは、同じ30代の末期がんの女性患者だった。中国の地方出身者で、お見合いで国際結婚して日本の農家に嫁いだが、がんを原因に離婚を切り出され、日本語も分からず頼る人がいない状況だった。 女性の境遇に衝撃を受け、「同じ女性、自分の力で助けられるのなら」と感情移入してしまったそう。女性も辛い闘病の中、「お姉さん、お姉さん」と松永さんを慕った。この女性との出会いから苦しんでいる在日中国人がいることを知り、興味で始めた医療通訳の仕事に使命感を持つようになった。 医療通訳士は国家資格ではない。医療通訳として働くには、民間が主催する養成講座を受講し、選考試験に合格後、ボランティアや医療通訳の派遣会社に登録して依頼を待つ。養成講座では通訳の技術のほか、守秘義務などの倫理規定、医療専門用語などを学ぶ。医師の説明に通訳者が勝手に補足することはしてはならず、治療法について患者が本当に理解しているかの確認をその都度行っていく。患者は文化や宗教、思想、持っている在留資格などの社会的背景が個々で異なり、その理解と医療機関への仲介の役割も医療通訳士に求められる。重い病気を抱える人への告知の場に立ち会うこともあり、精神的な重圧も大きいという。 門戸開いたボランティア養成講座 松永さんは北京師範大学で日本語を専攻し、卒業後は日立製作所の中国支社に就職して通訳として働いていた。24歳の時に結婚して来日。結婚後も日立の工場などで海外研修生たちの通訳をしていたが、子どもが産まれてからは仕事を辞めていた。 ある日、市国際交流協会が主催する医療通訳ボランティア養成講座の案内が目に留まり、「これだ」と思い飛び込んだ。父が内科医で病名についてある程度の知識があったことも受講を後押しした。「新しいことを知るチャンスがあれば進んでいくタイプ。思った以上に勉強がおもしろかった」。講座の終了後、選考を受けて通過。2013年に医療通訳ボランティアとして登録し、実務を積むことになった。 10年前、つくば市に移り住んだのをきっかけに、何か新しいことを始めたいと思うようになった。「40代を目前にして私にこれから何ができるのか、エネルギーがあるのに使えないという状況にもんもんとしていた。何か人の役に立つ、やりがいのあることをしたいと思っていた」 女性との出会い以降、松永さんは家族が出かけてから帰るまでの時間を全て勉強に充て、2017年には日本医療通訳協会の医療通訳技能検定1級を取得。現在は市国際交流協会が主催する医療通訳者養成講座や、都内にある医療通訳専門学校の講師も務めている。 患者と医師の心が通じ合う瞬間 「信頼関係は双方で作り上げるもの。言葉と文化の違いをコミュニケーションの手段は言葉だけではない。言葉が伝わらなければ人間はしぐさや表情で感情を伝えようとする。それは人間のもっとも純粋なコミュニケーションの方法。言語は医療通訳が担い、感情は患者さんと医師、双方が一歩努力することで信頼関係ができれば、満足度の高い医療を提供することができる」 パーキンソン病を患った70代のある男性患者は、最初に診察を受けた時、緊張でこわばっていた。しかし、回を追うごとに笑顔が増え、目に見える変化があったという。「医師が丁寧に説明したことで信頼関係ができ、男性は医師に対する感謝の気持ちを伝えたいとお辞儀をするようになった。中国人は日本人のようなお辞儀をすることに慣れておらず、上手にできない。何度もお辞儀する男性を見て、医師は最初パーキンソン病の症状かと思っていたが、『これは感謝の気持ちを伝えようとしてのお辞儀ですよ』と教えると笑顔になり、握手も交わした。まさに二人の心が通じ合った瞬間だった」 中国では診察や薬の説明に十分な時間を割くことができないことから、患者と医療従事者の間での信頼関係ができにくく、医療にまつわるトラブルが多い現状があるという。日本の医療に対しても懐疑的だった人が「こんなに丁寧に説明してもらったのは初めてだ」と喜ぶと、松永さんもこの上ないやりがいを感じると話す。「患者と医師の双方から喜ばれ、感謝される。医師から指名してもらえることもあり、医療通訳士の仕事はやめられない」という。 松永さんの夢の一つは、質の高い医療通訳士の育成から派遣までを行う会社を作ることだ。「チャンスを見ていつか実現できたら。医療通訳はずっと続けていきたい仕事」。いくつかの通訳派遣会社に所属したが、教育を受けていない通訳士を派遣したり、患者の要望と違う内容で病院を予約したりと多くの課題があり、現状を改善したいという。(田中めぐみ)

「真実が知りたい!」 赤木雅子さんが水戸で訴え 《邑から日本を見る》117

【コラム・先﨑千尋】森友学園問題に関する公文書改ざんを強いられ、それを苦に自死した元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻、雅子さんらの講演会が7月30日、水戸駅前の駿優教育会館で開かれた。この講演会は、旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)の元職員6人が同機構に損害賠償を求めている訴訟で、原告を支援する団体が主催したもの。 雅子さんは、夫が自死した真相解明を求めて、国と、改ざんを指示したとされる元財務省理財局長の佐川宣寿氏を訴えてきた。この日は、雅子さんの裁判などを支援してきているジャーナリストで元NHK記者の相澤冬樹さんと対話する形で、別室からのオンラインで登壇した。私はそれを会場で聞いた。 雅子さんが起こした2つの裁判のうち、国は、昨年12月に雅子さんの賠償請求を全面的に認める「認諾」の手続を取り、改ざんが行われた経過などは不明のまま、いわば「肩透かし」の手法で国に対する請求を終結させた。残る佐川氏への訴訟は、氏への尋問は行わずに7月27日に大阪地裁で結審し、11月25日に判決が下される。 雅子さんはこの日、佐川氏に2度手紙を書いたが返事はなく、法廷にも姿を見せなかったことを非難し、「私は、夫がなぜ改ざんさせられたのかを知りたいから裁判を起こした。法廷で佐川さんにそのことを証言してもらいたかった。しかし佐川さんは姿を見せなかった。あまりにも悔しい。夫は日頃、公務員は権力を握っている人のためにではなく、国民のために仕事をするのだと言っていた。佐川さんは誇りを持って仕事をしてきたのか。佐川さんが本当のことをしゃべらない限り、私は幸せになれない」と怒りをあらわにした。 国、無慈悲、無機質な組織 この雅子さんの話を聞いて、相澤さんは「佐川さんはこの事件に関わったので、もうエラくなれない。ホントのことを話した方が、気持ちが楽になれるはずだ。ホントのことを話せない佐川さんはかわいそう。哀れだ」と語った。 さらに相澤さんは、7月27日の大阪地裁での雅子さんの尋問の様子を紹介した。その中で雅子さんは、尋問の最後に「参院選の街頭演説中に銃撃を受け死去した安倍晋三元首相の国会答弁がこの改ざんのきっかけになった。黒い疑惑のまま国葬にされるのは安倍さん本人も望んでいないと思う。安倍さん、昭恵さん、佐川さん、そして裁判長、私は真実が知りたい」と述べたという。閉廷後、傍聴席からは拍手が送られたそうだ。 相澤さんは安倍氏の死にも触れ、「死者を悼む。だが、この事件は、忘れられていた旧統一教会と政治家の関係を表に出した。それはよかったことだ」と話したことが印象に残った。 雅子さんと相澤さんのやり取りを聞いていて、本来は国民のためにあるべき国という機関は、結局は無慈悲、無機質で、血の通わない組織にすぎないのだと思った。安倍さんだって佐川さんだって、血が通っている人間であるはずなのに、非情にも雅子さんの声を聞こうとはしない。それはなぜなのか、私にはわからない。(元瓜連町長)

8月の晴れた空に笑顔を描く 室屋義秀選手が茨城フライト

国際的なエアレース・パイロット、室屋義秀選手(49)が8月の晴れた日に茨城の空を飛び、土浦、つくば両市など8カ所にニコちゃんマークを描く。「Fly for ALL(フライ・フォー・オール)#大空を見上げよう」フライトで、8月中下旬の快晴の日を選び、天候や航空交通状況などを見て決行する。 室屋選手による「Fly…」フライトは2020年から9都県10カ所で行われ、これまで全国に93個のニコちゃんマークを描いてきたという。茨城県内は初の実施となる。 今回は16日-19日、23日-26日のいずれか快晴の1日を選び、正午ごろ古河市から県内に入って、午後1時ごろ日立市に抜けるルートで実施する。土浦では午後0時19分ごろ、つくばでは同24分ごろ、ニコちゃんマークを描いての飛行が見られるはず。実施判断は、14日以降、室屋義秀公式ツイッターで随時発表されることになっており、当日のライブ配信も予定されている。 室屋選手は2009年、国際航空連盟(FAI)公認の「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」に初のアジア人パイロットとして参戦。2016年千葉大会で初優勝。2017年ワールドシリーズでは全8戦中4大会を制し、アジア人初の年間総合優勝を果たした。モータースポーツのトップカテゴリーでの年間総合優勝はアジア初の快挙だった。 現在は福島県のふくしまスカイパークに活動拠点を置き、トヨタ自動車の展開する高級車ブランド、レクサスがチームパートナーとなる「レクサス・パスファインダー・エアレーシング」でサポートを受けている。レクサスは「Fly for ALL #大空を見上げよう」活動を地域の販売店と共に応援している。 室屋選手は「うつむきがちになる状況も多い中、ほんの数分でも空を見上げることで気分がリフレッシュできて、少しでも気持ちが明るくなってもらえたら、という想いを込めてフライトします」とコメントしている。 ■最新のフライト実施情報、可否判断の情報は室屋義秀公式ツイッター、ライブ配信は室屋義秀公式YouTubeで予定している。

目抜き通りをご存じか 土浦キララまつりの夏《土着通信部》53

【コラム・相澤冬樹】7月30日に始まった「土浦キララまつり」は8月7日まで続く。新型コロナウイルス「第7波」の急速拡大と歩調を合わせるようなタイミングとなってしまったが、何とかやり切れそうな雲行きである。 3年ぶりの本格開催。人出があっても、なくても、告知を担った媒体としては結果が気になるイベントで、2度目の週末となった6日、土浦の「まちなか」を訪ねてみた。暑さが幾分やわらいだこともあって、会場周辺には「密」にはならない程度の人出が繰り出していた。若者や家族連れが目立ち、途中出会った商工会議所の顔見知りは「パレードがないのは寂しいけれど、賑わいが少しは戻った感じでうれしい」と上気した表情で語った。 キララまつりは従来、土浦駅前通りを歩行者天国にして、市内の各種団体が隊列を組んで練り歩く七夕踊りパレードがメーンイベントだったが、今季は新型コロナ感染対策から実施を見送った。代わって亀城モールからモール505にかけ、飲食や雑貨などの露店ブースが立ち並ぶマルシェスタイルが集客の核となった。 失われた名前を探す 告知の段階では、この会場の説明に頭を悩ませた。亀城モールというのは、桜橋交差点の中央2丁目側から土浦駅方向に向かい、川口1丁目でモール505に接する、メーンストリート沿いの遊歩道。普段は小公園と歩道の組み合わさったオープンな空間になっている。土浦市の事業で、21年度に整備が完了したが、中央2丁目側がキララまつりで使われるのは今回が初めてだ。 古い土浦市民には「旧祇園町」という方が、川口側の街区との接続を含め説明がしやすいのだが、1974年に行われた住居表示で祇園町の名はとうになくなっている。 中央1、2丁目をまたぐ桜橋交差点は昔、橋がかかっていた名残りで、亀城(土浦城址)の堀から川口川が流れ出し、霞ケ浦水運と結んだ河岸(かし)になっていた。この川を、暗きょにして上に2階建てのマーケットが作られ、祇園町が出来たというのは、さらに戦前に遡る昔話である。 そういえば、踊りパレードが行われていた際には、その会場名は「目抜き通り」になっていた。かつて告知記事を書いた時、シャッター通りには似合わないから「駅前通り」と表記させてくれと頼んだことがある。 当時の商工会議所関係者は「なあに、今どきの人は目抜き通りの意味はご存じないでしょう」と平然と言ったものだ。確かに「生き馬の目を抜く」という語源も、その意味するところも現代では通じにくくなっている。 さらに今回のマルシェを主催した本町通り商店会はかつて、「本町銀座通り」といっていた。本町も1974年の住居表示で中央2丁目に組み入れられたが、商工会議所近くの道路上を横断していた「本町銀座通り」のアーチはしばらく残ったはずだった。地元の顔見知りに聞いてみたが、「さあ、銀座の看板を下ろしたのはいつだったか」。遠い記憶になっていた。 まちなかの「楽しい!」を探す夏ーと銘打った今回のキララまつり。熱気と密に満ちた往時の七夕まつりの残像をたどりながら、ひとり忘れられた通り名を探す、夏のお出かけとなった。(ブロガー)

冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

国のスーパーシティ構想のモデルは、世界的IT企業アリババが中国の杭州市で行っている未来都市や、グーグルがカナダのトロントでやろうとしてできなかった都市構想だと、内閣府スーパーシティ専門調査会委員の竹中平蔵慶応義塾大名誉教授は同委員会で述べる。 今回、第1号のスーパーシティには、「インターネット投票」を看板事業に掲げるつくば市と、大阪万博での「空飛ぶ車」の実現を掲げる大阪府・大阪市の2市が選ばれた。さらに岡山県吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市の3市町がデジタル田園健康特区に選ばれている。 選んだ基準について国の専門委員会は、指定したはいいけれど、その後全然実現しないということがないよう、規制省庁と概ね合意した項目が複数があること、合意はしてないが今後議論が可能な程度に具体化した項目が相当数あることなど、規制改革に対する熟度の高い自治体を選んだとする。 なお国は、スーパーシティ特区の規制改革を利用しなくても、できることはどんどんやってほしいという立場だ。例えば今年、道路交通法が改正され、来年から自動配送ロボットなどの公道走行が加速するとみられている。できることは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組む方針だ。 今後のスケジュールは、今年冬以降、国と市、事業者などで区域会議を立ち上げる。実際にどのような事業を行うかは区域計画(基本構想)を策定して決める。応募にあたってつくば市は、公募により50事業者と連携し事業計画をつくった。実際の事業者は改めて公募し、事業を実施する費用は、国の補助金などを活用しながら事業者や利用者が負担するとみられる。 議会議決で住民同意も 区域計画の作成は、住民や利害関係者の意向を踏まえることが必要になる。昨年5月の国のヒヤリングで五十嵐立青市長は「(インターネット投票による)住民投票で、住民がこの計画に賛同するのかどうか確認していきたい」としていたが、今年6月に開かれた市議会全員協議会ではトーンダウン。森祐介政策イノベーション部長(当時)は「住民投票や議会の議決などいくつかの方法がある」とした。スマートシティ戦略課によると「区域会議の素案に盛り込む規制の特例措置の性質によって、対象となる住民の範囲等が変わるため、住民同意の確認方法も様々にあり得る」とし「規制の特例措置の内容によっては、議会の議決など住民投票以外の方法もあり得る」のだという。 市は国に23項目の規制緩和を提案している=メモ=。その一つに、行政が保有する個人情報を個人が特定できないように加工して提供するなどの取り組みがある。国のヒヤリングで森部長は「加工の都度、100%賛成の住民同意をとることは非現実的」「基本構想を策定する中で、賛同していただけるのかどうか確認していきたい。反対もゼロにはならないと思っているが、何割が賛成したらやっていくのかということは区域会議の中で内閣府の意見などもいただきながら決めていきたい」とする。 個人情報保護 仕組みづくりはこれから スーパーシティは、行政や企業、個人がもつさまざまなデータを活用してサービスを展開する。事業者がさまざまなデータを活用するためには、それぞれがもつデータを「データ連携基盤」というデータを共有する仕組みと連動させて、事業者がさまざまなデータを活用できるようにすることが必要になる。 つくば市の場合、データ連携基盤は、つくばスマートシティ協議会メンバーのNECが2021年度に3400万円で開発した。欧州で開発されたFIWARE(ファイウェア)に準拠した基盤だ。 データ連携基盤は、エストニアのXロードが国際的に高く評価されている。企業がXロードにアクセスした場合、記録が残る。市民は、自分の個人情報のどのような内容を、だれが、いつ、どのような理由で閲覧したり利用したのか、アクセル履歴をチェックできるとされる。 つくば市が導入を決めたNECのデータ連携基盤はどのようなものになるのか。同課は、今回開発したデータ連携基盤は個人情報を取り扱う機能はなく、オープンデータのみを扱うとする。市民の医療健康情報などの個人情報を取り扱う場合は、今後、別のデータ連携基盤をつくり、他のサービスとは接続させないとする。 さらに個人情報の収集や活用にあたっては、市独自の倫理チェックリストをつくる。加えて、プライバシーへの影響を評価し、システムづくりや運用を適正に行うことを促す「プライバシー影響評価(PIA)」を実施するとしている。個人情報の収集から利用、保管、廃棄までのプロセスのリスクを分析し、システム構築前に対策を準備する手法だという。PIAのモデルポリシーを策定し自治体をサポートしている世界経済フォーラムの第4次産業革命日本センターから助言を受ける予定だが、個人情報保護に関する具体的な検討はこれからだ。(鈴木宏子) 【メモ】つくば市がスーパーシティ構想で国に提案している規制改革23項目の主な事業は以下の通り。 ▽公職選挙でのインター ネット投票 ▽分散する行政情報を集約し多言語で表示するポータルアプリを構築。 住民の希望(オプトイン型)により、属性情報に基づき個別化された情報発信も行う。さらにマイナンバーカードを活用し、行政への様々な申請・手続をアプリ上から行えるようにする。 ▽マイナンバーカードと署名用電子証明書を活用した公的個人認証により、役所に来庁せずに住民異動届をスマートフォンから行えるようにする。 ▽個人が特定できない行政ビッグデータを様々な主体に提供できるようにし、データ分析や可視化を住民や企業等が自ら行うことが可能になるようにし、活用できるようにする。 ▽AI配車システムを活用し、学園東大通りの一部とスマートキャンパス化する筑波大学構内で自動運転循環バスを導入する。 ▽自宅からバス停まで、介助者も同乗できるシェアモビリティの自動運転車椅子が時速10キロで走行し、高齢者や障害者の移動を支援できるようにする。 ▽つくば駅周辺の吾妻70街区で、歩行者と自動運転車椅子と自動運転の荷物搬送ロボット、追従型荷物搬送ロボットなどが歩道を自由に通行できるようにする。 ▽スーパーが近くにない郊外部で、自動運転車椅子が自宅から移動スーパーに移動し買い物できるようにする。 ▽薬局の検体測定室で得られた検査結果を健康アドバイスや保健指導、遠隔診療等で活用できるようにし、生活習慣病の予防・早期発見・重症化予防につなげる。 ▽自治体や国立大学法人、国立研究開発法人、医療機関、薬局等の各機関に分散する健康関連データ(生活ログ、食料品の購入履歴、診療履歴等)をマイナンバーにより紐づけし、本人及び本人が同意した事業者が一元的に参照することを可能とする。 ▽回復期における高次医療機関から他の医療機関への転院搬送で、搬送車内の患者状態を医師が遠隔で常時観察して搬送できるようにする。また医師または看護師が遠隔で観察する場合には、救急車で搬送する救急隊員を2人編成とする。 ▽医療・介護情報等、利用者に関する外部情報と、センシングした利用者の身体情報に基づき、専門スタッフが身体機能向上のプログラム実施を遠隔でサポートする。 ▽自宅で遠隔医療を受診し、処方された薬を移動スーパーで運搬する。 ▽再開発、地域開発に水素利用分散型エネルギーシステムを設置し、エリア内に電力、熱エネルギー供給事業を行う。 住民の利用ニーズに応じたスポーツ施設や温浴施設等の健康増進施設に関わる温水プール、温浴施設への電力、熱エネルギー供給事業を行う。 ▽市内発スタートアップやつくばSocierty5.0トライアル支援事業採択者の商品または役務である先端的サービスの調達を随意契約で行えるようにする。 ▽国立大学法人が所有する土地や大学宿舎の跡地等を、地域イノベーション拠点として、スタートアップが入居する施設や、エネルギー供給設備等の整備を行う。 ▽市内でスタートアップを創業しようとする外国人が「経営・管理」の在留資格を取得するための創業活動期間を延長する。また、市内の大学・研究機関に所属する外国人研究者が、研究活動に従事しつつ創業や企業経営できるようにする、など。 第1部 終わり

開催中止、まつりつくば2022 新型コロナ急拡大で

つくば市は6日、今月27、28日に研究学園駅前公園などで開催を予定していた「まつりつくば2022」を中止すると発表した。新型コロナウイルスの感染急拡大により、地域の医療がひっ迫した状況にあるためという。5日、まつりつくば大会本部会議を開催し、中止を決定した。 中止になるのは3年連続。今年は規模を縮小し、会場をつくば駅前から研究学園駅前に変更して3年ぶりに開く予定だった(6月27日付)。 大会本部長の五十嵐立青市長は「3年ぶりの開催を目指して様々な可能性を検討したが、現在の医療のひっ迫状況を踏まえ、結果として中止という苦渋の決断に至った。参加を楽しみにしていた皆様を始め、まつりつくばを支えてくださっている関係者の皆様も、落胆が大きいと、大変心苦しく思います。来年こそは開催できることを目指し取り組みますので、ご理解ください」などとするコメントを発表した。

軽症は自宅療養を 知事 新コロナで発熱外来や救急医療ひっ迫

新型コロナの感染が拡大していることから、大井川和彦知事は5日、軽症の場合は、症状が出てもすぐに発熱外来を受診しないで、自宅での療養に努めてほしいと呼び掛けた。重症化する恐れがある①65歳以上②基礎疾患がある人③妊娠している人④4日以上症状が続く人は、状況に応じて、すぐ入院なり医療機関を受診する必要があるとした。 感染拡大により多くの医療従事者が感染し、発熱外来や救急医療が非常にひっ迫しているため。医療機関に余計な負担をかけないため、無症状者は発熱外来でなく、薬局で無料の抗原検査を利用してほしい、事業所は従業員に対して、陽性・陰性証明を求めないでほしいとした。 さらに県内の感染者数は延べ20万人に達し、だれが感染してもおかしくないことから、自宅療養に備えて食料品、生理用品、日用品、薬などをある程度備えておくことが重要だとした。 入院患者は想定下回る 今回の第7波については、新規陽性者のうち入院を要する患者の割合は第6波より低下し、7月31日時点で、60歳以上の入院率は9.6%(第6波は15.4%)、60歳未満は0.7%(同0.8%)、全体では1.8%(同2.4%)となっている。 県はコロナ病床の確保について、8月上旬にピークを迎え600床以下で収まるケースと、8月中下旬でピークを900床を超える病床が必要になるケースを想定し、800床から900床を確保しているが、5日時点の実績は475床と想定を下回っている。 つくば市の新規陽性者数は5日時点で539人、土浦市は195人、県全体は4833人。年代別では県全体で40代が多く、次いで30代、20代、10歳未満となっている。県内の病床稼働率は59.3%、そのうち重症病床稼働率は11.2%。入院患者の年代別は80代が最も多く、次いで79代、90代、60代の順。 県は7月22日に、対策の判断基準を「感染が拡大している状態」のステージ3に引き上げたが、行動制限は行っていない。 県は救急車を呼ぶべきかに迷ったときは電話相談を呼び掛けている。コロナ疑いの電話相談は、県新型コロナ受診・相談センター(電話029-301-3200、午前8時30分~午後10時、土日祝日も相談可)、それ以外は県救急電話相談(電話は大人#7119、15歳未満は#8000、24時間365日対応)。

なんでひどいことをするの? 《続・気軽にSOS》114

【コラム・浅井和幸】人(Bさん)との行き違いで傷つき、相談に来られる方(Aさん)がいます。Aさんは、Bさんのこれまでの言動の説明をして、「こんなひどいことが人としてできるはずがない。どうしてBさんは、こんなことをするのか?」という質問をします。 無知で世間知らずの私は、「Bさんの行動理由で考えられるのは、〇〇と〇〇。環境的にこのようなことがあるとか、Aさんとのコミュニケーションのパターンから、〇〇も考えられますね」と、想像できるBさんの言動の理由をお伝えします。 Aさんと私の関係性がそれほどではない場合、こういったBさんが取る行動の理由の説明について、かなり高い確率で、Aさんは憤慨されます。「悪いやつ」に行動理由などはなく、悪い人間だから、ひどいことができるというのが、一般的な考え方です。こういった説明をすると、「理由があれば悪いことをしてもよいのか」と思ってしまうものです。 「悪い人間の気持ちなんて理解したくない」という言葉に、違和感を覚える人は少ないでしょう。理解すべきは「良い人間」の気持ちであって、「悪い人間」の気持ちなど理解してはいけないと考える人も多くいるはずです。敵と思われる人の理由なんて知りたくないもので、必要なのは「良い人間である自分」を受け入れてくれる人となります。 問題解決は、解決していない今の所とは別の所に行くことです。別の所に行くことは、また、別のストレスがあるかもしれないという不安が生じます。実際に、今よりも良い所に移ることはストレスになるものです(うれしいと感じていても、昇進やマイホーム購入も大きなストレスになります)。 苦しく、余裕がないときは、自分自身が動くのではなく、「悪いもの」を除くことを、意識的、無意識的に考えます。もっと緊急性を感じるときは、その場から逃げる可能性も増えますが、「いっぱいいっぱい」で、自分の変化は受け入れられないし、今持っているものも手放したくないというのは当たり前の感覚ですよね。 疑問を解決したいのか、同意を求めているのか さて、冒頭の「どうして、ひどいことができるのか?」ですが、この言葉だけを見れば、これは明らかに質問です。しかし、この質問の目的が疑問の解決なのか、同意を求めているのかで、対応を変える必要があります。 しかも、この質問は無意識で、Aさん自身も自覚がない場合もあります。なので、Aさん自身が、相手の行動理由を知りたいと意識していても、無意識で知りたくないと葛藤状態のときは、不用意に回答してしまうと、Aさんをより孤独の状況に追い詰めてしまうので、要注意です。 ストレスが大きすぎる場合は、固まった状態で心身の回復が必要です。今まで「Aさんにとって最適、最高の言動をとってきた」ことと、「とりあえずは問題解決をしない」ことを支援者は頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。Aさんに余裕が出てきたら、別の方法を試してみるぐらいの気持ちで、解決策を探る余裕が支援者には求められます。(精神保健福祉士)

入り口はスマホアプリ「つくスマ」【スーパーシティって何@つくば】3

今年4月、つくば市役所のお知らせを発信する無料のスマートフォンアプリ「つくスマ(つくばスマートシティアプリ)」の配信が開始された。住んでいる地区、年代、家族構成などを登録し、個々人の登録内容に基づいて適切な情報を通知するというアプリだ。 市スマートシティ戦略課によると、7月25日時点の登録者は市人口の3%の約8400件。つくスマ同様、自動的に市役所等のお知らせを配信するプッシュ通知型のアプリは、守谷市、福島県会津若松市、東京都渋谷区や港区などですでに導入されている。他自治体のダウンロード数は数%か15%程度だが、つくば市は2024年度に20%を目指すという。 市議会6月議会一般質問では、せっかく機能があるなら、年代、性別、家族構成、住まい等、登録者の属性に応じて配信する内容を変えてはどうかという質問があり、五十嵐立青市長も前向きな答弁をした。 しかしまだ、市長の答弁通りとはいかないようだ。市スマートシティ戦略課は「つくスマのプッシュ通知は現在、部署ごとに配信している」とし、登録者の属性に応じて配信内容を変えているかについては「実際にそのような運用をしているかまでは把握してない。導入初期段階でもあるため、あまり条件を絞り過ぎると配信対象者数が少なくなるため、あらかじめ配信対象者数を確認の上、配信するようにしている」とする。 現在の配信本数は「職員がまだ慣れてないこともあり平均的な件数を挙げることはできないが、最近では多い時は1日5本程度」と同課。 さまざまなサービスを連動 つくスマは、単に行政情報を通知するだけににとどまらない。スーパーシティ構想では、さまざまなサービスをつくスマに連動させ、将来さまざまなサービスを、「つくスマ」を起点に市民が利用できるようになることを目指している。市民にとってはスーパーシティの入り口の扉が「つくスマ」になる。インターネット投票も「つくスマ」から行えるようにする。 アプリは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)のメンバーである凸版印刷(東京都台東区)、アスコエパートナーズ(東京都港区)とつくば市の3者によるプロジェクトチームが、約1600万円で開発した。市民の利用料は無料だが、市はライセンス料としてダウンロード数にかかわらず年間500万円を凸版印刷に支払う。 マイナンバーで紐づけ スーパーシティは、行政や企業、個人などがもつさまざまな情報を複数の分野で共有してサービスを行う。事業者にとっては本人確認、住民にとっては個人情報保護がしっかりなされているかが重要になる。つくば市の場合、本人確認をマイナンバーカードとデジタルIDによって実施する予定だ。 具体的には、本人の同意を得ることを前提に、住民異動届、医療Maas、医療・健康事業でマイナンバーの利用拡大が構想されている。例えば医療・健康事業では、企業や行政、個人などが分散して保有する診療履歴、服薬履歴、食品購入履歴、運動情報などの情報をマイナンバーで紐づけして一元的に管理し、食生活を改善したり生活習慣病を予防するサービスを展開するなどだ。昨年5月の国のヒヤリングで五十嵐立青市長は「毎回(つくスマの画面に)マイナンバーカードをかざさずに、スマホだけで利用することが可能になる」と説明する。 民間ではマイナンバーを利用しなくてもすでに様々なサービスが展開されているのに、つくば市はなぜマイナンバーを利用するのか。同課は、マイナンバーカードは本人確認がすでになされているため、一番確実であるとし、特段利用者のハードルが高いとは考えてないとする。 ただし現在の法律では、マイナンバーを利用できる分野は社会保障・税・災害対策の3分野に限定され、利用方法も罰則付きで厳しく制限されている。民間企業がマイナンバーを利用してサービスを展開することはできない。マイナンバーは国民全員に割り当てられた12ケタの背番号で、さまざまな分野に紐づけられると監視社会につながるという懸念があるからだ。 つくば市では今後、条例をつくるなど、スーパーシティのサービスでマイナンバーを利用できるよう法整備をすることが必要になる。法整備の内容や時期について同課は、今後、国家戦略特区の枠組みを活用して国と協議していく予定だが、具体的な時期は未定だとする。(鈴木宏子)

ムシたちにも過酷な夏 《くずかごの唄》113

【コラム・奥井登美子】 「今年の夏はゴキブリが台所に出なかったの、お宅はどうですか?」 「ゴキブリ? そういえばいつもの年より少ないかなあ」 コロナで、図書館でも、スーパーでも、どこへ出かけても体温を測っているけれど、その体温よりも気温が高いなどということは今まであまりなかった。 6月末から7月初め、気温が、人間の体温よりも高い日が何日かあった。我が家の庭の山椒(さんしょ)の木に、毎年たくさんイモムシが発生するが、今年は1匹もいなかった。昆虫の世界も、酷暑で、何か変化しているらしい。 熱中症を起こして救急車で運ばれる人が、がぜん多くなってしまった。我が家では居間にクーラーがなかった。クーラーの大嫌いな亭主が許可してくれなかったのだ。しかし、今年はクーラーがないと熱中症になってしまいそうで、とうとうクーラーをつけてしまった。 何か異変が起こっている どんぐり山の昆虫観察会は、毎年1回、10数回以上続いている。救急係の私は、2~3日前に、刺されたり、かみつかれたら困る、マムシ君とヤマカガシ君とハチなどの下調査に行く。 昨年はコロナの影響で観察会は急きょ中止になってしまった。今年はコロナの心配をしながらも、断固決行することになった。 下調査でヘビはいなかったけれど、ハチの数がいつもの年よりも少なかった。森に住む黄金虫(ゴキブリの仲間たち)も見かけなかったが、あまり深く考えなかった。 観察会の当日は、たくさんの子供たちが来てくれてうれしかった。山に入る前にムシ刺されの注意はするが、毎回、何人かの人がムシに刺されてしまう。今年はどういうわけか、刺された人が1人もいなかった。虫たちも少なくて、しかも、何か元気がなかった。 憧れの国蝶(ちょう)オオムラサキもいなかった。人間は虫たちにも無視されてしまった。酷暑の地獄。人間の世界にも、虫の世界にも、何か異変が起こっている。(随筆家、薬剤師)

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